otomo、サービスを全面再開 ガイド業務支援アプリも

2022年10月12日(水)配信

10月11日から全面的にサービスを再開させた

 プライベートツアーサービスを展開するotomo(平塚雄輝代表、東京都千代田区)は10月11日(火)、コロナ禍で長期休止していたサービスを全面的に再開させ、ツアーの新規予約とガイドの新規登録の受付を始めた。外国人観光客に対する入国制限の大幅緩和を受けての再開。今後の本格的なインバウンド旅行市場の回復に向け、旅行者の体験向上と域内観光消費の拡大への貢献を目指す。

 さらに、サービス休止期間中に行っていた独自のガイドツアープラットフォーム開発も完了し、同社サービスに登録するガイド向けの業務支援アプリ「otomo guide App」をリリースした。ガイドツアーへの応募や予約確認、事前準備、ツアー当日の集合・解散連絡などを、1つのアプリで行えるようになり、ガイドの負荷軽減が期待される。

ガイド向けの業務支援アプリイメージ

 同社ガイドツアーは、ガイドが1グループ6人までの旅行者を専属で案内するプライベートツアーが大きな特徴。3密を避けながら安心安全に、それぞれの地域で充実した旅行を楽しめる。全国25都道府県でサービスを展開し、ツアーのラインナップは350種類以上をそろえ、インバウンドを中心とした多くの海外個人旅行(FIT)が利用している。

JTB、「懐かしの時刻表」をブロマイドとカレンダーで

2022年10月11日(火)配信

2023年単月カレンダー(3月)

 JTBパブリッシング(盛崎宏行社長)は10月12日(水)、全国のコンビニエンスストアで購入できる「eプリントサービス」で、JTB時刻表の関連コンテンツを売り出す。

 JTB時刻表は、1925年に発刊された鉄道省運輸局編纂の「汽車時間表」に始まり、何度か書名を変えながら今年で創刊97年目を迎える。鉄道開業150年の今年、これまでの表紙の中からJTB時刻表編集部が厳選した画像を「eプリントサービス」で販売することにした。第1弾のテーマを「懐かしの時刻表」と題し、1930~78年までの印象的な12点の画像を採用した。

 商品名は「懐かしの時刻」、ブロマイドと2023年版カレンダーの2種類を用意。ブロマイドが全12種類、カレンダーが単月パターン全12種類、2カ月パターン全6種類を販売する。

 定価は、ブロマイドが写真紙のL判200円と2L判300円、カレンダーが写真紙のL判300円と2L判350円、光沢紙A4判350円。

全旅連青年部、労務ツールセミナー開く 使用事例紹介し、生産性向上へ

2022年10月11日(火) 配信

部長の星永重氏

 全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会青年部(星永重部長)はこのほど、オンラインセミナー「労務系デジタルツールの活用を始めませんか」を開いた。さまざまなデジタルツールがリリースされるなか、会員の使用事例を紹介し、会員各社の生産性向上に役立ててもらう考えだ。

 星部長は冒頭のあいさつで、観光を日本の基幹産業とする目標のために、労務系デジタルツールによる宿泊業界のさらなる活性化の必要性を語った。

 はじめに、会員施設などに向けた求人サイト「旅館・ホテルでおしごと.net」を運営するHRソリューションズ取締役の金子正一氏が登壇した。

金子正一氏

 金子氏は2022年7月の求人件数の増加率について、全産業の平均が、前年同月比12.8%増に対し、宿泊業・飲食サービス業が同47.7%増だったことを紹介。「人材の獲得は、ほかの産業よりも厳しい状態」と話した。

 一方、全求職者のうち採用された人の割合を示す就職率はコロナ前から約4%低下した。理由として、コロナで働くことに不安を感じている人がいることや、雇用側が求める人材像と応募者の乖離の可能性を指摘し、「働く人の立場に立ち、仕事や職場などの魅力を伝えてほしい」と語った。

 そのうえで、求人情報を載せる媒体は「多くの情報誌が休刊になり、紙の時代は終わった」とし、グーグルやヤフーなどの検索エンジンでも表示される「旅館・ホテルでおしごと.net」への掲載を勧めた。

