「オンリーワンのまち」事業 ― ふるさとの“宝”を発掘

 東日本大震災をきっかけに多くの人々が、自分の生まれ育ったまちや、かつて住んだ思い出のまち、そして今住んでいるまちに対する思い入れが強くなったのではないだろうか。大津波や原発事故の恐ろしさを知り、在りし日の風景を失った人々、ふるさとに帰りたいのに帰れない人々の強い思いが、多くの人の胸に浸透しているのだろうか。東京で昼夜なく働くビジネスマンも、旅先で一瞬薫る草いきれに切ない気分になる――あの甘い、ふるさとへの郷愁の念を胸に宿しているはずである。

 知名度の高い「全国区」の観光地でないかぎり、大都市であっても、自分の生まれ育った地域が「オンリーワン」の場所だと胸を張ってあまり考えないものだ。そしてつい、「どこにでもあるまちです」と自己紹介してしまう。私の生まれた小さな町も、この東京では誰も知らない。京都や鎌倉のように有名で、誰もが憧れるようなまちを羨んだ時期もあったが、今となっては、やはり自分が生まれたまちは、かけがえのないまちなのだと遅まきながら最近そう考えるようになった。ふるさとのまちの素晴らしさは分かっていても、未だそれを上手く他人に伝えることはできない。

 NPO法人ふるさとICTネット(髙津敏理事長)はこのほど、千葉県鎌ヶ谷市(清水聖士市長)を「オンリーワンのまち」第1号に認定し、9月12日に同市の市長室で認定授与式を行った。鎌ヶ谷市といっても、千葉県民以外には、それほど知名度は高くないはずだ。人口11万人弱で東京都心から成田空港に行く途中にある長閑なまち。だが、ここは全国でも珍しい「雨の三叉路」の地でもあるのだ。同市の中心市街地は標高約29㍍程度でありながら、降った雨は、手賀沼、印旛沼、東京湾の3方向に分かれて流れる分水嶺(界)であり、その場所に市民の方々がモニュメントを設置し、市に寄贈している。実際、このモニュメントの傍らに立ったが、3方向に分かれる分水嶺だという実感は湧かない。しかし、水はここを頂きに下流に向かって行く。市民の環境保全への意識も、「知る」ことによってさらに高まっていくだろう。

 どのまちにだって素晴らしい「オンリーワン」の風土や、文化、自然がある。ふるさとICTネットは、それらまちの宝を今後もどんどん発掘していく考えだ。

(編集長・増田 剛)

【10/27.28】にっぽん元気マーケット 東日本の女将も参加

にっぽん元気マーケットin東京国際フォーラムは、盛況のうちに2日間の日程を終えることができました。
皆様のご来場誠にありがとうございました。

 東日本大震災により被災した中小企業225社が一堂に会し、1000点以上の商品を展示即売する「にっぽん元気マーケット」in東京国際フォーラムが10月27、28の両日開催されます。この催しに東日本の5軒のお宿のおかみさんも参加(予定)し、テレビショッピング(27日)やステージ企画(28日)への出演、展示ブース(27、28日)出展を通じて、宿や地域の魅力をPRします。入場料は無料です。旅することも、買うことも大切な支援の1つ。都内近郊のみなさん来月はぜひ、イベント会場に足をお運びください!!

■5人で出演の打ち合わせをした後、会場前で一致団結!!(9月12日)

★写真左から順に
村田明美さん(茨城県、五浦観光ホテル
大澤幸子さん(岩手県、ホテル対滝閣
磯田悠子さん(宮城県、ホテル松島大観荘
畠ひで子さん(福島県、匠のこころ吉川屋
高橋知子さん(宮城県、篝火の湯緑水亭

