“ヘタ”な温泉よりも… ― 清冽な湧水が多くの人をひき寄せる

 個体差について考えることが多々ある。例えば、山に棲むヘビの行動範囲に個体差がどれくらいあるのかなど、どうでもいいことを寝しなに考え出す。すると眠れなくなり、深夜にネットで調べたりする。また、公園のベンチで日向ぼっこなどをしているときに、足元にいる右のハトと左のハトはまったく同じように見えるが、運動能力や、知能に大きな開きがあるのだろうかと疑問に思うこともある。

 動物はさておき、人間の行動範囲に関しての個体差はとても大きいのではないかと感じる。世界一周旅行を楽しむ人や、生涯放浪し続ける人もいる。将来、宇宙旅行のリピーターも現れるだろう。一方、自分の家や部屋が大好きで、「不慣れで不便な場所をあえて旅する気にならない」と、旅に一切関心のない人たちも、少なからずいる。どちらがいいとか、悪いとかの問題ではなく、同じ人間でこれほどまでに行動範囲が2極化している状況が面白いと思う。

 旅好きにとって、海外旅行は国内旅行では味わえない楽しさがあり、刺激的である。その反面、治安や食事などは、普段の生活よりも注意が必要だ。食事の度に「この料理を食べてもお腹を壊さないか」といったことを気にしながら口にしなければならない。水道の水はほぼ飲めないし、氷も危険だ。それら一つひとつが、目に見えないストレスとなる。このため、海外旅行から帰った直後に国内旅行をすると、水や食についての大きな安心感に気づき、心身ともにリラックスできる。

 国内旅行の楽しみでは、その土地の料理を食べることや、温泉も人気が高い。私自身も温泉が好きなので、旅先の宿泊施設に温泉宿を利用することが多い。人気の秘湯や、歴史ある温泉にも訪れた。名の知れた多くの名湯は「やっぱり素晴らしい」と感じたが、残念に思うことも同じくらい経験した。

 あるとき、日本を代表する温泉に感慨深く浸かっていると、地元のおじいさんが入って来きて、入れ歯を外し、湯船の注ぎ口で、慣れた手つきでごしごしと洗いだした。私は反射的に湯船から出ていた。

 これは、極端な例だが、温泉で首を傾げてしまう場面を数多く見てきた。入浴する側のマナーに問題が多すぎるのだ。今は温泉への熱意は、一時期ほどではない。一方、温泉が出ないため、タンクローリーで遠くから温泉を運んで来て、数日間循環を続けている施設もある。塩素消毒をしっかりとやられているのだろうが、私はあまり心が誘われない。

 日本は古くから温泉の恩恵を大きく受けてきた。病や傷を癒してくれる温泉だが、現在多くの温泉施設が提供する温泉の状態が、古来の自然に湧き出た温泉と同じ環境とは言い難い湯もあるのは確かだ。無条件に温泉をありがたがり、泉質もさまざまなのに、温泉というだけで体に良いと過信してしまっている傾向がある。信仰と言ってもいい。このため、温泉偽装などの問題も出てきてしまう。

 “ヘタ”な温泉よりも、清冽な湧水を加温したお風呂の方に魅かれる。水が清らかな地域は食べ物も安心だし、空気もきれいだ。大きな観光名所がなく、温泉が出ない土地であっても、悲観する必要はない。もし、そこに豊かな自然と、清らかな水があるのならば、多くの人をひき寄せる時代がきっと来ると思う。

(編集長・増田 剛)

来場者数18万人突破、17年から次なるステージに(ツーリズムEXPOジャパン2016)

テープカットで開幕
テープカットで開幕
 田川博己会長(記者会見にて)
田川博己会長(記者会見にて)

 日本観光振興協会(山口範雄会長)と日本旅行業協会(JATA、田川博己会長)は9月22―25日、東京都江東区の東京ビッグサイトで「旅は変える。人生を。世界を。」をテーマに「ツーリズムEXPOジャパン2016」を開いた。国内外から過去最多の1662コマの出展があり、来場者数は18万5800人となり、目標の18万5千人を上回った。

