2030年目標に向け、岸田首相が地方誘客や持続可能な観光を指示(観光立国推進閣僚会議)

2024年4月18日(木) 配信

第23回観光立国推進閣僚会議が4月17日(水)に開かれた

 観光立国推進閣僚会議は4月17日(水)、第23回会合で観光の現状と今後の取り組みについて確認した。観光立国推進基本計画で示された2025年目標と、明日の日本を支える観光ビジョンで示した30年目標の達成を目指し、「新しいインバウンド戦略の推進」「オーバーツーリズムの未然防止・抑制」「持続可能な観光地域づくり」「新時代のインバウンド拡大アクションプランの推進」などに各省庁が連携して取り組む。

 22年10月の水際措置緩和以降、訪日外国人旅行者数は堅調に回復し、23年は2500万人を超えた。23年3月は、19年同月比12%増の約308万人となり、6カ月連続で単月ではコロナ前の水準を回復している。

 1~3月の累計では約856万人と、第1四半期で過去最高となった。

 23年の訪日外国人消費額は、19年比10・2%増の5兆3000億円と過去最高を記録した。1人当たりの旅行支出は約21万円。観光庁は、「円安や物価上昇の影響や、平均泊数が伸びたことが要因と考えられる」としている。

 また、23年1~3月期は約1兆8000億円と四半期として過去最高になった。1人当たりの旅行支出は、約21万円だった。

 一方で、外国人の部宿泊者数はコロナ前の99%まで回復しているものの、宿泊先は3大都市圏の身で約7割を占めており、偏在傾向が強まっている。

 会議では、「デジタルノマドビザ」「共同キオスク」「武道ツーリズム」「農泊」「富士山のオーバーツーリズム対策」など、9省庁が今後の取り組みについて説明した。

 岸田文雄首相は、「インバウンドの地方誘客や、持続可能な観光地域づくりを加速していくことが喫緊の課題。足元でコロナ前の水準に至っていない国内旅行者数や、日本人の海外旅行者数の拡大をはかっていくことも重要」と力を込めた。

 これを踏まえて、関係省庁が連携して重点的に取り組むこととして、次のことを指示した。

 地方誘客の柱として、11のモデル観光地において高付加価値化などによる持続可能な観光地域づくり支援や、二次交通の確保とともに、高速道路の周遊パスの導入拡充に取り組むこと。さらに、国立公園の滞在・体験・魅力向上拠点の拡充、文化財の積極活用、デジタルの徹底活用の促進に取り組む旨を指示した。

 また、オーバーツーリズムの抑制対策の強化として選定した20の先駆モデル地域を中心に、①公共交通などの混雑対策②マナー違反③自然環境保護対策④需要の分散・周遊促進──などの対策を講じて、持続可能な観光地域づくりを強力に推進すること。

 新たな市場やあらゆる機会を捉えたインバウンド需要を拡大させることを求めた。

 政府は今後、これらの指示を踏まえたうえで、2030年インバウンド6000万人、消費額15兆円を目指して政府一丸となって取り組んでいく方針を示した。

3月訪日客数、単月過去最高の300万人 日米観光交流年でBOS・吉田正尚選手からビデオメッセージ(観光庁長官会見)

2024年4月18日(木) 配信 

観光庁の髙橋一郎長官は4月17日(水)、会見を開いた

 観光庁の髙橋一郎長官は4月17日(水)に開いた会見で、2024年3月の訪日外国人旅行者数が単月として初めて300万人を超えたことを報告した。24年3月は、春の桜シーズンによる訪日需要の高まりに加え、イースター休暇が3月下旬から始まったこともあり、前年同月比では69・5%増、19年同月比では11・6%増の308万2000人となった。

 訪日外国人消費動向調査によると、24年1~3月期の訪日外国人旅行消費額は前年同期比73・3%増、19年同期比52・0%増の、1兆7505億円となった。

 日米両政府間において、24年を「日米観光交流年」と定め、日米間の相互往来拡大に取り組んでいる。

 観光庁はこのほど、福井県出身でMLBボストン・レッドソックスに所属する吉田正尚選手のビデオメッセージを公開した。日米観光交流年2024における日本人の訪米拡大と、能登半島地震からの復興を目指す北陸地域への米国人の来訪を呼び掛ける内容となっている。

 吉田選手はビデオメッセージのなかで、「観光目的で訪米し、MLBを球場で観戦し応援してもらうことで、自分をはじめとした日本人選手へ勇気をもらいたい」と伝えた。さらに、米国人観光客へ向け、「北陸地域には風光明媚な景観や、山海に育まれた魅力ある食、世界に誇れる伝統文化がある。北陸新幹線の延伸により利便性が高まっているので、ぜひ北陸地域を訪れてほしい」と呼び掛けた。

