新「観光立国推進基本計画」閣議決定 持続可能性や消費額拡大に重点

2023年3月31日(金) 配信 

政府はこのほど、新たな観光立国推進基本計画を閣議決定した

 政府は3月31日(金)、2023年度からの新たな観光立国推進基本計画を閣議決定した。持続可能な観光地域づくり戦略や、インバウンド回復戦略、国内交流拡大戦略を基本的な方針としている。観光立国の持続可能なカタチでの復活を目指すとともに、大阪・関西万博が開かれる2025年に向け、「持続可能な観光」、「消費額拡大」、「地方誘客促進」の3点をキーワードに観光の質的向上とともに施策を推進していく。

 新たな基本計画の早期目標として、訪日外国人旅行消費額5兆円(19年は4兆8000億円)、国内旅行消費額20兆円(同21兆9000億円)を掲げた。

 また、25年までに持続可能な観光地域づくりに取り組む地域数を100地域選定することを目指す。このほか、訪日外国人旅行消費額単価を1人当たり20万円(同15万9000円)とし、訪日客1人当たりの地方部宿泊数を2泊(同1.4泊)にする。また、日本人の地方部延べ宿泊者数を3.2億人泊(同3億人泊)、国内旅行消費額を22兆円にするとの目標に掲げた。

 主な施策として、観光地・観光産業の再生・高付加価値化や、コンテンツ整備、高付加価値なインバウンドの誘致、アウトバウンド・国際相互交流の促進、国内需要喚起──などに取り組む。

 25年の観光復活を目指し、地域の社会や経済に好循環を生むような「持続可能な観光地域づくり」が全国各地で行われ、コロナ前よりも「観光の質の向上」や「観光産業の収益力・生産性の向上」、「交流人口・関係人口の拡大」を推し進める。

東武トップ旅ホ連、金谷会長が再任へ 人手不足や物価高騰が課題

2023年3月31日(金)配信

東武トップツアーズ協定旅館ホテル連盟の金谷譲児会長

 東武トップツアーズ協定旅館ホテル連盟(金谷譲児会長、1318会員)は3月23日(木)、東京都内のホテルで2023年度通常総会を開き、任期満了に伴う役員改選で、金谷会長を再任した。コロナ禍により、リアルでの総会開催は4年ぶりとなった。

 金谷会長は冒頭、コロナ禍で停滞を余儀なくされた観光業が少しずつ回復に向かっているなか、人手不足や物価の高騰などの深刻な課題に直面していると指摘。宿泊業も「宿泊単価を上げないとやっていけない。料理の原価だけではなく、エネルギーコストや人件費など、すべてのコストが上がっている。これを機に少しずつ単価アップができるような努力を、東武トップツアーズと進めていければ」と語った。

 このうえで、「団体旅行も周年事業や教育旅行含めて、順調に19年(コロナ禍前)レベルに戻りつつあると伺っている。インバウンドも地域差はあるようだが、かなり戻ってきている。これからの観光業は、日本の産業の1つの柱になっていくと思う。東武トップツアーズと協力しながら観光業を盛り上げあげつつ、文化面にも対応しながら盛り立てていきたい」と意気込みを語った。

運輸観光施設連盟、小野寺会長が再任

東武トップツアーズ協定運輸観光施設連盟の小野寺仁会長

 同日は、東武トップツアーズ協定運輸観光施設連盟(小野寺仁会長、839会員)も23年度通常総会を開き、任期満了に伴う役員改選で小野寺会長を再任した。

 東武トップツアーズ協定旅館ホテル連盟と合同で、新規事業として支部事業の活性化を目的とした支部起案(プレゼン)の場を設定。各支部からの事業提案を受けて順位を決め、助成を行う「強者(ツアモン)事業」を4月20日に実施する。予算総額は両連盟が各500万円を出し、1000万円の争奪戦となる。審査は、合同本部活性化委員会の中で行われる。

 小野寺会長は「アフターコロナに向けて、国内・団体旅行の復活に向け皆様と一緒に頑張りたい。(東武トップツアーズと両連盟の)3者一体となった事業を展開していきたいと思っている。各地域、各支部の皆様と一緒に地域活性化につながることも期待したい」とあいさつした。

東武トップツアーズの百木田康二社長

 両者の総会に出席した東武トップツアーズの百木田康二社長は、コロナ禍を迎えてからの送客について「十分な貢献ができなった」と振り返る。これからの人流制限の回復傾向を受け、会員に向けて「この3年間できなかったことを皆様に返していきたい」と力を込め、引き続きの支援と協力を呼び掛けた。

