まるごと旅情報 『南東北特集』 公開

まるごと旅情報 『南東北特集』 を公開いたしました。

第1551号掲載(2014年7月11日発行)
『南東北特集』の紙面がご覧いただけます。

詳細はコチラから!(弊社の『南東北特集』ページへリンクしています)

 
☆まるごと旅情報とは☆
弊社の「旬刊旅行新聞」にて掲載した全国の観光情報に関する特集記事をご紹介しています。
過去1年間分の紙面の一部をご覧いただける旅の情報ページです。

カブトムシをプレゼント ― 自然豊かな田舎旅館の夏の風物詩

 7月の終わり、末の息子と近所の小さなスーパーに行って、晩ごはんの買い物をしてレジに行くと、レジのおばちゃんが息子に「ボク、カブトムシいる?」と聞いた。息子は目を輝かせて頷くと、オスとメス1匹ずつの計2匹くれた。「ありがとう」とお礼を言ってレジを去ろうとすると、「ボク、お兄ちゃんいる?」と聞かれ、息子が頷くと、おばちゃんはもう2匹くれた。計4匹のカブトムシをもらって、私と息子は喜んでマンションに帰った。しかし、レジのおばちゃんは安堵の表情で「ああ、もらってくれて良かった」と言っていたのが、耳に残った。おそらくスーパーの特典としてカブトムシをプレゼントすることが決まったのだが、何人かの男の子や女の子に声を掛けたにも関わらず、思うようにカブトムシを欲しがる子供や親がいなかったのかもしれない。

 私が子供のころは、クワガタはたくさん捕れたが、カブトムシはなかなか捕れなかった。このため、デパートの屋上でカブトムシが売っているのを見つけると、「買って!」と何度もねだったものだが、今は外国に生息する巨大なカブトムシを目にすることはあるが、普通のカブトムシを販売する風景をあまり見なくなった。

 昨年も、その前の年も、同じマンションの住民から、うちの息子たちはカブトムシをもらって帰っていたし、公園で遊んでいると、通りすがりのおじさんがカブトムシをくれたことも2、3度あった。

 カブトムシは、少なくとも我が家に関しては、今も変わらぬ夏の風物詩である。

 8月の初め、深夜に強かに酔っ払って帰ると、マンションの玄関にカブトムシのオスがひっくり返っていた。赤ら顔で足の爪先で転がしてみると、まだ元気に生きていたのでそのまま家に持って帰った。その翌日の深夜、長男が部屋の網戸にカブトムシのメスが引っかかったといって、ベランダに持ってきた。カブトムシは仲間がいると、遠くから集まってくる習性があるのだろう。カブトムシを飼っていると、毎年どこか遠くから、うちのマンションのベランダに飛来してくる。東京近郊の住宅街だが、カブトムシが飛んで来てくれるのが、うれしい。

 私も休みの日には暇に飽かせてベランダでカブトムシを摘まみ出し、角を持って、小さな愛嬌のある目を見たり、腕に掴まらせたりして遊んでいる。

 今夏も、例えば石川県・和倉温泉の宿守屋寿苑では、世界農業遺産に認定された「能登の里山里海は自然の宝庫」を存分にPRしながら、ファミリープランの夏休み特典として「お子様にカブトムシプレゼント!!」(飼育カゴ付き)を実施している。小さな、素朴なプレゼントではあるが、私はこんな宿のプレゼントが好きだ。全国各地の多くの旅館・ホテルでも子供たちにカブトムシのプレゼント企画を行っているだろう。

 でも、カブトムシをもらって喜ぶ子供たちは減っているのかもしれない。それだからこそ「おぉ、すげぇ」などと興奮して大声を上げながらカブトムシを摘まんだり、覗き込む小さな子供たちの後ろ姿は愛らしい風景である。さまざまな季節感が失われつつある日本にあって、自然豊かな田舎の旅館が、夏休みの子供たちを迎えるにあたって「カブトムシをプレゼントする」気持ちは、正しい姿勢だと思う。

(編集長・増田 剛)

