ホツマツタエ普及へ、伊勢市二見浦に全国から集結

「ホツマツタエを語る」(左から)司会の島川氏、池田氏、清藤氏、大江氏、一糸氏
「ホツマツタエを語る」(左から)司会の島川氏、池田氏、
清藤氏、大江氏、一糸氏

 古代文字の文献「ホツマツタエ」の研究者や、「ホツマ塾」(代表者・一糸恭良氏)、「ホツマ観光研究会」(原祥隆会長)などのメンバーが一堂に会し交流する「ホツマサミット2012」が3月24日、三重県伊勢市二見浦の賓日館と朝日館で開かれ、全国から100人を超える参加者が集まった。

 同サミットを呼びかけたのは、ホツマツタエの研究者の一糸恭良(いと・やすよし)氏。「古代史ホツマツタエの旅」全5巻、「日本のかほり」などの著書がある。

 当日は、一糸氏に加え、池田満氏、清藤直樹氏、大江幸久氏の4人の研究者がパネルディスカッション「ホツマツタエを語る」を行った。司会は、東洋大学国際地域学部国際観光学科准教授の島川崇氏が務めた。

 一糸氏は「昭和41年にホツマツタエが発見されてから46年、あまり世に出ることがなかったがこの1年の動きを見ていると、ホツマツタエへの関心の高まりを感じている。このホツマサミットがその幕開けになると期待している。ぜひ、ホツマツタエを広く普及していきたい」と語った。

 「ホツマツタエ」は1966(昭和41)年に故松本善之助氏(現代用語の基礎知識・自由国民社初代編集長)によって再発見(最初の発見は江戸時代)された未確定の歴史書。現在、古事記・日本書紀の原書として研究が進んでいる。

 ホツマツタエは古代文字で書かれ、記紀が神話(天孫降臨伝説)とした世界を、神話ではなく、人の営み(実話)として描いている。

13年に7コース、9本、日本人をメインターゲット

プリンセス・クルーズのアランB.バクルー社長を囲んで
プリンセス・クルーズのアランB.バクルー社長を囲んで

 世界的クルーズ会社で世界最大の旅行関連企業であるカーニバル・コーポレーションの子会社プリンセス・クルーズ社は、3月27日に会見を開き、日本市場向けの新規商品の企画を発表した。2013年4―7月の間、横浜と神戸を母港に7コース、9航海を展開する予定だ。

 カーニバル・コーポレーションは、日本のクルーズ市場の成長に期待し、日本でプリンセス・クルーズやその他のカーニバル傘下のクルーズ商品販売のため、カーニバル・ジャパンを設立。拠点は東京に置き、代表にはプリンセス・クルーズ等の日本地区販売総代理店であるクルーズバケーションの木島榮子代表が就任した。

 会見で木島代表は「日本にはクルーズの潜在需要があると見込み、参入となった。日本人をメインターゲットに、外国客船ならではのクルーズを楽しんでもらい、日本人客にあったサービスを提供する」と同商品について語った。

 同商品は2013年4―7月に7コース、9航海を予定。初就航は4月27日に横浜を出発し、5月6日に横浜へ戻るゴールデンウイーク商品で、料金は9泊10日、16万9千円から。その他のコースも、9泊10日から12泊13日の日程で、料金は12万9千円からとなる。

 就航する客船「サン・プリンセス」は乗客定員2022人で総トン数は7万7千トン。全1011室を完備する。

 会見後の親睦会には、当時観光庁長官だった溝畑宏氏と、JATA(日本旅行業協会)の金井耿会長が登壇。溝畑氏は「効率の良い就航が実現できるよう政府、自治体、民間一体となる受入体制を強化したい」と語り、金井会長は「クルージングはツーリズムの中で重要なマーケットだが、日本ではまだまだ未開拓。プリンセス・クルーズの日本マーケット進出は、国内旅行だけでなくインバウンド、アウトバウンドにおいても大きな効果を生むのでは」と期待を語った。

プロモーション体制強化、本部組織を改正

 日本政府観光局(JNTO、松山良一理事長)は4月1日から、総務部と企画部を統合する管理部門の一元化や、事業連携推進部の新たな設置など、観光庁との役割分担の下、さらなる訪日プロモーション体制の強化を狙い、本部組織の改正を行った。

 企画・管理業務を行う企画本部の下に置かれている総務部と企画部を統合し、経営戦略部を設置。管理部門を一元化して海外事務所などに効率的・機動的に経営資源の配分を行っていく。

