国内も最低価格保証、国内宿泊1円CPを実施(エクスペディアジャパン)

三島健代表
三島健代表

 世界30カ国でオンライン旅行サイトを展開するエクスペディアジャパンはこのほど、海外ホテルに続き、取り扱うすべての国内ホテルでも最低価格保証を始めた。

 同一条件での比較で、他サイトよりもホテルの値段が高かった場合、予約後30日以内に申請すると、差額の返金に加え、エクスペディアで次回の海外ホテル、海外ツアー予約時に使える5千円分のクーポンがプレゼントされる。対象ホテルはエクスペディアジャパンのサイト上で予約可能なすべての国内ホテル。ただし、JTBとの提携で今夏から提供を始める宿泊施設7千軒については、別サイトを作る予定で、最低価格保証の対象外となる。価格比較の対象となるウェブサイトは日本円で料金を提供しているサイトで、即時予約が可能なホテル、部屋が対象。

 4月8日の会見で、エアアジアエクスペディアジャパンの三島健代表は、同社サイトを利用した国内宿泊旅行者は毎年2倍の勢いで伸びていることを報告。提供施設数については「数千軒」と言明を避けたが、「年々増えている」と自信をのぞかせた。価格勝負ができる理由に、「世界で3兆円を超える取扱量」と「スケールの大きさ」をあげた。また、ネットエージェントのシェアについては「まだまだシェアについて話せるほどまでには至っていない」としたが、「3―4年後には国内のプレイヤーの一角にはなりたい」と展望を語った。

 エアアジアエクスペディアジャパンマーケティングディレクター東アジアの木村奈津子氏は「これまでは、安いホテルをボトム価格で提供しているというイメージを持たれがちだったが、今回の最低価格保証制度で今まで手が届かなかった高級ホテルにも手ごろな最低価格で泊まってもらいたい」と語った。木村氏によると、提供施設は現在、シティホテルが中心で旅館は含まれていないというが、「今後は旅館なども含めて提供施設を拡大していきたい」と話す。

 なお、返金差額はホテル側ではなく同社が負担をするが、今後はその差額を考慮したうえでホテル側と料金設定の交渉をしていくという。

 同社では、国内最低価格保証を記念し、現在全国5都市・限定300室を対象とした「国内ホテル1円セール」を実施中だ。第1弾の東京、第2弾の京都・大阪に続き、第3弾の沖縄・札幌は4月22日の午前0時に発売を開始する。

“コード”を業界全体に、旅行会社が取り組むべきCSR

JATA・米谷氏
JATA・米谷氏

JATA CSRセミナー

 日本旅行業協会(JATA)は3月14日、東京都港区のユニセフハウスで、「持続的な企業発展のために旅行会社が取り組むべきCSRとは」をテーマにセミナーを開いた。国際連合児童基金(ユニセフ)などが観光地などでの子供買春を根絶するために推進する、旅行会社の取り組み「コードプロジェクト」に関連する講演などを実施し、実態を学んだ。日本では2005年からコードを開始し、現在はJATA会員を中心に約90社が参加しているが、今後、JATAは会員をはじめ、業界全体に取り組みを広げていきたい考えだ。
【飯塚 小牧】

 冒頭、JATAの米谷寛美総合企画部長(開催時役職)はコードの経緯などを説明。それによると、国際的な取り組みの始まりは、1996年にストックホルムで開かれた旅行・観光での性的搾取から子供を保護するための行動規範に関する国際会議。そのなかで、悪の根源はインターネットと旅行会社だという意見や、その最たる国は日本だという声もあったという。報告を受けたJATAは反論していたが、それだけではなく、積極的に根絶に向けた取り組みを行い、企業的責任を果たしたうえで、世界の観光の健全な発展に資するべきだと判断。2005年に世界のコード機関と合意書を取り交わし、日本でコードの取り組みを開始した。

