動物園と寺が異色コラボ、河童の謎に迫る

2018年2月5日(月) 配信

河津町で河童伝説を(画像はイメージ)

 

爬虫類を多数取り扱う体験型動物園iZoo(静岡県賀茂郡河津町浜)と、同町の700年の歴史を持つ臨済宗の寺、栖足寺(せいそくじ)は2018年2月10日(土)から、河童の謎に迫るべく、異色の共同企画を行うと発表した。昔話を題材に、地域活性化を目指す。

 早咲きの「河津桜」で有名な静岡県賀茂河津町は、古くからの河童伝説がある。栖足寺では、「まんが日本昔はなし」でも放送され、伝承の河童からもらったとされる、甕が残存し、毎年5月第1土曜日には河童祭りも行われている。

 今回はまず、河津に伝わる昔話を掘り起こし、「河童は爬虫類なのでは? 」という疑問を投げかけ、文化と爬虫類動物園の融合をはかる。さらに夏期には、「河津川河童大調査!! 」などの地域住民を交えた生態調査、アドベンチャーイベントを計画。同企画は、2月10日に始まる河津桜まつり会場の共有スペースでも大きく告知していく。

 同社は「河童の昔話、爬虫類、生物学専門知識がそろう河津町だからこそ行える企画、町内龍道観光資源、地域活性を目的に、河津町の名を世に広める共同企画になる」とコメントした。

体験型動物園iZoo

栖足寺HP

中国人観光客向け専門チャンネル誕生 エフエム東京

2018年2月5日(月) 配信

エフエム東京が、中国人観光客向け専門チャンネル「八六東京」を立ち上げる(写真はイメージ)

エフエム東京が、中国人観光客向けのラジオチャンネル「八六東京」を立ち上げる。春節(旧正月)に合わせ、2018年2月12日(月)からスタートする予定だ。2017年には700万人を突破した中国人観光客を取り込もうと、サービスに磨きをかける関連企業は多い。エフエム東京は橋渡し役を実現することで、メディアとしての存在感アップを狙う。関連企業が、中国語観光客に商品やサービス内容を発信する大規模な媒体に成長しそうだ。

 昨年2月の訪日中国人観光客数は約50万人。2月としては過去最高を記録した。昨年は暦の都合上春節(旧正月)の開始が早まったこともあり、業界内では今年の伸び率に対する期待が大きい。

 昨今、大型ホテルやコンビニエンスストアを中心に、中国本土で普及するモバイル決済(支付宝・アリペイ、微信支付・ウィーチャットペイ)の導入が進む。飲食店検索大手では、中国本土の旅行会社や口コミサイトと協力し、国内飲食店の予約や事前決済サービスを始めた。

 700万人を1つのマーケットと捉えビジネスを展開する。大手企業を中心に取り組みが加速するなか、中国資本の日本進出も目立ってきた。アリペイを提供するアント フィナンシャル サービス グループでは昨年、日本法人が企業向け説明会を開くなど、本格的な日本進出が目前に迫る。

 「八六東京」チャンネルでは、微博(ウェイボー)や、Ctrip(シートリップ)、同程旅遊(トォンツェン リョーヨウ)など、中国本土でサービスを展開するサポート企業を多く持つ。中国人観光客のニーズを的確に把握でき、需要に合った情報発信や番組制作が可能だ。把握したニーズをもとに、チャンネル内で発信するポップカルチャーやコスメ、グルメ情報の取捨選択できるため、さらなる消費増にもつながる。国内外の観光関連企業にとっては、中国人観光客に商品やサービスを知ってもらう有力な媒体となりそうだ。

 なお5月には、羽田空港(東京国際空港)と連動したプロジェクトが始まる予定だ。

「HSK(北陸・幸せ・3 県)70 総選挙」を開始、阪急

2018年2月5日(月) 配信

(左から)福井県代表・千賀裕樹さん、富山県代表・ 前田猛さん、石川県代表・廣谷陽輝さん

阪急交通社のトラピックスはこのほど、関西出発で北陸3 県をそれぞれ訪れる3 つのツアーを企画した。各県の担当者がツアーでどのような「幸せ体験」ができるのかをアピールし、顧客が参加したい商品をウェブで投票する「HSK(北陸・幸せ・3 けん)70 総選挙」を2018年2 月5 日(月)から開始した。投票で1位になったツアーには特典を用意している。