テレビショッピングでは最王手「ジュピターショップチャンネル」が5時間半にわたり会場から生中継します。おかみさんも、地域や宿の魅力を伝えるほか、宿泊券プレゼントも企画しています。翌日のステージ企画「女将さんいらっしゃい!」には、5人のおかみさんが交替で舞台に上がり、震災後の取り組み報告するほか、親しみの湧くステージになればと一芸を披露します。展示ブースは2日間常設し、各館が持ち寄ったお茶菓子のプレゼントやパンフレット配布を行います。

にっぽん元気マーケットは中小企業庁が主催しています。東日本大震災で被災した中小企業の新たな販路開拓を支援するため、これまで3度にわたりバイヤー(小売店等の商品の買い手)向けの商談会を開いてきました。一連の事業の総仕上げとして来月27、28の両日、東京国際フォーラムで一般消費者を対象に展示販売会を開きます。2日間で5万人の来場を予定しています。

 

富岡製糸場と絹産業遺産群

「富岡製糸場」(群馬県富岡市)
「富岡製糸場」(群馬県富岡市)

 世界遺産に推薦、2014年夏の登録目指す

 政府は8月23日、外務省で世界遺産条約関係省庁連絡会議を開き、2014年の世界文化遺産登録を目指し、群馬県の「富岡製糸場と絹産業遺産群」を国連教育科学文化機関(ユネスコ)に推薦することを正式決定した。今後は9月末までに暫定推薦書をユネスコに提出。形式審査の後、内容を仕上げて来年2月1日までに正式な推薦書を提出する。

 ユネスコの諮問機関、国際記念物遺跡会議(イモス)が来年夏ごろに同遺産群を現地調査し、14年夏のユネスコ世界遺産委員会で世界遺産登録の可否が審議される。

 同遺産群は、明治政府がフランスから近代製糸技術を導入して1872(明治5)年に設立した国内初の官営製糸工場「富岡製糸場」(富岡市)を中心に、繭の生産に貢献した近代養蚕農家の原型「田島弥平旧宅」(伊勢崎市)、養蚕技術の教育機関「高山社跡」(藤岡市)、自然の冷気を利用した日本最大規模の蚕種貯蔵施設「荒船風穴」(下仁田町)の4資産で構成。高品質な生糸の大量生産を実現し、絹の大衆化をもたらした。

 群馬県の大澤正明知事は同日、「世界に向けた新たな一歩を踏み出すことになったと感じている。7月に推薦が内定し、さらに高まってきた県民の期待と励ましの声を大変心強く思っている。今後は全国の方々にも応援していただけるよう努めていきたい。まずは9月の暫定版推薦書の提出に向け、文化庁や関係自治体とよく連携して、しっかりと取り組んでいきたい」とコメントを発表した。

現地レポート(3) 震災から1年半 南三陸ホテル観洋のいま

志津川湾。奥に見えるのが「ホテル観洋」だ。取材日は館内に22の団体・グループが訪れていた
志津川湾。奥に見えるのが「ホテル観洋」だ。
取材日は館内に22の団体・グループが訪れていた
 前進を考え続ける毎日

 震災から1年半。「南三陸 ホテル観洋」の現状から、被災地の復興と課題を見つめていくシリーズも3回目となった。マスメディアによる被災地のニュース報道は減少している。しかし本紙では、一つの施設の状況を定期的に追うことで、状況の推移と、考え方、取り組み方を学ばせてもらおうというスタンスだ。今回も、疑似体験しよう。

<取材・文 ジャーナリスト 瀬戸川 礼子>

志津川湾から振り返った風景。どこまでも津波の爪痕が続いている
志津川湾から振り返った風景。
どこまでも津波の爪痕が続いている

◆復興と解体

 人口1万7666人・5362世帯だった南三陸町は、津波で62%に当たる3299世帯が消滅した。現在の湾は美しく穏やかだが、後ろの町を振り返ると、視界のずっと先まで、建物がない。広がる平地には、皮肉なほどすくすくと雑草が伸び、初めて来た人は、もともと野原かと勘違いすると聞く。脳裏に浮かぶ「風化」の文字を、頭を振って、払いのけた。