 また、地方公共団体・経済界との連携などによるプロモーション体制の強化に取り組むため、事業連携推進部を新設した。

 事業連携推進部の下には、ウェブサイト、フェイスブックなどプロモーションにおけるICTの活用強化、TICの民間委託などに対応し、観光情報センターの機能を強化するため、観光情報戦略室を設置した。

 さらに、訪日プロモーション事業を高度化するため、市場分析・マーケティング機能のさらなる強化を目指し、海外プロモーション部を海外マーケティング部に改称した。 

観光庁長官に井手氏

井手憲文長官
井手憲文長官

 3代目となる観光庁長官に、4月1日付で前海事局長の井手憲文(いで・のりふみ)氏が就任した=写真。

 観光庁は08年10月1日に発足。初代長官は国土交通省大臣官房総合観光政策審議官だった本保芳明氏が就任。2代目の溝畑宏氏はJリーグ「大分トリニータ」社長などを務め、10年1月4日に就任。2年間の任期を3月31日まで延期された。

 井手憲文氏は1954年生まれ。愛媛県出身。76年に東京大学法学部卒後、旧運輸省入省。84年国際運輸・観光局観光部旅行業課補佐官、93年ジュネーブ国際機関日本政府代表部参事官、96年航空局監理部国際航空課長、2000年自動車交通局保障課長、02年鉄道局総務課長、10年海事局長、12年1月大臣官房付・政策三役政策審議室政策官など歴任。

基本計画最終案を報告、全府省と連携確認

全府省の副大臣クラスが集結
全府省の副大臣クラスが集結

 国土交通省は3月28日、国土交通大臣を本部長とし全府省の副大臣等をメンバーとする観光立国推進本部の第3回を開き、観光庁から次期観光立国推進基本計画の最終案が報告された。

 前田武志国交大臣は冒頭、「観光を国の成長戦略の柱として、政府全体で一体的かつ各省庁間の連携強化に取り組んできたが、日本の存在感を世界にアピールするため、さらなる取り組み強化をお願いしたい」と呼びかけた。

 観光庁からの次期観光立国推進基本計画の最終案報告後に行われた意見交換では、環境省の横光克彦副大臣は「地域の宝に触れ、知識や理解を深めるエコツーリズムでは、自然環境の保全や観光振興、地域振興が期待される。エコツーリズムに取り組む地域の支援や人材育成、プログラム作り、環境整備などの基盤作りに取り組みたい」と発言。

 文部科学省の森ゆうこ副大臣は「留学生は帰国後に日本の魅力を語ってくれる民間の観光大使。戦略的な留学生交流に取り組みたい」と語った。

 外務省の山根隆治副大臣は、被災地支援の一環として11年11月15日から開始した被災3県を訪れる外国人のビザ発給手数料の免除で2844件の発給があったことを報告。さらに、11年7月から発給を開始した沖縄を訪問する中国人観光客への数次ビザについて「被災地復興の一環として被災地3県への数次ビザ発給へ向けて関係省庁と協議を始めた」と述べた。

 経済産業省の牧野聖修副大臣は「経産省として『クールジャパン』の発信に努めているが、『ジャパンルネッサンス』として、もっと日本の埋もれている魅力を洗い直し、世界に発信していくべき」と語った。

 なお、観光庁から報告された次期観光立国推進基本計画の最終案では、既報の通り、2016年の数値目標として(1)国内における旅行消費額を30兆円(2)訪日外国人旅行者数を1800万人(3)国際会議の開催件数の50%以上の増加(4)日本人の海外旅行者数を2千万人(5)国内宿泊観光旅行の年間平均宿泊数を2・5泊―などを掲げている。

No.307 武蔵野大学シンポジウム - ホスピタリティ人材育成を考える

武蔵野大学シンポジウム
ホスピタリティ人材育成を考える

 武蔵野大学(東京都西東京市)は3月9日、同大学グリーンホールで、第1回就業力育成シンポジウム「日本の未来を創出するホスピタリティ人材の育成を考える」を開いた。同大学では、学生の就業力向上のため、産学が連携した人材育成の挑戦が始まっている。とくに重視しているのはホスピタリティマインドを持った人材の育成。当日は、長期インターンシップ実習などの事例発表や、注目のホスピタリティ企業経営者によるパネルディスカッションなどが行われた。

