「Go Toトラベル」8月に、感染防止と経済活動を両立(田端観光庁長官)

2020年6月23日(火)配信

田端浩観光庁長官

 観光庁の田端浩長官は6月17日(水)に会見を開き、「Go Toキャンペーン」のうち、観光需要喚起策「Go Toトラベル」事業の開始を、8月の早い段階を目指し準備を進めていく意向を明らかにした。運営事務局の公募を見直し、同事業の運営事務局は観光庁で再公募すると説明。観光需要喚起策の経済波及効果や、県境を越えた移動制限の緩和に向けた取り組みを話し、地域経済支援に資する効果的な事業の実施に努める考えを示した。

 観光や飲食などの消費を喚起する「Go Toキャンペーン」の運営事務務局の公募のあり方について、このほど見直しが行われた。その結果、各事業を担当する省庁ごとで再度公募することが決まった。これを受け、観光庁は「Go Toトラベル」事業の事務局の公募を、あらためて6月16日(火)から開始した。

 今後、観光庁は公募に関する説明会を開き、質問などに答えたうえで、6月29日(月)までに提案書の提出を求めていくと伝えた。選定については、職員のほか外部有識者4人を含む企画競争委員会が提案内容を審議し、選定するとしている。選定結果は選定が行われ次第、公表するとした。

 「Go Toトラベル」事業の開始時期について田端長官は、「観光関係産業界も大変苦しい状況にある。8月の早い段階での事業開始を目指し、可能な限り早くかつしっかりと準備を進めていく」と意気込んだ。なお、期間は6カ月間。

 事業の展開にあたり、新型コロナの感染状況や専門家の意見などを踏まえて実施するものとしている。また、政府全体の方針なども踏まえ、地域経済支援に資する効果的な事業の実施に努めていきたい考えを示した。

「Go Toトラベル」、経済波及効果はいかに

 「Go Toトラベル」事業は、感染拡大で失った観光の流れを地域に取り戻すことを目的とした観光需要喚起策。観光関連の事業者に幅広く経済波及効果をもたらし、経済の好循環の創出をはかるもの。

 具体的には、国内旅行の宿泊・日帰り旅行を対象に、旅行代金の2分の1相当額を支援する。1人1泊あたり2万円が上限(日帰りの上限は1万円)で、連泊制限や利用回数は制限なし。支援額のうち、7割程度は旅行代金の割引に、3割程度は旅行先で使える地域共通クーポンとして付与される。観光地に訪れてもらい、地域共通クーポンで消費を促すことで、幅広い観光関連産業に広く消費効果を及ぼすものを計画している。

 田端長官は「Go Toトラベル」の経済波及効果について、「非常に大きい。まさに全国津々浦々、経済的なダメージを受けている地域やそこで事業を行う観光関係産業界に十分ひ益するように、都市部だけでなく地方部の隅々まで生き渡らせたい」と述べた。「とくに地域共通クーポンは、土産屋や飲食店、観光事業者など幅広く裨益できる良い仕組み。地域の色々な店舗に多くクーポンの参加・登録を呼び掛けていきたい。多く(の地域に)参加して頂き、それで旅行に行った人に消費をしてもらいたい」考えを示した。

移動制限の緩和、感染防止との両立とは

 政府の感染症対策本部が5月25日(月)に緊急事態解除宣言を行ったことで、感染拡大の防止と、社会経済活動の維持の両立をはかる新たなステージが始まった。これに先立ち、14日(木)に観光分野では宿泊業、旅行業、業界団体で両活動の両立をはかるためのガイドラインが作成・公表された。

 観光庁は、国民が感染リスクを避けながら安全に旅行でき、地域住民も安心して旅行者を受け入れられる仕組みが重要と認識している。そこで、観光関係者自らで作成したガイドラインの実施の徹底をあらためて要請。あわせて、国民に新しい旅行スタイルの協力を呼び掛ける事項を示すよう要請を行っていると述べた。これにより、業界団体によるガイドラインの実効性を確保する取り組みを促したい考えだ。

跡見学園女子大学、社員が大学の講師に 業界の理解深めてもらう

2020年6月23日(火) 配信

篠原靖准教授

 跡見学園女子大学(笠原清志学長、東京都文京区)は6月18日(木)、ジャルパックと連携し、オンラインで同社社員が講師として参加する特別授業を行った。学生に、これまで学習してきた旅行業界への理解を深めさせ、就職活動に役立ててもらう狙い。

