ハワイアンズ「きづなリゾート」へ、2月8日グランドオープン

フラガールと虹をデザインしたロゴを披露
フラガールと虹をデザインしたロゴを披露

 現在、部分営業しているいわき市のスパリゾートハワイアンズは2月8日、「きづなリゾート」を新コンセプトに、フラガールのメイン舞台となるビーチシアターやプール施設の改修を経てグランドオープンする。40億円を投じて新築した120室500人収容のホテル「モノリス・タワー」も同時開業する。

 運営会社の常磐興産がこのほど発表した。新しいコンセプトは「人と人との結びつき、離れないようつなぎとめる綱(つな)」という意味を込め「きづな」と表現した。グランドオープン後は、人と人とが交流できる「場所」と「時間」を随所で演出する。5つのテーマパークを虹で、温かく迎える心をフラガールで表現したロゴマークも披露した。

 新ホテルの特徴は、22時間ステイ(チェックイン午後1時、アウト午前11時)。住まう「客室」、フレンチポリネシアン「バイキング」、過ごせる「温泉」という3つの柱で滞在中の「きづな」を演出する。

 料理はポリネシアン料理にフランス料理の技法を融合させたバイキングが楽しめる。カウンターで調理するシェフとのコミュニケーションなど「ライブ」感を演出する。

 客室は白を基調とした和洋室(64室)とベッドを置かず就寝前にスタッフが高床のフローリングに「ふとん」を敷くウッド調の洋室(29室)が主体。ロフトのあるファミリータイプやスイートルームも用意した。

 温泉は加水、加温をしない源泉掛け流しの硫黄泉。四角を組み合せ、人がよりどころとする「隅」をたくさん取り入れた「すみの湯」、巻き貝をデザインした「うずの湯」という2つの湯船を楽しめる。

 10月の部分オープン後、宿泊客の収容力は震災前の約5割だが、宿泊客数は前年同期の40%まで回復した。「来館者は徐々に増えてきたと実感している。2014年に震災前の年間来館者(日帰り145万人、宿泊40万)に戻す」(斎藤一彦社長)という。

浅間酒造の櫻井氏ら3人、東京農大経営者大賞を受賞

表彰式で受賞者が登壇
表彰式で受賞者が登壇

 東京農業大学・東京農業大学短期大学部主催の「東京農大経営者フォーラム2011」が11月25日、世田谷キャンパス百周年記念講堂で開催された。2011年度の「東京農大経営者大賞」には川中醤油(広島県)の川中敬三社長、浅間酒造(群馬県)の櫻井芳樹社長、清水牧場(東京都)の清水陸央代表の3人が選ばれ、表彰式と受賞記念講演が行われた。

 東京農大では優れた経営やビジネスで活躍して社会に貢献している約14万人の卒業生を対象に、「東京農大経営者大賞」と「東京農大経営者賞」を贈り、その栄誉を讃える「東京農大経営者フォーラム」を2000年から開催している。今年で12回目。2009年からは経営に関する技能・技術の開発および普及において顕著な功績の認められた卒業生に贈呈する「東京農大経営者技能賞」も新設されたが、今年は該当者なしだった。これまでの受賞者数は今回の受賞者を含め93人になった。

櫻井芳樹社長が受賞記念講演
櫻井芳樹社長が受賞記念講演

 経営者大賞を受賞した浅間酒造(群馬県・長野原町)の櫻井社長は、本業の清酒醸造業経営だけにとどまらず、観光酒蔵の先駆けである浅間酒造観光センターを立ち上げるなど多角的な事業展開に成功し、低迷著しい清酒業界にあって健全な収益を実現していることが高く評価された。

 なお、浅間酒造観光センターは旅行新聞新社主催の「プロが選ぶ観光・食事、土産物施設100選」で両部門7年連続全国第1位を獲得している優良観光施設としても有名。

 受賞者3人による記念講演のあと、「東日本大震災―被災の実態と復興への経営者の役割」をテーマにしたミニシンポジウムも行われた。

 パネリストには、過去に同経営者大賞を受賞している一ノ蔵(宮城県)の淺見紀夫名誉会長、南部美人(岩手県)の久慈浩介専務、サンバレーグループ(栃木県)の新田恭一郎代表が登壇し、それぞれの被災体験や経営者として震災復興に向けてどのように行動し、社会貢献してきたかなどが発表された。

