HIS、墓参り代行サービス始める 帰国困難な海外在住の日本人などに

2020年11月2日(月) 配信

新事業のロゴ。価格は1万5000円から

 エイチ・アイ・エス(HIS、澤田秀雄会長兼社長)は10月29日(木)から、新事業「ライフ&エンディング事業プロジェクト」の一環として、「リモートお墓参りサポート・お墓掃除代行」をスタートした。新型コロナウイルス感染症の拡大で日本への入国が制限されるなか、墓のお参りや清掃などができていない海外在住の日本人の利用を狙う。

  同サービスは始めに、代理人が寺または管理事務局へ挨拶し、代理で墓を清掃することを伝える。掃除は雑草の刈り取りのほか、落ち葉やゴミなどを拾う。墓石はスポンジを水拭きし、砂や埃を拭き取る。花台や香台なども取り外し、水で洗う。終了後は墓に清掃が終わったことを伝える。

 提供するプランのうち、リモートお墓参りサポートプランは、利用者をオンラインでつなぎ、合掌できる環境を整えている。その後、代理人は水桶などを返却し、後片付けをし、指定の場所にゴミを廃棄したのち、お寺または管理事務局へ挨拶する。代理墓参り完了の連絡として、写真または動画にて作成された報告書を電子メールで送る。

 用意した3プランすべてで、掃除と墓参りのほか、お線香をあげる。このうち、基本プランAは写真5枚を報告書に載せて、1平方㍍あたり1万5000円。基本プランBと基本プランCの料金は1平方㍍あたり1万8000円。写真5枚のほか、基本プランBでは録画した動画を1分程度にまとめ、基本プランCはオンライン墓参りサービスを提供する。なお、献花代は2000円。故人が生前に好きだった花の用意など個別に対応する。

Go To新基準設ける 対象外商品や泊数制限も(観光庁)

2020年11月2日(月) 配信 

観光庁

 観光庁はこのほど、7月22日(水)~10月15日(木)までのGo Toトラベル事業の利用実績を報告した。また、人の動きが回復してきているのを受け、同事業の支援対象とする旅行商品の基準や考え方を明確化したうえで制限を設ける。

 Go Toの利用人泊数は少なくとも約3138万人泊、割引支援額は少なくとも約1397億円だった。

 観光庁は、一部の参加事業者が「観光を主な目的としているとは言えない」旅行商品の販売を行っている状況を鑑み、①観光を主たる目的としている②感染拡大防止対策を取っている③旅行商品に含まれる商品やサービスの価格が通常の宿泊料金の水準を超えない④旅行者自身が旅行期間中に購入または利用するもの――などの基準を設けたうえで、社会通念上の観点も含め「総合的に判断する」とした。

 通常の宿泊料金を著しく超えるサービスなどが付く宿泊プランや、免許・ライセンスが取得できる宿泊プランなどを、11月6日(金)の予約・販売分から支援の対象外とする。

 免許などの取得サービス代金が、旅行代金と明確に分けられている場合は、旅行代金のみが支援の対象となる。

 泊数制限の導入については、「観光目的で8泊以上の宿泊をすることが少数である」(観光庁)ことから、1回の旅行で7泊分までを支援の対象とする。

 泊数制限は、11月17日(火)からの予約・販売分から適用する。

星野リゾートとリサ・パートナーズ、ファンドの運用開始 事業継続のサポートはかる

2020年11月2日(月) 配信

観光活性化ファンドの相関図。出資額は50億円となる

 星野リゾート(星野佳路代表、長野県・軽井沢町)と投資銀行のリサ・パートナーズ(成影善生社長、東京都港区)は10月30日(金)、国内の宿泊施設を対象とした投資ファンド「星野リゾート観光活性化投資事業有限責任組合」の運用を始めた。日本国内の優良なホテル・旅館の事業継続をサポートし、新型コロナウイルス収束後の観光・宿泊産業の早期回復をはかる。

 同ファンドは、三井住友ファイナンス&リースと三菱UFJ銀行、大和ライフネクストらを投資家として招聘した。リサ・パートナーズも含めると出資総額は約50億円となる。投融資対象は宿泊施設が保有する建物や土地などの不動産。投融資を受けた宿泊施設の運営は原則、星野リゾートが行う。

