〈旬刊旅行新聞4月21日号コラム〉フラワーツーリズム 1年を通じ旅行動向の主流を形成

2018年4月20日(金)配信 

四季を通じて花を求める旅は続く

 先日、長野県伊那市の高遠城址公園の桜を見に行った。日本屈指の桜の名所として知られるが、なかなか訪れる機会がなかったが、ようやく長年の念願が叶った。

 日本列島は南北に長いので、3月下旬から5月上旬まで桜前線の北上に沿って旅をすれば、儚い桜の満開を再び愛でる機会が残されている。

 東京ではすでに散ってしまった時期に、仕事で東北を訪れた折、予期せず満開の桜と再会し、心動かされたことも思い出す。東北の桜は美しい。厳しい冬を過ごした人々の、長い待ちわびた春への強い想いが薄紅色の桜に投影されるからだろうか。近い将来、弘前城(青森県)の満開の桜を見てみたいという気持ちが強まってきている。高遠の桜を見たあと、南信州・阿智村の昼神温泉を訪れた。こちらも阿智川沿いに桜が満開であった。朝市広場を中心とした温泉街や桜並木には多くの観光客でにぎわっていた。これからの時期は、南信州に花桃が咲き誇り、全国から多くの人が訪れるだろう。

 花の名所は、全国各地に存在する。例えば、早春には静岡県・伊豆半島は河津桜を目当てに大型観光バスが列をなして向かう。菜の花とともに、伊豆の春の風物詩である。4―5月には埼玉県の秩父での芝桜も人気だ。富山県砺波市のチューリップフェアは国内最大級の花の祭典として有名である。福岡県北九州市の河内藤園の藤棚も根強い人気を持つ。6月の梅雨景色には首都圏近郊の箱根や、鎌倉では紫陽花が美しく彩り、観光客が押し寄せる。夏を迎えるころ、北海道では富良野のラベンダー畑を訪れるツアーが多数設定される。

 真夏は黄色いひまわり畑が壮観である。神奈川県座間市もひまわりが咲き乱れる。秋には秋の風情を求めて、箱根仙石原に広がるススキを、あるいは、日光のいろは坂など紅葉の名所を目指して、人々は大移動する。1年を通じて、フラワーツーリズムが旅行動向のメインストリームを形成している。花は、どうしてこんなに人々の心を魅了するのだろうか。きっとそれぞれの季節を最も全身全霊を込めて体現しているからかもしれない。

 大切な客人が訪れるとき、玄関先に花を飾る。客は花によって歓迎されている気持ちになる。レストランでも、旅館やホテル、個人の家でもそうである。希少な高級花であっても、人知れず野に咲く花を摘んで来て飾られていても、客をもてなす人の心が客に伝わってくることには変わりない。

 観光地の入り口に花が植えられていると、旅人は無意識のうちに親しみを感じるものだ。高遠は町に入った途端に、たくさんの桜が目に入って来た。千葉県房総半島の南端のまち・館山市もそうだ。道路脇に、町中に花が揺れている。沖縄を訪れると必ず心を奪われる風景がある。それは、青い空の下に咲く赤いハイビスカスの花だ。沖縄を離れた後も、赤いハイビスカスが旅人である自分を取り巻く現実を、夢の世界のように鮮やかにしてくれていた印象をいつまでも残す。流れる季節を麗しく体現する花を探しに、各地へ旅に出ようと思う。

(編集長・増田 剛)

観光白書(案)を議論 公表は6月上旬を見通す

2018年4月20日(金) 配信 

会の冒頭、田村明比古長官(左手)があいさつ

 

 観光庁は4月20日(金)に、2018年度版の観光白書(案)などを議論する交通政策審議会観光分科会(第34回)を開いた。観光白書は「17年度観光の動向」「テーマ章」「17年度に講じた施策」「18年度に講じようとする施策」の4部で構成。今回はテーマ章内で、観光と経済に関する話題を取り上げる。公表は6月上旬を予定する。

 田村明比古観光庁長官は会の冒頭、「観光が経済に与えるさまざまな影響を幅広く分析している。これまでなかなか目に見えにくかったことも少しずつ分かってきた」と話した。このほか白書には、住宅宿泊事業法(民法新法)や国際観光旅客税(出国税)などについても盛り込む。

