13年交流人口700万人へ、第27回日韓観光振興協議会 加藤審議官(右)と慎局長 加藤隆司観光庁審議官と慎庸彦(シン・ヨンオン)韓国文化体育観光部観光産業局長を代表とする日韓両国が10月29日、北海道の函館国際ホテルで第27回日韓観光振興協議会を開き、2013年の日韓間の交流人口目標を700万人とした。 日韓観光交流促進に向けた日韓両国の協力や風評被害対策、地方観光交流拡大などについて合意し、確認文書を取り交わした。 そのなかで2013年の日韓間の交流人口目標に700万人を掲げ、日韓間をとりまく諸課題の状況にかかわらず、観光交流は原則としてそれに影響されることなく推進することを確認した。また、自然災害、疾病などの観光へのリスクが考えられる危機的状況が発生した際に、風評被害を含め相互に協力することをうたった。 さらに、地方観光交流の拡大に向け、2013年を「日本地方観光交流元年」として日韓両国で積極的に活動することを誓った。
「地熱発電の隠された真実」、佐藤好億氏監修 “開示されないデータ” 「地熱発電の隠された真実」は、日本温泉協会副会長・地熱対策特別委員長、日本秘湯を守る会会長などを務める佐藤好億氏が監修した。サブタイトルは「温泉文化滅亡の危機~温泉地は、地熱発電の工業廃湯を旅人に入浴提供しろというのか~」。 佐藤氏は40年以上、全国の温泉地を行脚するなかで、地熱開発や地熱発電所が建設された地域で、温泉の枯渇や泉質変容、温度低下などに加えて、樹林の枯死やヒ素流出、地すべり、水蒸気爆発、群発地震などの影響を耳にし、実際に目にしてきた。日本において地熱開発の危険性やデメリットの検証が十分にされていないなかでの「開発ありき」の国や開発業者の姿勢に、本書は「地熱発電が本当に世間一般に流布されているような安心安全なエネルギーなのか?」と問いかける。 地熱発電所周辺で生じた影響など、さまざまな事例を科学的なデータに基づいて紹介しながら、地熱発電に対する正負両面の理解を深め、見極めたうえでの判断の必要性を訴えている。 国や開発側が有するデータはほとんどが開示されておらず、開発のメリットのみが情報として流される現状に危機感を覚える。 温泉旅館の経営者をはじめ、地方自治体の温泉・観光関係者には必読の書である。474ページフルカラーで、1500円(本体1429円+税)。 問い合わせ・書籍注文=地熱発電と温泉力について学ぶワーキングチーム(代表=岡村興太郎氏) FAX 0248(84)2568、Eメール chinetsu2012@gmail.com まで。
12年度秋の叙勲・褒章、伊藤正司氏(鹿の湯ホテル)が旭日双光章 勲章伝達式のようす 政府は11月3日付で2012年度秋の叙勲・褒章受章者を発表した。本紙関連では、鹿の湯ホテル会長で全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会常務理事の伊藤正司氏が双光章を受章するなど、5人が受章した。 国土交通省の勲章伝達式は11月7日、東京都港区の東京プリンスホテルで開かれ、国土交通省の羽田雄一郎大臣は、「これまで我が国の発展に貢献されている。皆さまの輝かしいご功績にお祝いを申し上げたい」と述べた。 ◇ 本紙関連の叙勲、褒章受章者は次の各氏。 【叙勲】旭日小綬章 幸重綱二(大分交通会長)=大分県バス協会会長 自動車運送事業功労▽旭日双光章 伊藤正司(鹿の湯ホテル会長)=全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会常務理事 生活衛生功労▽森松平(杉の子会長)=国際観光日本レストラン協会常務理事 観光事業振興功労 【褒章】藍綬 村木營介(矢太楼会長)=全国旅館ホテル生活衛生同業組合連動会常務理事 生活衛生功労▽黄綬 樫本幸子(観光ホテル淡州大女将) 旅館業務奨励▽三浦公子(miura社長代理・女将) 旅館業務精励
