新社長に片野坂真哉氏、ANAホールディングス

片野坂真哉氏
片野坂真哉氏

 ANAホールディングス(伊東信一郎社長)は2月13日の臨時取締役会で、片野坂真哉代表取締役副社長が4月1日付で代表取締役社長に就任することを決めた。

 なお、伊東社長は代表取締役会長に、大橋洋治取締役会長は相談役に就任する。

 片野坂 真哉氏(かたのざか・しんや)。鹿児島県出身の59歳。79年東京大学法学部卒業後、全日本空輸入社。92年運航本部管理室企画管理部乗員計画課主席部員、95年企画室主席部員、2002年営業推進本部マーケティング室レベニューマネジメント部長、04年人事部長を経て、07年執行役員、09年取締役執行役員、11年常務取締役執行役員、12年専務取締役執行役員に就任。13年からANAホールディングス代表取締役副社長執行役員。

リアル人生ゲーム

 1968年にタカラ(現タカラトミー)から発売され一世を風靡した「人生ゲーム」。ルーレットを回しながら億万長者を目指すボードゲームで、私も子供のころ、よく遊んだ。

 その「人生ゲーム」に見立てたイベントが1月24、25日、島根県・出雲大社の門前町・神門通りの商店街で行われた。タカラトミーの協力のもと、各店に備えられたルーレットを回しながら、架空通貨を集めていくという、まさにリアル人生ゲーム。2日間で3719人の参加があり、うち99・4%が「楽しかった」とアンケート回答した。

 仕掛け人の1人で神門通りおもてなし協同組合の平野裕二さんは「商店街活性化に長く取り組んできたが何をしてもダメだった。しかしこの人生ゲームで光が見えた」と自賛する。

【土橋 孝秀】

澤の屋旅館 訪日外国人宿泊客調査、「インバウンド誘致の一助に」

澤  功氏
澤 功氏

旅行総日数平均は19日間

 東京都台東区谷中で訪日外国人観光客を受け入れる澤の屋旅館(館主=澤功氏)は2013年6月―14年5月までの1年間に、同館に宿泊した外国人旅行者を対象に、訪日目的や具体的な旅行内容、情報源、訪日旅行に対する期待と満足度などをサーベイリサーチセンターの協力で調査し、このほどその結果をまとめた。有効回答数は786件。同調査結果は澤の屋旅館ホームページにも掲載しており、澤氏は「外国人旅行者に対する接遇の方向性を検討するための資料として調査した。広くインバウンド誘致を推進していくためのアイデアの一助となれば」と話す。
【増田 剛】

 調査対象をエリアで分けると、欧州(49・9%)、北米(24・8%)、オセアニア(13・1%)、アジア(9・8%)、その他(2・2%)、不明(0・3%)。国別でみると、(1)フランス(21・8%)(2)米国(18・3%)(3)オーストラリア(11・5%)(4)カナダ(6・5%)(5)英国(5・9%)の順。

 職業構成では(1)企業経営者(19・6%)(2)学者・教員(16・7%)(3)技術者・エンジニア(15・1%)(4)学生(9・4%)(5)退職者(7・1%)(6)ライター・ジャーナリスト(3・7%)(7)医師(3・4%)などが上位を占める。

 澤の屋旅館宿泊者の訪日旅行回数は平均2・8回で、1回(今回が初めて)が57・0%、2回以上のリピーターが41・0%を占めた。また、同館のリピーターにおける訪日旅行回数は平均6・3回で、5回以上の訪問者は半数近くを占めている。

 訪日旅行の目的(複数回答)は、「観光」が89・8%と約9割を占めてトップ。「友人・親族訪問」が15・5%、「ビジネス」が11・7%と続いている。

 同館に宿泊した際の旅行の総日数は全体平均で19・0日、このうち、日本での滞在日数は15・4日、澤の屋旅館の宿泊日数は4・0日。

 日本での訪問先(自由回答)のトップ10は、(1)京都(432)(2)大阪(154)(3)広島(115)(4)奈良(76)(5)高山(62)(6)箱根(60)(7)金沢(52)(8)日光(49)(9)高野山(42)(10)富士・富士山(35)となった。