 竹内健蔵分科会長は「観光白書は我が国の観光がさらなる高み目指すために作成する重要なものだ」と委員らに呼び掛けた。

 委員は次の各氏。

【委員】秋池玲子(ボストンコンサルティンググループシニア・パートナー&マネージングディレクター)▽木場弘子(キャスター、千葉大学客員教授)▽篠原文也(政治解説者、ジャーナリスト)▽竹内健蔵(東京女子大学現代教養学部国際社会学科教授)▽伊達美和子(森トラスト・ホテルズ&リゾーツ社長)▽田中里沙(事業構想大学院大学学長、宣伝会議取締役)▽野田由美子(ヴェオリア・ジャパン社長)▽屋井鉄雄(東京工業大学 副学長 環境・社会理工学院教授)▽矢ヶ崎紀子(東洋大学国際観光学部国際観光学科教授)

【臨時委員】秋田正紀(経済同友会 地域産業のイノベーション委員会委員長、松屋社長)▽大橋弘(東京大学大学院経済学研究科教授)▽奥直子(日本政策投資銀行企業金融第6部課長)▽恩藏直人(早稲田大学 理事・商学学術院教授)▽冨田哲郎(日本経済団体連合会審議員会副議長、観光委員長)▽マリクリスティーヌ(異文化コミュニケーター)▽山内弘隆(一橋大学大学院商学研究科教授)

ビッグデータから戦略練る 「テクノロジー通して革命を」 【エクスペディアHD 販売促進部長・森 美月氏に聞く】

2018年4月20日(金) 配信 

森美月販売促進部部長

世界の旅行者の3分の1が旅先を決める検討段階で、OTA(オンライン旅行会社)を利用している――。エクスペディアホールディングスはこのほど、OTAや旅行者に関する各種調査をとりまとめた。OTAは旅行者に浸透し、役割も変化している。一方、膨大な利用者のビッグデータを分析して、宿泊施設へ貴重な情報を提供。宿泊施設はこれらから戦略を練ることができる。今回、調査結果や取り組みについて、販売促進部の森美月部長に聞いた。【平綿 裕一】

 OTAはその規模を増している。エクスペディアグループをみると、17年の予約総額は16年比で13%増の10兆円となった。総予約室数は同16%増えた。現在、全世界で59万施設の取り扱いがあり、17年は同69%も伸びた。

 もともと同社は米国・マイクロソフト社の一部門として始まった。これまで米国に特化していたが、近年は欧州やアジア市場の開拓も進む。「日本は15年と比べ、17年は宿泊施設と営業部隊の数は3倍に増やしている」(森部長)と日本市場に力を入れる。

 このほか、技術開発への投資を成長戦略の柱に据える。17年は16年よりも200億円多い、1500億円を投資した。宿泊施設・利用者の両面のプラットフォームの改善を日々進めている。

 旅行者側の利用も増え、毎月のアクセス数は17年で6億7500万回(同12・5%増)にまで伸びている。

 「我われが目指しているものは、テクノロジーを通して旅行業界に革命を起こすこと。宿泊施設と旅行者のニーズを取り込みながら、進化を続けていきたい」。

OTAの役割の変化3分の1が検討時に

 一方、OTAが普及していくなかで、役割が変わってきた。世界の旅行者の3分の1が、検討段階でOTAを活用していることが同社の調べで分かった。

 「4、5年前には宿泊施設を予約するだけだった。今は、旅先を選ぶツールとしての役割が大きくなっている。旅行者は膨大な情報源から、上手く検索して自分に合うコンテンツを探している」という。

 国内市場も変化の兆しがみられる。「日本も海外OTAを国内で利用する人が多くなってきた。年々、OTA自体の概念が変わってきたと感じている」と振り返る。

OTAの役割も変化

写真でCVRが11%増

 旅行者は計画段階で、施設の掲載写真に対して関心を示す。「施設でどのように過ごせるか」をイメージするためだ。最低20枚以上であれば、転換率(CVR)が上がるといったデータもある。同社の調査によれば、写真の閲覧枚数はモバイルが平均35枚で、タブレットでは倍以上の平均75枚だった。

