観光地を支援!寄付金付き「ご当地 キットカット」発売

2020年10月19日(月) 配信

寄付金付き商品「ご当地 キットカット」

 ネスレ(深谷龍彦社長兼CEO、兵庫県神戸市)は10月19日(月)から、観光地への支援金が価格に含まれた寄付金付きの「ご当地 キットカット」を売り出した。1商品当たり10円の寄付金が含まれる。寄付金は日本観光振興協会を通じて、日本全国の観光地域を支援するために活用する。衛生用品などの配布や安全・安心な旅に向けたさまざまな支援を想定している。

 同社は2002年の夕張メロン味発売から、抹茶や日本酒など各地の名産品を使用したさまざまなご当地商品を展開してきた。日本人だけではなく、訪日外国人観光客にも土産品として支持されているという。 

 また、「キット、願いかなう。」を合言葉に受験生を始め、頑張る人々を応援。寄付金を含んだ商品を自然災害の被災地への応援商品として展開するなど、困難に立ち向かう人々の背中も押してきた。一例として、2011年は「キットカット ずんだ風味」の発売で東日本大震災の被災地へ1200万円を寄付している。

 今回は日本各地を訪れる観光客数が減少していることから、全国のスーパーやコンビニなど小売店で寄付金付きの「ご当地 キットカット」6種類を期間限定で順次発売する。商品は「キットカット ミニ 温泉饅頭味」(12枚、500円税別)や、「東京ばな奈 キットカットで『見ぃつけたっ』パウチ」(45グラム、178円税別)、「キットカット ミニ 信州りんご」(10枚、500円税別)など。

 日本観光振興協会は「地域経済に広く、深く根差している『観光産業』を通じた支援活動は、各地域を元気にしていくことにもつながっていくのではないかと考えている。支援活動の詳細については今後決定していく予定だが、地域の伝統産業である酒蔵の協力を得て作られた衛生用品などの配布を通じて、全国の皆様の『いつか“キット”行きたい』という想いにお応えしていきたい」とコメントした。

文化財の保存・活用を支援する しあわせ文化財PJ 凸版印刷

2020年10月19日(月) 配信

しあわせ文化財プロジェクト ロゴ

 凸版印刷(麿秀晴社長、東京都千代田区)はこのほど、「しあわせ文化財プロジェクト」を始める。新型コロナウイルス感染拡大により、観光客など消費者の体験や商品購買を新しい視点から促進し、文化財の保存・活用支援を行う。

 11月に開催する奈良県・興福寺のオンラインツアーを始め、企業や地方自治体、博物館、美術館、寺社などと連携し、地域活性化につながる活動を行っていく考えだ。

 観光地や自治体などの経営難により、日本各地にある貴重な文化財の維持、運営は難しくなっている。こうしたなか、同社はVR技術を用いた「トッパンVR」で、文化財の高精細なデジタル保存や公開事業に取り組んでいる。

 今後、同プロジェクトに賛同する文化財ホルダーや自治体、観光事業者などの連携パートナーを拡大しながら、文化財ファンに向けた情報発信を行う。特別な体験プログラムや商品開発を推進する。

 「世界遺産・興福寺と知られざる奈良に会う旅! 文化財応援オンラインツアー」は、11月15日(日)、午後12時45分から開催する。

 地酒や奈良漬けなどの地域特産品や、オリジナルグッズ(文化財応援セット)を購入すると参加が可能になる。

中国訪日客をSNSで、中国向けクラウド型観光サービス開始

2020年10月19日(月)配信

社群形成の仕組み

 FindJapan(西山高志社長、東京都千代田区)はこのほど、中国で普及するSNS(交流サイト)アプリのWeChatを用いた「クラウド型観光サービス」を公開した。新型コロナウイルスの影響でインバウンドの売上が低下し、大打撃を受けている観光地や商業施設に対して、企業活動を通じて蓄積されたさまざまな情報や知識、ノウハウを生かして貢献する。

