相川観光案内所、外国人観光案内所の「カテゴリー2」に認定

2019年12月23日(月)配信

スタッフが笑顔で明るく対応する

 新潟県佐渡市のきらりうむ佐渡内にある「相川観光案内所」がこのほど、日本政府観光局(JNTO)の外国人観光案内所認定制度で「カテゴリー2」に認定された。佐渡市では2カ所目。認定基準である「少なくとも英語で対応可能なスタッフが常駐。広域の案内を提供」できる案内所に認められたことになる。

 同認定制度はJNTOが募集を行い、案内所を立地や機能などから、3つのカテゴリーと、パートナー施設に分けて認定するもの。同案内所は、上位から2番目の「カテゴリー2」の水準に達していると判断された。なお、認定は3年ごとの更新制となる。

 JNTOでは認定した観光案内所に対して、通訳サービスや研修会の実施などの支援サービスを提供することで、全国のJNTO認定外国人観光案内所の機能充実と質の向上をはかっている。

きらりうむ佐渡(外観)

 相川観光案内所は、「金を中心とする佐渡鉱山の遺産群」の世界遺産登録に向けて、相川地区の観光の拠点として、佐渡金銀山の玄関口である「きらりうむ佐渡」内に設置されている。 英語対応可能なスタッフが常駐し、電動アシスト自転車の貸出、まち歩きガイドの手配などを行っている。

相川観光案内所

住所:〒952-1562 新潟県佐渡市相川三町目18 きらりうむ佐渡内

TEL0259-74-2220 FAX0259-74-3321

営業時間:午前8:30~午後5:30

佐渡市公式観光情報サイト「さど観光なび」:

ロシア連邦観光庁、日本人観光客を20%増加へ ビザなし渡航のPRも

2019年12月23日(月) 配信

セミナーのようす

 ロシア連邦観光庁はこのほど、東京都内で日本の旅行会社などに向けてビザの制度と観光地を説明するセミナー「ロシア2020。ギフトとしてのユーロ」を開いた。2020年に行われる「サッカーユーロ2020世界選手権」の期間中にビザなし渡航が可能になったことをアピールしたほか、観光地の魅力を伝え、日本人観光客を20%増加させたい考え。

 日本とロシアは2023年までに、ロシアを訪れる日本人観光客を年間40万人とする目標を掲げ、20~21年を地域交流年に設定。両国は日本からロシアに送客するための取り組みを活発化させている。

 サッカーユーロ2020世界選手権を担当するアレクサンドル・マキシーモフ氏は、ファンIDを発行することを発表した。日本人観客は同ID取得すると、ロシアへビザなしでの渡航が可能になる。期間は20年5月30日~7月13日までの滞在で、対象は同選手権の観戦チケットなどを持っていることとなっている。申請はインターネットでできる。

アレクサンドル・マキシーモフ氏

 ロシアの簡易ビザ制度である電子ビザは、インターネットで発給している。日本人観光客が同ビザを使用して訪問できる地域は、極東エリアやサハリン、サンクトペテルブルク、レニングラード地域などとなっている。21年にはロシア全土で使用できる予定。

 同日のセミナーで、タタールスタン共和国のイワノフ観光委員長は「ロシアには自然や文化、芸術などあらゆるジャンルの観光地がある」と説明した。自然を堪能できる観光地として、世界で最も深いバイカル湖を紹介。「文化が豊かなロシア」として、石器時代から現代まで約300万点を展示するエミタール美術館をアピールした。

イワノフ氏

電子ビザ申請サイト

E-visa
https://electronic-visa.kdmid.ru/home_jp.html

長野県・湯田中渋温泉郷で「温泉むすめ」のトークショー 歴史の宿 金具屋で開催

2019年12月23日(月) 配信

(左から)飯坂真尋、湯田中渋穂波、石和紅

 宿泊予約サービスを提供するゆこゆこホールディングスは2020年3月7日(土)~8日(日)、長野県・湯田中渋温泉郷で人気声優の企画プロジェクト「温泉むすめ」のトークショーを行う。共催は、会場となる歴史の宿 金具屋、企画、制作は同コンテンツを展開するエンバウンド(橋本竜代表)。

 アニメイベントと温泉旅行を合わせて楽しめる、宿泊がセットになった同プラン。湯田中渋穂波役の大森日雅さんと、石和紅役の秦佐和子さん、飯坂真尋役の吉岡茉祐さんの3人が主演するイベントは、昼と夜の2公演を予定している。プラン、イベントの詳細と予約方法は来年発表される。

