旅工房、東京の3シティを社会科見学 第2弾周遊ツアーを発売

2021年9月16日(木) 配信

都内の3つの「シティ」で新しい東京の街を楽しめる

 旅工房(高山泰仁会長兼社長、東京都豊島区)は11月6日(土)、東京都内で1泊2日の「サンシャインシティ+東京ステーションシティ周遊ツアー」を大人限定で実施する。同ツアーは「TOKYOプレミアム社会科見学2021」の第2弾ツアー。主催である東京ステーションシティ運営協議会とサンシャインシティ、東京ドームの各施設の魅力を生かした新しい東京の街を楽しめる。

 「TOKYOプレミアム社会科見学2021」は、東京都内で「シティ」の名称を持つ施設3事業者が連携し、新しい東京の街の楽しみ方を提案する取り組みとして開始。9、10月に第1弾、11月に第2弾と全2種類のプレミアムな体験ができるツアーを用意している。ツアー参加者には、3シティのコラボレーション企画を記念したプレゼントが贈られる。

 第2弾の1日目は、サンシャインシティで展望台貸し切り(1時間)にして景色を堪能後、高層レストランで特別ランチコース、そして天空のオアシスをコンセプトにしたサンシャイン水族館を楽しめる。その後、東京ステーションシティで終電後の「東京駅ミッドナイトツアー」に参加できる、一夜限りのスペシャルツアーとなっている。

 2日目はホテルでゆっくりとくつろぐことができ、駅周辺で買い物などが楽しめる。

 販売期間は9月17日(金)午前10時~11月2日(火)まで。販売価格は大人1人利用で1泊、東京ステーションホテル宿泊が税込4万8800円、ホテルメトロポリタン丸の内宿泊が同2万6800円。どちらも朝食付き、ツインタイプの部屋となる。なお、1日目の夕食はツアー代金に含まない。

 申し込みは旅工房の特設Webページから。

Airbnb、アフガン難民に住居提供 世界中で2万人受け入れる方針

2021年9月15日(水) 配信

両者はこれまで、約1000人を受け入れた

 Airbnb(エアビーアンドビー)と世界中で困難な状況下に置かれている人々の一時的な避難・滞在先を確保する非営利団体Airbnb.orgは8月24日から、世界各国で2万人のアフガン難民に一時的な住居を提供している。これまで、約1000人の同難民に滞在場所を手配した。

 費用は、Airbnbと同社の共同創業者ブライアン・チェスキー氏によるAirbnb.orgへの寄付などで賄う。AirbnbとAirbnb.orgは今後、民泊施設を運営するホストらに受け入れを要望。さらに、世界中の企業などに支援を呼び掛ける。

 チェスキー氏は「アフガン難民が安全な場所で新たな生活を始められるだけでなく、温かく迎えたい」と話した。

 両者は2017年から、アフガン難民のほか、約2万5000人の難民に宿泊先を用意。このほか、新型コロナウイルス感染者の治療などを行う医療従事者などに宿泊場所の確保をサポートしてきた。

帰国・入国後の隔離期間は最長10日に 経団連が社会経済活動活性化へ提言

2021年9月15日(水) 配信

 日本経済団体連合会(十倉雅和会長)は9月14日(火)、「Withコロナにおける社会経済活動の活性化に向けた提言」を発表した。重症化率などを抑えながら、社会経済活動の再開へ、帰国・入国後隔離期間を最長10日に短縮など、必要な対策の検討を求めている。

 「早期治療体制を可能とする医療提供体制の整備」では、重症化率・死亡率が十分に低減した際には、「広く一般の病院・クリニックでの診察を可能とし、保健所を介した受診・入院調整の対応を不要とするように検討すべき」と、改善を求めている。

 「積極的な検査の実施」では、PCR検査を補完する抗原定性検査の拡充に向けた規制緩和を要望。具体的には、厚生労働省認可の抗原簡易キットを薬局などで販売し、「検体採取や測定を、被検者自身でできる」ことを要求している。

