10年度の定観62万人、間際予約対応でウェブ強化

前田会長
前田会長

 はとバスの受入先の施設で構成するはとバス共栄会(会長=前田伸・日本電波塔社長)は7月8日、東京都内のホテルで2011年度通常総会を開き、今年度の事業計画案などを承認した。

 あいさつに立った前田会長は「3月11日の東日本大震災以降、我われ観光業は苦境に立たされている。直接被害のないところでも風評被害や自粛ムードで影響を受けている。こうしたなか、多くの方々に出席していただきありがたい。何とかこの難局を乗り切り前に進んでいくために互いに知恵を出し合っていこう。今日はその決起大会にしたい」と述べた。

 続いて、同会名誉会長の松尾均はとバス社長が「今年初めまでは順調だったが、3月11日を境にまさに天と地がひっくり返った。最終的に10年度は定期観光で62万人、企画旅行で24万2500人の合計86万2500人。当初目標の100万人に届かないばかりか09年度の98万7千人にも及ばなかった」と報告するとともに「このまま手を拱いているわけにはいかない。今期ははとバスならではの一層の断トツ商品、話題の先取りの商品、そして東北方面を中心とした復興支援ツアーを、さらに間際予約の増加に対応したウェブ強化などに努め共栄会の施設に多くの人を送客したい。そして100万人さらに次のステージに進むことを目標にしたい」と結んだ。

 総会では10年度事業報告・収支決算報告・監査報告、11年度事業計画案・予算案、役員改選案について審議、いずれも承認された。

はとバス・松尾社長
はとバス・松尾社長

 今年度の事業計画は(1)会員相互の啓発と親睦及び情報交換を目的とした事業(2)CS増進を目的とした研修会(3)多角的な共同宣伝・共同販売促進を目的とした相互の営業増進事業(4)喝采!!はとバス劇場への協力・協賛などを実施する。また、役員改選は2人の役員の退任に伴うもので常務理事に三枝幸雄はとバス取締役観光バス事業本部長、理事に門村輝夫同副本部長が選任された。

 なお、総会終了後の懇親会でははとバス感謝大賞の表彰式が行われ赤坂エクセルホテル東急(東京都)と春茂登旅館(栃木県)の2施設が表彰された。さらに東日本大震災で被害の大きかった岩手県、宮城県、福島県、茨城県からの参加者に対し、はとバスの門村副本部長から激励のメッセージが送られた。

 

訪日外客36%減の43万人、JNTO、6月の推計値発表

 日本政府観光局(JNTO)が発表した2011年6月の訪日外客数推計値は、前年同月比36.0%減の43万3100人。6月として過去最高を記録した08年と比べ、約24万8500人少なかった。震災発生後、4カ月連続の減少となるが、減少幅は徐々に縮小傾向にある。 韓国は同42.0%減の10万3800人、台湾は同23.0%減の8万7700人、中国は同40.7%減の6万1500人、米国は同29.4%減の5万700人、香港は同40.0%減の2万8500人、豪州は同41.9%減の9400人。
 一方、出国日本人数は、前年同月比2.9%減の127万4000人で、4カ月連続の減少となった。

二階会長が再任、3副会長、専務理事は一新 ― ANTA

二階俊博会長
二階俊博会長

 全国旅行業協会(ANTA、二階俊博会長、5499会員)は6月22日、ホテルラフォーレ東京で2011年度通常総会を開き、二階会長の再任、3副会長と専務理事の一新を決定。副会長に徳永雅典氏(極東航空交通観光代表)、加藤正明氏(ツーリスト・トップジャパン会長)、鈴木明治氏(大輪観光社長)、専務理事に地域伝統芸能活用センター前理事長の有野一馬氏が選ばれた。

 11年度事業の大きな柱として、東日本大震災による被災会員への支援や被災地域の復興への協力を挙げる。二階会長は総会冒頭で「これからが活動の本番。片時も手を休めることなく、被災地の人のことを思い、努めていかなくてはいけない。皆で協力し合い、全旅協中心に国内・海外ともに成果をあげていかなくては」と力を込めた。

 会員からは年会費の免除や東京電力と国への賠償要望が寄せられ、ANTAでは営業停止が3カ月以上の会員会社の年会費1年間免除を決定。現在まで3県5支部、会員本社43社から計162万2千円の免除申請があがっている。賠償問題については、5月31日の原子力損害賠償紛争審査会のヒアリングに参加し、2次指針で福島県内の旅行業の損害が認定され、県外については今後の市場調査や動向を考慮したうえで判断されることになる旨を報告した。

