No.449 ぐんまちゃん家、“歩くDMO”と呼ばれる男

ぐんまちゃん家
“歩くDMO”と呼ばれる男

 東京・銀座、歌舞伎座向かいにある「ぐんまちゃん家」は、県内自治体が観光情報を発信する場として、メディア関係者に認知されてきた。2階のイベントスペースは、情報交換会「サロン・ド・G」のほか、「移住定住カフェ」など多彩な顔を持つ。今回、「サロン・ド・G」の発案者でもある宮崎信雄所長に話を聞いた。自治体からマスメディアまで、幅広い人脈を持つ宮崎氏。かつては、NHK連続テレビ小説「ファイト」の招致も果たしている。行動理念やメディア対応、DMOに対する考えなど、氏の慧眼に触れるインタビューとなった。

【謝 谷楓】

 
 
 
 ――ぐんまちゃん家(ぐんま総合情報センター)の活動について。

 “群馬県に経済効果をもたらす”ことが、我われの根源的な使命です。サロン・ド・Gといった情報発信や、アンテナショップの運営、イベントの企画など多岐にわたる活動すべてが、この使命を果たすための手段となっています。

 結果にこだわることが、ぐんまちゃん家での活動の特徴です。

 情報発信だけではなく、誘客による経済効果も念頭に活動をしているのです。

 ――気をつけていることや理念とは。

 問い合わせに対し真摯に向き合い、親切な対応を心がけています。要望を断らず、“なんなりとお申し付けください”という姿勢で旅行会社や報道関係者に接することを、行動理念としてきました。

 例えば、旅行会社から宿泊施設を紹介してほしいと頼まれた際には、丁寧なヒアリングを行います。まずは、旅行会社の求める条件を十分に理解するのです。続いて施設を紹介するときも、予約の段階まで気を配り、一貫したサポートを心がけています。地域の観光協会を紹介して終わりというような、単なる橋渡しはしません。丁寧なサポートをしてはじめて、誘客増加という結果を期待できるからです。

 このように、コーディネートを重んじる行動理念は、職員間でも共有されています。それが可能となるチームワークの良さもまた、ぐんまちゃん家の特徴です。…

 

※ 詳細は本紙1657号または1月17日以降日経テレコン21でお読みいただけます。

4%増の256億円に、「観光ビジョン」の具体化へ(観光庁17年度予算)

 政府が昨年12月22日に発表した2017年度の観光庁関連予算は前年度比4・0%増の255億9900万円。内訳として一般会計が16年度の200億1500万円から同5・0%増の210億3500万円、復興枠では前年度の45億3千万円から同1・0%増の45億6500万円となった。

 17年度は昨年3月に政府が策定した「明日の日本を支える観光ビジョン」の3つの柱である、(1)観光産業の革新と国際競争力の強化(93億8200万円)(2)ストレスフリーで快適な旅行環境の実現(85億5千万円)(3)地方創生の礎となる観光資源の魅力向上(27億6100万円)――の具体化に取り組む。また、そのほかにも新たに次期通常国会への法案提出が望まれる、民泊サービスの普及(7千万円)や、昨年相次いで発生した旅行業へのサイバー攻撃に対するセキュリティー強化(1千万円)にも取り組んでいく。

 17年度予算の中で、87億100万円と、最も多くの予算が計上された「訪日プロモーションの強化」では、昨年10月30日に訪日外客数が2千万人を突破したことを踏まえ、17年度は新たなマーケットとして、欧米豪市場や、富裕層などの開拓を強化し、新規需要の創出をはかる。具体的な施策として、世界的な広告代理店を活用した質の高い訪日ブランドイメージの浸透をはかり、滞在・体験型観光を好む富裕層向けに的確な情報発信を行っていく。

 85億5千万円が計上された「ストレスフリーで快適な旅行環境の実現」では、滞在時の快適性や観光地の魅力向上をはかるため、観光案内所などに対し、デジタルサイネージの設置や、無料公衆無線LAN環境の整備などへの支援を行っていく。また調査事業も行う「ユニバーサルツーリズム促進事業」は今年度も継続していく。

 3本目の柱である「地方創生の礎となる観光資源の魅力向上」では、酒蔵や産業遺産などの特定の観光資源に魅せられて全国各地を訪れる「テーマ別観光」に1億5100万円を計上した。観光庁は16年度エコツーリズムなど7つのテーマ別観光を選定。16年度全国から多数の応募があり、特定のテーマに沿った観光で、地方への誘客がはかられていることを踏まえ、17年度は、新たにアニメーションツーリズムなど選定のテーマを増やし、さらなる地方誘客に向けた施策を講じていく。

