「提言!これからの日本観光」 「SDGs」と「観光」

2022年3月16日(水) 配信

 2019年国際連合のサミットにおいて「SDGs」即ち「持続可能な開発目標」が加盟国の全会一致で採択され、2030年の目標達成期限に向けて実現への努力が世界を挙げて進められている。日本も国はもとより主要企業などの多くがその事業を通じて目標達成への行動を進めることを明らかにした。

 また、一般個人も日常行動即ち環境保全への活動、省エネルギー行動などを通じて、この目標達成への努力を進めるべくその決意を17色のバッジを胸に付けることによって、表明する人々も多く見かけるようになった。

 「SDGs」は、「誰1人取り残さない持続可能でよりよい社会の実現を目指す世界共通の目標」と邦訳されており17のゴール(目標)から構成される。この目標の邦訳を読み返しているうちに個人の目標達成への手法として「観光」が最適の方策ではないかと思うようになった。

 まず「SDGs」17の目標中約10項目の達成についてである。①貧困②飢餓を世界から絶滅し③健康と福祉④質の高い教育を世界の人々が共有。さらに⑥安全な水⑦クリーンエネルギーを世界であまねく受給できることを目指し⑩人や国の不平等をなくそうと提案している。

 この目標達成への道はまず国による貧富の差をなくすことである。

 世界中の国が等しく自らの経済活動を活性化する努力を通じて人的物的交流を盛んにし、国富の平準化をはかることが必要である。

 このためには、「観光」とりわけ国際観光を盛んにすることが一般市民にも実行できる方策ではないかと思う。

 現に「観光」によって国の経済を支えている国も多いことからもこのことは明らかであろう。まだ豊かでない国即ち発展途上国などは、国土開発が遅れているだけに観光の対象が多く潜在している国や地域が多いと聞く。これまで情報の不足、観光インフラなど(宿泊交通施設など)の未整備による観光客受入態勢の不備で国際観光の対象外となっていた国や地域も多い。

 今後は、観光情報の発信、国際機関、先進国などによる途上国の観光インフラへの投融資(観光客増による回収を念頭に)促進などの支援で途上国を国際観光のネットワークに組み込むことが急務である。「観光」による経済効果が大きいことは多くの国の事例からも明らかである。そして国際観光によって各国の国富の平準化につながることが期待される。

 「SDGs」は最後の目標⑰で「パートナーシップによる目標達成」を掲げている。「観光」は観光客と受け入れ側の観光地(国)の人々の持つ観光するこころ(もてなしのこころなど)の共有による共働(パートナーシップ)で、その効果を高められるものであることはいうまでもない。「SDGs」の最終目標も「観光」の目標と期せずして一致する。

 それは「観光」が人間の本能に根差す文化的経済行動であるからにほかならないからだと思う。

須田 寛

 

日本商工会議所 観光専門委員会 委員

 
須田 寬 氏
 
 
 
 

小・中学生向け観光副読本の改訂版を発行 日本観光振興協会

2022年3月15日(火) 配信

冊子の表紙

 日本観光振興協会(山西健一郎会長)はこのほど、「はじめて学ぶ観光副読本『観光でまちを元気に!』日本・ふるさと再発見」の改訂版を発行した。小学生高学年から中学生を対象に、教育現場での活用を目的として2019年1月に初版を発行して以来の改訂となる。

 同副読本は「次代を担う子供たちが、観光の果たす役割について理解し、関心を持ち、日本各地の観光資源の魅力を自ら発信できる力を育む」(観光庁)ことを目的に、わかりやすく解説している。

 コロナ禍による社会の急激な変化や、環境問題に対する意識が社会的に強まるなか、今回はSDGsや探求型のワークスペースを新たに盛り込んだ。

 同冊子は無料で配布をしているほか、データでダウンロードも可能。いずれも同協会のホームページから。なお、冊子の発送は4月から順次行う予定だが、ダウンロードはすぐに行える。

ハウステンボス、開業30周年 記念式典など開催 

2022年3月15日(火) 配信

ウェルカムパレードのイメージ。

 ハウステンボス(坂口克彦社長、長崎県佐世保市)は3月25日(金)、開業30周年を迎えることを記念して、式典を開く。

 同式典では、築700年のドム塔(オランダ王国ユトレヒト市)で約100年前に使われた装飾物の一部「オーナメント」を披露する除幕式を実施。「歌劇 ザ・レビュー ハウステンボス」をはじめとしたエンターテインメントチームが出演するウェルカムパレードも行う。

