No.459 白玉の湯 華鳳・別邸越の里、社員が皆、同じ「型」を持つ宿に

白玉の湯 華鳳・別邸越の里
社員が皆、同じ「型」を持つ宿に

 高品質のおもてなしサービスを提供することで、お客の強い支持を得て集客している宿の経営者と、工学博士で、サービス産業革新推進機構代表理事の内藤耕氏が、その理由を探っていく人気シリーズ「いい旅館にしよう!Ⅱ」の第12回は、新潟県・月岡温泉「白玉の湯 華鳳・別邸越の里」の飯田美紀子女将が登場。「宿に定まった型があるからこそ、お客の動きが見えてくる」と内藤氏が語ると、飯田女将も「社員が皆、同じ型を持つことが大事」と応じるなど話題は多岐にわたった。

【増田 剛】

 
 

〈「いい旅館にしよう!」プロジェクトⅡシリーズ(12)〉
白玉の湯 華鳳・別邸越の里

内藤:創業されたのはいつですか。

飯田:1967(昭和42)年に、木造2階建ての客室8室と、中広間1室で開業しました。その後、75年に法人組織「ホテル泉慶」としました。
 開業当時はまったくお客様がいない状況で、先代の実母(橋本キヨ女将)は新潟市内のタクシー会社を回りました。当時、タクシーの運転手は夜遅くお客様を乗せても泊めてくれる宿がほとんどない状況でした。深夜だと新潟市内から約30分で月岡温泉まで来られるので、「おひとりでも連れて来てください」と頼み込み、タクシー会社に手数料も払ったと思います。
 母は夜中に到着されるお客様にも対応できるように、いつも洋服を着て寝ていました。「夜遅く来たのに、女将におにぎりを握ってもらった」とお客様に感謝され、次にお越しになられるときには早い時間にいらしていただけるようになり、お客様が次第に増えていきました。
 もともと月岡温泉の多くの宿は湯治の自炊旅館でした。82年に上越新幹線が新潟まで開業し、85年に関越自動車道がつながったことで、当館も増築と改築を繰り返しました。バス・トイレ付の客室は月岡温泉で最初に作りました。今でいうVIPルームです。
 90年に約3万坪の土地を買い、新館「華鳳」を97年に開業しました。オープン後、バブル崩壊によってどんどん景気は悪くなっていましたが、華鳳の開業人気に支えられて不景気の影響はあまり感じませんでした。しかし、01―02年ごろから売上も落ち、流れが悪くなってきました。面積も、人件費も2倍になったにも関わらず、売上は半分ほどに減少しました。厳しい経営状況のなかで02―04年の間に両親が亡くなりました。

 ――泉慶の姉妹館「華鳳」、さらに「別邸越の里」はどのような理由で建てられたのですか。

飯田:母はお客様に喜ばれようと、工事を繰り返していました。泉慶は増築、改築を繰り返したため、眺めのいい部屋や、古い部屋などが混在し、旅行会社にとっては団体客の部屋割が大変でした。大きな団体のお客様が来られても「同じような客室を提供できるように」と華鳳を作ったのです。
 そのうち、「華鳳はいつ行っても、団体客のように同じ部屋ばかりで面白くない」というリピーターのお客様も増えてきました。このため、07年には全20室がそれぞれ趣の異なるプライベートスイートの「別邸越の里」を開業しました。

内藤:先代からは、どのようなことを伝えられたのですか。

飯田:とにかく「お客様が第一」ということが根底にありました。
 「どんなことをしてでもお客様の要求を叶えてあげましょう」と母から教えられてきました。どうしたらお客様が喜び、感動され、笑顔になっていただけるか。感謝をいただくには私たちがどのような振る舞いで接するべきか――といったことです。
 とくに、お辞儀の仕方は細かく教わりました。お客様をお出迎えするときは、「あまり深く頭を下げ過ぎないように。初対面のお客様に頭を下げ過ぎてしまうと、あなたのお顔が見えないから、ちょっと横を向いて、笑顔を見せてね」と。
 また、お見送りのときは、「必ず笑顔で、しっかりと頭を下げて」と言われました。
 母は私たちの前では社員を叱りませんでした。どこで叱ったのかわかりません。おそらく役員室にコーヒーなどを持って来てもらったりしたときに、時間をつくって会話を交わしていたのだと思います。皆の前ではなく、社員と向かい合って「どうだったの?」と話を聞いてあげていたのではないかと思います。私自身もあまり叱られた記憶がありません。でも、今から考えると、しっかりと教えを受けているのです。…

