No.418 「民泊」をめぐる問題、多角的な視点で考える

「民泊」をめぐる問題
多角的な視点で考える

 インバウンドが急増するなか、首都圏や関西圏など都市部を中心にホテル不足が深刻化している。一方、米国発のAirbnb(エアビーアンドビー)など、ネット上で旅行者と、マンションや一軒家を貸したい人を仲介するサービスが進出し、旅館業の営業許可を得ずに外国人旅行者を宿泊させる“ヤミ民泊”問題も大きな課題となっている。国家戦略特区として大阪府は条例可決し、東京都大田区も一定条件のもと規制が緩和される見通しだ。民泊問題についてさまざまな立場から、多角的に意見を集めた。(14面に続く、3面に関連)
【編集部】
 
 百戦錬磨の上山康博社長は10月28日、東京都内で開かれたライターズネットワークセミナーで講演。その内容の一部を紹介する。

 最近、「民泊」に対する関心が高まっています。今の日本で「旅館業法」をしっかりと理解して、ルールを守ろうとすると、民泊は法律違反になります。抜け道的な、“グレー”は“白”ではないので、「アウト」です。当社の旅行者と体験型の宿をマッチングする「とまりーな」に関しては、遵法精神に則り、現行法に沿って運営しています。

 東京や関西などの都市部では、ビジネスホテルの稼働率や、単価も高くなっています。年間の訪日観光客1900万人程度でこの状態で、2千万人、3千万人に拡大したらパンクしてしまいます。これに対応するためには、ホテルを新たに作るか、すごく遠いエリアに泊まっていただくか、もしくは今のストックで宿泊できるものに変えていく(コンバージョン)しかありません。…

 

※ 詳細は本紙1609号または11月26日以降日経テレコン21でお読みいただけます。

規制や取締り徹底、観光庁に要望書を提出、JATAが民泊問題で

 日本旅行業協会(JATA、田川博己会長)は11月11日、民泊の規制緩和に対する考え方について、旅行業法に沿った仕組みの整備や違法民泊取り締まりの徹底を求める要望書を観光庁長官に提出した。

 JATAは「特定の地域(特区)」と「外国人限定」を前提とした民泊の取り扱いを行うことについては賛意を表するとし、これに関しては外国人旅行者の安心・安全の確保を最重要視することで旅行の質が担保され、リピーター増につながり、旅行会社としても旅行業法に沿った取り扱いを行うことができるとの考え方を示した。

 その一方で、特区外地域での違法民泊を防止する観点から、今後の海外取次斡旋業者の規制や、施設提供者の取り締まりの徹底も訴える。国内・訪日旅行推進部の興津泰則部長は12日の定例会見で「宿泊関係団体と我われは現在の観光産業を作ってきた関係。宿泊関係の皆様の大きな動きへの支援という意味も込めている」と述べた。

 以下、現在の特区に対する考え方と現状の民泊に対する対応を求める要望書の内容。

 【要望内容】

 1.旅行者の安心・安全を制度として確保することに加えて、旅行業者が旅行業法に則り取り扱いできる仕組みの整備

 (1)消防、食品衛生等、安心・安全を担保するルールの構築(2)国家戦略特区施行令及び内閣府・厚生労働省が通知した、「外国人滞在施設経営事業の円滑な実施を図るための留意事項」の周知徹底と遵守(3)消費者保護の観点から、滞在する施設の設置や管理に瑕疵(かし)があることによって外国人旅行者に損害が生じたときは、施設の提供者が賠償を確実に実施するルールの構築。

 2.地域住民(近隣住民)の理解を得るためのルール作り

 なお、事業用に供する施設を使用させる期間については、特区毎の地域の宿泊施設の状況を考慮して設定していただきますようお願い申し上げます。

 一方、特区以外の地域における違法な民泊を防止する観点から、海外取次斡旋業者の規制や、施設の提供者に対する取締りの徹底も大変重要なことであり、併せて要望させていただきます。