 同授業は、2月に同大学とジャルパックが結んだ包括連携協定に基づく初めての取り組み。観光コミュニティ学部の篠原靖准教授が担当する「旅行産業論」の一環で実施された。

 講師として広報・社会貢献グループの永井考充氏と、長尾哲氏が出席した。永井氏はジャルパックの海外旅行事業と国内旅行事業の歴史をはじめ、会社における各職種の仕事内容などに触れた。長尾氏は、OTA(オンライン旅行会社)が台頭する現状を説明。そのうえで、同社の商品の魅力を話した。

 今後は、7月9日(木)まで3回授業を実施する。最終回には江利川宗光社長が講師として参加し、日本航空在籍時に経験した会社更生法の適用から会社を再生させた経験談を語る。そのうえで、会社の再生と観光業界の再生に、共通する部分があるとしてWithコロナ時代の旅行業の在り方について持論を展開する。

 さらに、ジャルパックのアメリカやヨーロッパなどの海外支店の社員が講師を務め、各国の観光需要の回復状況や、受入態勢などについて触れる予定。

ツーリズムEXPOジャパン、10月29日~11月1日に沖縄で開催 Withコロナ時代の観光の在り方発信へ

2020年6月23日(火) 配信

イベントポスター。外国からも出展する予定

 日本観光振興協会と日本旅行業協会(JATA)、日本政府観光局(JNTO)は10月29日(木)~11月1日(日)の4日間、ツーリズムEXPO ジャパン旅の祭典in沖縄を開く。メイン会場は宜野湾市の沖縄コンベンションセンター。隣接する宜野湾市立多目的運動場でも実施する。

 JATAが6月19日(金)に開いた定例会見で、同会の越智良典理事・事務局長(当時)は「世界と日本におけるWithコロナ時代の観光の在り方を発信したい」と開催目的を説明。併せて、火災の被害を受けた首里城の復興状況をアピールする狙いだ。

越智良典理事・事務局長

 同イベントには450小間が出展予定。このうち、外国からの出展は同日現在、17地域、80小間という。

 TEJ観光大臣会合では、各国の観光相や駐日大使などが出席する。

 新型コロナウイルスへの対策は沖縄県が講じる。空港にはサーモカメラを設置し、看護師を常駐させる。このほか、同県は発熱者が出た場合を想定し、病院搬送までの具体的な行動をまとめている。

 さらに、旅行者専用相談センター「TACO」を設置。会場や空港、宿泊施設などに対して発熱者が出た場合に相談に応じるほか、感染者の情報収集などを行う。

 越智氏は「沖縄県がゴールデンウイークに県外からの来島を自粛するように呼び掛け一部で県外客の受入が消極的になっている」とした。そのうえで、同イベントをきっかけに県外からの来島について受入側と来訪側双方に安心感を持ってもらいたい考えを示した。

 越智氏は「(同イベントを)観光需要の回復につなげられるようにする。多くの出展が増加するように関係各所に働き掛ける」と意気込んだ。

東京商談会は1月延期 コロナ影響不透明のため

 今年9月10(木)~12日(土)に、東京ビッグサイトの青海展示場で、予定していたツーリズムEXPOジャパンTEJ東京商談会の延期と場所の変更も発表した。新型コロナウイルスの影響で参加予定国への入国制限措置と、入国後の行動制限措置などの解除が見通せないことを理由に、21年1月7(月)~9日(水)に、東京ビッグサイトの西展示棟1~4ホールで開催する。

ロコパートナーズ、応募者全員にクーポン配布 全国の旅行需要喚起はかる

2020年6月23日(火) 配信

9月28日までにチェックアウトする予約に適用できる

 ホテル・旅館の宿泊予約サービス「Relux(リラックス)」を運営するLoco Partners(ロコパートナーズ、村上文彦社長、東京都港区)は7月12日(日)まで、全国の旅行需要を喚起するため、 応募者全員に宿泊料金を1~20%割り引くクーポンをプレゼントする「夏さきどりキャンペーン」を始めた。

 同キャンペーンで配布するクーポンの割引率は20%、8%、5%、3%、1%となる。クーポンはリラックスにログイン後に、ページ内にあるエントリーボタンをクリックすることで獲得可能。クーポンの使用期限は7月19日(日)まで。9月28日(月)までにチェックアウトする予約で利用できる。

貸切バス連絡会、コロナの指標作成 バス・旅行会社の対応明確

2020年6月23日(火) 配信

旅行会社とバス会社の役割を明確にした。画像はイメージ

 日本旅行業協会(JATA)と全国旅行業協会(ANTA)、日本バス協会で構成する貸切バス連絡会は6月19日(金)、貸切バスにおける新型コロナウイルス対応ガイドラインをまとめた。同ガイドラインでは貸切バスの利用客への新型コロナウイルスの感染防止策の協力依頼について、バス会社と旅行会社が行う対応を明確化した。

