「観光革命」地球規模の構造的変化(295) 京都とバルセロナ

2026年6月13日(土) 配信

 京都市は日本有数の歴史文化都市であるが一方で少子化と人口減少に悩まされる大都市でもある。さらに市民の生活空間が訪日観光で侵害され、子供を健やかに産み育てる環境が損なわれ、少子化と人口減少が加速している。とくに市内中心部(上京・中京・下京・東山の各区)は全国1887市区町村のなかでも突出した少子化地域で、京都の歴史文化の持続可能性を担保できなくなっている。その原因の一つがオーバーツーリズムだ。

 オーバーツーリズムは世界の歴史文化都市をことごとく呑み込み、歴史・文化の存続のみならず、市民生活も脅かしている。スペインのバルセロナ市は人口の10倍相当の1600万人の外国人旅行者が訪れる歴史文化都市であるが、19年以降の市中心部のホテル建設禁止に続き、28年以降の民泊全面禁止という思い切った対策を表明した。すべてを市場原理に任せるのではなく、「富の源泉」である観光を守るために宿泊施設規制を行い、市民生活と観光の両立をはかっている。

 都市計画学の大家として長年に亘って京都に尽くしてこられた広原盛明氏(元・京都府立大学学長)は今年5月発行の最新著「京都はオーバーツーリズムか:暮らしに寄り添う観光型まちづくりへ」(実生社)で重要な提言を行っておられる。

 京都市は人口の8倍近い1100万人の外国人旅行者が訪れる観光都市であるが、ホテル建設や民泊拡大に効果的対策を講じていない。広原氏は緊急対策が必要な京都中心市街地の宿泊施設や観光施設を総量規制して観光開発に歯止めをかけ、バランスのとれた「職住共存のまち」の再生こそが京都の「21世紀型都市再生モデル」であると提言している。

 実現方策として「都市再生特別措置法」の適用を提案している。

 具体的には中心市街地の一定部分を「都市再生緊急整備地域」に指定し、そのうえで「都市再生特別地区」を指定して土地利用や建築形態を独自に定めて宿泊施設や観光施設の総量規制を行う。その際に建築物に「住宅付置義務」を課して若者世代の居住を可能にするアフォーダブル住宅(適正家賃で居住可能な賃貸住宅)を確保して少子化を食い止め、地域社会の存続をはかるという提案である。

 観光は「富の源泉」であり、広い視野の元で京都再生を検討すべきだ。

石森秀三氏

北海道博物館長 石森 秀三 氏

1945年生まれ。北海道大学観光学高等研究センター特別招聘教授、北海道博物館長、北洋銀行地域産業支援部顧問。観光文明学、文化人類学専攻。政府の観光立国懇談会委員、アイヌ政策推進会議委員などを歴任。編著書に『観光の二〇世紀』『エコツーリズムを学ぶ人のために』『観光創造学へのチャレンジ』など。

 

 

「コンラッド神戸」2030年開業予定、ヒルトンが兵庫県初進出へ

2026年6月12日(金)配信

ホテルが入るビルの外観イメージ

 ヒルトン(クリストファJ.ナセッタ社長、米国バージニア州)は6月12日(金)、神戸市役所本庁舎2号館再整備事業におけるホテル事業として、オリックス不動産(北村達也社長、東京都港区)と「コンラッド神戸」の開業に向けた契約を締結したと発表した。開業は2030年を予定しており、ヒルトンにとって兵庫県初進出となる。ラグジュアリーブランド「コンラッド」としては国内5軒目の展開となる。

 同ホテルは、オリックス不動産を代表企業とし、阪急阪神不動産、関電不動産開発、大和ハウス工業、芙蓉総合リース、竹中工務店、安田不動産で構成するコンソーシアムが開発を進める。ヒルトンが運営を担い、同館跡地に建設される高層複合ビルの地上4階および20~28階に入居する。

 客室数は136室。スイートルームを含む客室のほか、オールデイダイニング、スペシャリティレストランなどを完備する。約500平方メートルのボールルームやミーティングスペースを整備し、国際会議やMICE需要の取り込みもはかる。