11年ぶりに余暇市場拡大、国内観光旅行5590万人で首位(レジャー白書2014)

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 日本生産性本部(松川昌義理事長)は8月4日、1977年以来通算38号目の「レジャー白書2014」を発表した。これによると、13年の「国内観光旅行(避暑、避寒、温泉など)の参加人口が5590万人と3年連続で首位となり、余暇活動の代表格として定着。また、13年の余暇市場は、観光・行楽部門が好調に推移し、前年比0・8%増の65兆2160億円と11年ぶりに市場が拡大した。
【増田 剛】

志村武範主幹研究員
志村武範主幹研究員

 13年の余暇市場は、02年に0・7%増加して以来11年ぶりにプラスとなった。とくに観光・行楽部門が前年比4・0%増と2年連続で大きく伸びたのが特徴で、志村武範主幹研究員は「消費増税の駆け込み需要も拡大要因となった」と説明。一方、趣味・創作部門は同2・7%減とマイナス傾向のまま回復に至っていない。スポーツ部門は同0・1%増と横ばい。娯楽部門は同0・8%増と食が好調で、カラオケボックス(ルーム)も増加が続いている。公営ギャンブルは2年連続の増加となった。

 余暇活動の参加人口は、国内観光旅行が5590万人(12年は5670万人)で3年連続の首位となった。2位はドライブで4690万人(同5200万人)、3位は外食(日常的なものは除く)で4470万人(同5170万人)、4位は映画で3780万人(同4090万人)と4位までは不動だったが、前年5位の「音楽鑑賞」が11位までランクが下落した。一方、順位を上げたものは、「複合ショッピングセンター、アウトレットモール」「動物園、植物園、水族館、博物館」「宝くじ」「ビデオの鑑賞」「ウォーキング」「帰省旅行」「遊園地」などがあるが、順位は上がったものの参加人数ではいずれも前年を下回った。

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 観光・行楽部門では、遊園地・テーマパーク市場が同10・5%増の7240億円と過去最高の売上を更新した。旅行業は国内旅行が大きく伸び、同2・1%増の6910億円と2年連続で増加した。鉄道、貸切バス、国内航空もそれぞれ大きく増加した。

 宿泊施設では、ホテルが同10・5%増の1兆820億円と2ケタの伸びを示したのに対し、旅館は同0・3%減の1兆3950億円と減少傾向に歯止めはかからず、ホテルと旅館の市場規模は年々近づいてきている。

 また、1人平均10数種目参加している活動から「最も重視する余暇活動」を1つ選んでもらうと国内旅行が11・7%で最も多い結果となった。

No.379 インフラツーリズム - 3氏に専門的な意見を聞く

インフラツーリズム
3氏に専門的な意見を聞く

 「工場萌え」と呼ばれる工場景観ブームが出現してから10年が経つ。これまで観光対象にされなかった工場が景観として認知され、ツアーが造成されるまで成長した。その流れは現在になっても衰えることはなく、最近では「インフラツーリズム」という観光形態の一つとして認識されるようになった。「工場萌え」から現在の「インフラツーリズム」までの流れなどを研究者、発信者、事業者という専門的な立場の3氏にそれぞれ聞いた。

【丁田 徹也】

 
 
 
 ――インフラツーリズムについて教えてください。

 インフラツーリズムとは、「世界に誇るべき土木技術や優れた性能を有する土木構造物など、特徴あるインフラ施設を観光資源として活用する試み」と定義されている。2013年に国土交通省がニューツーリズムの創出のためのテーマの一つに挙げたあたりから注目を浴びているが、工場やダムなどの土木系のインフラ景観を観光対象として見る現象自体は以前から存在していた。

 私は、景観の多様性や工場景観の観光対象としての価値について研究をしていた07年ごろに、この分野を「テクノツーリズム」と呼んでいた。…

 