 22日朝に行われた主催者会見でJATAの田川会長は、ツーリズムEXPOジャパンの今後について語り、〝ホップ・ステップ・ジャンプ〟の3年間を終え、海外・国内・訪日旅行の一体のイベントとしてさらに発展させていくために、次なるステージに入る2017年からは、日本政府観光局(JNTO)、日本観光振興協会、JATAの3者による「新の三位一体型のイベント」として発展させていく旨を報告した。また、開催地として17年と18年は従来通り東京で開催を予定しており、東京五輪およびラグビーワールドカップの関連で東京ビッグサイトの利用ができなくなる19年、20年は東京以外で開催を予定している。

 22日午後から行われた開会式では冒頭、田川会長があいさつし、「ホップ・ステップ・ジャンプの3年目を迎え、このEXPOも三位一体の包括的なイベントとして、世界を代表する大きなイベントになってきた。この先の4年間では、国内については地域の魅力を送り込むDMOの役割を強化し、訪日の商談を意識したものに進化させていく」と述べ、三位一体での統合効果について強調した。続いて、国土交通省の石井啓一大臣から祝辞が述べられ、「ツーリズムEXPOジャパンを機に、九州地方への旅行需要の回復や、東北地方の観光復興が促進されて欲しい」と期待の声が寄せられた。

彫刻屋台
彫刻屋台

 その後、日観振の山口会長のかけ声のもと代表者らによる、開会を宣言するテープカットが行われ、世界最大級となる旅フェアの幕が上がった。開会式終了後、「輝き続ける日本、そして世界―インバウンド4000万人時代の交流大国を目指して」をテーマに、国連世界観光機関(UNWTO)事務局長のタレブ・リファイ氏らによるパネルディスカッションが行われ、観光の持続可能な成長の実現について、参加者が改めて考える場となった。

 同日夜に行われた、「ジャパンナイト」には、パーティーに菅義偉内閣官房長官も駆けつけ、イベントの成功を願い、祝辞を述べた。また、日本橋中央通りには、「鹿沼秋まつり 彫刻屋台」が登場し、その迫力に魅了された。

 なお、来年は9月21―24日に「ツーリズムEXPOジャパン2017」を予定している。

ジャパンナイトパーティーでの鏡開き
ジャパンナイトパーティーでの鏡開き

次期部長に西村総一郎氏、「観光の未来を創る」(全旅連青年部)

次期部長に西村総一郎氏、「観光の未来を創る」(全旅連青年部)
桑田雅之部長(左)と西村総一郎次期部長

 全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会青年部(桑田雅之部長)は9月15日、東京都内で臨時総会を開き、政策担当副部長の西村総一郎氏(西村屋社長)の2017―18年度青年部長選任を全会一致で承認した。今回の部長選挙は7月1日に公示され、同月22―29日正午までの期間に立候補したのは、西村氏のみだった。

 西村氏は所信表明で「観光業を牽引していくのは私たち青年部。厳しい前途が見えるなかで、さまざまな課題を自分の事と捉え、しっかりとこの国のため、社会のために活動を続けていこう」と語った。青年部長として取り組む6項目に(1)人材に関する取り組み(2)国の観光政策立案への積極的な関与(3)組織および国内ネットワークの強化(4)インバウンドおよび海外ネットワークとの関係強化(5)ITを活用したソリューション開発(6)経営者としての能力向上――を挙げ、課題解決に向け行動していくと宣言した。

 人材に関する取り組みでは、旅館・ホテルの人材不足が深刻であるとし、「外国人技能実習制度」を宿泊産業に導入することを業界全体で考えていきたいとした。

 ITを活用したソリューション開発では、「宿泊業界の生産性が低い」と言われている現状を踏まえ、ハードウェアの導入に加え、「ソフトウェアの開発が、戦略構築や生産性向上につながる可能性がある」と強調した。

