観光庁・文化・歴史資源活用推進室 遠藤翼室長に聞く 「活用」と「貢献」の2つの視点で観光庁が進める「文化財観光」

2022年11月24日(火)配信

遠藤翼室長

 観光庁は今夏、文化・歴史資源活用推進室を新設した。国内外で年々注目が高まっている「文化財」を活用した観光施策を立案する部署で、文化財の活用と保全、各地域で文化財を活用した観光の取り組みを進める人の支援を、関係省庁と連携して推進する。遠藤翼室長に、同部署が今後政策を進めるうえで指針とする「文化財観光」への考え方を聞いた。

 

 文化・歴史資源活用推進室は、観光地域振興部 観光資源課 地域資源活用推進室を「文化」と「自然」の2つの部署に分けるカタチで今夏新たに設置された部署です。今後外国人旅行者が再び増加すると予想されるなか、「自然」と「文化」、両コンテンツへの興味・関心もますます高まり、より注目される分野になるとの予測のもと、各分野の取り組みを深めていくために2つの部署に分けることになりました。

 

 私たち文化・歴史資源活用推進室の役目は、文化・歴史を我が国の非常に重要な観光資源と捉え、その保全と活用を進めることです。一口に「文化」といっても、国が指定する国宝や重要文化財のみならず、各地域の中で尊重されてきた文化や無形の風俗などその幅は広く、当然ながら、それらすべてを観光資源としての「文化・歴史」と認識しています。

 

 「私たちのまちには何もない」という人が多くいらっしゃいますが、「自分たちの地域が現代を生きる旅行者にとっての非日常の体験の場になっているか」を考えることが大切ではないでしょうか。観光客を呼び込める資源の「有無」という発想のみでは、見せるものや資金が無くなった時点で残念ながら観光資源に終わりが来ます。こうした発想のみならず、旅行者の日常を深く洞察することで、非日常である観光資源を浮かび上がらせることが、持続可能な観光の取り組みを進めるうえで大切だと私は感じています。

 

 また、サステイナブルやエコなど、今現在の社会的な課題から地域を見つめることで生まれる価値もあるはずです。これらを見定めれば、何もないと思っていたまちでも実は「非日常の体験の場」になりうるだけでなく、「社会的な課題解決を実践・実装する場」としての可能性があると気が付くことができるのではないでしょうか。

 

 もう一つ文化・歴史の活用をはかる際には、旅行者の文化・歴史に対する「貢献」を通じた満足度の向上を真剣に考えることが重要であると考えています。現状、我が国の文化・歴史を取り巻く現状は厳しく、人口減による担い手不足、厳しい予算制限、資材や技術不足などにより、全国で文化・歴史を守り維持すること自体、大変厳しい状況と認識しています。 

 

 私はこれらの課題を解決するキーワードの一つが、旅行者による「貢献」であると考えています。旅行者が観光を目的に訪れることで、地域の文化・歴史を「どう守るか」、「分かりやすく、かつ満足できるカタチでどう伝えるか」、「寄付・入館料などの金銭的な収入をどのように効果的に地域に還元できるか」、「伝統芸能などを披露する場として、地域に負担にならないカタチで整備する方法はないか」を真摯に議論する。その際、「活用したいカタチで活用する」という陥り易い課題に嵌まることなく、常に他者の目を良き刺激とすることが、より高品質な体験を提供につながると思います。

 

 政府は水際措置を緩和した10月11日、官邸で第16回観光立国推進閣僚会議が開催されました。その中で世界的な旅行需要の回復が見込まれる2025年に大阪で開かれる日本国際博覧会に向け、我が国の観光を持続可能な形で復活させるための新たな「観光立国推進基本計画」の策定を含め、観光立国の復活に向けた3点の取り組みを進めるよう関係官庁に指示が出されました。

 

 私たちも、このなかに示された政策のもと、これまで進めてきた多言語解説事業や歴史的まちづくり、サステイナブルツーリズム、受入環境整備などを進め、観光立国の復活、インバウンド需要の回復に努めていきます。

 