以上

 また、興津部長は「宿泊旅行はパッケージ商品として大変大きなウエイトを占める」と述べ、民泊の仕組みが旅行業界に与える影響についても言及した。「制度が無い状態の民泊と競合することを考えると、JATAとしてはしっかりした考え方を示していこうという話が出てきた。特区内の制度が今後の緩和策に最大の影響を与えると予測し、我われはまず、現在認可されている特区内だけでも旅行会社としてきっちり斡旋できるものを求めていく」と述べた。

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「全国拡大は反対」、健全な観光産業の発展を(JATA)

 民泊問題について、日本旅行業協会(JATA)の国内・訪日旅行推進部の興津泰則部長は、規制緩和へ「日本独特のビジネスモデルを崩す必要があるのか」と疑問視する。民泊への対応はJATA内で議論している最中(10月29日時点)だというが、根本にあるべきは「健全な観光産業の発展」とし、「特区における対応をしっかりしなければならない。全国に広げることは反対だ」と声をあげた。

 旅行会社の立場として、顧客への安全が最も優先されるなかで、民泊は安全が担保されていないことや、ビジネスパートナーであり、法を遵守している地域の旅館・ホテルへの送客を重視したい意向だ。「東京のホテル不足は今だけの話で、そのために全国のビジネスモデルを崩すことはない。一極集中が問題で、地方旅館の稼働率は3割というところもある」と地域分散の必要性を訴えた。

 一方で、従来からの農村漁村への民泊や古民家、町家などへの宿泊は「切り離して考えるべき」と強調。「ホームステイの需要はある。これは単なる部屋貸しとは違う」と見解を示し、Airbnb(エアビーアンドビー)など、無人のマンションの1室などを個人が利益目的で貸し出す行為を問題視した。

生産者と消費者つなぐ、跡見女子大が着地型発信

メガホンを持ち「やな」を説明する学生(左側)
メガホンを持ち「やな」を説明する学生(左側)

 道の駅「もてぎ」(栃木県茂木町)と跡見学園女子大学(山田徹雄学長)はインターンシップ共同企画として、着地型観光「道の駅もてぎ×跡見学園女子大学 もてぎの里山 秋の味覚満喫ツアー」を10月24日に茂木町内で開催した。学生が地域の人々と共同で地元の隠れていた魅力を発掘・発信し、地元生産者と都会の消費者をつなげた。

町長自ら現場をトップセールス
町長自ら現場をトップセールス
右側が学生が考案したそば
右側が学生が考案したそば

 ツアーのテーマはサケの遡上と秋の味覚。参加者は「秋サケのチャンチャン焼き」や学生が考案した田舎そばなど、茂木町ならではの秋の味覚を楽しんだ。茂木町を流れる那珂川はサケの遡上シーズンで、川に設置する仕掛け「やな」に掛かるサケのようすも見られ、参加者は「やな」の仕掛けに実際に触れながら、学生の説明に耳を傾けた。古口達也茂木町長もツアーに同行し、地域資源や生産現場を紹介するなどトップセールスを行った。

 学生は今年6月から、茂木町の道の駅や生産現場を視察し、観光資源の発掘を行い、今回のツアー造成のほかにも地域商品の開発も手掛けている。
 
 
 
 
 
 
 
 

第3の居場所

 家でも職場でもない、心地よい居場所「サード・プレイス」。都市におけるカフェなどを指すことが多いが、1時間に1―2本の地方単線電車の「駅」が今、第3の居場所として注目を集めている。

 静岡・天竜浜名湖鉄道の中間程にある都田駅。薬局と待合室があるのみの築50年の無人駅舎だったが、薬局の閉店を機にリノベーション。地元の都田建設とコラボレーションし、今年5月「駅Cafe」が誕生した。待合室・プラットフォームと一体化したカフェのほか、地域住民の趣味サークルの拠点、シャワー施設を併設しサイクリストの拠点としても機能している。

