上野ホテル旅館組合、除菌セミナー開く オゾンでコロナ殺菌を

2020年11月24日(火) 配信

渡辺定利組合長。「オゾンの効果を知ってほしい」と訴えた

 東京・上野ホテル旅館組合(渡辺定利組合長、40会員)は11月20日(金)、東京都内で新型コロナウイルスの除菌方法を伝えるセミナーを開いた。会員施設に新型コロナウイルスの殺菌効果があるというオゾン発生器の設置を提案し、消費者に安心して上野を訪れてもらいたい考え。

 同セミナーの講師を務めた渡辺組合長は始めに、武漢にある新型コロナウイルスの専門病院にオゾン発生器が設置されたことを語った。そのうえで「設置した約10日後には新規感染者がいなくなり、オゾンが新型コロナウイルスに効果があるとされた」と説明した。

 さらに、日本では藤田医科大学が8月に、オゾンが感染リスクを減らす効果を発見したことを伝えた。

 観光業界では東京ドームホテルがオゾン発生器を利用している。このほか、東京消防庁が新型コロナウイルスの感染者の搬送後にオゾン発生器を使う。

 渡辺組合長は「オゾンの効果を多くの人に知ってほしい」と強調する。

 同組合は今後、同器を設置した会員にオゾンで感染対策を実施していることを告知するステッカーを配る。

 また、台東区に同器を設置するための補助金を求める。支援が決まり次第、会員に同器を配布する。

おもてなし経営研究所 おもてなし「考動」を 新刊出版で感謝セミナー

2020年11月24日(火) 配信

会員からは開催を望む声が多く挙がった

 おもてなし経営研究所の代表で、観光ビジネスコンサルタンツの西川丈次社長は、著書「私、おもてなしで一番になると決めたからネ」の出版を記念した感謝セミナーを11月10日に福岡、11日に東京で開いた。

 同社では、今年1月に第16回「おもてなしセミナー」を開催以降、新型コロナの影響で6月に予定していたセミナーを中止。全国的な行動自粛解除を受けて、会員からセミナー再開を望む声も多く、新刊出版の機会にセミナー開催を決定した。

 会場では入場者数を定員の半分以下に制限した。テーブルを1人掛けにして、参加者やスタッフもマスクではなく、表情の分かるマスクシールドを用意。 来場者用の消毒液や入場前のデスクなどの消毒も徹底した。

 さらに、リアルセミナーのZoomでの同時配信も行い、感染を心配して会場へ足を運べない人にも、リモート参加できるようにした。福岡では観光、飲食、交通関係者など25人が参加し、リモートで20人が受講した。

 西川氏は「人は人と接して感じる思いがある。便利さでは人の心は育たない。嫌な思いもしながら人は成長していく」と、リモート社会に苦言を呈した。

 コロナの影響で閉店した喫茶店の店員との交流を紹介し、「もうあの笑顔に出会えない。人と人が接する記憶を残していく、それが皆さんの仕事だ」と力説した。

 そして、航空会社やホテル、飲食店、タクシーなどの対応事例を紹介。「一人ひとりがおもてなし経営の思いを持てば、お客様は戻ってくる。花が咲き果実を得るには、木の根っこが大事。根っこがしっかりしたら、考えて行動する『考動』にしよう」と訴えた。

高知県アンテナショップ「ゆず活部」が作る「究極のゆずりんご」  11月23日「ゆず記念日」に合わせて動画公開

2020年11月24日(火)配信

 高知県のアンテナショップ「まるごと高知」(運営:高知県地産外商公社)は、ゆずの楽しみ方を幅広くPRするため、2017年11月に「ゆず活部」を設立し、SNSなどを通じてゆずの魅力を発信している。今年は日本一のりんご産地・青森県のりんご農家とコラボレーションして、配信イベントを実施。その様子を編集した動画を、2020年11月23日(月)「ゆず記念日」(いい風味の日)に公開した。

 ポン酢やジャムなど多くの加工品が発売されているゆずは、1年を通してさまざまな料理で楽しめる食材で、収穫最盛期である10~12月上旬は、ゆずの果実が市場に出回る季節だ。「ゆず活部」では、フレッシュな柚子の風味を味わってもらおうと、ゆず丸々1個を使うレシピ「ゆずりんご」を紹介してきた。今回は「ゆず活部」副部長でwebライターの坂口ナオさんが、フジ・ジョナゴールドや王林など4種類の青森県産りんごで「ゆずりんご」を作り、「究極のゆずりんご」を見つける企画を実施。イベントに向けて試作した数は、30種類以上という。果たして「究極のゆずりんご」とは――。