 総会後は両連盟の合同懇親会も開かれ、盛会裏に終わった。

NAA、外客コロナ前の7割に回復 水際対策の緩和などで

2023年3月31日(金) 配信

田村明比古社長

 成田国際空港(NAA、田村明比古社長)が3月30日(木)に発表した2023年2月の総旅客数は前年同月比343%増の219万3323人となった。このうち、国際線の外国人旅客数は1981%増の100万5614人。コロナ禍前の19年同月比では約7割まで回復した。水際対策の緩和などが主な要因。

 国際線の総旅客数は前年同月比724%増の163万7922人。このうち、日本人旅客数は同786%増の36万3590人。コロナ禍前の19年同月比では78%減だった。

 国内線旅客数は前年同月比81%増の55万3900人。19年同月比では1%減とコロナ禍前と同水準となった。

 総発着回数は前年同月比46%増の1万5072回。国際線は同44%増の1万1223回。国内線は同50%増の3849回だった。

 田村社長は「日本政府による新型コロナウイルスの5類移行を受け、中国政府が日本行き商品の販売を解禁する可能性がある。このため、大きく回復することも見込んでいる」とした。

訪日花見で好調 韓国コロナ前回復

 3月1日(水)~25日(土)までの国際線出国旅客数は前年同期比1040%増の67万2300人。このうち、韓国線は同3331%増の14万100人。19年同期比では4%減とコロナ禍までの水準まで回復した。

 田村社長は航空関係事業者からのヒアリングの結果として「花見シーズンを受け、タイやシンガポール、韓国、台湾などが好調に推移している」と説明した。アウトバウンドについては「3月下旬以降ハワイへのレジャー需要が増加している」 と話した。

新ターミナル建設 段階的に1カ所へ

 NAAは3月30日(木)、3つのターミナルを1カ所に集約する「『新しい成田空港』構想」の中間とりまとめを発表した。28年度末に新滑走路の供用開始で利用客の増加が見込まれることや、1970年代に建てられた現在の空港施設が老朽化しているため、昨年10月から有識者や国県市町を委員で構成する検討会を開き、議論を行ってきた。

将来の配置のイメージ。ターミナルは第2ターミナルの南側に位置する

 新ターミナルは現在の第2ターミナルの南側に位置。新滑走路の完成後に、空港を運用しながら建てる。各滑走路からの距離が近く、鉄道と道路からアクセスしやすいことを考慮した。

 整備は2段階で進める。フェーズ1では現在の第2と3ターミナルと接続して運用する。フェーズ2では新ターミナルが完成。既存のターミナルは閉鎖される。

整備は2段階で進める

 田村社長は開業日程について「新滑走路の完成から大きく遅れなることなく実現したい。詳細は、今後社内で検討し、検討会に相談する」とした。

【特集 No.631】下呂温泉観光協会 E-DMOで持続可能なまちづくり

2023年3月31日(金) 配信

 「下呂温泉観光協会」(瀧康洋会長、岐阜県)は、旅行新聞新社が取材活動などを通じて観光業界の取り組みの中から、創意工夫の見られるものを独自に選び、表彰する「日本ツーリズム・オブ・ザ・イヤー2022」(2022年12月11日発表)のグランプリを受賞した。エコツーリズムの理念をDMO(観光地域づくり法人)にプラスした「E―DMO」によって、地域や住民の一体性が生まれた。また、地域の魅力を“見える化”したことで、持続可能な発展が期待できる取り組みとして高く評価された。瀧会長に詳しい話を聞いた。

【木下 裕斗】

エコツーの理念で地域まとめる 住民が魅力発掘し、ガイドも

 ――E―DMOとして活動する下呂温泉観光協会の取り組みについて教えてください。

 下呂温泉観光協会は、下呂市全体のDMOとして活動しています。下呂地区をはじめ、萩原と金山、小坂、馬瀬の5地区で構成されています。5つの地区は2004年に下呂市として合併する以前は、別々の自治体でした。このため、住民の多くは近隣地区の観光資源ついて詳細に把握していませんでした。行政区分上は1つになりましたが、全体の活性化に向けては一致団結していなかったように思います。

 これを踏まえ、地域全体で旅行者に魅力的な資源を提供することで、地域が活性化し、資源も守られていくエコツーリズムの理念を取り入れることで、地域全体の合意が得られると考えました。