 米谷部長は「世界的に子供の人身売買や児童ポルノの事件・ニュースは後を絶たない。海外の調査で日本は子供を人身売買から守る法的な枠組みや政策、国際基準が不十分で意識も低いと指摘されている」と社会全体の問題点を示した。旅行業にとっては旅先で顧客が知らない間に犯罪に関与するケースもあり、「無関心では企業イメージのダウンや損失につながる可能性がある」と言及。「ボランティア色の強かったCSRから一歩踏み込んだ活動だが、率先して旅行業全体で取り組み、子供の悲劇を少しでも減らしたい」と意気込みを語った。

原幸太郎氏
原幸太郎氏

 セミナーは3人の講師が登壇し、現状や取り組みについて講演した。1人目の講師は警察庁生活安全局少年課児童ポルノ対策官の原幸太郎氏。原氏は「児童ポルノ」に関する検挙件数が2002年の189件から10年後の2012年には1596件に増加し、そのうちインターネット関連事件が84・5%を占める現状などを報告。被害児童の約半数が13歳以下の低年齢児童で、その8割は強姦・強制わいせつのうえに画像を撮影されている悲惨な実態を示し、「ネットのなかの画像はコピーが世界中に渡ってしまうこともあり回収が困難で、長年にわたり精神的苦痛が続く」と語った。

 児童ポルノの取り締まりにおける日本の課題は単純所持の処罰化だ。国会でも度々議論されているが、現行の法律では個人的な所持は処罰の対象とはならない。一方、欧米諸国では単純所持も処罰化しているため、「例えば海外でツアー顧客のなかに所持している人がいた場合、旅行会社の皆さんの関与も確認される場合がある。海外はコンプライアンスを重視するので、『顧客の手荷物検査はできない』と訴えても、それが重なれば評価が下がることは否定できない」と注意を促した。

吉田奨氏
吉田奨氏

 2人目の講師、ヤフー政策企画本部ネットセーフティ企画室室長の吉田奨氏は青少年が安心して利用できるインターネット環境づくりに向けた取り組みを紹介。同社は広告やコミック、動画、オークションなどそれぞれのサービスで適正化と悪用防止対策を実施している。業界全体では、主要なプロバイダー企業やモバイル企業など87社が加盟する「インターネットコンテンツセーフティ協会」で取り組みを推進。吉田氏が事務局長を務める同協会は、児童ポルノ画像が掲載されたサイトのアドレスリスト作成・管理や提供などを行い、インターネット上の児童ポルノ画像の流通や閲覧防止対策を国などと連携して行っている。

 吉田氏はこのような取り組みに力を入れる理由について「日本でサービスを提供している以上、『児童ポルノ大国』という批判に対し、仮に国内サーバーにデータが蔵置されているのであれば地道に消すなど世界に誇れる対策で汚名を返上したい。また、ネットに対する批判は長期的に見てビジネスを阻害する要因になると考えている。CSRの観点でも、例えば植林よりも、本業領域で我われにしかできないことのほうが優先されるのではないか」と述べた。今後についても「業界内では積極的でないところもあるが、引きずってでも参画してもらわないと、ネット全体が批判を受ける。業界のリーディングカンパニーとして、積極的にイニシアティブを取っていく」と強調した。

佐伯摩耶氏
佐伯摩耶氏

 最後は、日本ユニセフ協会広報・アドボカシー推進室アドボカシー担当の佐伯摩耶氏が、世界の企業が子供の権利をどのように考え、企業活動を行っているかを語った。

 佐伯氏はコードの主旨を「加害者や特定の誰かを責めるものではない。大切なのはどうやって子供を守るのか。いくらでも止める機会はあるはずだ」と前置きしたうえで、コードの取り組みが進んでいるドイツの推進体制を紹介。政府をあげて取り組んでいるドイツは、3つの省庁が協力してバックアップしているほか、民間でも旅行会社の約80%がコードに参加している。その背景には国民の意識の高さがあり、顧客が旅行会社の窓口で「あなたの会社は、コードをしているか」と尋ねるほどだという。

