20年度沖縄観光客数は258万人 過去最大の減少に 外国客は初のゼロ

2021年5月11日(火) 配信

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 沖縄県が4月30日(金)に発表した2020年度の入域観光客数は、前年度比72.7%減(688万5600人減)の258万3600人だった。新型コロナウイルス感染症による甚大な影響を受け、減少率、減少数ともに過去最大となった。1988年度の241万1700人に次ぐ低水準で、年度の観光客数としては2年連続で減少した。外国客は、1972年の本土復帰後初めて0人となった。

 国内客は、国や県からの緊急事態宣言発出による旅行自粛などから前年度を大幅に下回った。東京・関西方面からの観光客は、下地島路線の新規開設や石垣路線の提供座席数の増加があったものの、那覇路線などの減便数が多かったこともあり、大きく減少した。

 外国客は、日本への入国制限措置、航空路線の運休やクルーズ船の運航停止などにより、前年度の249万400人から皆減となった。減少数、減少率ともに過去最大の減少だった。

G20観光大臣会合に小林政務官が出席 オリパラで地域の魅力を発信

2021年5月10日(月) 配信

各国に向けて発表を行う小林政務官(国交省HPから)

 G20観光大臣会合が5月4日(火)にテレビ会合で開かれ、日本からは小林茂樹国土交通大臣政務官が出席した。新型コロナウイルス禍の影響からの包摂的、強靭かつ持続可能な旅行と、観光の回復に向けた国際的な連携強化について議論を行い、G20観光大臣宣言などを採択した。

 各国大臣のほか、国際労働機関(ILO)や世界観光機関(UNWTO)、世界旅行ツーリズム協議会(WTTC)などの団体が参加した。

 会合では、①安全な移動②危機管理③強靭性④包摂性⑤グリーントランスフォーメーション⑥デジタル化⑦投資とインフラ──の7つの政策分野について議論。その結果、「観光大臣宣言」や「観光の未来に関するG20ローマガイドライン」に合意した。

 日本からは、文化観光に関する基調発言を行い、文化資源を観光資源として活用し、官民一体となって地域の活性化につなげることの重要性について強調した。

 また、「東京オリンピック・パラリンピックでは、魅力ある地域の情報などを発信していく」(小林政務官)と紹介した。

「地方×観光」転職説明会、5月25日にオンラインで開く

2021年5月10日(月)配信

定員は先着500人、参加費無料のオンラインイベント

 やまとごころキャリア(磯部武秀社長、東京都江東区)は5月25日(火)、「地方×観光」転職説明会をオンラインで開く。インバウンド専門の求人サイト「やまとごころキャリア」を運営する同社による、転職や地方移住などに興味がある人に向けたオンラインの転職イベントを実施する。

 今回は「地方×観光」をテーマに、地方を拠点とする観光関連の企業3社が出展し、募集中の求人について紹介する。当日は、(1)出展企業プレゼン(2)移住のお悩み相談会(3)応募方法の案内――の3つのプログラムで構成。第2部の「移住のお悩み相談会」では、実際に地方移住を成功させ、地方の観光に携わっている人をゲストとして呼び、地方移住のアドバイスを聞くことができる。

 出展企業は、エイジェーインターブリッジ、ちいおりアライアンス、ハイアットリージェンシー瀬良垣アイランド沖縄の3社。

 開催時間は午後7:30~9:00で、オンライン会議システム「Zoom」を利用する。参加費は無料、先着順で定員500人。詳細と申し込みは、「やまとごころキャリア」ウェブサイトから。

JTA純損失60億円を計上、大幅な減収減益に

2021年5月10日(月) 配信

新型コロナ感染拡大で経営環境厳しく

 日本トランスオーシャン航空(JTA)がこのほど発表した、2021年3月期(20年4月1日~21年3月31日)の決算は、当期純損失60億円(前期は62億円の利益)の赤字となった。新型コロナウイルスの感染拡大で経営環境が厳しく、固定費の削減などに努めたが、売上高は前期比55・3%減の191億円、営業損失は84億円(前期は86億円の利益)、経常損失は85億円(同84億円の利益)と大幅な減収減益となった。

