JALが横浜市とSAF製造で連携 ダイエー運営のイオンフードスタイルで廃食油回収

2024年6月10日(月) 配信

回収ボックス

 日本航空(JAL)と神奈川県横浜市はこのほど、廃食油を原料としたSAF(持続可能な航空燃料)製造に関する連携協定を締結。取り組みの第1弾として、ダイエーが運営するイオンフードスタイル鴨居店で試行的に廃食油の回収ボックスを設置し、家庭で発生する廃食油の回収を行ってきた。鴨居店での廃食油回収が継続的に実施できると判断したことから、6月5日(水)から本格回収を開始した。

 回収は店舗内ボックスで、原則毎日行っている。方法は、家庭で集めた廃食油を回収ボックスに直接流し込む。ペットボトルなどで持参することが可能だが、油を入れたあとのペットボトルはリサイクルができないので店頭での容器回収は行わない。

 第2弾として、イオンフードスタイル三ツ境店で7月1日(月)から、またイオンフードスタイル港南台店では7月22日(月)から店内に回収ボックスを設置して廃食油回収の取り組みを開始する。

 JALは航空機の脱炭素化を進めるため、家庭の廃食油を回収し、SAFへの再利用を呼び掛ける「すてる油で空を飛ぼう」プロジェクトを展開している。店頭で200円(税抜き)で参加することができ、回収ボトル1つとJALオリジナルステッカーがもらえる。

津田令子の「味のある街」「八咲羽二重」――村中甘泉堂(福井県福井市)

2024年6月9日(日) 配信

村中甘泉堂の「八咲羽二重」1箱4個入り1080円▽福井県福井市中央1丁目21-24▽0776(22)4152。

 1910(明治43)年に、福井県福井市手寄町に村中甘泉堂は創業した。100年を超える歴史ある老舗だ。初代・村中久松氏が和菓子の製造・卸・販売業を営んだのが始まりだ。創業当初から羽二重餅を看板商品に季節感と地域の秀材を生かしたお菓子作りを行ってきた。今では市内に複数出店し、オンラインショップにてお取り寄せすることもできるようになった。2021年にはパティスリーKANSENDOを本店内に移転させ洋菓子も人気を博している。

 福井といえば羽二重餅といわれるほど根強い人気だが、店のホームページには「羽二重餅」が考え出された背景には「『名産品の羽二重を彷彿とさせるような土産物を』という福井の人たちの思いがあったようです。聞くところによると、ほぼ同時期に福井の複数の菓子屋さんから同時多発的に販売が始まったそうです」と記されている。

 「羽二重餅」は、米・砂糖・水飴で作る菓子で、それだけに材料への心配りがそのまま風味や食感を左右する。この店は「100%福井米」を貫き、県内でも山沿いで水のきれいな、大野市・勝山市・池田町産の米を産地指定で仕入れるようにしているという拘りようだ。

 今回ご紹介するのは、この店の人気の一品で、代々伝わる羽二重餅の技法を生かして考案された「八咲羽二重」だ。爽やかな酸っぱさと、ほんのりした苦味が特徴の和歌山産八朔をふんだんに使用したものだ。この和歌山産八朔と白あんを、上品な甘さできめ細やかな舌触りの羽二重餅で包んだもの。とにかく他では味わったことのない高級感に満ち溢れた和菓子で幾つ食べても飽きがこない。消費期限は3日間なので、離福する日に買うことにしている。我が家では、4個入りを3箱買いもとめ3日間続けて1日4個(1人1個)を大切にいただいている。宅配便で送る場合は要冷蔵(10度以下)で、クール便で届けていただける。到着後は、急ぎ冷蔵庫に保管し、早めのお召し上がりをおすすめする。

 北陸新幹線が福井(鯖江駅)延伸で、村中甘泉堂の八咲羽二重を食べる機会が増えてきた。

(トラベルキャスター)

 

津田 令子 氏

 社団法人日本観光協会旅番組室長を経てフリーの旅行ジャーナリストに。全国約3000カ所を旅する経験から、旅の楽しさを伝えるトラベルキャスターとしてテレビ・ラジオなどに出演する。観光大使や市町村などのアドバイザー、カルチャースクールの講師も務める。NPO法人ふるさとオンリーワンのまち理事長。著書多数。

「観光革命」地球規模の構造的変化(271) 貧困大国・日本への危惧

2024年6月8日(土) 配信

 加齢のために疲れ易くなったので、大型連休期間中はどこも人出が多いだろうと予想して自宅で読書しながらのんびりと過ごした。その間に野口悠紀雄氏の近著「プア・ジャパン:気がつけば『貧困大国』」(朝日新書)を読んだ。野口氏は経済学の碩学で1940年生まれ、東大工学部卒業後に大蔵省に入省、その後、米国エール大学で経済学博士号を取得し、一橋大、東大、早大などの教授を歴任。