 ホテルが入るビルは地下鉄海岸線「三宮・花時計前駅」と地下で直結する計画。旧居留地や南京町など神戸を代表する観光エリアへのアクセスにも優れ、国内外の富裕層旅行者やビジネス客の需要獲得を目指す。

 オリックス不動産の北村社長は「神戸市と民間事業者7社が連携する本事業は、都市機能の高度化とにぎわい創出を両立させる意義あるプロジェクト。『コンラッド神戸』を通じて神戸の新たな交流拠点形成に貢献したい」とコメントした。

 ヒルトンは現在、日本で9ブランド・35軒のホテルを展開。コンラッドブランドは東京と大阪で営業しており、名古屋が26年7月、横浜が27年に開業予定となっている。

むさしの手配センターとむさしの会 「第2回旅創り人の会」7月14日(火)、東京・立川市で開催

2026年6月12日(金) 配信

 むさしの手配センター(小原寛信代表)と、むさしの手配センターむさしの会(会長=青木由記子・よろこびの宿しん喜若女将)は7月14日午後1時から、ホテルエミシア東京立川(東京都立川市)で、「第2回旅創り人の会」を開く。

 第1部の講演会には、トラベルマスターズ会長の鹿島純一氏が登壇。「なぜ旅行業で高収益は実現できたのか。30年で築いた“真似されない仕組み”の正体」をテーマに講演する。

 第2部は2時20分から、懇親交流会を開く。

「くまモンダンジョン」7月1日始動、XR活用で熊本県内の周遊促進

2026年6月12日(金)配信

 JTB(山北栄二郎社長、東京都港区)と熊本県(木村敬知事)、ABAL(尾小山良哉社長、東京都目黒区)は、XR(空間拡張)技術と同県の人気キャラクター「くまモン」を活用した体験型観光コンテンツ「くまモンダンジョン」を7月1日(水)、熊本市中心部の商業施設「SAKURA MACHI Kumamoto」内で開始する。

 JRグループと県などによる大型観光キャンペーン「熊本デスティネーションキャンペーン(DC)」の開幕に合わせた取り組みで、県内周遊の促進と観光消費額の拡大を目指す。

 くまモンダンジョンは、屋内施設でXRゴーグルを装着し、くもモンと一緒に地上5階・地下2階のダンジョンを冒険する体験型アトラクション。施設内を実際に歩きながら、熊本城など県内観光地をモチーフにした仮想空間を探索し、ミッションやボスとの対戦に挑戦する。ゲームの世界に入り込んだような没入感が特徴だ。

 体験中に獲得した「お宝(メダル)」は、体験後に枚数に応じて県内の観光施設や飲食店で利用できるクーポン、またはくまモングッズと交換できる。アトラクション体験を実際の観光や飲食利用へとつなげることで、「遊ぶ・見つける・持ち帰る・巡る」を一体化した観光モデルを構築する。

 体験料は大人2500円、中高生1900円、小学生1400円。所要時間約20分で、対象は7歳以上かつ身長110センチ以上。公式サイトでの事前予約のほか、現地受付にも対応する。

京都・祇園に茅乃舎が新店開業 日本の食文化の発信拠点に

2026年6月12日(金) 配信

伝統的な町家様式を踏襲した外観

 久原本家グループ(河邉哲司社主、福岡県・久山町)は6月11日(木)、久原本家が展開するブランド「茅乃舎」から、新たな旗艦店として「京都祇園 茅乃舎」(京都府京都市東山区祇園町南側570)をオープンした。日本の食文化を発信する拠点として、2階には「御料理 茅乃舎 京都分店」を設けた。

 開業にあたり、河渡邉社主は「さまざまな文化が融合してきたこの京都で多くのことを学ばせていただき、地元の食材を生かしながら、新たな茅乃舎の商品や日本の食文化の発信をしていく。将来、世界へこのだし文化が広がっていく拠点となれば幸い」とコメントした。

同店の限定商品

 店舗の1階はしば漬けや湯葉など、京都らしい素材を生かした限定商品や、日常の「一汁一菜」を彩る器や道具を販売する。2階は福岡の「御料理 茅乃舎」が全国初の分店を出店。ランチはだしにこだわったうどん、夜は名物「十穀鍋」を京風にアレンジした新メニュー「京 十穀鍋」を提供する。また、だしのワークショップも開催していく。