 最後に西村氏は、「変わらないために変わること」の必要性を語り、「観光業は、この国の未来を支える大きなシェアを占めている。観光の未来を創るのは私たち。力を合わせてこの国の未来のために力を注いでいきたい」と締めくくった。

 桑田部長は、業界を取り巻くさまざまな課題に全青年部員がスクラムを組んで取り組んできたことを振り返り、次期青年部長に選任された西村氏と握手を交わした。また、民泊問題に触れ「我われの統一見解をしっかり示さなければならない。民泊問題は、責任を持って自分の任期中に収めたい」と語った。 

 西村 総一郎氏(にしむら・そういちろう)1974年8月7日生まれ。42歳。97年に早稲田大学政治経済学部政治学科卒業後、アサヒビールに入社。2000年西村屋(屋号西村屋本館・西村屋ホテル招月庭)に入社、11年11月に代表取締役社長に就任。青年部では、01―02年度に組織活性化委員会副委員長、15―16年度に政策担当副部長を歴任。

新潟県の石「ヒスイ」が国石に

 日本鉱物科学会は9月24日、金沢市で行われた総会で「日本の石(国石)」に“ヒスイ”を選定した。自然金や水晶など5種類の候補から、会員による投票で決定した。

 日本では、古代縄文時代の遺跡からヒスイを加工した勾玉などの装飾品が発見され、日本の宝石の原点と言われている。ヒスイは新潟県糸魚川地域が最大の産地で、宝石になるような綺麗なものを多く産出している。それゆえ、糸魚川市が2008(平成20)年に市の石に選び、今年5月には日本地質学会が新潟県の石に選んでいる。

 糸魚川市観光協会は11月18―20日、東京の表参道・新潟館ネスパスで観光物産フェアを開く。ヒスイの産地ならではの宝飾品なども並ぶので、好みの「日本の石」を探しに立ち寄ってみてはいかがだろうか。

【長谷川 貴人】

日本は売上8倍に、掲載数1万軒目指す(ブッキング・ドットコム)

ジェームス・ホワイトモア氏
ジェームス・ホワイトモア氏

 ブッキング・ドットコム・ジャパンはこのほど東京都内で、日本におけるビジネスの事業戦略説明会を開いた。同社のデータによると、2012年から15年の北アジア地区の市場で、日本の売上は8倍以上と最も高い伸長率だった。国別の人気渡航先順位も32位から8位に上昇。また日本における掲載施設数は、昨年の夏時点で6800軒だったが、今年の夏で約30%増え8800軒となった。勢いを増す日本で事業強化を推進し、年内に掲載件数1万軒を目指す。
【平綿 裕一】

 「北アジア地区は面白いトレンドがある」。北アジア地区統括リージョナル・ディレクターのジェームス・ホワイトモア氏は、香港や台湾、韓国などで事業が伸びるにつれ、この国々から同社を介して日本の予約をする人が増えたと説明。この結果、日本への送客が増加している。今年上半期国籍別の訪日客割合は、中国が15%、台湾が12%、韓国が7%、タイが5%でアジア地区が全体の約4割を占める。

 同氏は「今後はアジアからのリピーターが増える」と予想。日本の文化や社会、言語に精通し、ゴールデンルート以外の観光地を訪れる機会が増すとした。これらを踏まえ、「さまざまな地域、施設、そしてニーズに応えられるように営業を強化する」と述べた。

 一方、日本からの渡航先はパリ、ロンドンが人気だったが、現在は国内旅行がそれらを上回る。また、国籍別の訪日客割合で、日本は全体の約30%と1番高い割合。同氏は「日本人が国内旅行にブッキング・ドットコムを利用していることがよく分かる」と解説した。

 日本人利用者が増える一因が、初の試みとなるテレビCMキャンペーンだ。昨年の夏に始め、ブランド認知度向上は開始前から2倍以上となり、継続して上昇傾向をみせる。同氏は「昨年は我われにとって飛躍の年だった」と振り返った。

 さらに、新たなTVCMキャンペーンを製作。テーマは「情熱」。第1弾はフードLover篇で、スポーツLover篇と温泉Lover篇が続く。同氏は「それぞれ個人が情熱を持って旅行している。この情熱を大切にしたいという願いを込めた」と製作の想いを述べた。