 そのなかでも、ドイツの旅行会社で世界企業のTUIは熱心で、担当者のショーン・オーウェンズ氏が自社内の年次報告を世界中から集め、編集して世界のコード機関に提出している。「彼になぜそこまでするかを聞くと『私たちの大切なお客様が訪れようとする国や地域が“子供売春地”として有名だったら私たちが困る。私は世界の“風景”を変えたい』と答えが返ってきた」と印象的なエピソードを語った。

 講演を受け、米谷部長は「現状、広がりが見えていないので、活動をリセットし、日本の旅行業全体で契約を結び活動を進めたい。少なくともJATAの会員には意識を持ってもらい、参加してもらうように呼び掛けていく。厳しい情勢で意識が向かないという現実も分かるが、将来を考えれば積極的に推進するべきだ」と力を込めた。

旅行新聞創刊1500号あいさつ

業界のオピニオン紙として

旅行新聞新社代表取締役 石井 貞徳
旅行新聞新社代表取締役
石井 貞徳

 本紙は1975(昭和50)年の4月に創刊以来、2013年4月21日号をもちまして1500号を迎えることになりました。これも、ひとえに観光関係者のご支援ご鞭撻の賜物と深謝申し上げます。

 創刊時は国内・海外の情報を掲載する観光業界の週刊専門紙として発行致しました。この間、紆余曲折を経て、現在は“業界人のための業界専門紙”として月3回、旬刊「旅行新聞」を発行しており、多くの観光業界人に評価をいただけるようになりました。

 現在は韓国の「旅行新聞」、台湾の「トラベルリッチ・旅奇」など海外メディアとも連携しており、今後はワールドワイドの記事を提供していきたいと考えております。

 また、新聞発行の周知をはかるため、創刊翌年の76年1月に第1回「プロが選ぶ日本のホテル・旅館100選」をスタートさせ、今年で38年目を迎えることができました。観光業界において長い歴史を刻むことができた「プロが選ぶ日本のホテル・旅館100選」は、現在「プロが選ぶ観光・食事、土産物施設100選」や「プロが選ぶ優良観光バス30選」「選考審査委員特別賞 日本の小宿」そして「もてなしの達人」「優秀バスガイド」と幅広い賞を持つイベントとして育って参りました。

 このほかにも、「全国旅館おかみの集い(全国女将サミット)」や「売り場が変わるプロジェクト」「ピンクリボンのお宿ネットワーク」などを展開しており、今後もウェブへの取り組み強化など、事業を拡大し、観光業界発展のために努力していきたいと考えております。

 今、日本経済の活性化に必要不可欠なのは観光振興です。今後の国内の人口減少・高齢化を考えると、観光での交流人口拡大による地域活性化や諸外国への幅広い対応なくして成長は見込めません。我われはその一助となるべく、観光業界のオピニオン紙として、さまざまな情報や、動向、調査データを的確に報道し、識者などの意見を取り上げ、問題点を明らかにして業界発展のために寄与して参ります。

 1500号の節目にあたり、観光立国の実現に向けて、社員一同、今一度初心にかえり、皆様方のご期待にお応えできますよう邁進致す所存でございます。

 今後とも何卒倍旧のご高配を賜りますよう、伏してお願い申し上げます。

No.338 「女将のこえ」150回記念 第1弾 - 150人に30項目のアンケート実施

「女将のこえ」150回記念 第1弾
150人に30項目のアンケート実施

 本紙で連載中の「女将のこえ」(毎月21日付)が、今年3月に150回を迎えた。女将の方々の協力のもと、2000年6月の初回からさまざまな女将人生を紹介し、共感を得てきた。人の喜びを自らの喜びとする心は不変である一方、13年間で旅館・ホテルを取り巻く環境は様変わりしてきた。そこで、連載150回を機に、筆者の瀬戸川礼子氏と本紙編集部の共同企画として、30項目にわたるアンケートを実施。分析・発表することで、よりよい経営に役立ててもらうことを目的とした。瀬戸川氏の執筆で3回に分けて紹介する。今回は第1弾。