旅館数4万6196軒に、ホテル234軒増、旅館710軒減(12年3月末時点) 旅館数710軒減の4万6196軒――。厚生労働省がこのほど発表した2011年度「衛生行政報告」によると、12年3月末現在の宿泊施設軒数(簡易宿泊施設、下宿含む)は8万1404軒と前年度比で317軒増えた。しかし、旅館は4万6196軒で同710軒の減少となった。09年度から10年度に2060軒減少したことに比べ、小幅な減少となったが、減少傾向に歯止めはかかっていない。 小幅になったとはいえ、旅館数の減少が続いている。10年度は東日本大震災の影響により、宮城県は仙台市以外の市町村、福島県の相双保健福祉事務所管轄内の市町村の統計が含まれないが、2010年度の4万6906軒から710軒減少して、12年3月末時点で4万6196軒となった。1980年代に8万3226軒とピークを迎えた後の減少傾向が止まらない。 一方、ホテルは前年度から234軒増えて9863軒と、「旅館減少・ホテル増加」の構図は変わらない。 客室数で見ると、旅館は前年度比2868室減の76万1448室、ホテルは同1万2295室増の81万4355室となった。09年度に旅館とホテルの客室数が逆転して以来、その差はさらに広がった。 山小屋やユースホステル、カプセルホテルなどの簡易宿所は2万4506軒と前年度より787軒増加。下宿は839軒で87軒増えた。 都道府県別に見た旅館軒数は、静岡県が3155軒で最も多く、以下は(2)北海道(2622軒)(3)長野県(2592軒)(4)新潟県(2190軒)(5)三重県(1626軒)(6)福島県(1552軒)(7)栃木県(1396軒)(8)山梨県(1361軒)(9)千葉県(1305軒)(10)兵庫県(1298軒)。トップ10で増加したのは、6位の福島県(100軒増)のみ。 一方、ホテル軒数の上位は(1)東京都(684軒)(2)北海道(679軒)(3)長野県(519軒)(4)兵庫県(411軒)(5)福岡県(379軒)(6)静岡県(373軒)(7)埼玉県(368軒)(8)沖縄県(359軒)(9)大阪府(356軒)(10)愛知県(303軒)――となった。
No.326 石川県和倉温泉 加賀屋 - まったく新しい視点が必要に 石川県和倉温泉 加賀屋 まったく新しい視点が必要に 〈「いい旅館にしよう!」プロジェクトシリーズ(8)〉 加賀屋 高品質のおもてなしサービスを提供することで、お客様の強い支持を得て集客している旅館がある。なぜ、支持されるのか。その理由を探っていく「いい旅館にしよう!」プロジェクトのシリーズ第8弾は、石川県・和倉温泉「加賀屋」の小田禎彦代表取締役会長が登場。低額料金の宿泊施設が勢いを増すなか、大型旅館の経営は難しくなっている。20世紀をリードしてきた加賀屋は、来るべき時代に対してどのような変革をしていくのか、産業技術総合研究所の工学博士・内藤耕氏との対談で小田会長が将来を展望した。 【増田 剛】 成功モデルが転換点に ― 内藤氏 加賀屋の“流儀”を貫く ― 小田氏 内藤:20世紀を振り返ると、女将制度や、「おもてなし」によるサービス、施設の大型化といった「加賀屋」のやり方が大成功し、「これを結果的に全国の多くの旅館が一つのモデルとしていった」と、私は感じています。 小田:私たちは「Guest is always right」「お客様の望むことをやって差し上げなさい」「お客様の望まないことをやってはいけません」ということを鉄則として教えてきました。ひとことで言うと、「ベタベタサービスの加賀屋」というやり方です。一昔前は「上げ膳据え膳」が当然でしたが、現在は大部分の人が身の回りのことを自分でやる訓練をされているため、「自分でやったほうがいい」と考える人が多くなってきています。このため、これまでのやり方が今になって時代から少しズレてきているわけです。 ※ 詳細は本紙1483号または11月15日以降日経テレコン21でお読みいただけます。