 今後も金融機関・事業会社などの機関投資家からの追加出資を募る。2020年度中には出資総額100億円規模のファンドとして運用する予定だ。

 リサ・パートナーズは日本生まれ日本育ちの投資銀行として、国内各地の180を超える地方銀行などとのネットワーク基盤を保有している。企業と債権、不動産の3つのビジネス領域を対象に、投融資とアドバイザリーの2機能をワンストップで提供している。

 同社はこれまで、ホテル・旅館の再生関連事業をはじめ、ホテルの自社開発や運営を行ってきた。蓄積してきた宿泊施設に関する知見に基づき、同ファンドに対してアドバイザリー機能を提供する。

 不動産分野へは投資総額約2000億円以上の不動産ファンドの運営をはじめ、これまで累計約4000億円を運用してきた。同社のグループ会社に在籍する一級建築士や不動産鑑定士などの専門人材も運用案件の資産価値向上を行っている。

 

〈観光最前線〉金木町の店「かどっこ」

 2020年11月2日(月) 配信

店内はカフェスペースも

 青森県五所川原市金木町に8月、土産物などを販売する「街ながの店 かどっこ」が開店した。

 太宰治の古里・金木は観光の町としてその名をはせる。しかし今春、訪れる人を迎えてきた観光物産館が、コロナ禍で休館を余儀なくされた。その役を引き継ごうと、空き店舗を活用し営業を始めた。

 店内には太宰グッズや金木高校の生徒が開発したロールケーキなど、観光客に喜ばれそうなものから、地域の人が手塩にかけ育てた青果、手作り総菜なども並ぶ。

 開店約3カ月、普段使いの店として訪れる市民も増えている。居合わせた観光客と地元客の間で、話に花が咲くことも。店を切り盛りする斎藤真紀子さんは「気軽に立ち寄れるコミュニティーショップにしたい」と、笑顔で来店者を迎える。

【鈴木 克範】

津軽海峡フェリー 新商品「海割ドライブ プラス」発売 定額企画で「個室」や「指定席」が利用可に

2020ね11月2日(月)配信

 津軽海峡フェリー(村上玉樹社長、北海道函館市)は2020年11月2日(月)、新商品「海割ドライブ プラス」の販売を始めた。好評の「海割ドライブ」に、追加料金で個室や指定席の利用が可能となり、これまで以上にお得で快適な船旅が楽しめる。

 「海割ドライブ」は、車1台とドライバーを含む最大8人までが定額運賃で乗船できる数量限定の割引サービスだ。2019年は3万6千台、10万人が利用した。利用できる船室はスタンダードに限られていたが、「海割ドライブで個室も利用したい」という声を受け、個室や指定席も利用できるようにした。

 「海割ドライブ」(乗用車1台と最大8人の定額運賃)は、青森-函館航路1万5800円、大間-函館航路1万2800円。青森-函館航路でスイート(定員2人)利用の場合1人あたり2100円、コンフォート(定員4人)利用の場合1人あたり900円など、希望者は差額支払いで船室をアップグレードできる。対象期間は2021年3月31日(水)まで。予約は乗船日の5日前までに同社ホームページから。

Go Toで最大35%オフ、キャンピングカー日帰りツアーを発売

2020年11月2日(月)配信

詳細は「キャンピングカー日帰りツアー」特設サイトから

 エアトリ子会社のインバウンドプラットフォーム(王伸社長、東京都港区)はこのほど、Go Toトラベルキャンペーン対象のキャンピングカー日帰りツアーの割引価格での表示販売を始めた。キャンピングカーレンタルサービス「エルモンテRVジャパン」で売り出している。

 現在実施されている大規模な観光復興支援策「Go Toトラベルキャンペーン」は、キャンピングカーレンタルのみの場合は対象外。そこでエルモンテRVジャパンは、キャンピングカーとアクティビティをセットにしたGoToトラベルキャンペーン対象の日帰りツアー商品を始めた。なお、連続した日程で「キャンピングカー日帰りツアー」に参加することで、連日利用(1泊2日など)も可能。