 具体的には、マスクの着用や消毒液の常備、手指の消毒依頼はバス会社が行う。旅行会社は出発前に利用者の体温と体調チェック、手指の消毒を要請する。体調不良の利用客に対してはツアー参加の見合わせるように促す。感染者発生時に備え、ツアーの参加者や、申し込みをした人すべての連絡先を2週間保存する。

 今後は同連絡会が加盟各社にガイドラインの使用を促す。また、バス内の空気が5~7分ほどで入れ替わることを周知することで、利用者の安全・安心につなげ、需要を創出していく考えだ。

入場制限付きで営業開始 大磯ロングビーチ、今年は7月23日から

2020年6月23日(火) 配信

大磯ロングビーチ

 大磯ロングビーチ(神奈川県・大磯町)は7月23日(木)~9月13日(日)の期間、営業内容を変更し2020年シーズンの営業を開始する。

 新型コロナウイルス感染拡大防止のために、プールの利用者を、大磯プリンスホテル、鎌倉プリンスホテル、箱根仙石原プリンスホテルの宿泊者限定とする。

 入場制限を設けるに当たり、対象となる各ホテルで入場券付きの宿泊プランを販売する予定。

 また、SEIBU PRINSE CLABプラチナ・ゴールド会員を対象に、営業期間中何回でも入場できる「2020シーズンパスポート」を6月30日(火)から300枚限定で販売する。1枚10万円。1枚で4人まで利用できる。

 ビーチでの安全対策として、従業員の衛生管理の強化、検温、手洗いうがい、消毒の徹底をする。救助などの緊急時を除いてマスクやフェイスシールドを着用する。利用者にも検温や、手指の消毒、エリア入場前のシャワー、プール入水時以外でのマスク着用を義務付ける。

 プリンスホテルは新しい衛生・消毒基準「プリンスセーフティコミットメント」を独自に策定し、「お客様に安心して施設を利用していただけるよう、これを遵守していく」考えだ。

「大江戸温泉物語 汐美荘」、7月10日リニューアルオープン 記念して「肉と利き酒祭り」を開催

2020年6月23日(火) 配信

「大江戸温泉物語 汐美荘」外観

 大江戸温泉物語ホテルズ&リゾーツ(森田満昌社長、東京都中央区)が運営する「大江戸温泉物語 汐美荘」(新潟県・瀬波温泉)は7月10日(金)、リニューアルオープンする。 7月22日(水)までは、オープニング特別記念「肉と利き酒祭り」を開催する。通常メニューに加えて「国産牛の炙りタタキ」や「ビーフカツレツ」などの肉料理を用意。新潟の銘柄酒と共に楽しめる。

 リニューアルしたレストランでは、新潟県産の豊かな食材を使ったメニューをバイキング形式で味わえる。ライブキッチンではステーキや海鮮焼きのほか、大江戸温泉物語で人気の「海鮮のっけ丼」も提供する。

 大江戸温泉物語は、「宿泊施設における新型コロナウイルス対応ガイドライン」に従い3密回避と除菌を徹底し、バイキング料理については感染症専門医が監修のもと提供するなど、新型コロナウイルス感染症対策を実施する。

施設概要

名称:大江戸温泉物語 汐美荘

所在地:新潟県村上市瀬波温泉2-9-36

施設規模:SRC造

南館6階建2,800平方㍍

中央館6階建2,404平方㍍

本館10階建7,875平方㍍

客室数:106室

定員数:435人

宿泊料金:4人1室利用時8,980円(税別)~ 1泊2食付バイキングプラン

TEL:0570-03226(ナビダイヤル・有料、受付時間 午前9:00~午後7:00)

開業日:2020年7月10日(金)

人気旅行ガイド「おいしい道の駅」シリーズ、全7点同時発売 昭文社

2020年6月23日(火)配信

 昭文社は、人気ガイドブックシリーズ「まっぷる おいしい道の駅ドライブ」の新刊「北海道」「東北」「中国・四国」3点と、「首都圏発」「名古屋・東海」「京阪神発」「九州 山口」』の全面改訂版4点の計7点を、本日2020年6月22日(月)から発売した。「新しい生活様式」の下で、旅行スタイルの主流と予想されるドライブ旅に役立つ1冊となりそうだ。

