ハワイアンズ全面再開、フラガール本来の舞台へ

たくさんの笑顔であふれた「ウォーターパーク」
たくさんの笑顔であふれた「ウォーターパーク」

 昨年10月から部分営業していた福島県いわき市のスパリゾートハワイアンズは2月8日、メイン施設の屋内プール「ウォーターパーク」が復旧し、約11カ月ぶりに全館で営業を再開した。震災前から建設を進めていた120室、500人収容の新ホテル「モノリス・タワー」も同日開業した。

 午前10時の開場とともに、グランドオープンを待ち望んだファンが一斉に入場し、斎藤一彦社長やフラガールをはじめ社員総出で出迎えた。地元小学校の児童約1800人が招待を受け、早速プールに歓声があふれた。

 舞台開きでは、大河原薫福島県観光交流局長、渡辺敬夫いわき市長らを迎え、児童の代表もステージに登壇し、来場者とともに「アローハ」のかけ声でテープをカット。新たなスタートを祝った。続いて、フラガールらメンバー全員による新ステージ初のポリネシアンショーを披露。昨年10月以降、仮設ステージでパフォーマンスしていたが本来の舞台「ビーチシアター」に戻り、ファイヤーナイフダンスも、ようやく復活した。

復興への初舞台をメンバー全員で披露
復興への初舞台をメンバー全員で披露

 「ウォーターパーク」は同館の前身、常磐ハワイアンセンター開業時(1966年)から施設のシンボルとなっている全天候型の大ドーム。メインの温泉大プールや流れるプール、ウォータースライダーをはじめ、フラガールが毎日ショーを行うビーチシアターを備えている。復旧に際し、メインプールの水面高をフロア面と同じ高さにし、プールの利便性を高めたほか、ビーチシアターは観やすさを向上させるため、広さを約1・5倍に拡張した。

 施設を運営する常磐興産は、3年後の2014年に震災前の年間来館者(日帰り145万人、宿泊40万)に戻す計画を掲げる。斎藤社長は「子供たちの笑顔が風評被害払しょくの一番の力になると思う。一日も早く福島に人の流れをつくりたい」と復興に向けて邁進する決意を語った。

九州新幹線関連ワード増加、グーグル 2011年の旅行業界検索キーワード

 グーグルはこのほど、2011年の旅行業界検索キーワード動向を発表した。旅行情報をオンラインで検索する率が年々高まるなか、旅行業界関連の検索キーワード(旅行系ワード)が、どのように検索されたかを通じて、11年の旅行業界を振り返るという試み。

 これによると、前年(10年)と比較して検索ボリュームが急上昇したワードは、「福岡観光スポット」「九州新幹線」「小笠原諸島ツアー」「平泉観光」「ボランティアツアー」「ANA787」などで、九州新幹線開通による九州各地の観光情報や、ユネスコ世界遺産登録による小笠原や平泉への関心の高まり、さらには震災後のツアーを利用したボランティア参加など、社会的な動向と観光が強く結びついていることがわかる。

 旅行形態では、「女 一人旅」が前年比74%増、「妊婦旅行」が同34%増など、女性旅行者の増加が伺える。また、「団体旅行」が同8%減に対し、「子連れ旅行」は同98%増、「家族旅行」も同38%増となった。さらに「カップル旅行」が前年に比べ約3倍、「新婚旅行」も同20%程度増加していることから、これらデータをもとに今後の旅行動向を推測することも可能だ。

 方面別では、海外は韓国・台湾などアジア圏や、ハワイ・グアムなどが多く検索され、国内では西日本や九州、沖縄などが多かったという。 

11年度合格者は894人、通訳案内士試験

 日本政府観光局(JNTO、松山良一理事長)はこのほど、2011年度通訳案内士試験の最終合格者を発表。総受験者数5485人のうち合格者は894人、合格率は16・3%となった。また、合格者のうち、外国籍の人は120人(構成比13・4%)。

 言語別の内訳は、英語が467人(合格率14・6%)、中国語が163人(同14・8%)、韓国語が100人(同18・0%)、フランス語が61人(同27・7%)、スペイン語が43人(同30・3%)、イタリア語が20人(同32・8%)、ドイツ語が18人(同25・7%)、ロシア語が15人(同18・3%)、ポルトガル語が5人(同11・9%)、タイ語が2人(同15・4%)。