 動画の公開に合わせて、ギフトセットまたは「まるごと高知」500円分の買い物券を抽選で総計60人にプレゼントする「『ゆずりんご』作ってみたキャンペーン」も開催する。

LGBTフレンドリー企業へ 「PRIDE指標2020」で「シルバー」受賞 KNT関西

2020年11月24日(火) 配信

PRIDE指標2020でシルバーを受賞した

 近畿日本ツーリスト関西(三田周作社長、大阪府大阪市)は11月16日(月)、LGBTフレンドリー企業を目指した取り組みが「PRIDE指標2020」において「シルバー」を受賞した。多様な価値観を尊重し、すべての人々に価値ある旅行サービスを提供していく。

 同社ではこれまで、IGLTA(nternational Gay & Lesbian Travel Association、国際LGBTQ+旅行協会)への加盟をきっかけに、LGBTが働きやすい職場、お客が利用しやすい店舗などの取り組みを進めてきた。

 主な取り組みにとして、会社の規定類集に性的指向など差別禁止を明記するほか、社内での意見交換会や啓発活動を実施。また、社内教育や情報発信、入居ビルに「多目的トイレ」の案内表示、プライドイベントへの参加などを行ってきた。2019年8月には「大阪市LGBTリーディングカンパニー」の認証を受け、今回もこれらの活動が認められ、受賞につながった。

 「PRIDE指標2020」は、LGBTが働きやすい職場づくりを目指す任意団体「work with Pride」が、日本で初めて性的マイノリティに関する企業・団体の取り組みの評価指標を策定した。

 指標は、Policy(行動宣言)、Representation(当事者コミュニティ)、Inspiration(啓発活動)、Development(人事制度・プログラム)、Engagement/Empowerment(社会貢献・渉外活動)の5つで構成されている。

12月19日からジップエアがホノルル線就航 新たな航空スタイル確立を

2020年11月24日(火) 配信

2019年4月の会見で機体デザインなどを説明する西田社長

 日本航空(JAL)100%出資の中長距離国際線LCC(格安航空会社)、 ZIP AIR Tokyo(ジップエア、西田真吾社長)は12月19日(土)から、東京(成田)―ホノルル線を就航する。2021年1月末までは、規定日の計16往復を運航。ウィズコロナ、アフターコロナの新たな航空スタイル確立を目指す。

2021年1月31日までの運航スケジュール

 同社はZIP AIRケアキット(マスク・除菌シート)の提供など、新型コロナウイルス感染症拡大防止に向けた従来の取り組みに加え、提携パートナーの協力によるPCR検査や帰国時の車バレーサービス(出庫代行)が含まれるオプションパッケージを用意する。乗客が安心して渡航できるよう努めていくという。

 機内では、自身のスマートフォンやタブレットから機内Wi-Fiに接続することで、さまざまな機内サービスが受けられる。機内セルフオーダーシステムを導入し、端末から軽食や機内販売品などを注文。決済は完全キャッシュレスとなり、コンタクトレスの機内サービスを実現する。

 ホノルル線の運賃はビジネスクラス同等の「Zip Full-Flat Value」とエコノミークラス同等の「Standard Value」の2種類。2歳未満の乳幼児も料金が発生するが、6歳以下の子供専用料金「U6 Standard Value」を設定し、一律片道7000円の定額とした。

ZIP AIRが設定する運賃

 

いぶすき秀水園 個室食事処オープン 8部屋を朝食専用に活用

2020年11月23日(月) 配信

個室で提供する朝食

 鹿児島県・指宿温泉の「いぶすき秀水園」(湯通堂温社長)は、個室食事処「四季彩」を11月中旬にオープンした。和室宴会場を改装し、8部屋の個室食事処にして、増加する個人・グループ客向けの朝食会場として設置した。

 木のぬくもりを感じる食事処は、テーブルの中央にアクリル板を設置して、会話の飛沫を防止。食事中にマスクを仕舞うマスクケースも用意するなど、コロナ感染防止対策を徹底する。

 部屋はたっぷりの広さを確保した4人定員で、「四季彩」全体の収容は32人となる。会場奥には配膳室を設け、階下の調理場から上がってきた料理をすぐに盛り付け、温かい食事、冷たい料理を最善の状態でお客に提供する。

個室食事処「四季彩」

 また、朝食専門のスタッフ5人を配置して、朝食時間の午前7時―8時30分の料理提供とサービスの質を高める。

 同館では従来、夕朝食の個室会場10室と部屋食、宴会場などで対応していたが、四季彩オープンで部屋係の労働時間短縮の効果も期待する。

「観光人文学への遡航(5)」 定言命法と仮言命法

2020年11月23日(月) 配信

 

