各地の周年事業とも連動 JTB「日本の旬 瀬戸内・山陰」CP展開へ

2018年2月20日(火) 配信

各地の魅力を凝縮(写真は大山と天の川(イメージ)©鳥取県)

キャッチフレーズは「ふたつの海と、心地のいい旅舞台。“海、山、街、食、歴史、ここで過ごす時間が五つ星”」――。JTBは4月1日(日)~9月30日(日)まで、岡山・広島・山口・鳥取・島根の5県を舞台とする「日本の旬 瀬戸内・山陰」キャンペーンを展開。自分らしく背伸びしない“心地いい時間”を過ごせる旅を提案する。

 「日本の旬」は、「日本の魅力再発見」をテーマに1998 年から実施しているJTB グループの国内旅行活性化に向けた全社キャンペーン。半期毎に対象方面を選定し、各地の「旬」の魅力を掘り起こし、「旅」を通じより多くの人に現地の魅力を感じてもらい、地域活性化に貢献するのが狙い。今年は大山開山1300年(鳥取県)や松平不昧(ふまい)公没後200年(島根県)、瀬戸大橋開通30年(岡山県)、平清盛公生誕900年(広島県)、明治維新150年(山口県)と、各県がさまざまな節目を迎える。同社では、各地の取り組みとも連動しながら、地域ならではの過ごし方を提案する。

主な取り組み

【4~5月】鳥取県:ガイドと巡る三徳山投入堂特別参拝(個人)

 三徳山と麓の三朝温泉は日本遺産にも登録されている。日本一危険な国宝と言われる三徳山投入堂へ境内ガイド、登山ガイド同行で安全性を確保しつつ投入堂を参拝を実施。

【4~6月】山口県:「御酒印帖」で酒蔵めぐり(個人)
 日本酒の出荷量が10年連続で増え続けている山口県の酒蔵をめぐり、ご朱印感覚でスタンプを集めるスタンプラリーを実施。

【5月】広島県:広島夜神楽鑑賞(個人・団体)
 広島県、島根県には神楽の文化が各地に残されている。今回は被爆建造物でもある旧日本銀行広島支店跡で夜神楽を楽しむ。

【6月】岡山県:開通30周年、瀬戸大橋「塔頂」ツアー(個人・団体)

 2018年に開通30周年を迎える瀬戸大橋の6つの橋のうち、北備讃瀬戸大橋の主塔の塔頂部分に案内。通常は登ることのできない高さ175㍍からの眺望は、まさに絶景だ。

【7~8月】島根県:国宝松江城夜間貸切プラン(個人)
 2018年は、松江の茶文化をつくりあげた茶人大名の松平不昧公没200年。不昧公の居城であった国宝松江城をJTBのお客様限定で夜間貸切。天守閣からの夜景と、天守閣前の特別茶席での抹茶が楽しめる。

主な商品ラインアップ

個人旅行「エースJTB」

1.瀬戸内・山陰および周辺エリアを周遊し、より長く滞在

ご当地スイーツグランプリ:

 中国5県の自慢のスイーツを食べ比べ(2県以上周遊の利用者が対象)

周遊クーポン:

 入場観光や食事などをセットしたお得な周遊クーポン。「広島・島根満喫クーポン」「鳥取・島根満喫クーポン」「岡山・鳥取満喫クーポン」「しまなみ海道周遊クーポン」「山口歴史周遊クーポン」の5種類

瀬戸内・山陰地区の伝統文化、自然体験

金魚ちょうちん作り体験:

 山口県東部の白壁の街・柳井の街並を彩る、金魚のカタチをした提灯作り体験

大山・ひるぜん・山陰まるごと体験クーポン:

 自然豊かな大山でダウンヒルサイクリングや森の体験など自然を満喫できるクーポン

団体旅行「AユニットJTB」

チームビルディング

チャンバラ合戦-戦IKUSA-巌流島決闘勝負:

 宮本武蔵と佐々木小次郎の決戦の地、巌流島でチームに分かれてチャンバラ合戦をしたり、合戦の合間の軍議でチーム力を高めるチームビルディング

日本の旬オリジナル企画

背負い式ビールサーバーレンタル:

 宴会の際に貸し出し。宴会でのコミュニケーションアップにつながります。

団体で地域ならではの体験

サントリー奥大山ぶなの森天然水工場:

大山の豊かな森の恵を体感できる渓流散策と工場見学

MICE素材

おりづるタワー貸切パーティープラン:

昨年オープンした平和公園、原爆ドームを至近距離で上から見ることのできるおりづるタワーでパーティー

訪日外国人向け「サンライズツアー」

サンライズツアー

 訪日外国人が多い広島県以外の4県の商品も拡充し、英語と繁体字で専用のパンフレットを作成。CNNで発表された「日本の最も美しい場所31選」に選ばれた山口県「元乃隅稲成神社」を訪れる広島発着バスプランや、山陰の郷土料理や広島お好み焼き、岡山ばら寿司、山口ふぐ料理などに舌鼓を打てる食事プラン、宮島のお寺で習字などが体験できる日本文化体験プラン、旧日本銀行広島支店での夜神楽等鑑賞プランなど、ラインアップの充実をはかった。

国内旅行予約サイト「るるぶトラベル」

 「るるぶトラベルならでは」のお得なオリジナル特典付きプランを各県で販売。

茨城かすみがうら市で「フルーツ春フェス」3月31日開催!

2018年2月20日(火) 配信

茨城県の「かすみがうら未来づくりカンパニー」は、果樹狩りとサイクリングを掛け合わせたイベント「かすみがうらライドクエスト フルーツ春フェス」を3月31日(土)に開く。

「フルーツ春フェス」開催の背景

 地域の魅力を自転車で探訪する体験型サイクリングプログラム「かすみがうらライドクエスト」が、昨年9月のイベント「フルーツ秋フェス」で好評を得たことから、甘いいちごが実るこの季節に、1日限りの特別企画「フルーツ春フェス」として開催する。

ライドクエストとは

 自転車に乗る「ライド」と冒険「クエスト」から連想されるように、地域を冒険するように、自分のペースでさまざまなスポットを巡り、いろいろな出会いを楽しめるサイクリングプログラムだ。

いちご狩り体験
ラマとの触れ合い体験

「フルーツ春フェス」の特徴

 今回開催する「フルーツ春フェス」では、サイクリングしながら観光果樹園でいちご狩りを楽しみ、旬の味覚満載の昼食を味わい、ラマとの触れ合いや霞ヶ浦が一望できる富士見塚古墳公園を見学して自然を感じていただけるのが特徴。ゴール時には参加賞や蓮根豚の串焼きを配布する。

 みんなで楽しくお腹を満たしながら自転車でカロリーが消費でき、「旬のフルーツ」×「サイクリング」で心も体もリフレッシュするスペシャルコースだ。コースはロングコース(約50キロ)、ショートコース(約25キロ)があり、本格的なサイクリストだけでなく、初心者やカップル、家族連れにも楽しめる。レンタサイクルも用意しているので、気軽に参加できる。

レンタサイクルも用意

イベント概要

開催日時:2018年3月31日(土)

コース(※集合場所が異なるので注意)

 (1) ロングコース約50㌔ 開始 午前9時00分(受付8時~9時)~終了 午後6時予定

   集合:かすみがうら市交流センター→農産物直売所(惣菜試食)→いちご狩り→四万騎農園(昼食)→ピソ天神(ラマとの触れ合い)→富士見塚古墳→交流センター着

 (2) ショートコース約25㌔ 開始午前10時00分(受付9時~10時)~終了午後6時予定

   集合:かすみがうら市役所千代田庁舎→いちご狩り→四万騎農園(昼食)→ピソ天神(ラマとの触れ合い)→富士見塚古墳→交流センター着

料金(保険料込み):