温泉むすめとは

 温泉むすめは、日本全国の温泉地をキャラクター化して、アニメーションや漫画、ゲームなどのメディア展開を行い、声優やキャラクターによるアイドル活動を通じて全国に“癒し”と“笑顔”を与え温泉の魅力を世界に発信していくエンバウンド(橋本竜代表)による地域共生・活性クロスメディアプロジェクト。今年から観光庁も同プロジェクトを後援している。

「心魅かれる新たな古都へ」 ホテルメトロポリタン 鎌倉、2020年4月開業

2019年12月23日(月) 配信

外観イメージ

 JR東日本グループの日本ホテルは2020年4月24日(金)、ホテルメトロポリタン 鎌倉(神奈川県鎌倉市)を開業する。宿泊することで朝や夜の時間帯ならではの新しい鎌倉の魅力を発見してほしいという思いを込め、テーマを「心魅かれる新たな古都へ」とした。

 同ホテルは、JR鎌倉駅東口徒歩2分の若宮大路沿いに建てられる。客室は鶴岡八幡宮二の鳥居が見えるプレミアムコーナールームや、小上がりが特徴的なスーペリアルームなど12種138室を用意。宿泊客だけの特別な鎌倉の別邸として、非日常のときめきと日常の安らぎを演出する。

プレミアムコーナーツインイメージ

 ホテル内1階には良品計画が運営する「Café&Meal MUJI」と「MUJIcom」が開業する。「Café&Meal MUJI」では地元の食材を使用した料理などを宿泊客以外にも提供。「MUJIcom」では、旅行や日常づかいに便利な雑貨などを販売する。

 良品計画が日本ホテルの運営するホテルに出店するのは初めて。また、両店舗を同じホテル内に出店するのも世界初の取り組みとなる。

 

日本生産性本部、第2回経営デザイン認証式を開く 旅行業界からは2社が受賞

2019年12月23日(月) 配信

受賞式のようす

 日本生産性本部の経営品質協議会(森田冨治郎代表、東京都千代田区)はこのほど、第2回経営デザイン認証式を開いた。ランクアップ認証とスタートアップ認証の2部門があり、計22組織が表彰を受けた。旅行業界からはANAテレマートと玲・彩ホテルズを運営する日本興機がランクアップ認証で受賞した。

 ランクアップ認証は、経営の目標と達成時期を定めた「ありたい姿」と競争関係や顧客・市場、独自性などの「現在の環境認識」、「実現に向けた変革課題」の3項目を経営設計図として、申請企業が同協議会に提出する。

 3項目が組織的に明確化されているかを同協議会が評価したうえで、自組織の人達が合意・納得している状況をトップインタビューで確認し、自社の経営方針の制度を高めるアドバイスを得ることで認証される。

 ANAテレマートの梶田恵美子社長は、柔軟性に富んだ航空会社グループを目指しているとしたうえで、「今後は、経営設計図を実行に移したい。さらに、幹部クラスの社員には経営設計図を定められるようにし、後進を育てたい」と意気込んだ。

左から2番目が梶田恵美子社長

 玲・彩ホテルズを運営する日本興機の平岩茂人社長は「事業拡大にあたり、従業員に会社の方針を再認識してもらうために申請した。受賞を機に経営設計図を浸透させたい」と感想を述べた。

左から2番目が平岩茂人社長

 スタートアップ認証は「ありたい姿」と「現在の環境認識」、実現に向けた変革課題を鮮明にするとともに、ありたい姿に結び付く業績と社員満足、顧客満足の3つの成果や指標・目標が明確にされているかを評価。ありたい姿に向けたプランをトップインタビューで確認し、自社の経営設計図を具体的に進めるためのアドバイスを受け、認証を決定する。

 片野坂真哉共同委員長は「認証企業には10年後を見据えて取り組みが多い。チームワークがよりよい申請書を作る力になる」と今後応募する企業にヒントを出した。

片坂野真哉委員長

JTB、企業版ふるさと納税サイト「ふるさとコネクト」開設へ クレジット決済も可能

2019年12月23日(月) 配信

 JTB(髙橋広行社長)は2020年4月に、企業版ふるさと納税サイト「ふるさとコネクト」を開設すると発表した。寄付を募る自治体からの契約受付を20年1月から始める。企業と地方創生に取り組む自治体の橋渡しをする。

 20年度税制改正要望により、税額控除の割合を現在の3割から6割に拡大することが閣議決定された。これにより、損金算入による軽減効果(寄付額の約3割)と併せて、寄付額の約9割が法人住民税や法人事業税などから控除され、寄付を行う企業の負担は最大1割まで軽減される。

 「ふるさとコネクト」では、自治体の地方創生プロジェクトを分かりやすく紹介しているのに加え、企業が行う社会貢献や事業展開などの需要をクローズドで自治体に発信し、双方のニーズをつき合わせる仕組みを構築する。