 現在、南三陸町では、被災のシンボル的な施設の解体が進んでいる。見るのも辛い建物を消し去りたいという思いや、すっきり新たな町づくりをしたいとする思いがあるのだろう。

 しかし一方では、被害を後世まで語り継ぐために、ある程度は残しておきたいと考える人もいる。見学者が引けも切らない南三陸だからこそ、「ここに来たら防災意識が高まる」と認識される学びの地であり続けたいという声だ。

 筆者の推測だが、こういうとき被災地の女将さんたちは声を挙げづらいかもしれない。未来のための純粋な意見でも、観光業だからと思われかねないからだ。

 ホテル観洋の阿部憲子さんは、避難所として600人の被災住民を受け入れていた立場から、「何らかの遺構は必要」と考える。「おじいさんやおばあさん、親から言い伝えられたことを守った人たちは、避難の考え方や備蓄に違いがあると感じるのです。被災した建物もまた、将来にわたって、大切なことを無言で語ってくれるように思います」。

 
ホテル観洋女将の阿部憲子さん
ホテル観洋女将の阿部憲子さん

◆ホテルの役割

 ホテル観洋は、昨年夏から通常営業を再開。稼働率はすでに震災前(85―90%)に戻っている。修繕や仕入れ先の確保、スタッフへの配慮など、苦労の賜物だろう。

 震災後は、来館客の住むエリアがぐんと広がった。以前は、東北の人が60~70%を占めたが、現在は東京、関西、九州も。これまで出会えなかったエリアの人に、南三陸のよい思い出を持って帰ってもらうのも大きな役割だとする。

 大型ホテルの観洋がにぎわっていることで、その分、地元の魚が消費され、酒屋に発注が行き、仮設商店街にも人が流れる構造がある。

 また、ボランティアによる館内イベントの申し込みにも協力的で、地元住民を招いて楽しみのひとときを提供する。ひと月のうち10日間、60歳以上の地元住民に温泉施設を無料解放するサービスも続行中だ。互いに助け合い、感謝し合う環境と言えよう。

 だが、どの被災地も同様だろうが、被災地の中でも格差が広まっている。そんななか、「町全体との共存バランスをどう取っていくか」は、前進する会社であるほど、新たな課題となるかもしれない。

南三陸町の被災シンボルの一つ「防災対策庁舎」
南三陸町の被災シンボルの一つ「防災対策庁舎」

30の仮設店が軒を連ねる「南三陸さんさん商店街」もにぎわっていた
30の仮設店が軒を連ねる
「南三陸さんさん商店街」もにぎわっていた

◆できることから改善

 自分たちでできる改善はスピードを持って当たっているホテル観洋。近々、館内に念願のATMが設置されそうだ。

 「長期滞在のお客さま、スタッフ、町の方。みんなに便利なものですから、館内にATMがあればいいなと思っていたのですが、金融機関に打診すると『周辺に家は何軒あるんですか』という収支の話になるんですね。自然災害で多くを失った地域は復興も容易ではありません」

 しかし、阿部さんはあきらめず2行、3行と聞き続け、とうとう6行目で願いが叶いそうだ。「現地の実情を知ってもらえたのが良かったです。どんな方に出会えるかが結局は大きいのですね」

 また町のインフラ面では、「BRT」(バス高速輸送システム)の運行が始まったのも改善の一つだ。

 JR「気仙沼線」は、石巻の前谷地駅と気仙沼駅を結ぶ路線だったが、南三陸町の手前の柳津駅から北は、復旧の目処が立っていない。

 そこで、代替的な運送手段としてBRTが導入された。BRT の運行当初は、大勢が利用するホテル観洋の前を素通りしていたが、理解を得られて停留所の形が取られた。

震災後、7月に初めて再開された「体験プログラム」の様子。 アメリカから視察に来た学生が受けてくれ、何隻にも分かれて行われた
震災後、7月に初めて再開された「体験プログラム」の様子。
アメリカから視察に来た学生が受けてくれ、
何隻にも分かれて行われた