 大人:8500円、子供(小学生):6500円

 果樹狩り、昼食(エイドステーションでの軽食、惣菜)、イベント保険

 ※レンタサイクルはプラス1500円。

申し込み、問い合わせ:

電話または「かすみがうらライドクエスト」webサイトのサイクリングプログラムページより申し込みできる。

TEL:029-840-9010

グランピング施設が「レインドロップテント」を導入(滋賀県)

2018年2月20日(火) 配信

日本では珍しい「レインドロップテント」を新たに導入した

滋賀県のグランピング施設「GLAMP ELEMENT」(グランエレメント)に新しい客室が開設される。「レインドロップテント」など、最新式の設備を導入する。

 グランエレメントは、昨年6月にオープンしたグランピングに特化したキャンプ場。ウッドキャビンやロータスベルテントを擁するほか、カヌー体験も可能とあって人気を博している。

 ラグジュアリーなテントや食事など、とくに若い世代から支持を集めているグランピング。日本オートキャンプ協会のアンケート調査によると20~30歳代のキャンパーの約3割が、グランピングに興味があると回答している。(オートキャンプ白書2017)

 新たに追加される客室は、レインドロップテントとヴィラの2種。

 レインドロップテント内にはシャワーとトイレを設置。雨天時は食事をすることもできる。定員4人のため、ファミリーや少人数での宿泊にも対応可能だ。ヴィラは定員6人の大型客室。2階建てでジャグジーバスとテラス(2階)を用意した。グランピングの醍醐味を存分に味わえるつくりとなっている。予約詳細などは下記公式ホームページまで。

GLAMP ELEMENT(グランエレメント) | オンライン予約
http://www.glamp-element.jp/reserve/

VR産業に熱視線、経産省らがセミナー開く

2018年2月20日(火) 配信 

VRコンテンツセミナーを開催、多くの参加者が集まった

 

VR(仮想現実)などの先進技術を使ったコンテンツ産業に熱視線が集まっている。訪日外国人のコンテンツ関連消費額は右肩上がりで、12年に76億円だったのに対し、16年には529億円まで増加。453億円増の6・92倍と驚異的な伸びを示している。政府もVR関連施策や予算組みに着手し始めた。

 経済産業省が主催し、文化庁と共同で2月20日(火)に「VRコンテンツセミナー」を開いた。経産省を始め、関係省庁らのVR関連政策や予算を説明。コンテンツ産業の現状のほか、今後の方向性を語った。

 国内コンテンツ市場規模は09年から12兆円でほぼ横ばい。海外は14年に67・7兆円だったが、20年までに84・9兆円と、市場の沃野は広がりをみせる。同省が行う過去5年間のコンテンツ海外展開支援事業(J-LOP事業)は、海外における認知度向上、日本ブーム創出に一定程度成功。同事業は13年に開始したが、これまで採択件数は5623件で、海外売上増加額は1916億円と拡大している。

 ただ課題はある。中長期的な課題としては競争の激化と投資不足だ。グローバル化に伴い、国内消費者も海外コンテンツへのアクセスは容易化。需要の取りこぼしが懸念材料となる。クリエーター育成や視野拡大を始めとしたコンテンツ産業全体への投資も不足し、人材を育てる素地が整っていない。

 「今後の方向性としては稼ぐ力の向上とコンテンツ産業の競争力強化を念頭に置く。VR/ARなどの新技術の取り組みを積極的に支援していく」。経産省商務情報政策局コンテンツ産業課山田仁課長は、コンテンツ産業の底上げを支援すると強調した。このほか文化庁、農林水産省、観光庁らも異口同音に「VR関連事業などを促進していく」と話した。各省庁は今後、VR関連予算を組み込み、VR関連施策を加速。VRなどの最新技術を使ったコンテンツ作りをサポートし、新たなにぎわいを創出していく考えだ。

〈旬刊旅行新聞2月21日号コラム〉“シンプル”ゆえの心地よさ 宿とお客が過剰に求め過ぎない関係

2018年2月20日(火) 配信

清潔でシンプルな客室に好感を抱く(イメージ)