 年齢別にみると、40代が255人(構成比28・5%)と最も多く、30代が247人(同27・6%)、50代が185人(同20・7%)、20代が114人(同12・8%)、60代が80人(同8・9%)、70代が10人(同1・1%)、10代が3人(同0・3%)と続く。

 なお、通訳案内士試験は通訳案内士法に基づき、JNTOが国の試験事務代行機関として毎年1回実施。試験は外国語(10言語)および日本地理、日本歴史、一般常識に関する筆記試験(1次試験)と、外国語による口述試験(2次試験)により行われる。 

土地問題解決の手段にも、「星のや 竹富島」6月1日開業

左から星野社長、上勢頭公民館長、星のや竹富島の澤田裕一支配人
左から星野社長、上勢頭公民館長、
星のや竹富島の澤田裕一支配人

 星野リゾート(星野佳路社長)は6月1日、沖縄県・八重山諸島の竹富島に「星のや 竹富島」を開業する。1月19日、都内で行われたプレス説明会で星野社長は、開業に至るまでの経緯を語った。星のや竹富島予定地(7ヘクタール)を含む、島全体の6分の1に相当する83ヘクタールの土地は、外国資本などが入り、所有者が変転する問題を抱えている。1970年、沖縄返還の動きに合わせ、本土企業が買収。一旦、島内企業の南西観光が買い戻したが、現在は抵当権が外資系ファンドに移転し、転売の可能性が出てきていた。星のや竹富島の計画は、南西観光から星野リゾートに土地問題について相談があったことから始まる。当初は星野リゾート進出に対する島民の反発もあったが、8回にわたる現地説明会を実施するなどして、理解を得ていった。プレス説明会に出席した島の自治組織「公民館」の上勢頭保館長も、途中から反対派の住民を説得する側に回ったという。星野社長は「この事業で土地を買い戻し、借金を返済し終わると、島に土地のコントロール権を渡していくスキームを提案した。収益をあげ、借金を返していくことが大事。どこまで観光が地域に貢献できるか。大きな視点で頑張りたい」と語った。

建物は島の風景に溶け込むように配慮した
建物は島の風景に溶け込むように配慮した

 星のや竹富島のテーマは「離島の集落」。重要伝統的建造物保存地区に選定されている竹富島の風景に溶け込むように配慮した。庭を有する平屋建ての48棟からなり、客室はグックと呼ばれる石垣に囲まれ、赤瓦の屋根には一つひとつ表情の異なるシーサーが鎮座する。すべての客室は南(南西)向きに建ち、南側のリビング(風の間)は全面開放し、庇で強い日差しを遮りながら、心地よい風や、外の気配を感じられる空間にした。敷地の中央には、大きくくぼんだ楕円のプールを設置。井戸を囲むように暮らしてきた島の生活文化にヒントを得た。

 料理は石垣島の漁港に揚がる新鮮な魚介類や、八重山諸島特有の食材を用いた「琉球ヌーヴェル」を提供する。島の西桟橋からの朝陽、夕陽の眺めは有名で、この案内は毎日行うほか、水牛車での朝の散歩、島民と歩く島巡りなど、さまざまな島の過ごし方を提案する。泊食分離方式で、宿泊料金は2万7千円―5万4千円(2人利用時1人料金)。アクセスは石垣島離島ターミナルから高速フェリーで10分。

復興元年の年に、商都らしい仙台目指す

奥山恵美子市長
奥山恵美子市長

 宮城県仙台市(奥山恵美子市長)と仙台商工会議所(鎌田宏会頭)は2月3日、東京都内のホテルで「2012仙台の夕べ~感謝…そして復興へ~」を開いた。そのなかで奥山市長は「今年は復興元年の年。失われたふるさとをもう一度自分たちの手に取り戻したい」とし、「商都らしい仙台の復興を目指す」と力強く語った。

 同会は同市が政令指定都市になって以来開催しているもので、今年で22年目。今回は昨年の東日本大震災への支援の感謝として、首都圏の外国機関や企業、官公庁など幅広い関係者約1千人を招待した。

 奥山市長は「今年4月から始まるプレデスティネーションキャンペーンや盛岡で開催する東北6魂祭などを通じ、東北の力を結集して乗り越えたい」とあいさつ。震災後の状況や復興への取り組みについても、「震災復興への挑戦」と題して自らプレゼンテーションを行った。また、鎌田会頭は東北博や盛岡DCの開催などをあげ「夏場にかけてさまざまな取り組みがある。昨年は多くの方に支援で来ていただいたが、今年も東北各地にでかけていただけると、我われの復興の励みになる」と呼び掛けた。