◆南三陸町観光協会

 南三陸町観光協会とホテル観洋は、互いに不可欠な存在だろう。同協会によると、ここ数カ月、毎月2千人の視察者を手配しているという。この人数は、ガイド付きの視察参加数で、実際は協会を通さずに訪れる人も多いはずだ。よって、少なくとも2倍以上(4千人以上)の人々が、毎月、南三陸を訪れていると見ている。

 1日当たり133人もの集客は、口コミと旅行会社からの受け入れで成り立つ。南三陸町観光協会主査の佐藤昭洋さんは次のように語る。

「当協会が手配するツアーは最小遂行人数10人で、これまでの最大は学校単位で来られた400人です。100人前後の団体さんも多いですよ。民間企業や有志の会、学校が多くを占め、消防団や自治体など行政団体は約20%です。繰り返し来てくださる方も多いですね。被災された語り部の話を聞いて帰った人が、感銘を受けて周りに話す。すると、聞いた方が自分も現地で話を聞きたいと思う。また一度、来た方が『南三陸はどうなっただろう』と、気にしてまた来てくれる。そうした連鎖が見られ、励みになります」

 視察ツアーは、学校教育や企業研修にはうってつけの場だと思う。草むしりやがれき処理も同時に行うと、なお学びが深いという。生きるとは何か、働くことの有り難さ、親や周りへの感謝など、これほど一度に学べる場所がほかにあるだろうか。南三陸に限らず、被災地は絶好の学び舎だ。

 

◆観光の使命

 震災観光の増加は喜ばしいが、職員の方々はほかにも仕事があり、休みは格段に減ったであろう。1年半、走り続ける原動力はどこから来るのだろうか。

「みんな全力で走って来ましたが、まだまだゴールは見えません。でも、いま我々ががんばらないと。震災観光を普通の観光につなげるために、視察に目を向けてもらっているときに、語り部のみなさんと協力して、できるだけ情報を発信しておきたいと思っています」(前出・佐藤さん)

 この夏、同協会ではうれしいことがあった。震災後初めて、震災前から行っていた体験学習を再開できたのだ。「ホタテやホヤの収穫体験でした。アメリカから来た学生さんが体験して喜んでくれ、我々もすごくうれしかったですね」(同)

 また、視察者から寄せられる手紙にも元気づけられるという。テレビで見て分かった気になっていたが、現地はまるで違うこと、もっと大変で、もっとがんばっていると思ったこと、身内を亡くした方が、辛さに耐えて語ってくれる体験は本当に貴重で、苦労の度合いが伝わってくることなど、参加者の感想はみんなの財産となっているようだ。

 

◆心根の持ち方

 南三陸を訪れるたびに思うのは、心根をどう持つかということである。元気なほうと、沈んだほう、どちらに影響を受けるかで、その後が決まってくるように思われる。

 たとえば、語り部たちはシニア世代だが、地元の人によると、妹さんや弟さんじゃないかと思うくらい若返っており、苦しみを背負いながらも使命感を持って生きているからだろうという。人の役に立ちながら懸命に生きることは自らも救い、感動も与えるのだ。

 ホテル観洋の阿部さんは4日間、家族の安否が分からなくても「目の前の現実に向かっていくことが役目」と考え、不安感をおくびにも出さなかった。未来を信じ、再開へのスタートダッシュが早かった。あのとき躊躇していたら、1周も2周も遅れていたでしょう、と阿部さんは考える。

 この1年半、阿部さんが休んだ日はなさそうだ。「休むという感覚はないんですよね。とにかく前進を考え続ける毎日です。私は、頭は弱いけれど、心は強いようで(笑)。親に感謝ですね」

 