 なお、8月24日に発表された16年度第2次補正予算は208億円で、17年度予算と合計で、463億9900万円となった。

哀悼 野口冬人さん ― 歩く後ろ姿に旅行作家の真髄を見た

 野口冬人さんが年末に亡くなった。野口さんには温泉のことや、旅について色々教わった。感謝の言葉しかない。

 最初に野口さんにお会いしたのは、私が旅行新聞に入って間もない1999年のころだ。何かのパーティーで、遅れて来た野口さんが会場の後ろの方でグラスを片手に立っていた。スーツ姿がひしめくなか、渋いジャケットを着た野口さんは、際立っていた。

 私は恐れ多くも野口さんに近づいて行った。まだ温泉のことを何も知らない業界紙の新人記者が、すでに大家となられていた野口さんに最初に尋ねた言葉は、「最近面白いと思った温泉地はどこですか?」だった。何という不躾な質問だろう。

 野口さんは、答えるに値しない、そんな漠然とした質問にも丁寧に答えてくださった。いくつかの温泉地の名前を挙げられたが、新人の私は、ほとんどの温泉地を覚えられず、そのなかで「東鳴子温泉」という名前はなぜか頭に残り、その後、何度も訪れ、その理由を探した。

 野口さんは伊豆の観音温泉にしばしば行かれていた。15年12月、観音温泉に野口冬人「温泉・山・旅」資料室がオープンしした。鈴木和江社長と野口さんの対談企画などで私も同行取材したことがある。あるとき、下田駅からの帰りに、野口さんは「久しぶりに下田に来たので、せっかくだからちょっと街を見てくる」と、東京に戻る私に告げた。相当に高齢になられていたが、背中にリュックサックを背負い、「下田の街を歩く」と言うのだ。おそらくもう何十回も下田の街を歩いて来られただろう。しかし、それでもまっすぐに帰らずに、自らの足で歩いて、何か一つでも発見して帰ろうと歩き出した後ろ姿に、旅行作家の真髄を見た気がした。

 大分県・長湯温泉のB・B・C長湯に「林の中の小さな図書館」が、ひっそりとある。野口さんが長年蒐集した山岳図書が天井高くまで並んでいる。別名「冬人庵書舎」だ。野口さんが山登りをしていたころの登山靴も展示している。私は九州の実家に帰省した折には、湯も、温泉街の雰囲気も好きな長湯温泉にときどき行くのだが、これからは、また別の意味で感慨深い温泉地となる。

 東京・高田馬場の「旅の本」に囲まれた現代旅行研究所で野口さんと旅行作家の竹村節子さんと話し込むと、近くのファミリーレストランに移動して食事をするのが決まりだった。「車イスでも食事しやすいから」と、野口さんと竹村さんはよく利用していたのだが、間もなく店が無くなるというので最後に食事をしたとき、野口さんはとても残念そうな顔をしていた。

 本紙は毎月1日号で、野口さんと竹村さんが交互に執筆する「宿にひとこと」を連載しているがこの数カ月、野口さんは休筆していた。野口さんの原稿は手書きである。専用の原稿用紙に独特の筆跡で書かれる。それを私は毎回パソコンのキーボードを叩きながら楽しんで書き写していた。初めて野口さんの原稿を見て、すぐに書き写せる人はいないだろう。私も腕を組みながら、これは「何て字だろう」と10分くらい眺めることが多々あった。一生懸命に野口さんの語り口調を思い出すうちに、天から文字が降りてくるように解読できたのは不思議だった。しかし、もうそのような努力もいらなくなったと思うと寂しい。

(編集長・増田 剛)

ツアー自粛考えず、「望みは来ていただくこと」(糸魚川市観光協会)

 新潟県糸魚川市で昨年12月22日午前10時20分ごろ、「糸魚川市駅北大火」が発生。消失面積約4万平方㍍、消失棟数144棟の被害を生み出した。これを受け糸魚川市観光協会の山下建夫会長は29日に「糸魚川市の火災についてのお願い」を発表。「フォッサマグナミュージアム」や「谷村美術館・玉翠園」などの観光施設、駅前通りに面した飲食店が平常営業をしていることを説明し、「市全体がツアーの遅延や不催行、自粛を考えていない」ことを表明した。「今、糸魚川市に来ていただくことが私たちの最高の望みであり、切なる願いです」と強く訴えた。