 同サービスは、130万人以上のフォロワーがいるFindJapanの中国SNSアカウントを利用する。観光疑似体験を希望するフォロワーを、用意したWeChatのグループチャット(社群)へ誘導し社群を形成。観光地や商業施設のようす、売店の映像を流し、実際に商品を手に取り紹介する。参加しているユーザーから購入の依頼があれば、同社から商品を発送し、中国人の購入者の元へ届ける仕組み。

 同社は、同サービスを2021年12月には1万社群、300万人以上の利用者を目標に事業を推進。激減した観光インバウンドを一刻も早く取り戻すべく、観光地、百貨店、商業施設、小売店などからパートナー企業を探している。

祈祷の事前予約ができるポータルサイト「My神社」リリース

2020年10月19日(月) 配信

「My神社」では全国の神社探しや祈祷の事前予約ができる

 日本最大級の振袖ポータルサイト「My振袖ドットコム」を運営するTeraDox(齋藤啓司社長、東京都渋谷区)はこのほど、全国の神社探しと事前の祈祷予約ができるポータルサイト「My神社」をリリースした。

 今まで神社での祈祷は当日に現地での受付が主流だったが、新型コロナウイルス感染予防の観点から人混みや長時間の滞在を避けたいという考えが広がっている。事前予約をすることで三密を回避したいというニーズに応えて、同サイトをリリースした。

 祈祷の予約機能では、七五三の祈祷をする子供の年齢や立ち合い人数などの情報を伝えられるため、神社側が内容に合わせて事前準備をすることができる。

 サイトでは、都道府県、ご利益、お守り・おみくじ・御朱印のある神社、バリアフリー、外国語対応など、好みの条件にあった神社を探せる。また、ギャラリーコンテンツでは建築物や風景などの写真から直感的に行ってみたい神社を見つけることができる。そのほか、神社探しや参拝に役立つコンテンツのリリースを予定している。

熊本県北へ無料バス運行 熊本・博多と玉名・和水・山鹿・菊池を結ぶシャトル

2020年10月19日(月)配信

 熊本県北観光協議会は、2020年11月~21年1月の週末を中心に、熊本市と県北4市町(玉名市、山鹿市、菊池市、和水町)及び、福岡市と県北4市町を結ぶ無料シャトルバスを試験運行する。

 バスの名称は「熊本県北無料シャトルバス~ぐるmeっと 湯めぐり号~」。これまで交通アクセスが不便だった熊本市内~熊本県北エリアと福岡~熊本県北エリアをダイレクトに結ぶ。運行は2020年11月~2021年1月の金曜・土曜・日曜・祝日。

 熊本県北4市町での宿泊または観光を目的とする人が対象で、アンケートに回答することで利用できる。利用は完全予約制で、公式ホームページなどを通じて乗車3日前の午後4時までに予約する。

新たに12団体追加へ 第9弾登録DMO決定 観光庁

2020年10月19日(月) 配信

観光庁

 観光庁は10月16日(金)付で、観光地域づくり法人(DMO)の「登録DMO」12団体(地域連携4件、地域8件)と、「候補DMO」12団体(地域連携3件、地域9件)を追加登録した。今回(第9弾)の登録で、登録DMOは174団体、候補DMOは119団体となる。

     ◇

 このほど登録・候補となった団体は次の通り。

 

登録DMO

 

〈地域連携〉

▽アントラーズホームタウンDMO
(茨城県鹿嶋市、潮来市、神栖市、行方市、鉾田市)

▽淡路島観光協会
(兵庫県洲本市、南あわじ市、淡路市)

▽高野山麓ツーリズムビューロー
(和歌山県橋本市、かつらぎ町)

▽田川広域観光協会
(福岡県田川市・香春町、添田町、糸田町、川崎町、大任町、赤村、福智町)

 

〈地域〉

▽倶知安観光協会(北海道・倶知安町)

▽花巻観光協会(岩手県花巻市)

▽男鹿市観光協会(秋田県男鹿市)

▽わくわくカンパニー大多喜(千葉県・大多喜町)

▽勝浦市観光協会(千葉県勝浦市)