 また、3月19(土)~21日(月)と25(金)~27日(日)には、同チームと「レビュー HTB 天鼓」、「チームエキサイト」、マスコットキャラクター「ちゅーりー」が登場する30周年特別パレードを開催する。同月19(土)~20日(日)と25(金)~26日(土)には、アニバーサリー花火も打ち上げる。

 このほかにも同社は30周年を記念し、夏に屋内型子供向け施設「ファンタジーフォレスト」、冬に日本初の3階建てメリーゴーラウンド「スカイカルーセル」を完成させる予定だ。

クラブツーリズム、希少品種の果物狩り 「フルーツ探検隊」を発売

2022年3月15日(火) 配信

次世代シャインマスカット「富士の輝」(イメージ)

 クラブツーリズム(酒井博社長、東京都新宿区)はこのほど、オーガニックフルーツソムリエの資格取得者などで「フルーツ探検隊」を結成し、希少価値の高い果物狩りツアーを企画。3月10日(木)に第1弾として、9月出発の首都圏日帰りバスツアー「志村葡萄研究所でシャインマスカット狩りと入手困難な希少品種『富士の輝』など1箱持ち帰り」を売り出した。

 同ツアーは、通常は団体客を受け入れていない品種開発専門の「志村葡萄研究所」(山梨県)に立ち寄る。敷地内でシャインマスカット狩りを楽しんだあと、品種未登録の皮ごと食べられる「富士の輝」を含むブドウ20粒を持ち帰りできる。

 志村葡萄研究所は、マイハートや雄宝、バイオレットキングなど20種以上のオリジナル品種のブドウを自社開発している。このうち、市場に本格流通するのが2~3年後という希少なシャインマスカット「富士の輝」をツアーで食べられる。

 ツアーではこのほか、笛吹川フルーツ公園のカフェテラス「フルーツ王国ガイアたべterrace」での昼食や、公園内で絶景スポットの自由散策などが組み込まれている。旅行代金は1万5500~1万8900円。

「津田令子のにっぽん風土記(83)」「安心安全な空間」を心掛けて~ タクシー乗務員編 ~

2022年3月15日(火) 配信

杉並交通のモットーは「安全、確実、快適、親切」
杉並交通第二 タクシー乗務員 矢吹正夫さん

 流行を意識しながら、個性的に彩り多くのお客を呼び込むために欠かすことのできない百貨店やブティックのショールーム。そのデザインや設置の仕事を経て、今の仕事について20年になろうとしているベテランタクシー乗務員の矢吹正夫さんにお話を伺った。

 

 矢吹さんの勤務する杉並交通がある浜田山は、京王電鉄井の頭線の駅がある人気の高級住宅街だ。場所柄も手伝って、毎日のように無線で呼んでくださる常連客へのおもてなしなど、一人ひとりのお客にあった対応を心掛けているという。

 

 会社のモットーは、開業以来「安全、確実、快適、親切」を合言葉に、社員一同、交通事故防止と安全運転の徹底に努め、お客様のニーズに応えることだという。

 

 東京都内には、現在約4万6000台ものタクシーが登録されている。そして日々、お客の獲得合戦が行われているのだ。現在、杉並交通グループはタクシーとハイヤー合わせて約300台を保有し都内でもトップクラスの台数を誇る。コロナ禍でも順調に売上を伸ばしているという。

 

 「1カ月に一度は、空け番の帰りに大宮八幡宮に寄って手を合わせています。業務中の安全運行やお客様の安全、それに孫が元気に過ごせるようにね」と話す笑顔が印象的。乗務のない日に、大好きなお孫さんとのドライブや買い物が息抜きになっているという。

 

 矢吹さんの会社では、コロナ禍における対策(取り組み)として4つの基本的感染予防対策を行っている。1つ目は、運転席と後部座席の間にL字型の飛沫防止セパレーターを設置する。2つ目は、座席や手すり、タブレットなど不特定多数の利用者が頻繁に触れる部分の消毒の徹底。

 

 さらに3つ目は、運賃の受け渡しなど直接接触の機会を減らすべくキャッシュレス決済の推奨、そしてお客様の協力のもとにマスクの着用や積極的な窓開けなどを行っているという。

 

