大賞は佐原商工会議所、きらり輝き観光大賞

  日本商工会議所は11月2日、11年度「全国商工会議所きらり輝き観光振興大賞」を発表した。大賞は、まちづくり型観光を推進する、佐原商工会議所(千葉県)が受賞。振興賞などに計8商工会議所が選ばれた。08年に創設された同賞は、地域資源の掘り起こしと活用、人材育成によるホスピタリティの向上など、地域の個が光り、他の範となる観光振興活動を行う商工会議所を顕彰する制度。24日に福岡県北九州市で開催した全国商工会議所観光振興大会in関門で表彰式が行われた。佐原では、市民が主体となって本物にこだわる「江戸優り」のまちづくりを進めてきたが、商工会議所や行政、企業なども加わり、地域ぐるみのまちづくりに発展。町並みは国指定の重要伝統的建造物群保存地区に、佐原の山車行事は国指定重要無形民俗文化財に指定される。歴史的町並み、佐原の大祭などの文化や暮らし、水辺空間はもとより、市民のまちづくりのへの取り組み自体を地域資源として活用している。
佐原商工会議所は2000年、市が中心市街地活性化策を策定したことを受け、「相手は世界 江戸優りの大商い」を理念とするTMO構想を打ち立てた。03年以降は、まちづくりフォーラムや軒下コンサートの開催など、まちのにぎわい創出に継続して取り組む。10年度には香取市とともに「集客・観光・交流アクションプラン」を策定した。
きらり輝き観光振興賞は、「お伊勢さん観光案内と元気再生事業」の伊勢商工会議所(三重県)と、「『広島湾域 体験型修学旅行の誘致推進』~地域一丸で観光型交流~」の広島商工会議所(広島県)が受賞した。
伊勢商工会議所は、13年に予定されている伊勢神宮の式年遷宮により観光客の大幅増加が見込まれるなか、受け入れ態勢の整備に力を入れている。お伊勢さん観光案内人は、ご当地検定「お伊勢さん」上級合格者による、オーダーメイド型観光ガイド事業。個人や小グループの観光客のニーズに応じた案内を行う。単独で採算の取れる事業に成長し、補助金に頼らない独自のビジネスモデルになっている。元気再生事業では、観光客を外宮周辺の飲食店へ誘導、内宮への集中と交通渋滞の緩和をはかっている。
2000年、広島商工会議所が中心になり、行政の枠を超え、広島県、山口県にまたがる広島湾域(7市6町)の自治体、商工会議所、商工会、民間企業などで構成する「広島湾ベイエリア・海生都市圏研究協議会」が設立された。
広島の平和学習に訪れる修学旅行生を対象に、瀬戸内海の島々の魅力を活かした体験型修学旅行誘致を官民一体で推進する。農・漁村などの体験プログラム、民泊家庭での交流を教育の場として提案。今年は、山口県周防大島などに24校3800人を呼び込んだ。さらに、広島県の江田島市・大崎上島町も受け入れ態勢を整え、活動が広がってきている。
特別賞などを受賞した商工会議所は以下の通り。
【観光立“地域”特別賞】ひたちなか商工会議所(茨城県)「Fight&Smileひたちなかご当地グルメ」▽久留米商工会議所(福岡県)「B級ご当地グルメでまちおこし」
【奨励賞】長井商工会議所(山形県)「まちづくり基金で磨き、ナビでつなぐ」▽上田商工会議所(長野県)「戦国武将『真田幸村』活用による観光振興」▽下諏訪商工会議所(長野県)「オルゴールプロジェクトで地域をPR」

“東北にもう1泊”、福幸キャンペーン実施

  東北観光推進機構は大手旅行会社5社の協定旅館ホテル連盟と共催で、東北の宿泊施設に泊まると、抽選で東北の宿の宿泊券が当たる「もう一度東北!もう一泊!東北福幸(ふっこう)キャンペーン」を実施している。

 JTB、近畿日本ツーリスト、日本旅行、トップツアー、名鉄観光サービスの協定旅館ホテルに泊まると、抽選でペア500組に、キャンペーンに参加する東北の宿泊施設のなかから希望する施設に泊まることができる宿泊券をプレゼントする。キャンペーンチラシの応募ハガキに、宿泊した旅館等の押印、スタンプ等を受領欄に受け応募する。期間は来年3月末日まで。抽選は2期に分け実施する。

JEPC創立25周年を祝う、「共」のイベント推進

清水卓治理事長
清水卓治理事長

 日本イベントプロデュース協会(JEPC、清水卓治理事長)は11月17日、東京都内の明治記念会館で創立25周年行事を開いた。広告・PR会社や、学校法人、メディア、旅行会社など多岐にわたる会員で構成される同協会は、全国ネットワークを活かし、交流・研修事業や、研究・調査・出版事業、プロデューサー育成事業などを通してイベントの発展をリードしてきた。