▽茅ヶ崎市観光協会(神奈川県茅ヶ崎市)

▽明和観光商社(三重県・明和町)

▽有田まちづくり公社(佐賀県・有田町)

 

候補DMO

 

〈地域連携〉

▽ふるさと鉄道DMC
(栃木県日光市/福島県・下郷町、南会津町)

▽三方五湖DMO
(福井県・美浜町、若狭町)

▽南紀白浜エアポート
(和歌山県・印南町、みなべ町、田辺市、白浜町、上富田町、すさみ町、那智勝浦町、太地町、古座川町、北山村、串本町、新宮市)

 

〈地域〉

▽赤井川村国際リゾート推進協会(北海道・赤井川村)

▽まくらがDMC(茨城県古河市)

▽奥むさし飯能観光協会(埼玉県飯能市)

▽銚子市観光協会(千葉県銚子市)

▽ツーリズムいすみ(千葉県いすみ市)

▽DMOさかい観光局(福井県坂井市)

▽大紀町地域活性化協議会(三重県大紀町)

▽姫路観光コンベンションビューロー(兵庫県姫路市)

▽那智勝浦観光機構(和歌山県・那智勝浦町)

伝言ゲームで魅力発信を 各地域の最新情報も 「世界自然遺産観光振興シンポジウム2020」  

2020年10月19日(月) 配信

Web開催となった世界自然遺産シンポジウム

 東京都と東京観光財団は10月13日(火)、観光従事者を対象にオンラインの「世界自然遺産観光振興シンポジウム2020」(運営事務局:JTB)を開催した。ブランディングの観点から魅力を伝える方法について説明を行ったほか、屋久島や知床など国内4地域の代表者が観光素材や最新情報を紹介し、約200人が視聴した。

 基調講演は「旅行会社と考える世界自然遺産の新しい魅せ方」と題し、エイトブランディングデザイン代表の西澤明洋氏が登壇。ブランディングとは「差異化であり、地域の魅力の本質を正しく広めるための“伝言ゲーム”」と述べ、新たな切り口としての活用方法を提案した。

 昨今、情報として信頼性が一番高いとされるのは「信頼する誰かが伝えてくれる情報」とし、従来の企業側から発信する広告から変化していると指摘。「一方的に魅力を伝えるのではなく、実際に訪れた人がすすめる伝言ゲームが起こることが結果的に売り上げ増加につながる」と述べた。

 伝言ゲームを始めるに当たり、ブランドに必要な条件には①地域・伝言する人の熱い想い②良いモノ③コミュニケーションチーム――の3つを挙げた。ブランドとは「コンテンツだけに頼らず、仕組みづくりをカタチにしていくことが問われる」とし、そのうえで「最後は“人”であり、その場所で何をしたいのかを言語化し、内外に発信(約束)していくことが今後問われていく」と力を込めた。

 さらに西澤氏は「良いモノがあるから勝手に伝わるのではなく、伝える人がいるから良いモノが伝わっていく。そのうえで、しっかり伝わっていくためのコミュニケーションチーム(企画担当者、伝え行く人など)のつながりが非常に大事」と語る。

 注意点は「ブランディングとマーケティングを混同すること」と話し、売ることをゴールに据えて施策を練るのではなく、どのようにすれば魅力が伝わるかを考えることが重要だと述べた。

 ブランディングデザインは、コミュニケーション、コンテンツ、マネジメント(ブランド戦略)の3階層から成り、コンテンツの魅力をマネジメントし差異化できれば、ブランディングはスムーズに進むとアドバイスした。

屋久島(鹿児島県)

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 1993年に世界自然遺産に登録された屋久島(鹿児島県)は、屋久島野外活動総合センターの市川聡氏が説明を行った。「素材は無限にある。自然をどうアレンジするかが大事」と力を込めた。

 近年、アイランドホッピングの人気が高まっていることを受け、奄美大島発の夜行フェリーを紹介。奄美大島を午後9時20分に出港、屋久島に午前4時40分に到着することで「奄美大島の観光を楽しんだあとに屋久島に来ることも可能」と述べた。