女将らが出迎え
女将らが出迎え

 会場入り口では女将らが出迎えたほか、ステージにはおもてなし集団の「伊達武将隊」が登場して場を盛り上げた。終了後は会場を移して仙台フィルハーモニーによる「絆」コンサートを開き、参加者に支援への感謝を示した。

タイへ120万人目標、共同で復興支援策展開

金井会長(左)と、アカポール総裁
金井会長(左)と、
アカポール総裁

 日本旅行業協会(JATA)とタイ国コンベンション&エキジビション・ビューロー(TCEB)は2月7日、タイ洪水の影響から延期や中止になった団体旅行の復活やさらなる拡大をはかるため、共同で復興支援策を展開すると発表した。今年の日本人訪問者数の目標は前年比6・5%増の120万人を目指す。

 同日、東京都内のホテルで記者懇談会を開き、JATAの金井耿会長やTCEBのアカポールソラスチャート総裁が展開内容を説明した。金井会長は「全体として海外への旅行者数が戻りつつあるなか、洪水により減少したタイへの旅行者数も今回の取り組みで戻していき、トータルのアウトバンドの数を増やすことにつなげていきたい」と意気込みを語った。

 アカポール総裁は「タイにとって日本の観光客は重要」とし、観光地や施設などの回復を強調した。また、「MICEシティとしてアピールしており、MICEは空港での入国手続きが簡単になる工夫もある」とMICEに特化した取り組みを紹介。TCEBへの連絡で対応できるという。

 復興支援策は、業界用団体旅行促進プランとして、洪水被害で取消や敬遠された団体の復活と新規の団体旅行の需要促進を目的に、とくにMICEのインセンティブに特化した支援策を展開。タイの関係者が来日し、すでに東京と大阪でワークショップ&セミナーを開いたほか、ここで得た知識を生かせるように、3月は実体験を盛り込んだ現地研修旅行を実施する。一般消費者へのキャンペーンとしては、羽田空港と成田空港のキャンペーンのなかでアピールしていく。

共同サイト開設へ、東京の総合案内所27社

 東京総合案内所共同サイトが、案内所相互の情報交換や、名簿の発行などを目的に、3月に開設する運びになった。

 同サイトは、「東京総合案内所連合会」(会長代行=山内一広新橋会所長)が運営するもので、ジャパントータルソリューションズ「遊~楽ネット」(旅行社専用団体見積もりサイト)に委託。1月末現在27社が参加。

 同サイトは、各県・温泉地別の施設一覧に案内所名を表記、リンクして移動する。案内所頁には住所、電話、FAX番号等のデータを表記され、ブログを利用してPRができる。

 有料会員は、旅館一覧から自社の案内所頁に移動。自社の頁から、施設ホームページに誘導や、メールを受け取ることが可能。3月に設立総会を開き、正式に発足する。

 詳細は、事務局を務める新橋会へ。電話:03(3580)7681 、URL http://www.tokyo-soan.jp/ 

中部9県観光ルート「昇龍道」、認知度向上で中国人誘客へ

 中部運輸局は1月23日、中部9県(愛知、三重、岐阜、静岡、富山、石川、福井、長野、滋賀)の観光名所を南北に結ぶ観光ルートを「昇龍道」と名づけ中国、台湾、香港など中華圏に売り込むプロジェクトを始めた。中国人観光客の旅先として圧倒的人気があるのは東京―大阪間のゴールデンルート。「昇龍道」というキャッチコピーで中部地域の認知度向上をはかり、インバウンド増加につなげる。

 「昇龍道」は、能登半島から、金沢、白川郷、高山、下呂温泉、名古屋城、伊勢神宮などを通り、セントレア空港にわたる南北の軸を龍の姿に見立てた。エリア近辺には能登空港や、小松空港、富山空港、富士山静岡空港など、国際便が乗り入れる空港が点在。イン・アウトさまざまな組み合わせの新たな旅行商品造成が活発になりそうだ。

 中部運輸局は昇龍道プロジェクトの一環として、2月11―15日、台湾から旅行会社・メディアを招請した。台湾については日台オープンスカイにより3月25日から、中華航空が富士山静岡空港、富山空港に新規就航し、中部国際空港に増便することが決まっている。昇龍道にかかわる招請は2月に香港、3月に中国からも予定している。