 そのほかの事業では、国内観光活性化フォーラムに代表される着地型旅行の推進や、国内観光交流の拡大と国内観光の活性化、国内旅行業務取扱管理者研修などの各種研修に注力する。

 また、一般社団法人への移行にあたり、定款を変更。地方支部を全旅協の内部組織の出先機関として位置づけることや、常務理事の廃止、理事数を会長、副会長、専務理事を含め25人以内とすることなどが決められた。なお、11年度は地方支部選出の15人、常務理事選出の18人、計33人の理事が選出され、会長、副会長、専務理事5人を加え理事38人体制となった。

鈴木明治副会長

加藤正明副会長

徳永雅典副会長

No.285 3・11後のインバウンド激減 - 風評被害ですませるな

3・11後のインバウンド激減
風評被害ですませるな

 3月11日発生した東日本大震災以降、旅行業界のなかで最も被害を受けたのがインバウンド(訪日旅行)関係者だといわれる。福島第一原子力発電所の事故、それに伴う放射能漏れの影響で、外国人旅行者は限りなくゼロに近く激減した。震災から4カ月以上経つ今も原発事故は収束しておらず、回復の見通しは立っていない。訪日外国人を対象とする旅行会社、サイト運営会社、旅館の経営者に震災後の状況を聞いた。

【聞き手=沖永 篤郎】

「やってはいけない過ち」
AISO 理事 ― 岡本 立雄氏

 アジアインバウンド観光振興会(AISO、王一仁理事長、正会員37社)は、インバウンドを扱う旅行会社が集まり2006年に設立された団体です。現在、会員会社で圧倒的に多いのは中国の訪日旅行を扱う会社。次いで香港、台湾、韓国などを扱う会社の順です。昨年実績で、AISO会員の旅行会社で扱う訪日旅行者数は350万人以上。中国に限定すると半数以上のシェアを扱っています。
7月現在も中国からの旅行者は震災前の水準の5%ほどしか回復していません。それもメディア、旅行会社を対象としたファムトリップ(現地視察旅行)や、通常の半額以下の格安旅行です。…

「正確な情報がユーザーの信頼に」
ジャパンガイド 社長 ― シャウエッカー ステファン氏

 英語による日本紹介サイト「ジャパンガイド」( http://www.Japan-guide.com/ )を運営しています。メインユーザーは欧米の20―30代の若い世代で、月間の訪問者数は100万人、ページビューは400万を超えます。旅行のほか、生活、仕事などのコンテンツを設置。旅行レポートは4人のスタッフで全国をカバーしています。
震災発生直後からジャパンガイドのアクセス数は普段の2―3倍、1日のサイト訪問者は5万人ほどに急増。この状況が2週間ほど続きました。…

「遠慮せずに声をあげよう」
行燈旅館 女将 ― 石井 敏子さん

 震災発生前までは桜の一番いい時期を控え、予約表は1カ月先まで埋まっていましたが、震災が起こり3、4日で真っ白になりました。震災以降の宿泊実績は対前年比9割減です。
震災発生当初は地震だけの影響で3カ月くらいはしょうがないと考えていました。しかし、今回の最大の原因は原発事故です。原発と放射能の報道を見て1年くらいはダメかなと考えています。…

 

※ 詳細は本紙1427号または日経テレコン21でお読みいただけます。

心までほぐす ― 自然体で接する大切さ(7/21付)

