【7月8-10日】東京・日本橋長崎館で、長崎の離島観光PRイベントを実施(長崎県)

ポスター画像

 長崎県は、航空会社のソラシドエア(本社:宮崎県宮崎市)とオリエンタルエアブリッジ(本社:長崎県大村市)との共催で7月8―10日の3日間、東京・日本橋の長崎県アンテナショップ「日本橋 長崎館」で、長崎の離島をPRするイベント「さあ行こう!壱岐・対馬・五島へ」を実施する。

 「しま」が最も人気となる観光シーズンの夏休みを前に、首都圏における認知度向上と両航空会社の利用促進につなげることを目的とした初の試みとなる。

 8・9日には、昨年4月に日本遺産に認定された「国境の島 壱岐・対馬・五島~古代からの架け橋~」の歴史的な魅力を紹介する講座を開講。9日には両航空会社の客室乗務員による仕事紹介、10日には子ども向けの制服試着会など、大人から子どもまで楽しめる多彩な内容で会場を盛り上げる。

【イベント概要】
■期 間 : 7月8日(金)~7月10日(日)の3日間
■会 場 : 長崎県アンテナショップ「日本橋 長崎館」
      (中央区日本橋2-1-3 アーバンネット日本橋二丁目ビル1階)
■内 容 :
 開催日:7月8日 13:30~15:00、7月9日 10:30~12:00
 ◎旅する長崎学講座(日本遺産編)
  講師:長崎学アドバイザー 本馬貞夫氏
  内容:日本遺産「国境の島 壱岐・対馬・五島~古代からの架け橋~」の歴史的な魅力を紹介。
  定員:25名(定員に達しているため参加申込みは締切済)

 開催日: 7月9日 13:00、16:00
 ◎客室乗務員による航空教室
  内容:航空会社のソラシドエアとオリエンタルエアブリッジの客室乗務員によるお仕事紹介。

 開催日: 7月10日 11:00~16:00
 ◎ソラシドエア制服試着会
  内容:子ども用のパイロットと客室乗務員の制服を着ることができる。
  サイズ:110、130、150cm用

そのほか、
 ◎アンケートに答えて五島へ行こう!
  期間中、アンケートの回答者の中から抽選で1名に、東京―長崎―五島の航空券をプレゼント!
 ◎ソラシドエア「あごゆずスープ」の試飲会(開催日:8・9日
  ソラシドエアの機内で提供する長崎県産あごと九州産ゆずを使ったスープを1日限定300杯も提供する。
 ◎オリジナルフォトフレームを使った記念撮影
 ◎パネルやモデルプレーンの展示

など、詳細は日本橋長崎館ホームページ(http://www.nagasakikan.jp/)から。

英国のEU離脱 ― 日本観光の“真の実力”が量れる

 英国が6月23日に行った国民投票の結果、EU離脱が決まった。1989年11月9日のベルリンの壁崩壊に匹敵するくらいの大きなインパクトがあった。「EU残留派がやや優勢」という事前の予想もあったが、フタを開けてみると、歴史的な決断となった。一方、スコットランドはEU残留を望む方が多数を占めており、今後、連合王国の分裂すら懸念される。

 実際、英国のEU離脱の決定は、単に英国と、独、仏など他のEU加盟国間の亀裂にとどまらず、ロシアや米国、日本、中国、中東、ASEAN、アフリカ、中南米まで世界中のパワーバランスや、枠組みに、やがて大きな影響を与えるはずだ。顕在化はしていなくても、国際社会は水面下で軋み合っている。一つの箍が外れ、世界はさらに不安定さが増す空気が漂う。

 英国のEU離脱が決まった瞬間から、安定通貨の円が買われ、一気に円高となった。テレビのニュースでは、「輸出産業に大きな打撃が出るのではないか」と、経団連の会長や、町工場の経営者などに挙って取材をかけていた。

 私が見たニュースのなかでは、観光業界への影響を大きく報じている番組はなかったが、英国のEU離脱の決定は、観光業界も大きな影響を与える。

 昨今の訪日外客数の飛躍的な増加は、円安要因が大きい。今後もインバウンドがこれまでのペースで拡大していくのなら、それは真に日本の観光の力がついてきている証左となる。

