ハウステンボス、九州在住者限定で割引キャンペーン開始

2017年12月25日(月) 配信 

500円割引のキャンペーンを実施(画像はイメージ)

ハウステンボスは2017年12月25日(月)から18年2月28日(水)までの期間限定で、開業25 年を記念し、九州在住者に感謝を込めてパスポート券種が500円割引になるキャンペーンを始めた。

 同CPの期間には、現在開催中の1300 万球が煌く「光の王国」や美しい蘭のアートを展示する「大胡蝶蘭展」をはじめ、炎のパフォーマンスショー「光と炎の王国」、国内唯一の「世界花火師競技会」、日本最多700 品種の「チューリップ祭」など、3 世代で楽める“オンリーワン・ナンバーワン”のイベントを開催。

 開業25 周年を迎え、「さぁ未来を旅しよう。」をテーマに、「お客様と共に明るい未来をつくりたいとのメッセージを込めて、新しい感動体験の創造に挑戦し続ける」(同社)とさらなるサービスの充実に邁進していく。

キャンペーン概要

実施期間(入場日):2017 年12 月25 日(月)〜2018 年2 月28 日(水)

除外日:2017 年12 月31 日(日)

対象:九州在住者限定(福岡県、佐賀県、⻑崎県、⼤分県、熊本県、宮崎県、鹿児島県)

キャンペーン内容:対象券種の料⾦から500 引き

キャンペーン概要

※当日、九州在住の証明となる免許証、保険証などの提示が必要となる

ジェットスター、宮崎―成田路線を開設

2017年12月25日(月) 配信

成田国際空港発着の国内線としては10路線目

ジェットスター・ジャパンが、LCC (格安航空会社)最多の17 路線目となる宮崎―東京(成田国際空港)路線を新規就航した。併せて、地方路線初となる同路線での貨物の取り扱いも開始した。

 年間を通じて温暖な気候で南国情緒豊かな宮崎は、ご当地グルメやフルーツに加え、マリンスポーツや野球・J リーグなどのキャンプ地としても人気。観光客を魅了し続ける神社仏閣・パワースポットや自然が作り出した秘境も各地に点在している。また今回の路線開設で、宮崎旅行のみならず同社がすでに就航している九州 4 都市を利用した周遊旅行も手軽にできるようになる。

宮崎―東京(成田国際空港)線概要

スケジュール(2017 年 12 月 21 日〈木〉~2018 年 3 月 24 日〈土〉)

成田国際空港 午前11:30発 →宮崎空港 午後1:40着

宮崎空港 午後2:20→成田 午後4:00 (木曜日は 午後2:15発→午後3:55 着)

片道運賃(エコノミーStarter クラス) :5990 円~(税込)

エイベックス子会社から資金調達

2017年12月25日(月) 配信

旅人にフォーカスするベンチャー企業、SAGOJOが資金調達を行った

旅人求人サイトを運営するベンチャー企業、SAGOJO(新拓也代表、東京都渋谷区)はこのほど、エイベックス・ベンチャーズ(松浦勝人社長)から数千万円規模の資金調達を行った。

 同社関係者によると、資金は案件数の拡大と管理体制の強化に使われるとのこと。具体的な出資額については非公表とした。

 SAGOJOでは、旅人がユーザーと地域をつなぐ取り組みを続けてきた。ライティングやカメラスキルの高い旅人のマッチングを支援し、SNS(交流サイト)を通じたプロモーションで成果を上げてきた。観光客誘致だけでなく、移住定住への関心を高める記事の作成・配信も行う。マッチング可能な旅人は7千人以上。今、地域に滞在する旅人に対し仕事を依頼することも可能だ。

 出資者のエイベックス・ベンチャーズは、新興企業を対象としたプレゼンテーションの場を設けるなど、優良ベンチャーの発掘に力を入れている。エンターテイメントに関連する技術と人への投資を行うことで、グループ全体の価値向上を狙う。今後、SAGOJOはじめ、出資するベンチャー企業間のコラボレーションも具体化するかもしれない。

 エイベックス・グループは昨年、旅行事業に着手。ツアー旅行の企画実施を担う、エイベックス・トラベル・クリエイティヴ(加藤健社長)を立ち上げた。所属アーティストのファンクラブ会員を主ターゲットに据え、大手エージェント各社との連携も強めている。