 地元自治体や旅館組合、各観光協会、各商工会、運輸事業者、漁業組合、自治会などに声を掛け、16年9月に下呂市エコツーリズム協議会を設立しました。

 住民の皆様には新しい観光資源「地域の宝」を発見してもらい、自らの暮らしに誇りを持てるようにというのが最大のテーマでした。

 その狙い通り、1054人が驚くことに地域資源2714種類を発掘してくれました。

 ――発掘された地域資源はどのように活用されたのですか。

 下呂市エコツーリズム推進協議会では地域の宝を活用したフェノロジーカレンダー(暮らしの暦)や宝の地図を作成し、各地区が発表することで地域全体の連携・地域の誇りの醸成につながりました。また、既存の地域資源の再認識と新たな観光資源の発掘から商品開発も行いました。

 温泉以外の資源を掘り起こせたことで、“新しい下呂市の価値”が生まれ、事業は良い方向に向かいました。

 ――住民の一体感はどのように高めましたか。

 市民向けに500円と低価格で参加できるワンコインツアーを催行し、下呂市として合併する前の各町の魅力を認識してもらいました。具体的には川に入って流れを遡り、滝にも飛び込む、小坂地区の「小坂なシャワークライミング」などを催行しました。

 ツアー終了後には、参加者へのアンケート調査を行い、事業改善に役立てています。

 また、ツアーの質の向上を目的に人材育成講座を開講し、多様化するニーズに応えるため、新たな資源の発掘に活かしています。

 また、新型コロナウイスの感染拡大を受け、安心してツアーに参加してもらおうと、20年6月にはこまめな消毒や3密回避などを定めたガイドラインを作成しました。業界としていち早く対応し、影響を最小限とすることが目的でした。

 この結果、エコツーリズムの消費額はコロナ禍前の19年度が約3600万円に対して、20年度は約2400万円、21年度が2600万円とコロナ禍でも一定以上の収益を得ることができました。

 また、資源や文化などを大切にする暮らしを考えるなど、エコツアーを通じて、参加者に環境問題への理解を深めてもらえることも大きな目的です。動植物や文化財の専門家を招き、地域の現状を評価してもらい、必要に応じて改善方法の提案を受け、自然保護にもつなげています。

 18年4月には、こうした取り組みをまとめた全体構想を環境省へ提出し、エコツーリズム推進法の認定団体となりました。全国で14番目で、温泉地としては、初の認定でした。これにより、地域資源の保護や立入制限、広報などを支援していただいています。

 これまで法的に保護措置が担保されてこなかった自然観光資源について下呂市が「特定自然観光資源」に指定することで、汚損や損傷、除去、観光旅行者に著しく迷惑をかける行為を禁止するなど、より厳しく保護措置を講じることができるようになりました。……

【全文は、本紙1898号または4月6日(木)以降日経テレコン21でお読みいただけます。】

〈旬刊旅行新聞4月1日号コラム〉―― プロの仕事  大人の本気のサービスに接してみたい

2023年3月31日(金) 配信

 4月のこの時期に旅館を訪れると、ロビーやラウンジ、食事処などにフレッシュなスタッフを目にすることが多い。若いスタッフがキビキビと館内で働いている光景は、旅行者にとっても爽やかな気持ちになる。

 

 しかしながら、3年にわたるコロナ禍が大きく影響し、サービス業界、とりわけ旅館・ホテル業界では人手不足の問題が深刻化している。サービス業は相対的に賃金水準が低く、離職率が高い業種である。また、サービス業に限らず、どの業界でも入社して3年という一つの節目があり、3年以内に離職していくケースが多いのも現実だ。

 

 一方で雇用する、一部の旅館などでは、「3年ほどで新しい人材と入れ替わるサイクルを繰り返した方が、フレッシュさを保てていいのだ」という考えもあるようだ。

 

 

 その土地の歴史や文化などを、宿のコンセプトやデザインに取り入れ、若いスタッフが元気いっぱいの笑顔で迎えてくれる宿も増えてきた。

 

 地元で採れた料理の素材や、館内の楽しみ方、過ごし方などを宿泊客に説明してくれる。何度も練習しているのか、言い淀みがない。

 

 だが、宿を「快適に過ごしてほしい」という気持ちが強いせいか、説明がやや一方的で、悪く言えば「押しつけに感じる」こともある。逆に、こちらが知りたい情報を質問すると、即答は難しく「少々お待ちください」と奥の方に行って、しばらく戻ってこない。

 