※ 詳細は本紙1554号または8月21日以降日経テレコン21でお読みいただけます。

37組織が賃金水準改善、サービス連合「大きな一歩」

後藤常康会長があいさつ
後藤常康会長があいさつ

 サービス・ツーリズム産業労働組合連合会(サービス連合、後藤常康会長)は、7月16日に開いた第14回定期大会の報告を7月18日に東京都内で行った。今年の春季生活闘争(春闘)では37組織の賃金改善が行われ、後藤会長は「すべての加盟組合で賃金水準を引き上げられなかったが、大きな一歩を踏み出した」と語った。

 観光・航空貨物業で賃金改善要求を行ったのは69組合で実質的な賃金改善(ベースアップ)要求を行ったのは59組合。賃金改善要求の妥結額は、6月19日時点で集計できた25組合の加重平均で6767円(算定基礎月額の2・20%)、単純平均で6850円(同2・24%)。一時金については、夏期が1・89カ月(前年夏期は1・81カ月)。年間で水準を合意した組合は減少傾向だった。契約社員やパートタイマーの賃金改善は、34組合が要求し、19組合の合意となった。

 ホテル・レジャー業で賃金改善要求を行ったのは42組合で、実質的な賃金改善要求を行った組合は35組合。賃金改善要求の妥結額は6月19日時点で集計できた22組合の単純平均は4342円で、昨年実績の4104円(17組合)を超えた。一時金については、妥結した組合の単純平均は夏期が1・24カ月で昨年夏期の1・07カ月から改善。年間では2・72カ月で、昨年の2・43カ月を上回った。契約社員やパートタイマーの賃金改善は、18組織が要求したが合意は少数にとどまった。

 組織強化の補強として加盟組合の訪問頻度を増やし、発行物増強で加盟組合や組合員に運動方針や活動を周知させる。また、年間所定内労働時間2千時間以内を目指すなかで労働時間が増加している問題にも取り組む。

 秋季生活闘争(秋闘)の方針は、今年度の春闘の要求水準をそのまま掲げる。

 15年春闘については、「一歩踏み出しただけでは十分ではない。まだ上積みが必要。月例賃金や35歳年収550万円の実現は引き続きこだわっていく」とした。

韓国のプロモに感嘆

 日本人なら外見で中国人か韓国人か検討がつくと思う。恐らく逆もまた然り。しかし、これが白人や黒人、東南アジアの人々でも国を当てるのは難しい。先日、訪れたベトナムでは度々「コリアン?」と聞かれ、対して道を教えてくれた人を我われはイギリス人と予想したが、フランス人だった。

 しかし、成田で一緒になった学生らしき若者たちを見ているとどうにも不思議な気がしてきた。明らかに母国語としての日本語が聞こえるのだが、それがなければ「韓国人だろうな」と思うほど、ファッションや髪形が“KPOP”なのだ。ベトナムの首都・ハノイのファーストフード店で流れていた音楽映像や客の若者も皆、韓国風。アジア全体の若者が「韓国化」していることに衝撃を受けると共に、韓国のプロモーションに感嘆した。自分が“インバウンド”になると分かることはたくさんある。

【飯塚 小牧】

センスが光る土産

 楽しい土産が増えてきた。おすそわけ文化をデザインした富山県の「幸のこわけ」、差し上げるという意味の方言から名付けた大分県の「OITA AGURU(おおいたあぐる)」などはイチ押し。買う楽しみにプレゼントするときのワクワク。1つで2度おいしいラインナップだ。ブランド戦略につながる企画だけに県も相当力を入れている。

 ほかに面白いものはと探すなか、見つけました。「本場大館きりたんぽ玉手箱」を。地元が納得する味、手土産にしたくなる本物を目指し、延べ500人以上の試食を重ね商品化。具材はすべてパックされ、「10分で本場の味」が楽しめる。玉手箱に見立てた外箱のセンスも上々だ。

 ただ、こちらは民間企業の自社開発。「本物を全国に届けたい」。その心意気に感服。

【鈴木 克範】

民営化向け方針発表、15年度中の運営開始目指す(新関空)