 

※ 詳細は本紙1668号または4月27日以降日経テレコン21でお読みいただけます。

2泊3日の旅 ― 「旅人に居場所をつくってあげる」

 旅とひと言でいっても、半日程度の小さな旅から、2―3週間の長い旅もある。どの旅にもそれぞれ魅力的な部分があるが、私は個人的に2泊3日の旅が気に入っている。2泊3日での旅となれば、現実的に国内各地、あるいは近隣のアジア諸国がその範疇に含まれる。沖縄や北海道、台湾や香港などに行くなら、現地での滞在をより満喫したいため、早朝に空港に向かう。少し眠いが早朝であるからこそ、これから始まる旅への期待がより高まっていく。

 2泊3日の醍醐味の1つは、旅の舞台となる滞在するホテルや旅館に連泊できることだ。 

 旅は、巡り合わせ、縁である。地球の反対側を旅して、名も知らないホテルに宿泊し、小さな街のレストランで食事をする。2度と訪れることがないだろう、と考えながら「いや、再びここを訪れる縁を築きたい」と思うことがある。街で一番の外資系ホテルに比べると見劣りがするが、滞在することで次第に心地よさを感じてくるホテル。言葉が通じないが何度か通ううちに、自分の店の客と認識してくれる店主。旅人は旅先では居場所がない。しかし、滞在するホテルや、通い続けるレストランは、寄る辺ない旅人にわずかな居場所を与えてくれる。

 1泊するだけでも、旅人にとって宿泊したホテルや歩いた街とは大きな縁になるが、2泊、3泊と滞在することで、より強固なつながりへと変わる。

 「日常的なしがらみから解放されて、どこかに旅したい」と感じることがあるが、潜在的に「未知なる旅先で新たな接点をつくりたい」という欲求があるのだろう。

 私自身、長期間をかけて地球の裏側に行くような大旅行をいつも夢見ているが、現実は、近くの海に行こうとオートバイに乗るが、途中で予測不能な雨が降り出してUターンしてくるといった、旅にもならない旅ばかりである。国内の温泉旅館に1泊2日の旅をすることもあるが、予定調和的にすべての物事が流れるために、心が高揚することは、もうほとんどなく、リラックスするというよりも、退屈してしまうのである。

 リラックスと退屈はどこが違うか。リラックスは何もしたくなるくらい心地よさを感じることだが、退屈は何かしたいのだが、何もすることがない状態だ。

 リゾートホテルの場合、2泊3日では短いと感じる。一方、多くの旅館は1泊2日がまだまだ主流であり、滞在する客のことを想定したつくりになっていない。滞在中に客に退屈させないために、面白いショーをやったり、雰囲気のあるバーを作ったり、体験プログラムを用意するのも1つの手段かもしれない。

 だが、それ以上に大事にしなければならないものは、「旅人に居場所をつくってあげる」という意志である。

 例えば、温泉旅館の岩風呂に入る場合、岩の組み合わせ具合が絶妙なポジションを探す。しかし、そのような場所は1カ所か2カ所で、あとは背中に突き出た岩があったり、頭の置き場がなかったりと長時間のんびりできない。また、浅すぎたり、逆に座ると鼻まで浸かるようなところもある。客室前の廊下に椅子を置いている宿もあるが、そんなところでくつろげるはずもない。まずは、2泊3日の旅で滞在したいと思える宿が日本にも増えてくることを期待したい。

(編集長・増田 剛)

てるみくらぶ破産、負債額は未確定、弁済制度の見直しは慎重(JATA)

 日本旅行業協会(JATA)は4月6日の定例会見で、破産申請を行った「てるみくらぶ」への対応について説明した。消費者に対する弁済は事務処理の簡易化を目指し、類似案件の発生防止にも努める。関連する勉強会を開き、観光庁とも相談を重ねつつ対応していく。弁済業務保証金制度の見直しには、慎重な姿勢。なお、負債総額が膨らむ可能性も否定できないという。

 3月27日の会見で明らかとなった151億円の負債総額はあくまでも、同社側の発表によるもの。全容把握には時間を要する。越智良典理事・事務局長は、「負債額は未確定の部分が多い。粉飾決算が行われている場合は、一層把握が困難になる」と懸念する。

 今後予定する勉強会では、消費者保護を第一に議論を重ねるが、弁済業務保証金制度の見直しについては慎重に取り組む構え。同制度を利用した53案件のうち、41件が返還率100%を占めるため、制度自体は正常に機能しているとの認識。