 「帰国・入国後隔離措置の適正化」では、①現行14日の隔離期間の短縮②ワクチン接種者に対する帰国・入国後隔離機関の免除――の2点を挙げる。

ワクチン接種の有無に関わらず、日本に入国するすべての者に対し、隔離期間は「最長でも10日間に短縮すべき」とし、日本政府発行のものと同等の「ワクチン接種証明書」を有する外国人については原則、査証(ビザ)の発給を行い、入国を認めるべきとの考えを示した。

 さらに、ワクチン接種証明書は、国内経済活動の活性化に向けても活用すべきとしている。

DMOと施設が連携 観光客の動向とニーズのデータを収集(観光庁)

2021年9月15日(水) 配信

観光庁はDMOと地域の観光関連施設が連携したデータ収集・分析事業の成果をまとめた

 観光庁は9月15日(水)、観光地域づくり法人(DMO)が地域の宿泊施設・観光施設などと連携し、データ収集や分析を行った20年度の実証事業について、成果をまとめた。

 20年度はニセコプロモーションボード(北海道)、福島市観光コンベンション協会(福島県)、秩父地域おもてなし観光公社(埼玉県)、下呂温泉観光協会(岐阜県)──の4つのモデル地域で実証事業を行った。

 同事業では、DMOが地域全体の宿泊施設数や観光客のニーズなどを把握することを可能とし、データに基づく分析や、戦略策定による旅行消費の増大、リピーターの確保をはかることを目的とする。

 データをリアルタイムに収集・分析する仕組みとして、「宿泊データ分析システム」と、「CRM(顧客関係管理)アプリ」を展開した。この2つでどのような観光客が地域に来ているのか、地域に来た観光客がどう過ごしているのかを調べるプラットフォームを形成。観光客の動向やニーズについて、「総合的にデータ収集・分析することで、最適な打ち手の検討につながる」(観光庁)と捉える。

 モデル地域のうち、岐阜県下呂市で行われた実証事業では、これまでの経験から地元・岐阜県民の訪問が多いだろうと考え、岐阜県民を対象とした誘客キャンペーンを予定していた。

 しかし、実際に宿泊データ分析システムを使い調べたところ、エリア全体では愛知県からの宿泊客が3割強を占めていたことが分かった。

 この分析結果に基づき、愛知県民限定プランを造成・販売し、売上増を実現した。このほかの取り組みとして、特定の県民限定プランの実施や、参加形態に応じた料理プランなどが人気を集めている。

 CRMアプリを活用した成果事例として、下呂エリアでは、若者観光客をターゲットにしたアプリを開発した。会員登録を増やすべく、開始時に合わせて各加盟店舗が協力し、会員獲得キャンペーンを行った。

 アプローチとして、地域全体では入会時に加盟店全店舗で使える500ポイントをプレゼントした。このほか、新規会員を獲得した加盟店には1人当たり100円を付与することで、加盟店にもインセンティブを付けた。

 この結果、開始から約2カ月で4000人の会員が集まり、打ち手につなげるべくデータを蓄積している。会員の多い店舗ほど、CPで付与された500ポイントの受け皿として利用される確率も多いことが分かり、会員のみならず、加盟店も㌽流通のメリットを実感できるCPとなった。

LINKED CITY参画企業に迫る① 行動中心プラットフォームが提供する「新たな発見」(ジョルダン&ジョルテ)

2021年9月15日(水) 配信

 乗換案内アプリを運営する「ジョルダン」とカレンダー&手帳アプリを運営する「ジョルテ」は、新たな「行動中心」統合型プラットフォームの構築を進めています。目指すのは、日常使いのサービスからユーザーが必要とする価値の高い情報を受動的に受け取れる仕組みです。

 ”出掛けたい”という欲求が生まれなければ検索という行動は起こりません。ジョルダンとジョルテは、キーワードを入力することなく、クリック一つで面白い情報に触れることのできるプラットフォームを整備を通じて、地域内のあらゆる情報とユーザーをつないでいきます。また、地域に眠るさまざまなコンテンツを発掘し、発信することも積極的に目指していきます。