【編集部】

【瀬戸川礼子氏と本紙編集部 共同企画】

≪女将100人の回答を分析≫

 「女将のこえ」150回記念アンケートは、女将の手元に届いた140通を母数とすると、71・4%もの高い回収率となった。多忙ななか、30項目にもわたる質問に快く回答いただいたことを改めて感謝したい。

 アンケートには、日ごろの女将インタビューを通じて得られた「ほかの人はどう考えているのか」、「実際はどうなのか」といった疑問も盛り込んだ。分析・まとめを発表することで協力に報いたいと思う。

瀬戸川 礼子氏:ジャーナリスト・中小企業診断士。初回から本紙「女将のこえ」を担当。女将取材をライフワークとする。また、社員満足・顧客満足を主題に、あらゆる業種・企業の取材・講演・コンサル活動を行なっている。著書に『顧客満足を生み出す仕組み』(同友館)、『グレートスモールカンパニー』(現代書林)ほか。

※ 詳細は本紙1500号または4月25日以降日経テレコン21でお読みいただけます。

のんびりできない温泉地 ― 弱点の昼間で勝負決まる

 「温泉地でのんびりしたい」と思うのは、きっと多くの人々の共通の願いである。しかし、現実は、ほとんどの温泉地ではのんびりなどできないのである。悲しいけれど、むしろ東京や大阪のほうが、のんびり、ゆったりできる。

 私はドライブ旅行が好きで、日本中、あちこち旅をする。とくに好きなのは田舎道である。クルマの窓を開け、季節を感じる風の匂いを吸い込みながら、ゆっくりと走るのが好きである。温泉も大好きなので、道路脇の看板に温泉地の地名が現れると、寄らずにいられない。古くから湧く温泉地の歴史の象徴である共同浴場や、秘湯と呼ばれる宿で個性的な湯を自然の中で楽しむ。そこまでは、文句のつけようのない半日である。

 旅の大きな楽しみの一つに食事がある。ハンドルを握りながら、「何か美味しいものを食べよう」と道の左右を探すのだが、いつだってチェーン店以外はあまり見つからない。幾つかの廃屋になったままのレストランが続き、やがて山の中に向かい、温泉地に到着する。「温泉地には1軒くらいまともなレストランはあるだろう」と淡い期待をしながら探すのだが、大抵、見事にその期待は裏切られてしまう。温泉地で美味しいランチを食べるということは、それほど難しいことなのである。

 ミシュランも、東京や関西をはじめ、主要都市部・観光地で星付きレストランを紹介しているが、日本の田舎道で“きらりと光る”レストランを網羅するのはまだまだ時間がかかる。

 温泉地の弱点は昼間である。観光地としては、最も多くの人でにぎわうはずの時間帯が、“ゴーストタウン化”してしまっている温泉地を数多く見てきた。夕方遅くお客が来て、早朝に去って行く。温泉地は夜だけの顔で今後も存続していけるのだろうか。活気のある温泉地は、昼間だってにぎわっている。

 長野県・戸倉上山田温泉は、4月から毎月26日の昼間に、旅館のお風呂を無料開放する。旅館にとってのメリットは何か。滝の湯の武井功氏は「昼間の時間帯に温泉街に活気が出る。宿が地元の食事処のマップを配ることで、滞在時間が増える。また、地域の人にも自分の宿を知っていただく機会となり、旅人との会話の中で宿を紹介してもらえる」と語る。勝負の分かれ目は、午前10時から午後3時である。

(編集長・増田 剛)

銀座に旗艦店オープン、ウェディング4社と共同で(JTB首都圏)