 特定の宿を指しているわけではなく一般論であるが、何事にもスタイリッシュさを大事にした感じが強いわりには、学生の「~ごっこ」のような、素人感が漂うことが多々ある。これで割と高い料金に設定されていたら、やはり冷めてしまう。だとしたら、最初から“素朴さ”を前面に出してくれた方が、こちらもヘンな肩ひじを張らずに済むため、居心地がいい。

 

 

 先日、東京會舘の「Drape(ドレープ)」というレストランで食事をする機会に恵まれ、支配人の方々とお話させていただいた。東京會舘は100年の歴史を有する。

 

 丸の内界隈を中心にレストランや宴会事業などを展開し、数々の海外の要人やVIPをもてなしてきた。丸の内のローカルルールを知り尽くしているので、地元のお得意様は大事な会食のときには信頼のおける東京會舘を利用することが多くなるという話も聞いた。そこが昨日今日進出してきた高級チェーンホテルにもできない存在価値である。2、3年で現場の人材が入れ替わるようでは、長年培ってきたノウハウを大切に守り続けることはできないし、プロの仕事に到達しない。

 

 老舗の名ホテルや名レストランなどには、老練のサービスマンがいる。旅館でいえば、数々の修羅場を潜り抜けてきた百戦錬磨の女将が存在することで、場の雰囲気が引き締まり、接客現場が大きく変わる。

 

 

 若い優秀なスタッフだけで、旅館やリゾートホテルの接客は可能かもしれない。表面的には、世界的な一流リゾートホテルや、老舗の名ホテルの“真似事”もできるかもしれない。

 

 しかし、お客と直に接客するサービス業ほど誤魔化しがきかない業種もない。経験がモノを言う世界だ。高い評価を受ける宿で長年経験を積んできたベテランスタッフは鈍く輝く。大人の本気のサービスに接してみたい。

(編集長・増田 剛)

「先駆的DMO」に田辺市熊野ツーリズムビューロー、京都市観光協会、下呂温泉観光協会の3法人選定(観光庁)

2023年3月30日(木) 配信

 観光庁はこのほど、世界に誇れる持続可能な観光地域づくりを行う「世界的なDMO」の形成に向け、「先駆的DMO」として3法人を選定した。

 3法人のうち、「世界的なDMO」へ必要と定めるすべての項目で一定の水準を満たしているAタイプは、「田辺市熊野ツーリズムビューロー」(和歌山県田辺市)と「京都市観光協会」(京都府京都市)の2法人。一部水準を満たしていないBタイプは「下呂温泉観光協会」(岐阜県下呂市)。

 全国各地域のDMOは、頂点の「世界的なDMO」に向けてピラミッド型で構成される。下層から「候補DMO」「登録DMO」「重点支援DMO」と上のステージを目指していく。

 「先駆的DMO」はさらに上層のステージで、今回選定された3法人は、頂点の「世界的なDMO」になるために、観光庁も戦略的な伴走支援などを実施していく。

メイドイン函館の新造船「はやぶさII」 4月4日(火)デビュー 就航記念「青函ウルトラ割」実施(青函フェリー)

2023年3月30日(木)配信

 青森~函館を1日16便で結ぶ青函フェリー(熊坂高社長、北海道函館市)は、地元函館市の函館どつく(関川義紀社長、北海道函館市)で造船の「はやぶさII」を、2023年4月4日(火)の函館発14便(午後8時30分)から就航させる。就航記念キャンペーンとして、WEB予約限定でマイカー旅行をお得に楽しめる「青函ウルトラ割」を実施する。

 「はやぶさII(2999㌧・300人)」は、「あさかぜ5号(1998年就航、1958㌧・103人)」の代替船として建造され、大幅な輸送力がアップが実現する。メイドイン函館の新造船であることから、函館市にゆかりのあるモノ(五稜郭、おんこの木など)をグラフィック化したデザインを取り入れ、空間のオリジナリティーを演出する。船室はオーシャンビューの2等イス席やカーペット仕様の2等室、バリアフリーイス席、1室を貸し切り利用できるステートルームなどがある。

 「青函ウルトラ割」は乗用車(5㍍未満)航送の場合、通常期で1万7500円のところ、4月は1万円、5月は1万2000円で利用できる(ゴールデンウイーク中も同価格)など、マイカー利用向けのキャンペーン料金を設定する。予約は公式ホームページから受け付ける。