 なおSAGOJOはこれまで、テテマーチ(上田大介代表)ナイトレイ(石川豊代表)など、本紙でも取り上げてきたベンチャー企業とも提携してきた。

JTB九州+H.I.Sと合同リゾートウェディングフェア開催

2017年12月25日(月) 配信

フェアをきっかけに海外・沖縄リゾートウェディングの魅力を伝える

JTB九州は2018年1月14日(日)、ハカタギグランヒューリーでエイチ・アイ・エス九州営業部と合同で「海外・沖縄リゾートウェディングフェア」を開く。海外・沖縄でのリゾートウェディングは、開放的なロケーションの中で、新郎・新婦はもちろんのこと、参列する家族もリラックスした状態で挙式を楽しめることなどから、近年人気を博している。

 今回のフェアは、魅力あふれる海外・沖縄リゾートウェディングをもっと身近に感じてもらい、気軽なスタンスでウェディングフェアに来場してもらいたいという両社共通の想いから、開催することが決定した。

 九州エリアにおける国内一般結婚式場での実施率は、全国平均と比較して4.2㌽高い。一方で、海外挙式の実施率は全国平均と比較して3.0㌽低い状況になっている(出典:リクルートマーケティングパートナーズ社調べ「ゼクシィ結婚トレンド調査2017」)。この状況を九州エリアの課題とし、同フェアを通じて海外・沖縄リゾートウェディングの魅力を広く伝えていく。

JTB九州+H.I.S合同海外・沖縄リゾートウェディングフェア概要

日 時:2018年1月14日(日) 

時間:第1部午前10:00~午後1:00 第2部午後1:00~午後4:00 第3部午後4:00~午後7:00

会 場:ハカタギグランヒューリ 
福岡市博多区博多駅中央街9-1KITTE博多11階
(博多駅直結)

定 員:50組限定

予 約:JTB九州各店舗または、以下ホームページ

共 催:ワタベウェディング、アールイズウエディング、クチュールナオコウエディング、ベストブライダル・タカミブライダル

商品一例:ハワイ挙式2人で9万8千円から ※航空券・ホテル宿泊費は含まれない

(問合せ先)
JTB九州ウエディングプラザ福岡 担当:福元・山下 
tel:092-718-2271

金沢市内にホテル、加賀屋G、19年夏開業へ

2017年12月25日(月) 配信

ホテルフォルツァ金沢(仮称)のイメージ

 加賀屋グループは2019年夏に、石川県金沢市の中心街、安江町でホテルを開業すると発表した。同グループの不動産管理会社「K・R・E」(小田與之彦社長)が土地・建物を所有し、運営は「グランド ハイアット福岡」や「ハイアット リージェンシー福岡」など、九州を中心にホテル運営を手掛ける「エフ・ジェイ ホテルズ」(本社・福岡市)が行う。

 「ホテルフォルツァ金沢」(仮称)は、近江町市場から徒歩1分、旧北陸銀行と旧のと共栄信用金庫の支店が並んで建っていた跡地に建設。敷地面積は約1020平方㍍(約310坪)。地上9階建て、約200室の規模になる。

 グループや家族旅行、増大する訪日外国人などの利用を想定し、ツインやダブルといった広めの客室を多く設置。金沢の観光拠点となるホテルを目指す。

 「エフ・ジェイ ホテルズ」が展開する「ホテルフォルツァ」は「必要なものを必要なだけぜいたくに配した、くつろぎと眠りを追求するスマートホテル」をコンセプトにした宿泊重視型ホテル。これまでに博多駅前(2軒)や大分市、長崎市で展開している。

 同社では今回の金沢以外に、同じく19年夏には大阪北浜、20年春には札幌駅前でも「フォルツァ」ブランドのホテルを開業する計画という。

直接消費に結びつける インスタグラムの活用法

2017年12月25日(月)

テテマーチ執行役員
松重秀平氏

 インスタグラムを活用した誘客に対する期待は高い。現地を訪れた観光客個人による口コミ効果を期待できるからだ。写真コンテストを実施するなど、知名度アップや需要喚起に利用する自治体が増加している。間接効果に留まらず、直接消費に結びつける方法はないか? 一歩踏み込んだインスタグラムの可能性を考える。