 また、島内の1周道路は約100㌔ある大きな島であることを踏まえ、目的地に合わせて「宿泊場所を選ぶことが重要」だと述べ、効率よく観光するコツだとアドバイスした。

 新型コロナウイルスへの対応は、乗船前や航空機着陸後に体温測定を実施しているほか、縄文杉への登山バスは従来の定員55人から30人に減らして運行している。

 医療は、海上保安庁や自衛隊と連携した搬送体制、1時間程度で結果が判明するPCR検査機の導入を行っている。

 現在、島内のネット環境が整備され、ワーケーションの誘致を進めている。「良好な環境の中でリフレッシュし、仕事の能率を上げてもらいたい」とPRした。

白神山地(青森県・秋田県)

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 1993年に世界自然遺産に登録された白神山地(青森県・秋田県)は、白神コミュニケーションズの後藤千春氏が「究極な癒しの森。五感をフルに活用してほしい」と魅力を紹介した。

 最新情報として、山や森のガイドに特化した秋田県知事認定の「白神ガイド」が2019年度までに24人に増えたことを報告した。また、主にインバウンド向けのDMO「あきた白神ツーリズム」を2019年に設立。外国人旅行者の相談や旅行商品開発のサポートを行っている。

 新型コロナウイルス対策では、入場者の制限や誘導を実施しているほか、ガイドの対策として前後2週間の健康チェック、ガイド・レシオの少人数化に取り組んでいる。

 観光素材には「なべっこ遠足」を挙げた。秋田県の文化のひとつで、秋の新米収穫後に屋外できりたんぽ鍋などを食べる風習があるという。ガイドツアーに組み込むことで、地元ならではの体験を提供できる。

知床(北海道斜里町・羅臼町)

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 世界自然遺産には2005年に登録された。知床ネイチャーオフィスの松田光輝氏は、知床の豊かな自然と生態系について「一度にすべてを見ることはできない。知床は何回も行かなければならない場所」とPRした。

 宿泊施設は、斜里町・ウトロ温泉地区のキャパシティは約3500人と多い。一方、漁業が中心の羅臼町は民宿が多いほか、インバウンド対応のゲストハウスもある。また、知床観光ホテル(2010年廃業)跡地に加賀屋(石川県・和倉温泉)の進出が検討されているという。

 新型コロナウイルスへの対応は、各業界のガイドラインに沿った感染症対策を講じているほか、シンボルキャラクター「知床トコさん」を使ったポスターなどで新しい生活様式を呼び掛けている。

 新たな見どころは「ウトロ鮭テラス」を挙げた。サケ・マスの漁獲高が日本一の斜里町にあり、サケなどを荷揚げするようすをウッドデッキから見下ろせる施設で「多い時は1隻で40㌧ほど積んで帰港する。水揚げ作業を次から次に見ることができ、かなり迫力がある」と紹介した。

 ほかにも、季節ごとのおすすめ情報について「冬はエゾシカやキツネ、モモンガなどの動物が見られる。夏は涼しく星もきれいで、桜は7月まで見られるので、本州で見逃してしまった人もぜひ来てほしい」と多くの魅力を語った。

小笠原(東京都)

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 世界自然遺産への登録は2011年。小笠原村観光局の根岸康弘氏は「小笠原はリピーターに支えられている観光地」と述べ、旅行客のつながりの強さを強調した。

 定期航路のスケジュールから、片道24時間の航海と最低3泊の現地滞在が必要となり、その間に旅行客同士の仲が深まり、リピーターが増えという独特の魅力を紹介した。小笠原ファンを集めたイベントは、初回の300人から現在では2500人まで増えているという。

 「新大阪駅を午前7時20分の新幹線に乗れば、午前11時出港の定期船に乗ることができる。羽田空港からも竹芝桟橋までアクセスが良い」とPRした。

 新型コロナウイルス感染拡大防止の水際対策として、8月11日から定期航路の乗船客を対象に無料のPCR検査を実施。9月1日からは乗船前に検査結果が分かるように迅速化されている。

