ANAのふるさと納税が総合1位 地域振興への貢献が高評価

2020年9月2日(水) 配信

オリコンエムイー(小池恒社長)がこのほど発表した、「ふるさと納税サイト」の2020年オリコン顧客満足度®調査によると、「ANAのふるさと納税」が74.44得点で総合1位に輝いた。マイル付与連携や地域振興への貢献が高評価を得た。

 2019年から始めたふるさと納税サイトの満足度調査は、今回で2回目。前回の総合1位は今回2位の「ふるさとチョイス」(74.09)だった。3位は「さとふる」(73.58)、4位は「楽天ふるさと納税」(72.81)、5位は「ふるなび」(72.55)。

 評価項目は①サイトの使いやすさ②手続きのしやすさ③キャンペーンの充実さ④返礼品の魅力⑤コンテンツの充実さ⑥地域振興への貢献――の6つ。このうち、ANAふるさと納税は「返礼品の魅力」以外で1位を獲得した。実際の利用者の声として「マイルと連動したキャンペーンがあり、さらにお得な感じがした」、「ふるさと納税の仕組みについては、一番分かりやすかった」などがあがり、評価が高かった。

 今回の結果を受けて、全日本空輸(ANA)マーケティング室カスタマーコミュニケーション部の加藤恭子部長は「ANAのふるさと納税は、日本最大の国内線ネットワークを持つ航空会社として、ANAマイレージクラブ会員を中心としたお客様と国内各地域をつなぎ、地方貢献・活性化の一翼を担うことを目的に運営している」とし、「今後も一過性だけでなく永続的な地域活性化に貢献していく」とコメントした。昨年度は大雨や台風で甚大な被害を受けた九州北部地区への災害支援や首里城の再建支援への寄付を募ったという。また、コロナ禍での取り組みとしては、「新型コロナウイルス被害ふるさとサポート」を立ち上げ、食材などの供給先に困っている事業者を支援している。

 なお、調査は2019年にふるさと納税サイトを利用して各自治体に寄付をし、返礼品を申し込んだことのある全国の18歳以上の男女を対象に、サイト16社の満足度を調査した。サンプル数は2113人、調査期間は20年4月13~20日。

〈観光最前線〉旅館の朝食風景

2020年9月2日(水) 配信

料理をテーブルまでお届け(品川プリンスホテル「ハプナ」)

 最近、宿泊施設を訪問すると「朝食」が話題にのぼる。器をそろえ、手間も掛けて、バイキングから個食へ切り替えたのだが、「評価は下がった」という声が多い。問われているのは、ボリュームではなく、バイキングならではの「ワクワク感」かも知れない。

 7月、品川プリンスホテルの人気レストラン「ハプナ」が営業を再開した。安心・安全と楽しさの両立を目指すなか、お客が料理を取りに行くスタイルを廃止。出来立てをワゴンに載せて、スタッフが客席を巡る形式にした。交流サイトの声は総じて好評だ。

 話を旅館の朝食に戻そう。個食を基本としつつ、郷土の一品など、目玉料理がテーブルを巡るのはどうだろう。これに限らず、きっと生まれてくるであろう、新しい試みを心待ちにしています。

【鈴木 克範】

九州運輸局 宿の感染対策調査 福岡市内と別府で実施

2020年9月2日(水) 配信

フロントで体温チェック

 九州運輸局は8月6、7日、Go Toトラベル事業参加宿泊施設の新型コロナ感染防止対策の実施状況について、福岡市内のホテルと別府温泉(大分県別府市)の旅館で調査した。

 6日には、福岡県・博多区のJR九州ホテルブロッサム福岡(客室数90室)に、同局とGo Toトラベル事業運営事務局の担当者4人が訪問。ホテル責任者から宿泊客対応など説明を受け、入館時のアルコール消毒やチェックイン時の対応、客室、エレベーターなど共用スペースの消毒、換気対策などを実際に確認した。