 駅は、住む人と訪れる人をつなぐ、開かれた居場所なのかもしれない。一杯のコーヒーを楽しむため、電車を乗り継ぐ人も少なくないそうだ。

【森山 聡子】

民泊の規制を緩和する前に、広島修道大学商学部・富川久美子教授(観光学博士)

 民泊の法的問題が議論されるなか、規制を緩和する自治体が現れた。この背景には、登録件数が全国で1万1千件とされ、法的にはグレーゾーンにあるとされる「Airbnb」の広がりがある。折しも国内の宿泊事情は、供給不足にあり、オリンピックを控えてさらなる需要増加も見込まれる。さらに、増加する空き家の利活用や地方創生など、民泊の推進要素が多くあり、現状ではその是非が充分に議論されないまま規制緩和が進行する恐れがある。今後の日本の方向性を問うなかで示唆を与えるのが民泊利用の旅行が急増した欧米の先進事例である。

 民泊を利用しながらの旅行は「カウチサーフィン」と言われ、2004年にインターネット上に公開されたグローバル・コミュニティ「Couchsurfing」が元になっている。その後、急成長したのが08年に設立された「Airbnb」である。登録物件数は、15年4月1日現在、パリに約4 万件(前年比58%増)、ロンドンに約2万5千件(同65%増)、ローマに約1万5千件(同70%増)と、その規模と成長ぶりは日本とは比較にならない。

 欧米では民泊利用が広がったことで、さまざまな苦情や事件、訴訟が増え、また民泊は日本と同様、多くの自治体で法的にもグレーゾーンにあるとされていた。しかし近年、「Airbnb」を想定した自宅やアパートの賃貸の対策に取り組む国や地域が増えた。ヨーロッパでは規制を強化し、新たな税制や罰金制度を導入する傾向があり、アメリカでは規制緩和を進め、より多くの税収をはかる傾向にある。このような違いは、国や地域の事情によっても異なり、ヨーロッパでも、負の効果より正の効果を強調するところもある。とくに「Airbnb」の客はホテルより滞在期間が長く、観光地以外の地方にも泊まり、低所得者層のホストには所得の増加につながるためである。

 民泊の規制は、強化するにしても緩和するにしてもさまざまな条件設定が考えられる。地方創生の政策や宿泊施設の保護などを念頭に、それぞれの地域の実情に即した独自の施策に取り組むことが望まれる。

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 富川久美子 立教大学大学院観光学研究科博士後期課程修了。JTBトラベランド興業、ニュージーランド政府観光省、ドイツ・バイロイト大学研究員などを経て、2010年から現職。研究テーマは地域活性化政策と観光、農村・島嶼観光など。著書に「ドイツにおける農村政策と農家民宿」(農林統計協会)。

訪日旅行の促進へ、中国旅行社と合弁会社(HIS)

平林社長(左)と呉社長
平林社長(左)と呉社長

 エイチ・アイ・エス(HIS、平林朗社長)と同程国際旅行社(LY.com、呉志祥社長、中国江蘇省)は11月4日、訪日旅行のさらなる促進に向けて、新たに合弁会社を設立することで基本合意書を締結した。両社は日本に新会社を設立することで日本の豊富な観光素材の仕入れを強化。24時間運営のコールセンターも設置し、中国の顧客のニーズに対応したスピーディなサービスの提供、今後の訪日中国人旅行者のシェア拡大を目指す。

 LY.comは中国のレジャー旅行のオンラインサービスをリードする旅行会社で、「レジャー旅行ナンバーワン」を戦略目標に近年急成長を遂げている。同社の携帯アプリ「同程旅游」のインストール件数は8億件を突破しており、今後さらなる成長が期待されている。同社の呉社長は、今回の締結について「HISは日本のみならず世界中の旅行商品やサービスを提供している。私たちはHISの胸を借りながら、国際的なサービスの質を高めていきたい」と語った。さらに、HISの平林社長はLY.comの近年の成長率を称え「今回提携を組むことで、中国人のお客様を満足させられるようなサービスを一刻も早く作っていきたい」と意気込んだ。

