山口県は8月31日まで、国内観光客誘致や国際観光推進業務を担当する任期付職員を公募している。受験資格は、日本国籍を持ち、民間企業などで旅行商品の企画や国際観光関係の職務経験が5年以上ある人。 体験型旅行の誘致や、国内観光客誘致、施策の企画立案、国際観光の推進、中国・韓国・台湾など東アジア地域からの観光客の誘致などを担当する。任用期間は2012年1月1日―14年12月31日。給与は経歴に応じて決定(【例】大学卒、経験8年、30歳で24万5千円程度。大学卒、経験18年、40歳で32万円程度など)。所定の受験申込書と受験票に加え、これまでの業務で自分の果たした役割や印象的な体験など、業務実績を1千字以上で記載した業務実績紹介書を用意し、山口県地域振興部観光交流局観光交流課へ提出する。合格発表は10月下旬を予定。
詳しくはURL=(http://www.pref.yamaguchi.lg.jp/cms/a16200/ninkituki/boshuu.html)。
古代と現代の時空を旅する(ホツマ観光研究会)

ホツマ観光研究会(会長=原祥隆帝京大学非常勤講師)は7月16、17日の2日間、京都府の竹野神社(京丹後市)や比沼麻奈為神社(同)、元伊勢内宮皇大神社(福知山市)など、アマテルカミ(天照大神)と縁の深い神社や土地を観光で訪れ、古代の日本を想像しながら現地体験をした。
ホツマ観光研究会は、「ホツマツタエ」を研究し記述された地域を観光することによって、日本の地方に脈々と息づく伝承に触れ、真の日本、東アジアの古代史を紐解くことを目的としている。毎月1回東京都文京区の東洋大学(事務局は島川崇研究室)で、ホツマツタエの研究者・一糸恭良氏(東神商事代表取締役社長)を中心に、有志の研究会員約10人が学んでいる。
「ホツマツタエ」は1966(昭和41)年に故松本善之助氏(現代用語の基礎知識・自由国民社初代編集長)によって再発見(最初の発見は江戸時代)された未確定の歴史書。現在、古事記・日本書紀の原書として研究が進んでいる。ホツマツタエは古代文字で書かれ、記紀が神話(天孫降臨伝説)とした世界を、神話ではなく、人の営み(実話)として描いている。
ホツマ観光研究会は、ホツマツタエの記述をもとに、全国各地を観光し、地域のホツマツタエの伝承を調べ現地体験することで、これまで解明されていなかった縄文時代前期以降の歴史に、新たな足跡を見出していこうとする、“古代と現代の時空を旅する観光”を楽しむ会である。
【増田 剛】
ジャパンホリデートラベル、HISと業務提携へ

“最強コンビ”で訪日拡大
中国からの訪日旅行を専門に扱うジャパンホリデートラベル(呉煜康社長、大阪市中央区)は8月2日、大阪市内のホテルで全国の旅館・ホテルや自治体関係者を招き、懇親パーティーを開き、旅行業大手のエイチ・アイ・エス(HIS、平林朗社長)との業務提携を発表。海外戦略のエキスパートとインバウンドのエキスパートの「最強コンビ」誕生を演出した。
呉社長はまず、2010年と11年のインバウンド実績を報告した。それによると、10年の取扱人員は7万3349人で、7、8月が単月で1万2千人突破と過去最高を記録。ただ、9月以降は尖閣問題で大幅ダウンとなった。
11年の1、2月は上向き傾向にあったが、3月以降は東日本大震災と福島原発で大幅減。「4、5月がほぼゼロ。6月以降は回復傾向にあり、5―7月は対前年で回復率40%まで戻した」(呉社長)という。1―7月の取扱総計は2万人となった。8―12月は毎月7千人を目標に、年間取扱人員5万5千人を見込んでいる。
同社の新規取り組みでは、九州・沖縄の市場拡大を目指し、3月に福岡事務所(三浦隆司所長、福岡県福岡市中央区)を開設。豪華クルーズの取り組み強化など、9月から本格営業を開始する。
7月1日には同社の北京、上海、広州、成都、浙江、武漢の6支店に続き黒龍江、吉林、遼寧の東北3省の営業拠点として、瀋陽事務所を開設した。4月1日には全国の自治体、民間とタイアップして、中国への観光プロモーションに取り組む会社「JPHグローバルマネージメント」(呉煜康社長)も設立している。
HISとの業務提携では(1)中国や東南アジアからの訪日ツアー強化(2)豪華客船クルーズへの取り組み(3)合同手配や企画・仕入れ体制の構築(4)各拠点での相互間チャーター(5)日本以外の米国、ハワイ、アジアなどでの中国人受入れ体制構築――に取り組む。
観光の復興へ、ANTA 二階会長 × 旅行新聞 石井社長
東日本大震災による被災、さらに福島第一原子力発電所の事故による影響で、東北を中心に日本全体の観光が大打撃を受けている。長年観光業界の発展に携わり、衆議院議員で全国旅行業協会(ANTA)の会長を務める二階俊博氏が、東北観光の復興、さらには日本の観光の将来像について、旅行新聞新社の石井貞徳社長と語り合った。
【伊集院 悟、増田 剛】
◇ ◇