 本書の冒頭で野口氏は「日本の貧しさが、さまざまなところで目につくようになった。アベノミクスと大規模金融緩和が行われたこの10年間の日本の凋落ぶりは、目を覆わんばかりだ」と指摘。2000年には1人当たりGDPがG7諸国中で最上位だったが、現在は最下位に低迷。12年には日本の1人当たりGDPは米国と同水準だったが、現在は約3分の1に低下。

 野口氏は「日本衰退の基本的な原因は、日本の経済・社会の構造が世界の大きな変化に対応できなかったことだ。高度成長という成功体験のために経済・社会構造が固定化し、それを変えることができなかった」と指摘している。

 実は旅行・観光業界にとって哀しいことであるが、野口氏は「外国人旅行者の急増は『プア・ジャパン』の象徴」と論じている。要するに外国人旅行者の急増は日本の貧しさの結果というわけだ。日本の観光地の価値が高まったために外国人が高いお金を払って日本に来るようになったのではなく、日本での旅行や買い物が安くなったために生じた現象とみなしている。

 日本は世界の劇的な構造変化に対応できないままに、政府はさまざまな分野において補助政策を盛んに展開し、補助によって改革と創造の力が削がれて、甘えと依存の構造が広がった。野口氏は「現在の日本に必要なのは、補助ではなく、産業構造と社会構造の改革」と指摘し、「それを支える人材を育成することだ。人材こそが革新を生み、社会を変える。重要なのは、高度の専門的技術を身につけた人材が相応に報われる社会構造を作り上げていくことだ」と提言している。

 旅行・観光分野においても公的補助を求めるだけでなく、旅行・観光産業のシステム改革と高度専門人財の育成・確保に本気で取り組み、新しい旅行・観光のあり方を意欲的に創造する必要がある。

石森秀三氏

北海道博物館長 石森 秀三 氏

1945年生まれ。北海道大学観光学高等研究センター特別招聘教授、北海道博物館長、北洋銀行地域産業支援部顧問。観光文明学、文化人類学専攻。政府の観光立国懇談会委員、アイヌ政策推進会議委員などを歴任。編著書に『観光の二〇世紀』『エコツーリズムを学ぶ人のために』『観光創造学へのチャレンジ』など。

 

 

台湾観光庁と京急、ラッピング電車運行 需要喚起と台湾地震の復興支援へ

2024年6月7日(金) 配信

出発式のようす。原田一之会長(左2番目)と(左4番目から)方正光審議官、周学祐副代表

 台湾観光庁(周永暉長官、台湾・台北市)と京浜急行電鉄(川俣幸宏社長、神奈川県横浜市)は6月7日(金)~9月28日(土)まで台湾観光特別ラッピング電車「ビビビビ!台湾号」を運行する。京急電鉄の利用者を中心に台湾の魅力を発信し、観光需要を喚起する。観光客の増加によって4月に発生した台湾地震の復興支援にもつなげる。

パイナップルをデザインしたラッピング電車の外観

 同列車は1編成全8両に特別ラッピングを施した。車体は都会の慌ただしい生活から離れ、癒しを感じ、旅情を搔き立てようと、台湾独自の文化と自然を表したパイナップルと茶葉、蘭の3種のデザインしている。車内の網棚の上には、九份(基隆)や三仙台(台東)などの景勝地を紹介するポスターを掲出した。

網棚の上に掲出した台湾の景勝地を紹介するポスター

 このほか、JTBや近畿日本ツーリストなど日本の旅行会社のほか、チャイナエアラインやエバー航空など台湾の航空会社による訪台を促す広告も掲出した。

エバー航空のポスター

 京浜急行電鉄は2015年2月に、台湾鉄路公司と友好鉄道協定を締結し、台湾における鉄道旅行の魅力を発信。さらに、京浜急行電鉄の原田一之会長は今年2月、世界から1人しか授与されない台湾観光特別貢献賞を受賞。これを契機として、同社と台湾観光庁の新たな取り組みとして同列車の運行が決まった。

 運行期間は1カ月の予定だったが、地震で被災した台湾へエールを送るため京浜急行電鉄が2カ月間延長した。

 6月7日(金)に行われた出発式で、台湾観光庁の方正光(ほう・せいこう)審議官は「日本は台湾の重要な顧客。コロナ前の訪台客数へ回復させるため、広く発信する。日本の皆様には列車で空港に向かい心温まる台湾へ来てほしい」と語った。