 次に労務委員会委員長の菅原真太郎氏(大阪府・ホテルプラザオーサカ取締役)が登壇し、従業員同市の連絡でLINE WORKSを活用しているようすを伝えた。

労務委員会委員長の菅原真太郎氏

 同ホテルでは昨年5月から、LINE WORKSを導入。これまで、約140人の従業員に紙またはメールで連絡事項を知らせていたが、見ることができなかった従業員がおり、クレームも発生していたという。

 これを受け、通知機能や未読を管理できるシステムとして導入を決めた。読んでいない人には閲覧を促すメッセージを送信するなどし、伝達漏れを防いでいる。

 「LINEを使う人は多いので、全従業員にスムーズに導入できた」と魅力を語った。

 また、福利厚生として神奈川県・箱根にある7施設が、地域で働くスタッフに専用の宿泊プランを販売している事例を紹介。各宿は販売したい日付を決めることができるため、閑散期の集客につなげることができるほか、従業員は他館の魅力も知ることができるとした。

 予約はスタッフ向けのチラシにあるQRコードを読み取ることで、表示されるページで行う。

 労務担当副部長の桑島敏彦氏(北海道・北こぶし知床ホテル&リゾート専務取締役)は勤怠管理システム「ジョブカン」について説明した。

労務担当副部長の桑島敏彦氏

 同システムは出退勤と給与計算、有休休暇の残り日数を把握することができる。以前の給与計算はスタッフが1日中、エクセルのみで専念していた。昨年8月には、同システムを導入。「遅早退などを反映した給与計算が手間なく速くなった」と話した。

 ログイン中のタイムアウトが頻繁に発生するため、アプリのリリースなどの改善点も挙げた。

 労務委員の小川尊也氏(神奈川県・一の湯社長)は、マニュアル作成について講演した。

労務委員の小川尊也氏

 同社は作業を誰でもできる状態にして生産性を向上させるほか、品質も安定させるため、マニュアルを作成。これまでは紙で発行していたが、更新内容を業務に反映する時間が掛かり、膨大な印刷費が掛かることが課題だった。

 そこで、マニュアル作成・共有システム「ティーチミー・ビズ」を採用。導入後は例外行動の発生による改善点などを随時、書き込んでいる。「品質も安定し、顧客満足度が向上した」と語った。

 紙の廃止では、作成費用は約9割削減できた。動画マニュアルも制作することで、マンツーマンの指導時間を約20%削った。

 このほか、同社では客室に置く館内インフォメーションをQRコードに変え、宿泊客のスマートフォンで館内のサービスなどの情報を得るよう促している。

 「内容が変わった際に、全客室分の印刷物を刷り、部屋を訪れ、ファイルに入れる作業の時間を短縮するため」と理由を説明した。

 最後に桑島副部長は「宿のデジタル化は必須になった。有益な情報を与えられるよう努めていきたい」とまとめた。

22年度上半期倒産状況 宿泊業は15%増の46件(東京商工リサーチ)

2022年10月11日(火) 配信 

東京商工リサーチはこのほど、2022年度上半期の宿泊業倒産状況を発表した

 東京商工リサーチはこのほど、2022年度(4~9月)の宿泊業倒産状況をまとめた。調査によると、倒産件数は前年同期比15.0%増の46件となった。20年同期からの反動で減少に転じた前年同期を上回ったが、緩やかな増加に留まった。負債総額は同89.1%減の125億3900万円で、3年ぶりに前年同期を下回った。

 コロナ関連倒産は32件で、全体の7割となった。

 負債額別では、負債5億円以上10億円未満が5件(前年同期は4件)、負債1億円以上5億円未満が27件(同14件)となり、中堅規模の倒産が増加した。

 原因別では、販売不振が35件。次いで、既往のシワ寄せが6件、他社倒産の余波が3件となった。

 地区別では、関東9件が最多となり、次いで九州7件、中部・北陸・近畿が各6件、東北と中国が各4件、北海道と四国が各2件と続いた。

 おもな倒産事例では、富山県富山市で「喜代多旅館」を運営していたリベルダージが8月29日(月)に富山地裁から破産開始決定を受けた。

 同旅館は19年にフルリノベーション工事を行い、バリアフリー機能のある洋室やフレンチレストランを旅館施設に併設するなど、ユニークな試みで知られていた施設だったが、20年以降は新型コロナ感染拡大の影響を受けた。経営環境が急激に悪化し、リノベーションへの資金投下も負担となり、回復の兆しが見えず事業を停止した。負債総額は約3億7000万円。