二階 俊博 氏
■石井:地震、津波、原発事故の問題と、東日本大震災の影響で、東北を中心とする観光業界が大打撃を受けています。まずは現在の状況についてお話ください。
■二階:今回の震災では地震、津波、原発事故と3つの打撃を受けた。とくに原発事故の影響は大きく、日本を訪れる外国人観光客が激減。観光への大打撃は、被災地である宮城、岩手、福島の東北3県だけにとどまらず、周りの県にも波及し、手の施しようのない状態になっている。諸外国に対し、避難指定区域以外は安全であるということをしっかりと発信しなくてはいけない。全国旅行業協会としても微力ながらできる限りのことをしていきたいです。7月26日に福島の土湯温泉の山水荘で開く韓国の麗水万博の説明会では、万博のカンドンソク委員長一行を招き、福島の各温泉地の代表に現状を語って頂く。全国から参加する全旅の幹部は力を合わせて頑張ることを誓い合います。
■石井:訪日外客数の激減は、観光業界に対して大変大きな打撃です。中国を中心とするインバウンドの現状と今後について、どう見ておられますか?
■二階:中国では、震災後しばらくは原発の波紋があったが、ようやく平常心を取り戻したようで「日本は元気に復活してきた」という認識を持ってくれているようです。
5月に中国の温家宝首相が日中韓首脳会談のため来日した際に、東北の多くの子供たちを中国に招待したいとおっしゃってくれましたが、これもさっそく8月1日に第1陣の100人が実現する。私もANTAの会長として参加させて頂くことになっている。林幹雄衆議院議員(元国家公安委員長)、観光庁から山田尚義審議官、さらに政治評論家の森田実先生もご一緒頂けます。子供達の将来が楽しみですね。中国は大震災に見舞われた日本の現状に対し、隣国として友好的に積極的に支援の手を差し延べてくれています。
今回の震災でも再認識したが、観光面ではとくに「日中韓のトライアングル」でしっかりと手を結び連携していかなくてはならない。来年は韓国の麗水で世界博覧会(万博)が開かれます。愛知、上海、麗水と、世界の万博がアジアで集中して開かれるのはアジアにとって大変名誉なことであり、意義は大きい。麗水の万博には日本の観光業界も総力をあげて支援したいと思っている。先日韓国の鄭柄国文化体育観光大臣が来日し、我われも協力を約束している。観光は「のこぎり」のようなもの。のこぎりを使うときは押すだけ引くだけではダメで、押したら引かなくてはいけない。観光も同様で、来てくれと言うばかりではなく、来てもらったらこちらからも出かけて行くべきです。送客で支援することは、必ず日本の観光にとって大きなプラスとなって返ってくるので、全旅協として送客にも力を入れていきたい。
国同士の交流は、突き詰めれば人の交流から始まる。政治的、経済的な交流が難しくても「観光」から交流することで、そこから堰を切って流れを生み、経済や産業面での交流に発展させることもできます。
先日、武部勤元自民党幹事長などと離島対策の調査で沖縄の大東島に行って来ました。離島の雄大な風景と温かい島の人々の人情に触れて素晴しい想い出を持つことができました。離島振興には「観光」も有力な手段として力を入れたいと思っています。
「日中韓のトライアングルで」

