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復興財源で増税は安易――極論だが消費税撤廃は?(5/1・11付)

2011年5月11日
編集部

 東日本大震災から約2カ月が経過し、復興財源をどう捻出するかが論点となっている。仮設住宅の建設や、インフラ整備、産業、農業、漁業などの立て直し、東京電力福島第一原発事故による損害賠償、あらゆる産業の救済、支援策などを含めると、相当な財源が必要になることは、容易に理解できる。 であるため、当然のように、消費税率の大幅アップや、所得に付加税を課すなどの議論が巻き起こっている。
 増税は一番手っ取り早い。誰にでも考えが及ぶ。どうしても1万円が必要なとき、権力を握る者が、有無を言わせず、そばにいる10人の子分全員から1千円ずつ徴収すればことが足りる。だが、権力者(政治家)も強制的に徴収すれば自らの評判が悪くなり、立場が危うくなることを十分承知しており、大義名分を必要とする。「今なら大丈夫、国民の総意が得られる」と踏んでいるのかもしれない。
 しかし、徴収される子分(国民)全員の財布の事情だってある。十分に余裕のある人もいれば、財布には1千円しか入っていないかもしれない。「被災者を助けてあげたいけど、現状の自分では助けてあげられない」人が数多くいることも事実。
 政治家は大局的な判断が必要だ。あまねく国民への増税が財源確保には簡便で有効なのかもしれないが、日本経済全体が委縮し沈滞ムードがもっと蔓延しないか。消費がさらに委縮するなかで旅館・ホテルなどのサービス産業は持ちこたえられるだろうか。悪循環が一番怖い。
 極論だが、むしろ今後2年間は消費税を撤廃し、「被災された方々の復興のために、国民の皆さんはどんどん消費してください。それが被災者、日本の復興のためになります」と訴えた方が、日本全体に活気が生まれ元気も出てくるというものだ。復興税はその恩恵を受けた企業などから徴収するのも一案だ。
 「消費税5%が10%に上がって、105円が110円になるだけではないか」と言う人もいるだろう。しかし、消費者心理はそんなに甘くない。105円が100円になるのなら「2つ買う」が、105円が110円に値上げするなら「今回は我慢しよう」と多くの人が考える。5円を得ようとしたために、200円を失うことは十分にあり得る。政治家は庶民の心理をもっと勉強し、良い方向に導くべきである。
(編集長・増田 剛)

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