生田亨JTB首都圏社長
生田亨JTB首都圏社長

 JTB首都圏(生田亨社長)はこのほど、ウェディング専門店「ウエディングプラザ銀座本店」をオープンした。同店は、1都3県の主要エリアの店舗内にあるウエディングプラザ、ウエディングデスク10拠点の旗艦店としての機能を担う。

 同店は、海外現地で運営しているウェディング会社のワタベウェディング、アールイズウエディング、ワールドブライダル、TAKAMI BRIDALと共同で運営。生田社長は「式場を決めるまではJTBが強いが、ドレスや食事などパーツは専門のウェディング会社の方が情報をたくさん持っており、4社と共同でより多くの情報を提供していきたい」と語った。1つの店舗で旅行と挙式の両部門をトータルにサポートできる体制を目指し、7つのブースとウェディング会社それぞれ1ブースずつの計11ブースで対応をする。

 JTB首都圏の取り扱いは、方面別ではハワイが61%、グアムが24%、バリが5%と、リゾートウェディングだけで9割を占める。同店オープンにより、3年後にはウェディングを年間取り扱い3千組から4千組、ハネムーンを2万組から2万5千組への大幅アップを目指す。

観光地支援の公募、締切4月19日まで(観光庁)

 観光庁はこのほど、13年度新規事業となる、地域独自の「ブランド」の確立を通じた日本の顔となる観光地域創出に向けた地域の取り組みを支援する「観光地域ブランド確立支援事業」の公募を始めた。

 補助額は、観光地域ブランド基盤づくり支援に係る経費補助が上限500万円で、観光地域ブランド確立支援に係る経費補助が事業費の4割。補助対象事業者は、観光圏整備法にもとづき作成され、認定を受けた観光圏整備実施計画に記載されている「観光地域づくりプラットフォーム」。締め切りは4月19日で、補助金交付の決定は5月を予定している。

 同事業は、13年度予算で3億4300万円を計上。国内外から選好される国際競争力の高い魅力ある観光地域づくりの促進を狙う。

翻訳版「100選」冊子を発刊、韓国・台湾・香港の旅行会社に配布

ハングルと繁体字の2版で発行
ハングルと繁体字の2版で発行

 旅行新聞新社は、今年1月に発表した第38回「プロが選ぶ日本のホテル・旅館100選」(以下、旅館100選)のランキング一覧や入選施設の情報を翻訳した冊子を発行し、韓国・台湾・香港の旅行会社など約2300社に無償配布しました。

 本社主催の旅館100選は、今年1月の発表で38回を数え、観光業界の新春恒例事業として広く認知いただくようになりました。旅行商品造成はもちろん、さまざまな企業様の販売促進キャンペーンなどにも活用頂いております。今年は、旅館100選の事業価値をさらに高めるため、ロゴマークも刷新し、ご案内させていただきました。

 翻訳版「旅館100選」冊子を発行は昨年に続き2回目となります。繁体字版・ハングル版の2版の翻訳版「旅館100選」冊子を発行し、4月上旬に国際郵便で韓国、台湾、香港の旅行会社(訪日旅行資格を持った正規旅行会社)・旅行関連団体、約2300カ所に無償配布しました。本紙購読の皆様には、見本として「繁体字」版をお届けしましたのでご覧ください。

「リメンバー九州」開始、シニア世代に懐かしの旅

パンフレット
パンフレット

JR西日本と5県が共同

 JR西日本は3月21日、長崎、熊本、大分、宮崎、鹿児島県を対象にした「リメンバー九州」キャンペーンを4月1日から1年間、5県と共同で実施すると発表した。かつて新婚旅行や修学旅行で九州を訪れたシニア、団塊世代の旅行需要を拡大するのが狙い。