 米国旅行者の35%は、45日間で旅行サイトに平均140回アクセスして予約に至るという。予約まで毎日3回以上 見ている計算になる。

 写真タイプ別では、バスルームやレストラン、部屋などの重要度が高い。レストランや食事処は、口コミの10件に1件の割合で書かれている。「旅行者が期待しているポイントの1つ」だと分析する。  

 他方、1つの部屋タイプに複数の写真を掲載すれば、転換率は約11%上昇するといったデータもある。「さまざまなアングルやアメニティのほか、細かな部分も載せたほうがいい」とする。

口コミが予約動向を左右6―12件をチェック

 計画段階においては、口コミが予約動向を左右することが増えている。「旅行者からすると、掲載写真や料金体系などと同じぐらい必要なコンテンツになった」。

 調査では約半数の旅行者が、口コミの無い宿泊施設には予約をしないとの回答があった。旅行者は、平均して6~12 件ほどの口コミをみる。およそ画面1ページに表示されているものは、一通り目を通しているのだ。

 口コミへの対応も欠かせない。調査では6割以上の旅行者が、口コミに返信する宿泊施設を「予約したいと思う」と応えている。

 否定的な口コミに対しての返信も手は抜けない。評価の低い口コミに適切な返信をしていると、好印象になると回答した旅行者は約9割(87%)にまで上る。

満足度向上でリピート率40%向上

 同社によれば、満足度の高い旅行者は施設へのリピート率が40%向上する。宿泊前から滞在中にかけて、満足度が高い施設は、消費額が約1万円以上変わってくるという。「通常の平均消費額は457㌦だったが、満足度が高い旅行者は588㌦も消費している」。

 満足度向上には、利用者との交流がカギとなる。同社では旅マエから旅アトまで一貫したサービスで支援する。

 旅マエでは「EPC Conversations」を提供。すでに施設と利用者で600万件の会話、980万件ものメッセージのやり取りがある。

 旅ナカでは「EPC Real‐time Feedback」を用意。チェックインが良いか悪いかなどの単純なアンケートを送り、利用者が感じた問題を、その場で改善できるようにしている。

 その後、口コミの投稿依頼も行う。「旅マエから旅ナカ、旅アトまでサポートしている。すべての段階が大事だと認識してほしい」と呼び掛けた。

日本特有の課題も 約2割の旅行者失う

 2017年の訪日外国人旅行者は2869万人を超え、今年に入ってからも好調だ。20年の東京五輪を目前に、数はさらに増えることが見込まれている。ただ、日本特有の課題もある。「在庫出しの期間は、世界基準で1年以上前となっているが、日本は未だ6カ月前といった商慣習が残っている」と指摘。

 世界には半年前から予約する旅行者が、約13―20%いる。在庫出しをしていないことで、世界の旅行者全体の約2割を失っていることになる。この分が他のアジア圏へ流れる可能性もある。インバウンド増加の流れにも水を差しかねない。

 「今は世界各国がライバルだということ。この意識を浸透させることが、我われの課題の1つ」と語った。

森  美月  販売促進部  部長

森美月販売促進部部長

2013年  エクスペディアホールディングス入社。15年までアソシエイトマーケットマネージャーを務めた後、同年10月に東京地区のマーケットマネージャーに就任。16年10月からシニアマーケットマネージャーとして名古屋地区を中心に営業戦略策定や新規顧客獲得などを担う。ザ・ホリー・クロス大学卒業。英語が堪能。

岡山・牛窓オリーブ園に絶景カフェ開業!

2018年4月20日(金) 配信

オリーブ栽培とオリーブの木、食品、化粧品の製造販売を手掛ける日本オリーブ(岡山県瀬戸内市)は、同社が運営する牛窓オリーブ園に2018年4月17日(火)、コーヒー専門カフェ「山の上のロースタリ」を開業した。専門店のこだわりの1杯とともに、「日本のエーゲ海」ともいわれる牛窓の美しい景色が楽しめる。

 店内はあえて照明をつけず、季節や時間、天候や潮の満ち引きが織り成す瀬戸内海の自然の表情そのままを体感できるようにしたという。瀬戸内市をはじめ、岡山市、備前市で4店のカフェを経営する珈琲専門店「キノシタショウテン」が出店した。