 協会発足当時から指導してきた、平野繁臣会長(現代芸術研究所会長)は「発足当時はまだイベントという言葉が一般に知られていなかった。25年間、協会が成り立っているのは、社会がイベントの必要性を次第に認めてくれているから」と協会の歩みを振り返った。また「今、求められているのは公と私が共に行う、共生のためのイベント。東日本大震災を見ても、国の力だけで復興は成り立たない。みんなで力を合わせるという考え方が必要」と語った。

 清水理事長は、「バブル崩壊後、イベント業界が冬の時代を迎えたなかでも、協会はイベントの理論的整備を行い、会員の結束を固めてきた。不死身の25年だった」とあいさつ。「国の力に頼るだけでなく、イベント野郎が集まり、これからの日本を活気づけていこう」と語った。

平野繁臣会長
平野繁臣会長

 記念講演は、獨協大学の森永卓郎教授が「日本の未来を明るくするヒント」をテーマに登壇した。「国民1人当たりのGDPが日本を超えるイタリアこそ目指すモデル」と、日本人のラテン化を主張。「企業が生き残るには競合しない商品を作ることが大事」とフェンディやフェラーリなどの経営戦略を紹介した。祝賀会には約250人の関係者が出席。協会会員の斎藤寿孝&ミネストローネがハーモニカ演奏を披露した。

子供1200人に笑顔を、南相馬市でうまいもん博覧会

横山公大青年部長を囲んで
横山公大青年部長を囲んで

 全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会青年部(横山公大部長)は11月13日に、東日本大震災の被災地復興支援事業として福島県南相馬市内で、被災した小学生とその父兄約1200人を招き、「宿屋の若旦那大集合―うまいもん博覧会」を開いた。

 同イベントは、地震・津波・原発事故で甚大な心的ストレスを抱える子供たちとその父兄に対し、全国のご当地グルメ「うまいもん」や、各地の伝統文化の催し物などを満喫してもらい、少しでも「笑顔」や「元気」を届けられればとの思いで開催。南相馬市全地域の小学生約1200人が参加した。

 日本全国を10ブースに分けテントを設営し、各地のご当地グルメを提供。会場特設ブースでは、47都道府県のお菓子「夢菓子」を子供たちにプレゼントした。そのほか、那須塩原のお囃子演奏や大道芸人のパフォーマンス、シンガーソングライター村上由香氏のリサイタル、沖縄三味線演奏会、東北よさこい踊りを披露した。

ゆるキャラと一緒に戯れる
ゆるキャラと一緒に戯れる

 

大道芸に魅了される子供たち
大道芸に魅了される子供たち

 提供のご当地グルメは以下のとおり。

 【北海道ブロック】ジンギスカン【東北ブロック】リンゴジュース、ヨーグルトなどの乳製品、仙台味噌、きりたんぽ、芋煮、おでん【北関東信越ブロック】宇都宮餃子、レッド焼きそば、猪コロッケ、ポップコーン、フライドポテト【北陸ブロック】鱒寿司、蟹寿司、焼き鯖寿司【首都圏ブロック】中華点心(ちまき)、ぶどうジュース、みかん【東海ブロック】世界の山ちゃん手羽先、飛騨牛串焼き、みたらし団子、さざえ壺焼き、伊勢海老汁【近畿ブロック】柿の葉寿司、湯豆腐、蓬菜の豚まん、近江牛カレー【中国ブロック】米、フグ一夜干し、広島菜【四国ブロック】うどん、酢橘(生)、じゃこ天、鰹出汁しょうゆ【九州・沖縄ブロック】明太子ウィンナー、湯豆腐、角煮まんじゅう、熊本ラーメン、さつま揚げ、宮崎地鶏、きのこカレー、からあげ

着地型の情報共有、プラットフォーム推進機構

 着地型観光に取り組む各地の団体が情報共有するための組織として「観光地域づくりプラットフォーム推進機構」(会長=清水愼一・立教大学観光学部特任教授)が、このほど立ち上がった。事務局は日本観光振興協会が務める。着地型観光の商品造成から販売までを担う事業組織として全国に「観光地域づくりプラットフォーム」が立ち上がりつつあるが、人材育成など課題は多い。そこで、それらの組織の情報を共有することによって、課題の解決につなげていくのが推進機構の狙い。
機構の事業概要は、着地型観光や集客交流事業など観光地域づくりに関連する情報の収集、観光地域づくりプラットフォームの設立・事業推進に役立つ情報提供のためのWEBサイトの運営。また、全国のプラットフォームの経営者が集う勉強会・研修会や人材育成などに関する研究会の実施など。
今年度はWEBサイトの構築や全国観光地域づくりフォーラム(2012年3月2日予定)の開催、観光地域づくり人材に関わる資格制度の検討会の実施などを予定。
事務局=代表理事・事務局長 大社充(日本観光振興協会理事) 電話:03(6222)2534。