 旅客収入は、同59・9%減の150億円と大幅に減少した。収支への影響を最小限にするため、需要に応じた減便や運休を実施。生活路線は公共交通機関の使命から必要便数維持に努めた。一方、感染状況が落ち着いた地域に対しては、政府や沖縄県主催のキャンペーンを活用し、「安全、安心、環境ニーズ」に即した旅行商品を販売して集客力を高めた。こうした結果、提供座席数は同35・5%減の272万9000席、旅客数は同59・1%減の126万1000人だった。

 貨物・郵便収入は同20・4%減の17億円。コロナに加え、前期の消費税増税の影響などから全体的に減少傾向となった。

 21年度の通期業績見通しは、売上高が前期比73・8%増の332億円、営業利益16億円、経常利益16億円、当期純利益11億円を見込む。コロナの影響で先行きが不透明な一方、秋以降はワクチン接種が進み、旅行需要が回復するのではと期待する。

 同社は2021~25年度新中期経営計画をスタート。沖縄の経済回復に貢献する施策として、需要が旺盛な本土―先島諸島間の輸送力を強化する。3月に新路線の宮古―名古屋(中部)線を開設したほか、石垣―名古屋(中部)線の運航再開などで、ネットワークの拡充をはかる。「コロナ禍で毀損した財務基盤を早期に立て直し、いかなるイベントリスク・競争環境下においても存在し続け、次なる成長につなげるよう持続可能な事業構造への変革を目指す」(同社)と意気込む。

20年国内旅行消費額 54%減の9兆9738億円(観光庁)

2021年5月10日(月) 配信

観光庁の資料を基に編集部が作成

 観光庁はこのほど、「旅行・観光消費動向調査」の2020年年間値を発表した。20年の国内旅行消費額は、前年度比54・5%減の9兆9738億円となった。このうち、宿泊旅行消費額は同54・7%減の7兆7723億円、日帰り旅行消費額が同53・9%減の2兆2015億円だった。

 日本人国内延べ旅行者数は、同50・0%減の2億9341万人。このうち、宿泊旅行が同48・4%減の1億6070万人、日帰り旅行が同51・8%減の1億3271万人だった。

 日本人国内旅行の1人1回当たりの旅行単価は、同9・0%減の3万3993円。同12・2%減の宿泊旅行は4万8365円、日帰り旅行は同4・3%減の1万6589円となった。

 なお、20年の日本国内での旅行消費額は、同60・6%減の11兆円だった。このうち、日本人海外旅行(国内分)が同75・0%減の3000億円、訪日外国人旅行が同85・4%減の7000億円だった。

 また、訪日外国人旅行に関しては、新型コロナウイルス感染症の影響で調査が一部中止となったため、20年1~3月期の全国調査の結果を用いて試算した。

「まさかり海遊きっぷ」で下北を周遊 3社が連携

2021年5月10日(月) 配信

北海道と青森の3社が協力

 津軽海峡フェリー(村上玉樹社長、北海道函館市)とシィライン(山崎隆一社長、青森県青森市)、下北交通(山上常廣社長、青森県むつ市)はこのほど、下北周遊旅行を推進するため特別企画商品「まさかり海遊きっぷ」を売り出した。

 同きっぷは、津軽海峡フェリーの函館―大間航路とシィラインの佐井―青森航路の片道乗車券、下北交通バス(むつバスターミナル―佐井)3日間の乗り放題をセットにしたもの。下北半島の別名「まさかり半島」を商品名に採用した。

 有効期間は利用開始から3日間のため、大間や下風呂温泉郷、仏ヶ浦、恐山などを巡る旅ができる。

 利用期間は10月31日(日)まで。価格は大人が8400円(税込み)、子供が4350円(同)。

エアトリ子会社が運営、民泊運用型セカンドハウス(台東区)

2021年5月10日(月)配信

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 エアトリ子会社のエアトリステイ(澤畑勝章社長、東京都港区)は5月1日(土)から、台東区の民泊運用型セカンドハウス「YANAKA SOW」の運営を始めた。仕事と生活の両方の利用を想定した長期宿泊者や、2拠点居住の検討者などの利用を想定している。部屋数は13室、価格は1室1万6000円から。