安藤圭一社長
安藤圭一社長

 新関西国際空港(安藤圭一社長兼CEO)は7月25日、関西国際空港と大阪国際空港(伊丹)のコンセッション(民営化)に向けた実施方針を発表した。100%国出資会社の新関空は空港管理者として資産は保有したまま、運営権者を民間から選定し、45年間にわたり滑走路やターミナルビルの運営などを託す。募集要項の配布と入札は今年の10月を予定し、2段階の選定を経て2015年度中の16年1月から新運営権者による運営開始を目指す。

 国土交通省で実施方針を発表した安藤社長はコンセッションについて「公共ビジネスでキャッシュフローが生み出せるものについては、民間にバトンタッチしていくべき」と語り、「公共インフラの新しいビジネスモデルを示し、ノウハウを国内でしっかり蓄積していかなければならない。民間が運営することで経営の自由度があがり、航空需要が拡大し、お客様の利便性も向上する」と意義を語った。民間に運営を託すことで、関空の1・2兆円の債務を早期に返済することも狙う。

 運営権者のイメージは代表企業と空港運営能力を有する者、投資家など複数の事業者でのコンソーシアムによる出資を想定する。代表企業の要件は日本の法令、ビジネス慣習を熟知していることや関空と伊丹の運営経緯を承知し、日本や関西の経済活性化に寄与する意思があることなどを挙げる。また、運営権の対価は14年度の新関空の税前利益を605億円と見込み、運営権者からの最低提案価格は年間490億円に設定。公募ではこれを上回る提案を受け付ける。なお、自主性と創意工夫が発揮されるよう、着陸料の設定や収受は原則自由としている。

パリで「RYOKAN」発信、来場者と日本文化で触れ合う(全旅連青年部)

舞妓さんとのアトラクション
舞妓さんとのアトラクション

 全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会の青年部(山口敦史部長)は訪日外国人誘致に向けて7月2―6日にフランス・パリで開催された「ジャパンエキスポ」に参加し、「RYOKAN」を日本固有の宿泊文化として世界へ発信した。

 開催期間中、会場にはフランス各地だけでなく、欧州全土の若者を中心に26万人が訪れた。青年部は、畳や障子、掛け軸など「和」の設えを施したブースを設け、山口部長をはじめ、総勢13人の旅館の若女将、若旦那が和服姿でさまざまなおもてなしを通して「RYOKAN」をアピールした。

 ブースに訪れた約2千人は浴衣姿となって旅館の客室に設えたスペースで記念撮影を行う旅館疑似体験や、舞妓さんとの交流、抽選会などのアトラクションに参加し、いずれも行列ができるほど好評だったという。

 参加した若女将、若旦那らは「来場者との触れ合いのなかで、『RYOKAN』を直接発信することができ、手応えを感じた」とし、期間中に実施したアンケートの結果からも「さまざまな角度からの発信が必要」と改めて認識できたことから、青年部は今後も継続的に情報を発信していく予定だ。

産業観光大賞を募集、8月29日まで(日観振)

 日本観光振興協会と全国産業観光推進協議会は8月29日まで、今年度の「産業観光まちづくり大賞」の募集を行っている。産業観光に取り組む行政や観光協会、商工会議所・商工会、NPO、企業などが対象。

 同賞は2007年度に創設され、産業観光を通じた観光まちづくりで地域活性化に寄与した団体を表彰している。今回の8回目から新たに、部門賞として旅行商品造成などで地域への来訪拡大に寄与した団体へ観光庁長官賞を、地域の産業振興に寄与した団体に経済産業大臣賞を贈る。

 各賞1団体の予定で、従来からの金賞は1団体、銀賞は2団体で、応募状況により特別賞も設ける。

 応募は地域での産業観光の位置づけや産業観光資源の活用の現状、展望などをまとめた本文とその要約、写真・映像データなどを日本観光振興協会総合調査研究所か日観振の各支部に送る。

 なお、表彰式は10月30日の「全国産業観光フォーラムin秋田・こさか」で行う。

 問い合わせ=日本観光振興協会総合調査研究所 電話:03(6435)8333。