 エルモンテRVジャパンは、新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、日本カーツーリズム推進協会が定める「レンタルキャンピングカーにおける新型コロナウイルス対応ガイドライン」に準拠し運営をしている。キャンピングカーの返却後・レンタル前に、次亜塩素酸ナトリウム溶液、エタノール、アルカリ電解水などで、車内の隅々まで徹底的に掃除・除菌を行う。全車両に換気扇を設置し、換気機能も十分整っている快適な車内空間を提供する。

【11月3日まで】月山ワイン新酒や庄内18蔵元の地酒を販売 秋の大感謝祭 庄内観光物産館で開催中

2020年11月2日(月)配信

庄内地区にある全18蔵元のGI認定純米吟醸酒が勢ぞろい

 山形県鶴岡市の庄内観光物産館ふるさと本舗で2020年10月31日(土)~11月3日(火)まで、月山ワインの2020年新酒や、庄内全18蔵元の地酒などを一堂に販売する「秋の大感謝祭」を開催している。

 店内には、山ぶどうの里、鶴岡市朝日地域の特産品「月山ワイン」の新酒や期間限定ワインをはじめ、県産酒造好適米「雪女神」「出羽燦々」などで造られた庄内地区にある全18蔵元のGI認定純米吟醸酒が勢ぞろい。一部は試飲も楽しめる。味処「庄内庵」では新そばが楽しめるほか、お肉や海鮮などの焼きもの屋台も登場する。

「観光革命」地球規模の構造的変化(228) ワーケーションの行方

2020年11月1日(日) 配信

 菅義偉政権の誕生に伴って「ワーケーション(workation)」が注目を集めている。ワーケーションはワーク(仕事)とバケーション(休暇)を組み合わせた造語で、観光地やリゾート地でテレワークを活用して働きながら休暇を取るスタイルのこと。とくに環境省は小泉進次郎大臣の下でワーケーション推進に注力している。「国立・国定公園、温泉地でのワーケーション推進」を目指して、コロナ感染リスクの低いキャンプ場などの自然志向の高まりとテレワークの推進を前提にして、ロングステイとエコツアーの利用促進によるウイズコロナ時代の地域経済の下支えや観光地の活性化が意図されている。

 和歌山県は国の動きよりも早くからワーケーション推進を打ち出していた。昨年11月には「ワーケーション自治体協議会」が設立され、65自治体が参加している。テレワークを活用し、普段の職場や居住地から離れ、リゾート地や温泉地などで、仕事をしつつ、休暇を楽しむことが推奨されている。環境省は10月2日にオンラインで第5回全国温泉地サミット(全国温泉地自治体首長会議)を開催し、コロナ禍での関係人口の拡大を目指した温泉地でのワーケーション推進について、自治体首長などがプロモーションを行っている。

 北海道のリーディングバンクである北洋銀行はすでに地域産業の活性化に向けてワーケーションの道内誘致を推進するために「北の大地でワーケーション!」プロジェクトを開始している。豊かな自然、恵まれた気候、低い人口密度などの北海道の利点を活かして、首都圏の企業に対するワーケーション誘致に力を入れている。

 日本ではいまワーケーションへの期待が高まっているが、一方で課題が山積していることも事実だ。ワーケーション推進の最も重要な前提の1つであるテレワークは、4月の緊急事態宣言に伴って一挙に注目を浴びたが、宣言解除に伴って急速に下火になっている。またワーケーション推進に不可欠なWi―Fi環境の整備も不十分である。そのうえコロナ禍の長期化によって数多くの企業が業績悪化で苦しんでおり、従業者の給料も減り続けているためにワーケーション導入に伴う費用負担の解決は容易ではない。コロナ禍での日本型ワーケーションの行方に注視したい。

石森秀三氏

北海道博物館長 石森 秀三 氏

1945年生まれ。北海道大学観光学高等研究センター特別招聘教授、北海道博物館長、北洋銀行地域産業支援部顧問。観光文明学、文化人類学専攻。政府の観光立国懇談会委員、アイヌ政策推進会議委員などを歴任。編著書に『観光の二〇世紀』『エコツーリズムを学ぶ人のために』『観光創造学へのチャレンジ』など。

 

 

山形旅ホ組 旅館ホテルを避難所に 組合員向け勉強会開く

 2020年10月31日(土) 配信

あいさつする佐藤信幸理事長

 山形県旅館ホテル生活衛生同業組合(佐藤信幸理事長)=写真=はこのほど、かみのやま温泉・日本の宿古窯で勉強会「避難所としてのホテル・旅館の活用について」を開いた。山形県内の組合員代表を対象に行い、山形県防災危機管理課の担当者を招いた。