 地道な努力のうえで、観光客が少しずつ増えていくことは理想的であるが、いきなり観光客が増えていくのは、“ブーム”や“バブル”の可能性があり、警戒が必要だ。その意味で、全体的に嵩上げされた外客増加も、円高によって真の実力が量られる。

 しかし、今回の英国の国民投票は、おそろしさも感じた。国民投票は平等ではあるが、一時のムードによって大きな、目に見えない高揚のうねりが現れる。EU離脱の結果が出たあとに、自分たちが下した決定の大きさに気づき、もしかしたら残留以上に厳しい現実や未来が待っているのかもしれないと、後悔している人も多いと報道されている。もしも、今、再度同じ国民投票をすれば、まったく別の結果が出るかもしれない。そう考えると、安易に国民投票に訴えるのも難しい、と感じた。それに、国が二分する危険もはらんでいる。地域によって、あるいは富裕層と貧困層、高齢層と若年層など、あらゆるところに分断の危険性を内包する。

 今回、EU離脱派は高齢層に多く、残留派は若年層に多いという分析も出ている。

 以前、由布院温泉観光協会会長の桑野和泉氏が、まちの将来を考えるメンバーは、20代や30代など若い世代に任せるべきであるというような話をされていた。60代以上では、30年先、40年先のことを考えることが難しいからという理由だ。

 日本は65歳以上の割合が26・7%を占める。航海に例えるなら、まもなく下船する人たちである。しかし、航海は続く。新たな航海は、その時々の人たちによって決められる方が健全だ。7月の参議院選は選挙権が18歳まで下がる。この国の未来決定に、しがらみのない、鋭敏な10代の視線が加わる。まちづくりも、宿づくりも次世代を担う新しい視線が入っているだろうか?

(編集長・増田 剛)

No.435 「旅館女将や三重県の魅力」語る、鈴木知事×中女将×迫間女将

「旅館女将や三重県の魅力」語る
鈴木知事×中女将×迫間女将

 7月5日、三重県鳥羽市の鳥羽シーサイドホテルで「全国旅館おかみの集い―第27回全国女将サミット2016鳥羽」が開かれる。初の旅館開催となる今回のテーマは「今を活きる女将、心のふるさとに集合~日本の伝統文化は旅館(ここ)にあり~」。開催を前に、三重県の鈴木英敬知事、今大会運営委員長の中かほる女将(伊勢志摩旅荘 海の蝶)、鳥羽あこや会・会長の迫間優子女将(鳥羽ビューホテル花真珠)の鼎談が実現。地元開催にかける想いや、三重県の魅力などについて語り合った。

【司会=増田 剛編集長、構成=松本 彩】

 
 
 ――世界が注目した「伊勢志摩サミット」を終えた現在の心境と、受入地から見たサミットの印象について。

鈴木:まず無事故で終わったということは、成果としてとても大きいです。前回の洞爺湖サミットのときは、開催を反対する大規模なデモが発生しましたが、今回はそのようなこともゼロで、無事に終了することができました。会期中の天候が不安視されていましたが、奇跡的な好天に恵まれました。また、三重県の食をはじめ、伊勢神宮など、三重県の魅力を世界に発信することができたので、サミット全体として大成功に終わったと思います。

 一方で宿泊の関係や交通規制、賢島への入島規制など、非常に規制が多いなかでの開催となりましたが、さまざまな面で県民の皆様の協力があったからこそ、無事に閉幕することができたので、県民の皆様には感謝の気持ちでいっぱいです。

 三重県のPRという面では、今回のサミットではとくに〝食〟の部分についての情報発信ができたのではないかと思っています。サミット会期中、報道関係者の活動拠点となった国際メディアセンターでは、156種類の食材のうち、152種類もの三重県の食材が使われていました。また、夕食会で乾杯の際に使われたお酒は、伊賀の「半蔵純米大吟醸」というもので、半蔵を作っている蔵元には、翌日1年分の注文が入り、食の発信になりました。