(左)ジョルテのカレンダー&手帳アプリ、(右)ジョルダンの乗換案内アプリ

 今後、情報+行動に時間軸の考え方も付加し、また、SNS(交流サイト)なども組み合わせることで、さらに多くの情報とユーザーをつなぎ、価値のあるより良い時間の使い方を提案していきます。

 これにより、行動データを蓄積し、利用者にとってシームレスな情報発信・情報取得をはかり、より利便性の高いツールを生み出し続けます。

企業情報

ジョルダン 乗換案内・路線情報・時刻表・運行情報サービス
https://www.jorudan.co.jp
経路検索の大定番 全国の電車、飛行機、バス、フェリーの時刻表・運賃・乗換案内・路線情報・路線図・定期代・18きっぷなどが調べられます。チケット予約、お得なクーポン、季節情報など、お出かけをもっと便利で面白くするサービスをご紹介します。

参画企業が進めるLINKED CITYの全容

ビッグホリデー、混雑期の予約先取り 「先行販売!速報版スノボ&スキー」を発売

2021年9月15日(水) 配信

「先行発売!速報版スノボ&スキー」チラシ表紙

 ビッグホリデー(岩崎安利社長、東京都文京区)は9月16日(木)、バスや新幹線で行くプランが毎年大人気のスキー・スノーボードツアーを売り出す。今季の第1弾として発売する「先行発売!速報版 スノボ&スキー」は、毎年人気が高いホテル・旅館を厳選し、満室になりやすい年末年始や1、2月の3連休などの日程を含む宿泊プランを設定。スキー・スノーボードツアー販売が本格化する10月下旬を待たずに先行予約ができる。

 例えば、グループやカップル、ファミリー層まで幅広く人気が高いホテルグリーンプラザ上越(新潟県南魚沼市)の宿泊プランでは、バス利用プランと新幹線利用プランを設定。滞在中のリフト乗り放題や、ランチ券(1000円分)、チェックアウト後の温泉入浴などお得な特典も付く。

 このほか、ビュッフェの好きなメニューを部屋に持ち込んで食事ができるホテルや、大浴場にある露天風呂から雪景色を楽しめるホテルなどのプランを用意している。

 また、スキーシーズンの到来を告げる初すべり日帰りプランも併せて販売する。なお、各プランの設定に当たっては、安心安全な旅を楽しめるよう感染症対策が徹底されたスキー場、宿泊施設、バス運行事業者などを利用しているとした。

 予約方法はビッグホリデー予約センター、またはビッグホリデー公式Webサイトから。予約センターは電話番号が03(3818)5133、営業時間は平日午前10時~午後6時、休業日は土曜、日曜日と祝日。

 そのほか10月下旬に、バスや新幹線に加えてマイカープランを設定した「バス・マイカーで行くスノボ&スキー」、「新幹線・マイカーで行くスキー&スノボ」を発売する。それぞれ約100軒以上の宿泊施設を設定する予定で、民宿からリゾートホテルまで多種多様なニーズに応える。また、11月下旬には手軽に楽しめる「日帰りスノボ&スキー」を発売予定。

旅行業の倒産、過去最多 「あきらめ廃業」で年間200件超え(帝国データバンク調べ)

2021年9月15日(水) 配信

旅行会社の休廃業・解散件数の推移(帝国データバンク調べ)

 帝国データバンク(後藤信夫社長)はこのほど、旅行会社の倒産・廃業件数を調査した。新型コロナ禍初年の2020年通年が129件だったのに対し、今年の8月までに136件に達しており、8カ月で過去最多を更新したことが分かった。同社は、「需要回復の期待感が薄れたことで事業に対する『あきらめ』ムードが広がっている。このペースが続くと、年間200件超えは避けられない」と危機感を示している。