◆これからの課題

 時間に追われて全体ミーティングの時間が持ちにくくなってきたことと、人材不足が課題だという。「お客さまが来てくださるのは本当に有り難いのですが、スタッフが足りません。当館はこの夏、創業40周年で初めて人材派遣会社に頼みました。地元の人に働いてもらうことが地域貢献と思ってきましたが、いないことには仕方ありません」と阿部さん。

 しかし、ほかの地域からのスタッフが増えることで、また新たな文化や勢いが生まれるかもしれない。阿部さんのもとであれば、良い結果になることだろう。

 半年後の2周年、3周年と、どのように課題を乗り越え、復興へ向かっていくのか、学び続けていきたいと思う。

 
著書『つなみのえほん』を手にする工藤真弓さん
著書『つなみのえほん』
を手にする工藤真弓さん

語り継がれる「つなみのえほん」(工藤真弓・著)

 南三陸町の丘に鎮座する「上山八幡宮」の神職・工藤真弓さんは、あの日、家族と神社の裏山へ逃げ助かった。しかし家は全壊、現在は40分離れた仮設住宅で暮らしながら、神事とまちづくりのアドバイスに力を注ぐ。大自然への畏命や命の大切さを伝えるために書いた「つなみのえほん~ぼくのふるさと~」は、紙芝居にもなって語り継がれている。

 
 
 
 
 
 
 
 

グランプリは松江女子と鶴岡中央

グランプリの島根県松江市立女子校
グランプリの島根県松江市立女子校

第4回「観光甲子園」グランプリは松江女子と鶴岡中央、応募は76校158プラン

  全国の高校生が地域の資源を生かした「観光プラン」を競い合うコンテスト、第4回「観光甲子園」(同大会組織委員会主催、石森秀三委員長)が8月26日、兵庫県神戸市の神戸夙川学院大学で開かれた。

 グランプリの文部科学大臣賞を島根県の松江市立女子高校、観光庁長官賞を山形県の県立鶴岡中央高校が受賞。松江女子は4回連続本選出場の甲子園常連校で、2010年の第2回大会でもグランプリの観光庁長官賞を受賞している。

 今大会には全国から76校が参加して158プランを応募。書類審査を経て予選通過した10校が本選出場を果たし、8人の審査員を前に12分間パワーポイントを使い、パフォーマンスを織り込みながらプランを発表した。

 松江女子は「自信が持てず、自分が嫌い」という人に、松江での「自分を変える旅」を提案。鶴岡中央は東北震災復興を願い、被災地も庄内も元気になる「癒し」のプランを提案し、復興へ向けたメッセージを発信した。

 なお、準グランプリには3校、優秀作品に5校が選ばれた。また、本選以外で特別賞として8校に旅行新聞新社社長賞など贈られた。

 受賞校は次の通り。

【グランプリ】
文部科学大臣賞=島根県松江市立女子高等学校「Lets’縁きりふれっしゅ~松江ではじまる新しい自分旅~」
観光庁長官賞=山形県立鶴岡中央高等学校「“脱・ありきたりの旅”PART2~被災地と庄内を結ぶ“Win Win”な癒しツアー~」

【準グランプリ】
大会組織委員長賞=清真学園高等学校「宙ガール、“星のリゾート”茨城に行く。~茨城をソラカラ復興支援~」
兵庫県知事賞=岩倉高等学校「自然満喫ハートフル旅行in兵庫~ローカル線&クルージングでバリアフリーな旅を!~」
神戸市長賞=長崎県立五島海陽高等学校「Wonderful Adventurous Natural Town~自然を体験できる素敵な街in五島~」

【優秀作品賞】
日本観光振興協会会長賞=愛知県立半田商業高等学校「知多半島の『ひと』めぐり、幸せ感じる感幸(観光)プラン~商都・半田で『ちたりあん』!?~」
日本旅行業協会会長賞=大阪府立能勢高等学校「能勢の味覚と悠久の時間を求めて-伝統の味で綴る旅-」
全国旅行業協会会長賞=島根県立邇摩高等学校「時を刻み夢の世界へいざなう~寝ても覚めても仁摩町ワールド~」
西宮市長賞=山形県立新庄南高等学校「本日開店、新庄トライやる!塾~親子の絆再発見ツアー~」
日本ホテル協会会長賞=奈良県立奈良朱雀高等学校「大和茶でほっこり?記紀万葉の旅~高校生プロデュース://奈良@時代.jp~」