 同店のオーナー・木下尚之さんは、地元の人に美味しいコーヒーをご自宅で飲んでもらいたいと、自家焙煎の工房からスタートした。現在は岡山市内はじめ各所から出店依頼が続くなか「オリーブ園に是非出店したい」と声を掛けたことから、絶景カフェの開店が実現した。

 コーヒー豆の種類・産地をオーナー自ら厳選するのみならず、店内で焙煎し、お客はドリップだけでなくフレンチプレス、エアロプレスやエスプレッソなど、好みで淹れ方をカスタマイズでき、コーヒー本来の味を味わえるように工夫している。

「山の上のロースタリ」 概要

店内は照明をつけず、自然の表情を楽しめる設計だ。

住所  :〒701-4302  岡山県瀬戸内市牛窓町牛窓412−1 牛窓オリーブ園内

TEL  :0869-34-2370(牛窓オリーブ園のショップにつながる)

営業時間  :午前10:00~午後5:00

席数  :24席

「キノシタショウテン」とは

 自家焙煎のコーヒが人気のカフェ。コンセプトは「ふつうのことをふつうに、あたりまえのことをあたりまえに」。

 2010年6月に牛窓の玄関口である瀬戸内市邑久町に焙煎工房にカフェを併設する形で1号店をオープン以来、岡山市や備前市で計4店舗を展開している。

 店内では買い付けたコーヒー豆を焙煎し、販売を行うほかエスプレッソマシンや、コーヒー豆を挽くミル、コーヒーを抽出するドリッパー等、コーヒーに関わる機器の販売も手掛けている。

オーナー木下尚之さん プロフィール

 高校卒業後、イギリス留学を経てコーヒー生豆事業を展開する商社に入社。カフェ店長として働く。2010年、地元岡山でコーヒー専門店「キノシタショウテン」をオープン。その後、「THE COFFEE BAR」「THE COFFEE HOUSE」もオープンさせ、岡山のコーヒー文化を豊かにしている。「オカヤマアワード2016 グルメ部門賞受賞」。

日本オリーブ 

 牛窓オリーブ園で収穫されたオリーブオイルやオリーブ果汁に代表される化粧品原料を使用した化粧品、食品を販売する。1949年の創業以来、自社スペイン農園の取得、オリーブマノンブランド等自然派化粧品の展開を、日本だけでなく中国やシンガポール、マレーシアなどにもおこなっている。

追い風吹く年に 18年下期の九州は話題が豊富 

2018年4月20日(金) 配信 

九州観光推進機構の渡邉太志事業本部長

九州観光推進機構と九州旅客鉄道(JR九州)、九州7 県の観光課・観光連盟は4月19日(木)、東京都内で2018年下期観光素材、商品説明会を行った。7県は「注目スポット」と「インスタ映え」をキーワードに、寺社仏閣の紅葉やイベントなどをPRした。

 同機構の渡邉太志事業本部長は冒頭のあいさつで、六郷満山開山1300年(大分県)や明治維新150年(鹿児島県・佐賀県)などを挙げ、「話題が多く、追い風が吹く年だ」と強調した。

 「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」(長崎県・熊本県)と「奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島」(鹿児島県)が今年世界遺産に登録されると、九州全域に5つの世界遺産を保持することになる。渡邉氏は世界遺産登録に期待を寄せ、「九州は本物志向のお客様に向いている観光地。一緒に九州を盛り上げてほしい」と呼び掛けた。

旅行会社、メディア関係者約280人が出席した

7月「ゆふいんの森」通常ルートで営業再開

 JR九州は、7月14日に久大本線全線の運転再開を行う。これにより、D&S列車「ゆふいんの森」の通常ルートでの営業再開を発表した。同列車は17年7月に発生した九州北部豪雨の影響による光岡駅―日田駅間の運転見合わせに伴い、博多から小倉を経由して湯布院に至るルートで営業。所要時間が倍の4時間、便数も2本となっていた。全線再開を記念したイベントを行うとし、同列車を使った旅行商品の造成を呼び掛けた。