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 新会社設立に当たりHISは62カ国に展開する海外現地法人のインバウンド観光商材を新会社に提供し、LY.comのサイトを通じ中国発の海外旅行として販売。そのほか、同社グループの1つで、中国からの訪日客実績トップクラスのジャパンホリデートラベルが、日本の観光素材を提供し、ホテル事業、テーマパーク事業など、同社グループが持つ観光素材を新会社とLY.comを通じて中国市場に向けて販売する。また、日本人の中国行き旅行においては、LY.comが独自に仕入れる観光素材、中国高速鉄道、ホテルなどをHISの販売網を通じ日本の旅行者に向けて提供。相互の強みを存分に活用するとともに、顧客満足を追求しウイン―ウインの関係を築いていく。

 新会社の営業開始日は11月中を予定している。

グローバル化推進や販路拡大へ、三重県とANAが包括連携協定

 来年5月に三重県で伊勢志摩サミットが開催されるにあたり、三重県とANAホールディングスは11月16日、三重県の津都ホテルで包括連携協定の調印式を行った。グローバル化の推進や観光振興などに取り組む。

 連携内容は、「世界の人が集うグローバル化の推進」として、MICE誘致や開催への協力、ファムトリップなどへの協力。「観光の振興」は、機内誌などで県を紹介し、旅行商品を造成する。「食の販路拡大」は、機内食やラウンジなどでの県食材の提供、貨物ネットワークを活用したASEANへの販路拡大。「人づくり」は、航空宇宙分野に係る人材育成支援。

界ブランド初の新築、「界 鬼怒川」がオープン(星野リゾート)

新築の建物は四季の風景と調和する
新築の建物は四季の風景と調和する
星野佳路代表
星野佳路代表

 星野リゾート(星野佳路代表)は11月10日、栃木県日光市の鬼怒川温泉に「星野リゾート界 鬼怒川」を開業した。昨年誕生した「界 川治」「界 日光」に続き、同社が運営する温泉旅館ブランド「界」の県内3軒目の施設で、「界」としては13軒目で初の新築。

 開業日には、内覧会とオープニングセレモニーが行われ、星野代表は「『界』は全国30軒を目標に、各温泉地の個性を発揮できるような温泉旅館づくりを目指している」とし、「今回は初の新築プロジェクトで、栃木・鬼怒川の魅力を多様に盛り込んでいる。ぜひ皆様に楽しんでいただき、地域に貢献していきたい」とあいさつ。来賓の斎藤文夫日光市長も「本市に3施設あることは大変心強い。今回のオープンで、さらに地域の魅力度が増すのでは」と期待を寄せた。

 鬼怒川温泉駅から車で約5分。「界 鬼怒川」は鬼怒川渓流沿いの小高い丘の上に建ち、スロープカーで建物エントランスまで誘導する。森に囲まれた敷地は、東京電力保養施設の跡地(約3万6千平方メートル)で、中庭の紅葉や花見露天風呂が楽しめる桜並木など、もとある木々を生かした四季の風景も見どころだ。

 48室ある客室(うち露天風呂付き20室)はすべて栃木の素朴な民藝をモダンにアレンジした「ご当地部屋」で、益子焼や黒羽藍染など地元作家とコラボレーションした調度品がちりばめられる。ほかにも、熱い石を鍋に入れ龍神伝説をイメージした「龍神鍋会席」や、毎夜ロビーで開かれる益子焼楽器の演奏会「益子陶琴のうた」など、滞在中、地域の魅力を体感できる仕掛けが随所に施されている。1人1泊2食付きで2万7千円から。

 来月、星野リゾートは石川県山代温泉に、改装新築の「界 加賀」の開業を予定する。星野代表は「『界』は今後も質の高いサービスが提供できる1軒50室を基本に、全国に30カ所、計1500室のスケールメリットが効いた、温泉旅館のビジネスモデルを展開していきたい」と話す。

