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旅館内に「ローソン」、宿泊客ニーズに対応(琵琶湖グランドホテル)

ローソン琵琶湖グランドホテル店
ローソン琵琶湖グランドホテル店

 滋賀県大津市のおごと温泉の琵琶湖グランドホテル(金子博美社長)の館内に5月9日、「ローソン琵琶湖グランドホテル店」がオープンした。旅館内に大手コンビニチェーンが出店する全国初の事例。オープン後に、同店の詳細や出足の状況など取材した。
【関西支社=土橋 孝秀】

 ローソン琵琶湖グランドホテル店は、館内1階ロビー内に新設。正面玄関入ってすぐのフロント横に位置する。婦人服や雑貨を販売していたブティックとロビーラウンジの一部を改装したもので、店内の広さは約200平方メートル。ローソンの一般的な店舗と比べ、ほぼ倍の広さがあり、飲料やおにぎりなどお馴染みのローソン商品のほか、同ホテルがこれまで売店で販売していた土産品約600種類をローソンに販売委託する。

 店内入ってすぐのスペースが土産品エリアで、菓子類や地酒、漬け物、コスメ商品などがずらりと並ぶ。奥がローソン商品のエリアで、淹れたてコーヒーを販売する「マチカフェ」のほか、ATM(現金自動預け払い機)や酒・たばこ販売、郵便・宅急便取り扱いなど通常のコンビニサービスを提供する。

 店頭のネオンサインはローソンカラーの青色をほとんど使わず、木目調の落ち着いた色合いにし、和風旅館の雰囲気とマッチするようにした。店員の制服も青白ストライプではなく、茶色のエプロンに黒シャツで統一。店内からは中庭を望み、開放的な空間になっている。営業時間は午前7時から午後11時。年中無休(休館日・貸し切りなど除く)。

 同ホテルの下田直輝専務は、従来の売店を閉鎖し、コンビニ導入に踏み切った経緯について、「お客様の利便性アップや幅広いニーズに応えるのが最大の目的」と話す。ローソンで購入した酒・つまみ類の宴会場への持ち込みはできないが、客室への持ち込みは可能。ローソンオープン前まで、客室で飲む酒やデザートを求めて、約400メートル離れたコンビニまで買い物に行くお客もいたという。

 一方、ローソンも新業態への出店を加速するなか、宿泊・日帰り合わせ年間24万人が利用する同ホテルの集客力に目を付けた。

 同店の長谷川尚太店長は「フランチャイズオーナーとして、別に1店舗運営しているが、新しいことの連続」と話し、宅配数の多さやピーク時の集中具合など“旅館内コンビニ”という特殊性に驚く。

 オープン後の状況は、土産品購入が大半で客単価は約1500円。従来の売店とほぼ同額だが、ローソン側からすると通常店舗の約3倍という。ローソン商品では酒やつまみなどが売れるが、ポテトチップスなどの袋菓子はほとんど売れないという。しかし、家族連れが多い夏場になると状況が変わる可能性もある。下田専務は「年間を通して状況を見ていきたい」と話し、「お客様の反応は好評。商品をさらに充実させ、魅力的な“コンビニ店舗型売店”にしていきたい」と意気込む。

お馴染みのコンビニ商品が並ぶ
お馴染みのコンビニ商品が並ぶ
店内の土産品コーナー
店内の土産品コーナー

下田直輝氏
下田直輝氏

琵琶湖グランドホテル・下田直輝専務

 ――コンビニ導入の経緯は。

 10―15年前は団体客中心で、売店では土産物のまとめ買いがほとんどだったが、今はまったく違う。個人客に客層が変化するなかで、今の売店のままでは売り上げ増は見込めない。お客様の幅広いニーズに応えるには、コンビニ導入が最善と考えた。旅館にコンビニを入れることに社内から異論もあったが、最近のお客様は旅館に対して、旅館ならではの「非日常性」に加え、シティホテルのような「機能性・利便性」を求めることが増えている。MICEやインバウンド客はとくにその傾向が強く、導入に踏み切った。

 ――改装にあたって。

 和風旅館のイメージを損ねない店作りを第一条件に求め、壁や床の色、照明などを提案した。具体的には、照明は通常店舗ではLEDの蛍光灯だが、ここではLEDのダウンライト。結果、柔らかい雰囲気に仕上がった。店頭のローソンマークもできるかぎり小さくしてもらった。

 ――店員におもてなしが求められる。

 スタッフの教育はローソン側の範疇だが、館内にある以上、「コンビニの対応が悪い」と言われれば、我われの責任も免れない。人材教育の徹底は繰り返し求めているが、今後も重点を置いていきたい。

 ――インバウンド客の利便性も高まるのでは。

 全館・全客室Wi―Fi対応するなどインバウンド誘致に力を入れている。台湾の旅行会社からは早速、「ホテルに到着する前に必ずコンビニに寄っていたが、その必要がなくなる」という喜びの声をいただいた。(同店を運営する)フランチャイズ会社には免税への対応と、ドラッグ商品などの充実も働きかけている。

 ――宴会の酒類売り上げ減などリスクは。

 コンビニ商品の宴会への持ち込みはできず、大きな影響はないと想定している。それよりもお客様の利便性が向上することで、旅館のイメージアップになる。会議などMICEの取り込みも強化しているので昼間のお客様も多い。これまでの売店売り上げをローソン側に差し出しても、宿泊客・日帰り客の増加などで全体の売り上げアップにつながると期待している。

長谷川尚太氏
長谷川尚太氏

ローソン琵琶湖GH店・長谷川尚太店長

 ――旅館内に初めての出店だ。

 客単価の高さに驚いた。通常店舗は400―500円程度だが、ここは約1500円。売れる時間も夜9時から11時と、朝7時30分から8時30分に集中する。人員シフトも難しいが、団体客の詳しい情報をホテルから毎日もらい、対策を立てている。

 ――ローソン商品の品ぞろえは。

 通常店舗の3分の1程度にアイテム数を絞っている。調味料や洗剤、日用品などは置いていない。ただ、不要と思っていた尿漏れパットやストッキングなどに意外な需要があることもわかった。旅先で粗相はしたくないというお年寄りのニーズがあり、ストッキングはホテルの従業員を中心に売れる。補聴器のボタン電池を買われたお客様もいて、他の旅館では電池が置いていないと喜ばれた。

 家族連れが増える夏場になると、おにぎりやジュース、弁当の需要が出てくるだろう。ホテルとしっかりコミュニケーションをとりながら、お客様のニーズに対応していきたい。

 ――店づくりについて。

 スローガンは「旅先の思い出に笑顔を添えて」。スタッフ全員でその想いを共有して、おもてなしに取り組んでいる。「いらっしゃいませ」の掛け声も通常店舗では大声を張り上げるが、旅館でそれは馴染まないので、落ち着いたトーンになるように工夫している。お客様はローソンに来ているのではなく、旅館に来ているということを肝に命じ、努力していきたい。

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