 同商品は、阪急交通社創業70 周年を記念して、JR西日本、北陸3 県とタイアップしたもの。70 周年にちなんで、2 人参加の場合の旅行代金合計を7 万円に設定した。

 商品企画にあたっては、日本の都道府県の中で、幸福度ランキング上位を占める福井県、富山県、石川県の幸せの秘密を紹介するため、3 人の企画担当者が3 県の代表となって立候補。観光素材の中から、福井県は“温泉”を、富山県は“アルペンルートの絶景”を、石川県は“新鮮な海の幸”を幸せ体験として選び、これらをツアーポイントとして盛り込んだ。今後、SNSを通じて魅力を発信していく。

 得票数はホームページで随時確認することが可能。1位を獲得したコースの参加者には、特典としてその県の名産品をプレゼントする。

 「北陸3県の幸せの旅」商品概要

 【福井県】「名湯芦原温泉に泊まる福井県周遊2 日間」
・関西の奥座敷と言われる名湯「芦原温泉」温泉のパワーで福井県民はハピネス!(1位特典:名物お菓子 水ようかん)

 【富山県】「絶景アルペンルート・高瀬渓谷・上高地2 日間」
・3千㍍級の山々を貫く「アルペンルートの絶景」を見る富山県民は、心が洗われ毎日ハピネス!(1位特典:郷土料理 ます寿司)

 【石川県】「ぐるり奥能登絶品グルメの旅2 日間」
・魚がうまい!水揚げ量日本一の“天然ふぐ”や日本海の新鮮な海の幸を食べて
石川県民はハピネス!(1位特典:伝統工芸 輪島本漆塗のお箸) 

投票方法とスケジュール

 商品と投票の詳細は、 ホームページから。

HSK70総選挙 阪急交通社創業70周年特別企画 トラピックス関西|関西発国内旅行 ツ...
http://www.hankyu-travel.com/osa-d/hsk70/?9582
HSK70(北陸幸せ3県)総選挙が開催!!阪急交通社創業70周年を記念して、幸福度ランキングで上位を占める北陸3県の、幸せの秘密を辿るツアーが登場!人気投票で1位になったコースには更なる特典が・・!

投票期日: 2月 5日(月)午前10 :00 ~2月 20 日(火)午後6 :00

中間発表: 上記期間中は 24 時間ホームページで確認できる

結果発表 :3月 5日( 月)上記ホームページにて発表。
 トラピックス倶楽部 4月号誌面にも掲載する。
※個人情報の取得やアンケートはなし。
※当該商品の出発日は、4~7月。

鳥羽市の魅力をギュッとミニチュアに 宿泊券プレゼントCPも

2018年2月5日(月) 配信

鳥羽市ならではの魅力を、5点のミニチュアで再現

三重県・鳥羽市の魅力を話題のミニチュアに凝縮――。鳥羽市広告宣伝戦略委員会はこのほど、ミニチュアアーティスト・田中智氏協力のもと市の観光素材を題材にミニチュアを作成。作品を題材にしたポスターの作製など観光PRに活用している。

 田中氏が今回制作した作品は、全5点。近鉄鳥羽駅構内にある鳥羽市観光案内所で展示されている。市はポスターのほか、同作品でポストカードを制作。鳥羽市内の宿泊施設に宿泊した人に先着でプレゼントする。また今回の企画実施を記念し、アンケート回答者の中から抽選で5組10人に鳥羽市内宿泊施設の宿泊券ペアチケット(1泊2食付)が当たるキャンペーンも実施している。

海女が多いまち鳥羽
真珠養殖発祥の地

 アンケート回答先:恋する鳥羽HP

JTB首都圏、新商品「ラグジュアリーバスで巡る夢の休日」販売開始

2018年2月5日(月) 配信 

全39コースのラインナップ

 

JTB グループのJTB 首都圏(池田浩社長、東京都品川区)はこのほど、「ラグジュアリーバスで巡る夢の休日」春号(3~6月出発)を売り出した。富裕層向け10席すべて窓側シート配列のオリジナル・ラグジュアリーバス「ロイヤルロード・プレミアム」や10~12人乗り「スターペガサス」を利用したバス旅行商品となる。このほか、春の時期ならではの「桜を巡る旅」「春の味覚を愉しむ旅」「高原の音楽堂でライブ鑑賞」など全39コースを用意した。