 飛沫防止のアクリル板を設置したチェックインカウンターでは、スタッフが非接触の検温器で体温を確認。体調チェックや旅行者の本人確認、館内案内、除菌シートのプレゼントなどのようすを再現した。

 チェックインでは、次客はソファーで待ち、客同士の距離にも気を配る。体温が高い客がいた場合は、専用フロアの客室に案内する。

 同ホテルは「会社全体で安心安全に取り組み、旅行前の検温などをお客様にも呼び掛けている」と話した。

アゴダ、訪れたい旅行先を発表 1位は北海道に

2020年9月1日(火) 配信

次に行きたい旅行先の2位は九州。3位は近畿だった
 OTA(オンライン旅行会社)のアゴダは8月27日(木)、「次に訪れたい国内の旅行先」の調査結果を発表した。1位は北海道(46%)で、2位が九州(43%)、第3位が近畿(24%)だった(複数回答)。

 日本人がこれまでに訪れたことがある観光地も発表した(複数回答)。関東の83%に次いで、近畿(72%)、九州(62%)、中部(57%)、北海道(56%)、東北(49%)、中国(48%)、四国(43%)となった。 

 また、全体の回答者のうち、57%が地方を来訪を希望。都市部は47%が訪問を望み、ビーチを希望する回答者は40%だった。北海道と東北、四国の回答者は、都市部や大都市圏への旅行を希望する傾向が強く、北海道からの旅行者の37%が次回の旅行先として関東を選択した(複数回答)。

 旅行の同行者についての調査では、友人との旅行(18%)は、家族旅行(58%)に次いで人気が高く、男性(13%)よりも女性(22%)の方が友人との旅行を重視していることがわかった。

 

山梨県、秋の観光CP実施 JR東日本の各駅で情報発信 立川駅で物産展開催

2020年9月1日(火) 配信

秋のやまなしキャンペーン ポスター

 山梨県とやまなし観光推進機構、JR東日本八王子支社は9月1日(火)から11月30日(月)の3カ月間、秋の観光キャンペーン「富士の国やまなし~風林火山 500年の時を越えて~」を実施する。2019年のこうふ開府500年から2021年の信玄公生誕500年までの3年間を象徴する「500年の時を越えて」という表現を用いて、さまざまな魅力をPRする。

 首都圏にあるJR東日本の各駅でポスターの掲示やPR動画の放映を実施するほか、やまなし観光&イベントガイド「ワイン県やまなし 秋号」を首都圏の駅や山梨県内の観光案内所、道の駅などで配布する。

 キャンペーンに併せてJR立川駅では9月16日(水)~9月22日(火・祝)、旬の果物や野菜を取り扱う山梨物産展を開く。山梨県産のシャインマスカットや小規模ワイナリーのワイン、星屑レストランガイヤのシェフ監修のワインに合う肉料理などのテイクアウトメニューを用意する。

小径散策しながらはしごグルメ 食に特化した商業施設「JINGUMAE COMICHI」、9月11日オープン

2020年9月1日(火) 配信

JINGUMAE COMICHI 内観

 食に特化した商業施設「JINGUMAE COMICHI(じんぐうまえ こみち)」が9月11日(金)、神宮前・原宿エリア(東京都渋谷区)に開業する。

 全国各地から地元で愛されている人気店や、東京初出店の店舗など、18店舗が集結した。エリア全体を1つのまちに見立て、小径散策をしながらいくつもの飲食店をはしごしながら楽しめる空間を演出。各店舗、価格もリーズナブルに設定している。

 ミシュランガイドビブグルマンで星を獲得した「ギョウザマニア」の姉妹店、「小籠包マニア」では、中国の自家製天然酵母「老面」を加えた薄めの皮を使用することで、「スープを食べている」ような小籠包を提供する。小籠包は、出来立てを味わってもらうために、注文後に皮を伸ばし、客のテーブルで蒸し上げる。