 昨年の旅行業界では、「Go Toトラベル」で需要が一時的に持ち直したほか、金融機関による資金繰り支援策や持続化給付金などの支援を受けたことにより、20年中の倒産や廃業は比較的抑制されてきた。

 しかし、同事業の停止や引き続きの渡航制限、国内の移動自粛の継続、東京オリンピック・パラリンピックの開催で見込んでいた海外からの観客の受け入れもできないことなどが重なり、大手の旅行会社でも大幅な赤字決算や、人員整理によるコストカットを余儀なくされた。

 海外旅行を取り扱う第1種の一般旅行会社はコロナ前の平均から倒産・廃業が倍増した。

 倒産・廃業の件数が多いのは旅行代理店の74件で、旅行会社の倒産・廃業全体(136件)のうち半数を占めた。コロナ前の3年間平均(17年~20年1―8月の平均)と比較すると76%増となり、20年同期からも61%増と急増した。

 背景として、コロナの感染拡大により国内外の旅行手配中止や顧客からのキャンセルが相次いだほか、ツアーパックの販売自粛が重なったことが挙げられる。これに加え、出張や研修などのビジネス利用も激減したことで、薄利ながら安定した販売が可能だった格安航空券などチケット販売も振るわず、売上が減少した。

 一方で、代理店の多くは店舗による集客を行っていたため、売上の急減に家賃や人件費などの固定費負担が追い付かず、倒産を選択したケースが多く見られた。

 同社がまとめた景気動向(景気DI)では、旅行業は緊急事態宣言下の20年4月に、過去最低の0・0を記録した。

 景気DIの基準値は50で、これより数値が大きければ景況感が良く、小さければ景況感が悪い。

 4月以降はGo Toトラベル事業により景況感が回復傾向にあったものの、事業の一時停止を境に再び悪化し、21年6月時点で8・0に留まり、大きく落ち込む状態が続いている。

 この数値は、リーマン・ショックの影響が広がった09年8月(17・7)や、東日本大震災後の11年4月(14・1)を下回っている。

 同社は、「この低水準が1年以上も続き、回復の糸口も未だつかめていない状況。既に1年以上の忍耐を強いられていることもあり、中小の旅行各社の廃業や倒産の発生ペースはさらに速まる可能性が高い」と警鐘を鳴らした。

環境省 新たに7企業・団体と国立公園オフィシャルパートナーシップ締結

2021年9月15日(水) 配信

オフィシャル企業・団体の代表者と小泉大臣

 環境省(小泉進次郎大臣)は9月14日(火)、マップルや日産自動車など7社、団体と国立公園オフィシャルパートナーシップ締結式をオンラインで行った。

 パートナー企業・団体は同省と協力し、国立公園の景観や滞在する魅力を国内外に発信する役割を担う。国内外からの国立公園利用者の拡大をはかり、国内外の人々の自然環境の保全への理解を深めるとともに、国立公園の所在する地域の活性化につなげることが目的。今回の締結式を終え、パートナーシップ企業、団体は112社となった。

 締結式では「国立公園を中心とした地域の自然や歴史文化などの多様な魅力を幅広い層に周知することを目的とした検定の仕組み構築と、知識習得のための講座実施による国立公園の魅力発信や理解促進などを行っている」(ネイチャーホスピタリティ協会)など、各社・団体が取り組みを紹介した。

 小泉大臣は、「国立公園の利用推進に当たっては、幅広い分野の皆様と連携し、民間の知見やネットワークを生かすことが不可欠。国立公園が旅の目的地としてだけでなく、新たなライフスタイルを過ごす場となるよう、さらに、環境先進地としてのブランドを確立できるよう、皆様と一緒に世界への魅力発信に取り組むことを期待している」と語った。

 また、「ゼロカーボン・パーク」と、「30by30」の達成に向けや取り組みへの協力も要請した。そのうちの一つ「30by30」は、2030年までに地球の陸と海の30%以上を自然環境エリアとして保全するという国際的な目標。