「ロイヤルロード・プレミアム」などラグジュアリーバスを利用したバスツアーは、 2017年4月に導入以来、すでに1千人を超える利用者があり、好評を博している。今回の商品の中でも注目は、新登場の名旅館に泊まるシリーズと、大切な人と過ごす特別な時間シリーズの2つ。

名旅館に泊まるシリーズ

 人数のツアーだからこそ実現できる「小規模・高品質」の施設をツアーに組み込んだもの。シリーズ第1弾は、京都の老舗旅館として名高い「炭屋旅館」や「柊家旅館」に宿泊できるプラン。両施設とも添乗員同行バスツアーでは利用機会の少ない歴史と伝統のある宿だ。

 創業文政元年以来、幕末の志士や明治の皇族、文人墨客らが利用するなど200年近い伝統を大切に受け継がれた「柊家旅館」。茶人好みの数寄屋造り、威風堂々とした風格ある外観の「炭屋旅館」などが目玉。夕食では本格的な京懐石も堪能することができる。

 宇治の「あじさい寺」として名高い三室戸寺で、杉木立の間に咲く1万株のあじさいの花もこの季節ならではの景観となっている。

商品概要

「ロイヤルロード・プレミアム」利用

商品名:名旅館に泊まる つゆ草光る1万株のあじさい鑑賞 京都老舗のおもてなし 2日間

出発日:6月14日(木)

旅行代金:23万8千円~24万8千円(大人1人、東京駅発着2 人1室利用)

大切な人と過ごす特別な時間シリーズ

 同シリーズは、その名の通り「大切な方とゆっくり贅沢な時間を過ごしていただく」ことをコンセプトにした旅。第1弾として、“お二人の運命のご縁”がコンセプトの宿泊施設「ふたりとわに 縁」を用意した。 10棟の離れはすべて和洋室・露天風呂付スイートの客室。2人だけの贅沢な時間を過ごせる。

 17年にデビューした横並び2人掛けシートのスターペガサス(10人乗り化粧室付)を利用。夫婦円満の神様がまつられる神社などを巡るツアーで、記念日旅行にもおすすめだ。

商品概要

「スターペガサス(10人乗り化粧室付)」利用

商品名:大切な人と過ごす特別な時間 想いを刻む宿 ふたりとわに 縁 2日間

出発日:5月12日(土)

旅行代金:19万8千円~22万3千円(大人1人、2 人1室利用)

ラグジュアリーバスで巡る夢の休日:

問い合わせ:JTBロイヤルロード銀座 夢の休日デスク0120-606-489 、03-6731-7690まで

第3回全国被災地語り部シンポジウムin東北、宮城県・南三陸町で開催

2018年2月5日(月) 配信 

南三陸ホテル観洋の語り部バスのようす
ホテル観洋の語り部バスのようす
 

第3回全国被災地語り部シンポジウムin東北が2018年2月25(日)~26日(月)の2日間、宮城県・南三陸町の南三陸ホテル観洋と、同町内で開催される。「『KATARIBE』を世界へ」をテーマに、誰もが伝えたいことを、10年、100年、1000年先まで、「語り部」として伝えていくことの大切さを日本から世界に発信する。

 東日本大震災からまもなく7年。同シンポジウムでは防災・減災を実現していくために、語り部自身の声で、「被災地」と「未災地」を結び、教訓を紡いでいく。参加は無料。

 25日の午前中には、第1部「震災を風化させないための語り部バス」を運行する。南三陸ホテル観洋を出発し、戸倉地区や志津川地区(高野会館は内部見学有り)などを「語り部」とともに視察する。午後からは同ホテル内で、第2部パネルディスカッション「普遍性・持続性のある震災伝承と震災遺構~『KATARIBE(語り部)』を世界へ・被災地から未災地へ・その先の未来へ~」を行う。

 第3部の分科会は3つのテーマに分れて開かれる。「語り部として私たちが今、伝えたいこと」では、

・神木必勝氏(北淡震災記念公園震災の語りべボランティア)

・坂井竹男氏(稲むらの火の館語り部)

・高橋健一氏(山元語り部の会副代表・防災士会みやぎ理事)