 寄付金の払い込みにはクレジット決済が可能で、オンラインの利便性を高めている。一方で、オフラインのコンサルティング機能も併せ持ち、3万5000社を超える同社の顧客企業やSDGs(持続可能な開発目標)を推進している企業のニーズに応えていく。

AI通訳機「ポケトーク」、国内の東横INN 292施設に採用

2019年12月23日(月)配信

東横INNのロゴとホテルイメージ

 ソースネクスト(松田憲幸社長)が販売するAI通訳機「POCKETALK(ポケトーク) W」は2019年12月20日(金)、国内の292ある東横INN ホテルで接客ツールとして導入された。同製品は、互いに相手の言葉を話せない人同士がコミュニケーションできる双方向の音声翻訳機。74言語に対応し、55言語では音声とテキストに、19言語はテキストに翻訳できる。

© SOURCENEXT CORPORATION

 東横イン(黒田麻衣子社長、東京都大田区)は、国内に292のビジネスホテルを展開している。観光庁が発表した2018年の外国人延べ宿泊者数は、前年比18.3%増の9428万人泊にのぼり、同ホテルの外国人宿泊者数も年々増加するなか、接客品質向上のため同製品が導入された。フロントでの案内ツールとしてはもちろんのこと、外国人スタッフへの研修などでも利用される。

外国人延べ宿泊者数は、前年比18.3%増の9400万人超

 観光庁が発表した2018年の外国人延べ宿泊者数は、9428万人泊にのぼり前年比18.3%増となった。国・地域別にみると、1位は中国で2217万人泊(外国人延べ宿泊者数全体に占めるシェア 26.5%)、2位は台湾 1210人泊(同14.5%)、3位は韓国 1195万人泊(同14.3%)、4位は香港 621万人泊(同7.4%)、5位はアメリカ 558万人泊(同6.7%)となり、上位5位で全体の7割を占める結果となった。

 今後、ますます訪日外国人客の増加が予測される宿泊施設においても、多言語対応が求められることが予想される。

日本初の「ホテルインディゴ」ブランド 2020年1月、「ホテルインディゴ箱根強羅」開業

2019年12月23日(月) 配信

ホテル イメージ

 インターコンチネンタルホテルズグループ (IHG ®) は2020年1月24 日(金)、 「ホテルインディゴ箱根強羅」(神奈川県・箱根町)をオープンする。同グループが日本でライフスタイル ・ ブティックホテルブランド「ホテルインディゴ(HOTEL INDIGO)」を開業するのは初めて。

 4室のスイートルームを含む98室すべてに天然温泉を完備。ヒルサイド以外の80室は野外露天風呂になっており、早川を臨みながらの入浴が楽しめる。また、「火」をテーマにしたオールデイダイニングレストランや、箱根の清流をイメージした「水」がテーマのバーラウンジでは、地元食材を中心とした料理を味わうことができる。

「観光ルネサンスの現場から~時代を先駆ける観光地づくり~(179)」麒麟獅子が舞う鳥取の新たな挑戦(鳥取県鳥取市ほか)

2019年12月22日(日) 配信

地元智頭農林の高校生らが披露した因幡の麒麟獅子舞

 鳥取といえば、多くの人は砂丘を連想するであろう。その砂丘に赤い麒麟獅子が舞う風景は、誠に幻想的である。この夏、機会を得て久々に砂丘の「馬の背」に登ってきた。日本海を渡る強い風によって吹き上げられた誠に珍しい砂の芸術だ。

 その風と砂をテーマに2019年度の日本遺産として、鳥取の麒麟獅子の物語が認定された。「日本海の風が生んだ絶景と秘境~幸せを呼ぶ霊獣・麒麟が舞う大地『因幡・但馬』」。タイトルは少々長いが、誠に魅力的な物語である。

 日本海から吹き付ける激しい北西の風は、中国山地にぶつかり、「山雪」と呼ばれる豪雪を山間部にもたらす。同時に、鉛色の海は海岸を削る荒波となり、川の上流から運ばれる大量の砂を巻き上げて日本最大の鳥取砂丘となった。激しい波は、日本ジオパークに認定されたこの地の多彩な海岸地形を生み、荒波を避ける漁村集落や板囲いの集落など、この地独特の暮らしと生業を生んだ。また、砂丘に砂を供給する急流を遡ると「山雪」に覆われる茅葺屋根と豪邸に出会う。山林王国、智頭町の石谷家住宅などの豪邸はそのシンボルである。

 このような厳しい風をキーワードに、荒波と砂、大量の雪という厳しい冬の季節を無事過ごせることに感謝して、人々は古来より幸せを呼ぶという霊獣・麒麟獅子を舞い続けた。今回の日本遺産対象地域である因幡・但馬の1市6町には、それぞれの由来の神社ごとに約140にも及ぶ麒麟獅子がいるという。地元若狭鉄道沿線の八頭町には、獅子頭を修理し制作する彫刻師の工房もある。

