「ZOOM JAPON(ズーム・ジャポン)(6月号)」

2023年6月24日(土)配信

https://zoomjapon.info

特集&主な内容

 先月号では徳川家康を取り上げましたが、今号の表紙は、旅行ページで紹介した、江戸時代の風情が残る千葉県の佐原の町並みです。特集では、創刊14年目を迎えた弊誌“ズーム・ジャポン”の先輩にあたる、フランス語で日本を扱ったメディアを取り上げました。始まりは、今から100年前に創刊された“Japon et Extreme-Orient(日本と極東)”という月刊誌で、政治や経済、社会、文芸の情報を提供していました。資金不足などで1年足らずで廃刊となりましたが、その後、1934年から40年までは“France-Japon”という月刊誌が発行されており、その研究をされている清泉女子大学の和田桂子教授からお話を伺いました。グルメページでは、コロナ禍やフードロス削減の動きをふまえた日本の最新の自動販売機事情を紹介しています。

〈フランスの様子〉フランスの夏は人手不足

「季節労働者を見つけるのは“地獄”」6月5日付けLe-Parisien紙。写真は南仏のレストランの立て看板“求む。夏の働き手。”

 日本でも外食産業や観光業界の人手不足の問題が出ているが、フランスでも状況は同様だ。◆仏政府も、季節労働者用に夏期休暇中の学生寮の開放など、15の緊急支援策を打ち出したが、5月末のことで、業界側からすれば遅すぎだという。◆フランスの場合、観光業界や外食産業での夏の人手不足の要因は、コロナ禍で転職した人たちが戻ってこない、労働環境や賃金面での慢性的な人手不足、正規の従業員も夏はバカンスをとる、等々。◆海岸沿いや山間地の避暑地やパリなどでは、バカンス期間中の季節労働者の争奪戦が始まっている。◆賃金を上げるのは当然で、労働条件についても、週休3日や、1日の勤務時間を短くしたり。住居の提供もほぼ必要不可欠になっており、住居を提供できると人手を確保できる確率が高いという。◆店舗や施設側も、営業時間を短縮したり、提供するメニューやサービスを簡略化せざるを得ないという。◆さらには、外食産業や観光業だけではなく、農産業などでも夏から秋にかけて人手不足が大いに懸念されている。

ズーム・ジャポン日本窓口 
樫尾 岳-氏

フランスの日本専門情報誌「ZOOM JAPON」への問い合わせ=電話:03(3834)2718〈旬刊旅行新聞 編集部〉

コンプラ遵守徹底と海旅回復に注力 JATA2023年度総会

2023年6月23日(金) 配信

左から蝦名邦晴新理事長、原副会長、髙橋会長、小谷野副会長、酒井副会長

 日本旅行業協会(JATA、髙橋広行会長、1113会員)は6月22日(木)、東京都内で2023年度総会を開いた。志村格理事長が退任し、新たに蝦名邦晴氏(元日本通運常務理事)が就任した。自治体からの委託業務などにおける不正問題が発生したことを受け、さらにコンプライアンス遵守を徹底する方針を示した。また、回復が遅れる海外旅行に対しては、「JATAの総力を挙げて海旅に取り組む」と意気込んだ。

 髙橋会長は冒頭、ワクチン接種業務や全国旅行支援の受託など、国や自治体からの受託事業での不正事案について、「JATAの信用を著しく失墜するようなコンプライアンス問題が複数発生した」と報告。

 観光庁からJATAに対し、総点検の指示があって調査を行ったところ、「会員の1割程度の会社が受託事業を取り扱い、現在のところさらなる不正事案の報告は寄せられていない」と話した。

 髙橋会長は、この数年でコンプライアンス問題が続いていることから、「誓約書の提出やコンプライアンス研修、セミナーの実施だけでは不十分だった。今後、観光庁の指導を受けながらさらに踏み込んだ対応策を検討し、実行していく」方針を示した。「コンプライアンスはすべてに優先すること。今一度、業界全体で認識を改め、信頼回復とコンプライアンスレベルの向上に取り組む必要がある」と力を込めた。

 来賓で登壇した観光庁の池光崇審議官は、同様にコンプライアンス問題について触れ、「いま一度業界として、あるいは事業者として、それぞれの法令遵守状況としっかり意識が根付いているか、継続できているかを確認してほしい」と呼び掛けた。

 「観光回復への足取りを確かなものにして、一刻早くコロナ前の水準への回復を」と話した。

 23年度事業計画では、海外旅行復活へ向けて、大規模かつ継続的な需要喚起策の実施に注力していく。これに関連し、業界が直面する課題を整理する目的で会員各社にアンケート調査を実施した。

