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被災者、旅館に宿泊を 観光産業に爪痕 秋の行楽シーズンに営業中止も 台風19号

2019年10月18日
編集部:平綿 裕一

2019年10月18日(金) 配信 

各地で大きな被害が出ている

 

 観光庁の田端浩長官は10月17日の会見で、台風19号に関する被害状況や取り組みを発表した。今後は被災者の生活支援として、地域の旅館・ホテルに泊まってもらえるよう働きかけ、支援の輪を広げる考えだ。一方、宿泊施設や観光地にも影響が出ている。17日時点で、全国の13県で207軒の旅館・ホテル雨漏りや屋根破損の被害があったと発表した。秋の行楽シーズンに営業中止を余儀なくされている観光施設は、8県で計34施設に上る(国土交通省調べ)。観光産業に大きな爪痕が残る。【平綿 裕一】

 政府は16日時点で、台風19号の被害を受けた全国13都県316市町村にそれぞれ災害救助法を適用している。このうち千葉県を含めた14都県の半数が、それぞれ県と宿泊団体で災害協定を結んでいる。

 災害協定によって、被災者を旅館・ホテルに宿泊させることが、協定のない地域よりスムーズに行える。県と宿泊団体の合意形成があり、実際の受入方法なども議論されているためだ。

 近年では2016年の熊本地震では熊本県が、18年の西日本豪雨では岡山県が、事前に各宿泊団体と災害協定を結んでいた。岡山県では18年7―12月の間に、延べ6千人近くの被災者が宿泊施設に泊まることができた。

 ただ今回は協定を結んでなくとも、被災者が泊まれるように働きかけていく。田端長官は会見で「災害協定がない各地域の宿泊団体にも依頼し、県と調整してもらっている。こちらからプッシュ型の対応をしていく」と強調した。

 各地域では準備を進めている。県からどれほどの被災者が施設での宿泊を求めているのか、宿泊団体はどれほどの客室を提供できるかなど、互いに情報をすり合わせているという。

 「避難所生活は必ずしも快適でないこともある。旅館・ホテルに泊まれるようにしていきたい」(田端長官)と、被災者に対する支援をより強めていく方向だ。

宿・観光施設に被害

 台風19号は東日本を中心に宿泊・観光施設に甚大な被害をもたらした。秋の行楽シーズンを直撃し、各地の観光産業にも大きな影響が出ている。

 総雨量が1000㍉を超えた神奈川県箱根町では、訪日外国人にも人気な箱根登山鉄道の、箱根湯本―強羅間が17日時点も運休している。

 「行楽シーズンは年間で最も利用がある」(同社)と、秋の書き入れ時に大きな痛手となった。

 同社によると土砂崩れによって一部区間で橋脚や線路が流されたという。雨水流入による道床(線路の下にある石が積み上げられたもの)も流出した。

 同社は「(復旧には)相当な時間を要する。数カ月はかかるのでは」と説明した。

 なお、箱根登山バスによる振替輸送も始めている。

 芦ノ湖は台風19号による記録的な大雨で湖から水があふれた。芦ノ湖の水位が上昇しているため、17日時点でも海賊船の運航を見合わせている。当面運休とするが、水位が戻り次第、運転を再開する見通し。

 静岡県熱海市では断水の影響が宿に及んでいる。熱海温泉ホテル旅館協同組合によると、加盟施設67軒のうち、17日時点で14軒が休業を余儀なくされているという。

 一方で、住民支援を進めている。

 熱海温泉ホテル旅館協同組合と南熱海網代温泉旅館協同組合に加盟する施設は16日から、断水地域の住民を対象に入浴支援を始めた。賛同する施設は増え、17日時点で24施設が受け入れている。料金は通常500―2500円かかるが、一律で500円とした。

 熱海温泉ホテル旅館協同組合は「通常営業している施設もあり、支援の手立てはないだろうかと話し合った。断水地域の住民の方を考えると、まずはお風呂だろうという結論に至った」と経緯を振り返る。

 ただ、断水に関する過熱報道を見て、利用者が大挙するのではと踏ん切りがつかない施設もあった。しかし対応を始めた16日時点で、1日で180人近くの利用者を受け入れる施設もあったという。「頑張って受け入れてくれている」(同組合)と胸を撫で下ろした。

 田端長官は17日の会見で「(施設の被害は多かったが)旅行者の被害はない。鉄道や道路などのアクセスの部分で大きな影響があり、1日も早い復旧に政府を挙げて取り組んでいく」と述べた。

 そのうえで「復旧後は需要を盛り返す。観光地、またはそれぞれのエリアを訪れることが、地域の元気付けになる。このような需要喚起策を官民挙げてやっていきたい」とした。

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