【特別賞】
兵庫県教育長賞=岩手県立宮古商業高等学校▽ひょうごツーリズム協会理事長賞=長崎県立島原農業高等学校▽神戸市教育長賞=神奈川県立神奈川総合産業高等学校▽神戸国際観光コンベンション協会会長賞=京都府立桂高等学校▽西宮市教育委員会賞=和歌山県立新翔高等学校▽NHK神戸放送局長賞=岐阜県立加茂農林高等学校▽旅行新聞新社社長賞=青森県立弘前実業高等学校▽日本ヘルスツーリズム振興機構理事長賞=岡山県立林野高等学校

“日本一のおんせん県”

西田陽一会長(ホテル白菊社長)
西田陽一会長(ホテル白菊社長)

10種の泉質を大阪でPR、大分県

  湧出量、源泉総数ともに日本一を誇る温泉王国の大分県を「おんせん県」として売り出そうと8月31日、旅行会社や報道関係者を招き大阪市内で「日本一のおんせん県♨情報発信会」が開かれた。

 7月25日に発足した大分県内の宿泊・観光施設などで組織する「おんせん県観光誘致協議会」(会長=西田陽一ホテル白菊社長)が主催。西田会長が「大分を“日本一のおんせん県”としてさまざまなかたちで売り出していく」と宣言した。

森竹嗣夫大分県観光・地域局長
森竹嗣夫大分県観光・地域局長

 森竹嗣夫大分県観光・地域局長は「8月28日に県の2015年までの観光振興計画を策定した。今後は官民一体となり『日本一のおんせん県おおいた♨味力(みりょく)も満載』をキャッチフレーズに、日本一の温泉と素晴らしい食の魅力を、古くから関係の深い関西へ積極的にPRしていく」と述べた。

 説明会では、7月の九州北部集中豪雨による風評被害地として日田、竹田、中津市が現状を報告。JR久大本線の全線復旧により特急「ゆふいんの森」「ゆふ」は8月28日から通常通り運行、阿蘇市と竹田市を結ぶ国道57号の通行止めも8月20日に解除され、「元気な日田、竹田、中津市へお越し下さい」とPRした。

 さらに、別府八湯温泉Gメンリーダーで、おんせん県観光誘致協議会顧問の斎藤雅樹氏が「湯の個性と機能温泉浴」と題して講演。「世界に11ある泉質の内10種類がそろう大分はまさに“温泉のデパート”。草津温泉と同じ泉質なら別府の明礬温泉など、全国の名湯巡りが県内で楽しめる」と語った。

 さらに、「まず硫黄泉の明礬温泉で肌の老廃物を取り除き、次に保湿効果の高いメタ珪酸の鉄輪温泉に入ると美肌効果が高い」など、2湯を組み合わせて「美肌」「ダイエット」「癒し」などの効果を生み出す入浴法「機能温泉浴」を紹介した。

東北にもう1泊

来年2月まで福幸CP、東北観光推進機構

 東北観光推進機構は大手旅行会社5社の協定旅館ホテル連盟と共催で、東北エリアの宿泊施設に泊まると、抽選で東北の宿の宿泊券が当たる「もう一度東北!もう一泊!東北福幸(ふっこう)キャンペーン」を来年2月28日まで実施している。

 JTB、近畿日本ツーリスト、日本旅行、トップツアー、名鉄観光サービスの協定旅館ホテルに泊まると、抽選でペア500組(1千人)に、キャンペーンに参加する東北の宿泊施設のなかから希望する施設に宿泊できる宿泊券をプレゼント。さらにWチャンスで3千円相当の食事・土産利用券が1千人に当たる。キャンペーンチラシの応募ハガキに、宿泊した旅館等の押印を受け応募する。抽選は2期に分け実施する。