石井 貞徳 社長
■石井:国の事情でスムーズにいかないことも、観光が風穴を開けることもでき、交流の最初の接点に「観光」は最適ですね。
東北の観光復興への対応についてはいかがでしょうか?
■二階:まずは、風評被害を少しでも防ぐため、イベントなどで福島県産の野菜や食物などを使ってもらえるよう働きかけています。小さいことですが、そういったところからコツコツとやっていくことが大切。あとは、東北への修学旅行のキャンセルが相次いでいるので、修学旅行の東北への誘致にも尽力していきたい。
先日、ご承知のように岩手の平泉と小笠原諸島がユネスコの世界遺産に登録されました。岩手そして東北地方にとっては大きな朗報。今回の世界遺産登録をいい刺激に、復興への奮起材料としてもらいたい。小笠原では村長の三選が無投票で決まったが、選挙でニ分されることなく、村をあげて一致団結してがんばっていこうという表れと感じました。
■石井:復興へ向けては、個人・会社・団体などそれぞれの自助努力だけではどうしても限界があり、国のリーダーシップ、援助も必要だと思います。
■二階:みんな途方に暮れるという姿になった。地元の人たちに元気を出してもらうことと、国の責任で復旧をと呼びかけるために杉良太郎さんや伍代夏子さんらにお願いして、ボランティアで東北に出かけて頂いて熱唱してもらった。炎天下に多くのファンが集まった。今回の震災で東北の鉄道などインフラが破壊されてしまった。交通は旅行・観光のシンボルでもあり、動脈です。インフラの早期復旧が東北復興には不可欠。第3次補正予算に向け、被災鉄道に対する国の支援の抜本的な拡充をはかるよう緊急要請を大畠章宏国土交通大臣に提案しました。現行の災害復旧事業費補助制度での国の補助率を4分の1から2分の1以上に大幅に引き上げ、事業者に負担を求めないことなどを実現したい。
「観光復興へ国の支援が必要」
■石井:国が危機に面しているときにこそ、力のある政治家の方に動いていただくことが本当に大切だと感じます。観光の復興のためには、旅館とその象徴的な存在である女将の存在が不可欠。東北を元気にするには旅館と女将が元気にならなくてはいけない。そのためには、旅館・ホテルや旅行会社への国からの支援も必要だと思います。
■二階:おっしゃる通りで、現状では、体力勝負になってしまっている。体力のないところから脱落してしまうという状況を打破するためにも、国が正面に立って引っ張り、思い切った手を打たなくてはならない。観光という側面だけではなく、広い意味においても、地域や地方を大切に守っていくため、観光庁が手を差し伸べるべきです。
先日6月17日に、ようやく「津波対策の推進に関する法律」が成立しました。官僚まかせにすることなく、議員立法で進めて昨年の法案提出から1年かかったが、やっと形になった。海岸堤防や避難路などの施設整備のハード対策とともに、迅速・的確な津波情報や、津波避難ビルの指定、津波ハザードマップの作成などソフト面での対策等も積極的に講じていきます。
政治の一番なすべきことは国民の生命と財産を守ること。そのためには当然、状況に応じた予算も必要となってくる。それを惜しむべきではない。いつのときも、いやこういう状況だからこそ、与党も野党も関係なく、政治がしっかりとしないといけない。
■石井:観光業界にとって、本当に大変なときを迎えていますが、これからの日本の観光の将来像について今現在どのようにお考えでしょうか。
■二階:観光は過疎の町、過密の町は関係なく、しっかりとその土地の魅力を見つめ、的確な努力をすれば必ず花開きます。その意味では今、過疎対策や離島振興にも着目している。離島には日本の本来の良さがたくさん詰まっており、観光の果たす役割が非常に大きいと思います。
あとは、この難局を乗り切るためにはオールジャパンでの取り組みが大切。今、ヒマワリキャンペーンを大展開し、ヒマワリの種を10万袋配っています。これは、千葉県香取市の「あたりや農園」という種苗屋さんが、この私たちの運動に賛同されて寄付して頂きました。うれしいことです。感動しましたよ。ヒマワリの花写真コンクールや絵画展等も開催しますが人々の小さな善意を寄せ合って立ち上がりたいですね。ひまわりは放射能を吸い上げてくれるという話もあり、黄色い大きな花を咲かせてくれる。多くの人に勇気を与えてくれます。さらに「小さな幸せ」が花言葉である「菜の花のキャンペーン」も考えています。この夏は全国でヒマワリの黄色い花が咲き誇り、少しでも皆さんの元気につながればうれしい。来年は全国から集まったヒマワリの種をみんなで福島に植えにいきたいですね。次の「菜の花」大キャンペーンに続けていきたいと思っています。協力下さる人々の土壌はできつつあります。