 JATAでは、内定取り消し者向けの就活セミナーを4月8日に開くなど、積極的なフォローを実施。社員についても、同社の残務処理終了後に順次対応する。

 今回の破産申請による、旅行会社の利用敬遠などの情報はない。

ゴースト・イン・ザ・シェル

  4月7日に公開された映画「ゴースト・イン・ザ・シェル」を観てきた。原作アニメは「ゴースト・イン・ザ・シェル/攻殻機動隊」でその劇場版の2作目「イノセンス」を観たのが、私と攻殻との出会いだった。その時は事前に何の予備知識もなく、映画館で初めて観たのでよく理解できなかった印象しかない。

 しかしながら、随所に登場する格言的なセリフ回しをはじめ、アニメを超越した世界観に魅了され、その後パッケージ化される度にDVDやブルーレイで見直し、映画「イノセンス」の大ファンになっていった経緯がある。

 今回、実写映画化された作品は素晴らしく、観終わってすぐにIMAX(R)3Dの日本語吹替版でもう一度観たいと思った。字幕なしの大画面で観ればさらに没入できること間違いない。

【古沢 克昌】

外客消費額8兆円に、新たな計画を閣議決定

 政府は3月28日、2017年度から20年度までの新たな「観光立国推進基本計画」を閣議決定した。7つの数値目標が掲げられ、訪日外国人旅行消費額は15年度実績3・5兆円から2倍強の8兆円に設定。「モノ」から「コト」の消費に変化するなか、大幅な上積みを目指す。目標数値は15年度実績などを基に算出。訪日外国人旅行者の地方部における延べ宿泊者数は、2514万人泊から約3倍の7千万人泊に増加させる。地方部の宿泊者数の比率を高め、地方創生に結び付けるためだ。

 訪日外国人旅行者数の拡大にはリピーターの確保も重要。目標値を1159万人の約2倍の2400万人とした。

 国内旅行消費額は、最近5年間の平均値から約5%増の21兆円に定め、国内旅行消費額の維持に努める。訪日外国人旅行者数は、1974万人の約2倍の4千万人とし、目標値達成に向けて進めてきた取り組みを継続させていく。

 同計画は、昨年策定した「明日の日本を支える観光ビジョン」を踏まえ、方向性を決定。観光を国の成長戦略の柱、地方創生への切り札と位置付ける。

 政府は今後、民泊サービスに向けた法整備や旅行業法の改正、「地方創生回廊」の完備と地方への外国人旅行者の流れの創出など多岐に渡り策を講じていく。

インスタグラム活用、地域の魅力、世界で共有

インタビューに答える松重氏

 インスタグラムは、SNS(交流サイト)の1つで、スマートフォンなどで撮影した写真(画像)を加工し共有できる。専用アプリから利用でき、フィルター機能を用いての写真加工も容易だ。アカウント数は6億超で、地域PRに最適なツールの1つ。今回、同SNSで写真コンテストを作成・管理するキャンペーンCMS(コンテンツ・マネジメント・システム)〝CAMPiN〟を提供するテテマーチ(上田大介代表、東京都品川区)の松重秀平執行役員に話を聞いた。【謝 谷楓】

テテマーチ・松重秀平執行役員に聞く

 ――企業を中心に、インスタグラムを利用した情報発信に注目が集まっています。自治体らにとって、インスタグラムを活用するメリットを教えてください。

 インスタグラムを地域のPRに導入するメリットは大きく2つあります。言葉の壁を超えやすい点と、〝いいね〟やコメントが付く率(エンゲージメント率)がほかのSNSと比べ高い点です。
 ユーザーは、投稿した(された)写真を通じてコミュニケーションを行います。そのため、言葉の通じない海外ユーザー同士による交流も、ほかより容易なのです。海外に対し、地域で自慢の風景を知ってもらい、共感を呼ぶという使い方ができます。例えば、日本のユーザーが投稿した画像に対し、海外ユーザーがコメントをするといった反応も珍しくありません。地域のファンを、国内外で増やすことができるのです。

 ――高いエンゲージメント率について。

 フェイスブックと比べ2倍以上、ツイッターよりも3倍以上エンゲージメント率が高いという調査もあります。情報の不特定多数への拡散がSNSの役割と考える方もいるかもしれません。しかしインスタグラムでの投稿は原則、投稿者のフォロワーにのみ発信されます。ツイッターのリツイートや、フェイスブックのシェアといった機能はありません。
 ユーザー間の距離が近く、エンゲージメント率の高い密なコミュニケーションが生じやすい理由です。
 メディアの性質上いわゆる炎上が起こり難いことも特徴の1つです。利用目的が、お洒落に加工した写真の共有に特化し、ネガティブな投稿は生じづらいと言えます。