 寄せられた課題は、①海外旅行取扱拡大に向けた対応②既存ビジネスの開拓やDXを通じた旅行業再生③資金繰り対策や補助金などの支援④団体グループ旅行の機運醸成⑤コンプライアンス問題に関する業界の信用回復──のおおむね5つ。

 髙橋会長は、とくに海外旅行について言及し、「海外旅行の復活なくして、旅行業界の復活なし。総力を挙げて海外旅行の復活に取り組み、国内・訪日旅行を加えたツーリズム復活を早急に実現していきたい」と語った。

 また、10月26(木)~29日(日)ツーリズムEXPOジャパン大阪・関西において、2年後に迫った大阪・関西万博へのムーブメントや、国際交流への機運を高める。来場者の目標は15万人とした。

 DX化に向けての取り組みでは、「観光業共通プラットフォーム」を年内に稼働させることを目標とする。この取り組みでは、宿泊・観光施設などの観光事業者が参加し、国内・訪日旅行における基本情報の一元化と、システムによる災害時情報の共有化をはかる。将来的には、さらに高いステージでの協調や共創につながることを目指す。

 役員改選では、志村格氏が理事長を退任し、新たに蝦名邦晴氏が就任した。平井登氏(ジャルパック社長)が理事に選任され、杉浦雅也氏(ジェイアール東海ツアーズ社長)と矢田素史氏(エイチ・アイ・エス社長)が運営役員に就任した。このほか、2人がそれぞれ役職を変更した。

㈱全旅、中間社長が再任 「第2創業へ力発揮する」

2023年6月23日(金) 配信

中間幹夫社長

 ㈱全旅(中間幹夫社長)は6月23日(金)、東京都内で第50期株主総会・懇親会を開いた。任期満了に伴う役員改選で中間社長の再任が決まった。

 中間社長は懇親会で「㈱全旅は今年、創業50周年を迎えた。本来ならば豪華に開催したいが、業界の回復が道半ばであることを受け、できる限りの準備をした」と話した。

 また、「今日からは創業50年以降の50年間を第2の創業期として、全国旅行業協会(ANTA)の皆様や関係者の支援を受けながら、一生懸命力を発揮する」と決意を述べた。

 来賓のANTAの近藤幸二副会長は「この50年間は、多くの先輩方がバトンをつないできた成果。とくに経験のないコロナ禍の3年間の経営は大変厳しかったと思うが、生き延びることができた」と労った。

近藤幸二副会長

 「今後の旅行形態は変化するだろう。時代に沿った事業展開に、大きな期待を寄せている。これからも互いに良い状況を迎えたい」と激励の言葉を送った。

 木原稔衆議院国土交通委員長は「日本を元気にするには経済的波及効果の高い観光業の皆様が、力を発揮してもらいたい」とエールを送った。委員長として「政府が掲げる訪日外国人観光客6000万人の達成のため、国会でしっかり考え、㈱全旅の皆様と取り組んでいきたい」と語った。

木原稔委員長

80人限定! 北海道・余市の人気ワインイベント「ラフェト」へ  札幌観光バスが日帰りバスツアー

2023年6月23日(金) 配信

ラフェト・デ・ヴィニュロン・ア・ヨイチ(イメージ)

 札幌観光バス(札幌市、福村泰司社長)は、北海道余市町で開催されるワインイベント「La Fête des Vignerons à YOICHI(ラフェト・デ・ヴィニュロン・ア・ヨイチ(通称 ”ラフェト”)」のチケットと札幌から会場までのバス送迎をセットにした日帰りバスツアーを、2023年6月27日(火)正午から販売する。

 余市町登地区のワイナリーやブドウ農園を巡る農園開放祭。年に1度の催しで、今年は9月3日(日)に開かれる。ラフェトはフランス語で「お祝い」を表す言葉。ワイン愛好家の間では、「参加チケット」の争奪戦が繰り広げられるほどの人気企画だ。

 札幌観光バスの日帰りバスツアーは80人限定で募集。札幌市内発着で出発日は2023年9月3日(日)。ツアー代金は7500円(税込)。

 申し込みは同社のホームページから。※受付(販売)は6月27日(火)正午から。

ぶどう農園お手伝いツアー実施 秩父・横瀬町のボランティアツーリズム

2023年6月23日(金) 配信

昨年度のツアーのようす

 埼玉県・横瀬町観光協会は7月22日(土)、23日(金)に「ぶどう農園お手伝いツアー」を実施する。秩父地域ではボランティアツーリズム「観光×ボランティア!ボラっとちちぶ」を推進しており、その一環。

 「ボラっとちちぶ」は秩父地域の自然や文化、暮らしを観光ボランティアにより持続可能なものにしていくための取り組み。ボランティアで訪れる人に住民との交流や自然、食、温泉などを楽しんでもらう。