【国土交通省】人事異動(6月15日付)

2026年6月12日(金) 配信

 国土交通省は6月15日付の人事異動を発令した。

 大臣官房付・即日辞職〈北海道旅客鉄道〉(鉄道建設・運輸施設整備支援機構経営自立推進統括役)齊藤敬一郎

 出向 外務省国際民間航空機関日本政府代表部参事官(航空局航空ネットワーク部国際航空課航空交渉官)大島聡

全日本ホテル連盟、創立55周年事業を展開 清水会長「連盟を次世代に」

2026年6月12日(金)配信

会場のようす

 全日本ホテル連盟(ANHA、清水嗣能会長、正会員232軒)は6月11日(木)、ホテルメトロポリタンエドモント(東京都千代田区)で2026年度定時総会を開いた。今年度は55周年創立記念大会のほか、各委員会の事業運営マニュアルを作成し、55周年記念事業として「ANHA未来への遺産」という事業名で推進していく方針を示した。

清水嗣能会長

 今期10期目を迎えた清水会長は、在任期間に連盟組織体制の基本フレームづくりや組織名称の変更、連盟の理念であるMVVSの策定、コロナ禍における政府への対応などに取り組んできたと振り返った。この結果、現在では連盟の運営や支部活動が活発に行われていると明らかにした。

 26年度は55周年の節目の年にあたり、連盟の維持発展に向けて「マニュアルをまとめ、次の世代につないでいく。未来への遺産と題し、55周年記念事業として残していきたい」と力を込めた。

村田茂樹観光庁長官

 来賓の村田茂樹観光庁長官は「業務の効率化・省力化に対する支援や、外国人材の活用を含めた人材の採用活動の支援など、総合的な人手不足の対策も進めていきたいと考えている。また、高齢者や障害者、訪日外国人旅行者など、幅広い旅行者にとってストレスフリーな宿泊環境の整備が重要。宿泊施設のバリアフリー化についてもしっかりと支援していきたい」と話した。

 26年度事業計画では、創立記念日である11月15日(日)を目安に、例年同時期に開催するタウンミーティングを55周年創立記念大会とするか検討し実行するほか、各委員会の事業運営マニュアルを作成し、全体として総合運営マニュアルとしてまとめる。このほか、50周年では準会員を含めて会員数1000軒を目標に設定していたが、3月31日現在は1421軒。55周年では2000軒を目標に掲げる。

青年部の草野小百合部長

 各委員会・部会などの活動報告のうち、青年部の草野小百合(さくらPORT・HOTEL)部長は、10月27日(火)に神奈川県藤沢市で、若手経営者や後継者向けに戦略MG(マネジメントゲーム)で学ぶ1泊2日の宿泊研修会を行うと発表し、参加を呼び掛けた。

講演はデービッド・アトキンソン氏が行った

 総会後、小西美術工藝社社長のデービッド・アトキンソン氏による「観光立国実現のための、ホテル業における生産性向上のあり方について」と題した講演が行われた。労働者の高齢化や外国人材の増加によって就業者数が増え続ける一方で、生産年齢人口が減少の一途をたどり、日本人労働者はますます減少していくと指摘。ホテル業界として「付加価値を高め、どういう形態であるべきか考えないと将来はない」と述べたうえで、「低賃金の現在のビジネスモデルを、どうやって脱却していくか考えてほしい」と訴えた。

 懇親会には、元国土交通大臣で中道改革連合顧問の斉藤鉄夫議員、自由民主党の堀内詔子議員、小池百合子東京都知事などが登壇し、観光業界に尽力する連盟会員に向けて、それぞれエールの言葉を贈った。

【鈴廣かまぼこ】在籍職人が総勢57人に増加 鈴木智博社長も「水産練り製品製造技能士1級」を取得

2026年6月12日(金) 配信

「水産練り製品製造技能士1級」を取得した鈴木智博社長

 鈴廣かまぼこ(鈴木智博社長、神奈川県小田原市)は在籍するかまぼこ職人が新たに3人増え、総勢57人となった。内訳は1級技能士が23人、2級技能士が34人で、1級技能士の在籍数は全国最多という。