13%減まで回復、11月の訪日外客数

 日本政府観光局(JNTO)が発表した2011年11月の訪日外客数(推計値)は、55万1900人と、前年同月比13・1%減まで回復。東日本大震災の発生後の4月を底に、順調な回復を見せている。

 各市場の動向をみると、韓国は同32・1%減の13万4千人と、円高の影響が強く回復傾向が停滞。3カ月連続で前年同月比3割台の減少が続いている。

 中国は、震災後初めてのプラスとなる同35・0%増の9万2300人。ただし、10年同月は尖閣諸島沖の中国漁船衝突事件の影響で大きく落ち込んだため、その反動の部分が大きい。

 同じく昨年落ち込みの激しかった香港は、反動により同22・8%増の3万3700人となった。震災後縮小していた定期航空便の回復や新規就航便により座席供給数が増加したことも大きい。

 10月に震災後初めてプラスに転じた台湾は、同3・6%減の8万6200人。円高の影響により再び微減となった。

 そのほかでは、タイは洪水の影響で同39・1%減、シンガポールも原発事故への懸念が強く同47・1%減と大きく落ち込んだ。米国、カナダは前年同月比10%前後のマイナスまで回復し、原発事故への懸念により大きく落ち込んでいたフランス・ドイツも同20%程度のマイナスまで回復してきた。

 なお、出国日本人数は、前年同月比6・5%増の148万8千人で、5カ月連続の増加となった。 

固定資産税減税が決定、調査後15年度から実施(12年度税制改正大綱)

 野田内閣は11年12月10日、2012年度税制改正大綱を閣議決定し、旅館・ホテル業界の長年の悲願であった「固定資産評価の見直し」が盛り込まれ、正式決定した。実施は2015年度の評価替えからの対応となる。

 今回の固定資産評価の見直し決定について、本紙の取材に対し、全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会の佐藤信幸会長は「長年の悲願が叶い、大変感謝している。経営維持のため経費削減に取り組むなか、固定資産税だけは不当に重く厳しい状況だったが、今回の見直しで助かる旅館は本当に多いと思う」とコメントした。

 日本観光旅館連盟の近兼孝休会長は「民主党観光振興議員連盟ができて2年目で、本当によくやっていただいたと感謝している。15年度に確実に実施されるよう見守りたい」と語った。

 また、15年度評価替えからの実施に関して、国際観光旅館連盟の佐藤義正会長は「システムの組み変えなど準備を考えると妥当。ただ、形だけの見直しではまったく意味がないので、正当な評価となるように望む。評価がどれくらいになるか減税幅に注視し、国観連としても活動していきたい」と話した。

 さらに、観光庁の溝畑宏長官は12月16日に開いた会見で「就任以来取り組んできたことなので、思い入れが強い。観光立国の実現には、旅館の経営基盤の強化が重要な課題なので、今回の見直し決定は大変感謝している」と語った。

 旅館3団体を中心に旅館業界は、建物の改装・改築に膨大な経費を要することや、対応年数と使用実態とのギャップ、建築から何年経過してもその評価額が下がることなく税負担が不当に重いと、固定資産税の見直しを訴えてきた。2011年度税制改正大綱で、次年度以降の検討課題とするG判定になったのを契機に、5月には観光庁で調査。2012年度税制改正要望の2次査定では「要望を認める」とのA判定を受け、2012年度税制改正大綱に盛り込まれた。

 今後は現在実施している実態調査などの結果を踏まえて検討を進め、2015年度からの評価替えとなる。

 2012年度税制改正大綱固定資産評価見直し部分の抜粋は、以下の通り。

 観光立国の観点から重要な役割を果たすホテル・旅館の用に供する家屋に係る固定資産評価の見直しについて、現在実施している実態調査等の結果を踏まえ、家屋類型間の減価状況のバランスも考慮の上、具体的な検討を進め、平成27年度(2015年度)の評価替えにおいて対応します。 