創立60周年を迎える

阿部充夫会長
阿部充夫会長

教育シンポで意見交流、日修協

 日本修学旅行協会は8月24日、ホテルグンランドパレス(東京都千代田区)で創立60周年記念式典と第8回教育旅行シンポジウムを開き、危機管理と訪日旅行の受け入れについてパネルディスカッションを行った。

 阿部充夫会長は「近年、修学旅行も周遊見学型から滞在体験型に移行している。また、今年は海外修学旅行が始まって40周年という節目の年でもある。国際関係の問題が複雑化するなか、修学旅行が国際理解協力と交流改善の掛け橋として大きな役割を果たすと期待している。修学旅行はこの10年で大きく変わってきたが、教育に果たす役割は基本的に変わっていない。学校教育の一環という本質から外れないよう、働きを継続していきたい」とあいさつした。

 

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 パネルディスカッションは、日本修学旅行協会の河上一雄理事長をコーディネーターに、東京都立三鷹中等教育学校・高等学校の仙田直人校長、東京都板橋区板橋第5中学校の小川達夫校長、教育旅行誘致観光カリスマの小椋唯一氏、京都市産業観光局MICE推進室の九鬼令和戦略推進担当部長、長崎県観光連盟の土井正隆専務理事、JTB旅行事業本部の山﨑誠教育旅行担当部長の6人がパネリストとして登壇。危機管理と訪日旅行の受け入れの2部構成で意見を出し合った=写真。

 第1部の危機管理は、各パネリストから東日本大震災当日の対応や、その後の対応、課題について報告された。長崎県観光連盟の土井専務理事は「長崎県内で行った教育旅行シンポジウムで、修学旅行生の受け入れ危機管理について認識を高めることができた。また、修学旅行生を対象に、市内で避難訓練を実施するなど危機管理の内容を充実させている」と語った。

 第2部の訪日旅行受け入れについては、訪日旅行客としてとくに多い、中国、韓国、台湾各国の修学旅行に対する意識の違いを指摘。国際問題を織り交ぜながら、今後の対応について話し合った。観光カリスマの小椋氏は「目的を絞った内容にすることが大事。場所が遠い国ほど直前でキャンセルがでやすいという現状がある。しかし、農業高校同士での交流など目的をもった修学旅行ではキャンセルが少ない」と話した。

将来の宿像を談論

 旅館の魅力は土地の魅力、宿文化を語る会

東京・浅草の「助六の宿 貞千代」で
東京・浅草の「助六の宿 貞千代」で

 旅行作家で現代旅行研究所代表の野口冬人氏が会長を務め、旅館の若手経営者や経営者候補など旅館業界の次世代を担う若手メンバーが今後の旅館業界や理想の宿像などについて語り合う「宿文化を語る会」の第2回会合が8月28日に「助六の宿 貞千代」(東京・浅草)で開かれ、自身が経営したい将来の宿像をテーマに話し合った。

 オブザーバーとして参加した貞千代の宿のご主人・望月友彦氏は、貞千代の現在のスタイルについて「交通の便が良く駅から近ければ、ビジネスホテルの方が経営し易かったが、ここは駅から距離があるので観光旅館にした。観光旅館の魅力は、その土地その土地の魅力を味わえることだと思うので、貞千代は江戸の町衆の雰囲気を前面に出した」と語った。

 「日本の宿 古窯」専務で「悠湯の郷ゆさ」を経営する佐藤太一氏は古窯とゆさのターゲット層や価格帯の違いを紹介。将来の宿像としては「10室くらいの自分だけで見きれる小さい旅館」をあげ、「大きい旅館はマーケットインの手法を使い多くのニーズを意識せざるを得ない。それとは対照的に、小さい旅館ならプロダクトアウトで宿の個性を出しそのコンセプトに合う客だけを迎えることができる。将来の夢としては現在の2旅館に加え、10室くらいの小さい旅館をやってみたい。シュミレーションしているが、オペレーションの仕方によっては10室でも黒字を出せる」と自信をのぞかせた。