・釘子明氏(「陸前高田被災地語り部」くぎこ屋代表)らの登壇を予定。

コーディネーターは、山内宏泰氏(リアス・アーク美術館学芸係長)が務める。

 夕刻からは立食形式の交流会(有料)が開かれ、午後8時からはドキュメンタリー上映会&復興トーク「“伝える”~東日本大震災から7年、阪神・淡路大震災から23年」を行う。翌26日には、震災語り部の講話や、語り部バスオプショナルツアーとして「気仙沼コース」、「大川小学校コース(石巻市大川地区)」の2コースを用意している。

 詳しくは南三陸ホテル観洋ホームページから。

「街のデッサン(202)」ホロコーストの「負の遺産」を訪ねて 「人類の永遠の課題」

2018年2月4日(日) 配信

記憶の場・ビルケナウ強制収容所

 団体旅行の楽しみは、個人では行けない場所を訪ねたり、コストを等分することで費用を抑えたりすることもあるが、思いがけない同行者に出会えることもそれである。

 チェコ・ポーランドを巡る旅には、若く清楚な姉弟が参加していた。たまたまワルシャワのピアノコンサートの後の夕食で、その2人と同席になったので、参加の動機を尋ねてみた。北海道の帯広出身という姉のKさんは「弘前大学で平和学を専攻しています。そこで卒論指導のドイツ人の先生からアウシュヴィッツを在学中に訪ねるように勧められ、ツアーに参加しました。テーマはハンナ・アーレントの著作を下敷きに〈平和の思想〉について少しでも書き込めれば、と思っています」と答えてくれた。私は、その答えだけで感心してしまった。弟のY君は、にこにこと姉を見てから「僕は、姉が1人では心配だからと両親が用心棒で付けてくれたんですよ。海外は初めてで得した気持ちです」とのこと。大学4年生の姉と、1年生の弟の旅の成果を祈って、2人に白ワインを御馳走した。

 旅の目的は、楽しく愉快な思い出を残すことだけではない。時には、人類の負の遺産が抱える重いテーマにも直面し、体験することも大切だと思う。今回の旅では、ショパンの生きた演奏やワルシャワの旧市街地再生・復活事業の現場から、何を学ぶかが楽しい期待であったが、人類の歴史上永続しているユダヤ人迫害の事実や、第2次大戦におけるナチス・ドイツのホロコースト(ユダヤ人やロマ族への大量虐殺)の現場を見ることも、重苦しいが重要なテーマであった。それは、Kさんが取り上げたハンナ・アーレントの思想から、私も大きな影響を受けていたからである。アーレントは、ハイデッガーやヤスパースから学び、現代思想の中でも強靭な哲学を持つ女性であるが、彼女の著作でいえば、南米で捕らえられたホロコーストの首謀者アイヒマンの裁判傍聴記録「エルサレムのアイヒマン」は衝撃的であった。裁判を取材したアーレントが感じ取ったものは、100万人を超える犠牲者を出したホロコーストの本質とは、鬼や悪魔の仕業ではなく、ごく普通の暮らしをしていた、ただし凡庸で無思考な人間という「悪の陳腐さ」であった。それは、ひょっとしたら誰もがアイヒマンになり得るという指摘ではないか。

 数日前、私たちは晴れた平原の、収容所に吹く秋風の中にいた。「負の遺産」を「富の遺産」にしたいと願うKさんの心の風に、耳をそばだてていた。 

 

(エッセイスト 望月 照彦)

コラムニスト紹介

望月 照彦 氏

エッセイスト 望月 照彦 氏

若き時代、童話創作とコピーライターで糊口を凌ぎ、ベンチャー企業を複数起業した。その数奇な経験を評価され、先達・中村秀一郎先生に多摩大学教授に推薦される。現在、鎌倉極楽寺に、人類の未来を俯瞰する『構想博物館』を創設し運営する。人間と社会を見据える旅を重ね『旅と構想』など複数著す。

「もてなし上手」~ホスピタリティによる創客~(85)真のおもてなしで効率的な創客を ロイヤルリピーターを創造する

2018年2月4日(日) 配信

真のおもてなし行動を(画像はイメージ)

 東京オリンピック・パラリンピック誘致の際、滝川クリステルさんが日本はおもてなしの国であると、世界に向けて発信しました。それ以前からメディアでは、日本社会はサービスが過剰だといわれていました。