16年2千万人継続か、基本計画に高数値目標を

 国土交通省は11年12月12日、有識者からなる第17回交通政策審議会観光分科会を開き、観光立国推進基本計画の見直しについて具体的な数値目標案を提示し協議した。16日に会見を開いた観光庁の溝畑宏長官の報告によると、「『より高い数値目標を掲げるべき』との意見が多かった」という。観光立国推進基本計画の数値目標は、現状を考慮せず高い数値目標のままとなるか。2月の審議会を経て年度内の閣議決定を目指す。

 12日の交通政策審議会観光分科会では、見直しへの議論を進めている観光立国推進基本計画の数値目標案を提示。訪日外国人旅行者数は当初計画通りの「2016年までに2千万人」という案と、2010年実績の861万人と原発事故による風評被害による訪日外国人客数の減少を考慮し、当初計画より引き下げた「2016年までに1500万人」という2案が出された。

 訪日外国人の満足度は、2010年の「大変満足」35・6%、「必ず再訪したい」49・7%に対し、それぞれ40%、50%程度を目標値案とした。国際会議の開催件数は2010年実績の741件に対し、2016年までに50%以上の増加と、アジア最大の開催国となることを提案。日本人の海外旅行数は2010年実績1664万人に対し、2千万人を目標数値案とした。

 国内における旅行消費額の目標は26兆4500億円―33兆5900億円(09年は25兆5千億円)。年々減少している国内宿泊観光旅行の年間平均宿泊数の目標は、2010年に2・12泊だった実績に対し、2016年までに1泊増加させる3・12泊の案と、まずは過去5年の実績平均に戻す2・42泊の案、減少傾向を食い止め現状を維持する2・12泊の3案が出された。国内観光地域の旅行者満足度の目標は、「大変満足・必ず再訪したい」で25%の案が提示された。

 16日の会見で溝畑長官は分科会のようすを報告。「観光は日本のリーディング産業のため、経済成長よりも高い水準の目標を設定するべきとの意見が多く出た」とした。また、インバウンドのさらなる強化とMICEの推進、日本政府観光局(JNTO)の体制強化に対する意見が出たという。MICEとJNTOについて11年度予算で減らされた旨の質問がおよぶと、長官は「少ない予算で大きい効果を得るのが我われの役目。予算規模は関係ない」と語った。JNTOについては「韓国やシンガポールなど他のインバウンド強国に見劣りしない体制へ強化する」と力を込めた。 

2012年新春特別対談 観光で地域を元気に

2012年新春特別対談
観光で地域を元気に

 2012年の本紙「新春対談」は、民主党観光振興議員連盟の川内博史会長と全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会の佐藤信幸会長(日本の宿 古窯)が登場。2011年は、東日本大震災による直接的被害に加え、福島第一原子力発電所の事故の影響で「風評被害」という言葉では括れない多くの「実害」を生み、東日本を中心に観光業界は壊滅的な被害を被った。一方、九州新幹線全線開業効果による西日本を中心とする観光の盛り上がりも見られた。12月10日には、2012年度税制改正大綱に、旅館業界が長年の悲願として要望してきた「ホテル・旅館に係る固定資産評価の見直し」が盛り込まれ、15年度の評価替えからの実施が決定。この決定に大きく関わった観議連の川内会長と、全旅連の佐藤会長に観光業界の現状とこれからについて語ってもらった。

【司会進行=旅行新聞新社社長・石井貞徳、構成=増田剛、伊集院悟】

固定資産税 減税へ

<観光業界2人のキーマンに聞く!!>

民主党観光振興議員連盟会長
川内 博史

×

全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会会長
佐藤 信幸

川内 博史 氏  ×  佐藤 信幸 氏

※ 詳細は本紙1447号または日経テレコン21でお読みいただけます。

“人間”のサービスに ― 不要論は出ない(1/1付)

  2011年は日本国内だけでなく、世界中で激動の1年だった。12年はどのような年になるのか。もちろん期待もあるが、不安も同じくらいある。

 今年は旅行業界の雄「JTB」が創業100周年を迎える。JTBよりも一足先に、日本旅行が2005年に創業100周年を迎えた。日本を代表する2つの旅行会社も、1世紀という重い歴史と伝統を有する100年企業なのである。この長き歴史に敬意を表したい。

