加賀屋がインターン受け入れ 金沢大と立教大の学生11人 お見送り体験など

2022年3月5日(土) 配信

学生たちがお見送り体験

 加賀屋(石川県・和倉温泉)は2月21日(月)から24日(木)まで、金沢大学と立教大学の学生11人を観光分野の人材育成へ、インターン生を受け入れた。

 学生たちは、加賀屋グループの「加賀屋」「あえの風」「虹と海」の館内見学や、宿泊客のお見送り体験、おもてなしの心など学んだ。

講演する長谷川明子中女将

 期間中、真崎昌久氏(JTBトラベル&ホテルカレッジ)による「観光について・旅行について」の講演や、長谷川明子中女将による「加賀屋の流儀、日本の文化」の講義、小田禎彦相談役による「観光業・宿泊業の役割、地域創生」の講演が行われた。

 

 参加した尾上朋也さん(金沢大学地域創造学類 観光学・文化継承コース)は、「おもてなしに対する情熱が素晴らしい。学んだことを、社会に出て役立てていきたい」と話した。

 田所遼介さん(加賀屋総務人事課)は「ホテル旅館の働くようすを見てもらうことで、宿泊業界を知るきっかけになってもらえるとうれしい」と語る。

 両校は昨年から人材育成のための協定を結んでおり、加賀屋グループでは今後もインターンシップを実施していく予定だ。

津田令子の「味のある街」「求肥入り一元最中」――一元屋(東京都千代田区)

2022年3月5日(土) 配信

一元屋の「求肥入り一元最中」199円(税込)▽東京都千代田区麹町1-6-6▽☎03(3261)9127。

 

 半蔵門駅のすぐ上にある半蔵門ミュージアムとイギリス大使館の裏手にある、国内外の貴重なカメラや写真を展示している日本カメラ博物館を訪ねた帰りに、1955(昭和30)年創業の「一元屋」さんに立ち寄った。

 

 特製きんつばはとくに有名で、雑誌の特集記事などでお馴染みの「おもたせ」ランキングでも常に上位に名を連ねる老舗の名店だ。

 

 場所柄、ビジネス需要が多く、最も混雑するのは午前中の比較的早い時間だ。売り切れることもあるというが、予約も受けてくれるのでありがたい。

 

 これからの季節は、千鳥ヶ淵の花見のお客が買いに求めに来るので早めに予約を入れた方がよさそうだ。

 

 今回は、特製きんつばではなく「求肥入り一元最中」を紹介しよう。個包装から取り出し口に近づけると皮が香ばしく香る。香ばしさが前面に出るようにもち米を焼いて皮を作っているという。

 

 皮とあんを一体にするために作ってすぐには売らず、あんのみつが皮の裏に徐々にしみこんで馴染んでから店頭に出すという拘りようだ。あんは北海道の十勝産の大納言を使った塩気を効かせた粒あんで粒の食感も十分楽しめる。

 

 1つ食べると、とにかく芳しい皮の香りが漂いもう1つ食べてしまうのだ。甘みを抑えた看板商品の特製きんつばとは異なり、パンチのある甘さが特徴である。

 

 もちもち感あふれる求肥と、パリッとした皮の対比が実にマッチする。大きさは、やや小ぶりの一辺5㌢くらいの正方形サイズ。個包装されているので皮と皮がくっつくこともない。おもたせや進物に最適の一品なのだ。

 

 バラ売りもしてくれるので、疲れたときには1個買って、そのまま店の近くにある、縁結びの梅で知られる平河天満宮に参拝したのちに境内で食べさせていただくことも……。

 

 桜の季節も近いので、この機会に東京一評判の高いきんつば屋さんの求肥最中で「花より団子」というのも乙ではないか。

 

(トラベルキャスター)

 

津田 令子 氏

 社団法人日本観光協会旅番組室長を経てフリーの旅行ジャーナリストに。全国約3000カ所を旅する経験から、旅の楽しさを伝えるトラベルキャスターとしてテレビ・ラジオなどに出演する。観光大使や市町村などのアドバイザー、カルチャースクールの講師も務める。NPO法人ふるさとオンリーワンのまち理事長。著書多数。