海外バイヤー253社が参加、トラベルマート2011開く

溝畑宏長官をセンターにテープカット
溝畑宏長官をセンターにテープカット

 観光庁は11月18―23日に「VISIT JAPANトラベルマート2011」を開き、18―21日にはファムトリップ、22―23日には商談会を実施。海外のバイヤー253社と海外のメディア28社、国内観光関係の企業・団体373社が一堂に会した。

 開会式では観光庁の溝畑宏長官、日本政府観光局(JNTO)の松山良一理事長、横浜市の林文子市長、海外バイヤーの代表、ミス日本グランプリの谷中麻里衣さんがそれぞれ、英語で歓迎と感謝の意を語った。

 海外メディア向けには、日本の観光についての記者説明会や、JR東日本特製の「駅弁」を食べながら東北新幹線はやぶさなどの説明を行ったランチョンセミナーなどを実施。商談会場では、海外のバイヤーと国内観光関係の企業や団体が商談を行った。

 ファムトリップでは、札幌・小樽・ニセコ・富良野・旭川の「北海道2泊3日」、鬼怒川・日光・スカイツリーの「関東近郊2泊3日」、東京・大阪・京都の「ゴールデンルート2泊3日」、熊本・ハウステンボス・長崎の「九州3泊4日」、「沖縄本島3泊4日」、箱根・都内の「FIT・ニューツーリズム1泊2日」、東京・大阪・京都の「メディア推奨コース3泊4日」、平泉・松島の「東北応援2泊3日」に分かれ視察を行った。

合格率25・0%に低下、11年度総合取扱管理者

 日本旅行業協会(JATA)がこのほど発表した2011年度総合旅行業務取扱管理者試験の結果によると、総受験者1万1833人のうち、合格者は2956人だった。合格率は前年度比12・1%減の25・0%と大幅に下がった。受験者数は同1518人減、合格者数は同2千人減といずれも減少に転じた。合格者数の内訳は、旅行業従事者が42・8%を占める1265人でトップ。続いて大学生が17・9%の530人、旅行関係以外の会社員が13・5%の398人の順。年齢別で最も多かったのは30―39歳で28・3%、次いで24―29歳の27・9%、19―23歳の25・7%と続く。また、最年少合格者は16歳、最年長合格者は71歳だった。
受験区分別にみると、全科目受験者の合格者は前年度から870人減の777人で、合格率は同11・1%減の12・6%。最も合格率が高かったのは、受験科目が約款のみの受験者で合格率は87・7%、合格者350人だった。
なお、試験不合格者のうち「国内旅行実務」と「海外旅行実務」の科目合格者については、来年度に限り同科目の試験が免除される。今回の該当者は合計で1407人。 

基本計画に東北復興、13、16年数値目標見直し

会見する溝畑宏長官
会見する溝畑宏長官

 観光庁では観光立国推進基本計画の見直しを進めているが、溝畑宏長官は11月18日の会見で、基本計画に福島を中心とする東北復興や、震災後に議論を中断している休暇改革について盛り込む意向を示した。年内に骨組みを固め、年度内の閣議決定を目指す。

 数値目標については、2019年に訪日外客数2500万人、その後3千万人という長期的目標については変わらないことを説明。ただし、13年に1500万人、16年に2千万人という中期的目標に関しては「原発事故の影響もあり見直しの可能性もありうる」(溝畑長官)と示唆した。また、基本計画には東北復興への支援策も重点的に盛り込む考え。溝畑長官は、「とくに福島の問題が大きく、福島の復興が大きな課題」と力を込めた。そのほか、「選択と集中」や「競争力」をポイントにあげ、「受け入れ環境の底上げも含め、アジアのマーケットのなかで日本の独自性をアピールできる競争力を身につけなくては」と語った。

 同じく基本計画に盛り込む予定という休暇改革については(1)祝日法の改正による休暇の分散化(2)家族の時間づくり(3)ポジティブ・オフ運動の3つを柱に挙げる。休暇改革では昨年度から議論を進め、全国を2、3ブロックに分け、秋に大型連休を作るという当時の民主党案で概ね固まっていたが、3月の震災を受け一時議論をストップ。溝畑長官は「ライフラインや物流が正常化した時点で議論を再開する」と話し、タイミングを見て議論を再開する方針という。