 今回の火災では新潟県最古の「加賀の井酒造」の酒蔵が全焼。蔵見学を中止しているほか、駅周辺のまちめぐり左方向部分ができない状況になっているが、駅前通り両脇は被害を受けていない。そのため、市内観光への不便は生じていない。

ローカル路線バスの旅

 今年1月2日に放送されたテレビ東京「ローカル路線バス乗り継ぎの旅」で、太川陽介と蛭子能収の名コンビが遂にファイナルを迎えた。2007年にスタートした同番組も足かけ10年。第25弾まで続いた人気の旅(!)番組だ。

 路線バスだけを乗り継いで3泊4日でゴールを目指すというシンプルな番組企画なのだが、毎回ガチンコの真剣勝負でハプニングの連続なのが面白い。最終回も常識で考えれば有終の美を飾って番組終了となるはずだが、結局はゴールできずに失敗で終わってしまうというのが、実にこの番組らしかった。拍手喝采。

 今春から新シリーズも始まるそうなので、太川&蛭子コンビに負けない珍道中を期待したい。そうそう、同じテレビ東京で制作が決定した「孤独のグルメ」の最新シーズンも楽しみだ。

【古沢 克昌】

責任問われる時代、16年観光産業振り返る(JATA)

越智理事・事務局長
越智理事・事務局長

 日本旅行業協会(JATA)の越智良典理事・事務局長は12月22日の定例会見で、2016年の総括を発表した。国際連合が17年を「開発のための持続可能な観光の国際年」としたことに触れ、「観光産業は環境に対する影響も含め『責任』が問われる時代になった」と振り返った。そのほか海外旅行復活や訪日旅行の個人化など、市場分析を交え説明した。

 日本人海外旅行者は16年1―11月累計で対前年5%増となった。12年の1849万人を最後に減少傾向にあったが、年間1700万人台まで増える見込み。市場を詳しくみると12年以降訪中・韓は減少傾向で、ほかの市場は09年から微増傾向だった。

 15年から16年で円高傾向となり動きが変わった。燃油サーチャージの下落も影響し、訪中・韓は回復の兆しをみせた。越智氏は「訪中・韓が戻れば1850万人はすぐに到達できる」と述べた。

 ただ16年の旅行会社の売上高は伸びが鈍く、市場の動きと乖離した。要因の1つに旅行先の変化で単価が下がったことを指摘。テロの影響などで、高単価な欧州は減少し、廉価な近隣地域が伸びたことが響いた。

 もう1つの要因に燃油サーチャージの下落を挙げた。燃油サーチャージは売上高の4―5%を占め、下落すれば基本的に減収増益となる仕組みとなっている。越智氏は「過去にも例は多くある。変化にどう対応するかが重要」と強調した。

 訪日旅行の個人化では、中国のビザを発行するために必要な、形態別身元保証書発行比率の推移を説明。14年からの2年間に訪日個人ビザの取得者は、人員ベース構成比で16・3%上昇した。5人に2人が個人ビザで日本を訪れる。越智氏は「日本人が数10年かけて行った海外旅行市場の変化を、中国人はもっと早い期間で行うはず」と分析した。

受講者216人を認定、温泉観光実践士講座開く

12回目の養成講座開く
12回目の養成講座開く

 温泉を正しく理解し、温泉観光地の活性に寄与する人材の育成を目的にした実践科目を学ぶ「温泉観光実践士養成講座」(主催・温泉観光実践士協会)が昨年12月3、4日の2日間、東京都大田区蒲田の大田区産業プラザpioで開かれた。

 全国の旅館や旅行業の従事者、観光業界への就職を目指す学生など216人が受講。2日間にわたり、「温泉地と旅行企画」(崎本武志江戸川大学准教授)や「温泉と健康」(阿岸祐幸北海道大学名誉教授)、「温泉施設とテクノロジーの融合」(藤原翔平ソフトバンクロボティクス)、「観光地・温泉地の活性化法」(遠間和広新潟県赤倉温泉観光協会長)、「温泉旅館の再生」(飯島賢二飯島経営グループ代表)、「温泉旅館の経営」(浦達雄大阪観光大学教授)など8つの講義と甘露寺泰雄中央温泉研究所専務理事の基調講演が行われた。終了後、参加者は温泉観光実践士に認定された。