 その居酒屋は焼き鳥がすごく美味しく、とても気に入っているのだが、フロアのスタッフが慢性的に足りないため、サワーのお代りを注文したくても見当たらず、しばらく空のグラスを片手に持ちながら、きょろきょろと探さなければならない。その時間が少し興醒めとなる。味もよく、少ないスタッフも一生懸命。だから余計に「客商売としてすごくもったいないな」と毎回感じてしまう。あと1人、2人いればせっかくの心地よさが途切れないのにと残念だ。 私自身、客商売以外のアルバイトも経験したが、やはり楽しかったのは人を相手にした仕事だった。多くの人間を観察したいという欲求が、まだ若く、恐ろしく経験不足だった自分の中にあったのだろうと思う。
 居酒屋で働いていたときは、カウンターに1人で座り、ビールの中瓶と冷奴、冷やしトマトを求める中年男の姿が人生勉強になった。肩の力を抜き、差し向いの板長と言葉少なに会話を交わし、ざわめきの中で時間を過ごす。その客はよく来ていたから、きっとその居酒屋は居心地が良かったのだろう。
 その頃は、下北沢の居酒屋で夜の11時まで働き、そのまま新宿のバーに行き、始発電車の時刻まで1人で飲んでいた。スコッチのオン・ザ・ロックばかりを飲んでいたから、歌舞伎町付近でしばしば吐いた。そこのバーテンダーが私の中で今でも接客の一つの基準となっている。12席程のカウンターだったが、見ていないようですべての客のグラスの状態、灰皿の中、体調まで把握していた。
 その後、別の店でやたらとしゃべりかけたり、不自然に次の飲み物を勧めるバーテンダーと出会うと興醒めし、二度と行かなくなった。
 少し前、腰を痛めて整形外科の2階のリハビリに通った。そこの白い服を着た整体師の若い男女のスタッフは自然な笑顔で、明るく接してくれる。接客マニュアルなどあるはずもない。相手は客ではなく、患者なのだから。彼らは、本当に相手の心の動きが見えているんだなと感心する。患者の体をほぐすということは、何よりも患者の心をほぐしてあげることが大事なんだと知っており、笑顔の効力、そして自然体で接することの大切さを理解しているのだ。医療現場のコミュニケーション能力が年々高まっているのを感じる。

(編集長・増田 剛)

夢の体験ツアー当たる、三重の夏旅CP

東北3県の名産当たる 「みちのく応援賞」も

 三重県観光連盟は7月1日から8月31日まで、三重を旅すると「夢の体験ツアー」や宿泊券、特産品など豪華賞品が当たるキャンペーンをはじめた。東日本大震災の被災地応援のための岩手、宮城、福島県の名産品が当たる「みちのく応援賞」も用意した。 「夢みえーる賞」では、県内宿泊の領収書などを添付して応募すると、3種類の夢の体験ツアーが抽選で最大4組12人に当たる。1泊2日の「海の恵みとパワースポットで美しくなる伊勢志摩の休日」では、鳥羽国際ホテルの美肌ランチと真珠スパ体験や、タラサ志摩のパーフェクトタラソ体験とランチ、ミキモト真珠島での796個の真珠を使用した王冠の戴冠体験などの企画を用意する。
 2泊3日の「美食・美湯・うっとり伊賀紀行」は清少納言ゆかりの榊原温泉やメナード青山に宿泊し、伊賀焼での地産地消の料理も味わえる。
 3歳から小学6年生を含む家族を対象にしたナガシマリゾートと鈴鹿サーキットを満喫できる1泊2日のツアーもある。
 応募方法は、宿泊施設の領収書や観光施設の入場券または旅先の風景や、郷土料理などを撮影した写真を応募用紙に張り、9月5日までに三重県観光連盟に郵送する。「観光三重」ホームページからも応募が可能だ。

設立総会で佐藤氏が会長、田沢湖・角館観光連盟

あいさつする佐藤和志会長
あいさつする佐藤和志会長

 秋田県の田沢湖・角館観光連盟の設立総会が6月25日に仙北市内で開かれ、初代会長に佐藤和志氏(田沢湖観光協会長)を選任した。2005年に角館町、田沢湖町、西木村が合併して仙北市が誕生したものの、観光としての一元化した組織がなかったことから、昨年から設立に向け協議を重ねていた。

 席上、あいさつに立った門脇光弘仙北市長は「3月11日の東日本大震災以降、東北は厳しい状況にあるが、この時期の連盟設立をきっかけに観光を好転させる意気込みで頑張って」と述べるとともに「田沢湖、角館、西木という互いのブランドを持ちより競争力のある一つの商品をより具現化するステージができた。一歩前に進む意識で事業を行ってほしい」と結んだ。

 また、選任された佐藤和志会長は「商工会は仙北市誕生早々に合併したが観光は、と言われていた。秋田県のリーダーシップをとれる観光連盟にしていきたい」と抱負を述べた。

 設立総会では連盟の規約案や予算案、役員の選任について審議、いずれも承認された。また出席者から「各観光協会の名刺に連盟の名前とロゴを入れてほしい」「ツイッターを立ち上げてほしい」などの意見が出され了承された。予算案では10月以降のJRのミニDCの際に県と一緒に行うキャラバン費や連盟としてのポスター製作費などが計上されている。

 なお、佐藤会長以外の主な役員は副会長に安藤大輔(角館町観光協会長)、小林康次郎(西木観光協会長)の両氏が、監事に吉田裕幸(田沢湖観光協会理事)、黒澤昇(角館町観光協会副会長)の両氏が選任された。