 このメッセージ動画は、観光庁や日本政府観光局(JNTO)が日米の観光関連WebやSNSを通じたビデオ配信を行うほか、日米で行われる観光交流イベントで放映される予定だ。

 髙橋長官は、「吉田選手の想いがこもったこのメッセージが、日米両国の多くの人へ届き、日米間の観光交流がさらに活発化することを期待している」と話した。

 また、同日に第23回観光立国推進閣僚会議が開かれた。9省庁が観光の現状を確認し、今後の取り組みについて話した。これを受けて、岸田文雄首相からは「インバウンドの地方誘客や、持続可能な観光地域づくりを加速していくことが喫緊の課題」として、①三大都市圏に偏在傾向にあるインバウンド需要を分散させ地方誘客につなげる②持続可能か観光地域づくりを強力に推進すること③あらゆる機会を捉えたインバウンド需要の拡大──など3つの指示があった。

 髙橋長官は、「岸田首相からの指示を踏まえて、観光庁でも取り組みを進めていく。とくに、日本の地方には限りないポテンシャルが秘められており、これが花開くのはまだまだこれから。無限の可能性がある地方への誘客を強力に進めていきたい」と力を込めた。

 

全旅連青年部が24年度総会開く 塚島部長「今日よりも明日が良くなる業界を」 全国旅館政治連盟の集いに国会議員150人超が参加

2024年4月17日(水) 配信

全旅連青年部総会が開かれた

 全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会の青年部(塚島英太部長、1067部員)は4月17日(水)、東京都千代田区の都道府県会館で2024年度定時総会を開き、塚島体制1年間の事業報告と、今年度の事業計画の確認を行った。

塚島英太青年部長

 塚島部長は冒頭、「業界が直面する課題解決に、責任世代としての自覚と当事者意識をしっかりと持ち、7つの委員会を中心に全力で取り組んできた」と振り返った。今期の活動テーマ「『温故知新~今こそ示せ! 青年部の矜持を~“IMPOSSIBLE IS NOTHING”」に沿って、「今日よりも明日の方が良くなる業界を目指していこう」と力強く呼び掛けた。

 また、同日夕刻に開かれる「全国旅館政治連盟の集い」には、150人を超える国会議員が出席することに触れ、「井上善博全旅連会長が唱える『観光立国の再始動』など、我われの活動に対する国会議員や社会の期待の表れではないか」と述べた。

 24年度は①SDGs事業の調査研究②協定・推奨商社の加入促進③若手経営者育成プログラムに重点を置いたセミナーの企画④新たな切り口による青年部員の拡大⑤労働生産性向上や流通システム導入の成功事例集作成――などに取り組む。

 イベントでは、8月に「北陸復興支援事業」、12月に宮崎県で青年部全国大会、25年には塚島体制の集大成となる「第3回宿観光旅博覧会―宿フェス―」や「第7回旅館甲子園」の開催を予定している。

全国旅館政治連盟の集いには、岩屋毅自民党観光産業振興議員連盟会長(左から5番目)ら多数の国会議員が出席

「ファンタジースプリングス」の竣工式行う 東京ディズニーシー6月6日の開業控え

2024年4月17日(水) 配信

竣工式のようす(©Disney)
竣工式のようす(©Disney)

 オリエンタルランド(吉田謙次社長兼COO、千葉県浦安市)は4月17日(水)、6月6日(木)にグランドオープンする東京ディズニーシーの8番目の新テーマポート「ファンタジースプリングス」の竣工式を執り行った。同社の加賀美俊夫取締役会議長が玉串奉奠を行ったほか、吉田社長らが関係者の尽力に感謝を述べた。

 新テーマポートは2018年6月、東京ディズニーシー大規模拡張プロジェクトとして計画を発表。19年5月の工事着手から約5年をかけて開発してきた。総投資額は約3200億円で、総開発面積はシー開業以来最大となる約14万平方メートル。

 「魔法の泉が導くディズニーファンタジーの世界」をテーマとし、ディズニー映画を題材とした3つのエリアと1つのディズニーホテル「東京ディズニーシー・ファンタジースプリングスホテル」で構成される。同社は「ゲストの皆様をさらなるディズニーファンタジーの世界へ誘う『ファンタジースプリングス』の開業にどうぞご期待ください」とコメントしている。