 今回は観光農園でブドウや原木しいたけの育て方などを学び、「シャインマスカット」の袋掛けを体験する。

 午前中に体験を終え、昼食はバーベキューかそば打ちまたはうどん打ちから選択。昼食後自由行動となる。

 参加費は小学生以上が3000円、幼児はBBQが1000円、そば打ちまたはうどん打ちが1700円。各日25人の限定。申し込みは横瀬町観光協会ホームページから。

NAA、5月総旅客は255万人 コロナ前の7割まで回復

2023年6月23日(金) 配信

田村明比古社長が定例会見で説明した

 成田国際空港(NAA、田村明比古社長)が6月22日(木)に発表した2023年5月の総旅客数は、前年同月比129%増の255万1919人だった。コロナ禍前の19年同月比で7割まで回復。国際線の外国人旅客数は中国線が回復していないなかでも好調となり、国内線はゴールデンウイークもコロナ禍前と同水準を推移した。

 国際線の旅客数は同235%増の194万9137人。このうち、日本人は同217%増の42万3713人で、とくに外国人は同686%増の125万6200人と、引き続き19年同月比8割の水準となっている。

 田村社長は、好調を推移する国際線の外国人旅客数について「中国を除く東アジア、東南アジアを中心に回復傾向にあり、数字でみると17年同月のレベルまで回復してきている」と話した。

 一方、国内線の旅客数は同14%増の60万2782人となり、19年同月比で9割超まで回復した。

 総発着回数は同30%増の1万7097回。国際線全体は同46%増の1万2937回、このうち旅客便は同100%増の1万307回で前年の2倍を記録し、貨物便は旅客便の回復に伴い同29%減の2465回となった。また、国内線全体は同3%減の4160回。

国際線旅客数が増加、海外旅行の回復を期待

 6月1~17日までの国際線出国旅客数は、前年同期比438%増の46万7000人だった。このうち、路線別の最高値はアジア線が同246%増の13万5000人、次いで韓国線が同945%増の9万7600人だった。

 コロナ禍前の水準まで回復していないアウトバウンドについて、田村社長は「韓国、台湾などの近距離路線やハワイなどへ向けた観光予約が段々と増えている。夏以降、アウトバウンドも少しずつ回復していくものと期待している」と語った。

環境配慮に限定の債券、「グリーンボンド」発行

 同日、NAAが国内外のグリーンプロジェクトに要する資金を調達するために発行する債券「グリーンボンド」の発行方針に対して、格付投資情報センター(R&I)からの第三者評価の取得を発表した。NAAによると、国内の空港運営会社がグリーンボンドに関する第三者評価を取得するのは初めてで、今秋にも同債券を発行する方針だ。

 田村社長は「グリーンボンドの発行を通じて、環境課題への取り組みをより多くの人に認知してもらいながら、空港分野での脱炭素化を強力に推進していく。環境に配慮した持続可能な空港づくりを進める」と述べた。

海の日は小学生の乗船が無料に! 日本旅客船協会がキャンペーン

2023年6月23日(金) 配信

63事業者・80路線が参加

 日本旅客船協会(山﨑潤一会長、東京都千代田区)は7月17日(月・祝)、海の日を記念して「小学生乗船無料キャンペーン」を実施する。毎年、「こどもの日」と「海の日」に実施しているもので、今回が22回目。

 今回のCPには全国30都道府県の63事業者・80航路が参加。海の日当日やそれぞれの事業者が定めた期間の小学生の乗船が無料になる。実施日や保護者同伴の要否は各社によって異なるため、同協会のホームページから要確認。

 同協会によると、今回は新型コロナウイルス感染拡大に伴い大きな影響を受けた旅客船事業の需要喚起策の一環としても取り組みを進めていくとし、「多くの皆様のご乗船をお待ちしています」とアピールしている。

「観光人文学への遡航(36)」 秘密曼荼羅十住心論⑦即身成仏とは

2023年6月23日(金) 配信

 凡夫の心から密教の心へ10段階の発展を示した「秘密曼荼羅十住心論」もいよいよ第10住心に至った。第10住心は、「秘密荘厳心」と称され、この第10住心こそ、空海が説いた真言密教の境地である。

 

 第9住心までは顕教、第10住心のみが密教である。密教の密とは、その名の通り秘密の密だが、それは排他的なものではなく、むしろ大いに開かれているような印象を受ける。第9住心に位置する華厳宗では、全世界をあまねく光で照らす毘盧舎那仏の心の内証の世界は解けないとされているが、密教では、その世界さえも解けるとしている。

 

 仏教は、もともと長期間にわたる厳しい修行をすることで成仏するとされてきた。それがその発展段階において、人はみな死ぬと成仏するということが言われてきた。それならば、生きていても成仏できるではないかというのが密教の「即身成仏」の考えである。