 そして何と言っても、伊勢神宮です。平和への祈りを捧げてきた場所が、三重県にはあるということを、世界の皆様に知ってもらうことができたのは非常に大きかったです。あとは、「配偶者プログラム」において女将さんたちや、海女さんたちにご協力いただき、三重県には女性が活躍する場があるということもPRすることができたので、三重県の情報発信については事前・当日ともに一定の成果を得られたのではないかと思っています。…

 

※ 詳細は本紙1634号または7月8日以降日経テレコン21でお読みいただけます。

新法案、今年度中提出へ、民泊 最終報告書を作成

6月20日に開かれた13回検討会
6月20日に開かれた13回検討会

 厚生労働省と観光庁は6月20日、東京都内で13回目の「民泊サービス」のあり方に関する検討会を開き、昨年11月の第1回検討会から全13回にわたる同検討会での意見を最終報告書案としてまとめた。同報告書は今年3月に行われた「中間整理」や、6月2日に政府が閣議決定した「規制改革会議実施計画」などを踏まえ、これまで同検討会で出された意見をとりまとめ作成された。

 同報告書で示された「民泊の制度設計のあり方」では、制度の対象とする民泊の意義について、住宅を活用した宿泊サービスの提供と位置付け、住宅を1日単位で利用者に利用させるもので、「一定の要件」の範囲内で、有償かつ反復継続するものとの定義がなされた。同検討会において、何度も議論が交わされた一定の要件については、既存の旅館・ホテルとは異なる「住宅」として扱い得るような合理性のあるものを設定することが必要であるとし、「年間提供日数上限による制限」を設けることを基本とし、〝半年未満(180日以下)〟の範囲内で適切な日数を設定することと最終報告書に記載された。

 新たな制度設計では民泊を「家主居住型」と「家主不在型」の2つに分類し、ホテル・旅館を対象とした既存の旅館業法とは別の法制度として整備することが適当であるとされた。最終報告書に記載された新制度に関する項目では、住宅提供者には、利用者名簿の作成・備付け(外国人利用者の場合は、旅券の写しの保存等を含む)、最低限の衛生管理措置、簡易宿所営業並みの宿泊者一人当たりの面積基準(3・3平方メートル以上)の遵守、利用者に対する注意事項の説明、住宅の見やすい場所への標識掲示、苦情への対応などに加え、当該住宅において、管理規約違反などの不存在の確認などを求め、安全性を担保するために匿名性を排除することが重要であるとされた。

 仲介事業者に対する規制では、一定の要件に違反した民泊提供者を仲介サイトから削除することなどに加え、外国法人に対する取り締まりの実効性確保のため、法令違反行為を行った人の名称や違反行為の内容などを公表できるよう今後検討していくべきであると提言されている。

 民泊に関する新法案については今年度中の国会提出を目指しているが、法案が成立しても、施行までの間に時間がかかることから、構成員たちからは、「新しい制度ができるまでは簡易宿所の営業許可制度は必要」、「新しい制度ができても営業日数のことがあるので、永久的な制度として簡易宿所の営業許可制度は必要になる」などの意見がだされた。法案成立までの間どのようにして、ヤミ民泊を取り締まっていくのか、依然として民泊の課題は後を絶たない状態である。

2倍の400会員の目指す、西山会長が再任(日本観光施設協会)

西山健司会長があいさつ
西山健司会長があいさつ

 日本観光施設協会(西山健司会長、198会員)は6月22日、東京都内で2016年度総会を開き、任期満了にともなう役員改選では、西山会長の再任を決めた。また、会員がそれぞれ1軒の入会をお願いすることで、会員数を2倍の400軒を目指していくことを確認した。

 西山会長は「ドライブインは最盛期には1100軒ほどあったが、今は600―700軒まで減少している。厳しい時代ではあるが、国も地方創生に向け動いている。会員各社が協力してフォローの風をしっかりと受け止め、生かしていくべき」と強調。さらに、「我われは『昼の観光』を担う役割を果たしてきたが、全国の各エリアが横のつながりを強め、一致団結し、輪を広げることでさらに大きな役割を果たしていける」と語った。