訪日外国人旅行者 都市部がなおも人気

2018年4月20日(金) 配信 

都市部で大きくインバウンド需要が伸びている(画像はイメージ)

 

エクスペディアグループはこのほど、同サイトを通して2017年の訪日外国人旅行者の需要分析を行った。東京都と大阪府、京都府は業界平均より3倍近く需要があり、都市部がなおも人気を集めていることが分かった。18年に入っても訪日外国人旅行者は好調。1~3月は762万人が訪れ、15年前の年間値521万人を大きく超えた。地方部への誘客は進むものの、都市部の存在感は依然高まりそうだ。

 観光庁によると、3地域のインバウンド数は、17年全体の約半数(46・6%)を占めている。宿泊施設の稼働率は東京が80・1%、大阪が83・1%、京都が67・7%。全国平均の60・8%を大きく上回った。とくにホテルの稼働率は高く、3地域すべてで80%を超える。

 一方、同社のサイトでは3地域の需要が前年比35%超の増加を示した。観光庁の結果の11%と比べ、同社グループの提携施設では3倍以上の需要があった。

 国・地域別でみると、トップ3は米国、香港、韓国で同40%増と好調。平均客室単価で最も高いのは米国で、韓国は伸び率が最も大きく同5%ほど増えた。

 同社代表ロッシングパートナーサービス日本・ニクロネシア地区統括本部長のマイケル・ダイクス氏は「我われの航空券とホテルのパッケージを利用する訪日外国人需要は急増している。東京、大阪、京都の提携施設では95%以上だった。パッケージ予約は予約期間と滞在期間が長くなる傾向がある。さらに航空券は返金負荷のタイプが多くキャンセル率も下がってくる」と分析した。

 このほか、九州全域で好調さが目立った。とくに大分市では平均客施設単価が同40%増と大幅に伸びた。宮崎、熊本の両市も同20%増だった。同社は「九州のインバウンド観光が16年の熊本地震から急速な回復をみせ、順調に成長している」と述べた。

インバウンド事業者必見! KLOOKが日本進出を加速、アジアに強いオプショナルツアー販売サイト

2018年4月20日(金) 配信

オプショナルツアーの販売プラットフォームKLOOKが、日本進出を加速させている(KLOOKアプリのイメージ、現時点で569件の商品を販売している。編集部調べ)

入館・入園、乗車券からオプショナルツアーまで、さまざまな旅行商品をインバウンド(訪日外国人旅行者)向けに販売できるウェブサービス「KLOOK」に注目が集まっている。同社によると、国内の取り扱い商品数は2千超。テーマパークや鉄道会社など、さまざまな事業者が利用している。

 昨年には日本政府観光局(JNTO)のプロモーション事業に協力、誘客につながるキャンペーンを共同で行った。4月19日(木)には、「箱根フリーパス」と「箱根鎌倉パス」(小田急電鉄)の取り扱いを始めたことを発表した。

 観光関連事業者が商品を登録する際には、事前に下記サイトよりパートナー登録を行う必要がある。登録後、専用アプリで商品を登録できる仕組みとなっている。この度、商品登録用アプリに日本語版が加わることとなった。同社によると、国内では2千を超す商品を有し、100万人以上の送客実績(過去3年間)を持つ。販路拡大を狙う国内事業者はぜひ一度検討してみてほしい。

 アプリでは販売商品をQRコード付きのeチケットに変換でき、ユーザーはチケットレスでの入園が可能となる。海外現地で予約を済ませ、入国時にチケットと引き換える例もある。例えば東京メトロの1日乗車券は、成田空港到着後に専用パスと引き換えられる仕組みとなっている。ユーザーはバウチャーを提示するだけで良い(プリントアウト・スマホ画面どちらでも可)。確認してみると、利便性を高く評価するレビューが多かった。

 ユニークなのは、Wi-Fiルーターの貸出といった、旅先での便利グッズも取り扱っている点だ。旅行は裾野が広いだけに、インバウンドビジネスを展開するさまざまな事業者にメリットをもたらすことのできるプラットフォームとなっている。

 なお、一般ユーザー向けサイトは未だ日本語未対応だが、利用することは可能。香港ディズニーランドの入園券を10%引きで購入できるとあって、ネットを中心に口コミが広まっている。