 ――自治体や観光協会でも利用しやすい印象を受けます。

 綺麗な風景や美味しそうな食べ物など、写真撮影はポジティブな感情が生じた際に行われがちです。投稿された写真を通じ、友人など投稿者とつながりの深いユーザーが観光スポットについて知ることで、口コミ効果を期待できます。
 旅行先で写真を撮らないことは稀ですから、それら写真をインスタグラムに投稿してもらえるよう工夫を施すべきだと考えています。口コミは信憑性が高く、消費行動を導きやすいからです。今後、集客増加の要となるはずです。

 ――ターゲティングについて。

 インスタグラムでは、女性ユーザーが多く、10―20歳代の利用頻度も高いです。多くの自治体や観光協会にとって、取り込みが難しいターゲットではないでしょうか。テレビや新聞といった、既存メディア離れが久しい若年層に対して、情報の発信とリーチをはかることが可能となってきます。
 日本国内のアカウント数は約1600万。世界で6億にも上ります。先ほど〝言葉の壁を超えやすい〟点を特徴に挙げましたが、インバウンドをターゲットとした情報発信に適した環境が、すでに整っているのです。

 ――インスタグラムを活用して、写真コンテストをWeb上で開催できるサービスを提供していますが。

 インスタグラムが持つ口コミの効果を最大限に高めるキャンペーンCMS 〝CAMPiN〟を提供しています。Web上で写真コンテストを実施できるのですが、周知促進だけでなく、〝いいね〟やフォロワー数の集計、投稿エリアを確かめられます。属性だけでなく、地域の魅力を共有したユーザー数も、具体的に知ることができるのです。影響力が高いユーザーの発見も可能です。
 投稿に添えられたコメントを通じ、投稿者の現地に対する印象や、そのフォロワーの反応も確認できます。何に興味を持ったのかを知れれば、地域の魅力発掘にもつながります。

 ――マーケティング用のデータ獲得など、さまざまな活用方法を期待できそうです。

 地域をPRするためのツールとして、気軽に使ってほしいという思いがあります。〝CAMPiN〟の特徴は、インスタグラムを活用したPRキャンペーンサイトを無制限でつくれる点です。そのため、同じ観光素材でも、実施ごとに切り口を変えてPRするというような、独自の工夫も施しやすいのです。春の桜写真コンテストなど、期間限定のイベントでも活用できます。

 ――FIT客を取り込むために、インターネットの活用は不可欠ですが、浸透していないのも事実です。

 SNSが一般化するなか、ユーザー生成コンテンツ(User Generated Contents、UGC)の効果に注目が集まっています。例えば、製品の広告で使用する写真も、購入したユーザーが撮影したものを使用した方が、共感を呼びやすく販促につながりやすいという調査結果があります。
 エンゲージメント率が高く、ユーザー間のつながりが深いインスタグラムなら、投稿写真を通じた口コミ効果も一層期待できます。〝CAMPiN〟では、高い影響力を持つ投稿者の写真を2次利用し、地域のPRに活かせます。
 ぜひ、インスタグラムをはじめ、ユーザーとのマッチングにインターネットを活用してほしいです。

 ――ありがとうございました。

CAMPiNを導入し、誘致に取り組む観光協会も多い(順不同)
丸亀市観光協会(香川県)
栃木DC県央地域分科会(栃木県)
小谷村観光連盟(長野県)
大町市プロモーション委員会(長野県)
大阪観光局 (大阪府)
庄原市観光協会(広島県)
湖南市観光協会(滋賀県)
美祢市観光協会(山口県)
今帰仁村観光協会(沖縄県)
帝釈峡観光協会(広島県)

レゴランドが開園、注目の入場者数は非公表

レゴランド開園初日のようす

 レゴランドジャパン(トーベン・イェンセン代表、愛知県・金城ふ頭)が4月1日にオープンした。注目が集まった当日の入場者数については、非公表だった。

 当日、同施設代表のイェンセン氏は、「お越しのお客様だけでなく、その次の世代にも〝I LOVE LEGOLAND〟と言われ続けるテーマパークにしたい」とあいさつした。