 

 即身成仏というと、ミイラのことですかと聞かれることがある。僧や修行者が瞑想を続けて絶命、入定し、そのままミイラになることは即身仏である。即身成仏と即身仏とはまったく異なるものである。

 

 仏も人間と同じ構成要素から成っていると考えられていることから、人間も本来は悟りを開くことができる存在のはずである。そのことから、現世に存在しながら、煩悩にさいなまれた無明の闇に落ちていくことなく、最高の主尊である大日如来と一体となって自らも生きながらにして仏となることが即身成仏の本来の意味である。

 

 ただ、生きている人間は全員すでに成仏しているのではなく、成仏できる可能性を示唆しているのである。人間全員が成仏しているわけではない。しかし、その即身成仏に至る道は秘密にされているのでもなく、菩薩の初地に入った瞬間から覚りが完成した究極の世界に入ることができ、その後は仏として自分のためではなく、他人のために生きる生き方を徹底せよということである。

 

 そうすることによって、智恵の働きを自由自在に発揮して、あまねく社会全体のためになる行動をしていくのである。

 

 宗教者は人から尊敬されるために、または宗教者として一人前になって、それで食べていけるようになるために修行するのではない。あくまでもこの社会全体のために生きるということを決心するかどうかであり、空海は、そう決心したときに、もう仏の境地に至っていると喝破しているのである。

 

 自分の欲を捨て、社会のために生きると決めるということは、まさに大日如来と一体となる境地である。

 

 私がここまでなぜ延々と秘密曼荼羅十住心論を紐解いてきたか、それは、まさにこの「一体となる関係性」というところにホスピタリティ概念の再構築を試みる大いなるヒントがあると考えているからである。

 

 

島川 崇 氏

神奈川大学国際日本学部・教授 島川 崇 氏

1970年愛媛県松山市生まれ。国際基督教大学卒。日本航空株式会社、財団法人松下政経塾、ロンドンメトロポリタン大学院MBA(Tourism & Hospitality)修了。韓国観光公社ソウル本社日本部客員研究員、株式会社日本総合研究所、東北福祉大学総合マネジメント学部、東洋大学国際観光学部国際観光学科長・教授を経て、神奈川大学国際日本学部教授。教員の傍ら、PHP総合研究所リサーチフェロー、藤沢市観光アドバイザー等を歴任。東京工業大学大学院情報理工学研究科博士後期課程満期退学。

【ANTA支部長から~届けメッセージ~】愛知県支部 藤田雅也支部長 来年2月、愛知でフォーラム

2023年6月23日(金) 配信

藤田雅也支部長

 長い間観光事業者が苦しんだ新型コロナウイルス感染症が、2023年5月8日(月)をもって「5類感染症」に引き下げられました。ようやく少しずつ顧客も旅行への意欲が出てきたように思います。

 この3年間、苦しいなかでも公的支援などのおかげで我われ旅行事業者は何とか食いつないできました。以前のようにまた忙しい日々が戻ると期待に胸膨らませはしますが、3年もの間自重していた個人・団体がすぐ何事もなかったように戻るのは、まだ相当の時間が必要かと思います。

 コロナ前後で大きく変化したのは人の動き方です。大きな団体から小さな団体に、グループから個人に、確実にお客様の志向は変化しております。旅行業者は顧客のニーズを機敏に感知し、対応していく必要があります。5300社もの会員を擁するこの協会の強みは、横のつながりを利用して互いに知恵を出し合い、切磋琢磨できることです。

 会員が一堂に会する場として、毎年ANTAは国内観光活性化フォーラムを開催しています。来年2月には愛知県での開催が決定しました。国内観光の完全復活に向けた狼煙を愛知で上げ、全国に活気を広げていけるよう全力で取り組んでいこうと思っています。全国の観光業に携わる皆様、共に事業に邁進していきましょう。

萩・石見空港が7月2日に開港30周年 記念イベントなど実施

2023年6月22日(木) 配信

「ハネオケ」によるコンサートのようす

 島根県の萩・石見空港は7月2日(日)に開港30周年を迎えるのを記念し、各種イベントやキャンペーンを実施する。当日は全日本空輸(ANA)スタッフによるコンサートが行われる。

 ANAの空港・機内グランドスタッフやCA、機長らで構成する「ANA Team HND Orchestra」(通称・ハネオケ)のコンサートは、午後2時からANAカウンター横で行う。また、3月31日(金)~7月31日(月)までの搭乗期間に同空港―羽田路線のANA便を利用したマイレージクラブ会員で100万マイルを山分けするキャンペーンを展開している。CPは参加登録が必要。

 このほか、航空教室や航空アナリストによる講演会などを、それぞれ別日に開催する。詳細は同空港ホームページから。