 22年度上半期の旅行業の倒産状況は、前年同期比43.8%減の9件で、負債総額は51.1%減の11億6100万円となった。どちらも2年ぶりに前年同期を下回り、9件すべてが新型コロナ関連倒産となった。

 同社は、「3月下旬にまん延防止等重点措置が解除されたことで、国内観光の機運が高まった。10月11日(火)には全国旅行支援が始まり、さらなる遠出観光への需要増が期待される」と分析した。

 一方で、9月には政府系金融機関の「実質無利子・無担保融資」の受付が終了し、10月には雇用調整助成金や休業支援金も規模を縮小する。資金繰り支援から本業支援に移行しつつあるなかで、同社は、「業績の回復に時間を要する企業による手元資金が枯渇する息切れ倒産が懸念される」と事態を厳しく見ている。

ジョルダン乗換案内アプリ、「下呂温泉モード」を公開 観光庁DX実証事業を岐阜県下呂市で実施中

2022年10月11日(火)配信

「下呂温泉モード」(アプリのTOP画面イメージ)

 ジョルダンが提供する乗換案内アプリで10月1日(土)、「下呂温泉モード」が公開された。
 
 地域活性化事業に取り組む「下呂未来創造プロジェクト」(岐阜県・下呂温泉観光協会を実施主体としたコンソーシアム)へジョルダンが連携企業として加わり、取り組むもの。観光庁の「DXの推進による観光・地域経済活性化実証事業」を活用し、12月31日(土)までの期間に提供する。事業を通じて、宿泊や移動などの動向を調査、分析する。

 「下呂温泉モード」では、下呂温泉街を起点とする周辺エリアの二次交通やイベント情報が網羅され、イベントカレンダーから経路検索ができるのが特徴。観光やイベント、体験コンテンツなど、あらゆる情報とサービスをルート案内と併せて一元化し、SPOT to SPOT検索による地域内の回遊性と利便性の向上を目指す。

 乗換案内アプリに「下呂温泉モード」を実装する方法はコチラ(外部サイトへのリンクです)。

東武トップツアーズ、上勝町と連携協定 DX促進とにぎわい創出で

2022年10月11日(月)配信

写真左から3番目が花本町長、4番目が百木田社長

 東武トップツアーズ(百木田康二社長、東京都墨田区)は10月4日(火)、徳島県・上勝町(花本靖町長)と包括連携協定を結んだ。上勝町のより一層のDX(デジタルトランスフォーメーション)化の促進と、視察研修先としての商品開発やプロモーションの実施などを通じて、同町のさらなるにぎわい創出をはかる。

 上勝町は、徳島県中部の山間地域にあり、町内から出る焼却・埋め立てごみをゼロにするというゼロ・ウェイスト宣言を2003年に日本で初めて宣言。ごみ自体を出さない社会を目指した取り組みを町全体で推進している。このほか、レストランや料亭の料理を彩る「つまもの」栽培に着目した「葉っぱビジネス」などの先進的な取り組みで、内外から非常に高い関心を寄せられている。

 東武トップツアーズは、同町の取り組みを紹介するスタディツアーを19年に企画・実施。昨年は経済産業省のスマートシティ事業や農林水産省の農泊事業を行うなど、連携した取り組みを進めてきた。このような経緯により、今回協定を締結するに至った。

 同社は今後も、自治体や地域と連携しながら地域の持つ魅力を発掘し、新たな観光コンテンツとして磨き上げに注力。旅を通じ、地域の暮らしと豊かな社会に貢献する取り組みを進める方針だ。

お風呂のクチコミ評価が高い温泉宿ランキング 福島・野地温泉ホテルが1位に(楽天トラベル)