 また、同社は事業促進だけでなく客のサポートも充実させている。

 今年1月、カスタマーサービスセンターを東京・大崎に開設した。同オフィスを増床し、コールセンターの職員数も大きく増やした。日本語と英語、中国語、韓国語、タイ語など、多言語でサポート。同氏は「これにより日本語は365日、24時間、サポートできる。国内だけでなく、海外からも日本語で対応が可能だ」と盤石な体制を示した。

アダム・ブラウンステイン氏
アダム・ブラウンステイン氏

 続いて、今年7月に日本地区統括リージョナル・マネージャーに就任した、アダム・ブラウンステイン氏が登壇。

 8月に国内の掲載施設が8800軒を達成。年内に1万軒の掲載数という目標に対し、同氏は「あくまでも通過点。その先にまだまだ伸びる沃野がある」と意気込みを語った。加えてこれからは、「人材がカギとなる」とした。

 同社は海外展開で成長を遂げてきたが、一方で地元地域に軸を据え、掲載施設と連携を密にしている。営業所は東京と大阪、札幌、福岡にある。日本各地に拠点を置き、昨年の11月には沖縄支店を開設した。

 沖縄支店は掲載施設に対して初めに、多大なデータやトレンド、分析結果を理解してもらう活動を実施。掲載施設からは「観光のトレンドやインバウンド、国内旅行者に対する理解が深まった」など多くのフィードバックが集まった。同社は沖縄支店の成功を踏まえ、今後は全国に支店を設置していく。さらに日本事業の成長要因に(1)顧客のニーズに応える(2)掲載施設のニーズに応える(3)日本市場の成長――の3つを挙げ、すべてでバランスが重要だとした。

 日本市場が成長すると、全国の施設の数や品質、種類も充実する。これにより、日本の事業がますます促進され、同社の掲載している施設の数や品質、種類も相対的に増やすことができる。同氏は「ただ掲載施設を増やすだけでなく、施設の種類は顧客志向でありたい。さまざまなデータを収集、分析し、ニーズに応えていく」と語った。

 また、民泊の関心が国内外で非常に高いことも報告した。「民泊もバランス良く考えたい。政府と良好な関係で、法令を遵守してビジネスをしていく」と堅実な姿勢をみせた。最後に、日本の市場がまだ伸びる可能性があることや国内の利用者からの信頼も得ているとこを踏まえて、「日本にはこれからも投資をしていく」と強調した。

“学生交流を地域交流へ”、観光プランコンテスト実施(松江市観光振興公社)

独自のプランを発表
独自のプランを発表

 松江城(島根県松江市)のお堀で遊覧船事業などを行う松江市観光振興公社は9月6日、若者の視点で新しい松江観光を探ろうと、愛知県名古屋市の椙山(すぎやま)女学園大学で「松江観光プランコンテスト」を開いた。

 公社では昨年12月、島根大学と県立短期大学部の学生計15人で学外サークル「みんなの堀川委員会」を設立。ワークショップや乗船体験などを通して、松江の歴史・文化を深く学ぶ取り組みを実践している。この活動が、松江市の外部委員も務める椙山女学園大学の齊藤由里恵准教授の目に留まり、今回地域を超えた学生交流が実現した。

 コンテストでは椙山女学園大学現代マネジメント学部で公共経済学を学ぶ3年生9人がそれぞれ、松江の観光素材を盛り込んだ独自のプランをプレゼンテーション。コンテストに賛同した中部経済連合会や日本政策投資銀行の幹部のほか、堀川委員会のメンバー3人も審査委員に加わり、最優秀賞には堀川遊覧船などを活用したお見合いツアーの「恋よ来い!一期一会ツアー」が選ばれた。

表彰後の記念撮影
表彰後の記念撮影

 一連の事業の仕掛け人で、公社の乙部明宏専務理事は「半分近くのプランに松江城が出てこないのが驚きだった。従来の考え方では若い女性のニーズと少なからずミスマッチがあるのだろう」と話す。