【謝 谷楓】

 インスタグラムを利活用した写真コンテストを作成・管理できるオリジナルCMS(コンテンツ管理システム)“CAMPiN”を提供してきたテテマーチ(東京都品川区)。地域の観光スポットを周知する手段として、全国の観光協会などで重宝されてきた。

 同社は現在、誘客や直接消費増を実現する方法の1つとして、投稿写真に付与される“位置情報”に着目している。同社執行役員の松重秀平氏は次のように話す。

 「投稿写真にハッシュタグを付けるだけで、コンテストに参加できることが“CAMPiN”の特徴でした。観光客だけでなく地域住民を巻き込んだPR活動で、地域に赴くキッカケづくりとして活用してほしいという思いがありました。一方、周知だけでなく、誘客に肉薄する仕組みの必要性も感じていました。そこで目を付けたのが、写真に付与される“位置情報”だったのです」。

 インスタグラムには、位置情報から写真を見つけられる「スポット」検索が備わっている。地名やスポット名を検索することで、その位置情報を持つ写真を探すことができる。同社では、“CAMPiN”によるキャンペーンサイトにgoogleマップを掲載。その上に、個々の投稿写真を配置することで、写真の撮影地を一目瞭然にした。

 「写真をWebサイトに並べるだけでなく、その位置情報も直感的に分かるようにしました。魅力的な写真は共感を誘いますが、撮られた場所を知ることで、キャンペーンサイトは旅のデスティネーションを選択するガイドブックにもなり得るのです」。

 写真は、地域の魅力を伝える手段としては有効だったが、撮影地そのものを知るには位置情報が欠かせない。インスタグラムの「スポット」検索はあくまで写真を探すための機能。同社は、マップ上に個々の投稿写真を配置することで、撮影地近隣の駐車場や飲食店など、旅行時に必要な現地情報も把握できるようにした。【図参照】

写真とマップ機能を融合させることで、撮影地を直感的に把握することが可能に。マップは必要に応じて拡大できる(図はイメージ。現実のサービスとは関係ありません)

 「写真と撮影地をマップに落とし込むだけでなく、具体的な住所を記載することも可能です。現在は個別カスタマイズでの対応となりますが、今後はデフォルトプランも用意していきたいと考えています」。

 総務省の調べによると、インスタグラムの利用率は20と30歳代でそれぞれ30―45%ほど。20、30歳代女性は56・6%と42・7%で、30歳代女性の利用率はツイッターを上回っている。インスタグラムへの写真投稿は、原則スマートフォン端末用アプリからしかできないが、そのスマートフォンを経由しての消費額も決して低くない。スマートフォン経由での直接消費効果は年間約6・4兆円(推計)。国内旅行会社の販売総額(15年)と並ぶ規模感だ。そのうち、旅行・宿泊の占める割合は8%(約5千億円)ほどで、ファッションに次ぐ規模となっている。

 「来訪者が写真を撮りたくなる環境をつくれば、費用対効果の高い地域PRを望めます。来訪者と地域住民を問わず、指定のハッシュタグを写真に付けるだけで、地域の魅力を発信することができるからです。テテマーチでは、インスタグラムに関するセミナーも開催しており、参加する事業者からアンケートを取るなど、地域の実情に適した事業展開をしてきました。事業者の方々同様、BtoCの視点に立ったうえで、マーケティング支援を行っているのです。行政の統計情報が示すように、インスタグラムやスマートフォンを経由した経済活動は拡大しており、旅行や宿泊との親和性が高いことも分かってきました。

 ハッシュタグの次は、“位置情報”を活用して、来訪者と消費額増を目指すべきです」。

【第29回 全国女将サミット 7月4日決定!】「薩摩から伝えたい~」 初の鹿児島開催へ

2017年12月25日(月) 配信

有村青子女将(前列左から2人目)、下竹原成美女将(同3人目)が運営委員長に

2018年 謹賀新年 旅行新聞新社 社員一同

 今年の全国旅館おかみの集い(第29回 全国女将サミット2018鹿児島)は7月4日、鹿児島市内の城山観光ホテルで開催する。運営委員長は有村青子女将(指宿シーサイドホテル)と下竹原成美女将(指宿白水館)の2人体制とした。