 同講座は2009年に大阪観光大学でスタートし、今回が12回目。東京での開催は2回目。過去11回の講座の599人と今回の講座の216人を合わせ815人が温泉観光実践士の認定を受けた。

 今後の講座は3月25、26日に大分県別府市(場所未定)で、7月1、2日に和歌山県・花山温泉で開講する。

6月17日運行開始へ、豪華寝台列車「瑞風」(JR西日本)

トワイライトエクスプレス瑞風(イメージ=JR西日本提供)
トワイライトエクスプレス瑞風(イメージ=JR西日本提供)

 JR西日本は、豪華寝台列車「トワイライトエクスプレス瑞風(みずかぜ)」の運行を6月17日から開始すると発表した。料金はロイヤルツイン(2人利用)1泊2日で1人27万円から。6―9月出発の1期分は昨年12月5日から申し込みを受け付けており、締め切りは1月末まで。申し込み多数の場合は抽選に。

 コースは、山陰・山陽を巡る1泊2日の片道4コースと、2泊3日の周遊1コースの全5コースを設定。1泊2日の山陽コース(下り)の場合、京都・大阪を出発し途中、倉敷駅で下車し「大原美術館」、南岩国で「錦帯橋」などに立ち寄り、観光して下関に向かう。1泊2日の山陰コース(上り)は、下関を出発し、出雲で「出雲大社」、鳥取で「鳥取砂丘」などに立ち寄り、大阪・京都に向かう。

 山陽・山陰を周遊する2日3日のコースは、京都・大阪を出発し、1日目に岡山で「岡山後楽園」、2日目は宍道でたたら製鉄の遺構「菅谷たたら山内」、松江で茶の湯文化を堪能する「明々庵」、3日目は東浜で世界ジオパーク認定の「浦富海岸」に立ち寄り、京都・大阪に戻ってくる。

 山陽コースでは明石海峡や瀬戸内海、山陰コースでは余部橋梁や宍道湖など、いずれのコースも日本の原風景や美しい自然が堪能できるビュースポットがいくつも用意されている。

 料金は、6―8月出発の1泊2日(4コース共通)がロイヤルツイン(2人利用)1人27万円、ロイヤルシングル(1人利用)同33万円、ザ・スイート(2人利用)同75万円。9月出発はいずれも3万円増。2泊3日コースは、6―8月出発がツイン同50万円、シングル同62万円、スイート同120万円。9月出発はいずれも5万円増。ロイヤルシングルは2人、ザ・スイートは4人まで利用できる。

 「瑞風」は10両編成で運行。最大の特徴といえるのが、1両すべてを使ったスイート。1両1室の構成は世界的にも珍しく、バスタブ付きのバスルームを備えるなど、広さだけでなく随所にこだわりをみせている。

 料理は、フードコラムニストの門上武司氏プロデュースのもと、京都「菊乃井」3代目の村田吉弘氏ら7人による、食の匠の監修による沿線の食材を盛り込んだメニューを提供する。

昨年11月29日の発表会見
昨年11月29日の発表会見

 昨年11月29日に開いた発表会見で、同社の来島達夫社長は「瑞風は美しい日本の素晴らしさと、鉄道の旅の醍醐味を感じていただける、まったく新しい列車になる。地域の皆様と沿線の魅力を発信し、より多くの人にこの地を訪れていただき、地域全体を盛り上げていきたい」と意気込みを語った。

 また、来島社長は会見で「より多くの人に気軽に鉄道の旅を楽しんでいただけるよう、瑞風とは別の新たな長距離列車も検討している」と、さらなるクルーズ列車の導入を示唆した。

旅行取消料を免除、〝安心・頼りになる〟商品へ(ルックJTB 17年度上期)

生田亨社長
生田亨社長

 JTBワールドバケーションズ(生田亨社長)は昨年12月1日、東京都内で2017年度「ルックJTB」上期商品発表を開いた。17年度から、体調不良などさまざまな事情により、急に旅行を取り消す場合でも、「次回の旅行を予約・参加することで取消料をもらわない」制度を導入することを発表した。

 生田社長は冒頭、昨今の旅行業界の大きな特徴として、オンライン旅行会社(OTA)を中心としたダイナミックパッケージツアーが好調に推移していることを報告。この状況を踏まえ、17年度商品は「安心・頼りになるパッケージ商品の強化」をコンセプトに商品造成を行っていく。