小籠包マニア 料理

フレンチのL’orgueil(オルグイユ)の新業態Lac olere(ラ・コレール)では、薄い生地にフレッシュチーズと、薄くスライスした玉ねぎとベーコンをのせて焼いた料理「タルト フランベ」など、フランスアルザス地方の郷土料理が味わえる。同店では焼き方にもこだわり、一度生地だけを焼くことで、ソースや上に乗せる具材がちょうどいい状態を保てるよう工夫する。

 東京初出店の黒豚・地鶏ダイニング SATSUMAでは、市比野温泉の温泉水のアルカリイオン効果で、鹿児島の南州黒豚の甘みをさらに際立てさっぱりとした味に仕上げたしゃぶしゃぶが味わえる。

 10月以降は、施設の半径約2㌔圏内で「デリバリーはしご」も展開する。自宅にいながら、同施設のコンセプトを体験することも可能だ。

大江戸温泉物語ホテルズ&リゾーツ、「仙台 秋保温泉 岩沼屋」を取得

2020年9月1日(火) 配信

仙台 秋保温泉 岩沼屋 外観

 大江戸温泉物語ホテルズ&リゾーツ(森田満昌社長、東京都中央区)は8月31日(月)、「仙台 秋保温泉 岩沼屋」(宮城県仙台市)を取得した。

 「温泉と旅の楽しさをもっと気軽に何度でも」をコンセプトに、全国に温泉宿・温浴施設を展開する大江戸温泉物語の39カ所目の施設として、今年11月に営業を再開する予定だ。

 同社は、「東北エリア7施設となる仙台 秋保温泉 岩沼屋を取得したことで、これまで以上に東北エリアをはじめ全国のお客様に、より一層喜ばれ、親しんでいただける宿泊事業を積極的に展開したい」とコメントを発表した。

営業損失64億円 コロナ影響で減収減益に 日旅連結中間決算

2020年9月1日(火) 配信

日本旅行

 日本旅行がこのほど発表した2020年度中間期(20年1~6月)の連結決算によると、営業収益は前年同期比60・4%減の100億6800万円と大幅な減収となった。新型コロナウイルス感染拡大の影響により、営業損失は64億4100万円(前年同期は1億円の利益)と赤字に転落した。

 経常損失は63億5200万円(同5億6500万円の利益)、中間純損失は58億9500万円(同4億5500万円の利益)と赤字を計上した。

 当期は新型コロナ感染拡大の影響で、全マッハ・ベストツアーの催行中止や全店舗の臨時休業を実施するなど、事業運営を大幅に縮小した。

 一方で、社員の一時休業や在宅勤務にも取り組み、コスト削減に努めた。

 部門別(単体)にみると、国内旅行の販売高は、同65・5%減の470億2200万円。団体が同70・1%減、赤い風船が同61・2%減と低調に推移した。営業収益は同60・6%減の55億6300万円だった。

 渡航中止勧告や、ツアー催行中止で全体的に落ち込んだ海外旅行の販売高は、同77・5%減の134億8000万円、営業収益は同75・3%減の10億4000万円。

 訪日を含めた国際間の流動が停止し、インバウンドの受注がなくなった外国人旅行の販売高は、同71・6%減の65億5200万円、営業収益は同71・7%減の8億2100万円。

 通期連結予想については、新型コロナ感染症の終息時期が予測不能であり、「当社グループに及ぼす影響を見極めることが困難」とし、現時点では未定とした。

21年度版100選本が発売 各宿のコロナ対策も掲載

2020年9月1日(火) 配信

2021年版100選本表紙

 2021年度版「プロが選んだ日本のホテル・旅館100選&日本の小宿」(発行・旅行新聞新社、発売・自由国民社)の書籍が8月中旬から全国の主要書店で発売されています。

 本書は19年12月に発表した「第45回プロが選ぶ日本のホテル・旅館100選」の入選施設と選考審査委員特別賞「日本の小宿」を受賞した歴代の宿など77軒を北から順に掲載。各宿の料理や温泉、客室などの魅力を文章とカラー写真、また今年は新たに新型コロナウイルス感染症対策についても掲載しました。

