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「提言!これからの日本観光」 第3の開国

2021年4月24日(土) 配信

 “開国”とは字の如く国が外国への門戸を開いて、広く国際交流を進めることである。

 江戸幕府の鎖国政策から脱皮して迎えた明治維新こそ“開国”の名に相応しい。日本はこれを動機に近代国家への歩みを始めたからである。

 ところで最近の日本は近く、第3次の“観光開国”を迎えるので、その準備を進めるべきとの有識者の声を聞いた。

 コロナ収束後に迎える観光の復活は第3の“開国”とも言うべき重要な転機であるとされる。具体的には、一般人の国際交流が停止状態から再出発するときが観光の“開国”だと思う。

 観光の第1次“開国”は「明治維新」で、黒船来航以来の外圧による。第2次は外国との人的交流が杜絶した「太平洋戦争後」、占領軍が外貨獲得のための施策として国際観光の再開を指示したときだと考える。1・2次の共通の特徴は“開国”の動機が外国からの圧力だったことである。従って先進国の指導で“観光開国”を進めることができた。

 第3次は防疫上の鎖国措置の解除になる。しかし、世界各国は共通の事情があり、国際観光復活について範となる先進国や外圧などはない。今後、日本独自の判断による観光施策の策定が求められることは、これまでと異なる“開国”になる。年間約3千万人の外国人入国者のうち、観光客はコロナ禍で0人に近くまで急減した。邦人の海外観光客も同じ状態にある(3月現在)。

 今後は文字通りの「0」からの再出発となるため、国際観光は従前の復活ではなく第3の“開国”にふさわしい「新日本観光」が展開されなければならないと思う。「新日本観光」の着眼点(私見)は以下のようなところに置くべきと考える。

 第1の着眼点は今国の“開国”は海外諸国も ほぼ同時期に国際観光を再開するので、“開国”後の国際観光は激しい競争下に置かれるはずである。従って「国際競争力のある観光」が必要である。特色ある観光資源の開発と同一からの資源の魅力再発見のため、視点を変えた観光手法(テーマ別観光など)の提案などが求められる。観光産業の改革による国際競争力強化も急がれる。

 第2に日本の立地条件を生かした「全国観光地化」である。全国を万遍なく観光するためのモデルケースの紹介ほか、地方のインフラ整備などが必要となる。

 第3に「観光情報」の適確、強力な世界への発信と情報システム化である。とくに、IT技術導入による情報システムを構築したうえでの検索、申込、決済(発券)まで一貫したワンストップサービスによる観光客の受入体制の整備である。

 第4の着眼点は「観光の安全」である。交通と宿泊施設での安全はもとより大規模災害対策の一環として、観光客の発災時の避難誘導対策の確立は急務と考える。

 これらの諸政策が、観光する心(もてなしのこころ)に裏付けされなければならないことは言うまでもない。

須田 寛

 

日本商工会議所 観光専門委員会 委員

 
須田 寬 氏
 
 
 
 

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