各地の代表者が集った記念シンポジウム(鳥取市国府町)

 今回の日本遺産認定を記念して11月末日、鳥取市で講演会とシンポジウムが開かれ参加した。地元の方々には麒麟獅子は馴染み深いものの、「日本遺産」は初めて聞いたという人も多く、いわばキックオフとも言うべきシンポジウムとなった。

 日本遺産は物語(ストーリー)である。その魅力的な物語に魅せられて多くの観光客が訪れることになろう。だから最も大切なことは、物語が体感できる「場」「景観」があることである。また、物語の背景となる地域情報や歴史文化を一元的に知ることができる情報拠点(日本遺産センターなど)や、物語を理解するうえで、ガイドの存在も不可欠である。観光の付加価値は、ガイドする人の「力量」に係ってくるからだ。

 同時に、日本遺産は地域ブランドである。単に旅行客増といった戦略だけでなく、新たな産業創造や固有のブランド品の開発なども重要である。こうした民間主導の活動には核となるマネージメント組織が必要である。幸い、この地域には既にDMO「麒麟のまち観光局」が発足している。近年、大手飲料メーカーなどとのタイアップ事業も始まっている。日本遺産認定を一過性のものに終わらせず、息の長い地域活性化につなげてほしい。

(東洋大学大学院国際観光学部 客員教授 丁野 朗)

「提言!これからの日本観光」 “醸造”産業観光

2019年12月21日(土) 配信

醸造が行われる蔵も観光資源に

 愛知県の西三河から知多半島一帯にかけては、良港に恵まれ、大消費地であった名古屋へのアクセスも良好で、江戸時代ごろから物流の拠点となったため、醸造産業が盛んである。とくに酢と酒、醤油、味噌など、日常生活に身近なものが中心となっている。酢などは全国のトップシェアを保っていた時代があった。 

 最近、この地域では、醸造産業の拠点となっているまちが連携。「醸造」を新しい「産業観光」の観光資源とすべく、情報発信し、観光客の受入態勢を整備していくこととなった。

 食物の味には「甘味」や「辛味」のほかに「うまみ」があることに着目。このうまみは醸造で作り出されるため、醸造過程と製品をあわせて観光客に観せ、味わってもらうことも考えた。とくに醸造を研究する学者が参加する「東海発酵文化研究会」での熱心な研究と観光実現への働き掛けが原動力となった。

 常滑と半田、西尾、碧南4市の民間企業で構成し、同地域の観光を推進する「竜の子街道広域観光推進協議会」が、同研究会から提案と示唆を受け、観光資源化に尽力。この4市の自治体とも連携し、「新産業観光」として観光客に向けて受入体制を整備することとなった。

 この取り組みには、各市の「味噌」7蔵と「酢」1蔵、「醤油」11蔵、「酒」7蔵、「みりん」5蔵の計31蔵が参加。各蔵元が醸造現場の見学客受け入れ、一部の作業体験も可能とした。製品の試飲と試食も歓迎している。販売も行ってビジネスモデルを構築し、持続的観光を目指していることは言うまでもない。

 新しい観光のカギは適確なストーリーづくりと情報発信にある。このうち、ストーリーづくりでは、江戸時代からの地域の発展とともに、各地に立地してきた醸造産業の歴史がある。そして、物流拠点となった知多・西三河の4市と近郊地域の数多い醸造産業の蔵元が連携・協働を強化。自ら発展して、まちづくりにつながったことをストーリーにまとめている。

 醸造産業の長い歴史が残した多くの古い倉庫群や赤レンガの工場遺構産業資料館などの産業遺産など、幅広い観光資源の紹介にも努めている。

 知多・西三河の4市には醸造のほかにも、さまざまな見どころがある。常滑市はやき物、半田市は蔵、碧南は寺、西尾は抹茶が魅力的だ。

 各蔵元が4市の多くの観光資源を生かすべく、新しい観光で醸造以外の見どころを結びつける役割を果たし、幅広い西三河知多広域観光の実現を目指していることに注目していきたい。

 10月開催の“ツーリズムEXPOJAPAN”には、醸造観光ブースを出展し、全国への情報発信にも努め、多くの観光客を集めた。

 なお「醸造観光」の名は固すぎるとの声もあるので「『ファーメンテーション』という英語を使っては」との意見もあるが、しっくりしない。何かよい名があればぜひ、ご教示いただきたいと地元の関係者が期待していることを付記しておく。

須田 寛

 

日本商工会議所 観光専門委員会 委員

 
須田 寬 氏