 私たちはサービス、おもてなしを提供する側であると同時に、いち消費者でもあります。消費者として、日々受けているサービスに、あなたは満足していますか。

 私は、逆にサービスが低下しているのではないかと強い危機感を持っています。

 あなたが、あるいは信頼するスタッフが、お客様に最幸のサービスを提供できたとします。喜んだお客様が満面の笑顔でこうおっしゃいました。「非常に満足しました。機会があれば、また来ますね」。

 こんなに嬉しいことはありませんが、本当にこれで良いのでしょうか。私もクライアント企業のお客様から、同様の声を聞いたりします。

 そのときは「このお客様の言葉に違和感を持ちませんか」と尋ねます。

 気になるのは「機会があれば」というセンテンスです。お客様にとって、もしその機会がなければ、今日の仕事は未来を創り出さないということのです。

 おもてなしとは、ただ単に今日のお客様の満足を創り出すだけの行動であってはならないのです。ロイヤルリピーターという造語を、多くの機会で語っています。その意味は、売りたい商品を、売りたいときに、販売者の能動的な働きかけによって、喜んで買っていただけるお客様と定義づけしました。

 ビジネスとは、いつか機会があれば来てくださるお客様ではなく、このロイヤルリピーターと呼ばれるお客様を日々の営業活動で創り続けることをいいます。そのために必要なことが、真のおもてなし行動なのです。

 苦情が来たら、深く考えることなく、その対象となる行動を無くしていく。そしてでき上がった特徴のないサービスは、どこにでもある違いのないサービスです。

 そんなサービスを積み重ね、過剰だといわれるものを提供しても、満足は創造できても、次も必ずここに来たいと感じてもらうサービスにはならないのです。

 効率的に仕事をすることは、とても大切なことです。しかし、仕事の目的を考えたとき、手間を惜しまずに一見非効率に見える行動を取ることにより、帰り際に次の予約を入れてもらえることが真の効率的なビジネスといえるのではないでしょうか。

 そして、その一人ひとりのお客様に手間をかけることがロイヤルリピーターを創造する、最も効率的にビジネスの目的を達成できる真のおもてなし行動なのです。

 

コラムニスト紹介

西川丈次氏

西川丈次(にしかわ・じょうじ)=8年間の旅行会社での勤務後、船井総合研究所に入社。観光ビジネスチームのリーダー・チーフ観光コンサルタントとして活躍。ホスピタリティをテーマとした講演、執筆、ブログ、メルマガは好評で多くのファンを持つ。20年間の観光コンサルタント業で養われた専門性と異業種の成功事例を融合させ、観光業界の新しい在り方とネットワークづくりを追求し、株式会社観光ビジネスコンサルタンツを起業。同社、代表取締役社長。

「観光革命」地球規模の構造的変化(195)五輪と観光と平和

2018年2月3日(土) 配信

防衛力強化は不可欠だが、観光による文化的安全保障に尽力を

 2月9日から平昌(ピョンチャン)冬季五輪が開幕する。国際オリンピック委員会は、平昌五輪への北朝鮮の参加を正式決定し、スキー、アイスホッケー、スケートの3競技に出場すると発表した。五輪初の南北合同チームをアイスホッケー女子で結成や開会式で統一旗を掲げた合同入場行進も承認された。

 昨年北朝鮮は米国到達を可能にする大陸間弾道ミサイルの発射実験に成功し、軍事的緊張が極度に高まった。そういう情勢の中での平昌五輪開催なので北朝鮮の出方が注目されたが、南北対話の進展で北朝鮮の五輪参加が実現した。

 オリンピックは「平和の祭典」と呼ばれ、五輪運動の大きな目的の一つは「スポーツによる平和な世界の構築」だ。そういう意味で平昌五輪は開幕前にそれなりの成果を挙げたといえる。

 一方、日本政府は昨年末に2018年度予算案を閣議決定した。一般会計の総額は97兆7128億円で、当初予算としては過去最大規模。とくに防衛予算は6年連続増加の5兆1911億円で、過去最大を更新した。

 20年にインバウンド4千万人実現のための観光予算は前年度比18%増の248億円であるが、防衛予算との比較では、あまりにも少ない予算であることが明白だ。防衛省は来年度にオスプレイ(垂直離着陸機)4機を購入予定で457億円の予算を組んでおり、1機当たり114億円だ。政府の観光予算はオスプレイ2機分程度である。観光消費による税収効果は国税と地方税を合わせて4兆円以上であり、観光予算が少額過ぎると言わざるを得ない。