 「まっぷる おいしい道の駅ドライブ」は、年々増加し1173駅ある「道の駅」(2020年3月現在)の魅力をギュッと凝縮した人気の旅行ガイドブックシリーズだ。その土地ならではの地産地消ランチにスイーツ、そこでしか買えない特産品などが満載の道の駅は、いまや立ち寄りスポットにとどまらず、わざわざでかける「目的地」にもなっている。今回の発売で、全国7エリアのラインアップがすべて揃った。道の駅だけでなく周辺の見どころ、食で人気の高速道路SA・PA、産直スポットも併せて紹介している。

新型コロナ対策用ピクトグラム配布 全旅連青年部オリジナル

2020年6月23日(火) 配信 

全旅連青年部オリジナルピクトグラム

 全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会青年部(鈴木治彦部長)はこのほど、新型コロナウイルス感染症対策の一環として、青年部オリジナルの「新型コロナ感染症対策用アイコン」を作成した。ホームページから誰でも自由にダウンロードし、利用できるのが特徴だ。

 施設のコンセプトに合わせ使用できるように4パターン(各12種)をそろえる。

 ピクトグラムは、使いやすいスタンダードバージョンと、将来のインバウンドの宿泊客を見据えた歌舞伎風バージョンを提供する。

 共通のアイコンを使ってわかりやすく「見える化」することにより、「お客様にも安全安心な旅行を楽しんでいただきたい」(青年部)としている。

「トラベルスクエア」肉筆の力

2020年6月23日(火) 配信  

 テレビをつければ、今日のコロナ感染者数とか、お客が戻ってこない飲食店主の冴えない姿ばかり見せられるので、いい加減テレビ視聴鬱になってしまいそうだ。だからあまり見ないようにしているのだが、1つだけ、気持ちが安らぐニュースがあった。

 JR東神奈川駅で、昔あった伝言板が復活したというものだ。

 
 携帯電話のない時代、駅での待ち合わせには、どきどきするものがあった。相方が遅刻しないか。別の場所に移動したいが、どう伝えればいいのか。

 
 そこで「30分待った。今日は帰る」とか「駅前の喫茶○○で待つことにする」といった内容を、黒板にチョークで記す。昭和なつかしの風景だ。
 
 それを再び改札口前に持ち出したのが東神奈川駅のスタッフ。駅員さんの中には伝言板そのものの存在を知らない人もいるみたいだが、発案者はみんなコロナの自粛でコミュニケーションに飢えているときに、たとえ片道通行でも、利用客に思いのたけを綴ってもらうのもいいのじゃないか、と考えたとのこと。
 
 書いて6時間経ったら消すルールだが、足を止めて病院関係者への感謝の念を書いたりする人も多いという。テレビで取材されていた女の子は独り身で2カ月自粛に耐え、久しぶりに駅に来て、黒板に「駅員さんありがとう」と書いて、泣き出していた。孤独が彼女を追い詰めていたことか。
 
 肉筆はいいなあ、と思う。乱雑な筆跡だって、そこには生身の人間がいたんだ、ということの証になる。
 
 そろそろ観光地旅館営業再開のニュースが各地から届き始めていて、喜ばしい。しばらく鳴りを潜めていた経営者の皆さんも、顧客リストを洗い出して、ネットなりDMを使って、メッセージを出し始めていることだろう。
 
 ここでアナログな提案だが、あなたの館にとって、とても大切なAランクの顧客には、肉筆で手紙を出そう!
 
 ネットを使うな、とは言わない。これほど未曽有の休業という苦しみを訴えるなら、やはり、肉筆だ。東神奈川駅の伝言板と同じだ。
 
 いやあ、2000通もあるよ、とても面倒でやれないよ、などと横着なことは言いなされるな。
 
 館や風景を刷り込んだ旅館の絵ハガキで良い。宛名書きが上半分の下のスペースにごくごく短い言葉を書けばいいだけだ。従業員が20人いるなら1人100枚。な~に、1人が1日10枚程度集中して書けば、10日間で完了だ。こんな忙しさをみんなが共有するところから、再建は始まると思う。
 
 コロナ以降は会議やコミュニケーションのIT化は革命的に進むが、宿のような人間臭いビジネスは、アナログ復活を合言葉に!
 

 

コラムニスト紹介

松坂健氏

オフィス アト・ランダム 代表 松坂 健 氏
1949年東京・浅草生まれ。1971年、74年にそれぞれ慶應義塾大学の法学部・文学部を卒業。柴田書店入社、月刊食堂副編集長を経て、84年から93年まで月刊ホテル旅館編集長。01年~03年長崎国際大学、03年~15年西武文理大学教授。16年~19年3月まで跡見学園女子大学教授。著書に『ホスピタリティ進化論』など。ミステリ評論も継続中。