 小泉大臣は同目標を「企業などにより自然に優しい土地の管理が行われるエリア、いわば自然共生地域というべき地域を国が認定する仕組み」と説明し、「例えば、企業が所有する森林や、国立公園周辺の里地里山で企業がその管理を支援して下さっているものなども候補となり得る。目標達成に向けて、より多くの企業や国民の皆さんの力を結集するものとなるよう、制度設計を進めていく」と語った。

 また国立公園が同目標の核であるとしたうえで「質・量ともにさらなる拡充をはかっていく」とコメントした。

「もてなし上手」~ホスピタリティによる創客~(128)  コンシェルジュで感動を創る電話応対 リピーターを創造する

2021年9月15日(水) 配信

 

 長電話は非効率なのでしょうか。インターネットがビジネスの中心となった今、電話での受付や相談が難しい企業が増えています。安心して申し込むために聞いてみたいと思っても、電話番号がホームページに見当たらない。Q&Aに質問と回答例はあるが、その中から自分の聞きたいことが見つからない。

 そうしたなか、電話による受付を当たり前のように実施する企業があります。ただ、残念なのは応対が十分でないこと。その1つが、「早く電話を終わりたい」といった印象を受ける企業が少なくないことです。

 また、非常に丁寧な応対なのに、まるで機械と話しているような印象を受けることも多くあります。マナーは重要ですが電話応対の目的は、丁寧な言葉づかいで質問に答えることではなく、申し込みを得てビジネスの目的である「創客」を目指すものです。

 ある企業では、電話オペレーターが退職の日に、遠路からお客様を多く集めたという奇跡の事例があります。ただ、それは決して電話オペレーターだけの力ではありません。電話オペレーターは、すべての営業の要でもあるのです。

 そのオペレーターが果たした役割は、スタッフがお客様に感動を提供するための上質な情報を、お客様から引き出していたことです。お客様が感動する個客情報を現場スタッフに伝えることで、優れた接客を現場で実行する以上に、お客様の満足度を高めてリピーターを効率的に創造することにつなげていたのです。仮に長電話であっても、インターネットでは得られない上質な個客情報を得られれば、それはビジネスの目的である「創客」を最も効率的に創造することになるのです。

 高額商品を販売するある企業では、「コンシェルジュ」と呼ばれる知識と経験、そして優れた接客ノウハウを持つ人が担当します。高額商品を求める消費者への対応として、それは必要不可欠なことです。しかし、ビジネスの正しい在り方としては、高額商品だからではなく、商品を高く売るためには「コンシェルジュ」が対応すべきなのです。

 コロナが落ち着いても、それまでと比べて、人数を制限した少人数からのサービス提供になるでしょう。当然、販売価格は高くなる、あるいは高くしなければ必要な利益が確保できない、というスタートラインに立たなければなりません。

 安くしてでも利用してもらうのではなく、電話オペレーターに感動を創造するためのコンシェルジュ業務を持たせることで、高額でも利用の意思決定をしていただけるお客様を創造し、リピーターをこれまで以上に意識的に多く創造するビジネスに思い切って舵を取るときが今なのです。

 
 

コラムニスト紹介

西川丈次氏

西川丈次(にしかわ・じょうじ)=8年間の旅行会社での勤務後、船井総合研究所に入社。観光ビジネスチームのリーダー・チーフ観光コンサルタントとして活躍。ホスピタリティをテーマとした講演、執筆、ブログ、メルマガは好評で多くのファンを持つ。20年間の観光コンサルタント業で養われた専門性と異業種の成功事例を融合させ、観光業界の新しい在り方とネットワークづくりを追求し、株式会社観光ビジネスコンサルタンツを起業。同社、代表取締役社長。

 

 

LINKED CITYの全容に迫る② 新たな情報価値の創造へ

2021年9月14日(火) 配信

川村氏、佐藤氏、下花氏

 国際観光施設協会(鈴木裕会長)の旅館観光地分科会(川村晃一郎分科会長)は今年3月、観光型スマートシティ「LINKED CITY」構築に向け研究会を発足した。地域資源とAI、IoTデジタルオープンプラットフォームによる事業インキュベーションで雇用を創出。都市と地域、地域と地域をつなげることで分散型社会の構築を実現させることが狙い。