 KLOOKは香港発のベンチャー企業。オプショナルツアーを中心に、4万件以上の商品を取りそろえるプラットフォームを持ち、パートナー企業は5千社を超す。世界に15のオフィスと500人超のスタッフを抱え、8カ国語、30以上の通貨に対応する。

業界来場・バイヤー登録を開始、ツーリズムEXPO2018商談会

商談会のようす

2018年4月20日(金) 配信

ツーリズムEXPOジャパン推進室は4月18日(水)から、「ツーリズムEXPOジャパン2018商談会」のバイヤー登録を開始した。例年より1~2カ月早いスタート。今年のEXPOは9月20~23日まで東京ビックサイト(東京都江東区)で開く。商談会は業界日の20、21日に開催する。

 商談会は世界130の国と地域、国内47都道府県から観光・旅行関係者が集まる国内最大のもの。昨年は678の企業・団体が商談会出展者(セラー)として参加し、6886件の商談が行われた。今年はより活性化するよう、展示会場すべてを商談会場にするほか、登録システムを刷新。商談件数を7370件まで増やす。

マッチングシステムの精度向上

 今年から、商談会参加者の詳細なプロフィールと希望商談相手の属性の登録で事前アポイント・マッチングの精度を高め、限られた時間の中で効率的な商談が可能となるシステムを構築。さらに、これまで「セラー(出展者)」と「登録バイヤー」による商談のみだったビジネスマッチングは、セラー同士も可能となった。より多角的なビジネス展開や同業同士のネットワーク、業界の枠を越えた産業の発展を促す。昨年までメディアミーティングに限定されていたメディアとの商談もマッチングシステムを導入し、商談のチャンスを広げる。

商談会概要

日程:9月20日(木)午後1:10~6:10 

   9月21日(金)午前10:05~午後6:00

会場:東京ビッグサイト 東展示場 1~6ホール

商談会バイヤー登録期間:4月18日~8月中旬(セラー登録は4月27日まで)

アポイント申込期間:7月下旬~8月下旬

ツーリズムEXPOジャパン
http://www.t-expo.jp/biz/registration.html
世界最大級のプロモーションフィールド「ツーリズムEXPOジャパン」開催!「世界のツーリズムをリードする」総合観光イベントとして、さまざまな産業が「観光」を軸に集結します!こちらは出展社様、旅行業界関係者様向けサイトです。

「太陽の塔」内部見学ツアー好調 クラツー、出発地を順次拡大

2019年4月20日(金) 配信

「太陽の塔」内部「生命の樹」(完成イメージ)

クラブツーリズムはこのほど、予約困難な「太陽の塔」内部の見学ツアーを売り出した。大阪、名古屋出発の日帰りコースとして6月から設定し、「一部コースは、満席となっている」(同社)。ツアーの出発地(販売エリア)を順次拡大していく。

 「太陽の塔」は、1970年に開催された大阪万博のシンボルで、内部が一般公開されるのは、48年ぶり。今年3月から開始された内部見学の一般予約は、4カ月先まで完売状態になるほどの人気。塔の内部は、芸術家の岡本太郎氏が手がけ、真っ赤な世界が広がっている。大阪万博当時は、原生生物から人類の誕生までの進化をたどった高さ41㍍の「生命の樹」など292体の模型を展示。今回は、内部再生事業によって復元・修復された約200体を鑑賞できる。

コース1例 「太陽の塔入館とホテルでランチビュッフェ」

旅行日程:6~10月発

旅行代金:6990円(昼食付)

行程(現地集合・現地解散(大阪)ツアー):

万博記念公園前駅(集合)=万博記念公園(太陽の塔およびEXPO’70パビリオン入館)=ホテル阪急エキスポパーク(ランチバイキング)=エキスポシティ(大型複合施設で買い物・各自現地解散)
 
問い合わせ先:クラブツーリズム株式会社 関西バス旅行センター

TEL:06-6733-0070 (月~土曜日 午前9:15~午後5:30/日曜・祝日 休) 

