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【特集No.512】訪日外国人の忘れもの 国際配送難しく 空のスーツケースも

2019年1月22日
編集部:平綿 裕一

2019年1月22日(火) 配信 

1742号1面イメージ

 訪日外国人旅行者数は2018年12月に3000万人を初めて突破した。勢いは続いている。ただ一部地域でオーバーツーリズムが問題になっているなか、新たな問題も出てきた。訪日外国人による忘れものだ。国際配送方法は難しく、空のスーツケースが置かれたままといったこともあるという。訪日外国人が増えれば相対的に忘れものも多くなる。ゴミの問題にも直結する。政府目標の達成を目指す道半ば、新たな問題の現状と課題を取材した。 【平綿 裕一】

支払いなく泣き寝入り

 訪日外国人の忘れもの対応で代行サービスなどを行うTUMOCA Express(荒本修一代表、運営=オー・エス・エス)は、取り扱いが急増している。相手との連絡から、送付できるかの確認、申告、梱包、料金決済、配送までトータルで行う。荒本代表は「国際配送は制度として『着払い』がない」と話す。いずれかの段階で先に決済する必要があり、送付後に支払いがないと泣き寝入りするしかない。対応の難しさを聞いた。
                                                    ◇
 訪日外国人が増えるにつれ、忘れものをする確率は高まる。呼応するように17年9月に10軒から始まったサービスは現在、宿泊施設1千軒以上、約10万室が利用するまでに成長した。ホテル以外でもレンタカー会社や空港案内所にも導入が進んでいる。

 そもそも国際宅配は扱いが難しい。荷物を受け付けたあとに、安全検査や税関検査があり、問題があれば送り主に返される仕組みになっている。とくに受け付け時に中身を正確に把握しづらい個人の手荷物は「返送に至る可能性が高い傾向にある」(荒本氏)という。

 一方で、「荷物の到着後に支払うので、まず送ってほしい」と催促する人も少なからずいる。ただ相手は、銀行での必要書類の作成や海外送金手数料が最低3―4千円かかるなど、煩雑で割高だと感じてしまう。そのまま音信不通になることもある。こうなるとホテル側は連絡もなく捨てるわけにはいかず、保管しておくしかない。

 しかし、まずゲストから海外送金をしてもらえばいいといった訳ではない。「ここでは銀行手数料が非常に重要な点になる」と荒本氏は指摘する。

 一般的に海外送金における銀行手数料は4種類ある。それぞれ費用は数千円かかる。このうち中継銀行手数料と受取手数料は、基本的に受取人(ホテル)負担となっている。「手数料分を送料に上乗せして請求しなければ、手元に必要なお金が残らない」と送り損になってしまう。

 取り扱う品にも気を配る。一般的な危険物として、マニキュア除光液やスプレー缶などは発送ができない。酒や化粧品などのアルコールを含む製品は、含有率で送ることができるかが決まる。場合によってはMSDS(製品安全データシート)を取り寄せ、問題がないことを証明しなければならない。

 忘れものでもとくに多い、携帯やパソコン、カメラも留意が必要だ。荒本氏は「リチウム電池使用の製品は、リチウムの内容量や電池の数量制限などの条件をすべて満たしているか確認しなければならない」と強調した。

 最も厄介なのは現金だ。配送方法や上限金額など国ごとに異なる。財布と一緒に忘れる場合がほとんどのため、カード類と現金、財布、それぞれ別々の配送方法を使い分ける必要がある。

 「適切な方法でなければ安全検査をパスできない。再発送にももちろん料金がかかる。万が一、航空危険物を航空機で輸送、または国際郵便で郵便禁制品を差し出せば、刑事罰の対象となる可能性がある」(荒本氏)。

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【全文は、本紙1742号または1月25日以降日経テレコン21でお読みいただけます。】

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