 今年度は、引き続き会員の拡大運動に加え、「旅の駅」のブランド化への取り組みや、急増するインバウンドへの対策などに注力する。

 総会終了後には、旅行会社を招き、会員会社と情報交換や意見交換を行った。

5月の訪日189万人、早くも1千万人突破(JNTO)

1634_03

 日本政府観光局(JNTO、松山良一理事長)がこのほど発表した5月の訪日外客推計値によると、5月の訪日外客総数は前年同月比15・3%増の189万3600人となり、5月として過去最高を記録した。また、田村明比古観光庁長官は、6月13日に行った長官会見で、6月5日時点で早くも訪日者数が1千万人を突破したことを発表。田村長官は5月の訪日外客数について「全体としては堅調に増加しているが、アジア地域の情勢不安や熊本地震の影響もあり、伸び率としてはあまり大きくない」と言及した。

 市場別では、インドが単月として過去最高を記録。そのほか韓国、ロシアを除く17市場が5月として過去最高を記録した。

 5月の重点市場の動向をみると、韓国は同4・2%減の30万2100人。熊本地震の影響を受け、2014年6月以来の前年同月比伸び率がマイナスに転じた。九州への訪問者数の割合が高い韓国市場において、影響が顕著に表れる結果となった。

 中国は同31・0%増の50万7200人と5月として過去最高を記録。熊本地震を受けて、訪日意欲の減退が心配されたが、5月も底堅く推移しており、訪日市場への影響は軽微とみられる。

 台湾は同10・5%増の37万5500人で、5月として過去最高を記録。熊本地震を受けて九州への団体ツアーの予約が伸び悩んでいる旅行会社があるなかで、立山黒部アルペンルートの人気に合せた小松、富山線の臨時増便など、日本国内の複数の空港から当該ルートを訪れるツアー商品が造成された。香港は同16・1%増の14万人で、5月として過去最高を記録した。円高傾向に加え、昨年5月に比べ今年は連休日数が少なかったが、桜時期の混雑を避けた訪日需要や航空座席供給量の拡大、航空会社と共同のトラムラッピング広告などの訪日旅行プロモーションが需要の押し上げに貢献した。

 そのほか、東南アジア諸国は、タイが同4・8%増、シンガポールは同19・1%増、ベトナムは同33・1%増、インドは同20・1%増など。シンガポールは5月として過去最高を記録。一部航空会社による燃油サーチャージの撤廃や、昨年のリー・クアンユー元首相の逝去を受けた自粛ムードの反動による影響など、訪日検討を後押しする要因により、堅調に推移した。

 なお、出国日本人数は同1・0%減の125万人となった。

プリンセス・クルーズ見学

 大型豪華客船「プリンセス・クルーズ」の船内見学会に参加した。レストラン、バー、プール、劇場など充実した施設に目を見張ったが、なかでも驚いたのは日本式の大浴場があったこと。展望風呂やサウナ、打たせ湯を備え、モダンな雰囲気の脱衣場も含め、さながら高級旅館のようだった。同船が日本発着クルーズに投入された04年の大規模改装で誕生したという。

 来年は日本発着クルーズとして初めて、ベトナム・香港・台湾など東南アジアを周遊するコースを設定したほか、6日間のショートクルーズなどもある。代金は最安1人9万7千円からと思いのほかリーズナブル。

 なんとなく高い!というイメージがあったクルーズ船だが、今回の取材でより身近に感じることができた。

【土橋 孝秀】

【WIT(Web in Travel)国際会議 OTAのトップリーダーが熱く議論】投資、買収、提携、撤退 ―今後の展望を問う

(左から)西田裕志氏、宮本賢一郎氏
(左から)西田裕志氏、宮本賢一郎氏

「変わりゆく日本市場」テーマに
 世界各国からオンライン旅行会社(OTA)などの代表らが集まる「WIT(Web in Travel)JAPAN& NORTH ASIA 2016」国際会議が6月3日に、ヒルトン東京お台場(東京都港区)で開かれ、国内外のOTAのトップリーダーらが参加した。投資、買収、提携、撤退――。それぞれ自分たちを中心に駆け抜けてきたOTA企業が、現在、そのあり方を模索している。登壇者は熱い議論を交わしながら、これからの展望を語った。
【平綿 裕一】