【特集 No.490】ベンチャー×SNS “よそ者”が地域と旅を豊かにする

2018年4月20日(金) 配信

観光の本質は、地域のウチとソトの交流にある。日々の取材のなか、地方行政や観光協会、地域事業者は、旅行会社をはじめとしたソトに位置するものとの間に緊張関係を孕んでいると感じることがある。本紙のようなメディアや観光客もまたソト側にいるものだ。一口に受入体制の整備と言っても、一方のみの道理が通る関係性は返って不自然。互いを尊重し合う良い緊張関係なくして交流は成立しない。手始めに、共同体外からの“よそ者”が地域にもたらす可能性を考えた。【謝 谷楓】

需要を創るアイデアを呼び込む 共同体に足りない視点に注目

“よそ者”が、不足を補う

 インバウンドのFIT(個人旅行)化が顕著で、17年はパッケージ商品を含めると7割を超えた。3年前と比べ個人旅行は約10ポイントのアップ。団体旅行はその分だけ減った。国内でも事態は同様だ。3年前と比べ団体旅行(宿泊)は3・4%の減少、1人当たりの旅行支出(単価、約5万円)を顧慮すると、790億円のマイナスとなり、市場規模は縮小傾向にある。人の数は、各事業者の売上に直結する部分であるだけに、地域の観光を司る行政や観光協会らに対する期待は大きい。個人旅行者の需要を把握し、来訪を促す施策立案が求められている。主導的な役割を果たすために何をするべきか? ローカル地域(共同体)にない視点・考えを持つ“よそ者”をキーワードに考えた。

 目指すべきデスティネーションと、移動手段だけでなく、行為する主体である“よそ者”の存在がなければ観光は成り立たない。物理的移動が容易でなかった時代、旅という行為は、旅行者と受入側双方にとって思わぬ犠牲の生じる危険なものだった。一方、衝突を乗り越え得られた豊かさや文化もある。東アジア諸国では、服装1つとってもそれはかつての“よそ者”の持ち物なのだ。文化が成熟した現代、お金とアイデアという地域に足りないものを持ち込んでくれる存在として“よそ者”を捉えたい。

“よそ者”のことは“よそ者”に聞け

 個々の需要把握を怠っては、経済効果は望めない。団体旅行以外を取り込むということは、マーケティングなど、旅行会社任せにしていた作業を地域自らが行うことを意味する。来訪者の需要を知るには、同じ“よそ者”に聞くのが手っ取り早い。ICTとユニークなアイデアを持つ人が足りなければ、積極的に取り込むべきだろう。

 来訪者を呼ぶICTの筆頭格はInstagram(インスタグラム)だ。世界をターゲットにした観光誘致を無償で行える。本紙の取材に答えてくれた米インスタグラム社で公共政策を担当するパーカー氏は、中小規模の自治体に対するPR支援が可能な一方、地域を盛り立ててくれるアイデアマン(よそ者)らを呼び込めることが、インスタグラムというSNSの真価だと強調する。インスタグラムを通じ、地域に人が集まるインスタミートも活発だ。

 スタートアップ企業のテテマーチとSAGOJOは、最新技術の活用方法で豊富なアイデアを持つ。デジタルマーケティングと“旅人”という互いのアセットを組み合わせたサービス(Picruise)も注目だ。SAGOJOは、法人アカウントを開設し、“よそ者”と地域、企業のさらなるベストマッチングを実現する仕組みを整えた。役割を果たす際に活用したい。

多様性に富む〝旅人〟ネットワーク

“旅人”が地域課題に挑戦

スガタカシ氏

 インスタグラムに代表されるSNSの活用や、ドローンを用いた撮影・映像制作など、情報発信を担うツールはあまた存在する。SNSを軸としたデジタルマーケティングを強化すれば、ターゲットは自ずと明確化され、特化したコンテンツ制作を請け負う企業も多い。IT技術が進化するなか、観光を軸に交流人口の増加を狙う地方行政や観光協会がツールに困ることはない。恵まれた現状のなか、担当者に求められるのは費用対効果が高く、実効力のある予算の使い方だ。

 2016年に設立し、昨年エイベックスなどから数千万円規模の資金調達を行ったスタートアップ企業SAGOJO(新拓也代表)では“旅人”による課題解決をテーマに掲げ、地方行政や企業らと連携してきた。“よそ者”の視点を導入することで効力の高いソリューションを提供している。“旅人”とは何か? 同社取締役のスガタカシ氏は次のように説明する。