 名鉄グループは中国版のパンフレットを作成するなど、売り込みに積極的だ。名鉄百貨店(名古屋市)は、4階に直結する乗合バス専用の名鉄バスセンターを、インバウンド団体のバスに限り開放する。百貨店内で銀聯カードが利用できるのはもちろん、中国人スタッフ3人を配置した6階のカスタマーサロンで免税手続を行うなど、買い物がしやすい環境を整える。屋上のガーデンカフェでは、温かい食べ物が好みという中国人観光客のニーズにあわせ、メニューを開発した。

 中国人団体客の事前予約は百貨店で受け付け、旅行会社またはガイドへのコミッションの支払いも行う。 

温泉への影響前提に議論を―地熱発電

佐藤好億副会長・地熱対策特別委員長があいさつ
佐藤好億副会長・地熱対策特別委員長があいさつ

<日本温泉協会が全国の意見集約へ>

 日本温泉協会(廣川允彦会長)は2月13日、東京都内で県温泉協会連絡会議を開いた。環境省が2月3―22日まで「温泉資源保護に関するガイドライン(地熱発電関係)」(案)に関するパブリックコメントの募集を行っており、日本温泉協会としての意見の集約と、今後の対応について議論した。

 2010年6月18日、「再生可能エネルギーの導入促進に向けた規制の見直し(自然公園・温泉地域等における風力・地熱発電の設置許可の早期化・柔軟化等)」が閣議決定された。これを受けて、環境省は地熱発電を推進するための掘削許可の判断基準の考え方を策定するガイドラインをつくる検討会を2つ作った。1つは「地熱資源開発に係る温泉・地下水への影響検討会」と、もう1つは「地熱発電事業に係わる自然環境影響検討会」。このほど、地熱資源開発に係る温泉・地下水への影響検討会の「温泉資源保護に関するガイドライン(地熱発電関係)」(案)がまとまり、中央環境審議会を経て2月3―22日までパブリックコメントの募集が行われている。

 連絡会議では、各県の温泉協会の代表や学術部委員から、「ガイドラインを各県の許可をする担当者が見ても、数値などがまったく示されていないので、どう対応していいのか判断に困るだろう」という意見や、「地下にあるのが熱水で、地上に出たのが温泉。同じものであるのに、ガイドラインでは熱水と温泉が別なものであるかのように扱われている」というような見解も示された。また、「県境の場合、隣県の調査が行われないのではないか」というような問題も議題に上がった。

 さらに、「開発側からは『温泉に影響を与えるデータがない』と言われるが、日本温泉協会としては『温泉への影響のおそれがあるという前提で考えていただかなくては困る』」という立場で意見を集約する考えだ。

 佐藤好億副会長・地熱対策特別委員長は「環境省のパブリックコメントに対して、各県温泉協会の個別の意見と、日本温泉協会としてまとめたものを提出したい」と語った。

No.302 日系3社就航で「LCC元年」 - LCCが観光産業に与える影響

日系3社就航で「LCC元年」
LCCが観光産業に与える影響

 数年前から海外企業は進出していたが、日系のローコスト・キャリア(LCC)3社が年内の就航を発表している今年、日本は「LCC元年」といわれる。ヨーロッパの航空や交通事情などに明るい跡見学園女子大学の学長で教授・商学博士の山田徹雄氏によると、LCCはアメリカで生まれてイギリスで育ち、ヨーロッパ各国で発展してアジアに到来したという。ようやくその流れが到達した日本。遅れてきたLCCは日本の観光産業にどのような影響を与えるのだろうか。

【飯塚 小牧】

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◆LCCの歴史的背景

 LCCが最初に登場したのはアメリカだ。伝統的航空会社などによるカルテル料金の維持や1970年代の航空自由化に端を発し、サウスウェスト航空がLCCの原型となるビジネスモデルを構築した。サウスウェスト航空は最初のLCCではないが、短距離の直行便や同一機材の利用でコストを下げること、折り返し時間の短縮、機内サービスのカット(ノン・フリル)、副次的空港の利用、客室乗務員のマルチジョブ制などのモデルを完成させた。

跡見学園女子大学 学長
山田 徹雄(やまだ・てつお)氏

 

 

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