日本の祭りinあおもり2011 9月24、25日に開催
地域伝統芸能活用センター(中村徹会長)は9月24、25日の2日間、青森県の青森市文化会館をメイン会場に、日本の祭りinあおもり2011(第19回地域伝統芸能全国フェスティバルあおもり・第11回地域伝統芸能による豊かなまちづくり大会あおもり)を開く。 地域伝統芸能を活用することにより、観光や地域商工業の振興をはかることが目的で、全国の祭りが青森に集結する。
高円宮妃殿下が臨席し、開催記念式典・高円宮殿下記念地域伝統芸能賞など表彰式を行うほか、地域伝統芸能公演や出演者交歓の夕べも開く。
個人向け福利厚生サービス、「モラエル」を開始

法人向けに福利厚生のアウトソーシング事業などを手掛けるベネフィット・ワン(白石徳生社長、東京都渋谷区)は7月14日から、個人向け福利厚生サービス「モラエル」を開始した。年会費1万1976円で、全国15万件以上の割引サービスと年会費以上の無料利用券を提供する。全国の参画企業などの協力で、3年後には100万人の会員を目指す。
同社は福利厚生のアウトソーシング業で最大手となる受託企業数4033団体、総会員数549万人(今年4月時点)を有する。福利厚生のアウトソーシングは、企業の垣根を越えた「福利厚生インフラ」で、一企業では難しい充実した福利厚生制度を社員に提供できるのがメリット。
今回の新サービスでは、これらの法人契約を結ばなければ受けられなかったサービスを、会費を払うことで個人でも利用できるようにした。宿泊施設や飲食店、レジャー施設などが30―50%の割引で何度でも利用できる。また、年会費と同額以上の無料利用券と交換できるポイント「エール」が付与され、1千件のメニューから選んで利用できる。例えば、3―5万円相当の宿泊券や約4万円のブランド財布、約27万円の高級着物など驚くメニューもそろえる。メニューは随時更新される。同日開いた会見でサービスの説明に立った白石社長は、個人向けサービスの課題として、利用率の低さや将来的な退会をあげたうえで、「会費を払っても絶対元が取れる価値のあるサービスを目指した」という。
一方、無料券を提供する企業にとってもメリットが高いのが特徴だ。提供は閑散期のみでよく、「無料クーポン」のため、ダンピング競争やイメージダウンにはならないという。また、従来のウェブクーポンなどでは、利用にあたり広告料が発生するが、同サービスは掲載広告料や送客手数料は無料。運営コストは、サービスを利用する会員側に課金する仕組みだ。将来的には、インターネット上で日本最大の「手数料無料の公設市場」という構想を持つ。
また、震災以降停滞しているサービス産業の復興支援事業として位置付け、(1)日本全体のサービス産業への集客増加策(2)繁忙期と閑散期の平準化が最大のエコ(3)会費から義援金プログラム――の3つを掲げる。「サービス業は波が激しいのに、航空や宿泊以外、ほとんどの企業はレベニューマネジメントを導入していない。同サービスは閑散期の集客ツールとして利用していただきたい。一時的な集客が目的ではなく、ニーズの平準化が重要だ。サービスのアウトレットモールを目指す」と意気込みを語った。
今後の目標数値は、2012年4月に会員数15万人、無料提供プランが7千プラン、13年4月に同50万人、同1万プラン、14年4月に同100万人、同1万2千プラン。
草津・城崎交流事業「浴衣が似合う温泉地」太鼓で競演

