卒業旅行 92%がネット予約、3分の2は「できれば贅沢を」(宿泊予約経営研究所調べ)

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 宿泊施設のデジタルマーケティングを総合プロデュースする「宿泊予約経営研究所」(末吉秀典社長)はこのほど、首都圏在住の旅行に関心がある大学生40人を対象に、「卒業旅行に関する意識調査」を実施した。これによると、「誰と行くか」では、「大学の友人」「友人」と回答した学生が84・9%を占めた一方で、「家族」「恋人」はそれぞれ7・6%にとどまり、卒業旅行は仲の良い友人グループで行くことが主流となっていることがわかった。

 また、「どのように予約するか」では、9割を超える92・5%の学生が「インターネット」経由と回答した。

 1回の卒業旅行にかける旅費、ホテル代について最も多かったのは、「5―6万円」で約4割の39・3%を占めた。次いで「3―4万円」が28・6%、「4―5万円」が14・3%と続き、「6万円」以上は14・3%にとどまった。

 さらに、旅費のなかでホテルや旅館などの「宿泊費」のみに絞ると、最も多かったのが「1万円―1万5千円」が41・7%。「1万円以下」が25・0%で、65%以上の学生が宿泊費は「1万5千円以内で納めたい」ことがわかった。

 「どんな卒業旅行にしたい?」では、「とにかく贅沢したい」「できれば贅沢したい」「できれば安くしたい」「とにかく安くしたい」の4つの選択肢から選んでもらったところ、「できれば贅沢したい」が66・7%で全体の3分の2を占めた。「できれば贅沢したい」と「できれば安くしたい」と回答した学生の旅費について比較したところ、「できれば贅沢したい」と回答した学生の平均旅費は5万6千円に対し、「できれば安くしたい」と回答した学生は4万円と、1回の旅行につき約1万6千円の差が出た一方、宿泊費の平均は前者が1万2千人に対し、後者は1万1千円と、宿泊費に対する費用感に大きな差はなかった。

 実際に旅行した際、「あったらうれしい!」ものやサービスについては、周辺観光地や飲食店などの「クーポン」が13・6%を占め、トップとなった。

大田区が「民泊」特区認定受ける、年内に条例制定、1月に解禁予定

 安倍晋三首相は10月20日、首相官邸で第16回国家戦略特別区域諮問会議を開き、東京都大田区の「旅館業法の特例」などの区域計画を認定した。年内に条例を制定し、来年1月から民泊解禁の予定。14日の区域会議で松原忠義大田区長は「旅館業法に抵触する恐れのあるものもあり、安全性や衛生面に配慮した環境を整えるために特例を活用したい」とコメントしている。

 実施地域は建築基準法でホテルや旅館の建築が可能な用途地域を予定する。また、今後は区民の意見を踏まえて、条例案を固める。

高校生がデザイン、高速バス「ブルーライナー」(広栄交通バス)

高校生デザインの「ブルーライナー」
高校生デザインの「ブルーライナー」

 広栄交通バス(若野廣義社長、埼玉県坂戸市)は9月29日から、高校生がデザインした夜行高速バス「ブルーライナー」の運行を開始した。埼玉県立新座総合技術高等学校と連携し、デザイン学科の生徒がデザインを担当。2台の車両が完成した。教育機関との連携で生徒や学生がバス車両をデザインするのは全国的に珍しい取り組み。

 同社は2013年8月から埼玉県、東京都、神奈川県の首都圏と京都府、大阪府、兵庫県の関西を結ぶ高速乗合バス「ブルーライナー」を運行している。同バスの顧客層は若い女性が多いことから今回、高校生の視点で「安心・安全」をイメージしたデザインを導入。同社の若野社長は「現実の顧客層に近い高校生の皆さんのアイデアを反映できた。これは、競争の激しい首都圏―京阪神路線で、ビジネスの観点から大きなアドバンテージ」と意義を語った。

 また、新座総合技術高校の赤羽弘雄校長は「生徒たちは、実際に事業に携わる広栄交通バスの皆様から市場環境や顧客層などについてアドバイスをいただきながらデザインを進めたことで、本校が目指す『社会に貢献できるスペシャリスト』の姿について理解を深め、自らのデザインが現実のバス車両として実現したことに自信を持ったはずだ」とコメントした。