 北朝鮮や中国の脅威に対抗して日本の防衛力強化は不可欠だが、緊張緩和の外交努力や観光交流による相互理解の促進も必要不可欠だ。

 オリンピックが「平和の祭典」と呼ばれるのと同様に、「観光は平和へのパスポート」と言われ、観光産業は「平和産業」とも呼ばれている。北海道大学メディア・ツーリズム研究センターは昨年12月にソウル大学平和統一研究院や広島大学平和科学研究センターなどと連携して、「平和観光研究の可能性」と題する国際シンポジウムを開催した。民産官学の協働によって観光による文化的安全保障の強化にも尽力すべきであろう。

 

(北海道大学観光学高等研究センター特別招聘教授 石森 秀三)

コラムニスト紹介

石森秀三氏

北海道博物館長 石森 秀三 氏

1945年生まれ。北海道大学観光学高等研究センター特別招聘教授、北海道博物館長、北洋銀行地域産業支援部顧問。観光文明学、文化人類学専攻。政府の観光立国懇談会委員、アイヌ政策推進会議委員などを歴任。編著書に『観光の二〇世紀』『エコツーリズムを学ぶ人のために』『観光創造学へのチャレンジ』など。

「味のある街」「嬬恋キャベツ酢」――妻の手しごと(群馬県・嬬恋村)

2018年2月3日(土) 配信

嬬恋キャベツ酢 プレーン/パープル 各120ミリットル700円(税別)▽問い合わせ=妻の手しごと 電話:0279(82)1015。

 

 群馬県・嬬恋村の特産品の1つがキャベツだ。夏秋キャベツの出荷時期には、嬬恋村産のキャベツの売上は全国の総出荷量の半分を占めるという。

 同村で販売しているのが「嬬恋キャベツ酢」だ。もともとは県農業技術センターや嬬恋村、農産物加工会社が共同開発し、「キャベ酢」として販売していたが、村のキャベツ農家、松本もとみさんが「妻の手しごと」というブランドを立ち上げ、事業を受け継いだ。松本さんは、農家の女性の手作り品で土産物を作りたいと考えていたのだ。

 搾汁したキャベツを、2カ月間、昔ながらの製法でじっくりと熟成させることにより、グルタミン酸、アスパラギン酸といったうまみ成分が生まれる。さらにフルクトース、グルコースといった甘みも引き出される。17種類のアミノ酸や、ビタミンUも含まれている。プレーン(高原キャベツ)に加え、新たに開発されたパープル(紫キャベツ)には、ポリフェノールも含まれている。

 プレーンの蓋を開けてスプーンにとると、酸っぱい匂いはするが、つんと鼻につくものではない。どこか野菜の甘みが感じられ、それから酸っぱさがやってくる。べたべたした感じはなく、温野菜のサラダにかけてみても、酸っぱさはあまり気にならず、さっぱりと美味しい。購入者がもらえるレシピブックやホームページでは、ニンジンサラダやキャベツの即席漬けなど、さまざまなレシピを紹介している。パッケージは細いビンにキャベツ酢の色が映り、蓋を柔らかい布で覆ったおしゃれなものだ。これは「愛妻家の聖地」の観光プロモーションなどと同じ会社が手掛けており、2017年には「グッドデザインぐんま」優秀賞も受賞した。

 「愛妻の日」の今年1月31日には、この酢とサイダーを掛け合わせた「愛妻ダー」も、「妻の手しごと」を販売元として発売された。村資源の掘り起こしを目的に発足した「嬬恋村愛妻ブランド会議」から生まれた商品第1号だ。試飲を重ねる中で嬬恋キャベツ酢を使うことが決まった。嬬恋キャベツ酢は村内のホテル、観光協会などで販売している。

コラムニスト紹介

トラベルキャスター 津田令子氏

社団法人日本観光協会旅番組室長を経てフリーの旅行ジャーナリストに。全国約3000カ所を旅する経験から、旅の楽しさを伝えるトラベルキャスターとしてテレビ・ラジオなどに出演する。観光大使や市町村などのアドバイザー、カルチャースクールの講師も務める。NPO法人ふるさとオンリーワンのまち理事長。著書多数。