兵庫県の城崎温泉観光協会に所属する太鼓座「城崎温泉湯けむり太鼓」は7月19日、群馬県の草津温泉を訪れ交流事業を行った。草津の観光協会や旅館関係者と意見交換を行ったほか、湯畑前では地元の「草津ゆけむり太鼓」と共に観光客を前に勇壮な演奏を披露した。
両者は旅行新聞新社の運営する旅サイト「おかみねっと」の一般アンケートで、「浴衣が似合う温泉地」として毎年1、2位を争う東西の横綱。今回は東日本大震災で観光への影響が見られるなか、「西の城崎から東の草津へ元気を送りたい」と呼びかけ実現した。
当日は観光客や関係者が見守るなか、東西の温泉地による迫力ある太鼓ショーが繰り広げられ、黒岩信忠草津町長も駆け付けて声援を送った。
草津ゆけむり太鼓保存会の黒岩卓氏によると、両チームは「温泉地にある、同じ名前の太鼓座」という縁で3月頃から交流を始め、そのなかで太鼓競演の企画が持ち上がったという。「メンバーには旅館の若旦那や若女将も多く、スケジュール調整も難航した」と話す。
一方、城崎温泉湯けむり太鼓座長で旅館「芹」経営者の芹澤正志氏は、「城崎の太鼓チーム発足も阪神淡路大震災と2年後のナホトカ号重油流失事故による観光客減少がきっかけ。震災や原発の風評被害を受けるなか、太鼓を通して交流をはかり、互いの温泉地を盛り上げていきたい」と力を込めた。
今後はさまざまな共通点を活かし、東西の温泉地として連携し、交流を深めていくという。
福島で復興支援会議、東北のセールスマンに

株式会社全旅は7月26日、福島県福島市内の土湯温泉・山水荘で観光による今後の復興支援策を協議するため福島県復興支援会議を開いた。全国の営業所長のほか被災地側の市町村、観光協会、旅館代表者などが出席した。全国旅行業協会福島県支部110社の報告によると震災以降、18億円の損害が出ており、7月現在も対前年比9割減の落ち込みが続く状況。また、全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会福島県支部の調査(3―6月)では約68万人がキャンセル。74億円の市場が喪失したという。
池田孝昭社長は「震災から4カ月が経つが未だに明るさを取り戻せていない。岩手、宮城、福島の皆さんのために我われがどう支援できるのか。全国の営業所長さんの知恵を借りたい」とし、「地域の皆様から情報発信していかなければお手伝いもできない。12年前から進めている着地型旅行の理念が震災のときにも大きく役立つ」と語った。

全国旅行業協会(ANTA)の二階俊博会長は「こういう時こそ力を合わせての精神が必要。旅行業という持ち場を活用して1人でも多く送客することが我われの天命、天職。ひるむことなく、油断することなく一人ひとりが東北のセールスマンになろう」と語った。
福島県の内堀雅雄副知事は「震災・原発の影響で福島県の観光は深刻な状況にある。しかし実際に原子力災害のために立ち入りができないのは県全体の5%の地域にすぎない。風評被害を払しょくするためさまざまな取り組みを始めている。この機会に安心・安全であることを確認いただきたい」と佐藤雄平知事のあいさつを代読した。
福島県観光物産交流会観光部の黒澤文雄統轄部長は「情報の正確な発信が第一。毎日戦っている姿を見せていこうと取り組んでいる」と話した。4月に立ち上げた福島県応援情報サイト「応援ありがとう、がんばる福島」は、毎日情報を更新。1日の平均アクセスは2600件以上あるという。今後の観光振興については、「福島を応援したいという企業や自治体との連携を強化している。観光性の旅行はほとんど消え1、2年は難しい。危機管理を学ぶ現地視察ツアーなど特定のマーケットへの訴求が大事」と語った。
9月から発給要件緩和、職業地位基準を撤廃(中国人個人観光ビザ)