 「新たな情報価値の創造」をテーマに、必要な時に情報が自動的に受け取れる未来について同協会の川村氏、ジョルダンの佐藤氏、ジョルテの下花氏が熱論を交わした。

 佐藤・地域にはたくさんの宝がありますが、その多くには光が当たっていない、「知られていない」のが現状です。これに光を当てるのが、我われとジョルテ。我われが移動を、ジョルテが予定を具体化させ、情報提供を含めた新しい価値を創るべく、連携してプラットフォームの構築を進めています。

 下花・狙いは、個人の行動の中に情報を差し込み、紐づけすることで、自ら調べなくても必要な情報を得ることができる状況を生み出すこと。

 例えばすべての予定が終わって帰りの電車の時間を乗換アプリのジョルダンで検索したときに、自分の好きなモノが食べられる店の情報が一緒に出てくれば、新しい選択肢が生まれます。今は2社でこのプラットフォームの構築を進めていますが、参画企業が増えれば、それに比例してデータも集まり、より情報の確度も高まります。
 

 佐藤・「知らない」ことを「知らせる」ことができるのが、両者の強み。日常使いのサービスから改めて能動的に検索しなくても、受動的に良質な情報が受け取れる世界を我われで作りたい。
 

 川村・確かに、地方には良いコンテンツがたくさんあるのに、「知られていない」モノが多いですね。それは、地域の方にとって身近すぎて魅力に気が付いていないから、発信できていないのではないでしょうか。しかし、こういう情報は外から来た人にとって面白い話。旅行には宿泊が伴うことが多いので、宿泊施設、とくに旅館のような場所が情報を提供するのも大切だと思っています。
 

 「知らせる」という行為に関しては、「時間の使い方」も含む必要があると感じています。

  物事を効率化するなかで大事になるのは、空いた時間をどう使うか。例えば、あえて不便な地方に出掛け、何もしない1日を過ごすのはすごく贅沢なことです。ですが、こうした贅沢に気が付いていない人、知らない人はたくさんいます。
 

 宿泊施設はこうした人々に「贅沢な時間」を提供しうる可能性がある場所だと思っています。
 

 下花・日常生活は雑音が多く、本当の意味で自分の時間が過ごせないと感じています。こうした状況下で、本当の自分を創る作業を非日常の空間で行うために、地方の静かな旅館に行くと良いのではないでしょうか。

  佐藤・それは、まさに最近の医療ツーリズムの根本的な在り方。
 

 川村・旅の醍醐味は人とのつながりができることですよね。

 下花・そういう意味でも、1人で旅に出るのはおすすめです。1人旅だといろいろな場面で人と話す機会が増え、新しいつながりができます。これを新しい旅のカタチとして出してもいいと思うのですが、それを知らないから「怖い」とか、「なぜ1人で行くのか」と思われるのではないでしょうか。

 川村・そういった懸念を払拭できるのが、両社のサービスです。乗換案内と色々な予定が見られるカレンダーアプリがあれば、さまざまな場所に行くことができるようになりますね。

 下花・届かない地域のいいものをデジタル化して届くようにするのは、入口でしかありません。届くのであれば、さらに可能性が広がります。1つのイベントに人が集まったら、また別のイベントを実施する。こうすることで、地域の人々にさまざまな行動が生まれ、まちが活性化します。

 イベントは何も大きなことでなくていいと思います。例えば、「パンが焼けた」とか、そんな小さなことでも、その情報が欲しい人に必要なタイミングで届く状況にするのが、我われが創りたい価値です。

 佐藤・情報の拡散の仕方が分からないと思います。ですから、我われのツールとSNS(交流サイト)の情報が混然一体となることで、大勢の力を借りて拡散できるということに気が付いてもらう。この最初の一歩の創造をはかるために、我われはこの取り組みに参画しています。