 JTBが創業した100年前の1912年も、まさに激動の年だった。4月にタイタニック号が沈没、7月には大阪に初代通天閣が完成。そして、明治天皇が崩御し、元号が明治から大正に変わった。日本旅行が創業した1905年は日露戦争の年だ。激動の時代からスタートしたために、その後の数知れない荒波にも耐え、自らを変革し、大企業に成長したのだろう。そして今でもそうかもしれないが、一昔前は、学生にとって旅行会社は眩しいくらいに憧れの企業であった。

 しかし、近年のIT革命によるインターネットの進展によって、大手旅行会社の苦戦が続いている。海外旅行も国内旅行も、楽天トラベルやじゃらんnetに代表されるインターネット総合旅行会社や、宿泊予約サイトに押され気味だ。大手だけでなく、中小の旅行会社も相当に厳しい状況に直面している。

 人間同士の競争であるならば、個人や企業努力によって存在感を示すことはできる。しかし、どんな業態であっても、機械やコンピューターに代わる存在となってしまえば、不要論も出てくる。一方、人間でなければ成り立たない仕事は強い。医師や看護師、学校の先生、料理人などは、100年後も存在しているはずだ。高性能ロボットのようなものも出現しているだろうが、人間でいるかぎり不完全でありながらも、どこか温もりのある人の手や感情を求めるものだ。電脳シティの象徴である秋葉原に、拙なれど、温もり十分のメイドカフェが誕生したのも偶然ではない。未来はコンピューターやロボットによって簡便かつ正確に物事を処理する能力の競争がさらに激化するだろう。その反面で人間の生のサービスを求めるという、2極化が進んでいくだろう。忘れてならないのは、観光業界こそ、人の力が必要とされているということだ。

(編集長・増田 剛)

「平清盛」ドラマ館、呉と宮島に同時オープン

宮島・広島・岩国・呉・廿日市市の首都圏観光宣伝隊

 宮島・広島・岩国・呉・廿日市市の首都圏観光宣伝隊が12月8日、本紙を訪れ、大河ドラマ「平清盛」関連情報、旬を迎える冬の味覚カキのイベント情報などをPRした。訪れたのは、広島観光親善大使の木本知佳さん、宮島観光親善大使の田中智子さん、ミス岩国の水間美香さんら6人。

 広島市では1月3日まで、「ひろしまドリミネーション」を開催している。平和大通りや、広島県庁舎前の交差点エリアなど市内中心部で140万個の電球によるイルミネーションが輝く。「おとぎの国」をメインテーマに、ハートランド、もみじの丘、スタードームなど25の独立した作品が展示される。今年は全体の97・5%はLED電球を使い、節電には十分に配慮した。2月は、カキを味わうイベントが続く。毎年恒例の宮島かき祭りは2月11、12日の開催。浜焼き、土手鍋、雑炊など地元産のカキをたっぷり使った格安料理コーナーが展開される。

 1月8日から放送が始まる大河ドラマ「平清盛」に合わせ、宮島と呉に14日、ドラマ館が同時オープンする。宮島ドラマ館は歴史民俗資料館の一角を使い、清盛と宮島の関係を示す資料や、オリジナル映像、ドラマ出演者が実際に着た衣装や道具などを展示する。入場料は大人が500円、小中高生が250円。

 宮島では土・日・祝日、プロの登録ガイドさんと歩くツアーガイドを実施している。今年は、平清盛ゆかりの場所を巡る1時間30分のコースを新たに設定した。宮島桟橋の観光案内所で当日、申し込むことができる。料金は500円。

 岩国の名勝、5連のアーチが特徴的な錦帯橋は1月下旬まで夜間、黄色のライトで橋の裏面をライトアップ。「黄金の錦帯橋」として昼とは違う景観を楽しめる。約3千本の桜が植えられている吉香公園は3月下旬から4月上旬、桜のシーズンを迎える。満開の桜が並ぶ土手と錦帯橋との対比は絶景という。

 米軍岩国航空基地との共用使用という形で、2012年度の開港を目指し、岩国錦帯橋空港の整備も進められている。岩国―羽田間を1日4往復する。アクセスは岩国駅から車で7分。