 あわせて鈴木智博社長も今年3月に実施された国家資格「水産練り製品製造技能士1級」を取得した。同技能士1級は、原料の状態や製造環境のわずかな変化を見極め、練り・成形・加熱までの各工程を高い精度で管理する、極めて高度な熟練技能が求められる。単なる作業習熟にとどまらず、安定した品質を再現しながら現場を牽引する判断力と応用力が必要とされる。

 同社は「創業以来受け継がれてきた職人の技を大切にし、経営者自らもものづくりの担い手として技能を磨き続けていく」とコメントしている。

基幹産業としてのツーリズムの成長を 東商が国と東京都へ要望まとめる

2026年6月12日(金) 配信

「基幹産業としてのツーリズムの成長に向けた要望」をとりまとめ

 東京商工会議所(小林健会頭)のトラベル&ツーリズム委員会(田川博己・清水新一郎委員長)はこのほど、「基幹産業としてのツーリズムの成長に向けた要望」をとりまとめた。官民が一致団結して取り組むべき施策について、国と東京都それぞれに要望していく。

 2025年は訪日外国人旅行者数・消費額ともに過去最高を更新する一方、一部地域への観光需要の集中や産業への理解不足、安定した産業基盤の構築、人手不足・人材育成強化など求められる課題は山積しているとする。

 こうした状況から、重点項目として①ゲートウェイ東京の機能強化による地方との共存共栄(⑴地方への送客・広域周遊を支える環境整備⑵交流人口の拡大に向けた戦略的な取り組みの促進⑶需要分散に向けた観光DXの推進)②外部環境の変化に対応できる「稼ぐ力」の強化(⑴中東情勢の影響を受けるツーリズム関連事業者への支援⑵欧米豪を中心とした市場の多様化と誘致プロモーションの強化⑶高付加価値コンテンツ・高付加価値旅行者向け環境整備)③住民・旅行者・事業者の相互理解による持続可能なツーリズムの実現(⑴ツーリズムへの理解促進⑵ルール整備・設備改善)――を求める。

 継続要望項目は①人手不足への対応と次世代を担う人材育成の強化②国際文化都市としての魅力向上と安全・安心への備え③観光財源の安定的な確保(国のみ)と税制の適正な運用の3点――。

静岡県旅行業協会、山梨県笛吹市への団体送客CP実施 他地域に拡大も視野

2026年6月12日(金) 配信

総会のようす

 静岡県旅行業協会(嶋津禎武会長、157会員)は6月10日(水)、熱海後楽園ホテル(静岡県熱海市)で2026年度通常総会を開いた。今年度は長野県と神奈川県の旅行業協会と合同で、富士山石和温泉郷がある山梨県笛吹市への団体送客キャンペーンを実施する。

 嶋津会長は「社会情勢や旅行者ニーズの変化への対応など、新たな課題も生じている。行政や観光関連団体、宿泊事業者などとの連携を強化し、会員にとって有意義な事業を進めていきたい」と語った。具体的には、「静旅協・協定会員連盟と協力し、笛吹市への団体送客CPを実施する。今後、こうした取り組みをほかの地域にも拡大していきたい」と団体旅行の需要拡大への想いを述べた。

嶋津禎武会長

 来賓の全国旅行業協会(ANTA)の吉村実副会長は「ANTAは各都道府県の事業を活性化してもらおうと、全国の支部へ運営費を交付した。今後も、会員が集まり共に発展できるような取り組みを進めていく」と話した。

吉村実副会長

 同日には静旅協・協定会員連盟(風間秀一会長、100会員)が26年度の総会を開いた。

 風間会長は「重油や人件費などのコストが増えるなか、利益率の高い団体客の増加に向けて、笛吹市への団体送客キャンペーンを実施する。1万5000人を目標にしている。ほかの地域に泊まり、笛吹市で昼食を食べるツアーも対象にしているため、連盟会員の皆様は自社の施設を組み合わせたプランを旅行会社に提案し、CPを活用してほしい」と呼び掛けた。

風間秀一会長

 総会後には合同懇親会が開かれ、会員らは交流を深めた。