方正光審議官

 台北駐日経済文化代表処の周学祐(しゅう・がくゆう)副代表は「1~5月の訪日台湾人は200万人を超え、過去最高となった」と報告し、「今後は相互交流をより拡大できることを期待している」と語った。

周学祐副代表

 京浜急行電鉄の原田一之会長は「日本からの台湾を訪れる観光客は(コロナ禍前より)減っている。羽田空港から台湾へ出掛けてほしい」と語った。

原田一之会長

 なお、運行予定表は京急電鉄のホームページで公開している。

 

「かながわ認定観光案内人」養成講座受講生募集 訪日客向け体験型ツアーガイドを目指す人へ

2024年6月7日(金) 配信

神奈川県はこのほど、24年「かながわ認定観光案内人」養成講座を始める

 神奈川県はこのほど、2024年度「かながわ認定観光案内人」養成講座受講生を募集する。自然、歴史、食、文化などの観光コンテンツに高い専門性を有する通訳ガイドを育成し、認定する事業。

 講座は、インバウンド観光の基礎知識や、体験ツアーの造成・販売方法などの座学9回と、ウォーキングツアー、酒蔵見学の体験会2回の計11回。

 講座を受講し、OTAでツアー販売開始した人を、県が審査したうえで認定する。

 受講生募集期間は、6月13日(木)~7月9日(火)まで。

 主な応募要件は、「県内でガイド活動に従事できる(県外在住者も可)」「語学が堪能」「外国語でガイドや通訳などの経験がある」「体験型ツアーを造成してOTAで販売しガイドに従事したい人」「認定後に県のプロモーションなどの観光事業に協力する」──など。

 募集人数は20人。講座の実施時期は8月~25年1月まで。

「東京港アートクルーズを高付加価値な観光商品へ」 天王洲・キャナルサイド活性化協会(三宅代表理事)

2024年6月7日(金) 配信

東京湾アートクルーズのようす

 天王洲・キャナルサイド活性化協会(三宅康之代表理事、東京都品川区)は、跡見学園女子大学、パナソニックグループと産学連携し、「文化観光の体験都市」として地域観光づくりを目指している。

 6月1(土)、2日(日)の2日間、天王洲エリアの風物詩となった「TENNOZ CANAL FES 2024 -Spring&Summer-」(天王洲キャナルフェス2024春&夏)を開催。前夜祭を含めた期間中に延べ2万人が来場した。  

 産学連携イベントの目玉の一つ、「東京港アートクルーズ」は、天王洲のアート作品を水上から鑑賞したあと、東京港のダイナミックな景色を堪能するツアー。メインガイドを跡見学園女子大学観光コミュニティ学部篠原ゼミ生が担当。アートや東京港の解説を、「Smart Town Walker®」のイベントアバターによる音声・映像付きのガイダンスと組み合わせた。

アートクルーズのガイドでも活躍した跡見学園女子大・篠原靖准教授(左端)のゼミ生

 三宅代表理事は「高付加価値な観光クルーズとして、多くの乗船者から感動の声をいただいた」と手ごたえを得たようす。「今後は多言語化にも対応すれば、さらに高付加価値な観光商品に成長させることが可能だと感じた」と語る。

 同協会は24年3月、観光地域づくり法人(地域DMO)に登録された。「水辺とアートの景観を活用して、働く人・住む人・訪れる人に魅力的な都市観光」へ、さまざまな挑戦をしている。

 今年は「天王洲観光都市元年」をテーマに、これまで以上に産官学連携や、観光DXの推進を強化していく考えだ。

KNT-CTパートナーズ会、被災地域の会費免除 全国交流事業が北陸開催へ

2024年6月7日(金) 配信

KNT-CTパートナーズ会の堀泰則会長

 KNT-CTパートナーズ会(会長=堀泰則・ひだホテルプラザ会長、3329会員)は5月29日(木)、東京都港区のシェラトン都ホテル東京で2024年度通常総会を開いた。24年1月に発生した能登半島地震により、内灘地区以北の会員施設22施設の定額会費を免除するほか、北陸連合会応援施策、全国交流事業を北陸連合会地区で開催することなどが承認された。

 北陸連合会応援施策は、KNT-CTパートナーズ会から500万円、KNT-CTホールディングスから140万円の義援金を基に実施するもの。重点施策は能登半島の現状を鑑み、復興状況の目途がついた段階で再度検討するとして、クラブツーリズムと近畿日本ツーリストブループラネットによる商品施策は、北陸応援割の終了後から展開予定とした。

 他方で、北陸3県での観光PRの継続した展開と、団体観光客減少に伴う観光部会の土産販売の伸び悩みを受けて、5月に大阪で北陸3県観光PR&北陸物産販売を行ったと報告。引き続き、会員と連携した北陸応援に取り組むとしている。

