加賀温泉郷 最大級レインアート 雨ならではの魅力創出

2021年11月22日(月)配信

山中座広場前のレインアート

 日本最大級のレインアートが今年秋、石川県の加賀温泉郷(加賀市)に登場し、注目を集めている。降雨時、地面に描いたアートが浮かび上がる。雨が多い北陸地方の気候を生かしたユニークな企画だ。

 レインアートとは、特殊なスプレーによって地面に描かれた絵や文字が、水に濡れることで浮かび上がる作品のこと。

 加賀温泉郷がある北陸地方は「弁当忘れても傘忘れるな」という格言があるほど、1日の天気が変わりやすいエリア。この特性を生かし、山代と山中、片山津の3温泉に「加賀雨紋様~KAGA RAIN ART~」と題して、それぞれの開湯伝説に関わりのある鳥類や、各温泉ゆかりの事象をモチーフにした巨大なレインアートを設けた。旅先で雨が降るとネガティブなイメージを抱きがちだが、雨だからこそ楽しめるコンテンツを提供することで“雨が似合う風情ある地”として加賀温泉郷の新たなイメージを発信する。

 山代温泉では、服部神社境内に、ヤタガラスや九谷焼、あいうえお発祥の地にちなんだ紋様などを描写。山中温泉の山中座広場前には、白鷺や芸妓をはじめ、山中節やこいこい祭りの獅子舞みこしといった地元の伝統芸能。片山津温泉の柴山潟遊歩道では、鴨や柴山潟に打ち上がる花火、雪の科学館にちなんだ雪の結晶などを描いている。

 レインアートは、気象状況や通行量にもよるが、1―2カ月程度は楽しめるという。ただし、雨の日でも降水量や見る角度によっては見えない場合がある。評判が良ければ、来年度以降、設置場所を増やしていくことも検討しているという。

〈観光最前線〉昭和プロレス談義が熱い

2021年11月21日(日)配信

昭和プロレスを語ろう!-(廣済堂新書)

 過日、群馬県の法師温泉長寿館の岡村建新社長にインタビューする機会があった。

 その際に、趣味を訊ねると昭和プロレスにとても造詣が深い。「昭和プロレスで最強のプロレスラーは誰か?」と質問すると、岡村さんは真剣な眼差しで「やはりジャイアント馬場が一番じゃないでしょうか」という答えに感動してしまった。

 私の予想では、たぶんスタン・ハンセンやブルーザー・ブロディといった外国人レスラーの名前が出てくるのかと思いきや、まさかの「王道プロレス=ジャイアント馬場」の名前がいきなり出てきたので少々驚いてしまった。

 これも宿主として「温泉第一」「従業員は家族と同じくらい大切」「なるべく変えないで歴史を大事にしたい」という考え方と相通じるものを感じた次第。

【古沢 克昌】

〈旬刊旅行新聞11月21日号コラム〉ヒガシヘルマンリクガメ―― 黙して語らず生きている姿に「癒し」

2021年11月20日(土) 配信

 
 昨年末に我が家に来たヒガシヘルマンリクガメの亀吉氏は、今や家族にとって無くてはならない存在となった。

 
 今年も新型コロナウイルスの感染拡大が繰り返し、ストレスを強く感じた。通常の年と比べて家で過ごす時間が増え、必然的にリクガメと遊ぶ時間が多くなった。

 
 フローリングのリビングに放しているので、ノコノコと気が向いたら歩き出し、眠くなったらソファや、テーブルの下の隅で眠っている。

 
 好物は温めたカボチャ。バナナも好きだ。タンポポの葉や、キャベツ、レタス、キュウリ、モヤシなども好んで食べる。ミカンやリンゴは、食べるときと食べないときがある。

 
 こんもりとした手のひらサイズの丸い甲羅をさわりながら、私はテレビを観たり、読書したりする。そうすると、気持ち良くて眠くなるのか、下瞼が上がってきて、カメはいつの間にか眠っている。

 
 トイレをした後など、1日に何度も専用のお風呂に入れたり、シャワーを浴びたりしているので、とても清潔である。

 

 
 私はもともと動物が好きで、犬や猫も好きだ。リスも飼っていた時期がある。

 
 カメに比べると、犬や猫の方が知能も高く、感情が豊かなので、その仕草を可愛く思う。

 
 リクガメを飼っていると、「懐くの?」と聞かれることがある。実際はよく分からない。ゴロンと横になっていると、遠くからノコノコと近づいてきて、体を摺り寄せてくることもある。「亀吉!」と喉が痛くなるほど名前を呼んでも、ちっとも反応しないこともある。ほぼ自分の生きたいように生きている。この心の距離感に心地よさを感じることがある。