 さらに当社が事務局の「ピンクリボンのお宿ネットワーク」加盟施設にはロゴマークを付けて紹介しています。

 なお、巻末には「総合100選」のほか「もてなし」「料理」「施設」「企画」の各部門100選の入選施設を一覧表で掲載しました。

 定価は2千円(税別)。A4判変形、オールカラー128ページ。

〈旬刊旅行新聞9月1日号コラム〉北海道・猿払村 もう一度見ておきたい景色を再訪

2020年9月1日(火) 配信

今回の旅では、知床のカムイワッカ湯の滝も訪れた

 北海道の北端の村・猿払村(さるふつむら)の景色が忘れられずに、今夏、再訪した。

 
 3年前の夏、スズキのST250という、空冷単気筒エンジンの古いオートバイに乗って、北海道を一周旅行した際に訪れた村だ。その旅は、海岸線をひたすら時計回りに走るだけの旅だった。セイコーマートにお世話になりっ放しで、北海道の美味しいものを食べたわけでもなく、行く先々で雨にも降られ、“キツイ”旅でもあった。

 
 それでも、稚内市のノシャップ岬近くの小さな宿で女将さんの優しさにも触れるなど、私にとって忘れることができない思い出がたくさん残った。

 
 そのなかで、どうしても、もう一度見ておかなければならない景色があった。それが猿払村だった。

 

 
 猿払村には、取り立てて何か象徴的な観光名所があるわけではない。

 
 多くのライダーたちは時計回りで北海道を走るときに、日本最北端の宗谷岬で旅の一つの到達点を迎える。あるいは、そのゴールに辿り着く前の、利尻富士を左に北海道道106号稚内天塩線の圧巻の直線道路に心を奪われる。

 
 しかし、到達点を過ぎた猿払村の景色にどうして私は心が惹かれるのか。ずっとこの数カ月、自問しながら、広大な牧場と、少し暗いオホーツク海の霧に覆われた猿払村を走ることを夢見てきたのだ。

 

 
 8月のある日、私は夜明け前に、ボストンバッグを紫色のクルマの後部座席に投げ込んで、ヘッドライトを付けて神奈川の自宅を出発した。

 
 そのまま高速道路を北上し、青森港で青函フェリーに乗り、函館へと渡った。4時間の船上で吹き抜ける津軽海峡の潮風に、疲弊した心身を清めた。

 
 北海道では、旅人の姿は少なかった。私はクルマに乗って、人のいない田園風景や、大自然の中をゆったりと走った。

 
 ニセコから眺める羊蹄山は壮観だった。駒ヶ岳や支笏湖、摩周湖、美瑛町の白金青い池の美しさは、言葉もいらない。サロマ湖や、能取湖の地の果てを感じさせる旅情の豊かさや、媚びた表情を一切見せない白老の海岸線も大好きな風景である。けれども、猿払の景色はまたもや私の心を捉えて離さなかった。

 
 カムイワッカ湯の滝にも訪れた。知床半島の先端に向かって11㌔にも及ぶ未舗装の道を、4WDを駆使して白い砂煙を上げながら辿り着いた。

 
 靴を脱いで、ジーンズをまくり上げて、私は滝の上流に向けて歩いた。ヒグマとの遭遇を警戒し、温泉が流入した心地よい温度の川の水を感じた。

 
 その後、羅臼温泉熊の湯にも入った。カーナビゲーションの無いオートバイの旅では、深い霧のため、小さな看板を見つけることができなかったが、今回は熱い硫黄臭たっぷりの力のある温泉に全身浸かった。あまりの温泉の熱さに、命懸けで浸かった。

 

 
 北海道を回る旅は8日間で、東北自動車道往復を含め、3650㌔を走った。1日平均450㌔である。

 
 私は何も考えずにハンドルを握り、深い緑の森を抜け、真っ赤な夕日や、直線道路の向こうを眺めた。それでいい、と思った。今眺めている景色は無意識の底に沈殿し、都市生活で疲れたときに、きっと再訪への想いをかき立てるだろう、と確信した。

(編集長・増田 剛)