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【2020年4月、プロジェクト始動】強羅花扇「ONGAKU RYOKAN」 文化薫る“箱根”で極上の音楽を

2020年3月28日
編集部:増田 剛

2020年3月28日(土)配信

2月5日に「強羅花扇」で開かれたスタートイベント

 日々の喧騒を抜け、文化の薫りが漂う箱根の森の中に静かに佇む和の旅館――。神奈川県・箱根強羅温泉の「強羅花扇(はなおうぎ)」を舞台に、今年4月から「音楽」と「旅館」を組み合わせた「ONGAKU RYOKAN」プロジェクトが始動する。上質な音響空間を備えた旅館のラウンジや客室で、日本を代表するプロデューサー・立川直樹氏がセレクトする “極上の音楽”に包まれながら滞在する。新たな価値を創造する「強羅花扇」の文化的な試みに注目した。

 「日本のホテルや旅館、レストランは、ハードはしっかりと造っているのに、音楽と照明については、なおざりにされている」。「ONGAKU RYOKAN」プロジェクトの中核を担う、プロデューサー・立川直樹氏は語る。

「強羅花扇」のエントランス

 本来ならば、旅館の客層や、コンセプトに合った音楽を流すべきであるのに、その日の気分で有線放送をそのまま流したり、アルバイトが適当に選曲したりする施設がいかに多いことか。日本の宿泊施設の音楽への“想い〟の薄さに、数々の一流ミュージシャンや芸術家と音楽や舞台、映画などの演出・プロデュースをしてきた立川氏は決意する。「実際に自分たちで極上の音楽をセレクトした旅館を創ろう」と。

 立川氏は「強羅花扇」や、花扇グループの最上級グレード旅館「円かの杜」(強羅温泉)で開かれてきた「ミニコンサート」にも深く関わってきた。“知る人ぞ知る〟音楽イベントだったが、今年4月から本格的に「ONGAKU RYOKAN」プロジェクトがスタートする。

 2月5日には、音響機器メーカーの「テクニクス」や、「ぐるなび」のサイトを立ち上げた広告代理店「エヌケービー」、TSUTAYAグループで著作権を管理する「日本サプライサービス」、そして雑誌「Discover Japan」などのプロジェクトメンバーが一堂に会し、「強羅花扇」でスタートイベントを行った。

飯山雅樹専務

 夕食後の午後8時30分から2時間、宿泊客に加え、イベントを楽しみにしていた一般客もラウンジに集まった。ワインなどのお酒と軽食を摘まみながら、音楽を知り尽くした立川氏の解説が始まる。やがて上質な音響空間の中で、アナログレコードに針を落とす。「アナログの独特の音域の広がりと、立川氏の深みのある解説、作品が出来上がるまでのさまざまな物語が織り交ざって、全身に染み込むように伝わってきました」と、花扇グループの飯山雅樹専務は語る。「参加者の皆さんもラウンジで繊細な音に耳を傾けながら、『とても贅沢な時間を過ごせた』と満足されたようです」。

 この夜、流れた音楽は「スケッチオブスペイン」/マイルス・デイヴィス、「欲望」/ボブ・ディラン、「イン・ハリウッド」/フランク・シナトラ、「時の流れに」/ポール・サイモン、「スターダスト」/ライオネル・ハンプソン・オールスターズ、「ボディアンドソウル」/ビリー・ホリデイ――などだ。

 立川氏は「箱根にはバイブレーションがある」と独特の表現をする。「ジャズやクラシック、映画のサウンドトラックなどジャンルを超えて、四季の移り変わりや、天候によって変化する風景にマッチした音楽をセレクトしていきたい」。

 元々、全客室で音楽を楽しめる環境を整えていた花扇。今回新たにテクニクスのプレミアム・コンパクトステレオシステムを3室に導入した。飯山専務は「客室でもゆったりと上質な音楽に浸ってほしい」と語る。滞在中に気に入った曲があれば、宿で購入して自宅にCDが届くシステムも提供する。

 箱根強羅エリアは、大正時代から芸術家や数寄者たちを引き寄せ、文化を育んできた地だ。飯山専務は「館内の食事処やラウンジなど、シチュエーションに合った音楽を流していきたい。このプロジェクトに賛同する施設が広がっていくと、箱根強羅エリアに一体感が生まれてくる」と将来を見据える。

飛騨の高級木材が惜しみなく使用されている「強羅花扇」

「円かの杜」

 花扇グループの「円かの杜」(全20室)は2014年12月に開業して以来、定期的に生演奏のミニコンサートを行っている。

 円かの杜の隠れた魅力の一つに、センスの良い音楽が静かに流れる蔵バー「こだま」がある。立ち上げには、立川氏の助言があった。一流ホテルで長年経験してきたバーテンダーが、各種オリジナルのカクテルを用意。薄暗い堅牢な空間の隅に置かれた本棚には、妖艶で背徳的な雰囲気を醸し出す書籍も並び、このバーを愛好する大人の趣味人も多い。

ミニコンサート会場にもなる「円かの杜」のラウンジ
「円かの杜」にある蔵バー「こだま」

台風被害からの復旧

 昨年10月の台風19号による被害で、グループ館の早雲閣が土砂崩れで被災し、現在、休館している。強羅花扇も浸水し設備系統に被害があったが、「幸い建物には被害がなく、1月21日から営業を再開。円かの杜は被害もなく通常営業しています」(飯山専務)。

 箱根登山鉄道は箱根湯本―強羅間は運休しているが、バスによる代替輸送が行われている。今年10月には全線運行を再開する予定で、完全復旧の日も近い。

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