 2月中旬に熊本県の上天草市を取材で訪れた。私は同市がすすめる「複合型スポーツ&ヘルスツーリズム事業」の一環で、上天草総合病院で人間ドックを受けたり、タラソテラピーを体験したりと、次号で詳しく紹介するが、生まれて初めての体験が続いた。

 2泊3日の日程の中で、上天草市と長崎県南島原市の間に浮かぶ有明海の小島「湯島」に定期船で向かった。湯島は、「談合島」の異名を持つ。これは「島原・天草の乱」で天草と島原両軍がしばしば会議を開いたために、そう呼ばれている。さらに、この島は猫の島としての顔も持っている。定期船が港に着くと、猫たちが出迎えに来てくれる。長閑な島で人懐っこくて、愛らしい猫たちと触れ合い、癒された時間だった。

 上天草市で2泊した宿は、16畳分の和室だった。トイレと、広縁も備えられていた。やわらかい障子で仕切られた和室はテーブルとエアコン、テレビ以外は何もない、潔いまでにシンプルな部屋だった。畳一面の空間は柔道場のようだった。部屋の中央には白いシーツに包まれた布団が敷かれていた。料理は一転して豪華で、新鮮な海の幸が振る舞われた。

 近年は海外の富裕層などをターゲットにしたラグジュアリー旅館が各地に増えてきた。1泊1人4―5万円するカテゴリーだ。ベッドや布団、アメニティーも高級素材をそろえている。あらゆる局面で一分の隙も見せぬほど「極上の快適さ」を提供する姿勢だ。お客からの要望があれば標準装備としてすべて取り入れていく。必然的に価格は少しずつ上がっていく。

 気がかりなのは、現代の多くの日本人が求める旅のスタイルとの心理的な乖離の広がりである。とくに若い世代では、旅先で利用する宿泊施設は旅館ではなく、ホテルでもなく、小グループで安く泊まれる民泊施設という傾向も耳にする。

 一部の富裕層と違い、多くの旅行者は、旅の予算が限られている。「美味しいものが食べたい」「記憶に残る体験がしたい」など多くの願いの中から、幾つかの贅沢を諦め、妥協していく。この過程で「ある程度の快適性は残しつつも、宿泊費をできるだけ安くしたい」「一点豪華主義でいい」というムードは強くなっている気がする。

 私の持つスマートフォンにはさまざまな機能が付いているが使わない機能も多い。このムダな部分が、常時微かな不快感を残している。自分が求めるものよりも過剰なサービスを提供される不快感も存在するのだ。クルマも家電製品も〝あれば便利〟と想定される機能を標準装備として付け足していく傾向がある。しかし、それは「私個人」ではなく、総体としての〝あれば便利〟である。そして、過剰装備と価格上昇が極限に達すると、今度はその反動として必要最低限なものを備えた、シンプルで手ごろな価格の製品やサービスを求めたくなる。

 宿も記念日などでなかったら、清潔に清掃された客室に、エアコンが効き、真っ白いシーツに包まれた布団が置かれた簡素な空間が、妙に居心地よく感じるときがある。必要最低限の装備であっても、良心的な価格と誠意を持ってサービスを提供すれば、ほぼ問題ない。

 宿とお客が互いを過剰に求め過ぎない関係がいい。その心地よさを再認識した上天草市の旅だった。

(編集長・増田 剛)

〈観光最前線〉瀬波温泉の新ご当地キャラ

2018年2月20日(火) 配信

瀬波温泉の新観光PRキャラクター「せなみん」

 新潟県村上市・瀬波温泉の大観荘せなみの湯で2月5日、瀬波温泉の新しい観光PRキャラクターのお披露目会を開催。一般公募311通の中から新キャラクターの名前を「せなみん」に決定した。