「街のデッサン(251)」 一匹の狼のごとく生きる、散逸行動とブラウン運動

2022年3月5日(土) 配信

ドッグランの100匹の犬と、1匹の狼

 なかなか外出が自由にできない。講演やフォーラムの打ち合わせがたくさんあるのに、関係者にも会えず延期になる。自閉と孤立が求められる社会が続いている。そんなときに、私たちはどう日常の行動を生み出したらよいのだろうか。

 私が思い当たるのは、荒野に生きる(現代都市も荒野そのものかもしれない)一匹の狼である。群れを作って集団で暮らす狼たちもいるが、とくに若い狼たちは1匹で生きていくことを強いられる。彼らは普段、原野に生息する弱小な動物や他の強者の食い残しを命の糧にしているが、ときに自分より強く大きな動物を襲うときには孤立した狼でも連携して群れを作る。

 群れには2つのパターンがあるようだ。渡り鳥のように大きな集団を作って自然の摂理に沿った動態で移動していく本能モデル。私たちは海の中を回遊する魚群にも同じように、何か強力な中央制御が働いている意志を持つ集合のように感じる。この群れの動態の秘密を解いたのは、カルフォルニアでコンピューターグラフィックスを専門にしていたグレイグ・レイノルズであった。彼はアニメの中の動物たちに自然の動きを与えるために、カラスの集団をつぶさに研究した。個の動きを見ていると中央制御の意図は読み取れず、個々の鳥たちが3つの規則に従順に従っていると捉えた。①各々が数多くいる方に飛んでいく②各々が飛ぶ速さを合わせようとする③個体が近付きすぎたら離れようとする――実にシンプルな本能だ。

 一方で狼たちが獲物を捕るために明確な意思を持って連携するワーク(仕事)モデル。このモデルを、哲学者・ジル・ドゥルーズは「群れの数量の乏しさ、散逸状態、可変的な距離、固定的全体化や階層性の不可能性、多様な方向のブラウン運動」と分析する。鍵は散逸構造にある。群れの中に活動状態の非平衡が生まれるが、その非平衡性が社会エネルギー創出の“場”となる。すなわち、彼ら孤独な狼たちでも、エネルギーを群生的に社会還流させているのだ。

 これからは、DX(デジタル・トランスフォーメンション)で人々が出会わずに仕事を遂行できる一方、リアルな狼の群れのようにスモールビジネスやマニュファクトリーを自己組織化させ、地域にいくつもの生成変化(類的増殖)を生み出していくメタファーを読み取れる。商店街のカフェなどを舞台に、狼たちのブラウン運動がアジールを生みだす。そして、その意思を持つノマドたちが世界中を遊牧し、旅を重ねて「知」の散逸行動を定常化していくのではないか。

コラムニスト紹介

望月 照彦 氏

エッセイスト 望月 照彦 氏

若き時代、童話創作とコピーライターで糊口を凌ぎ、ベンチャー企業を複数起業した。その数奇な経験を評価され、先達・中村秀一郎先生に多摩大学教授に推薦される。現在、鎌倉極楽寺に、人類の未来を俯瞰する『構想博物館』を創設し運営する。人間と社会を見据える旅を重ね『旅と構想』など複数著す。

 

NAA 22年1月旅客数は28%増に 新規就航などで改善

2022年3月4日(金) 配信

田村明比古社長

 成田国際空港(NAA、田村明比古社長)が2月24日(木)に発表した2022年1月の航空発着回数は、前年同月比31%増の1万251回、航空旅客数は同128%増の61万7512人と大幅に増えた。航空会社バンブーエアウェイズ(ベトナム)とアエロモンゴリア航空(モンゴル)が新規に就航したことが主な要因。

 このうち、国際線は、旅客便発着回数が同28%増の4646回。旅客数は78%増の23万7432人。

 国内線の発着回数は同122%増の2784回。旅客数は同58%増の36万7458人だった。田村社長は「昨年1月は国内で緊急事態宣言が発出されていたため、発着と旅客数は少なかった」と理由を述べた。