“事前通知と承諾を”、第4項追記で合意

 全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会(全旅連、佐藤信幸会長)と旅行予約サイト「じゃらんnet」を運営するリクルートは11月17日、リクルートが同サイトに掲載する旅館・ホテルのフェイスブック公式ページを一方的に作成した問題について、同サイト「宿泊施設等予約受付システム利用約款」の第21条に、掲載施設への2週間前の事前通知と承諾を得ることを明文化した第4項を追記することで合意。これをもってフェイスブック問題にはけりをつけ、お互いのさらなる発展のため協力していくことを確認した。

佐藤会長(左)と冨塚カンパニー長
佐藤会長(左)と冨塚カンパニー長

 7月1日、リクルートは旅行予約サイト「じゃらんnet」に掲載する旅館・ホテルのフェイスブック公式ページを、宿泊施設側への告知なしに一方的に作成し公開した。これに対し、旅館業界が不信感を抱き猛反発。多くの旅館・ホテルを組合員に持つ全旅連は8月19日に、公開を希望していない組合員施設のフェイスブック公式ページの削除を要求。さらに、(1)他の情報媒体に施設情報を掲載する際の、掲載2週間前までの掲載内容の通知(2)施設情報の掲載により営業活動に影響を及ぼす場合の、書面による具体的な説明(3)施設の営業活動に制限や影響を及ぼす場合の、掲載前の宿泊施設への承諾(4)21条が、リクルートが施設の営業主体を名乗り、情報を掲載することを許容するものではないこと――という4点の要望をリクルート側に通知した。

テーブルに着く全旅連側とリクルート側
テーブルに着く全旅連側とリクルート側

 9月30日には、フェイスブック公開の意思を示している宿泊施設以外の削除が完了。リクルート側から全旅連が要求した4点について協議申し入れがあり、10月19日に問題解決へ協議会を実施。協議を重ねた結果、今回の第21条への第4項追記の合意に至った。

 全旅連の佐藤会長は「4点の要望に対し誠意をもって対応をいただき、ネット販売がますます発展するよう今後、協力して協議していきたい」と語った。

 リクルートカスタマーアクションプラットフォームカンパニーの冨塚優カンパニー長は「お互いにWIN―WINの関係が作れるよう意識してやってきたが、今後、お互いと日本の観光のさらなる発展に寄与できるよう前向きに議論し、取り組んでいきたい」と語った。

 今回追記される第21条の第4項は改定日を11月18日とし、適用開始は12年1月1日となる。両者は今後、お互いの意思疎通や双方の発展のため、年4回程度の協議会を開き、コミュニケーションをはかっていくという。

 追記された第21条の第4項は以下のとおり。

 当社が第1項に規定する施設情報の利用許諾に基づき、ガイドブック等を作成する場合において、掲載施設による作成と誤認される可能性が高い方法でなされる場合には、掲載施設に対し掲載の2週間程度前をひとつの基準として、事前通知のうえ、承諾を得るものとする。

No.297 Google Insights for Search - 検索データを有効活用

Google Insights for Search
検索データを有効活用

 日々、多くの人がパソコンやモバイルで"ググる"。世界中で考えればその検索数は膨大な量になり、まとめれば最も規模の大きなマーケティング調査になり得る。それを誰でも無料で利用できるサービスが、Googleが提供する「Google Insights for Search」だ。グーグル・広告営業本部の小川淳営業統括部長は、これらのデータを有効活用することで効果的なプロモーションや集客につなげられると主張する。活用方法などを聞いた。

【聞き手=増田 剛、構成=飯塚 小牧】

<自社集客強化のツールに>

 1998年に米国で誕生したグローバル企業のGoogle。「世界中の情報を整理し、世界中の人々がアクセスできて使えるようにする」という理念のもと、検索のみならず、さまざまなサービスを展開してきた。その間、各国にも事業を拡大し、2001年8月に日本法人を設立。今年10周年を迎えた。

グーグル広告営業本部 営業統括部長
小川 淳氏

 広告営業本部の小川淳営業統括部長は旅行業、小売業などをまとめているが、そのなかでも旅行業の営業担当者は10人以上が在籍する最大規模のチームだ。「ある程度の規模がある国では、業界別に営業担当者が分かれており、新しいオフィスの立ち上げの際にはまず、旅行業の担当者が置かれます。グーグルの広告主のなかでも、重要な業界の1つです」。実際のモノを売るわけではなく体験を売るという旅行業は、ほかの業界と比べてインターネットとの相性がいいという。

 

※ 詳細は本紙1444号または日経テレコン21でお読みいただけます。