 胴体は瀬波温泉の一番の売りである真っ赤な夕陽が海に沈むようすと同時に、日本海を温泉に見立てて湯に浸かりまったりしている両方のイメージを表現した。性別不明、生誕地は瀬波温泉地内の某井戸、誕生日は4月9日(瀬波温泉の開湯記念日)、年齢は秘密、血液型は塩化ナトリウム物泉。趣味は夕陽鑑賞と温泉入浴、夢はNHK紅白歌合戦出場で親友はサケリン(今のところ片思い)だ。

 これから県内外を問わず各種イベントに参加していくため、もしも瀬波温泉をPRする姿を見掛けたらぜひ応援してほしい。

【長谷川 貴人】

農山漁村の活性化を 日本ファームステイ協会が設立

2018年2月20日(火) 配信

(左から4人目)平井会長、(右隣り)上山代表理事

 国内の農山漁村の所得向上や地域活性化を目指すため、2月7日に「一般社団法人日本ファームステイ協会」が設立した。平井伸治鳥取県知事が会長を務める。代表理事は百戦錬磨の上山康博社長が務めるほか、農協観光(藤本隆明社長)らが設立発起人に名を連ねている。協会は関係者の調整や品質保証制度の構築などを手掛けていく。

 政府は農林水産省を中心に「農泊」を推進しており、2020年までに農山漁村滞在型旅行をビジネスとして実施できる地域「農泊地域」を500地域創出する目標を掲げている。現在、実践地域として活動しているのは200地域。一方、さまざまな課題も浮き彫りになっており、それらに一元的に応える支援機能が求められてきた。こうしたことを受け、今回日本ファームステイ協会が設立。地域の課題や政府、利用者のニーズへの対応を行っていく。

 同日、東京都内で開いた会見で平井会長は「最近、増えているインバウンドのお客様は美しい日本に出会うのを楽しみにしている。海外では都会の喧騒は珍しくない。海外のお客様が日本に描くイメージや求めるものは富士山などの自然。東京や大阪以外の地方で農泊の推進をするべきだ」と主張した。

 一方、「農泊のキャパシティはなかなか増えない」と課題も指摘。「体験交流型の民泊に光を当てることで、従来の旅館やホテル業の皆さんとは違う需要を開拓できるのではないか」と述べた。

 上山代表理事は農泊を推進するうえでの課題として、グリーンツーリズムなど教育旅行を中心に受け入れてきた経緯があり、現在ニーズが高まっている個人旅行や訪日旅行者の受入体制が整っていないことを言及。「宿泊施設として、衛生面など一定の品質を担保することが中長期的には非常に重要になる」と語った。また、これまではホームステイ型の農泊が主だったが、ヨーロッパ型の家主不在の別荘タイプの物件を増やすため、古民家活用なども必要になるとした。

 協会の活動としては(1)全国の実践地域の課題解決に向けたコンサルタントや人材マッチングなどの支援機能(2)利用者に安全・安心・満足を提供する「品質保証」の仕組み構築(3)利用者の多様なニーズに応える情報発信・プロモーション機能――の3つを柱に取り組む。まずは5月に予定するシンポジウムをキックオフイベントとして、会員の顔合わせを行う。

 会員は農泊実践者を正会員とし、このほか賛助会員や自治体会員などを設ける。英語名は「Japan Countryside Stay Association」。

 役員は次の各氏。

 【会長】平井伸治鳥取県知事【副会長】皆川芳嗣農林中金総合研究所理事長【代表理事】上山康博百戦錬磨社長【理事】岡崎浩巳地方公務員共済組合連合会理事長▽藤本隆明農協観光社長▽清水清男全国農協観光協会代表理事専務▽小松俊樹時事通信社常務取締役【顧問】久保成人日本観光振興協会理事長▽松山良一日本政府観光局理事長

【霧島PR課の取り組み紹介】オウンドメディアの創出 自発的な情報発信をサポート

2018年2月20日(火) 配信

 費用負担を低減し、スピード感あるPRを実行するために。霧島市(鹿児島県)では、〝キリシマイスター〟認定制度や、〝キリシマイチャンネル〟など、住民による自発的な情報発信のサポートに力を入れている。主体はあくまで住民の一人ひとり。市はそのために必要なメディアづくりに専念するべきという考え方だ。アナログとデジタルを問わず、オウンドメディアの創出に力を入れる霧島市商工観光部霧島PR課の取り組みに着目した。
【謝 谷楓】