 我が家の近くにカウンターだけのカレー店がある。人気店だが、先客もさくっと食べて立ち去るため入れ替わりが早いので、待っていてもすぐ順番がくる。そんなカレー店に久々に行ってみたら、Go Toイートキャンペーンに登録したらしく、席についてからGo Toの「予約」をとってもいいとの貼り紙がされていた。どう見ても、予約をして行く店ではないし、予約したところで、少ないカウンター席をどうやってオペレーションするかを考えたら、予約なんか取らずに回転を早くした方がいいに決まっている。きっと客側からの要望に抗し切れなかったのだろう。

 
 美味いカレーを食べたいからその店を選ぶのではなく、ポイント目当てにその店に行くという行動をよりにもよって国が推奨するということに何も感じないということは、自由を剥奪されることに対しても無頓着であるということだ。これは大袈裟でもなんでもない。Go Toの「成功」で、何か目眩しの条件をつけることで、人の自由を奪い、黙らせることができるということが証明されてしまった。

 
 カントの考える真の自由とは、「自律的に行動すること」である。自律的とは、自分以外のものが下した決定に従って行動するのではなく、善意志に基づいて自分で定めた法則に従って行動するということである。

 
 善意志という概念は、稲盛和夫が京セラ、KDDI、日本航空でそれぞれ語ったフィロソフィにおいて、分かりやすい表現がなされている。稲盛は人生の成功の方程式を「人生・仕事の結果=考え方×熱意×能力」と表した。さらに、能力と熱意はそれぞれ0点から100点まである一方、考え方はマイナス100点からプラス100点まである。すなわち、悪い考え方をした場合、能力や熱意の点数が高かったら、それが一転マイナスとなる。善に基づくものでなければ、いくら頑張っても、いや頑張ったら頑張っただけ、マイナスの結果となる。

 
 カントは有用性や利便性といった理由で行為することにまったく価値を見出していない。そうすることが正しいから行為するといった「義務の動機」に価値を置いた。義務という言葉が、「やらされている」感覚を想起させるが、本当の義務とは、人として無条件に当然やるべきことを示す。この無条件に行為すべきことを定言命法と言い、何らかの条件があったときに行為に至ることを仮言命法と言う。褒められるから、自分が気持ちいいから、利得があるから、ポイントがつくから行為する等々、世の中は仮言命法にあふれている。

 
 カントは、仮言命法であふれる世の中になると、結局自分の利福を優先する行為ばかりとなり、道徳的な社会から離れていくと説いた。現在まさにそれが普通の感覚になりつつあることに大いなる危惧を抱く。

 

コラムニスト紹介 

島川 崇 氏

神奈川大学国際日本学部・教授 島川 崇 氏

1970年愛媛県松山市生まれ。国際基督教大学卒。日本航空株式会社、財団法人松下政経塾、ロンドンメトロポリタン大学院MBA(Tourism & Hospitality)修了。韓国観光公社ソウル本社日本部客員研究員、株式会社日本総合研究所、東北福祉大学総合マネジメント学部、東洋大学国際観光学部国際観光学科長・教授を経て、神奈川大学国際日本学部教授。日本国際観光学会会長。教員の傍ら、PHP総合研究所リサーチフェロー、藤沢市観光アドバイザー等を歴任。東京工業大学大学院情報理工学研究科博士後期課程満期退学。

 

〈観光最前線〉新たな生活様式での野球観戦

2020年11月22日(日) 配信

横浜スタジアム

 先日、横浜スタジアム(神奈川県横浜市)とZOZOマリンスタジアム(千葉県千葉市)、楽天生命パーク宮城(宮城県仙台市)でプロ野球の試合を観戦した。

 各球場では、コロナ対策の観点から声援や応援歌が禁止され、昨年までとは違う雰囲気が広がっていた。

 6月19日に開幕した今年のプロ野球は、サッカーのJリーグと共に業界の先陣を切って7月中旬から制限付きで観客を入れた試合を実施した。横浜DeNAベイスターズは10月30日―11月1日の3日間、県や複数の企業と協力した実証実験として上限を引き上げ、2万人以上を動員した。球場内におけるクラスターの発生は報告されていない。

 11月21日からは日本シリーズが始まる。異例のシーズンだったが無事に完走するまであと少しだ。

【野田 雄】

 

新しいホテルサービスのカタチ 「人と接する機会」見極めを (メズム東京・生沼総支配人に聞く)