 昨年12月に運営委員会を開き決めた。今年は明治維新から150周年という節目を迎えるなか、NHK大河ドラマ「西郷(せご)どん」の放映も決まり、全国から注目を集める鹿児島県で開催する。会場となる城山観光ホテルは、市の中心にありながら、桜島を一望できる豊かな自然と緑に囲まれた空間が自慢の施設だ。年明けも引き続き運営委員会を開き、プログラムや懇親会の演出などを検討する。

 全国の女将の皆様、今夏はぜひ鹿児島にお越しください。お待ちしております。

開催日:2018年7月4日(水)
会場:城山観光ホテル(鹿児島県鹿児島市)
運営委員長
有村 青子(ありむら・はるこ)女将(指宿シーサイドホテル)
下竹原 成美(しもたけはら・なるみ)女将(指宿白水館)…

※詳細は本紙1698号または1月10日以降日経テレコン21でお読みいただけます。

「提言!これからの日本観光」「観光の疲労」回復を

2017年12月24日(日) 配信

多くの地域で観光客が溢れている(写真はイメージ)

 ある観光団体の会議の席上「最近観光の疲労現象が各地でみられるのが心配だ」という意見が出た。観光が直面している課題を「疲労」と表現されていることが印象に残った。

 さまざまな行動が体力の限界を超えると起こるのが「疲労」であることはいうまでもない。まさに今、観光地の一部でこのような現象が見受けられ、その回復に迫られている。

 まず観光客の集中による交通機関の混雑である。マスコミでもよく報道されるのは鎌倉の電車と京都のバスの例である。大きい荷物を持った土地不案内の外国人を含む多数の観光客が殺到し、時間帯によっては一般市民の利用が困難となり、苦情が多発しているという。

 次に都市のホテルがいつも満室のため、観光客、ビジネス客が困っているところが続出していることだ。また、各地で外国人対象のヤミ民宿が横行し、近隣からの苦情が出たりするなど、外国人観光客急増に住民の不安感が高まっていることだ。旅館廃業が続出、部屋数は減少し宿泊受給の逼迫を増幅している。

 多くの観光地でまちの受け入れ容量を超えて観光客が入り、生活環境劣化(交通渋滞、ゴミ、騒音問題の深刻化)が目立ち、住民の中に観光への拒否反応を示す人が増加するなどの現象も起こっている。生活環境保護と観光推進とのバランスを取るため苦慮している地域も少なくない。

 それでは、この観光の「疲労」現象を回復させ健全な観光とするにはどのようにすればよいだろうか。観光「疲労」が起こる原因は観光客が特定の地域季節に集中することによることが多い。また、外国人観光客の日本人の生活慣習(観光)マナーなどへの理解不足からも起こっていると思う。したがって、集中の解消、緩和がまず必要である。場所的集中については適確な観光地情報、とくに着地発の情報によって魅力ある観光地の存在を知らせることが必要である。また、季節的集中については有給休暇や祝日制などのいわゆる休暇政策がそのカギを握っているといえよう。地域季節を問わず、万遍なく、バランスの取れた広域観光の実現が期待される。

 外国人観光客については日本の生活習慣旅行マナーを充分説明し、理解を求めることが必要である。ここでも日本の観光情報の適確な発信がそのカギを握る。日本の観光事情を理解した外国人観光客を日本側がもてなしの心をもって迎えれば観光によるよきコミュニケーションが実現し、外国人観光客の増加で生ずる観光「疲労」現象の発生を未然に防ぐことができよう。「疲労」は初期の間に体力(能力)を強化充実させることにより予防できる。このように適確な情報提供による観光「疲労」回復への努力が急務であると考えられる。

 (追記)前回の本稿で「産業観光」が「UNWTO部門賞」を受賞した記述に、受賞団体「全国産業観光推進協議会(主任 森岡順子氏)」と主任名を追記させていただく。

コラムニスト紹介

須田 寛
日本商工会議所観光委員会共同委員長
須田 寬 氏
 
 
 
 
 

 

「観光ルネサンスの現場から~時代を先駆ける観光地づくり~(155)」鍛冶屋ツーリズム(兵庫県三木市)