美坂雅俊氏
(霧島市・霧島PR課、シティプロモーション担当)

 「もちろん、PR動画は地域を知ってもらうためには大切なツールです。一方、どうしても再生回数を求めてしまう傾向が強いことも否定できません。拡散も大切ですが、再生回数が多いというだけで観光客や移住者が増えるとは限りません。面白いといって、消費されて終わりだけではいけないはずです」と、霧島市(鹿児島県)で長年広報に携わってきた美坂雅俊氏は力を込める。広報に従事してきた美坂氏にとって、情報発信の大切さは重々承知のこと。それでも「面白いといって、消費されて終わりだけではいけない」と語るのには理由がある。

 「市の広報誌〝広報きりしま〟の制作に長年携わってきました。読者からのお便りを掲載するスペースがあるのですが、市民の投稿が、子育てや認知症患者を支援する仕組みが整うきっかけとなったのです。広報誌は、住民の思いを実現する役割をも担うメディアなのだと気が付き、その成果をもっと広げるためにはどうすればよいのかと考えるに至りました。広報誌やPR動画といったオウンドメディアの役割を、情報拡散に限定することはとてももったいないことです」。

 地域の良さを再発見し、もっと好きになってもらう。霧島市のファンを作るためのツールとして、オウンドメディアを活用することが必要だという。

 「市では2016年から〝キリシマイスター〟認定制度を設けました。自慢したくなる施設や場所、人など、自分のお気に入りを称賛し、〝マイスター〟に認定するというとてもシンプルな仕組みとなっています。市内のお店の店主らが〝マイスター〟として認定されることもあります。市では名前や施設名を記入できるキリシマイスター認定カードを発行し、思いをカタチにする手伝いをしています」。

 認定カードは切手を貼ればハガキにもなる。〝マイスター〟に認定された施設や人は、受け取ったカードを掲示することで活動や商いの周知を期待できる。

 「認定カードはキッカケづくりの道具に過ぎません。ここのお店が美味しいや、この施設の取り組みがユニークというように、良い面を市民自らに発信してもらうことが真の目的なのです。フェイスブックやツイッター、インスタグラムといった、SNS(交流サイト)上でも行ってほしいと考えています。関わる一人ひとりが共感し、感動できる地域へと霧島市を磨き上げることが重要です。閲覧やクリック数といった情報の拡散を求めるだけでは得られない成果だと捉えています」。

 〝キリシマイスター〟は市民を対象とした取り組みだが、自慢したいという思いや対象があれば観光客でも構わない。霧島市で働き頑張る人や店舗、施設を褒め、発信したいという人が多くなればなるほど、市の魅力は高まるからだ。

 「究極の目標は、行政がPR施策を行わなくても良くなることです。約12万人の市民一人ひとりが、霧島市の良さを発信するのだという意識を持てば、効果は絶大です。PRに掛かる予算の削減や、実行までのスピードアップも期待できます。個々人による口コミ情報は信頼性が高いとも言われていますから、観光客や移住者誘致にも力を発揮していくと考えています」。

 霧島市を訪れる観光客数は年間約700万人。近年増加傾向が続く。昨年12月には「日当山西郷どん村」をオープンした。NHK大河ドラマ「西郷どん」を通じた来訪者の取り込みにも積極的だ。

 「大河ドラマや2020年に開催予定の国民体育大会(国体)による来訪者をターゲットとしたリピーターづくりに活用してほしいですね。昨年12月には、〝ソーシャル日記システム(Social Nikki System)〟をスタートさせました。認定カードを日記帳に変えた取り組みで、日記帳は全部で1600冊(1冊79頁)。市の人口分だけ頁を用意しました。誰もが参加ができる交換日記とすることで、市民同士のコミュニケーションと〝キリシマイスター〟認定制度の浸透をはかります」。