 大型テーマパークの東海地方進出、ディズニーリゾート(千葉県・舞浜)やUSJ(大阪府・桜島)との競争など、各メディアで話題となることも多かった同施設。ほか2施設に対する差別化については、ターゲットを2―12歳の子供に設定しているため、前提となる立ち位置が異なるとの認識を示した。

 入場料については、大人(13歳以上)が6900円、子供(3―12歳)が5300円。2歳までの幼児は無料となる。ほか2施設は3歳まで無料で、中人(中学、高校生)や小人(4歳位上、小学生)、シニア(65歳以上)などといった細かい分類を行っている。そのため、インターネットを中心に割高感を指摘する声もあるが、設定したターゲットの取り込みに特化した価格設定といえる。今後は、孫とともに楽しむシニア世代を取り込む施策に期待したい。

 旅行会社との提携については、3月にJTBとのオフィシャルマーケティングパートナー契約締結を発表し、ターゲットとなる年齢層と家族に対する販売促進を狙う。

富裕層のシェア拡大へ。ラグジュアリーバス導入(JTB首都圏)

ロイヤルロードプレミアム(外観)

 JTB首都圏(池田浩社長)で高品質旅行を専門としているJTBロイヤルロード銀座は、4月1日から富裕層向けに同社オリジナルラグジュアリーバス「ROYAL ROAD PREMIUM」を導入した、高品質・高付加価値のバス旅行事業を本格的に始動した。同社は同バスを保有することにより、富裕層マーケットを中心にシェア拡大や新規顧客の開拓などを行うほか、日本全国を走ることによって、同バスが地域の魅力を発信する一助になることを目的としている。

 3月29日に東京都内で完成披露・新商品発表会が行われた。JTBロイヤルロード銀座の井上完之夢の休日デスク総支配人は、近年ラグジュアリーマーケットにおいて、より贅沢にゆったりとした時間を求める傾向が高まっており、この傾向に付随したハード面での素材が不足している状況を説明。そのうえで「このバスは存在感があり、走っていても目を引く。告知効果は非常に高い」と同バスにかける想いを語った。

 同バスの外観は高品質感が漂うメタリックブラウンカラーを使用。座席は、長時間乗っても疲れを感じにくい全席窓側独立型の本革張りシートで、通常45席の大型バスをわずか10席(添乗員用席を除く)にレイアウトしたゆとりある空間に仕上がっている。

全席窓側座席のためゆったりとした空間が広がる

 バス車内で快適に過ごしてもらえるようスリッパや加湿器、テレビなども完備され、化粧室・トイレ付きで、長距離移動でも心配なくバスでの旅を楽しむことができる。

 同バスを利用したバスツアー「ラグジュアリーバスで巡る夢の休日日本一周の旅」は、東日本編と西日本編の2つに分けてツアーを造成。4月10日に発売された東日本編は、9月11日出発の12日間の行程で、東京から鬼怒川や仙台、大間、苫小牧、函館を経由し、白神山地や黒部ダムなどを巡るコース設定になっている。

 11月出発の西日本編は夏頃の販売予定で、価格は東日本編・西日本編ともに1人あたり150万円を予定している。

 同バスの目標稼働日数は330日、年間のツアー本数は130本を予定している。

 なお、ツアーパンフレットは、2カ月ごとに新たなものを製作していく。

16年度の営業状況を調査、1室当たりの売上は1243万円(日本旅館協会)

 日本旅館協会(針谷了会長)が1月20日に発表した「2016年度版(15年度財務諸表から作成)営業状況等統計調査」によると、旅館は増収増益でホテルは減収増益だった。調査はホテルと、大旅館(100室以上)、中旅館(31室以上99室以下)、小旅館(30室以下)の規模別集計を用いた。経常利益を基準に黒字旅館と赤字旅館をわけた。ただ、2746軒に調査票を発送し、回答を得たのは旅館ホテル合わせて341軒。このうち有効回答数は271で、有効回答率は9・9%だったことに留意したい。

 今年度の1軒あたりの総売上高は大旅館が21億2010万円(前年同期比14・7%増)で、中規模旅館が6億9157万円(同14・8%増)、小旅館は2億71万円(同3・4%増)だった。ホテルは7億2516万円(同5・2%減)。一方経常利益率は大旅館が5・6%(同115・4%増)で、中旅館は3・4%(同124・1%増)、小旅館は3・5%(同192・1%増)となった。ホテルは6・1%(同27・1%増)。旅館は増収増益で、ホテルは減収増益だった。