日本コンベンション協会が観光庁へ提言提出 「MICEの産業化へ向けた提言」

2024年4月16日(火) 配信

観光庁・星野光明国際観光部長(左)と、日本コンベンション協会・近浪弘武代表理事

 日本コンベンション協会(JCMA、近浪弘武代表理事)は4月11日(木)に観光庁を訪問し、星野光明国際観光部長へ、「次のステージへ MICEの産業化へ向けた提言」を提出した。

 JCMAは、2018年7月に「MICE国際競争力強化に関する提言」を観光庁へ提出し、コロナ禍での首相官邸への要望提出を含め、「MICE業界の認知度向上と産業としての強化」「MICEを活用した我が国の国際的ステータスの向上」などを主張してきた。

 23年1月の提言では、ポストコロナに向けた政府の戦略実現ツールとしてのMICE開催の意義や効果を再定義した項目を盛り込み、5月に政府から発表された「新時代のインバウンド拡大アクションプラン」のMICE推進施策として反映された。

 JCMAによると、今回の提言では「これまでに打ち出した施策を推進しながら、MICEの『産業』としての確固たる地位を築き、今後の日本におけるMICE誘致・開催を新たなステージへ引き上げる」ことを目指す。

HIS、沖縄・那覇と読谷結ぶバス運行 Z世代44%が免許ないことなど受け

2024年4月16日(火) 配信

星野リゾート バンタカフェ

 エイチ・アイ・エス(HIS、矢田素史社長)は5月1日(水)~10月31日(木)、LeaLeaラウンジOKINAWA(沖縄県那覇市)と同県の読谷村エリアを結ぶシャトルバスを運行する。

 沖縄県と沖縄観光コンベンションビューロー(OCVB)がZ世代を対象に実施した調査によると、首都圏と阪神圏のZ世代のうち、44.4%は運転免許を持っていないほか、旅先で運転することに対し、62.9%が「運転したくない」と回答した。このことから、同社は「すべての人に読谷エリアの美しいビーチを楽しんでほしいため、運行を決めた」という。

 往路は午前9時45分にLeaLeaラウンジOKINAWAを出発。途中、ダブルツリーbyヒルトン沖縄北谷リゾートと星野リゾート バンタカフェ、ホテル日航アリビラに停車し、11時45分Gala青い海に到着する。復路は星野リゾート バンタカフェを午後4時42分に出発し、6時35分にLeaLeaラウンジOKINAWA着く。

 なお利用できるのは、同社の企画・実施する沖縄県への国内ツアーやダイナミックパッケージを申し込んだ人となっている。

中部国際空港、学生考案の機内食 オンラインショップで販売

2024年4月16日(火) 配信

学生と考案したオリジナル機内食を詰め合わせで販売

 中部国際空港(愛知県常滑市)は4月15日(月)、名古屋エアケータリング(同)と修文学院高等学校食物調理科(愛知県一宮市)の学生のタイアップで考案されたオリジナル機内食を、セントレアオンラインショップで売り出した。

 販売する機内食は、セントレアで毎年開かれる「航空ファンミーティング」内の企画「夢の機内食コラボレーション~私たちが考えた機内食です~」で考案されたもの。中部国際空港と名古屋エアケータリングが共同で、中部地方で「食」について学んでいる学校と連携し、オリジナルの機内食を商品化する取り組み。空港で働く人の技術を地元の学生に還元し、将来的にはその学生が航空業界を支える人材になることを目指している。

 商品名は「おうちで機内食気分♪夢の機内食コラボレーション メインディッシュ」。味噌きしめんグラタン2食分、白身魚と野菜の南蛮餡かけ2食分の計4食分を詰め合わせで販売する。価格は4500円(税込)。

 味噌きしめんグラタンは、岡崎市の味噌蔵が作った八丁味噌を使用し、名古屋名物のきしめんをグラタン風に仕上げた。一方、白身魚と野菜の南蛮餡かけは、白身魚の唐揚げに自家製南蛮野菜餡をかけ、酢の酸っぱさがほとんどなくて食べやすく野菜も多くてとても食べ応えがある一品。

佐渡汽船、創立111周年記念 111人に乗船券や宿泊券当たる

2024年4月16日(火) 配信

佐渡汽船のカーフェリーときわ丸(写真はイメージ)

 佐渡汽船(尾渡英生社長、新潟県佐渡市)は4月12日(金)~30日(火)まで、佐渡応援キャンペーン「創立111周年記念豪華賞品プレゼント」を実施している。2024年2月3日に創立111周年を迎えたことを記念したもので、アンケートに回答すると抽選で計111人に、「佐渡島(さど)の金山」として世界遺産登録を目指す佐渡島をお得に旅できる乗船券や宿泊券がプレゼントされる。