 今年2月には、インスタグラム上で〝キリシマイチャンネル〟を立ち上げ、市民参加型の情報発信を実現した。カードや日記帳、SNSというようにアナログからデジタルまで、さまざまな媒体を取り入れることで、幅広い年齢層の参加を促す。

 「次世代を担う子供たちが、市の魅力を発見・発信できる取り組みにも注力しています。昨年9月には、市の小学生が熊本市内で霧島市をPRするチラシを配布しました。総合学習や修学旅行の一環でしたが、自身らの興味関心に基づき調べた市の情報をまとめ配布することで、市外からの関心と地元愛双方を高められたと考えています。近隣地域からの移住や、成人後のUターン増にもつながる取り組みです。地道ですが、一歩一歩着実に進めて行きます」。

 

維新博第二幕、4月開幕 龍馬記念館リニューアル(高知県)

2018年2月20日(火) 配信

観光説明会のようす

 高知県は1月30日、大阪市内のホテルで旅行会社や報道関係者を集め、観光説明会を開いた。

 同県では歴史観光をテーマにした博覧会「志国高知幕末維新博」を昨年3月から開催中。今年4月21日から来年3月31日まで(予定)を、「第二幕」と位置づけ、県内25会場を設定し、県内周遊をPRする。

 第二幕の目玉となるのが、高知市桂浜に建つ「高知県立坂本龍馬記念館」。リニューアルのため休館していたが第二幕開幕日となる4月21日にグランドオープンする。

 リニューアルでは新館増築と既存館(本館)改修を実施。本館と渡り廊下でつながる新館は地上2階・地下1階の鉄筋コンクリート造りで、延べ床面積は1947平方㍍。坂本龍馬の生涯をたどる常設展示をはじめ、さまざまなテーマで龍馬や幕末維新期に迫る企画展を開催する。

 常設展示室では、龍馬の誕生から江戸での修行時代、脱藩、勝海舟との出会い、薩長同盟、そして大政奉還にいたるまでを貴重な実物資料とともに時系列に沿って紹介する。

 説明会で同県観光振興部の吉村大副部長は、4月20日まで実施中の第一幕の状況について、維新博23会場合計で140万人超(1月25日時点)と、目標を大幅に上回る入り込みがあると報告。「維新博終了後も、魅力ある観光地づくりを進めていく」と強調した。

 説明会終了後は旅行会社と高知県側関係者との個別商談会も行われた。

九州とタイ 観光促進へ タイ観光庁と趣意書締結(九観機構)

2018年2月20日(火) 配信

タイ国政府観光庁と九州観光推進機構が観光促進で調印

 九州とタイ国の観光分野における相互交流の拡大をはかるため、九州観光推進機構とタイ国政府観光庁が観光促進に関する趣意書を締結。2月8日に同機構の石原進会長とタイ国政府観光庁のユッタサック・スパソーン総裁が、タイ国のソムキット・チャトゥシーピタック副首相立ち合いのもと、福岡市内のホテルで署名を交わした。

 同国によると、2017年に日本からタイを訪れた観光客は、過去最高の154万人を記録し、このうち10%が九州からという。

 ユッタサック総裁は「九州市場を重要視して、本気でアプローチしていきたい」と話し、「九州の経済力、人口規模、観光トレンドなど考えたうえで、もう一度福岡事務所を開設したい」と表明。開設時期は、8月1日からスタッフを常駐させ、業務を開始する予定を明らかにした。

 九州観光推進機構の石原会長は「昨年の日本のインバウンドは2869万人で、九州には約500万人が訪れた」と説明。「九州とタイ国が連携して観光交流が一層盛んになるようにしたい」と意欲を示した。

 調印式後には、タイ国政府観光庁の新しいマーケティング・コンセプト「Open to the New Shades」を発表。日本から20―30代女性の市場拡大など、その狙いを説明した。