“旅人”を侮るなかれ 多様性に富む人材つなぐ

 「自治体や企業から仕事を受託し、インターネットを通じ不特定多数の人の中から適した人材を見つけ発注する。事業の仕組みはクラウドソーシングと似ています。特徴は、発注先を“旅人”に限定している点です。バックパッカーを連想しがちですが、地方や海外への移動機会を求めるフリーランスのライターやカメラマンも含まれています。コンサルタント従事者も……

【全文は、本紙1710号または5月26日以降日経テレコン21でお読みいただけます。】

投稿データを収集・分析 施策生みやすい土壌をつくる

観光客の興味 関心を知る

三島氏(左)と松重氏

 国内延べ旅行者数は6億4720万人(2017年)。14年以降増加傾向にあり、消費額も21兆円と右肩上がりだ。宿泊と日帰りの消費額はそれぞれ0・1―2・6%の増加で、180―1300億円の経済効果を意味する。飽和状態ではあるものの、国内旅行が一大市場であることに変わりはない。地域事業者の収益アップを実現し、選ばれるデスティネーションとなるためには、競争力を高める必要がある。地方行政や観光協会にできることは何か? インスタグラムを活用した写真コンテストの運営をIT技術で支援する松重秀平氏(テテマーチ、上田大介代表)は語る。

 「注目を集め、来訪を促す。現在インスタグラムは、目的地での具体的な体験(コト消費)を情報化して発信できる唯一無二のSNSといえるでしょう。訪れるキッカケづくりには欠かせないものとなっています。競争力をつけるためには、踏み込んだ活用方法が必要です。提供するCMS“CAMPiN(キャンピン)”は地域の内外問わず、個々のユーザーが地域を盛り上げられる仕組みとなっています」。

 インスタグラムの投稿を通じ、観光客といういわば“よそ者”の地域に対する興味関心を知れる。“キャンピン”を導入すれば、ユーザーは指定のハッシュタグをつけるだけで写真コンテストに参加でき、導入団体・企業はインスタグラムと連動した写真コンテストのウェブサイトがつくり放題となる。常時、トレンドにマッチするキャンペーンを催せ、需要を把握できるのだ。4月から始まった栃木デスティネーション・キャンペーン(DC)を牽引する栃木県DC企画会議県央地域分科会でも活用されている。

 同事務局に使い勝手を訪ねたところ「プレDC時に引き続き、栃木DCと連動したキャンペーンでも利用している。スタートしてから2カ月、投稿数は700超、“いいね”数は5万6千を上回り、プレDC時よりも高いペースで伸びている。地元の方の割合も高く、さまざまな視点から県央地域の魅力発信につながっている」と高く評価した。成功事例がでる一方同社は、地域事業者の収益をアップさせるために行政らができることはまだあるとみる。

偶然を必然に変える

 「4月からは、アナリティクス面でも地域をサポートできるようになりました。フォロワー数やインプレッション数などが分かるインサイト機能(SINIS、サイニス)の提供を始めました。パソコンから操作できる仕様となっています。CSVファイルの出力などデータ分析に役立つ改良も施していきます」。

 インスタグラムを始め、SNSによるムーブメントは偶然起こる場合が多い。“濃溝の滝”を擁する君津市(千葉県)では、……

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ユーザーの力 PRに生かす工夫を 米インスタグラム公共政策マネージャー

ジョン・タス=パーカー氏

 3月、Instagram米国法人で公共政策マネージャーを務めるジョン・タス=パーカー氏が本紙の取材に応じた。日本やアルゼンチンなど、各国の観光局と協力関係にある同社。ローカル地域の行政や観光協会ら、中小規模の団体とも連携してきた実績を持つ。

 総ユーザー数8億人と広告媒体としての価値も高いが、インスタグラムの本質と真価は、ユーザー一人ひとりが主体となって流行をつくれることだとパーカー氏は指摘する。「インスタグラムには、観光誘致に役立つ仕組みがすでに備わっている。行政らは、投稿を促しユーザーの力をPRに生かす工夫を行うべきだ」。

 国内ではその発信力に……

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