 自然豊かな小笠原では、ドルフィンスイムのほか、ダイビング、ホエールウォッチング、ハイキング、戦跡めぐりなどができる。海遊び以外に「小笠原は亜熱帯のジャングルが、白神山地にはブナの原生林があり、世界自然遺産の各地域にはさまざまな種類の原生林がある。旅行会社には原生林を巡るツアーなどを作ってほしい」と要望した。

 

「津田令子のにっぽん風土記(66)」風を感じながら走り続ける~ 東京都・歌舞伎町編 ~

2020年10月18日(日) 配信

広々とした店内のクラブUp’s
税理士 内野洋介さん

 250ccのバイクでざわざわと左右に揺れる沖縄のサトウキビ畑を吹き抜ける風を感じながら走る。「その瞬間が最高の幸せ」という内野洋介さん。東京・新宿の歌舞伎町で、クラブUP’sなど4軒ものキャバクラ(キャバレークラブ)を経営する傍ら税理士という肩書を持つ多彩な顔の持ち主だ。
 
 店名の由来を、「アップスタートという言葉が好きで、成り上がりとか、成金とかいう意味なんですけどね」と若かりしころの思いを振り返る。
 
 周りを田んぼに囲まれた熊本の南部で生まれ育ち、故郷を離れたのは1994年。19歳のとき。東京の大学さらに大学院では機械制御の研究に明け暮れ、そののち2年間のサラリーマン生活を経て03年に起業する。
 
 幼いころから毎夜、田んぼ越しの向こうに広がる熊本市内のキラキラ輝く街の灯りを目にし、BGMで流れ続けるカエルや鈴虫の合唱を聞きながら、「いつの日にか東京に出て思い切り稼ぐぞ」という強い信念を持って以来、持ち前のガッツと風を読む力ですべての思いを叶えてきた。
 
 なかでも、日本を代表するギラギラな街・歌舞伎町への憧れは強かったと話す。「多様な人種、色々な事情を持った人間を受け入れてくれる土壌があるんです」と開業地に選んだ理由を語る。「怖い、ぼったくられる、入りづらい」という私のイメージを一笑する。
 
 「ダイヤ入りのロレックス、金色に輝くデュポンのライター、角目のSクラスのベンツ」は水商売で成功した人が手に入れたいと願う三種の神器だそうで、間もなくそれらすべてを手に入れることになる。しかし熊本時代に思い描いた憧れという名の夢を手に入れたにもかかわらず、充分な満足感を得ることはなかった。「空虚な想いだけが残ったんですね」と。内野さんに新しい風が吹き始めた瞬間だった。
 
 それから税理士になる勉強をし、資格を取り西新宿のタワーマンションに税理士事務所を開く。自身を東京志向の田舎者と自己分析するが、今でこそ「いつの日か故郷に戻る」と願う気持ちは強いが、当時は、がむしゃらに働くことで精一杯。最初の数年は故郷に足が向くことすらなかったという。
 
 「父親は熊本大学病院の名誉教授の職に就きながら市内にある総合病院の理事長兼院長をやっていて、兄は医師で妹が歯科医師なんですよ。いずれ、父や兄弟と一緒に病院経営をやりたいので帰りたいと思っています」と、満面の笑みで10年先を見据えた夢を語る。

 

 

津田 令子 氏

 社団法人日本観光協会旅番組室長を経てフリーの旅行ジャーナリストに。全国約3000カ所を旅する経験から、旅の楽しさを伝えるトラベルキャスターとしてテレビ・ラジオなどに出演する。観光大使や市町村などのアドバイザー、カルチャースクールの講師も務める。NPO法人ふるさとオンリーワンのまち理事長。著書多数。

 

「井川今日子のおもてなし接客術(45)」 おもてなしの危機管理

2020年10月17日(土) 配信

 厚生労働省が発表している「新型コロナウイルス感染症に起因する雇用への影響に関する情報について」(9月11日(金)集計分)を見ると、新型コロナウイルスに関わる雇用調整の可能性がある事業所数は全国で9万3929事業所、解雇など見込み労働者数は5万4817人となっています。