 今やITテクノロジーと旅行業は切り離せない関係となっている。同会議は旅行業界や市場の流行に関して、北東アジアをはじめとするアジア市場を中心に、OTAや、航空業、ホテル・旅館業などの代表らを迎えて行われた。

 パネルディスカッション「変わりゆく日本マーケット―主要OTAの動向」では、楽天トラベル事業部副事業長兼編成・マーケティング部部長の高野芳行氏、ヤフーショッピングカンパニー予約事業本部トラベルサービスマネージャーの西田裕志氏、リクルートライフスタイル執行役員旅行領域担当の宮本賢一郎氏、一休社長の榊淳氏、i.JTB執行役員兼販売本部副本部長の山口健一氏が登壇した。司会は同会議の実行委員長を務める、ベンチャーリパブリック社長の柴田啓氏。登壇者らに踏み込んだ質問を投げかけた。

高野芳行氏、榊淳氏、山口健一氏
高野芳行氏、榊淳氏、山口健一氏

 リクルートの宮本氏は、「日本のモバイルのシェアが3年後にどうなっているか」との質問に対し、他の登壇者は50―70%になると予想するなか、40%と回答。理由を問われると、「モバイルの比率が高くなっていく流れは変わらないと思う。しかし、日本の国内市場の人口構成比は他のAPAC(アジア太平洋地域)と異なっていて、国内市場は50歳以上のシニア層が半数以上という事実もある。なので、進展が遅いのではないかと考えている」と推論を展開した。

司会の柴田啓氏
司会の柴田啓氏

 また、司会の柴田氏は、「今回、ヤフーだけのセッションを作ろうとした。なぜなら過去20カ月の間に、ここにいる一休を含め、かなり旅行分野に投資をされた」と前置きし、ヤフーの西田氏にいったいどれほど投資したのか聞いたところ、「約1千億円で、これほどの金額を投資したのは他分野を含めて、旅行分野がおそらく初めて」と答え、旅行分野への野心を顕わにした。続けて柴田氏は、「その投資がどれほど利益をもたらし、毎年どれほど回収できるのか」と踏み込んだ質問をすると、西田氏は「短期的には答えづらい」と濁しつつ、「ヤフーは旅行分野で多くのサービスがあり、さまざまなソリューションがある。買収や提携をしたところは、ヤフーが基本的に持ってなかったコンテンツを保持している会社。そこを組み合わせれば、可能性は無限に広がっていく」と事業拡大に自信をのぞかせた。

 このあと、ディスカッションは海外事業の話題へ移り、司会の柴田氏は、リクルートの宮本氏、楽天の高野氏らのそれぞれの海外事業について焦点を置いた。

 柴田氏は、リクルートの海外事業について、「インドネシア、フィリピンなどで数年OTAの事業を行っていた。しかし、この1年程でほとんどすべての会社を子会社にし、構造を変えた」と説明し、そこで何を学んだのか宮本氏に問うと、「ローカライズの重要性。結局、地域各国ごとに商習慣の違いがある。一見同じようなWebマーケティングのルールに当てはめても、それぞれの現地スタッフが、現地に合ったかたちで対応しないといけない」と答え、自社の海外事業に関して冷静な分析をした。

 柴田氏は、楽天が今年に入りシンガポールやマレーシア、インドネシアなどのeコマース関係のオペレーションすべて閉鎖したことに触れ、その理由を高野氏に質問。これに対し、「選択と集中だ」とし、「楽天は『Vision2020』を掲げて3つの柱を立てた。これは、ストロングビジネス、スマートビジネス、スピードビジネスで、この3つの戦略的分野に投資していく。売上高は1兆7千億円、営業利益は3千億円を目指す」と述べた。ひとまず非選択としたエリアから離れ、3つの分野に集中していく構えだ。

 しかし、高野氏は、「グローバルという意味では台湾などが『ストロングビジネス』に位置する。引き続き楽天カード台湾や楽天市場台湾など、連携し、コラボレーションして日本と同じような下地を生み出していく」と話し今後も基本的に海外事業に力を入れて活動していくことを強調した。