 
 これが犬や猫との違いだ。犬の場合、飼い主から名前を呼ばれたら、気が向かなくても近づいてきたり、お愛想で尻尾を振ったりする。私も犬を2匹飼っていた経験から分かる。

 
 猫もポーカーフェイスで無視することもあるが、飼い主との“心の駆け引き”が存在する。

 
 だが、私は最近、ペットとの間でも、人間同士のような細かな心の駆け引きすら煩わしく、必要性を感じなくなってきている。

 

 
 高度に複雑化した社会では、気配りや配慮が不可欠である。旅館業などは最たるものの1つだ。また、インターネットやテレビ、SNS(交流サイト)からも情報が過剰に発信され、受け取る側のキャパシティをはるかに超えている。

 
 私は好き好んで、小さいながらメディアの世界の端くれにいるのだけれど、日々刻々とあふれるばかりに押し寄せてくる情報量の処理に疲れ果ててしまうことも時々ある。

 
 そんなときに、私は家に帰って、お風呂に入り、麦焼酎「いいちこ」を氷で割って飲みながら、2億年も変わらぬリクガメの丸く愛らしい甲羅を撫でて、癒しを求めてしまうのだ。

 

 
 これからは天文学的なデータを蓄積したAI(人工知能)との付き合いも本格化する。膨大なデータをベースに、“正論らしきもの”を雄弁に語りだす。

 
 一方で、黙って情報やストレスを吸収してくれる存在が希少価値化するはずだ。

 
 リクガメの亀吉氏はこちらの話を聞いても分からないだろうが、黙して語らず生きている姿に、私は大きな癒しをもらっている。

 

(編集長・増田 剛)

NAA21年度中間連結決算、約90億円の赤字縮小 オリパラや観光需要増加

2021年11月19日(金) 配信

田村明比古社長。「国から支援されている。今後も、安定した運営が可能だ」と説明した

 成田国際空港(NAA、田村明比古社長)が11月18日(木)に発表した2021年度中間連結決算(21年4~21年9月)によると、営業損失は216億6800万円(前年同期は306億5100万円の損失)と赤字額を約90億円縮小した。

 東京2020オリンピック・パラリンピックの関係者の利用や、LCC(格安航空会社)による夏季における国内旅行の需要増加に対応する複便などが主な要因。

 営業収益は、前年同期比20・6%増の400億5200万円と2期ぶりの増収となった。

 運用の効率化をはかり、最大限のコスト削減に努めたが、経常損失は220億6300万円(同301億3500万円の損失)、中間純損失は230億100万円(同424億7700万円の損失)。

 21年度通期連結業績予想は、国際的な出入国制限の緩和状況が不透明であることから、5月に発表した見通しを据え置いた。営業収益は前期比11・4%増の800億円と3期ぶりの増収を見込むが、営業損失は620億円、経常損失が660億円、当期純利益は670億円と予想する。

 今後は経営状況改善のため、工事内容を見直すなどしてコストをより削減する。

 田村社長は「(1日当たり3500人の)上限が緩和されるなど明るい兆しも見えているが、各国の感染状況は波があり、需要の予測が難しい。国からは引き続き、支援されている。今後も、安定した運営が可能だ」と説明した。

四国・瀬戸内の観光PR 11月27(土)~28日(日)、大阪市内で物産展開く

2021年11月19日(金) 配信

来社した中井陽一郎主査(左)と森夏子主事

 岡山、広島、山口の瀬戸内3県と徳島、香川、愛媛、高知の四国4県の在阪事務所などは11月27(土)、28日(日)、大阪市中央区の「もりのみやキューズモールBASE」で、「四国・瀬戸内観光物産展~瀬戸内から四国路の旅巡り~」を行う。

 各県・団体がブースを開設し、観光パンフレットの配布や特産品を販売する。各県のキャラクターが勢揃いするステージイベントや体験ワークショップも行い、瀬戸内エリア全域の魅力発信で周遊観光をPRする。各ブースで500円以上購入などを対象に、特産品が当たる抽選会もある。開催時間は両日とも午前10時~午後5時まで。

 物産展を前に17日(水)、山口県大阪事務所の中井陽一郎主査と高知県大阪事務所の森夏子主事が本紙関西支社を訪れ、概要を紹介した。

 中井主査は「エリア全体の魅力を発信し周遊観光に結び付けたい」と話していた。

【特集No.597】ピンクリボンのお宿ネットワーク 10周年迎え、ビジョン語り合う

2021年11月19日(金)配信

 :東日本大震災のあと、旅行新聞新社の石井社長から「ピンクリボンのお宿ネットワークを立ち上げたい。会長になってもらえないか」とお電話をいただいたことを覚えています。ピンクリボンと聞いても初めはピンと来ませんでした。当時は16人に1人が乳がんを患うと聞き、私もいつ乳がんになるかわからない、それならばと思ってお引き受けしたのが始まりです。そこから、あっという間の10年でした。