 全国交流事業の北陸開催については、能登半島地震で被災(風評被害)にあわれた会員・エリアを応援するために、北陸連合会に打診して決定した。開催日は10月2日(水)、懇親会は福井県・あわら温泉清風荘。復興に依然時間を要する輪島・和倉地区の状況を視察し、復興後の誘客・応援につなげていく。なお、当初予定していた九州連合会地区での開催は、次回25年度に延期となった。

 このほか、25年度以降の組織改正として、12連合会から8連合会への改正を承認。同HD組織に対応した組織改正と、会関連の支部・連合会幹事の事務処理など負担軽減するメール登録システムの活用を理由とした。

堀氏が会長を続投

 26年度までの続投が決定した堀会長は「共生・共創」をテーマに掲げ、地域創生に力を込めていくと述べた。このうえで「新しい地域コンテンツを各地域で磨き上げ、(同HDとの)情報交換により、ビジネスとしての立ち位置を作っていく。それが持続可能な地域づくりの一助となる」考えを語った。

 24年度事業計画では、地域自治体や観光協会などとタッグを組み、「持続可能な観光地域づくり」「地域コンテンツの価値創造」を発掘し、旅ナカ商品の開発・造成。会社と共催する全国キャンペーンの成功とグループ会社への浸透をはかるなど、同HDグループ会社に継続して協力していく方針だ。

 KNT-CTホールディングスの米田昭正社長は冒頭、昨年の過大請求事案に関して謝罪し、自治体への返済が完了したことを報告。21~25年度までの中期経営計画を見直し、「信頼回復と持続的成長に向けたグループ一体運営の強化」をテーマに掲げ、24~26年度までの新・中期経営計画により、立て直しをはかると話した。米田社長は「27年度以降の早期に、売上高700億円を目指す」と力を込めた。

 総会後には懇親会が開かれ、KNTーCTホールディングスの新社長に内定した小山佳延専務が乾杯のあいさつを行い、盛会裏に終了した。

「芸者’s BAR in YUMOTO FUJIYA HOTEL」 7月21日に開催(湯本富士屋ホテル)

2024年6月7日(金) 配信

「婆娑羅」

 湯本富士屋ホテル(勝俣克数総支配人、神奈川県・箱根町)は7月21日(日)、箱根湯本芸能組合とコラボレーションした「芸者’s BAR in YUMOTO FUJIYA HOTEL」を開く。昨年好評だったため、今年も企画した。

 芸者衆で結成した「婆娑羅」バンドによる演奏や芸者衆とのトーク、お座敷遊びなどを繰り広げるイベント。終盤のディスコタイムでは芸者衆と一緒に踊ることができ、ここでしか楽しめない特別な体験を提供する。

 料金は1万3000円。事前予約制で、定員になり次第申し込みは終了する。

日本観光振興協会の新会長に三井不動産の菰田正信氏 情報交換会には斉藤鉄夫国交相も出席

2024年6月7日(金) 配信

菰田正信新会長

 日本観光振興協会(山西健一郎会長、676会員)は6月6日(木)、東京都内で2024年度の通常総会を開いた。任期満了に伴う役員改選で、新会長に三井不動産会長の菰田正信氏を選任した。菰田新会長は就任にあたり、「観光は我が国にとって重要な基幹産業であり、数少ない成長産業でもある。国内観光振興の中心的な役割を担う当協会の会長を拝命したことは身の引き締まる思い」と述べた。

 菰田新会長は自社で全国に1万3000室のホテルを有していることや、経済団体連合会の観光委員会委員長を務めたことなどを紹介。「こうした経験を生かしていきたい」とし、

「ウラカタチケット」上野動物園など4つの都立動物園・水族園で導入(アソビュー)

2024年6月7日(金)配信

アソビューはこのほど、都立動物園・水族園でウラカタチケットを提供する

 アソビュー(山野智久代表)は6月13日(木)から、恩賜上野動物園、多摩動物公園、井の頭自然文化園、葛西臨海水族園において電子チケットサービス「ウラカタチケット」の提供を始める。

 都立動物園や水族園では、2021年からオンライン上でのチケット販売に対応している。複数人での一括着券(入園受付)への対応や、訪日外国人に向けた多言語化を進めるため、電子チケットの利便性をより向上させる目的で導入した。

 恩賜上野動物園では、6月26日(水)から入園受付を開始。一般600円、中学生200円、65歳以上300円。多摩動物公園では、6月27日(木)から受付開始。一般600円、中学生200円、65歳以上300円。井の頭自然文化園の入園受付開始日は、6月26日(水)。一般400円、中学生150円、65歳以上200円。葛西臨海水族園の入園受付は、6月27日(木)から始める。一般700円、中学生250円、65歳以上350円。