外務省は8月10日、2010年7月から1年間行った訪日中国人個人観光ビザの発給要件緩和の試行期間を踏まえ、9月1日からさらに発給要件を緩和すると発表した。
10年7月からビザの発給要件を緩和し、それまでの年収25万元以上の富裕層限定から、年収6万元以上という中間層1600万世帯までに広げ、政府機関や企業の中堅幹部など「一定の職業上の地位および経済力を有する者」と変更。1年間を試行期間と設定していた。この発給要件緩和により、中国個人観光ビザの発給数は、09年7月―10年6月の2万3858件から10年7月―11年6月の6万2072件へと大幅に増加した。
今回、その試行期間の運用状況を踏まえ、「一定の職業上の地位」という基準を撤廃し、「一定の経済力を有する者」という基準だけにするという、さらなる要件緩和を決定。これは、経済要件をクリアしているが仕事をリタイアしている人や、同じく経済要件を満たすも一定の職業上の地位にない人などからの要望があり、検討を重ね改定に踏み切ったという。また、複数都市を回るには日数が短いとし、ロングステイ観光を期待し、滞在期間を15日から30日に拡大。そのほか、妻や子供などの家族も対象とすることや、受付申請を中国全土に広げた前回緩和部分は継続される。

外務省の山花郁夫大臣政務官は「要件緩和はもともと1年間の試行期間後に検討されるものであって、直接的に震災とは関係ない」と話す一方で、「震災の影響で訪日外客数が落ち込むなか、要件緩和がインバウンド拡充につながれば」と期待をのぞかせた。
前回の用件緩和時に「1600万世帯ぐらい」という数値を出したことに対し、「今回は、職業地位の撤廃なので、どれくらい増えるかという予想数値は出しにくい」と数値を挙げることは固辞した。
また、09年7月―10年6月の訪日中国人客の失踪者数が1人なのに対し、要件緩和後の10年7月―11年6月の失踪者数が11人と増えたことについては、「失踪者は経済的な理由が想定されるので、偽装などができぬよう、経済力の審査をより厳格に行う」とした。
No.287 夏のロングステイ - 節電対策から需要拡大
夏のロングステイ
節電対策から需要拡大
今夏、全国的に電力需要がひっ迫する関係から節電対策のために長期休暇を実施する企業が増えた。これに伴い需要が拡大したロングステイ旅行商品について、JTBの高木俊光国内企画部長に聞いた。また、震災以前から積極的にロングステイに取り組んでいる地方の2つの事例を紹介する。ロングステイ定着の鍵を握るのは過ごし方の提案だ。着地コンテンツとの相性の良さも見えてきた。
【沖永 篤郎】
「もう1泊したくなる」を提案
平均5・16泊京都が人気
――ロングステイ旅行商品の売れ行きは。
エースJTBから北海道・九州・沖縄エリアと、信州・関東・京都など本州エリアの2つのパンフレットでロングステイプランを投入した。昨年7―9月の夏旅行の平均泊数は1・67泊、関東発に限定すると1・33泊と限りなく1泊に近い実態を踏まえたうえで3―9泊の設定で提案している。7月末時点の実績で申し込みは343件、利用者数は973人、人泊数は5千人泊、平均宿泊数は5・16泊。一部のお客様から反応をいただいている。
北海道・九州・沖縄は2300人泊、361人が利用した。平均宿泊日数は6・38宿泊。一申し込みあたりの平均単価は21万5千円。もちろん沖縄などは基幹商品で3―5泊プランを用意していて、ここでしっかり売れている。本州は2700人泊、612人が利用した。平均宿泊は4・45泊。一申し込みあたりの平均単価は9万7千円。
「サン&サン」ブランドからは、1週間以上から30連泊までの極端なプランも試験的に出した。約100人が利用し、1500人泊ほど売れている。
※ 詳細は本紙1430号または日経テレコン21でお読みいただけます。