 宿泊客1人あたりの売上高はこれまで小旅館が高かったが、大旅館が逆転した。小旅館は1万8664円で同878円の減少で、大旅館は2万2036円で同3170円プラス。ホテルは同1727円増の2万2519円となった。

 客室稼働率は規模別の差は縮小しつつあり、小旅館の稼働率上昇が目立った。

 大旅館は65・5%(同1・8%増)、中旅館は62・9%(同6・5%増)、小旅館は59・1%(同8・3%増)だった。ホテルは71・3%(同1・9%減)となり、旅館よりも高い稼働率になっている。

 宿泊業で重要な指標の1室あたりの年間売上は、旅館が1243万円と同113万円の増加。ただ、最も高い時と比べ75%ほどに落ち込んでいる。

 規模別でみると、大旅館が1369万円(同17・1%増)、中旅館が1185万円(同8・7%増)、小旅館が1077万円(同1・0%減)だった。ホテルは827万円。

 総原価率は旅館の平均で24・2%と過去5年で最も低い結果になった。売店やコンパニオンなど原価率の高い売上が伸びないことが、低下傾向の要因の1つに考えられる。

 GOP利益の調査も行った。所有と運営を分離して把握したいといった意図があり、運営トップの成績表といえる。同調査は減価償却費と営業利益の合計で求めた。

 大旅館は11・6%(同11・2%増)、中旅館は9・2%(同5・7%増)、小旅館は8・6%(同11・4%増)となった。黒字と赤字別でみると、小旅館の黒字が11・6%で、赤字が▲0・4%と、高低が顕著となった。

 財務状況以外の集客方法なども調査を実施した。

 予約方法は、過去5年で旅行業経由が低下している。旅館では44・2%で、とくに小旅館は21・4%(同21・0%減)と4分の1を割り込んだ。

 一方オンライン旅行会社(OTA)経由は、これまで小旅館が牽引するかたちできたが、この5年は横ばいになっている。

 大旅館は19・7%(同13・9%増)、中旅館は26・5%(同21・0%増)で、2ケタ増と大きく伸びている。一方のホテルは43・9%と旅館より高い。

 自社サイト経由では旅館全体で前年度比を割った。旅館は手数料がない自社サイトから予約を増やしたいが、OTAとの競争となっている。

 ホームページの対応言語では、ここ5年で初めて日本語のみと多言語化が逆転。日本語のみは45・5%。このうち最も多い言語は英語で49・0%だった。次いで、中国語(簡・繁体語)、韓国語となった。

フリーWi―Fi導入、空港路線など328台に(みちのりグループ)

八重樫真氏(左)と工代将章氏

 みちのりホールディングスの工代将章広報・マーケティング担当ディレクターと岩手県北自動車グループ連携室広報担当の八重樫真室長が3月30日に本紙を訪れ、4月下旬から開始するフリーWi―Fiサービス「MICHINORI Free Wi―Fi」を紹介した。

 みちのりホールディングス(松本順社長)を持ち株会社とする「みちのりグループ」がワイヤ・アンド・ワイヤレス(大塚浩司社長)と提携。岩手県北自動車と、福島交通、会津乗合自動車、茨城交通、東野交通、関東自動車などグループ各社が運行する高速・路線・貸切観光バス328台に同サービスを導入する。空港バス、夜行バスでは全路線に同サービスが導入されるため、訪日外国人観光客やビジネスユーザーなど、同グループ各社のバスを利用するすべての顧客に快適なインターネット環境を提供する。

 現在、交通機関などが提供するフリーWi―Fiサービスの多くが、「メールアドレスの登録」や「連続利用可能時間30分」など非常に制約が多いものがほとんどである。しかし同サービスでは、同フリーWi―Fiを選択し、利用規約に同意するだけで、通信会社を問わずWi―Fi対応機器を持っているすべての人が利用できる。

 連続利用可能時間は12時間で、7言語(日・英・中(簡体字・繁体字)・韓・タイ・ポルトガル)に対応。バス会社として類を見ない試みだ。

 岩手県北自動車の八重樫室長は「これからは国内も海外もFIT化が進んでくる。FITへの対応を充実させるためには、路線網の充実と、車内における今の時代に欠かせないサービスの提供が不可欠になってくる。グループとして取り組むことで、利用するお客様の利便性向上につながる」と同サービスへの想いを語った。

 なお、みちのりグループでは今年5月を目途に多言語による観光ガイド機能を導入。将来的には、すべてのバス(総台数2100台:2017年3月現在)へのWi―Fiの導入を目指す。