 同施設は、ブランドデザイン事業を行うオレンジ・アンド・パートナーズ(小山薫堂社長、東京都港区)と、Airbnb(エアビーアンドビー)による共同プロデュース。所在する地域への“住むと泊まるの間”の体験ができる場づくりを目指した、両社の考えを結集させたもの。

 特徴は、長期でも利用しやすい第2の自宅のような空間デザインと、町案内専門スタッフによるガイドサービス。初めて訪れた人でも、自然に町に溶け込むような時間を過ごせるという。

 ホテルオーナーは、初のホテル事業を手掛ける積水ハウス不動産東京(島貫利一社長、東京都渋谷区)。設計・施工は、積水ハウス(仲井嘉浩社長兼CEO、大阪府大阪市)が担当した。また、同社が建設した物件は、「SOW -dig through culture hotel-」という、オレンジ社との共同ホテルブランド第1弾となる。

ワーケ経験者に調査 「隠れワーケ―ター」で潜在ニーズが浮き彫りに(山梨大学×クロス・マーケティング)

2021年5月10日(月) 配信

山梨大学とクロス・マーケティングはこのほど、ワーケーションに関する調査を行った。

 山梨大学生命環境学部地域社会システム学科の田中敦教授と西久保浩二教授の研究グループはこのほど、クロス・マーケティング(五十嵐幹社長、東京都新宿区)と共同でワーケーションに関する調査を行った。調査では、会社に導入されていない、または会社の制度を利用せず連休などと併せてワーケーションをした「隠れワーケ―ター」が4割程度いることが分かった。

 調査は3月23(火)~29日(月)に、全国在住の男女20~64歳の就業者7万6834人のうち、「直近1年間にワーケーションを実施した」と答えた1000人を対象に行われた。

 実施場所は「自宅や会社から離れた観光地(ホテル・旅館・キャンプ場など)」が49・0%と最も多く、なかでもビジネスホテルやリゾートホテル、シティホテルなどのホテル施設の利用が多かった。

 また、旅先での働き方は「仕事中心に過ごし、業務時間外であっても遊びや観光をしない派」と、「仕事中心だが、業務時間外では遊びや観光をする派」が同程度で、1日当たりの平均労働時間は5・4時間と、通常の勤務時間より少し短い傾向が見られた。

 旅先での仕事内容は、9割以上が「普段の仕事の一部」または「普段の仕事とまったく同じ仕事」と回答した。

 同行者の有無については、約半数が「1人旅」と回答し、同行者がいる場合は4人に1人が「配偶者や恋人との2人旅」という結果になった。

 ワーケーションを経験した半数以上が「今後ワーケーションを(再び)行いたい」と回答し、とくにワーケーションを経験した管理職以上の人の7割が実施意向を示し、6割が会社への導入を検討していることが分かった。同社はこの結果に対し「意外にも管理職の意向が高い」と見ている。

 また、リゾート地などで仕事をしながらこっそり休暇の環境を楽しむ「隠れワーケ―ター」が4割ほど存在することが分かった。

 これについて、田中教授は「企業側は働く場所の自由度を高め、社員が安心してワーケーションできる仕組みを検討する必要がある」と提唱し、観光庁が作成した企業向けパンフレットを参考に、ワーケーション制度の導入を勧めた。

 「ワーケーション中に積極的に遊びや地域での交流を楽しむ『デジタルノマド』型が多数存在していることは、今後の受入地域でのマーケティングに大きな示唆を与える」(田中教授)と期待を述べた。

 

交通総合文化展2021の作品を募集 6月1日~7月15日まで、日本交通文化協会

2021年5月10日(月) 配信

誰でも応募可能

 日本交通文化協会(滝久雄理事長、東京都千代田区)は2021年6月1日(火)から7月15日(木)まで、観光や鉄道、旅の写真と俳句を一般募集する。テーマは、写真部門が「日本の交通もしくは新しい観光地」、俳句部門は「日本の鉄道や日本の良さを表現したもの」。