旅行新聞新社・石井社長、秋の園遊会に招待、日本専門新聞協会を代表

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 11月12日、東京・元赤坂の赤坂御苑で開かれた、秋の園遊会に日本専門新聞協会を代表して、旅行新聞新社の石井貞徳社長が招かれた。秋空のもと、2千人の招待客は天皇、皇后両陛下、皇族方と和やかに懇談。皇太子妃雅子妃殿下も12年ぶりに出席された。

 両陛下がお着きになるまで、皇室の楽団による生演奏を聴きながら、用意された茶菓などをいただき、園内を散策した。君が代の国家が園内に響きわたるなか、両陛下並びに皇族方が入園。石井社長は、秋篠宮殿下と言葉を交わし「観光業界のために努力してほしい」とお言葉をいただいた。

 今回の園遊会は、野球漫画「ドカベン」作家の水島新司氏やiPSを利用し世界初の移植手術をした理化学研究所の高橋政代さんら各業界で、活躍した人が招かれた。

乳がん術後も温泉へ、 伊豆の旅館で勉強会開く(リボン宿ネット)

旅館に求めるサービスなどを講演した
旅館に求めるサービスなどを講演した

 乳がん経験者に優しい宿づくりを進める「ピンクリボンのお宿ネットワーク」(事務局・旅行新聞新社)は10月26日、宿泊施設スタッフを対象にした勉強会を、静岡県の伊豆地域で初めて開催した。会場の熱川プリンスホテル(東伊豆町)には5施設から15人が集まり、講師のNPO法人キャンサーネットジャパン認定乳がん体験者コーディネーターの松井亜矢子さんの話に熱心に耳を傾けた。

 松井さんは「乳がん患者は12人に1人と増えている。罹患のピークも40代から50代と若く、治療に5年、検査に10年と長く病と向き合うケースが多い」とし、「乳がん患者が抱える、術後だけでなく、数年間『温泉に行けない悩み』は、経済・精神面の悩みと合わせて、3大苦悩のひとつというデータもある」と説明した。

 そのうえで、「入浴時の壁となる『裸を見られたくない』『個室露天風呂付き客室は高価で泊まれない』『まわりが気を使うのでは』など、具体的な悩みに応える心配りが各宿にあるとうれしい」と呼び掛けた。

 例として、「入浴や着脱時に使うタオルは、透けないよう少し厚手で大判のものが複数あるとうれしい。また、貸し切り風呂は短時間の設定でもよいので利用料を安くし、敷居を低くしていただければ」と提案した。また後遺症や薬などの副作用にも触れ、「脱毛や薄毛に悩む人にはシャワーキャップは透明ではなく有色だと心強い」「治療によっては大量の汗をかくホットフラッシュも起こりやすく、浴衣の備え付けが夜・朝用の2枚あり、客室の毛布も気軽に調整できるとありがたい」と付け加えた。

 食事については、「カロリーや添加物・化学肥料にも敏感になっているが、それを気にして残してしまうのはもったいなく、心苦しい。事前リクエストができ、ハーフコースの設定や、有機野菜や玄米を使ったヘルシー料理などが選択できればうれしい」と話し、「健康志向が高まるなか、これらのサービスは乳がん患者に限らず、時代のニーズにも合っているのではないか」と言及した。

 またコースの場合、手元に献立表があると「料理の内容(素材)がわかるだけでなく、体調に合わせて食べ進めるなどのペース配分がしやすい」ことも強調した。

 自身だけでなく、家族がんの経験者でもある松井さん。「旅先で温泉に浸かり、病の悩みを一瞬でも忘れ、家族や友人と語らった記憶は数年経っても思い出に残るもの」と振り返る。「ひとりでも多くの乳がんサバイバーがもう一度、気兼ねなく温泉に入り、素敵な思い出を作れるよう、そっとサポートしていただけたらありがたい」と思いを伝えた。

 同ネットワークは今後も各地で勉強会を開き、次回は12月10日に石川県・和倉温泉の「加賀屋」にて開催を予定する。

 問い合わせ=ピンクリボンのお宿ネットワーク事務局 電話:03(3834)2718。