2017年12月23日(土) 配信

明治20年以前の英国製地金に拘った鉋(かんな)の鍛造/「常三郎」(魚住徹さん)の工房

 神戸市に隣接する兵庫県三木市は、日本最古の金物のまちと言われる。起源は、5世紀中頃、製鉄の祖「天目一箇命(あまのひとつめのみこと)が東播磨で大和鍛冶をはじめたことにある。とくに神功皇后が大陸から韓鍛冶を連れてきて、大和鍛冶との融合による技術革新により、三木には優れた鍛冶技術が根付いたという。

 いずれも神話の世界だが、考古学的にも、三木市志染町(しじみ)窟屋一号墳で発見された鉄釘がひとつのカギを握っている。この釘は、奈良県西部の葛城市(忍海(おしみ)地域)で発掘されたものと同じ形状であり、忍海地域の鍛冶職人が鍛造したものと考えられている。忍海古墳群は鍛冶職人と関わりの深い渡来人が眠る古墳であり、5―6世紀の鉄器づくり(鍛冶生産)の遺構も発見されている。つまり、忍海地域から技術が伝わった三木市志染が三木鍛冶の起源であると考えられているのである。

今年5月の鍛冶博覧会「鍛冶でっせ」に展示された(有)カネジュンの細工鋸の展示

 三木市の転換はもう1つある。1578(天正6)年の羽柴秀吉との合戦である。三木城主、別所長治は2年に及ぶ籠城の末自刃し、三木城下は灰塵に帰した。しかし、秀吉は焼野原となった町の復興に力を注ぎ、免税の札を立て、逃げ延びていた人々を再び城下に集めた。そして各地から大工職人を呼び集め、その道具を作る鍛冶職人も次第に数を増やしていった。他地域に出稼ぎにでた大工職人たちによって三木金物は高く評価され、次第に大工道具が売れるようになった。こうして江戸後期の19世紀には、鋸(のこぎり)、鉋(かんな)、鑿(のみ)などのほか、包丁や剃刀、鋏(はさみ)など、三木は金物のまちとして大いに栄えた。

 現在、三木金物はドイツなど北欧方面や同業者仲間の間では知名度は高いが、国内の一般消費者の認知はいま一つである。そこで、三木工業協同組合は、一般消費者に三木金物を知ってもらうための新たな戦略を練っている。その1つが「鍛冶屋ツーリズム」である。金物は、大工道具だけでなく、植木や各種農業用、調理(食品)用具など実に幅広い。もちろん家庭用DIYもある。

 こうしたことから、一般消費者に三木の職人とその工房・工場を見てもらう、いわば「産業観光」を企画した。先行の新潟県・燕三条「工場の祭典」や東京大田区の「オープンファクトリー」なども、もちろん参考にしている。

 先ずは新神戸駅裏に移転した「竹中大工道具館」とのタイアップにより、全国の職人や金物店主、各種訓練学校の先生・生徒らを対象とするプロ向けツアーを先行する。次の段階では料理スクールなどと連携した女性客の取り込み、工作や鍛冶に興味のある「鍛冶ガール」などに焦点を当てている。三木といえば西日本一のゴルフ場集積地であり、酒米「山田錦」の一大産地としても有名である。

 こうした地域の強みと連携した「鍛冶屋ツーリズム」の今後の展開に大いに期待したい。

(東洋大学大学院国際観光学部 客員教授 丁野 朗)

静岡県富士山世界遺産センター、23日開館 館内概要紹介

2017年12月22日(金) 配信 

静岡県富士山世界遺産センター
水面に“富士山”が見事に映る

古くから「信仰の対象」となり、「芸術の源泉」として数多くの芸術作品を生み出しきた富士山。2013年に世界文化遺産に登録され、改めてその価値を後世に守り伝えるため「静岡県富士山世界遺産センター」が17年12月23日(土)に開館する。総事業費は約41億円。年間で県内から18万人、外国人ら含む県外からは12万人の、計30万人の来館者を見込む。

 設計者は坂茂氏。建物は展示棟を中心とし、北棟と西棟の計3つ。展示棟は木格子の外壁を持つ、特徴的な“逆さ富士”の建物だ。木格子は富士山麓で育った富士檜を使用。館内にはその香りが漂う。前面に日本最大級(約2300平方㍍)の水盤を配置。水面に逆さ富士が映り込むと、“富士山”の姿が現われる。今後はライトアップも計画しており、地元の新たな名所にしたい考え。