 同協会は「鉄道の日」実行委員会とともに、2021年10月27日(水)から11月1日(月)までの6日間、駅を舞台に日本の芸術や文化、観光の振興を目的とした「交通総合文化展2021」を開く。今回募集する作品のなかから、入選したものは文化展で展示する。同文化展は1954年から65年以上続くもので、東京・上野のJR上野駅中央改札口外グランドコンコースで毎年開催している。

 応募要項の詳細は「交通総合文化展」のウェブサイトから。

 問い合わせ=日本交通文化協会「交通総合文化展2021」事務局 TEL:03-3504-2207(直通)、FAX:03-3504-2224。受付時間は平日:午前9時30分から午後5時30分(土日祝日除く)。

「街のデッサン(241)」小さな店でも観光文化の担い手 鎌倉の人気店の閉店が教えてくれた

2021年5月9日(日) 配信

店が鎌倉文化の舞台だった

 卜部ご夫妻とは、今から十数年前に鎌倉の極楽寺に思い切って「構想博物館」という大仰な名前で研究所と私塾を開設してから、ずっと懇意にしている。2地域居住の実験的意味があって、東京の渋谷と鎌倉のパラレルライフだ。ご夫妻の住まいがその構想博物館の目の前で、建物を建てた折にごあいさつに伺って以来、京都出身の豪放磊落なご主人の圭右氏とは気が合った。よくお茶を一緒にしながら、商売の話や、京都から鎌倉に移り住んだ経緯などを伺った。

 圭右氏は話し上手、父親が彼に輪を掛けて粋人で京都から東京に出て鎌倉に移り住んだ話は小説のよう。ご夫妻の人生にも何度も大波乱があり、結局は長谷の大仏様近くに洒落た「プチカフェ」を経営することになって20年余。私たち夫婦も時々はカフェにお邪魔して、お喋りを楽しんだ。

 この1月中旬、コロナ禍で東京を動けないでいる私たちに、奥さんの裕子さんから電話があった。「お久しぶりね」と電話に出た妻に、裕子さんが切り出した。「実はね、お店を閉めることになりました。長谷の商店街は閑古鳥。昨年の11月ごろから観光客がほとんど来なくなって、周りの店も閉店が増え、主人も85歳になったので、もうこの辺でと見切りを付けました」という。ご夫妻は3年ほど前に逗子のマンションに引っ越しをしていて、長谷の店が無くなると簡単に会えなくなる。妻と私は、急に寂しく悲しくなった。

 もうひとつショックだったのは、東京と鎌倉の行き来に必ず寄って食事をしていた江ノ電駅に隣接したカフェ・ロンディーノが、昨年11月に閉店したことだった。このカフェ食堂は、たぶん観光客にも地元の住民にも鎌倉で一番愛された店ではないかと私は確信している。まずメニューの品々がお安く美味。例えば、看板セットのハンバーグ定食は飲み物付きで800円、10年前は650円だった記憶がある。私は、ワンプレートのハンバーグにジンジャエールを頼んで、本当に満足していた。そして店員がよく訓練されていて、歯切れの良いサービスをしてくれた。開店したのは1967年、53年間の歴史だ。

 店主の沖喜八重さんの父親・安治さんが、美容院を間借りしてスタートさせた。コロナ禍で6週間の休業を余儀なくされたが、閉店の理由は客足ではなく、人手不足などで店の持つ文化の劣化を心配したからだという。卜部さんや、八重さんの店仕舞いは、こうやって長年培われた貴重な鎌倉観光文化資本が失われ、今後その再生が問われると嘆息をしたものだ。

コラムニスト紹介

望月 照彦 氏

エッセイスト 望月 照彦 氏

若き時代、童話創作とコピーライターで糊口を凌ぎ、ベンチャー企業を複数起業した。その数奇な経験を評価され、先達・中村秀一郎先生に多摩大学教授に推薦される。現在、鎌倉極楽寺に、人類の未来を俯瞰する『構想博物館』を創設し運営する。人間と社会を見据える旅を重ね『旅と構想』など複数著す。