【沖永 篤郎】

≪産学連携のキャリア教育≫

 同大学は、政治経済学部、環境学部、教育学部など9学部を有する総合大学。今年4月からは東京都江東区に有明キャンパスを開設し、2キャンパス制となる。昨年度の入試志願者数は定員1500人に対し、1万7千人を超えた。学生数の減少により、どの大学も学生獲得に苦労するなか成長を続けている。その要因の1つが、独自の取り組みを進める産学連携のキャリア教育。企業と学生のニーズのマッチングや学生の就業力向上といった成果を上げている。

 

 

※ 詳細は本紙1458号または日経テレコン21でお読みいただけます。

新たな観光行政 ― 「観光の役割」発信と実行(4/11付)

 4月1日付で観光行政のトップが変わった。2008年10月1日に発足した観光庁の3代目長官に、国土交通省出身の井手憲文氏が就任した。

 過去にはトップ人事に政治的な力学が働いて翻弄された面もあると聞く難しい立場だ。また、初代長官と2代目長官が模索しながらそれぞれ開拓した道や、手法の違いを受けて、3代目の井手長官が今後どのように観光行政をリードしていくか、重責であるが期待も大きい。

 3月30日には、新しい観光立国推進基本計画が閣議決定された。2012年度から16年度までの5年間で、訪日外客数1800万人や、日本人の国内観光旅行による1人当たりの宿泊数を年間2・5泊(10年度は2・12泊)とするなどの目標値も掲げられている。同基本計画のなかには、リピーターの獲得の重要性を指摘する箇所が随所に見られる。限られた予算の中で他省庁の関連分野とも連携しながら、「観光の観点を念頭に置いた」取り組みの必要性も強調されている。それであるならば近い将来、観光省となるべく道筋を立てていくほどの覚悟がほしい。観光庁が発足以来、予算が倍増され、注目度が高まったことは確かだ。しかし、母体である国土交通省が決定した交通政策に従わざるを得ないし、休暇改革では厚生労働省や文部科学省の強靭な壁が存在する。さらに、原発事故対応や、なおも原発推進を目論む経済産業省と、観光推進政策で衝突する局面に対しても、観光庁が毅然たる態度で物を言うにはまだ力不足だ。財務省に対しても、観光庁と観光省では予算要求の重みが違う。貿易収支が赤字化し、人口減少時代の緊縮しがちな日本にあって、全国の毛細血管に至るまで、「新たな血流を起こすことができるのは観光なのだ」と役割を強く発信し、実行していかなければならない。

 一方、観光地も従前のように、「旅行者が来てくれるからいいのだ」という姿勢では、いずれ淘汰される。極めていない味で観光客向けに割高の食事を提供したり、ほんの少し“ご当地”版にアレンジしただけの安易な土産品を陳列したり、旅館のビールやジュースが通常の2、3倍の値段で売っていたり。サービス過当競争時代に、そんなものばかりでリピーターが訪れるだろうか。現代的な感覚を持つ旅行者には、もうそれらは通用しない。

(編集長・増田 剛) 

11.5%減の123万人、1―2月の訪日外客数

 日本政府観光局(JNTO、松山良一理事長)が発表した2月の訪日外客数推計値は、前年同月比19・3%減の54万8200人。旧正月休暇時期の変動を勘案して、1―2月の合計でみると、同11・5%減の123万3200人となった。

 各市場の動向をみると、韓国は同27・0%減の16万9200人。作年9月以降1円=14ウォン台で推移する円の高止まりの影響が強く出ている。

 中国は、旧正月休暇時期の変動の影響で同21・1%減の8万3100人。ただし、1―2月の合計では同8・3%増となり、過去最高を記録していた2010年を上回った。同じく旧正月休暇時期の変動の影響がある台湾は、同8・1%減の8万5900人、1―2月の合計では同11・1%増。香港は同41・6%減の2万8800人、1―2月の合計では同7・7%減となった。そのほかでは、訪日旅行の宣伝効果や航空座席供給量の増加などにより、タイが同13・3%増の1万5400人と、2月単月で過去最高を記録している。