 リボン宿ネットのセミナーで桜井なおみさん(NPO法人HOPEプロジェクト理事長)の講演をお聞きし、また、患者さんや乳がん治療を受けたお客様の経験談を伺って、皆さん本当につらい思いをしてきたのだなと分かりました。

 加えて、病気になってしまったらなかなか旅館には行けないと考えている女性が多くいることが分かりました。そういう方々に対して、ネットワークを通じてお宿を知ってもらうことが大切だと考えています。

 設立2年目には、盾を作り、加盟している宿に置いていただきました。うちの宿でも、フロントに置いている盾を見たお客様からお声を掛けていただき、さらにお客様ご自身の体験や要望など、詳しいお話を聞かせていただくきっかけになっています。

 リボン宿ネットができたおかげで、どうやったら旅を楽しめるか、温泉で気持ちよく過ごせるかを患者さんと一緒になって考えられるような気がしました。

 松﨑:私自身が乳がんを患った経験がありますので、術後の傷痕を気にして温泉に入るのをためらってしまうお客様が多いだろうなという想いが以前からありました。

 2011年に行われた福岡県での女将サミットで、そういったお客様向けに貸切風呂があったらいいのではという話もさせていただきました。私にとってのピンクリボンは、そこからのスタートだったと思います。

 乳がんの早期発見のため、多くの人に検診を勧める目的でも発足は必要なことでした。これからも啓蒙活動を続けていかなければならないと考えています。

 また、自分が乳がんを経験したと書いたうえで旅館での取り組みを記載していると、お客様から「読みましたよ、大変だったんですね」、「私もそうなんですよ」とお声を掛けていただくことが多かったです。なかなか他人には話しづらいことですし、お客様からこうして言っていただけるのはありがたいと思いました。

 活動を続けることで従業員や、患者さん、患者ではないお客様、それぞれの意識が変わるのはとてもいいことだと感じました。

 西川:リボン宿ネットのお誘いを受けた年の2月に、母親をがんで亡くしたばかりでした。そのとき、ぜひともやりなさいと母が言っているような気がして、当初から監事として携わらせていただいております。

 ひとつ残念だと思うことは、せっかく加盟したにも関わらず、リボン宿ネットから集客が望めないとみて退会されていく宿があることです。

 会員が増えるのは素直にうれしいという反面、入り方が間違ってしまうとあっさり退会していってしまいますよね。

 ネットワークから宿を知ってもらい、「一度利用していただいたから終わり」ではいけません。

 冊子を手にしてお宿を知ってもらい、お宿の良さを知ってもらい、もてなしを受けて「また来よう」とリピーターになってもらう。これが本来あるべき姿だと思います。

 加盟したからには、積極的に「こういうネットワークがあります」、「こういう対応をしているので安心していらっしゃってください」とアピールする義務があると思います。

 これは運営のやり方にも問題があるのかもしれません。ネットワークに加盟するということは、いちスタッフになるということではないかなと考えています。

 果たして現場の人たちは「またこの人に来てもらうんだ」という想いで接客しているでしょうか。リピーターを作ったという実感が、まだ成長途中だと感じます。

 営業ツールの1つとして参加されるのではなく、ほかの加盟している宿もぜひ利用してくださいねと進んで発信できるようになってほしいですね。……

【全文は、本紙1851号または11月26日(金)以降日経テレコン21でお読みいただけます。】

福井県観光連盟 スーパーバイザー設置 新観光コンテンツ創出

2021年11月22日(月)配信

於保孝志氏

 福井県観光連盟は11月1日、2024年春の北陸新幹線福井・敦賀駅開業に向けて、稼ぐ観光地域づくりを加速するため、新たな観光コンテンツを創出する「観光スーパーバイザー」を設置した。

 観光スーパーバイザーは、ブランドアップ担当と、コンテンツ開発を担う人材の計2人を採用した。

 宿泊施設や食の付加価値を創造する「観光ブランドアップ・スーパーバイザー」は、アメリカのサンノゼ州立大学で観光ビジネスを学び、現地の旅行代理店で送客業務を経験後、星野リゾートグループで宿泊施設の総支配人などを務めた於保孝志さんが就任。

松尾章子氏

 先駆的な体験やアクティビティのコンテンツを開発する「観光アクティビティ・スーパーバイザー」には、休暇村協会や外国客船の日本支社勤務などを経て、地域DMOのディスカバー東広島でプロデューサー職を務めた松尾章子さんが着任した。