 現在、第2弾として来年1月完成予定の夜行高速バス2台について、同校のデザイン科・総合ビジネス科の生徒が、開発コンセプトから内外装デザインまでを手掛ける商品開発を進めている。同事業は埼玉県教育委員会から15年度実践的職業教育グローバル事業の指定を受けている。

海外通貨の決済と両替端末、「G Pay」、導入時のコストはゼロ

店舗側の画面
店舗側の画面

 アクリーティブ(菅原猛社長)はこのほど、既存のレジに取り付けるだけで、海外の通貨での決済と両替ができる支援端末「G Pay」を開発した。導入時のコストはかからず、為替変動のリスクも同社が負担するため、小さな店舗でも手軽に始められるのが利点。

 支援端末「G Pay」は、米ドルやユーロ、中国元など120カ国の通貨に対応しており、このなかから12カ国通貨を選んで設定できる。端末のなかには「通貨自動判別機能」と高精度の真贋鑑定を判定する「偽札鑑定機能」を搭載。また、投入された紙幣は端末内のカセットに入り、直接紙幣に触れられない構造になっているため、レジスタッフが責任を負うことはなく、万が一、カセットに偽札が混入しても同社が負担する。端末には毎日最新の為替レートを配信し、そのレートで同社が買い取りを確約するため為替リスクもない。

 端末はレンタルで、費用は月に約1―2万円。利用に応じてインセンティブもあり、外貨利用が多ければレンタル費用をまかなうことも可能。徹底的に導入時の負担を軽減しているのが特徴だ。

顧客は自国通貨を自ら投入
顧客は自国通貨を自ら投入

 決済の流れは、店舗側は商品をレジに打ち込み、その金額を日本円で端末に入力。顧客は顧客側の画面で自ら、日本語と英語、中国語、韓国語から言語選択後、レートとともに表示される通貨から利用したい通貨を選び、端末に紙幣を投入すると日本円でつり額が表示される。店舗側も表示されたつり銭を日本円でレジから支払うため、計算などの手間はない。カセットには約500枚の紙幣が投入でき、利用状況に応じて1―2週間に一度、そのまま送付すると約2週間で日本円に両替して送金される。

 同社は数年前からインバウンドの取り組みを開始。そのなかで地方では両替できるところが少なく、クレジットカードも利用できない店舗が多い点に着目。社長室の小林洋史室長は「地方の土産店などはクレジットカード導入だけでも負担が大きい。両替機になると1ケタ違うほど高額だ。これらに比べ、G Payは決済のインフラとして導入のハードルは低い」と話す。端末は既存のレジとインターネットで接続するが、単体でも利用できるため「極端にいえば手打ちの計算をしているような駄菓子屋などでも導入できる」。また、決済では利用せずに、両替機として設置することも可能だ。

 現在、大手小売店で導入が進んでいるほか、宿泊施設にも導入実績がある。グループ店であれば1施設でトライアル導入してから検討してもいい。小林室長は「海外のお客様は日本で自国通貨が使えるとは思っていないため、満足度は高い。これからインバウンドに取り組む地域でも呼び込むためのサービスになり得る」と売り込む。

【11月1日・8日】天城山トレッキングガイドツアー開催(静岡県伊豆市)

”天城の瞳”八丁池と秋色のブナ林をトレッキング
”天城の瞳”八丁池と秋色のブナ林をトレッキング

 伊豆市観光協会天城支部・天城自然ガイドクラブは11月1日・8日に、「天城山トレッキングガイドツアー」を開く。

 自然のままの美しい風景が楽しめる天城山は、トレッキングの人気コース。道の駅「天城越え」昭和の森会館を起点に、11月1日は、ベテランガイドとともに”天城の瞳”と呼ばれる八丁池とブナの森を散策するビギナー向けツアーを開催。歩行距離約5.6キロメートル、所要時間約5時間のコースで、10月23日まで申し込みを受け付けている。