 澤の屋旅館の情報源は、「トリップアドバイザー(Webサイト)」が37・8%で1番多く、以下(2)「ロンリープラネット」(25・6%)(3)「友人・知人の口コミ」(18・2%)(4)「澤の屋旅館のWebサイト」(17・4%)(5)「他のガイドブック」(13・0%)の順。

 訪日旅行の理由(複数回答)では、(1)日本の歴史・文化・芸術に興味がある(54・5%)(2)日本が好き(50・0%)(3)日本人が好き(30・2%)(4)観光地を訪れる(27・5%)(5)日本の食に興味がある(26・0%)――と続く。

 また、日本滞在中のストレスについて複数回答で聞くと、「JR・地下鉄・バスなどの交通機関を利用する時のインフォメーション」が28・2%で最も多く、(2)「レストランでの注文など」(13・0%)(3)「街あるきをしている時のインフォメーション」(7・9%)などが上位を占めた。

1577_03_02

各自治体の観光部長に、観光施策を説明

観光庁の3役が出席
観光庁の3役が出席

 観光庁は2月10日、各都道府県の観光主管部長らが一堂に会す「都道府県等観光主管部長会議」を開き、観光庁や関係部局の観光施策について説明した。

 冒頭で久保成人長官は「2014年はインバウンドが1340万人になり、外国人旅行消費額が2兆円を突破した。これはいずれかの都道府県を訪れた成果で、受入環境の整備に取り組んでいる皆さんに感謝したい」とあいさつした。各都道府県、市町村、地方運輸局から100人を超える観光担当者が集まり、観光庁から14年度補正予算と15年度予算で取り組む事業や、消費税免税制度、ビザの緩和、魅力ある地域づくりなどの施策が説明され、関係部局からも情報提供が行われた。

再生回数20万超え、15年度は九州と東北舞台(JATA国内CP)

 日本旅行業協会(JATA)はこのほど、国内宿泊旅行拡大キャンペーン「ニッポンを、遊びつくせ!」で、15年度は九州と東北の動画を公開すると発表した。14年度から開始した同CPは、ダンスユニットのWORLD ORDERを起用して動画を作成し、地域の魅力を発信するもの。14年度は北陸を舞台にしており、1月7日時点で動画サイトの再生回数は20万を超えた。

 人気の高いアーティストを起用し、フェイスブックやYouTubeなどで話題性を喚起したことで、再生回数は順調に伸長。JATAのキャンペーンサイトへのアクセス数は従来の倍になり、35歳以下の訪問者が増えたことから、目的の若年層へのアプローチに成功したと評価する。世界でも認知度の高いアーティストのため、151カ国で動画が再生され、海外での視聴は約32%を占める。国内・訪日旅行推進部の興津泰則部長は「宣伝費をかけたわけではなく、口コミで広がり、大変効果的に視聴されている」と初年度の感触を語った。

 また、14年度は投稿キャンペーン「なりきり WORLD ORDER」を実施し、全国からモノマネをした写真と動画を募集。写真投稿は37枚、動画は18本の応募があり、宿泊旅行拡大委員会の会員会社とWORLD ORDERの投票でそれぞれ最優秀賞を決定した。

 15年度は4月から九州、7月から東北の動画を公開する予定。九州は西、中、北を中心に紹介するほか、観光庁の協力で中国語版も制作し、中国の専用サイトですでに発表している。キャンペーンは参加の難易度を下げるため、クイズキャンペーンに切り替え、九州の動画に2つ、東北に3つの問題を設定。各問題につき、正解者のなかから10人にJATA旅行引換証2万円分を贈る。

売上12億円目指す、今春から京都丹後鉄道に(WILLER TRAINS)

村瀬茂高社長
村瀬茂高社長

 WILLERグループのWILLER TRAINS(村瀬茂高社長)は1月29日、京都と東京で会見を開いた。昨年、北近畿タンゴ鉄道(KTR)の最適提案事業者に選定された同社は、今春から「京都丹後鉄道」と名称を変更して運行を開始する予定で、初年度の2015年度の売上は現状から1億5千万円の増収となる12億円を目指す。

 東京会場の会見で村瀬社長は、ウィラーグループの10年構想「交通革新とまちづくりが連携することで、地域の価値を向上する」を紹介。グループをあげて北近畿エリアの革新を行うとし、(1)高次元交通ネットワークの実現(2)地域を創生する若い人の働く場の創造(3)交通・まちづくりを目指す学生の教育の場を創造――を3本柱に掲げた。