 プレゼント内容は、①カーフェリー・スイートルーム往復乗船券引換券×10人②カーフェリー・特等往復乗船券引換券×20人③カーフェリー・1等往復乗船券引換券×30人④カーフェリー・2等往復乗船券引換券×50人⑤個人型旅行商品「佐渡浪漫紀行(おけさコース)」ペア宿泊券×1人――。宿泊は、24年3月に全面リニューアルオープンしたばかりの「SADO二ツ亀ビューホテル」で、2等往復乗船券と1泊2食がセットになっている。

 アンケート入力フォームは、公式Webサイトの「ニュース」欄から。当選発表は、プレゼントの発送をもって当選の発表に代えるとした。なお、当選賞品の往復乗船期間は、5月7日(火)~7月31日(水)まで。

中山道・木曽11宿をガイドと巡るツアー 日本人にも魅力体験を(おん宿つたや)

2024年4月16日(火) 配信

ひのき笠と半纏と杖の「中山道-時間旅行3点セット」

 長野県・木曽町の「つたや本店」は4月21日(日)から、1泊2日の中山道・木曽11宿(7コース)のガイドツアー「街道浪漫めぐり」を開始した。旅館「おん宿つたや」は、江戸時代中期(元禄元年)に中山道・木曽路の宿場「福島宿」の旅籠として創業した温泉旅館。インバウンドに沸く中山道の魅力を日本人にも体験してもらいたい考え。

 贄川宿から馬籠宿までの11宿(80㌔)を7回に分けて歩く。宿場町だけの観光ではなく、中山道を実際に歩いて春夏秋冬の「大自然」「絶景」「グルメ」「名所旧跡」を体感するガイドツアーで、江戸時代に旅行した気分が味わえる、中山道時間旅行3点セット「ひのき笠・半纏(はんてん)・杖」で歩く。1回1泊2日。

 近年、サムライロードに憧れて中山道を歩く外国人観光客が急増しており、おん宿つたやでも宿泊者の55%が外国人観光客という。彼らは「ラブリー」という言葉で中山道・木曽の自然や建物を賞賛し、その魅力を発見している。外国人観光客が魅力に思う中山道を「日本人にも再発見してもらいたい」という想いから「街道浪漫めぐり」のプロガイドツアーを企画した。

 2024年からは「中山道の時間旅行」をテーマにした施策、ガイドツアー「街道浪漫めぐり」を皮切りに、木曽節保存会とコラボした「木曽節世界への普及」、木曽福島の「街歩き謎歩き」など、中山道を盛り上げる施策を実現していく。

ツアーのスケジュール(全7コース)

 中山道木曽路を満喫する7コースは4月21~22日が「馬籠―妻籠宿」、5月11~12日は「与川道ハイキング」、6月1~2日は「奈良井宿場祭」、6月29~30日は「御嶽古道&滝」、10月26~27日は「阿寺渓谷」、11月2~3日は「紅葉ヶ丘・権現滝」、12月21~22日は「開田冬景色&風里クリスマス」。

 ツアーは、中山道プロのガイドと道中のランチ、中山道時間旅行3点セット、温泉旅館おん宿つたやに1泊、旅館の晩御飯と朝食、つて筆体験が含まれており、料金は1人3万3000円。

創業60周年記念しバスガイドの制服を初リニューアル プロフェッショナリズムを象徴するデザインに 札幌観光バス

2024年4月16日(火) 配信

伝統のネイビーカラー&白襟は守りつつ、シルエットやアクセントカラーで新しさを表現
伝統のネイビーカラー&白襟は守りつつ、シルエットやアクセントカラーで新しさを表現

 札幌観光バス(福村泰司社長、札幌市清田区)は2024年4月16日(火)、バスガイドの制服をリニューアルした。今年3月の創業60周年を記念した取り組みで、制服のデザイン変更は初の試み。

 現在の制服に対する思いや理想など、5人の正社員バスガイドのアイディアを取り入れ、cloud9(峰江卓也社長、札幌市中央区)がデザインした。メインコンセプトは「バスガイドのプロフェッショナリズムの象徴」。60年受け継がれたネイビーカラーと大きな白い襟に象徴される「伝統」、シルエットやアクセントカラーなどの「新しさ」、双方を新しい制服に表現した。

 同社は創業以来60年間で600人近くのバスガイドを育成してきた。だが近年は、札幌地区でバスガイドの担い手が2019年度の46人から、22年度は33人になるなど、減少傾向にあるという。「バスガイドの灯を絶やさずに受け継いでいく」(同社)という強い思いを込め、制服を刷新した。