 会社挙げての取り組みとは別に、各乗務員の対応はコロナ前以上にお客に対しての「心配り」や「気配り」が必要になっている。「コロナ禍では、遠方から医療を求めてやって来られるお年寄りなどは、多くの人との接触が避けられない公共交通機関の利用に尻込みする方々が増えています。このため、大学病院など大きな病院に、付け待ちすることを心掛けています」と矢吹さん。「この機会に1人でも多くの方にタクシーの安全性を理解いただくことも重要だと思っています」と語る。

 

津田 令子 氏

 社団法人日本観光協会旅番組室長を経てフリーの旅行ジャーナリストに。全国約3000カ所を旅する経験から、旅の楽しさを伝えるトラベルキャスターとしてテレビ・ラジオなどに出演する。観光大使や市町村などのアドバイザー、カルチャースクールの講師も務める。NPO法人ふるさとオンリーワンのまち理事長。著書多数。

Facebook Japan、被災地へ届けるCP 3110本の花を福島へ

2022年3月14日(月)配信

福島と各地域をつなぐ花のゲート「Peace Flower Gate」

 Facebook Japanはこのほど、東日本大震災から11年目となる前にソーシャルキャンペーン「あなたのいいね! が花になるFlowers for 3.11」を実施した。同CPで集めた被災地へ寄せる想いを3110本の花にして、3月11日(金)に復興支援イベント「SONG OF THE EARTH 311―FUKUSHIMA 2022―」(福島県・楢葉町)の会場を彩った。

 同CPは2月22日(火)~3月3日(木)の期間、Meta日本公式Facebookページの特集「11年目の3.11を考える10日間」で実施。この特集の投稿に寄せられた「いいね!」などのリアクションやコメント、シェアの数と同じ本数の花を福島へ届ける企画で、計4909の想いが集まり、届ける花の上限3110本を送った。

 届けられた花は、同復興支援イベントへ訪れた来場者を迎え入れる約2メートルのフラワーゲートなどに使用。復興支援イベントの主催であるLOVE FOR NIPPONのメンバーとして、福島県各地で活動するフラワーアーティスト・小林祐治氏により制作された。

 ゲートは「たくさんの花に触れたり、写真をとったりすることで心の癒しになってほしい」「福島県は孤立していないということを伝えたい」という想いが込められている。来場者からは「福島の生産者さんからもお花が届いていることに復興への明るい兆しが見えてきたと感じた」といったコメントが寄せられた。

 このほか、全国から届けられた被災地へ寄せる想いを具現化した花を髪や身に着けて、イベントをさらに楽しめるアイテムを制作するワークショップも実施した。

地域の看板商品創出 3月23~25日、全国10カ所で事前説明・相談会を開く(観光庁)

2022年3月14日(月) 配信

観光庁は3月23~25日に、「看板商品創出事業」の事前説明・相談会を開く

 観光庁は3月23(水)~25日(金)に、全国で「看板商品創出事業」の事前説明・相談会を開く。

 「地域独自の観光資源を活用した地域の稼げる看板商品創出事業」は、地域の関係者が連携して、地域ならではの観光資源を活用したコンテンツの造成から販路開拓までの、一貫した支援を実施する。

 自然、食、歴史・文化・芸術、地場産業、交通などの観光資源を、地域ならではの看板商品創出に生かしてほしい考え。具体例は、ツアーや旅行商品などの企画・開発費、モデルツアー実施費、プロモーション費用──など。

 同事業に21年度経済対策関係予算の約101億円を充当している。

 補助率は500万円まで定額。併せて、500万円を超える部分については2分の1を補助する。補助上限額は1000万円。

 事前説明・相談会は、第Ⅰ部が公募内容や事業スケジュールなどの説明。第Ⅱ部が、個別相談(1回約20分)となる。なお、事前に予約が必要。

 北海道、東北、関東、北陸信越、中部、近畿、中国、四国、九州、沖縄──の10か所において、ハイブリッド(現地会場・オンライン)形式で開かれる。

 東北と四国はオンラインのみ。現地会場定員は、北陸信越と沖縄が20人、そのほかが45人まで。

 申込期限は3月22日(火)の正午まで。現地会場での参加は先着順。

新潟県・栃尾の割烹旅館「恵比仁旅館」破産手続き開始(帝国データバンク)

2022年3月14日(月) 配信

 惠比仁(えびに、西川史朗社長、新潟県長岡市)は3月1日(火)、新潟地裁長岡支部から破産手続き開始決定を受けた。

 同社は、1957(昭和32)年4月に設立。割烹旅館「恵比仁旅館」を経営していた。本格的な割烹料理を味わえる旅館として、栃尾エリアにおける観光客を集客していたほか、料理のみの利用客も多く、近隣住民からも好評を得ていた。