進化か? 劣化か? ― 後戻りできない社会 未来に向かって人間社会は少しずつ進化しているのか、それとも劣化しているのか。 限られた空間に原初100人の共同体だったものが、やがて1万人になり、100万人、1億人に拡大していく過程で、社会の質も比例して高度化していくわけでもない。科学の進歩は目に見えて分かるが、文明が文化を超えた現在、そして未来の社会は、本当に幸福だろうかと疑問に思う。好むと好まざるとに関わらず、不必要な装飾品を纏いながら、決して後戻りができない、前進のみの社会構造が存在する。進化とはそういうものであるし、そう思い込むことこそ劣化なのかもしれない。 田中眞紀子文部科学大臣が3大学の新設を突然不認可にしたことが騒がれている。「田中大臣の“ちゃぶ台返し”が大学の関係者に混乱を与えている」とテレビのニュースも言っていた。田中大臣の手法はいつも極端であるが、言っていることは正論だと思う。どうして認可が下りる前に、大学の建物を作り始めているのか。学生の募集を始めているのか。「万が一にも、大学の新設が認可されなかったら、志望する学生に混乱を与えてしまう」と大学の関係者は考えるべきところではないか。田中大臣を訴えるような動きをしているようだが、それは違うような気がする。地元の学生は混乱し、可哀そうだと思う。しかし、弱者である学生たちの声を楯に、田中大臣を完全なる悪者にする風潮が嫌いだ。この構図は、あらゆる場面で見てきた。一部の弱者の声を引用し、世論を形成していく。冷静に考えれば、この急激な少子化の中で、毎年毎年大学を増やす必要があるのだろうか。国民の大多数は本当に、定員割れの大学が無数あるなかで、さらなる補助金を投入しなければならない大学の増設を望んでいるのだろうか。 トヨタの営業利益が1兆円を超えそうだという。その陰には、国の減税措置という後押しもあり、相当の電力の供給が必要だったはずだ。トヨタが多額の税金を納めてくれるので、国は成功を収めた。自動車に乗らない人も、この国策に乗っていく。そしてこの流れは決して後戻りはできない。大きな国の方針が、不特定多数の小さな個々の幸せと結びつかなくなってきている。国の大きな権限を目の細かな地方に移す時代なのではないか。 (編集長・増田 剛)
理念とマーク制定、使命と役割を広く発信(日観振) シンボルマーク 日本観光新興協会はこのほど、同協会の使命と役割を広く観光振興に携わる地域や産業に発信するため、理念とシンボルマークを制定した。今後は、このもとで観光立国の実現を目指していく。 今回定めた理念は(1)観光の持つ力の重要性について国民に広く周知するとともに、観光振興の取り組みを積極的に行い、観光立国の実現を目指す(2)「住んでよし、訪れてよし」の観光地域づくりを推進する(3)観光産業に従事する人材を育成し、観光産業の活性化をはかる(4)地域が育んできた固有の伝統・文化・自然を活かし、観光需要の拡大をはかる(5)観光地域の国際競争力を高め、均衡のとれた双方向観光の実現を目指す――の5つ。 また、シンボルマークは、日本の都道府県や市町村、観光協会などの「観光地域」と旅行業や宿泊・サービス業、運輸業などの「ツーリズム産業」をつなぐイメージをデザインコンセプトにした。日の丸と組織をつなぐイメージの球体は、協会組織の組織力と団結力を表現し、円の大小は各団体の組織の個性を表している。 加えて、“見たこともない感動”「ときめき」と“味わったことのないおもてなし”「やすらぎ」も表現しているという。