「大正ロマン×百段階段 文豪が誘うノスタルジックの世界 ~」ホテル雅叙園東京 百段階段で6月11日まで

2023年3月30日(木)配信

 ホテル雅叙園東京(東京都目黒区)は6月11日(日)まで、「大正ロマン×百段階段 文豪が誘うノスタルジックの世界 ~」を行っている。

 明治から昭和の名作文学に現代のイラストレーターが挿絵を添える立東舎の「乙女の本棚」シリーズとコラボレーション。東京都指定有形文化財「百段階段」の階段廊下をつなぐ6室に、泉鏡花の「外科室」や中島 敦 の「山月記」など6作品の物語の世界観を表現した立体展示に加え、同シリーズの該当作品に使用されているイラストやオリジナルの音楽と共に文学作品の世界観を味わえる。

 美人画の大家鏑木清方が造った「清方の間」には女性の美をテーマにした作品を多く残した谷崎潤一郎の「秘密」、一番広く窓がとられ葉桜の季節には窓の外に緑が望める「草丘の間」に太宰治の「葉桜と魔笛」と各部屋の特徴に合わせ、作品の世界観の展開。最初の部屋である「十畝の間」では、文化財「百段階段」が完成した年と同じ1935年に発表された萩原朔太郎の「猫町」をイメージした立体展示を見ることができる。

 担当者は、「歴史資料として作品を振り返るのでなく、3次元の展示を通じ文学の楽しさや世界観を全身で体験してほしい」とPRした。

JMRSと千葉県・芝山町、成田新滑走路の完成へ人材確保で連携 地域の交流人口増加も目指す

2023年3月29日(水) 配信

中鉢真輔社長(左)と麻生孝之町長
 JMRS(中鉢真輔社長、東京都新宿区)と千葉県・芝山町(麻生孝之町長)はこのほど、地域活性化包括連携を結んだ。その第1弾として、4月3日(月)から柴山町内に位置する同社の学習施設「空飛ぶ学び舎ラボ」の利用料を補助する「そらまなキャンペーン」を始める。
 
 2028年度末を予定する成田空港の新滑走路完成に向けて人材不足が予想されるなか、航空業界で働く魅力を多くの学生に伝え、人材確保をはかる。また、地域の交流人口を増やし、町民の誇りを醸成していく。
 
 第1弾では、「航空科学博物館」や「空の駅 風和里しばやま」などで構成されるスカイパークしばやまに訪れ、空飛ぶ学び舎ラボでの講座を受講または、空飛ぶ学び舎弁当を注文した学校団体のうち先着1万人を対象に、1人当たり500円の利用料と1000円の航空キャリア講座の費用を補助する。
 
 このほか、協定書では航空関連企業の創出や、国際理解・異文化理解の促進、地場産業と保有資源の活用などに向け取り組むことが盛り込まれた。両者は「今後さまざまな取り組みを展開する」としている。
 
 空飛ぶ学び舎ラボは昨年11月1日(火)に、オープンした。成田空港から車で10分の場所にある航空科学博物館の敷地内に位置する。現役のパイロットやCAが学校団体向けに、実物大機体の模型を用いて、仕事内容の解説や就職対策講座を開いている。

KNT-CTHD、小山次期社長が会見 事業構造改革の継続示す

2023年3月29日(水)配信

次期社長の小山佳延専務(左)と米田昭正社長

 KNT-CTホールディングスは3月27日(月)、東京都内で開いた記者会見で、次期社長に内定した代表取締役専務の小山佳延氏が今後も事業構造改革を継続する方針を示した。このうえで「旅行業の回復がなかなか進まないなか、さらなる改革により利益創出基盤を一層強化しようと、事業構造改革2.0に現在取り組んでいる」と述べた。

 本業の旅行業について、5月8日(月)に新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけが「5類」へ移行されることが、今後の回復への大きな節目になる考えを明かした。小山専務は、現状として「国内旅行が増加傾向にあり、全国旅行支援事業の4月以降の延長を追い風に現在販売を強化している。海外旅行は円安や原油高、国際情勢などの問題で旅行代金の高止まりが続き、復活には少し時間が掛かる。一方、円安が追い風となるインバウンドは回復が期待できる状況」と語った。

 今後は地域共創事業の取り組みを強化する方向性を示したうえで、現状は子会社それぞれが点の動きになっていると指摘した。これからは「クラブツーリズムが新たに挑戦する着型ビジネスや、ホールディングスで進めているナイトタイムエコノミー事業などの当社が持つリソースや他社との連携により、点から面への取り組みに深化させ、当社ならではの地域共創事業として強化していきたい」と力を込めた。

 会見に同席した米田昭正社長は「コロナ後の新たな経営に向けて取り組むことになる今年、新たな担い手にバトンタッチし、さらなる発展に向けた舵取りを託したい」と公言した。