 国際線貨物便は発着回数が同2%増の4120回と22カ月連続で最高値を更新した。旅客便の運休で貨物スペースが減少し、臨時便が運航されたことが大きな原因。とくに、医薬品やプラスチックの原料などが好調だった。

「減少に転じる」 オミクロン拡大で

 同日に発表した2月1(火)~19日(土)までの国際線発着回数は、前年同期比34%増の2763回。

 出国旅客数は同47%増の2万4000人。19年同期比では96%減と、19年1月同期比95%減から、微減となった。

 また、同日における国内線の発着回数が19年同期比32%減と、19年1月同期の22%減から減ったことに触れ、「オミクロン株の拡大で国際線と国内線の旅客数は減少に転じた」(田村社長)と説明した。

 なお、国内線発着回数は前年同期比351%増だった。

 3月1日(火)から、一定の条件のもとで、隔離場所が自宅に変更されたことや、入国直後に公共交通機関の利用が可能になるなど水際措置が緩和されたことについて、田村社長は「国際的な往来再開の第1歩だ。空港運用上、大きく前進する」と語った。

4月に3タミ拡張 T2に200㍍近づく

 同社は4月5日に、LCC(格安航空会社)が発着する第3を拡張する。17年度の取扱能力が年間750万人だったなか、利用者数が764万人と収容能力を超えていたことから、混雑緩和をはかるため、18年4月に増築を決めていた。

 これによって、自動チェックイン機が36台追加され、合計60台になり、自動手荷物預け機は24台追加され、全40が稼働する。

 さらに、第2~3ターミナル間の移動距離は約500㍍から約300㍍に短縮する。通路は2階部分に設けることで、車と歩行者を分けるほか、幅も拡大し、歩行性と視認性をより向上させる。

 今秋には車寄せを新設。今後の需要を踏まえ、国際線バスゲートと商業施設も設ける予定だ。

ANHA、行動規範を再確認 会員向けコンプラセミナーで

2022年3月4日(金)配信

2021年度通常総会であいさつする清水嗣能会長(2021年6月撮影)

 全日本ホテル連盟(ANHA、清水嗣能会長)は2月25日(金)、連盟会員を対象にしたコンプライアンスセミナーをオンラインで開いた。講師に企業倫理の専門家である麗澤大学国際学部国際学科教授の梅田徹氏を招き、連盟会員としての行動規範の再確認と構築に関する研修会が行われた。

 セミナー前半は、梅田氏がHIS子会社のGo Toトラベル事業に関わる給付金などの不正受給問題について、時系列順に整理したうえで論評を加えて説明した。さらにHISとGo Toトラベル事務局がある観光庁がそれぞれ公表した報告書を基に、両者の再発防止策とコンプライアンス順守の重要性を示した。

 セミナー後半では、全日本ホテル連盟及び業界全体に向けて、コンプライアンス体制の構築について語った。押さえるべきポイントについて、梅田氏は「風通しの良い企業文化を作り上げることが重要。行動規範は自分たちで策定することが望ましく、全体的に取り組めるようなテーマ(環境問題など)を募集し設定して取り組むことで、社員の意識・モチベーション向上につながる。とくにコンプライアンスの問題に限定せず、リスクの洗い出しをするのが極めて重要」と強調した。

 今回のセミナーを開いた清水会長は「業界全体の規範意識を啓蒙していこうと企画した。セミナーを通して規範意識を高め、正しく営業する者が正しく報われる社会を皆で実現することを切望してやまない」と述べた。

「人が活躍するツーリズム産業の価値共創」発刊 島川氏、矢嶋氏らが執筆「大切なのは、価値を共創すること」

2022年3月4日(金) 配信

 

 「人が活躍するツーリズム産業の価値共創」(成山堂書店)は、「ツーリズムに関わるすべての人が、それを喜びとし、価値をともに創発していける環境を作らなければ、この業界は確実に衰退する」との危機感を根底に書かれた書だ。