2020年11月22日(日) 配信

生沼久総支配人

  東京・竹芝に4月27日、「メズム東京、オートグラフ コレクション」が開業した。全客室にデジタルピアノを導入するなど「五感で魅了する体験の提供」に注力。ホテルエントランスや16階エレベーターホールに、ホテルオリジナルのフレグランスを漂わせ、宿泊客をもてなす。「今の東京のカッコよさと躍動感を発信するホテルにする」と語る生沼久総支配人に、ホテルが提供する価値観や自身の経験に基づき導き出した新しいホテルサービスのカタチを聞いた。  

                 ◇

 「メズム東京、オートグラフ コレクション」は、私のこだわりをすべて詰め込んだホテルです。哲学は、「五感を魅了するサービスやコンテンツを提供し、インスピレーションを与え、人々の人生を豊かにするホテル」です。このため、ホテル内には、ゲストの五感を魅了し、思わぬ出会いや新たな発見となるような仕掛けをたくさん用意しています。

 その1つが、全客室にデジタルピアノを入れたことです。ピアノに触れたことのないゲストの方も親しめるよう、内蔵されている60曲にあわせて一緒に弾ける練習機能や、オーディオ再生機能が搭載されています。また、客室内のタブレットには楽譜や初心者用弾き方動画を用意するなど、普段からピアノを弾く方にも、触ったことがない方にも満足いただける工夫も施しています。

客室

 メズム東京は、東日本旅客鉄道(JR東日本)グループの日本ホテルとマリオット・インターナショナルが初めて提携したラグジュアリーホテルですが、既存の概念とは真逆だと思っています。

 一般的なラグジュアリーホテルと言えば、「静か」、「上質」、「癒される」といったイメージですが、メズム東京は反対に「ここに来たら元気がもらえる、明日への活力がわく」ホテルになっています。実際、外国の富裕層の方々はとてもエネルギッシュなので、「こんなラグジュアリーホテルもいいよね」と、新しい価値観を発信できたらと思います。加えて、マリオットの「オートグラフ コレクションホテル」の価値観である「唯一無二」を体現したことで、これまでのJR系列ホテルのターゲットとは違う新しい客層を取り込む布石になると確信しています。

ロビー

 こだわりをすべて詰め込んだメズム東京では、最新技術や遊び心のあるアイテムの導入など、「新しい取り組みの第一歩」を歩み続けたいと思っています。

 ホテル業界やそれに関連するリネンの会社などでは、人材不足が大きな問題になっています。この問題を解決するためには、ゲストの目に触れない場所にも積極的に最新技術を導入することが有効だと思っています。

 メズムでは、全自動でリネンのカートを各階に運搬するロボットを既に導入しています。

 一方で、新型コロナウイルス感染症の流行、拡大によって人と接する機会が減り、デジタルトランスフォーメーションが進むなかだからこそ、ホテルは本当に必要な「人と接する機会」を見極め、大切にしなければなりません。

 サービス業界で最近、「マルチタスク」という言葉が出てくるようになりました。マルチタスク自体は、製造現場で長年行われてきていますが、両者で目的が違うように感じています。

 製造業がマルチタスクを導入したのは、よりよい製品を作るため。不良品を減らすために工程を見直し、不要在庫もなくすためです。

 一方サービス産業では、生産性を上げるためにマルチタスクを導入しようとしています。

 確かに生産性の向上もマルチタスクの導入による成果ですが、大前提は、よりよいサービスを行うための手段であることだと思います。1人の人が忙しいときにフレキシブルに動ければ、少ない人数でエリアをカバーできるようになります。同時に、働く人もスキルや引き出しが増えることにつながります。ゲスト目線でも、リクエストした内容が宿泊やレストランのことなど他部門にわたる内容であっても、頼んだ人が対応してくれるので、安心感につながります。こうした思いをカタチにしたのが、「スターサービス」です。

 スターサービスは、宿泊部門と料飲部門の垣根をなくし1つのサービスチームとして、ゲストからいただく要望に対してワンストップで柔軟に対応することにより、唯一無二の最高のホスピタリティの提供を目指しています。

 「組織の在り方から変えることで、働く人が自由度をもって、ゲストに寄り添うサービスを提供し、北極星のような存在となる」という強い思いを、「スターサービス」の「スター」に込めています。

 現在はスタッフの教育期間中ですが、2年後には、同サービスを完成させ、全エリアでプロフェッショナルなサービスクオリティを提供します。

 そのために私は、働く人の「環境づくり」と「マインドチェンジ」ができる環境を整えます。

 今後このホテルは、コンテンツを入れていく段階に入ります。まず初めに手掛けるのは、世界の大都市に比べて日本がうまくできていない「水辺の活用」です。ホテルが建つ「ウォーターズ竹芝」には、定期船が就航しているので、水辺の楽しみ方や、船上から見る景色の面白さを発信していきたいです。