2022年10月11日(火) 配信 

野地温泉ホテル 露天風呂・鬼面の湯

 楽天グループが運営する楽天トラベル(三木谷浩史社長)はこのほど、「お風呂のクチコミ評価が高い温泉宿ランキング」を発表した。集計の結果、福島県・野地温泉「野地温泉ホテル」が口コミ点数5点満点のうち、4.91点を獲得し1位となった。

 調査は2021年9月1日(水)~22年8月31日(水)の期間中、全国の登録宿泊施設の中から温泉付きの宿を対象に、国内旅行の宿泊者から寄せられた風呂部門の口コミの点数を算出した。同点の場合は、口コミ件数が多い順に集計した。

 次いで、2位は秋田県・玉川温泉「効能溢れる癒しの湯治宿 玉川温泉」(4.90点)、3位は群馬県・伊香保温泉「伊香保温泉 ホテル木暮」(4.88点)、4位は群馬県・万座温泉「万座温泉 日進舘」(4.86点)、5位は兵庫県・有馬温泉「兵衛向陽閣」(4.81点)──がランクインした。

 1位の「野地温泉ホテル」では、東北地方を代表する美湯の1つとも言われる「野地温泉」を源泉掛け流し100%で楽しむことができる。趣が異なる6つの湯殿を備え、露天風呂「鬼面の湯」では夜間のライトアップに加えて、季節ごとに紅葉や雪見、新緑などの風景が広がる。

 口コミでは、施設内の湯巡りを楽しむ声や、景色、秘湯感を評価する投稿が寄せられた。

「めぐる」「たべる」「つかる」 3つの視点で地域の宝探し 黄金色の稲穂が揺れる田園風景のなか、秋のウォーキング(岩手県・鶯宿温泉)

2022年10月11日(火) 配信

鶯宿温泉
 岩手県・鶯宿温泉で9月18日、2回目のONSEN・ガストロノミーイベントが行われた。

 舞台となった御所地区は開湯約450余年の歴史を誇る鶯宿温泉や雫石の伝説の残る男助山、女助山など豊富な観光資源を有するエリア。参加者は、黄金色の稲穂が揺れる田園風景のなか、秋のウォーキングを楽しんだ。

 今回のコースは御所小学校をスタートし、鶯宿温泉街に至る約10㌔。

 スタート直後、さっそく稲穂が揺れる田舎道が現れ、里山の秋を実感しながら歩くこと約1・8㌔、御所公民館が1カ所目のガストロノミーポイント。ここではしずく庵の手打ちそばと雫石重っこ料理が地酒南部美人ひと雫「あぜ道」や雫石トマトジュースとともにふるまわれた。

 重っこ料理は、農村行事などの際に、山菜料理などを重箱に詰め互いに持ち寄り、皆でまわして食べる同町の伝統文化。今回は、生で食べられるカボチャのコリンキーやミニトマトなどを使用したピクルスで楽しんだ。

 公民館を出発後、男助山、女助山が見えるポイントで絶景を楽しみ、2カ所目のガストロノミーポイント、旧南畑小学校へ。ここでは銀河のしずく塩にぎり、南部かしわ汁、菜種油のから揚げをしずくの甘酒やベアレン醸造所の缶ビールと一緒に楽しむ。

雫石の食でおもてなし
高校生が伝統芸能を披露

 

 ステージでは、雫石高等学校郷土芸能委員会に所属する高校生が「南部よしゃれ」や「駒木野さんさ」などを披露し、参加者に郷土の文化を紹介してくれた。

 3つ目のガストロノミーポイント「ホテル 森の風鶯宿」では、さくら亭のホルモン焼きと数々の賞に輝いている雫石牛の焼き肉を、ベアレン醸造所の生ビールとともに堪能。

雫石牛の焼き肉とホルモン

 食後は、ホテル併設の「フラワー&ガーデン森の風」へ。同施設は、世界的なランドスケープアーティストである石原和幸氏が手掛けた、日本最大級の本格的ガーデニング公園。色とりどりの花々と針葉樹の織り成す景観が、疲れを忘れさせてくれた。