 今後の展開についてはコンテスト上位入賞者を松江に招待し、堀川委員会の学生と交流を加速させる。さらに松江観光協会ではプランの旅行商品化に向け検討を進める。

 乙部専務理事は、フジドリームエアラインズの出雲―名古屋間の増便や松江市と愛知県大口町との姉妹都市提携なども念頭に、「学生交流を地域交流へ広げていきたい。中部圏は1700万人の市場。その意味で今回中部圏の経済界の賛同が得られたのは大きい」とコンテストの意義を強調する。

ぴーすくる女子求む、観光レンタサイクルをPR(ツアーズ広島)

山田智浩社長
山田智浩社長

 広島県広島市の観光総合案内所ツアーズ広島は8 月24日、本紙を訪れ、同市中心部に設置したサイクルポートで、自由に貸出返却ができる、観光レンタサイクル「ぴーすくる」をPRした。来社したのはツアーズ広島の山田智浩社長。

 ぴーすくるは(1)観光客へのおもてなし度向上(2)観光利用と市民利用との融合(3)地元との連携と地域活性化――を目的とし広島市の委託事業として、2015年2月から開始した。事業開始から1年半経った現在、外国人による利用も多いという。広島市には、原爆ドームなど自転車で訪れることのできる場所が多いため、自転車の周遊コースなどを案内することで、観光客の行動範囲拡大を目指している。

 訪日観光客やビジネスで同市を訪れている人たちにとって、最寄の場所までのバスでの移動は、バスのルートや、降車停留所などが分かりづらい部分が多いため、今後はビジネスパック利用者などへのサービス拡大を目指す。山田社長は、「カープ女子ならぬ、〝ぴーすくる女子〟を早く結成して、しっかりPRしていきたい」と語った。

 料金プランは、1日パスで、税込1080円。貸出時間は午前7時―午後11時までで、返却は利用当日の午前零時まで可能。また、交通系ICカードや、おサイフ携帯を持っていれば、それらをカギとして利用することができる。そのほか1日パスのほかに、月額会員プランなど、各種会員料金プランを設けている。詳細は「ぴーすくる」(http://docomo-cycle.jp/hiroshima/)まで。

竹を使ったアクティビティ、群馬県・みなかみ町体験旅行

ライフジャケット着用で、はしゃいでも安心(撮影:内田晃)
ライフジャケット着用で、はしゃいでも安心(撮影:内田晃)

 みなかみ町体験旅行(入内島芳崇代表理事、群馬県利根郡)は9月11日、「バンブーキャンプ」をみなかみ町にある洞元湖の湖畔で行った。旅行会社やメディア関係者を対象としたモニターツアーで、今後の商品造成に向けフィードバックを得るのが目的。参加者は大人8人、子供2人。

 「バンブーキャンプ」とは、天然の竹を使って「つくる」と「食べる」「遊ぶ」を、参加者が協力して楽しむもの。当日は、竹を使った筏や器、箸づくりなどが行われた。参加者は、つくった筏で湖に漕ぎ出したほか、竹の箸を利用して流しそうめんを食するなど、竹を利用したアクティビティを満喫した。

 筏づくりでは、パラグライダーインストラクターでもある小林晋リーダーのもと、長い竹をノコギリで裁断して結わうなど、参加者は一致団結して作業に取り組んだ。大人の指導や手助けがあれば、子供でも無理なくつくることができ、林間学校で訪れた小中高生らにも好評を博している。

手作りでも、“本格的”な流しそうめんが楽しめる
手作りでも、“本格的”な流しそうめんが楽しめる

 完成した筏を湖に浮かべ、大人4人で試乗。不安定ながらも、一丸となって漕ぐと、筏はぐんぐん沖へ進んだ。ライフジャケットの着用やインストラクターによる丁寧な指導など、安全面での配慮が厚く、転覆などのハプニングも楽しい。林間学校など大人数での参加時には、プールを目一杯利用しての宝探しゲームなども体験できる。