東北5県へ拡大、東電賠償 原発起因減収分の5割 東京電力は10月18日、原発事故による観光業の風評被害について、賠償対象地域に青森、岩手、宮城、秋田、山形の東北5県を追加すると発表した。これまで東電は賠償対象を福島県、群馬県、栃木県、茨城県の4県と、千葉県内の対象地域、山形県米沢市、宮城県丸森町に限っていたが、今回の東北5県の認定により、賠償対象が大幅に拡大した。なお、東北5県の賠償対象期間は2011年3月11日から12年2月29日まで。 賠償対象は、東北5県に事業所があり、おもに観光客を対象として営業を行っている法人または個人事業主のうち、原発事故により東北地方以外からの観光客の解約・予約控えなどにともなう減収があった事業者。 賠償額は売上高に利益率、原発事故による売上減少率、東北5県への来訪割合をかけて算出。来訪割合は50%に統一となり、原発起因による減収分の半分が賠償されることになった。原発事故による売上減少率は、実際の売上減少率から原発事故以外の要因による売上減少率を減算したもの。原発事故以外の要因による売上減少率については、11年3月11日―5月31日まで20%と、11年3月11日―8月31日まで10%の2パターンを用意。被害を受けた事業者がどちらかを選び算定基準とすることにした。 東北5県への賠償対象拡大へ向けて、先頭に立ち東京電力と交渉してきた全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会の佐藤信幸会長は本紙の取材に対し「長い闘いだったが、あきらめずに粘り強く交渉し続けて賠償を勝ち取った」と吐露。本紙は次号で、佐藤会長の東電との交渉の過程を克明にレポートする。 賠償金請求については「福島原子力補償相談室」まで。電話:0120(926)404。受付時間=午前9時から午後9時まで。 【伊集院 悟】 (次号は全旅連・佐藤会長の交渉の過程をレポート)
約半分が建築基準法違反、築40年以上のホテル・旅館 47%が建築基準法違反――。国土交通省は今年5月13日に広島県福山市のホテル・プリンスで発生した火災を受けて、全国のホテル・旅館を対象に緊急点検を行い、この結果をまとめた。調査の対象となったのは、3階以上(地階を除く)の建物で、1971年以前に新築された、築40年を超える全国1840施設。ただし、消防部局が「適マーク」を交布したものや、建築基準法の防火・避難規定に適合している施設は対象外となった。 調査によると、1840施設のうち、約47%に当たる867施設が建築基準法令に違反していることがわかった。 項目別にみると(施設によっては複数の違反あり)、「非常用照明装置関係」が410件と最も多く、(2)耐火建築物関係(395件)(3)防火区画関係(346件)(4)排煙設備関係(220件)(5)直通階段関係(160件)(6)内装制限関係(138件)(7)廊下の幅員関係(95件)(8)非常用進入口関係(76件)(9)間仕切壁関係(73件)(10)敷地内通路関係(66件)――などとなっている。
新認定制度スタート(観光庁) 外国人案内所、3年ごとに更新 観光庁はこのほど、新しい外国人案内所の認定制度をスタートさせた。「外国人観光案内所の設置・運営のあり方指針」にもとづき導入したもので、認定によるブランド化と案内所のカテゴリー別の分類、3年ごとの更新制により、案内所のサービスの質の向上・質の担保をはかっていく。 今回の認定では、カテゴリー1が165件、カテゴリー2が76件、カテゴリー3が7件、パートナー施設が20件の合計268件を認定した。カテゴリー1は、パートタイムで英語対応可能なスタッフがいるか、電話通訳サービスやボランティアスタッフの協力などで英語対応できる体制で、地域内の公共交通利用や観光情報の提供が可能。カテゴリー2は、英語対応可能なスタッフが常駐し、電話通訳サービスやボランティアスタッフの協力で英語以外の言語にも対応できる体制で、広域エリア内の情報提供ができる。カテゴリー3は、英語・中国語・韓国語で対応可能なスタッフが常駐し、全国の情報提供ができる。 日本政府観光局(JNTO)の多言語ウェブサイトや海外事務所を通じて認定案内所ネットワークの情報を海外に発信。各認定案内所からの情報などを政策の企画・立案に生かすことで、認定案内所ネットワークの機能向上と、外国人旅行者の利便性、満足度の向上につなげていく。