 高次元交通ネットワークとは、鉄道を基軸に電車からバスなどへの乗り換えに連続性があることで、公共交通の空白地帯にはタクシーや小型モビリティなど新たな交通サービスの導入を検討する。村瀬社長は「主要駅からの移動を便利にする必要がある。できないではなく、どうするかを考えていく」と述べた。

 京都丹後鉄道の運行にあたっては、地元に愛される地域のシンボリックな鉄道を目指し、駅や車両、制服など地域に溶け込んだデザインを重視。略称は丹波、丹後、但馬の「三丹」から「丹鉄(たんてつ)」とし、ロゴマークも制作した。また、路線名や一部駅名は観光客にも分かりやすいように変更するほか、沿線地域の交流人口を増やすため、「家族」を主なターゲットに各種企画乗車券を展開する。

 売上目標は初年度が売上12億円、営業利益が3千万円、利用人員は210万人を目指す。2年目は12億5千万円、3500万円、220万人、3年目は13億円、4千万円、230万人。

みやぎおもてなし大賞、南三陸てん店まっぷが受賞

表彰状を手にする阿部隆二郎代表
表彰状を手にする阿部隆二郎代表

 宮城県が今年度創設した「観光王国みやぎおもてなし大賞」に、南三陸町地域観光復興協議会(南三陸町、阿部隆二郎代表)の「南三陸てん店(てん)まっぷ」の取り組みが選ばれた。

 協議会は13年夏から、町内の再開した商店や宿泊施設などの情報を地図にまとめた「南三陸てん店マップ」を発行。各店に備えるだけでなく、近隣の仮設住宅も個々に訪ね配布した。店舗を巡るスタンプラリーも企画している。震災後に再開した店の情報を求める町民、観光客の声と、それを届けたい店側の意向を、マップを介してつないだ点が評価された。

 スタンプラリーのおかげで、個人商店に立ち寄るきっかけもできた。13年度版マップでは222人が、14年度版では昨年12月までに250人が、5軒以上の店舗に足を運ぶなど、人気も上々だ。協議会の事務局長を務める南三陸ホテル観洋の阿部憲子女将は「人と人とをつなぐことで、笑顔が生まれた。今後も町全体でお客様のおもてなしができるよう(発行を)継続したい」という。

 表彰式は1月28日に県庁で行われた。大賞のほか奨励賞、選考審査委員特別賞は次の通り。

 【奨励賞】秋保温泉旅館組合(仙台市)▽チガノウラカゼコミュニティ(多賀城市)▽登米市観光物産協会(登米市)▽東北風土マラソン&フェスティバル実行委員会(登米市)▽おくの細道松島海道(松島町)▽南三陸福興市実行委員会(南三陸町)

 【選考審査委員特別賞】秋保工芸の里事業組合(仙台市)

芦原女将の会が日本酒開発、首都圏に「美し国越前」PR

あわら市・橋本市長(右)と勝山市・山岸市長
あわら市・橋本市長(右)と勝山市・山岸市長

 福井県のあわら市(橋本達也市長)と、勝山市(山岸正裕市長)は2月9日、東京都千代田区のホテルニューオータニで「『美し国越前』あわら・勝山フェア」を実施した。北陸新幹線金沢開業を目前に控え、首都圏での両市の知名度向上を目指し、地域の食や観光の魅力をアピールした。また、芦原温泉旅館協同組合女将の会(伊藤昌代会長、13会員)から11人の女将が参加し、女将の会がお米作りから酒瓶のデザインまで開発し、3月に発売する純米吟醸酒「女将」をPRし、懇親会場で振る舞った。芦原温泉女将の会は13年5月に13人全員が唎酒師の資格を取得している。