 ディスカッションの終盤では、それまでとは違った向きの質問もあった。

 一休の榊氏は、もし明日仕事を変えられて、海外OTAで働けるとしたらどこの企業にいきたいかという質問に対して、「トリップアドバイザー」と回答し、「個人的な見解だが、バリューチェーンが広がってきていると感じている。川上のサーチのところから、予約、そして旅後の口コミの共有など、バリューチェーンをすべて押さえている。これは非常に優位なポジションだと思っている」と理由を語った。

 i.JTBの山口氏は、もし観光大臣になり100億円の予算を組まれたら、なにに使うかという質問に対し、「交通費を安くし移動費を抑えられることができれば、いろいろなところに交流ができるのではないか、移動がとにかく簡単にできれば、もっと活性化していくはず」と話した。

 ディスカッション全体を通して、柴田氏を中心にさまざまな質問や議論が展開された。今後は海外OTAが、ますます日本市場に参入してくることは避けられず、これについて脅威に感じるかとの質問に、登壇者ら全員が少なからず脅威に感じていると述べ、 近年国内OTAのトップリーダーらが慌ただしく動いている理由も垣間見ることができた。

バス事業の原点を、安心と安全を確保(日本バス協会)

上杉雅彦会長
上杉雅彦会長

 日本バス協会(上杉雅彦会長、2374会員)は6月16日、東京都内で2016年度の通常総会を開いた。上杉会長は冒頭で、「1月15日、軽井沢で重大事故が発生し、若く尊い命が多く失われた。心から哀悼の意を表したい」と述べ、「今後はバス事業の原点、いうまでもなく安心と安全の確保が大前提となる。これが当然できたうえで、さまざまな事業展開がある。このことを今日この総会の席で再確認したい」と会員に訴えかけた。

 今年度は軽井沢スキーバス事故を受けて、格段の事故防止対策をする必要があるとし、「事故防止対策に最大限に取り組む」などの重点取組事項を設定。再発防止に同協会全体で取り組んでいく。このほかに「貸切バス事業者安全性評価認定制度」の推進があり、昨年度に比べ申請事業者が多くなったが、今後もさらなる拡大を進める。加えて旅行業界や一般の利用者に対して、認定事業者の証明である「SAFETY BUS」のマークやステッカーの周知をはかる。

 また、観光庁の16年度予算に、訪日外国人旅行者受入環境整備緊急対策として、新規に80億円が計上されたと報告。そのなかに2次交通対策として、ICカードの導入等に関するインバウンド対応の支援などが含まれており、これを活用して、観光立国への対応を進めていくとした。

「日本遺産」の価値探る、7月9日、東洋大で(余暇ツーリズム学会)

 余暇ツーリズム学会観光地域ストーリー研究部会(丁野朗会長)は7月9日、東洋大学白山キャンパス(東京都文京区)で第2回研究会を開催する。

 第1部では、文化庁文化財部記念物課前課長の加藤弘樹氏による基調講演「『日本遺産』におけるストーリーの価値と狙い」が行われる。

 第2部では、ストーリーづくりを実践する現場から、具体的な成果や課題を検証するパネルディスカッション・公開ブレーンストーミング「観光まちづくりに求められる地域ストーリーとは?」が行われる。

 パネリストには加藤弘樹氏と栗原博氏(日本商工会議所地域振興部長)、矢ヶ崎紀子氏(東洋大学国際地域学部准教授)、松田優一氏(横須賀市経済部担当部長)、森本昌憲氏(藤田観光元会長・本部会副会長)、渡邊正範氏(十日町市産業観光部長)、ファシリテーターには丁野朗氏が登壇する予定。また全体講評は、東洋大学名誉教授・本部会副会長の井上博文氏が行う。

 会場は東洋大学白山キャンパス1号館1404教室。時間は、午後1時30分から4時30分まで。また午後5時30分から7時30分まで懇親会も開かれる。参加費は研究部会2千円(学生1千円)、懇親会が4千円程度(実費)。定員は研究部会100人、懇親会50人でともに先着順。申し込みは

http://kokucheese.com/event/index/403347/まで。