【エレファントツアー社長・五十川 昌博氏に聞く】日本のツーリズムに貢献したい、映像制作は〝私の使命〟

五十川昌博氏

 1988年に米国・ロサンゼルスでインバウンド専門のエレファントツアーを設立した五十川昌博社長。その後、映画の本場ハリウッドで映像を学び、4年ほど前から、ドローンを活用した旅館・ホテルなどのPR動画を作成している。ダイナミックな映像表現で、異なる視点から日本の魅力を発信する五十川氏は「日本のツーリズムに貢献する映像製作は、私の使命」と語る。ドローンを用いた観光PR映像製作のコツを伺った。

【聞き手=増田 剛、構成=松本 彩】

 ――エレファントツアーの成り立ちについて教えてください。

 来年で創業30年になります。1988年に渡米し、ロサンゼルスでインバウンド専門のエレファントツアーを立ち上げました。

 日本にいたころは、私は大学で芸術学部に在籍していたので、78年に友人3人と、音楽専門書の出版社を立ち上げ、編集者として働いていました。しかし、その当時のクラシック人口は日本全国で100万人程度と、とても小さなマーケットだったので、もっと大きなマーケットで勝負したいと考えていました。

 当時、主に五線紙を扱っていましたが、海外旅行がブームになってきた時代でもあったので、しばしば旅行ガイドブックの編集依頼も受けていました。ガイドブックの素材集めのために海外を飛び歩いている間に旅行業界に興味を持ち、〝ツーリズムに生涯をかける〟と一大決心しました。

 ――創業当初から経営は軌道に乗っていましたか。

 当時、現地のオプショナルツアーには、主催旅行会社のパッケージ旅行利用客でない限り、参加することができなかったので、現地に住む友人などを訪ね、個人旅行で来た日本人の多くが「せっかくロサンゼルスを訪れたのに、つまらなかった」という印象を持って帰国していきました。

 私は、ロサンゼルスには多くの魅力あふれるアクティビティがあるのに知ってもらえないのはもったいないと感じていました。そこで受入環境がないのならば、その環境を作ればいいと考え、現地で、誰でも参加できる日本語オプショナルツアーを始めました。

 創業当初は、このようなビジネスモデルは存在していなかったため、好調でしたが、徐々に既存の旅行会社との摩擦が出てきました。それならば違うマーケットを狙おうと、現地に駐在しているファミリー層をターゲットにすることにしました。バブルの絶頂期でもあり駐在ファミリーが日本からどんどん訪れていた時代でした。

 もともと私自身が旅行業界の出身ではないため、大口クライアントを掴むことができず、FIT(海外個人旅行)客を中心にファンを増やしていきました。 

 例えば、駐在員の奥様や子供たちは、日本人同士の交流が中心で、子供たちも日本語学校に通っています。日本語でのツアーは、彼らに大変好評を博しました。最初は好意的ではなかった日系旅行会社も、新しいマーケットを発掘した私たちの仕事を認めてくれ、今では日本で最大級の旅行会社から定期的に仕事をいただくまでの関係になりました。

 ――2001年9月11日の同時多発テロ時の影響について。

 日系の旅行会社の約9割が縮小や倒産に追い込まれました。エレファントツアーはもともとFITを主な顧客層として事業展開をしていたため、団体旅行による大きなキャンセルがなかったのは幸運でした。

 ――ツーリズムのPR動画などを手掛けるようになったのはいつごろからですか。

 学生時代に作曲を専攻していたことや、当地は映画の都であることから映像に携わる仲間がたくさんいたことが理由で、渡米後すぐ映像制作に興味を持ちました。

 当時はアナログの時代でしたが、ハリウッド映画業界で活躍する人たちのおかげで上手にデジタルの波に乗れたのも幸いでした。カリフォルニア州はもちろん、近隣の州政府観光局からも撮影依頼が入るようになり、広大なアメリカでは3―4年ほど前からドローンが活躍するシーンも多かったと記憶しています。

 6年ほど前からは、日系のテレビ局で日本語視聴者向けの旅行番組「GO WEST」を製作しています。観光局の協力を得ながら、実用的な観光情報を提供しているのが特徴です。取材の際に心掛けていることは、地元の人たちにも積極的に声を掛けることです。これによって、テンポ感やストーリー性を感じられる番組づくりができています。せっかくなら雄大な景色はより感動的に、美味しいものはより美味しそうに撮りたいではありませんか。

 このような経験のなかで、エレファントツアーも人材が育ってきました。本格的に音楽や映像をツーリズムの集客に活かしたいと思うようになり、旅行の現場は創設当初からいるマネージャーに任せ、映像の世界に全力投球できるようシフトしていきました。

 ――アメリカではいつごろからドローン映像を撮影していたのですか。

 3―4年前から、ロッキーマウンテンに咲くワイルドフラワー、バリ島の世界遺産、瀬戸内海の島々を空撮してほしいと、観光局や大手旅行会社から依頼を受けるようになりました。

 アメリカでドローンを使うようになったのはここ4年くらいです。そしてこの2年くらいで技術的な革新を遂げ、ドローン撮影の幅は格段に広がりました。

五十川氏自らドローンを操縦し、
魅力あふれる映像表現を追求している

 ――日本でもドローンを使った映像を作成していきますか。

 生意気な言い方かもしれませんが、日本の旅館やホテル、そして観光地のプロモーション映像を見ていると、その土地の魅力が半分も表現できていなく残念に思うことがあります。

 30年前に渡米したときに、「ロサンゼルスにはこんなに魅力的なアクティビティがあるのに日本マーケットに上手く宣伝できていなくてもったいない」と感じたのとまったく同じで、人生の半分をアメリカで過ごした自分には、日本の良さが日本に住んでいる日本人以上に魅力的に映っています。そしてそれをどうにかして海外に伝えたいと強く思うのです。旅館・ホテルでの体験をストーリー化したり、女将1人にスポットを当て、その人物を追う新しいかたちの映像表現があるような気がします。

 私は長年日本を離れているからこそ、四季折々の美しい景色があることや、旅行者のお腹と心を満たす食事がその土地によって大きな特徴があるということなど、異なる視点から日本の魅力に気づくのだと思います。

 私よりカメラの上手い人はたくさんいます。私より編集技術を持つ人もたくさんいます。しかし、学生時代から歩んできた道、アメリカでインバウンド業界に身を置いた半生、業界の人脈、そしてドローンを使った豊富な空撮経験。これだけの条件がそろっている人間はそれほどいないだろうと思うと、日本のツーリズムインバウンドに貢献する映像制作は、私の使命だと感じているのです。

 ――ありがとうございました。

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