 流しそうめん用の汁を入れる器や箸づくりでは、竹が割れないよう工夫するなど、作業を通じて竹という素材の性質を学ぶことが可能。そうめんを流すために用いる台も、参加者による手作りで、金槌となたを利用して竹の節を取るなど、普段味わえない体験ができる。

 受け入れの多くを、都心の中学生や小学生、高校生が占め、林間学校や修学旅行など参加者は年間で1万人(15年度実績)を超える。海外からの参加はおよそ10%。みなかみ町体験旅行では一般向けツアーの企画も行っており、現在、冬に向け造成している最中。雪に焦点を据えたものになる予定だという。
【謝 谷楓】

「旅しおり」作成、お届け、旅行体験の質的向上へ(たびらい)

人の温もりを感じる、オーダーメイドならではの楽しみ
人の温もりを感じる、オーダーメイドならではの楽しみ

 パム(長嶺由成社長、沖縄県那覇市)はこのほど、「あなただけの旅しおり」サービスを本格的に開始した。同サービスは、予約サイト「たびらい」を利用した、沖縄エリアの宿泊予約者に対し、オーダーメイドで観光情報を提供するというもの。利用者の目的に合わせて、沖縄を知り尽くした同社の現地編集部スタッフが専任で、観光ガイドを作成する。旅行体験の質的向上を果たすのが目的だ。

 利用者は、施設予約後にメールで届くオーダーシートに、旅の目的や体験したいことなどを記入して返信するだけ。現地編集部スタッフは、想いなどを汲み取ったうえで、各々にぴったりな「旅しおり」を作成し、指定日にオンラインで送付する。スマートフォンからも操作でき、旅行前だけでなく、雨の日の過ごし方など旅行中の質問にも対応できる仕様となっている。

 「たびらい」は同社が運営しており、宿泊やレンタカーといったツアーの予約対応だけでなく、各地域の観光情報も満載の旅行総合サイト。同サイトを訪れれば、目的地の歴史や地理にも触れることができる。

 同社は、“「目的地」から旅を面白くする会社”を掲げて活動しており、現地を拠点に取材を重ねながら、体験にもとづくユニークなコンテンツを企画している。運営メディアも多彩で、「たびらい」のほか、訪日外国人観光客向けの「Tabirai Japan」や、沖縄観光に特化したクーポン付きフリーペーパー「たびカタログ」、中国語沖縄観光フリーペーパー「Hi!沖縄朋友」などの発行も行っている。

 「旅しおり」に関する問い合わせ=パム広報企画(担当・妻夫木) 電話:050(3850)8925。

観光大喜利で魅力発信、やまがた若旦那

大喜利を終えて笑顔であいさつ
大喜利を終えて笑顔であいさつ

 山形県旅館ホテル生活衛生同業組合青年部(佐藤太一部長)は9月13日、東京都内の寄席でプロの落語家を司会に「やまがた若旦那観光大喜利」を開き、県内の魅力を「笑い」に乗せて発信した。無料冊子「やまがた若旦那」の第3号も配布し、来県を呼びかけた。県の「若者チャレンジ応援事業」の助成金を活用している。立川流真打の立川こしらさんが司会を務めるなか、9人の若旦那が高座に上がった。「お国自慢」や「クレーム」などのお題に対し、珍解答や名回答が続出。それを立川さんが引き取り、さらに笑いを誘った。

 大喜利で魅力を発信するというざん新な企画について佐藤部長は、「経験のないなか、いきなり甲子園のマウンドに立つようなもの」と表現。今回、異業種代表として参加した農家の中川吉右衛門さん(高畠町)は「自分で決めてこの場にいることが楽しい」と語った。企画を練った遠藤直人さん(鈴の宿登府屋旅館)は「一度やると要領が分かった。さらに面白いことができそう」と、次の取り組みに目を向ける。

 青年部では昨年度から若旦那を切り口に、無料冊子の発行やフェイスブックを活用した人投票などのアイデアで、誘客活動に取り組んでいる。