 それぞれ、県内の宿泊施設や飲食店、観光事業者などを巡回訪問し、新たなメニュー開発のための技術的な指導や助言を行う。

九州観光機構と7県 県民割の拡大を 国交省・観光庁に要望

2021年11月19日(金)配信

国土交通省での要望活動

 九州観光推進機構(唐池恒二会長)は10月18日、国土交通省と観光庁に「九州観光による経済活性化に関する要望書」を九州7県と共同で提出した。

 要望書では、新型コロナ感染症が拡大したことで、「観光・旅行マインドの冷え込みが続き、九州内の観光事業者の経営状況が厳しい」と訴え、「観光は幅広い分野の産業が関わり、経済効果・雇用効果も高い」と強調。

 「九州はひとつ」の理念のもと、密の回避や感染予防を徹底させ「九州内の観光プロジェクト」を行う決意を表明した。

 具体的な要望では、既に実施中の「地域観光事業支援(県民割)」について、対象範囲を「同一県内の旅行割引支援」から「九州域内旅行の割引支援」への拡大を求めた。

 感染拡大時の取消料への補填やキャンセル対応費用など補助対象経費の拡充、間接経費の上限(直接経費10%)緩和、ステージ移行時の経過措置、事業停止期間に伴う実施期間の延長など弾力的な運用も要望した。

 さらに、「Go Toトラベル事業」の段階的な再開検討や期間の柔軟な対応も盛り込んだ。

全旅連青年部「Go To23年3月まで」 自民党の衆参議員に要望書提出

2021年11月18日(木) 配信

新谷正義衆議院議員(左から2番目)、星永重部長(左から3番目)

 全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会青年部(星永重部長)は11月16日、自由民主党の衆参両院の国会議員に、Go Toトラベルキャンペーンの年内再開や2023年3月までの延長を求める要望書を提出した。

 県民割の隣県への適用のほか、両制度の割引率や補助上限など制度詳細の早期発表も求めた。

 「旅館・ホテルは地方で雇用を創出し、地域経済の中心でもある。新型コロナウイルスの拡大以降、政府系制度融資を使い果たし、次の支援策が打ち出されないと倒産してしまう」(青年部)と訴え、雇用調整助成金の特例措置の拡大を2023年度以降までの継続や、6カ月以内に解雇を行った事業者に対する受給条件の緩和、出向制度における教育訓練などの上限額引き上げも要求した。

 さらに、非常時に宿泊施設を避難先として活用する協定「災害時避難者受入施設支援事業」で必要となる消防設備などの設置費も要望。国土強靭化に資する避難所となる宿泊施設を、より増加させるために必要なバリアフリーや非常電源、断水対策としての貯水槽、救急用品などの補助も求めた。

 新型コロナウイルス感染症特別貸付の上限額の引き上げと、返済据え置き期間の緩和、コロナ禍の長期化で資金繰りが悪化する施設が増加していることを踏まえ、盛り込んだ。

 新たな需要喚起策として、ワーケーションを実施する企業に対する支援のほか、テレワークスペースと会議室の整備のサポートも求めた。

積水ハウスと美濃市がデジタル観光マップ開始 観光促進、地域活性化を

2021年11月18日(木) 配信

四季の移ろいに合わせて変わるマップ全体イメージ

 積水ハウスと岐阜県美濃市は11月16日(火)から、同市の江戸時代から明治・大正時代の歴史的建造物が立ち並ぶ「うだつの上がる町並み(国重要伝統的建造物群保存地区)」のまち歩き用に、DX(デジタルトランスフォーメーション)を活用したデジタル観光マップ「よりみちマップ」の提供を開始した。

 「よりみちマップ」は、GPSの位置情報と連動可能なデジタル型イラストマップ。旅行者は、直感的な操作で「うだつの上がる町並み」を地元の魅力情報を得ながら探索することができる。イラストマップ上に現在地を投影させながら、各店舗の営業時間や、地元の魅力スポットに関する詳細情報を確認できる。各詳細情報は飲食店や撮影スポットなどのカテゴリーに分類され、それぞれの情報を絞って表示させることも可能。

 マップの制作は、地方創生事業「Trip Base 道の駅プロジェクト」で、2019年6月からアライアンスパートナーとして参画した大垣共立銀行を始め、市や地元の住民団体「ゆめまち会」や事業者らとも連携している。また、日本航空(JAL)から積水ハウスに出向中のスタッフや、エイチ・アイ・エス(HIS)から美濃市に出向している職員も制作に参加。ほかにはないここだけの魅力が詰まった「よりみちマップ」に仕上がった。美濃を旅する旅行者や地元の人にも広く利用してもらうことで、観光促進・地域経済活性化が加速することを目指す。

 今後もより鮮度の高い情報を発信していくためマップは順次更新し、最新の魅力を発信していく予定という。