 国は新型コロナウイルスの感染予防対策として、「3密」を避けるため、防災計画を見直した。避難所が不足した場合、旅館ホテルを活用することが盛り込まれた。また、高齢者や要配慮者の避難についての対応を記載。施設の借り上げ費用としての予算措置に、地方創生臨時交付金を充てることも決定されている。

 山形県は、同組合と災害時に旅館ホテルへ要配慮者を一時的に受け入れる協定を締結。地域でも一部の自治体と地区組合員が協定を結んでいる。一方、地域全体が被災した場合は広域的な避難となり、支部単位では対応できないため、今後の検討が必要だ。

〈旬刊旅行新聞11月1日号コラム〉コロナ禍で作業量が増加 客にも過剰に負担を強いていないか

2020年10月31日(土) 配信

コロナ禍で作業量が増加

 東京・山手線などの最終電車の時刻を繰り上げるというニュースが流れた。新型コロナウイルスによって、社会や生活、価値観がこれまでと大きく変わっていくだろうと思っていたが、これも変化の象徴的な出来事である。

 
 テレビで年輩の男性がインタビューを受け、「自分たちの若いころは終電まで働いていた」と話しているシーンを見た。我が身を振り返っても、1990年代まではそのような名残が強くあったような気がする。終電近くまで働いたことは少ないが、酒場で飲んでいたことは、かなりある。

 
 終電を乗り遅れて、仕方なく始発まで飲む夜もあれば、会社で仮眠して朝を迎えることもあった。「ニューヨークのように24時間電車が走っていれば、終電に乗り遅れることもないのに」と本気で思っていた。

 

 
 今は、夕方に定時で帰宅する流れが浸透している。そう考えると、大多数のサラリーマンが終電近くまで働いたり、飲んだりしていたころは日本史上“特殊な時代”だったのだ。

 
 どうして朝から夜遅くまで毎日働いていたのか。残業代が出る企業は「労働時間が長い方が、収入が多い」仕組みも一役買っていたかもしれない。

 
 新聞記者という仕事も、当時は写真1枚を取材先に借りに行くことも多々あった。電車に乗って相手の会社に「こんにちは~」と出向く。「ガキの使い」ではないので、少し世間話などをして、お礼を言って会社に戻ると午前中が終わってしまうこともあった。今はメールでのやりとりで空いた時間に1分もあれば、済むことである。

 
 校正作業も印刷所に出張し、1日がかりだった。しかし、その大半が校正室での待ち時間だった。そう考えると、生産性がとても低かったことを感じる。あの時代に戻りたいかと言われれば、答えはNOだ。生産性を上げて効率よく仕事をした方が精神衛生的にもいい。

 

 
 先日、北海道のある有名ホテルに宿泊した。チェックイン時に「3密を避けるため、大浴場に入るときにはQRコードから予約をしてください」と言われた。少し休んで温泉に入ろうと思い、スマートフォン片手に性別やら、名前、住所、電話番号、メールアドレスのほか、さまざまな個人情報を書かされ、まだまだ質問項目が続く。

 
 「パソコンやスマホと向き合う煩わしい生活から逃げ出そう」と思って、自然豊かな旅に出たのに客室でスマホ片手に数十分間、情報を打ち込まなければ温泉にも入れない状況に、私の我慢の限界が来た。

 
 客室からフロントに電話し、『そこまで色々と情報を入力しないと温泉に入れないのか』と聞くと、『すみません、この電話で受け付けとさせていただきます。大丈夫です』と言うではないか。そしてようやく広い大浴場に行くと、なんと私ひとりぼっちの貸し切り状態だった。

 

 
 IT化が進んでも融通が利かなければ、生産性は上がらないし、最も大事な客の満足度が下がってしまう。       

 
 コロナ禍においては、宿泊施設や観光施設では、検温や消毒、衛生管理など作業量が増えているだろう。一方、客との接触を最小限にするために、セルフサービスの割合が上がっている。「コロナ禍だから」という理由で、客の方にも過剰に負担を強いていないか、心配である。

 

(編集長・増田 剛)