 しかし、2020年に入ってからは新型コロナウイルス感染拡大の影響で、観光客数が大幅に減少。経営状態が急速に悪化し、今年2月28日付で事業を停止していた。

 帝国データバンクによると、「負債は調査中」という。

【まもなく締切】36旅館の宿泊券が当たるプレゼントアンケート

2022年3月14日(月)配信

 旅行新聞新社では昨年12月に発表した「第47回プロが選ぶ日本のホテル・旅館100選」入選施設の宿泊券、「第42回プロが選ぶ土産物施設100選」の名産品が当たるアンケートを、旅行新聞新社サイト内で2022年3月14日(月)-3月31日(木)まで実施しています。奮ってのご応募をお待ちしております。

 「プロが選ぶ日本のホテル・旅館100選」、「プロが選ぶ土産物施設100選」は、全国の旅行会社の本社・支店・営業所に投票ハガキを郵送、優れたホテル・旅館や土産物施設を推薦してもらい、集計・発表する事業です。ホテル・旅館100選には「総合100選」のほか、「もてなし」「料理」「施設」「企画」の各部門の100選があります。また「土産物施設100選」は、オリジナルの土産やその土地ならではの土産を販売する施設(道の駅も含む)を推薦してもらうもので、土産物施設のほか「観光・食事施設100選」も設けています。

プレゼントアンケート詳細

 旅行に関するWebアンケートにお答えいただいた人のなかから抽選で、「第47回プロが選ぶ日本のホテル・旅館100選」入選施設の宿泊券(1組2名様、1泊2食付)を36組に、「第42回プロが選ぶ土産物施設100選」の入選施設おすすめの名産品を32名様にそれぞれ、プレゼントします。

応募期間:2022年3月31日(木)まで
当選発表:
 宿泊ご当選者様につきましては、「旅行新聞新社」から当選のご連絡をさせて頂いたうえ、宿泊券は各お宿より、直送させて頂きます。宿泊券プレゼントにつきましては5月中旬に「旅行新聞新社」ホームページで当選者名(都道府県名と苗字)を発表させて頂きます。名産品の当選につきましては発送をもって発表に代えさせて頂きます。
応募方法:
 以下のページリンク先の「キャンペーンに応募する」から

安来市観光協会 地域発信の人材育成へ スキルアップの講座開く

2022年3月14日(月)配信

ローカルナビゲーター養成講座のようす

 島根県の安来市観光協会は2月22日、JR安来駅に隣接した観光交流プラザ内で、「旅の文化カレッジ事業・ローカルナビゲーター養成講座」を行った。地域の魅力をストーリーとして紹介するなど、新しい旅をコーディネイトできる人材を育成する。

 同市は、雲南市、奥出雲町の2市1町で構成する日本遺産「出雲國たたら風土記~鉄づくり千年が生んだ物語~」を抱えており、コロナ禍のなかでテーマ性を持ったマイクロツーリズムが注目されるなか、コロナ収束後を見据え、現場で働く人々の観光案内スキルをアップさせ、新しい旅のスタイルを構築する狙いだ。

 講座は、宿泊施設や観光施設、旅行会社の担当者のほか、山陰インバウンド機構や同市観光振興課職員など約30人が参加した。

 講師はクラブツーリズムのテーマ旅行部顧問を務める黒田尚嗣氏が務めた。同氏はクラブツーリズムの旅の文化カレッジで「旅する世界遺産・日本遺産の語り部」として各種講座を担当しながら、日本遺産関連のテーマ旅行を自ら企画するなど、地域の魅力発信に注力している。

 講座のなかで黒田氏は、ローカルナビゲーターは、その地域のスペシャリストとなり、土地の人の営み(歴史・風習)を紹介し、日本遺産の構成文化財や観光資源による公式的なストーリーだけでなく、自身の体験に基づいたオリジナルのストーリーを作成することが重要とした。

 また、旅行者に対し鋭い観察眼を持ち、案内しながら顧客情報を引き出すことがリピーターにつながり、観光消費拡大に結び付くとした。

 同協会の門脇修二事務局長によると今後も定期的に同様のセミナーを開催する予定。地域一体となり、コーディネイト力向上をはかる。門脇局長は「駅を起点にしたサイクリングツアーのナビゲーターも養成していきたい」と意気込んでいる。