 今年度も10年度から導入した「ルックJTB独自の旅程保証」、16年度から導入した「ルックJTB遅延お見舞金制度」を継続。これに加え、17年度は「くつろぎの旅」「心ゆく旅」「地球の詩」の3商品で、申込み前に添乗員に直接相談することができる窓口「添乗員がお答えする 旅えらび相談メール」を、すべての添乗員付きルックJTB商品には、申込み後に現地での過ごし方を添乗員に相談できる窓口「添乗員がお答えする タビマエ相談メール」をそれぞれ新設し、旅行者に安心・頼りになるサービスを提供していく。

 17年度の強化方面は昨年、日本との外交樹立50周年を迎えたシンガポール。16年度は外交関係樹立50周年記念商品としてルックJTB「GO!GO!シンガポール」を設定し、約1500人の旅行者の利用があった。17年度は同社グループ一丸となって、年間を通してシンガポールをクローズアップし、魅力ある商品を展開していく。

 生田社長は17年度の仕入れ戦略として、訪日外国人の急増により、航空座席の確保が難しくなっていることなどから、17年度も16年度に引き続き、座席数の確保に取り組み、ホールセラー商品の増設に務めていく。

 16年度の取扱見込み人員は、テロなどの外的要因があったが、日本人の出国率が伸びていることなどから前年度比5・0%増の113万8千人となる見込み。17年度は“安心〟、“頼りになる”をキーワードに商品造成を行い、同4・0%増の118万人を目指す。

羽田京急バスとアルピコ交通東京、「羽田空港―白馬線」共同運行

式典で記念撮影
式典で記念撮影

訪日外国人ターゲットに新路線

 京急バスグループの羽田京急バス(岩田信夫社長)とアルピコ交通の連結子会社であるアルピコ交通東京(関謙一社長)は、昨年12月17日から「羽田空港―白馬線」の共同運行を開始した。

 羽田空港―白馬線は京急バスグループの空港バス路線の中でも訪日外国人をターゲットにした路線で、通常のリムジンバス使用車両ではなく、長距離の夜間高速バスで採用している「独立3列シート車両」で運行を行うほか、羽田空港のバス停を国際線ターミナルのみにするなど特徴をもった新路線となる。

 運行期間は3月5日まで(年末年始を除く)の冬季期間限定。1日2往復で、運賃は大人(12歳以上)9千円、子供(小学生)7千円。停留所は羽田空港国際線ターミナル(6番のりば)、白馬五竜、白馬駅、白馬八方バスターミナル。

 長野県の白馬村は、もともとウィンタースポーツを目的とした観光客の多いエリアで、近年は訪日外国人にも非常に人気の高いスポット。

 今回新設された白馬線は、羽田空港国際線ターミナルから白馬地区までの直行便で大きな手荷物を持った客でも乗り換えなしで目的地まで利用できるのでたいへん便利。

 独立3列シートのほか、トイレ装備、Wi―Fiサービスおよびブランケットのレンタルなどの基本的なサービスに加え、外国人利用客へスムーズな案内を行うため、通訳用のタブレットを導入。また車内モニターでは英語案内を行うなど、羽田空港から訪日する観光客にゆっくりと寛いでもらえるよう対応した。

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 共同運行開始を記念して開業日の昨年12月17日に、羽田空港国際線ターミナルで開業記念式典が開かれた。テープカットなどセレモニーには長野県の吉澤猛観光部長、白馬村の下川正剛村長をはじめ、京浜急行バスの平位武社長、羽田京急バスの岩田社長、アルピコ交通の古田龍治社長、アルピコ交通東京の関社長が参列した。

 式典では主催者を代表して平位社長が「羽田空港からの高速バスとしては49路線目の運行となりました。今回開業した羽田空港―白馬線を契機に、より多くのお客様を長野県・白馬村に安全第一でお届けし、地域活性化の一助となるよう、引き続き利便性の向上に努めていきたい」とあいさつ。アルピコ交通の古田社長は「これまで訪日外国人のお客様に向け、成田―白馬線、東京駅―白馬線を運行してきましたが、念願だった羽田空港からの直接アクセスが実現しました。安全安心には細心の注意を払い、大都市から信州への路線をさらに拡充し、地域振興に努めたい」と抱負を語った。