古木会長が2期目、公正競争規約の順守

古木康太郎会長
古木康太郎会長

 旅行業公正取引協議会(古木康太郎会長、330会員〈第1種旅行業249社、第2種旅行業他81社〉)は6月28日、東京都内で第27回通常総会を開いた。任期満了に伴う役員改選では、古木会長が再任した。11年度事業は、活動の基本である公正競争規約の周知徹底のほか、旅行広告の適正化推進、コンプライアンス意識の定着化など。

 

 古木会長は「協会の役割である景品表示規約の問題については、行政から厳しい目が注がれている。消費者保護の意味からも、襟を正していかなければいけない」とあいさつした。

 消費者庁の片桐一幸表示対策課長は「景品表示法の趣旨を一言でいえば消費者目線。消費者の適正な商品選択を確保していくことにある。消費者の目線が厳しく、多様化していくなか、事業者が積極的な情報提供を行う環境を整えていくことも重要」と語った。

 公正取引委員会の山田弘取引企画課長は「事業者間の取引では優越的な地位を乱用し、弱い者いじめをするという問題がある。その典型的な例が下請法の違反。旅行業においても適用を受けることがある。対事業者という観点からは、独占禁止法も重要な柱」と述べた。

 昨年度の相談業務は前年比6%減の621件。相談者別件数では、会員が67%を占め、以下、非会員、一般消費者、広告媒体、広告代理店の順。

 相談内容の内訳は、表示が366軒で全体の59%を占め、景品が171件(28%)、関係法令が84件(13%)。表示では、旅行代金、必要表示事項、予告・資料請求広告などに関する相談が増加。景品では、規制対象となるのか、値引きとして扱われるのかという取引付随性についての相談が多く、次いで一般懸賞、総付景品などの順。

 これらの相談事例については「Q&A事例集(表示52事例、景品81事例)」という冊子を作成し会員に配布。協議会のHP(会員サイト)にも掲載していく予定。

 そのほか、東日本大震災後、義援金ツアーの表示に関する相談が増えたため、これに関するQ&Aを作成しHPにより周知をはかった。

 新任役員は以下の通り。

 【副会長】徳永雅典(極東航空交通観光社長)【専務理事】中村達朗(日本旅行業協会理事長)【理事】有野一馬(全国旅行業協会専務理事)

磯田会長が再任、鉄道と宿の一体的PR

磯田光治会長
磯田光治会長

 JRグループ協定旅館ホテル連盟(磯田光治会長、2758会員)は6月10日、ホテルメトロポリタン(東京都・池袋)で2011年度通常総会を開き、任期満了に伴う役員改選では磯田光治会長が再任された。

 

 磯田会長は冒頭のあいさつで「松島にある私の旅館は高台にあり津波の被害は無かったので、350人ほどの被災者を受け入れてきた。ライフライン、物流、交通、通信すべてのインフラが止まり、皆の笑顔が無くなってしまった」と震災後の状況を話し、「こんなときこそ人の交流が大切。人の笑顔が復旧・復興につながる。この1年は厳しい状況が続くと思うが、元気に明るく頑張っていきましょう」と呼びかけた。

 今年度デスティネーションキャンペーン(DC)は7月1日―9月30日に群馬県、10月1日―12月31日に熊本県・鹿児島県・宮崎県、1月1日―3月23日に京都市で開催。JR各社とさらに連携を深め、DCを基軸に鉄道と宿の一体的なPRを展開し、宿泊券の拡販を目指す。

 任期満了に伴う役員改選では、旅館一乃松(北海道函館市)の松橋博氏社長とサン浦島悠季の里(三重県鳥羽市)の吉川勝也社長が、新しく副会長に就任した。

大震災写真保存プロジェクト始動、Yahooが震災前後の写真を募集

 Yahoo!JAPANは、東日本大震災で失われる前の街並みや風景、震災直後のようす、被災地に残された思い出の数々、今後の復興の過程など、震災の記録を写真で残す「東日本大震災写真保存プロジェクト」を立ち上げ、写真投稿を募集している。
 対象地域は岩手県・宮城県・福島県・青森県・茨城県・栃木県・千葉県・長野県・新潟県の災害救助法適用地域。投稿はhttp://archive.shinsai.yahoo.co.jp/から。ファイル形式はJPEGのみで、写真1枚10MBまで。縦横サイズは200ピクセル以上。