 「雀のお宿 磯部館」社長の櫻井太作氏は宿の将来像として「日本人に分かるキメの細かいサービス」をあげた。「今は、学生や医者、薬業界などの会議や研修、法事など、どちらかというとニッチなニーズの団体を拾っているが、将来の夢としては、日本人に分かるキメ細かいサービスが売りの宿をやりたい。日本人のキメの細かさは世界一だと思う」と語った。

 旅行作家で現代旅行研究所専務の竹村節子氏の「日本旅館は何がベースか」の問いに、「ホテル 対滝閣」常務兼若女将の大澤昌枝氏は「日本文化や伝統の継承」をあげる。宿の将来像については「親のやってきた伝統を継承したい。日本文化をしっかりと繋いでいくことが一番大切」と語る。ただほかのメンバー同様に「自分の見える範囲の小さい旅館もやってみたい」との夢も抱く。

 そのほか、竹村氏からは外国資本が旅館を買い占める現状について、野口氏からはリタイア後の男性1人旅の増加や、連泊と何カ月にもおよぶ住みつきの違いなどについて提起され、参加者全員で意見交換。また、クレーム後の社員へのフィードバックや困った客への対応など、同業者だからこそ分かる悩みや迷い事について熱く意見が交わされた。

 なお、第3回の会合は来年1月下旬か2月上旬を予定。参加希望者は旅行新聞新社内にある「宿文化を語る会」事務局まで。電話:03(3834)2718。

三位一体の総合イベント

旅ファン拡大につなげる、旅博2012(JATA)

 日本旅行業協会(JATA)は9月20―23日に東京ビッグサイトで「JATA国際観光フォーラム・旅博」を開く。23回目を迎える今年は、海外旅行・訪日旅行・国内旅行の総合的なイベントとして、さらなる旅行業界の発展、〝旅ファン〟の拡大を目指す。

 21日は、旅行業界関係者は無料で参加可能。豪華な講師陣を迎え、「業界日セミナー」も行われる。すぐに役立つ旅行業界のタイムリーな情報を発信。

 国内外旅行関連をはじめ、苦情対応、人材教育、バリアフリー関係やリスクマネジメント、昨年好評だった鉄道写真家によるセミナーなどバラエティに富んだ内容になっている。

 今年初の試みで、同日18―20時に「JATA FESTA(ジャタフェスタ)」も開かれる。旅行業界関係者、出展者を対象にしたネットワーキングで、同業者の親交促進、旅博参加バリューの向上が目的。

 世界の料理が堪能でき、大道芸やネイルサービス、占いコーナー、DJによる音楽パフォーマンス、豪華賞品があたる企画など、フェスティバルにふさわしいアトラクションを用意。代表・役員から若手社員まで、カジュアルに楽しみながら交流を深めることができる。出展者による小間内レセプションも同時開催。

 22―23日は一般来場者向けで、150を超える国と地域から出展。総出展小間数は史上最大規模の1100小間に迫る数を記録している。各国の趣向を凝らしたブースやステージパフォーマンスが楽しめる。

 また、異業種とのコラボレーションも充実。創立100周年を迎えた吉本興業(よしもとクリエイティブエージェンシー)のグッズ販売や、人気芸人のステージパフォーマンスがある。

 さらに、毎年11月に同会場にて開かれている「東京ネイルエキスポ2012」も出展。〝お支度から楽しむ旅〟をテーマにネイルの無料体験や、ゲストを招いたトークショーも行う。

 22日の顕彰事業「ツアーグランプリ2012」や、23日のグランドフィナーレで行われる「おもしろ旅大集合!」の表彰式も注目プログラムの一つ。

 詳しくはURL=http://www.jata-jts.jp/