湾曲する壁面に映像を流す

 展示棟内部にある螺旋型のスロープ(全長193㍍)を登ると、壁面に映る映像で富士登山を疑似体験できるようになっている。湾曲する壁面に映像をしっかりと映すため、最大で8台のプロジェクターを使用するなどとくに力を入れる。最上階の展望スペースは、富士山を正面に捉えており、圧巻の景観が広がる。

 「永く守る」「楽しく伝える」「広く交わる」「深く極める」の4本柱で、富士山を多角的に紹介。螺旋型スロープ以外では、“荒ぶる山” “聖なる山” “美しき山” “育む山” “受け継ぐ山”の5つの常設展示を用意した。それぞれで富士山の歴史や信仰、芸術、文化、自然などを学べる。

最上階の展望スペースは、圧巻の眺望

 美しき山では芸術と文学を扱う。スクリーンに実寸大の屏風を映すなど、より本物に近い作品を体験してもらえるようこだわった。展示スペースにあるモニターは、タッチパネルで操作性を向上。旺盛な訪日需要にも対応させた。一部を除きすべてワンタッチで多言語化(日、英、簡・繁体、韓)できる。このほか、西棟の企画展示室では年4回ほど開催。開館に合わせ、記念特別展示「富士山の曼荼羅」を23日から始める。

 北棟の目玉は4Kシアター。富士山の春夏秋冬の移ろいや、登山者の姿など、265インチの大画面に高画質な映像を流す。ナレーションは一切いれず、映像美のみで勝負する。

 1階にあるカフェでは、静岡県の地産地消をコンセプトにメニューを揃える。富士山からの湧水を使用したコーヒー(200円)や、静岡の素材を使用したホットドック(500円ほど)などを用意。地域産品の他、地元デザイナーによる雑貨なども販売する。

 開館時間は午前9時から午後5時(夏季は6時)。入館料は個人が300円で、団体(20人以上)は200円。大学生以下と、障害者などは無料となる。車では、新東名高速道路新富士ICから約10分。電車は、JR身延富士宮駅から徒歩8分ほど。

地元デザイナーの商品も

 車・バスでの来館者のため、道路標識を17個増設し、富士急静岡バスでは、最寄りバス停を新設。新規路線「新富士駅~富士山世界遺産センターアクセス線」の運行を開館日に合わせ始める。詳しくは下記URL。また、近くには「富士宮神田川観光駐車場」を整備。普通車96台、バス20台に対応する。

所在地:静岡県富士宮市宮町5―12

TEL:0544(21)3776

富士山本宮浅間大社も隣接

富士山本宮浅間大社の拝殿

 静岡県観光協会は2017年12月6日(水)に「静岡県富士山世界遺産センター」の内覧会を行い、隣接する富士山本宮浅間大社も視察。富士山は25の構成要素から世界遺産に認定されている。今回訪れた富士山本宮浅間大社もその1つとなる。

 富士山は過去に何度も噴火が起こっている。これらを鎮めるため、浅間大神を祀った神社が浅間神社。富士山本宮浅間大社は全国1300社ほどある浅間大社の起源で、総本宮となる。1300社もある浅間大社は、富士山信仰の普及から各地で増えたとされている。

 源頼朝・北条義時・武田信玄勝頼親子らが崇敬を寄せていた。とくに徳川家康は手厚く保護し、現存する社殿を造営した。本殿は全国でも珍しい2階建ての楼閣作り。これまで国宝や重要文化財として保護されてきた。

2階建の楼閣作り

 なお、富士山の8合目以降は富士山本宮浅間大社の境内地。8合目以降という基準は、富士山の火口が200㍍ほどで、これがちょうど8合目辺りだからだと言われている。

 境内にある富士山の水が湧く「湧玉池」は国の特別記念物に登録。湧玉池は池の面積は約2500平方㍍、年平均毎秒2・1立方㍍の水量がある。富士山登山者らが、登山前の水垢離(みずごり)を行っていた場所。この霊水に禊ぎをして、登山する古くからの習わし。

 今後は同センターとも協力体制を敷き、宝物などの企画展も計画していく方向だ。