「フラワー&ガーデン森の風」

 ガーデンを出発後は、「逢滝」へ。幾層もの岩場を流れ落ちる水が生み出す景観は一見の価値があり、紅葉の時期はとくに美しいという。

逢滝を楽しむ参加者

 滝を後にしばらく進むと鶯宿の温泉街に到着、そしてゴールのうぐいす湯の里公園では岩手各地に伝わる伝統的な餅菓子きりせんしょ(餅工房むらかみ)などのスイーツがお出迎え。

 参加者は「雫石高校の学生さんによる伝統芸能の披露が印象に残った」、「おいしい食があるこのまちに住めてうれしいと改めて感じられた」、「雫石の魅力が詰まったイベントで、楽しかった」など感想を語った。

□イベント担当者の声

 鶯宿は450年の歴史ある温泉地ですが、年々観光客数が減少しています。

 2020年度に鶯宿温泉の活性化をはかり、御所地区の住民でイベントを企画、今回2回目の開催となります。

 コースは、「色づく稲穂」と「岩手山や男助山、女助山に囲まれたロケーション」を見ていただきたいと選定しました。

 今回のイベントは、学校を始め、ホテルなど鶯宿温泉各施設の協力、また住民スタッフの力で成功させることができました。

 今後の計画は未定ですが、他地区でも開催できればと考えます。

【雫石町観光商工課 都市交流推進室 主任 谷藤崇】

 

九州観光機構 九州旅CP展開 5千円クーポン贈呈

2022年10月10日(月) 配信

ポイントとクーポンはスマホで配布する

 九州観光機構(唐池恒二会長)は9月16日から、「九州・たびたびの旅キャンペーン」をスタートした。

 このキャンペーンでは、九州7県の対象宿泊施設に1泊するごとに1㌽を贈呈し、3㌽で5千円の電子クーポンをプレゼントする。いずれもスマートフォンで配布する。

 参加宿泊施設は現在289施設。電子クーポンが使用できる施設は宿泊施設以外に土産店や飲食、旅行会社、タクシー、レンタカー、鉄道、観光施設など合わせて466施設となる。

 16日からキャンペーンに参加するための専用アプリがインストールでき、来年3月31日のチェックインまでポイントが贈呈される。電子クーポン発行の予定枚数である1万枚に達した時点で、終了する。

 電子クーポンの使用期限は、来年8月31日まで。

〈出番です〉安来市地域おこし協力隊 田中 鷹広さん「Iターンで安来移住 農業・観光の情報発信」 

2022年10月10日(月) 配信

安来市地域おこし協力隊 田中 鷹広さん

 大阪府寝屋川市からIターンし、今年4月に着任した。現在39歳。妻と2人の子供がいる。安来を初めて訪れたのは7年前。妻の両親が元々、安来の出身という縁があったが、「地元の人がどこか取っ付きにくい感じがして、あまり良い印象を持たなかった」という。

 大阪で生活するなか、子供たちの教育や生活環境を考えたとき、移住という選択肢が浮かんだ。「移住するなら安来」という妻の断固たる意志に押され、1年ほど前に安来にやって来た。

 Iターン当初は農家を志し、イチゴ農家で働いたが連日のハードワークに加え、12―5月のピーク時はほぼ休みなし。そして何より、農業に多大な資金が必要なことを痛感した。

 現在は地域おこし協力隊員として、安来市内の農業と観光の情報発信をしている。

 田中さんは「安来の魅力はやはり自然。海、山、川が近い。さらに温泉もある。子供はこっちに来てからたまごアレルギーがなくなった。水と空気が違う」と話し、「初めて訪れたときの印象はひっくり返った。安来の人はみんな温かい」と笑顔。

 改修した古民家で暮らす。キッチンの窓から見える田園風景に心癒され、子供たちは元気よく走り回る。近くに借りた10㌃の畑では野菜を育てる。今年は玉ねぎを2千個植えた。

 自分の両親も安来に引っ越しさせた。サーファーだった父親が都会で衰えていくことに寂しさを覚え、両親を説得。日本海の波でもう一花咲かせてほしいと願う息子の想いに応え、父親はサーフボードを磨き来シーズンに備えているという。