 また11月8日には、”山ガ―ル”に向けた女性向けのツアーを実施。同じくベテランガイドが自然解説を交えながら案内をし、八丁池そして秋色に染まるブナ林をトレッキングする。歩行距離約7キロメートル、所要時間約5時間のコースで、申し込み受け付けは10月28日まで。

参加費は2千円(「昭和の森会館」と「八丁池口」の往復路線バス代は各自負担)で、それぞれ募集人数は20名(最小催行人数10名)。持ち物として弁当・飲み物。雨具は各自持参で、トレッキングシューズ装備のこと。

 問い合わせ=伊豆市観光協会天城支部 電話:0558(85)1056。

【10月31日-11月15日】 沼津御用邸記念公園「松籟の宴2015」(静岡県沼津市)

園内で食を楽しむ「松間の饗宴」(10月31日・11月1日)など多彩なイベントが目白押し
園内で食を楽しむ「松間の饗宴」(10月31日・11月1日)など多彩なイベントが目白押し

 沼津御用邸記念公園を舞台に、食・歴史・文化と沼津の魅力を発信するイベント「松籟の宴(しょうらいのうたげ)2015」が、10月31日から11月15日まで開かれる。

 10月31日と11月1日には、食を楽しむ「松間の饗宴~秋の恵みを味わうひととき~」を開催。松林が広がる園内で、沼津近隣の各店料理人が集い山海の恵み豊かな食材を使ったグルメや、御用邸の梅で作った梅酒などのドリンクなどを提供する。販売はチケット制(当日販売)で、御用邸の凛とした雰囲気のなか、沼津ならではの味覚を味わいたい。

 また期間中は、約700鉢の菊が咲き誇る「沼津御用邸記念公園菊華展」(11月3日から15日)や郷土が誇る名僧「白隠禅師」の禅画展(10月31日から15日)が開かれるほか、園内には草月流家元の勅使河原茜氏監修の竹のインスタレーションアートも各所に展示される。ほかにも、着物姿の高校生による観光案内のおもてなし(10月31日・11月15日)や、ヒントを頼りに宝探しを行う「松籟の宴 お宝探検隊」(10月31日から11月15日・有料)など、子供から大人まで御用邸を身近に感じられる企画も多数予定している。

 沼津御用邸は風光明媚な駿河湾沿いに位置し、明治26年、大正天皇(当時は皇太子)のご静養のために造営された。昭和44年に廃止された後、翌年より沼津市により「沼津御用邸記念公園」として公開され、広く市民に親しまれている。

 開催時間は午前9時から午後4時30分まで。入園料100円。

 問い合わせ=沼津御用邸記念公園 電話:055(931)0005。

旅行業と小売業の融合を、ショッピングツーリズムの現状紹介(JSTO)

新津研一事務局長
新津研一事務局長

 ジャパンショッピングツーリズム協会(JSTO、田川博己会長)はこのほど、東京都内で報道関係者向けに最新の動向を紹介するセミナーを開いた。そのなかで、同協会の新津研一事務局長は、今後のショッピングツーリズムの発展に向け、早々に旅行業と小売業の産業的な融合が必要だと提言した。

 新津事務局長は、「2年前の協会設立時は22社でスタートし、観光庁の指針にも“ショッピングツーリズム”という言葉はなかったが、この2年で会員は120社を超えた」と経緯を紹介したうえで、ショッピングツーリズムの現状や課題を語った。

 2年間で急激に伸長した要因としては、免税制度の改正と日本の買物情報の流布を挙げ、とくに免税については「ショッピングツーリズムの扉を開けた」とし、予想以上にインパクトが大きく、各国にも脅威を与えているという。情報発信は留学生のSNSなどが主で、モノから興味を持って日本に訪れる人もいる反面、「バーゲン時期などまだまだ知られていないことが多い」と語った。

 大きな課題としては「ショッピングとツーリズムは産業的に融合できていない」ことを挙げた。ツーリズムインフォメーションなどでは個々の商業の案内ができないため、旅行者は店舗の情報を入手できないという弊害が出ている。一方、「キックバックの問題などでがっかりされた歴史もある。同じ過ちを犯してはならない」と話し、旅行業と小売業の適正な連携スキームの必要性を訴えた。