 「大切なのは、価値を共創すること」とし、ツーリズムに関わる皆が喜びを感じ、その果実の正当な分配を受けることができる環境の構築の必要性を訴える。

 島川崇氏(神奈川大学国際日本学部教授)、神田達哉氏(サービス連合情報総研業務執行理事兼事務局長)、青木昌城(ホスピタリティーコーチングサービス代表)、矢嶋敏朗氏(日本大学国際関係学部准教授)の4氏がそれぞれの専門分野で執筆し、これからの観光産業を担う学生たちにエールを送る。定価2500円(外税)。

ANTA、国内観光活性化フォーラム5月31日に延期 コロナの全国拡大で

2022年3月4日(金) 配信

会場は山梨県甲府市のYCC県民文化ホールで、変更はない

 全国旅行業協会(ANTA、二階俊博会長)は3月9日(火)に開催を予定していた「第16回国内観光活性化フォーラム」を5月31日(火)に延期する。

 新型コロナウイルスが全国的に拡大していることが理由。会場は山梨県甲府市のYCC県民文化ホールで、変更はない。

HIS、新社長に矢田氏 澤田氏は会長とCEO留任

2022年3月4日(金) 配信

矢田素史新社長。経営と執行の分離をより明確化し、落ち込んだ業績の回復をはかる

 エイチ・アイ・エス(HIS)は2月25日(金)に取締役会を開き、3月1日(火)付で取締役の矢田素史氏が代表取締役社長(COO)に昇格する人事を決めた。澤田秀雄社長は同日付で退任。兼務する代表取締役会長とグループ最高経営責任者(CEO)は留任した。

 同社は経営と執行の分離をより明確化することで、コロナ禍で落ち込んだ業績の回復とさらなる企業価値向上を目指す。

   ◇

 矢田 素史(やだ・もとし)氏 1961年生まれ。84年4月陸上自衛隊入隊。93年8月HIS入社。98年5月関東営業本部次長、2004年11月関西営業本部部長、05年10月九州産業交通顧問、同年11月九州産業交通代表取締役社長などを経て、21年1月取締役上席執行役員などを兼任。

「もてなし上手」~ホスピタリティによる創客~(134)フロアスタッフにできる美味しい料理の提供 気づき・機転・共有

2022年3月4日(金) 配信

 

 小さな子供連れの夫婦が食事に来たとき、イスの用意や周りのお客様との席位置を考えて案内するスタッフがいます。提供する水のコップや使うカトラリーなどに配慮する人もいるでしょう。

 お子様向けのメニューを丁寧に説明し、オーダーを厨房に伝えて出来上がった食事をスピーディにテーブルに運ぶ。そこには、日ごろの研修で身に付けた素晴らしい笑顔と身のこなしがあり、とても素敵なことです。さらにクレームになるようなミスがなければ、お客様も満足されるでしょう。

 しかし「次もここで」、あるいは「ここを誰かに紹介したい、紹介せずにはいられない」という気持ちにさせるには、何かが足りない。それは「感動」です。

 ただ単に食事に「感動」を求めるお客様がいるでしょうか。美味しい食事を安く、気持ち良く食べてもらえばまた来てもらえる、という考えの人もいるでしょう。

 しかし、それはお客様の気持ちに委ねただけで、偶然にまかせたビジネスです。私たちサービス業が目指すべき、本来の姿ではないと思います。サービス業の仕事とは、料理はもちろんですが、「人による接客」でリピーターを創造することです。

 当社が主催した「おもてなしセミナー」で、「あなたが感動したサービス」について、参加者から「小さな子供を連れて夫婦で行ったレストラン」での、スタッフの言葉に感動したという話がありました。

 そのスタッフはオーダーを取りに来て「ご注文のお食事はお出しするタイミングを、少しずらしましょうか」と言ったそうです。家族で外食するときは、いつも子供の食事を優先させ、それが一段落して自分たちが食事をするのが当たり前だったのです。