 プロモーションでは団塊世代に人気の歌手・谷村新司夫妻を起用し、テレビCMやポスターなどで思い出深い九州への旅を訴えかける。

 JR西日本管内と中京圏のJTB、日旅、近ツー3社などがキャンペーン専用の商品を造成して送客を強化。さらに宮崎、熊本、鹿児島エリアではANA、JALと連携して、伊丹―宮崎便を利用した片道航空機、片道JRの商品(宿泊地は宮崎県内および鹿児島県霧島エリア)も9月30日まで設定した。3社連携は初の試み。

 旅行商品の購入者には「引換券」を渡し、駅の観光案内所などで九州の観光情報を満載した「九州5県パスポート」と1945年から現在までの写真を記載した特製カレンダーをプレゼントする。

 パスポートには長崎の吹きガラス、熊本の辛子れんこんづくり体験、宮崎焼酎ミニボトルなど5県のプレゼント特典も付く。宿泊施設では、希望の記念日当時の地元紙1面記事もプレゼントされる。思い出写真の提示で受けられる特典や昔懐かしい料理も味わえる。このほか、観光地スタンプラリーも実施。昔懐かしい駅弁も販売する。着地でのまち歩きや温泉巡り情報なども提供する。

 JR西日本の黒田岳司九州営業部長は「JR西日本としてもターゲットを明確にしたキャンペーンは初めて。シニア、団塊世代にしっかり訴えていきたい」と意気込みを語った。

5県のゆるキャラ登場
5県のゆるキャラ登場

 同日は5県のゆるキャラも勢ぞろい。オリジナルポーズを決めて、キャンペーン盛り上げに一役かった。

ガイドライン周知を、ハンデ旅行者の対応検討(TCSA)

山田隆英会長(左)、三橋滋子事務理事
山田隆英会長(左)、三橋滋子事務理事

地位の安定・向上へ、グリーン・ブック活用訴え

グリーン・ブック
グリーン・ブック

 日本添乗サービス協会(山田隆英会長、48会員、TCSA)は3月22日、2013年度通常総会を開いた。13年度は、新規事業として派遣添乗員の業務ガイドライン(グリーン・ブック)の周知徹底と、ハンデキャップを有する旅行参加者への対応を検討していく。また、高齢化する添乗専門職の活用や、人材確保・人材育成なども引き続き展開していく方針だ。

 山田会長は「1月4日に一般社団法人として衣替えをしたが、事業内容は今までと変わらない。今後も優秀な添乗員の育成、添乗員の社会的地位の向上、TCSAと観光業界の発展に寄与していきたい」と話した。

 添乗員の地位の安定・向上の取り組みについては、「派遣添乗員の業務ガイドライン&添乗業務対応事例集 労働者派遣法改正の概要」(グリーン・ブック)の周知徹底に努め、現場での活用を協会側から訴えていく。同冊子は、2月に会員会社や関係機関に6千部を配布。労働者派遣法の改正に対応し、雇用者責任と使用者責任を明確に提示している。過去、業界内で討議した内容の再点検と原点に立ち返るツールとしての活用を求めた。

 近年、ハンデキャップを有する(障害者や要介助者)旅行参加者が多い問題を挙げ、13年度は日本旅行業協会(JATA)と協力し対応の改善策を検討することを明らかにした。三橋滋子事務理事は「一見、健常者に見えるが、目に見えないハンデキャップを持った参加者もいる。認知症の参加者が乗り継ぎ空港で行方不明になったことや、介助者自身が高齢で障害者の介助が果たせないケースなどさまざま。添乗員が介助にかかりっきりで、ツアー催行が難しくなるケースもあった。現場からは対応に苦しむ声が後をたたない」と報告した。

 同協会は、JATA社会貢献委員会に対し、介助を必要とする旅行参加者の対応について(1)旅行申込時点での情報収集(2)各社のホームページに掲載(3)メディア販売商品での確認の徹底(4)トラブルの実態内容の報告――の4点の改善を依頼。会員各社からもトラブル事例を収集し、旅行会社の個々に対しても改善を要請している。