芦原温泉女将の会が開発した日本酒「女将」
芦原温泉女将の会が開発した日本酒「女将」

 あわら市の橋本市長は「北陸新幹線金沢開業によって、金沢まではたくさんの方が来られると思うが、金沢の少し向こうに『あわら温泉』というとっても楽しい温泉地があることを知ってもらいたい」と述べ、14年4月にオープンした芦湯(足湯)などを紹介。さらに「あわら温泉では女将が最大の観光資源」とし、今年開湯130周年を迎えるあわら温泉の魅力をPRした。
 一方、勝山市の山岸市長は「勝山市は09年10月に恐竜渓谷ふくい勝山ジオパークに登録された。また、2000年7月にオープンした福井県立恐竜博物館に年間80万人近くが訪れ、福井県では100万人構想を持っている」とし、さらに「勝山市は日本の恐竜化石の8割以上が発掘されている。野外につくった発掘体験広場が大変好評を得ている」と紹介した。
 交流パーティーでは、あわら市と勝山市の地元自慢料理の試食コーナーも設け、参加した首都圏の旅行会社やメディア関係者と意見交換を行った。

国民宿舎「かいもん荘」利用事業者公募、鹿児島県指宿市 4月14日まで

「用地は無料貸与、固定資産税10年間支援」

 鹿児島県指宿市(豊留悦男市長)は今年1月15日から4月14日までの期間、同市内の国民宿舎「かいもん荘」跡地利用事業者の再公募を開始した。同跡地は、2008年から3回の公募を実施したが、契約には至らなかった。

 そこで今回は、固定資産税相当額の奨励金制度を新設するなど、これまで以上に応募しやすい環境を整えた。

 同跡地は、日本百名山のひとつである開聞岳の間近にあり、眼前には東シナ海が広がる風光明媚な環境にあり、敷地内には2つの泉源も備えている。指宿市は、この地で旅館・ホテルを営もうとする事業者からの応募を求めている。

 貸付地は、開門川尻大月5390―3ほか9筆で、6659・11平方メートル。応募資格は、旅館・ホテルを経営しうる十分な資力、信用、管理運営能力などを有する単独の企業、または複数の企業で構成されるグループを対象にしている。

 条件などの概要は、土地は30年間無償で貸し付け、以後両者の協議によって更新可能。提案する事業は、ホテル・旅館業を主とするものとし、対象地にある2本の泉源は専用使用できる。

 固定資産税(建物および償却資産)については、指宿市過疎地域産業開発促進条例の要件を満たす場合は3年間、免除または支援する。さらに、指宿市かいもん荘跡地利用奨励条例の要件を満たす場合には、これに加えて7年間支援する。

 詳しくは同市ホームページ(http://www/city.ibusuki.lg.jp)に掲載している。

 問い合わせ=指宿市観光課観光企画係 電話:0993(22)2111。 

No.393 JNTOが訪日フォーラム、アジアの注目3市場を分析

JNTOが訪日フォーラム
アジアの注目3市場を分析

 2014年の訪日外客数は前年比29.4%増の1341万3600人と大きく増加した。2020年訪日2000万人へ向けての取り組みが加速するなか、日本政府観光局(JNTO)は1月29、30日に、第13回「インバウンド旅行振興フォーラム」を開き、海外15事務所の所長らが東京に集まった。14年の最大訪日市場となった台湾と、主要5市場に追いつく勢いを見せるタイ、経済発展による海外旅行者増加が顕著なASEAN市場で最も高い伸び率を示したフィリピンの市場動向を紹介する。

【伊集院 悟】

 
 
 

■台湾

 台湾は14年の訪日客数が前年比28・0%増の283万人と、3年連続で過去最高を更新中。訪日数全体の5分の1を占め、最大の訪日市場となった。市場別で首位になるのは16年ぶり。120―130万人台での推移から一気に2倍へと拡大した。親日性が高く、65%以上が日本に「親しみ」を感じているという。約8割がリピーター。

 台湾経済は長年の低迷から回復の兆しを見せているが、若年層を中心に賃金は変わらず景気回復の実感はない。日本交流協会台北事務所経済室の山田敬也主任が「台湾人は景気が悪くても旅行に出るのが好き」と語る通り、海外旅行人口は拡大しており、出国率は5割に達した。このうち訪日率は、09年の12・6%から13年は20・0%、14年は10月までの平均で23・7%と拡大。海外旅行者のうち4人に1人が日本に来ている計算になる。

 11年のオープンスカイ以降、週あたりの日台間航空便数は1・7倍に拡大。14年はさらなる需要増加を受け、台湾南部の高雄からの新規就航や増便が目立ち、今年も注目を集める。…

 

※ 詳細は本紙1576号または2月17日以降日経テレコン21でお読みいただけます。