 小売側では、外国人観光客を“ゲスト”ではなく“お金を落としてくれる人”と捉えていることが問題だとし、「『爆買い』も日本人だったら、『おまとめ買い』と表現するはず」と指摘した。また、「小売店は日本を観光発展途上国だと認識できていない。中国人観光客も米国では日本の2倍以上の単価で消費しているが、小売店は他国ではなく国内の近隣店など、競合店を近くに小さく考えてしまっている」とした。インバウンド市場は戦略的な計画を立てる前に急激に売上が上がったため、PDCAが整っていないことも今後の課題になると分析する。

 これらを踏まえ、今後提供すべきことは「日本でしか体験できないショッピング」とし、「伝統工芸や生活のなかの買物、世界一安心・安全な消費活動を行っていることを丁寧に伝えていければ地方に波及効果を与える力になる」と言及。「我われは、ショッピングは最も優れた観光コンテンツであると信じている。買物をしていただければ日本人のこだわりやおもてなし、暮らしぶりを体感して持ち帰っていただける」と述べ、今後は世界一を目指すなかで「魅力を海外に伝える」「さらなる環境整備」「地域や産業を超えた連携」の3つに取り組んでいくと意気込んだ。

No.415 櫻井寛氏インタビュー、国内外の観光列車を比較

櫻井寛氏インタビュー
国内外の観光列車を比較

 全国的に観光列車がブームとなっている。国内ではJR九州の超豪華寝台列車「ななつ星in九州」が好調で、JR各社でも開発が進んでいる。また、リーズナブルに楽しめる地方ならではの観光列車も続々と登場している。世界91カ国で鉄道を撮影・取材してきた鉄道フォトジャーナリストの櫻井寛氏に、今話題の超豪華寝台列車や日本と世界の観光列車の違いのほか、観光列車に関連する鉄道の課題についても聞いた。
【丁田 徹也】
 

 
 ――国内外の列車に乗車されていますが、日本の観光列車の特徴はなんでしょうか。

 海外にも観光列車はあるのですが、JR九州の「ななつ星in九州」に代表される豪華な観光列車とお手ごろな価格の観光列車が共存できていること自体が日本の特徴ではないでしょうか。海外には取材でこれまで91カ国を周ってきましたが、そもそも安く乗れる観光列車を見かけませんでした。ななつ星ほどの超豪華列車もなかなかありません。

 実際に、3泊4日ペアで最高150万円もする超豪華寝台列車が人気となっている一方で、青春18切符(全国JR線の普通列車が1回当たり2370円で1日乗り放題の切符、年齢制限なし)でも乗車できるリーズナブルな観光列車も好評なのです。両極端な価格の商品が同じように人気というのはおそらく日本だけで、観光列車のバリエーションの多さは日本の大きな魅力だと思います。

 日本は「1億総モノクラス」とでも言えばいいのでしょうか。海外の超豪華列車のようにドレスコードがあるわけでもありませんし、青春18切符で全国を巡る人には貧しさではなく旅を楽しむゆとりを感じますよね。色眼鏡で見ることなく、安全かつ多様に楽しめる文化があるからこそ、観光列車にもさまざまなバリエーションがあるのかもしれません。…

 

※ 詳細は本紙1605号または10月27日以降日経テレコン21でお読みいただけます。

憩える場所 ― 街の中心には「何もない」空間づくり

 ヨーロッパの多くの都市は、街の中心部に広場がある。旅行者も必然的にその広場に集まって来る。広場周辺には飲食店や土産屋さんが軒を連ね、ピザやワッフル、ジェラートなどの店に行列ができたりと、のんびりとした時間を過ごしている。さまざまな国籍の旅行者たちは広場で足を休め、地図やガイドブックに目を落とし、壮麗な教会や市庁舎に目を細める。歴史ある街並みにポッカリと穴が開いたような広場があることが、旅行者にとってどんなに憩いの空間になるかを証明している。