生沼 久(おいぬま・ひさし)総支配人 略歴 

 1994年ウェスティンホテル東京の開業メンバーとしてキャリアをスタートし、宿泊部や経理部購買課のマネジメントを経験。2017年に日本初進出のライフスタイルブランド・モクシー東京錦糸町で総支配人に着任し、ホテル全体の運営責任者に就任。18年6月、日本ホテル入社、同年10月プロジェクト推進部竹芝開業準備室室長、19年6月に日本ホテル執行役員就任。

「ZOOM JAPON(ズーム・ジャポン)(11月号)」

2020年11月21日(土)配信

http://zoomjapon.info

〈巻頭言〉

クロード編集長

 1968年にノーベル文学賞を受賞した川端康成に並び、かねてから欧米でも高い評価を受けている「金閣寺」の作者、三島由紀夫が自らの命を絶ったのは、国内を揺るがした学生運動が終盤を迎え、日本の高度経済成長を象徴する大阪万博が開催された1970年のことでした。本誌11月号では、同作家の没後50年を機に、衝撃的な最期を迎えた文豪の晩年を、その思想や複雑な人物像を追いながら専門家たちと振り返りました。グルメページでは「変わりゆく横丁」をテーマに、往年の横丁の魅力から、新たな「グルメスポット」としてオープンした虎ノ門横丁まで幅広く言及。旅ページは、前号でホップの生産地としてリポートした遠野(岩手県)を別の角度から取材。かっぱ伝説など柳田國男が手掛けた日本民俗学の原点とも言われる「遠野物語」が伝える世界をのぞいてみました。

(編集長 クロード・ルブラン)

特集 三島由紀夫という男がいた

三島由紀夫という男がいた

 世界の作家、三島由紀夫が自衛隊決起を即した後に割腹自殺をはかってから50年。今回の特集では、彼が自死に至るまでの最期の10年を追った。安保闘争が繰り広げられた激動の時代、すでにスター作家として知られ、メディアを飾っていた三島に転換期が訪れた。1960年、三島は毎日新聞に政治的発言を寄稿し、翌年発表した小説「憂国」で自身の思想を決定づけた。その後、ナショナリズムに傾倒する三島は、多様なジャンルの作品を手掛けるも、本格的文学作品の執筆が減り、民兵組織「楯の会」の活動を本格化。一般的にその文学性と思想性に関連性がないと言われるが、評論家ダミアン・フラナガン氏は1つのつながりがみえるという。三島の関心は美とアイデンティティの追求から思想へと変わっているようだが、最終的に彼は政治的思想の中にみる美の可能性を掘り下げていたのではないだろうか、と。そして同氏は、彼は近代化する日本の傷を見事なまでに表現した類稀な作家であるという。■ドキュメンタリー映画「三島由紀夫vs東大全共闘 50年目の真実」の豊島圭介監督インタビュー。■作家 平野啓一郎氏に聞く三島由紀夫の人物像とその根っこにあるもの。

〈ZOOM・JAPON 編集部発 最新レポート〉BANDAIオフィシャルショップ

パリ11区のBANDAI HOBBY STOREの外観

 2019年に40周年を迎えた機動戦士ガンダム。アニメ作品だけに限らず、登場するロボットや戦艦のプラモデル「ガンプラ」もファンが多いことは有名です。
フランスでは、今年7月、ついにパリ市内にガンプラを主体としたホビーショップがオープン。「ガンオタ」たちの人気を集めています。

 10月には、パリのビジネス街に立つショッピングモール内に、期間限定でワンピースやドラゴンボールなどプラモデルやフィギュアのポップアップショプが登場しました。店内ではハズレなしの有料くじ引きも販売。このショップでしか手に入らない高価なグッズをゲットするチャンスもあったとか。BANDAI社は、今後もこういった期間限定ショップを展開していく意欲はあるが、実際には今回の結果次第とのこと。残念ながら、ショップの営業最終日を待たずに、フランスはコロナの影響により2度目のロックダウンに突入してしまいました。今年はジャパンエキスポなど日本のポップカルチャー関連のイベントが中止になってしまうケースが多いなか、アニメのオフィシャルショップオープンはファンにはうれしいニュースだっただけに残念。クリスマス前の常設店舗の再開に期待が寄せられます。

 

フランスの日本専門情報誌「ZOOM JAPON」への問い合わせ=電話:03(3834)2718〈旬刊旅行新聞 編集部〉