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「ZOOM JAPON(ズーム・ジャポン)(9月号)」

2018年9月24日
編集部

2018年9月24日(月) 配信

http://zoomjapon.info
クロード編集長

〈巻頭言〉

 9月。長い夏季休暇の甲斐あって、街中でも職場でもまだまだストレスフリーな時間が流れています。対照的に、課題が山積みなフランス政府は、フル稼働の時期。7月には大統領側近が暴力スキャンダルを起こし、9月早々には環境大臣とスポーツ大臣が辞意を表明。これらの騒ぎの中で発表される年金改革や、就労対策がさらに国民の不信を煽り、マクロン大統領の支持率は、31%まで下落、今後の対応が注目されます。日本はちょうど自民党総裁選挙の時期にあたり、改めて今後求められる国の姿について考える機会でもあります。弊誌最新号では、小説家・高橋源一郎氏にご協力いただき、特集ページにて氏の目に映る日本社会とその思いをお聞きしました。文化ページでは、フランス文学者・水林章氏にインタビュー、旅ページでは宮崎県を紹介しています。

(編集長 クロード・ルブラン)

特集 「高橋源一郎氏に聞く日本」

鎌倉の自宅にて3時間にわたって話を聞いた

 約40年前から、日本ポストモダン文学の第一人者であり続ける高橋源一郎氏。1981年に群像新人長編小説賞で注目されたデビュー作「さようなら、ギャングたち」は、仏語にも訳されている。エッセイスト、文芸評論家、大学教授であり、日本では競馬好きとしても知られる傍ら、さまざまな媒体での政治的発言もいとわない。■変わりゆく時代に即応しつつ、社会を見つめる目は常に厳しい高橋氏は、今年4月から月刊「新潮」で小説「ヒロヒト」の連載を開始。なぜ今、歴史の一幕を掘り起こし、天皇という主題を選んだのか。出版社からの制限はないのか。読者の反応はどうか。記者の率直な質問に、高橋氏は丁寧に答えてくれた。■当然ながら、この連載への批判も多いという。しかし高橋氏は、それらのほとんどが匿名によるネット上のバッシングであることにも注目し、この現象自体が現代の最も懸念すべき社会問題でもあると指摘する。■自由とマナーのバランスの崩れが生む他人に不寛容な社会、差別問題、憲法9条と自衛隊のあり方などについても、高橋氏独自の見解が繰り広げられた。考え方には賛否両論がある。が、その意見を聞く貴重な機会が与えられたことに感謝したい。

〈ZOOM・JAPON 編集部発 最新レポート〉21世紀のジャポニスム展

チームラボによるフォトジェニックな展覧会「境界のない世界」は、SNSでも拡散されやすい

 今年7月から始まったフランスにおける日本政府主導の複合型文化芸術イベント「ジャポニスム 2018:響きあう魂」。9月に入ってパリ市内でも「JAPON」という文字が浮き立つポスターを見かける機会が増えてきました。プログラムを見ると、来年2月まで、公式企画と賛同者による独自企画を合わせ、パリを中心に大小200近いイベントが開催される見込みです。編集部にも連日イベント案内が届きます。その中では、アーティストの個性を「和」に集約している傾向があるのですが、実は、今回これまで最も話題になり、抜群の集客力があったのは、「日本」というアピールをまったくしていなかったウルトラテクノロジスト集団「チームラボ」によるデジタールアートの展覧会。来場者の中には、作者が日本人であることも知らず、夢中でアートを「体験」していた人も。
 「ジャポニスム2018」を機に、日仏文化交流は新しい関係性を築き始めています。「日本の伝統」かマンガならウケるという短絡的な思惑を捨てる時期かもしれません。観る人の心の中に、自然とストーリーが生まれてくるようなコンテンツで、世界に挑戦し続ける21世紀のアーティストたちの活躍を期待しています。

フランスの日本専門情報誌「ZOOM JAPON」への問い合わせ=電話:03(3834)2718〈旬刊旅行新聞 編集部〉

 

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