2泊3日の旅 ― 「旅人に居場所をつくってあげる」

  • 2017-4-21

 旅とひと言でいっても、半日程度の小さな旅から、2―3週間の長い旅もある。どの旅にもそれぞれ魅力的な部分があるが、私は個人的に2泊3日の旅が気に入っている。2泊3日での旅となれば、現実的に国内各地、あるいは近隣のアジア諸国がその範疇に含まれる。沖縄や北海道、台湾や香港などに行くなら、現地での滞在をより満喫したいため、早朝に空港に向かう。少し眠いが早朝であるからこそ、これから始まる旅への期待がより高まっていく。

 2泊3日の醍醐味の1つは、旅の舞台となる滞在するホテルや旅館に連泊できることだ。 

 旅は、巡り合わせ、縁である。地球の反対側を旅して、名も知らないホテルに宿泊し、小さな街のレストランで食事をする。2度と訪れることがないだろう、と考えながら「いや、再びここを訪れる縁を築きたい」と思うことがある。街で一番の外資系ホテルに比べると見劣りがするが、滞在することで次第に心地よさを感じてくるホテル。言葉が通じないが何度か通ううちに、自分の店の客と認識してくれる店主。旅人は旅先では居場所がない。しかし、滞在するホテルや、通い続けるレストランは、寄る辺ない旅人にわずかな居場所を与えてくれる。

 1泊するだけでも、旅人にとって宿泊したホテルや歩いた街とは大きな縁になるが、2泊、3泊と滞在することで、より強固なつながりへと変わる。

 「日常的なしがらみから解放されて、どこかに旅したい」と感じることがあるが、潜在的に「未知なる旅先で新たな接点をつくりたい」という欲求があるのだろう。

 私自身、長期間をかけて地球の裏側に行くような大旅行をいつも夢見ているが、現実は、近くの海に行こうとオートバイに乗るが、途中で予測不能な雨が降り出してUターンしてくるといった、旅にもならない旅ばかりである。国内の温泉旅館に1泊2日の旅をすることもあるが、予定調和的にすべての物事が流れるために、心が高揚することは、もうほとんどなく、リラックスするというよりも、退屈してしまうのである。

 リラックスと退屈はどこが違うか。リラックスは何もしたくなるくらい心地よさを感じることだが、退屈は何かしたいのだが、何もすることがない状態だ。

 リゾートホテルの場合、2泊3日では短いと感じる。一方、多くの旅館は1泊2日がまだまだ主流であり、滞在する客のことを想定したつくりになっていない。滞在中に客に退屈させないために、面白いショーをやったり、雰囲気のあるバーを作ったり、体験プログラムを用意するのも1つの手段かもしれない。

 だが、それ以上に大事にしなければならないものは、「旅人に居場所をつくってあげる」という意志である。

 例えば、温泉旅館の岩風呂に入る場合、岩の組み合わせ具合が絶妙なポジションを探す。しかし、そのような場所は1カ所か2カ所で、あとは背中に突き出た岩があったり、頭の置き場がなかったりと長時間のんびりできない。また、浅すぎたり、逆に座ると鼻まで浸かるようなところもある。客室前の廊下に椅子を置いている宿もあるが、そんなところでくつろげるはずもない。まずは、2泊3日の旅で滞在したいと思える宿が日本にも増えてくることを期待したい。

(編集長・増田 剛)

ページ上部へ戻る