 なかでも、ローマのトレヴィの泉は規模こそ大きくないものの、旅行者に大きな憩いを与えている。石造りの堅牢な街並みに突如現れる美しい泉。そして、後ろ向きにコインを投げ、泉の中に入ると、「もう一度ローマに訪れることができる」といった願い事が叶うという。「どれだけ自分の街に自信と誇りを持っているんだ」と、羨ましくなるほどのストーリーを作り上げる力にも感服する。

 世界最大のメガシティである東京。その中心部には皇居がある。皇居前には広大な広場があるが、しかし、観光客が自然と皇居周辺に集まって来るという意味合いとは少し異なる。都心には銀座や新宿、渋谷、原宿、六本木、浅草、秋葉原などが点在している。これら人気エリアの中心部に“トレヴィの泉”的な空間が存在したなら――と、しばしば思い描くことがある。

 街の中心部には「何もない」方がいいということも一つの考え方だ。素晴らしい観光資源があっても、人々が憩うことができる空間がなければ、居心地の良さは感じない。車や、ほかの観光客を気にせず、街の中心から四方八方360度を眺める空間があると、旅行者は自分が主役になることができる。

 さまざまな自治体に観光予算が付いた場合、普通は「何かを作る」ことに目が行く。地方議会でも何かを作ることには理解を得やすいが、何かを撤去したり、街の中心部を広場や公園にすることへの予算化は難しい。

 草津温泉は国内の温泉地で屈指の人気を誇る。温泉街の中心部に湯畑が存在していることが大きい。湯畑を囲むように、熱乃湯や共同浴場「御座之湯」、土産物店、温泉旅館などが立ち並ぶ。伊香保温泉も人気が高いのは、趣ある石段街が温泉地の中心にあり、その周辺には旅行者が憩うことができるさまざまな店舗が並ぶからだ。城崎温泉も街の中心に大谿川が流れ、川沿いで浴衣姿のまま憩える空間を大切にしている。

 東京では、とくに外国人観光客に人気の浅草。外国人観光客がひしめいている。しかし、雷門の前には大きな道路が走っているために、観光客がごった返し、記念撮影にも苦労する。もし、あの道路を広場にして、大道芸が楽しめたり、カフェテラス席などを設置できたりすると、浅草はもっと多くの観光客が集まるエリアになる可能性を秘めている。もちろん、「道路を広場に」などは不可能に近いが、夢のある景色だ。隅田川や東京スカイツリーも近く、屋形船やリバークルーズを楽しめるエリアとして、面白い。

 集客を考える場合、どうしても「足し算」的な発想になってしまう。だが、街の中心部を「無」の空間にし、観光客の視点で、もう一度自らの観光地や温泉地づくりを考えると、憩いの空間がいかに大事なのかがわかる。

(編集長・増田 剛)

植物検疫の円滑化を、2種類のモデル販売実施(JSTO)

代行サービスを活用した合格証明書付きのメロン
代行サービスを活用した合格証明書付きのメロン

 ジャパンショッピングツーリズム協会(JSTO)はこのほど、農林水産省の「おみやげ農産物植物検疫受検円滑化支援事業」を活用し、植物検疫の円滑化に向け、北海道のメロンを中心に2種類のモデル販売を実施した。

 2014年10月から農産物を含む食品も消費税の免税対象になったが、植物検疫に手間や時間がかかるなどの課題もある。これらの課題解決のため、同協会は北海道開発局が展開する国際輸送プラットフォームの「HOP1サービス」と、HICインターナショナルの植物検疫代行サービスと連携した。訪日外国人の自宅まで農産物を届けるHOP1サービスとは、国際輸送で検疫が必要な台湾向けに、8月25日―9月30日まで植物防疫官が機動的に集荷場に出張して検査を実施。HOP1加盟販売店と共同で利用を促進した。

 また、植物検疫代行サービスは、訪日外国人がツアー行程中に購入したフルーツを代行業者が預かり、植物防疫官による検査を事前に済ませ、ヤマト運輸が運営する空港内預かり所で商品を手渡すモデル。旅行者は面倒な手続きをせずに、旅行移動中も持ち歩く必要がないのが利点。

 今後もインターネットで植物検疫の事前申請を行うなど、検疫を短縮するモデル販売を実施し、訪日外国人の農作物検疫受検の最適な方法を検証していくという。