 業種別では、「宿泊業」が事業者数で数の大きい順で第8位の4475事業所で、全体の4・8%を占めます。労働者数では、製造業に続いて第2位の7795人で、全体の14・2%となります。

 宿泊業界では、団体客と高齢者を中心に、これまでのようにお客様が宿泊施設に来られない(旅行に出られない)のですから、事業規模の縮小に伴う人員削減を検討する施設が増えています。

 コロナ禍において宿泊業界は「人材不足」から一転、「人材過剰」とさえ言われた時期もありましたが、先が見通せないなかでの採用はリスクでしかなく、結局はギリギリの人数で運営しています。

 このような状況下で勧めているのは、部署を超えた勤務スタイルです。業界では数年前より「マルチタスク」などと呼ばれていますが、スタッフに横断的にさまざまな部署で働いてもらう形態です。

 例えば、出勤時は仲居係として朝食を提供し、チェックアウト時間になったらフロント係として精算処理を行う。さらに、チェックアウトが済んだら清掃係として客室を清掃し、チェックインの時間にはフロント係としてチェックイン対応をするといった具合です。

 一般的に、接客やおもてなしを行う部署の業務習得には時間も掛かり、慎重さが求められることが想定されるので、まずは接客・おもてなし業務の1つひとつを明確にし、文章や動画に収めて教材を作ることが大切です。

 1人のスタッフが複数部署で横断的に活躍できる体制を整えれば、スタッフの労働生産性が上がり、人材不足だけでなく、万が一旅館のある部門でコロナ感染者(クラスター)が出た場合も、カバーし合えるという危機管理も機能します。

 厳しいコロナ時代の経営体制を整えるためには、経営者の皆様に一般社員とも経営状況や今後の見通しを共有する必要があります。

 厚労省の資料にあるように、宿泊業界はコロナの影響を大きく受けていて、失業者も多いというニュースが蔓延しています。

 「自分の働く会社はいつまでもつのか、雇用はいつまで守られるのか、失業したらどうしよう」など、悶々と悩んでいる社員も少なくないと思います。

 幹部社員とは、今後の資金繰りの見通しなどを話し合っていても、一般社員に状況を説明できていますでしょうか。

 社員の心理状態は顧客対応にも反映されます。先行き不安の中では、良い接客は提供できません。社員に“余計な”不安を与えないような情報を提供する環境整備も必要です。

井川 今日子 氏

おもてなしコンサルタント 井川 今日子 氏

大学で観光学を学んだ後、船井総合研究所を経て、10年に観光文化研究所入社。全国の旅館や観光協会を中心に、女性の感性を活かした集客・固定客化支援で活躍中。商品戦略や販売促進、現場接客サービスなど多岐にわたり提案。

 

 

新作プロモ動画でさいたまの魅力を紹介 埼玉県さいたま市

2020年10月16日(金) 配信

武蔵一宮氷川神社の上空から撮影したさいたま市内

 埼玉県・さいたま観光国際協会は10月16日(金)、「さいたま市観光プロモーション動画」と「さいたま市観光ポスター」を公開した。さいたま市の魅力を発信するために約1年を掛けて市内各所を撮影し、没入感のあるミュージックビデオ風に仕上げた。

 プロモーション動画では、日本有数の古社・武蔵一宮氷川神社、鉄道博物館、さいたまスーパーアリーナなどの施設に加え、「さいたまるしぇ」や「十日市」などのイベントも紹介する。地域住民に親しまれている公園やグルメなど、さいたま市が誇る観光資源が登場する。

 動画を担当した中井泰太郎監督は、「四季折々の自然や歴史文化など、さいたま市の魅力を音楽と映像で追体験してもらえたら」と期待を込める。

 ポスターは「こころ、ほがらか」など「こころ、○○○○」をキャッチコピーに、同市内の美しい風景を切り取った。

 見沼田んぼの桜回廊や夕焼け、神社参道などの風景を色彩豊かに描いた、全4種類を市内の観光・宿泊施設などに掲示する予定。