 なお、出国日本人数は、前年同月比12・9%増の157万人と、8カ月連続の増加となった。

<回復傾向は継続 韓国、重点的に ― 溝畑観光庁長官>

 観光庁の溝畑宏長官は、3月19日の会見で「昨年の11月が前年同月比13・1%減、12月が11・7%減、1―2月の合計が11・5%減と続き、回復傾向は継続している」とコメント。「韓国が円高の影響で厳しく、全体の回復を鈍らせている。1―2月で中国、台湾は良い結果が出ているが、そのプラスを韓国のマイナスで帳消しにしてしまっている状態。3―4月の桜など、今後重点的なプロモーションが必要」と語っている。

すみだ水族館(スカイツリータウン内)5月22日オープン

「東京大水槽」イメージ(オリックス不動産提供)
「東京大水槽」イメージ(オリックス不動産提供)

 オリックス不動産(山谷佳之社長、東京都港区)は3月19日、都内にて、5月22日に開業する東京スカイツリータウン内に同日オープンする都市型水族館「すみだ水族館」の施設概要および営業概要を発表した。

 注目は、世界自然遺産である小笠原諸島の海を体感できる「東京大水槽」。小笠原村の協力により約1千キロ離れた海の世界を再現し、「すみだ水族館」にいながらにして、雄大な海の恵みと命の育みを感じることができる。またペンギンやオットセイの生態を間近で見られる国内最大級の屋内開放のプール型水槽も目玉のひとつ。フロア間を結ぶスパイラルスロープから生き物たちの姿を観察できる仕掛けも見どころだ。

 オリックス不動産は2004年、新江の島水族館(神奈川県藤沢市)開設より水族館事業をスタート。地域おこしの視点を活かした施設展開には定評があり、3月14日には「京都水族館」(京都府京都市)をオープンさせた。専務執行役員運営事業本部の森川悦明本部長は「単なる誘客施設だけでなく、教育的な価値、そして未来につながる夢を『すみだ水族館』から発信していきたい」と意気込みを語った。

 同館の営業時間は午前9時から午後9時まで。年中無休。一般入場料は大人2千円、高校生1500円、中・小学生1千円、幼児(3歳以上)600円。

 なお20人以上の一般団体および学校団体利用の予約(6月1日より適用)は、4月1日より先行で受け付ける。

 問い合わせ(4月1日10時開線)=代表 電話:03(5619)1821。団体予約専用 電話:03(5619)1272。

昼神温泉と“菊芋”、「学ぶ・食す」グリーンツーリズム

栽培歴10年の菊芋生産者から話を聞く
栽培歴10年の菊芋生産者から話を聞く

 長野県の阿智村地域活性化協議会は2月21―22日に、南信州「昼神温泉と高機能食品菊芋を学ぶ・食す」旅のモニターツアーを初めて実施した。阿智村内の観光・農業関連の5団体が昨年9月に発足させた村地域活性化協議会は、村が特産化をはかる機能性食品「菊芋」と観光を結びつけたグリーンツーリズム商品を開発する目的で3カ年計画に取り組んでいる。

 1泊2日のモニターツアーでは、まず最初に座学で地元農家の菊芋生産者と阿智村の菊芋事業担当者から栽培にまつわる話を聞き、その後宿泊する昼神温泉の旅館や村内のアンテナショップ「きくいも茶屋」で菊芋を使った料理を試食して意見を聞くというもの。昨年度の農林水産省の補助事業に選ばれ、体制整備にあてた昨年度は250万円が交付された。

 宿泊先となった昼神温泉郷「日長庵 桂月」では会席料理の中に菊芋を使った田楽や信州牛シチュー、グラタン、菊芋めん、菊芋まんじゅうなどが提供され、参加者から「菊芋という名前から想像していたよりも美味しかった」「食物繊維が豊富で体に良さそう」「和食もいいが洋風メニューとの相性もバツグン」などの意見が聞かれた。

 これまでにも個々の旅館で地元農産物を生かした誘客事業が行われたことはあったが、今回の事業では各団体が連携してマーケティングに力を入れることで誘客促進に繋げるのが狙いという。具体的には菊芋を使用したオリジナルメニューの開発や村内の小売店で加工品を販売するほか、旅行商品として旅館だけでなく農作業体験などと組み合わせた農家民泊の連泊プランなども検討する考えだ。

 村地域活性化協議会の事務局を務める昼神温泉エリアサポートの木下昭彦社長は「ニーズがあるものを作る〝地消地産〟をテーマに、観光と食の連携を深め、観光につなげられる仕組みづくりをしたい。可能な限り続けていきたい」と意気込みを語った。

【古沢 克昌】