 そのために、美味しい料理も冷めてしまい、それも仕方がないと諦めていたようです。ところがスタッフからの思わぬ提案に驚き、感動されたというのです。

 そこにはスタッフの気づきと機転、それを厨房に伝える勇気と、それを面倒くさいと思わずに実行するシェフたちとのチームプレーの素晴らしさがあります。

 サービスを提供する人が、自分自身の体験からこうした行動を思いつくこともあるでしょう。

 その体験をスタッフ間でシェアできれば、ほかのスタッフも同様の行動ができるかもしれません。

 しかし、そうした体験がなくても、どのような行動を取ればシェフたちが創る料理をより美味しく食べてもらえるかに強い想いを持てば、感動を創り出すことができるのです。こういう店に笑顔があふれ、リピーターが増えるのです。

 

コラムニスト紹介

西川丈次氏

西川丈次(にしかわ・じょうじ)=8年間の旅行会社での勤務後、船井総合研究所に入社。観光ビジネスチームのリーダー・チーフ観光コンサルタントとして活躍。ホスピタリティをテーマとした講演、執筆、ブログ、メルマガは好評で多くのファンを持つ。20年間の観光コンサルタント業で養われた専門性と異業種の成功事例を融合させ、観光業界の新しい在り方とネットワークづくりを追求し、株式会社観光ビジネスコンサルタンツを起業。同社、代表取締役社長。

 

 

 

「観光革命」地球規模の構造的変化(244) 北京冬季五輪の光と影

2022年3月4日(金) 配信

 コロナ禍の中で北京冬季五輪が行われた。北京は2008年に夏季五輪を開催しており、夏季・冬季を開催した唯一の都市になった。北京冬季五輪には91の国・地域から約3千人の選手が参加した。

 コロナ禍の故に選手・関係者と一般市民が接触しないように厳格なバブル方式が徹底された。雪の少ない乾燥地帯での開催なので「100%人工雪」での開催であった。さらに米英などは人権問題を理由に政府代表を派遣しない「外交ボイコット」を行い、米中対立を反映する世界分断的な祭典になった。

 幸い日本の若人たちは実力を発揮し、冬季五輪で最多の18個のメダルを獲得し、さまざまな人間ドラマが展開された。スピードスケートの高木美帆選手とジャンプの小林陵侑選手、スノーボードの平野歩夢選手、カーリングのロコ・ソラーレなどの大活躍によって、コロナ禍の長期化で沈滞している日本に元気を与えてくれた。

 大会は閉幕したが、運営面ではルールの曖昧さや不公正な競技判定やドーピング問題などが噴出し、スキャンダラスなオリンピックという批判がなされた。また五輪では国家は本来脇役であるが、長期政権を画策する習近平国家主席は独裁権力を確立するための「政治ショー」として利用したと批判された。

 「人間の尊厳の保持に重きを置く平和な社会の推進のためにスポーツを役立てる」という五輪憲章の理念とは裏腹に商業主義に走る国際オリンピック委員会のバッハ会長への批判も高まっている。

 今大会のメダル最終獲得数の一覧表を見ると、アフリカと中南米、中近東、東南アジアなどの国々や地域は1つもメダルを獲得していない。雪がほとんど無い国々や地域とはいえ、冬季五輪は北の裕福な先進諸国のためのスポーツの祭典であることも事実だ。

 26年の冬季五輪はイタリアのミラノ・コルティナ・ダンペッツオで開催される予定で、70年ぶり2度目の開催になる。札幌市は30年に2度目の冬季五輪誘致を目指している。共産党独裁体制の中国とは異なり、札幌での2度目の五輪開催には市民の十分なる理解が必要不可欠になる。

 いつまでも五輪や万国博覧会などの問題だらけのビッグイベントに固執せずに、独自のユニークかつ「未来志向」の地域活性化策を案出すべきであろう。

石森秀三氏

北海道博物館長 石森 秀三 氏

1945年生まれ。北海道大学観光学高等研究センター特別招聘教授、北海道博物館長、北洋銀行地域産業支援部顧問。観光文明学、文化人類学専攻。政府の観光立国懇談会委員、アイヌ政策推進会議委員などを歴任。編著書に『観光の二〇世紀』『エコツーリズムを学ぶ人のために』『観光創造学へのチャレンジ』など。