 また、インバウンド需要の回復にあたっては、新型コロナウイルス感染症の流行前、各地で問題となっていた「オーバーツーリズム」の解決も求められます。本来こうした現象が生じないことが最も適切ですが、ここでも地域に「どの程度貢献してもらうことが適当か」という議論に基づき、必要な取り組みを各地域で進めていただければと思います。観光業界は新型コロナウイルス感染症によって約3年間、苦しい状況に置かれました。だからこそ、アフターコロナの観光政策を考えるうえでは「訪れる人の数」を追うのではなく、「訪れる人がどれだけ満足し、地域に貢献いただけるか」をとことん突き詰め、それに向けた特別な取り組みを実行してほしいと思っています。

 

 この問題の解決策として「高付加価値な体験活動」を提供することが、有効な取り組みの一つであると考えますが、その有り様は多様であるべきとも考えています。「我が地域にとって、最も適切な高付加価値な体験とは何か」という問いに、真剣に答えていく必要があります。

 

 最後に、ここまで旅行者による「貢献」について指摘してきましたが、その趣旨は旅行者におもねることではありません。旅行者による「貢献」が行き過ぎると、旅行者のニーズに応えることが至上命題となり、本来保存すべき文化・歴史に悪影響が生じる懸念があります。

 

 両者のバランス・拮抗と質の高い議論、そして何より、結論を出して実行していく行動力にこそ、私たちはしっかりとした支援を行う。言うは易しではありますが、各地域で奮闘されている関係者の皆様とともに、より良い方向に向け、共に進んでまいりたいと考えています。

特別参拝・文化体験で 鎌倉各エリアを巡る

2022年11月24日(木) 配信

改修中の光明寺大殿

 鎌倉市観光協会と鎌倉旅館組合は今秋、市内3カ寺で特別参拝のモニターツアーを行った。

 「建長寺」と「光明寺」、「覚園寺」協力のもと、「非公開文化財の特別公開」や、「文化財である境内での鎌倉文化体験」を組み合わせたプログラムを用意。市を代表する老舗料理店の「鎌倉鉢の木」と、「鎌倉御代川」協力のもと、特別な参拝弁当も開発した。「〜いざ鎌倉!鎌倉版図(ハント)〜」事業をまとめる。

三門の特別拝観とけんちん汁も味わう

けんちん汁

 建長寺の特別拝観では、僧侶の案内のもと寺院を参拝し、けんちん汁を味わうプランを造成した。鎌倉五山第一位の格式を誇る「建長寺」は、1253年鎌倉幕府五代執権北条時頼によって創建された日本最初期の禅寺。特別参拝では、普段は非公開の「三門」を特別に公開、参加者は楼上に登り安置されている釈迦如来、十六羅漢、五百羅漢を拝観した。

 特別参拝では「三門」の特別拝観に加え、同寺本尊の地蔵菩薩を安置する仏殿や千手観音を安置する法堂なども解説を聞きながら参拝。

 その後、同寺開山(初代住職)の蘭渓道隆禅師が発案した、建長寺発祥の精進料理「けんちん汁」を楽しむ。けんちん汁は野菜を油で炒め、塩と醤油で味付けした豆腐の入った汁物。ある修行僧がうっかり落としてしまった豆腐を同禅師が丁寧に洗って汁の中に入れ大切に食したという逸話から、豆腐は崩していれるという。

修復のようすを間近で寺の歴史にも触れる

 光明寺は、浄土宗三祖然阿良忠上人が鎌倉幕府四代執権北条経時の帰依を受け1243年に創立されたとされる寺院。特別拝観では、19年から28年まで行われる保存修理工事中の大殿(本堂)の改修のようすを公開した。参加者は大殿を覆う素屋根の中で、建物の修復過程を見学した。

 このほか同寺での特別参拝では、観桜会や観蓮会などの際に公開される大聖閣や、釈迦三尊、四天王、十六羅漢を安置する山門などを僧侶の案内のもと同寺の歴史などを聞きながら巡った。

学びの寺院で 特別な文化体験

御守りづくり体験(覚園寺)

 覚園寺は1218年、北条義時によって建てられた大倉薬師堂を1296年、鎌倉幕府九代執権の北条貞時が、智海心慧律師を開山として真言・天台・禅・浄土の四宗を学べる道場とした寺院。

 この学ぶ寺である同寺では、「中世鎌倉の文化と現代の鎌倉文化」「鎌倉で生活する人と観光客」を結ぶ特別文化体験企画を実施した。参加者は「メーカーズシャツ鎌倉」が制作した御守り袋に鎌倉唯一の大佛師の奥西希生氏が、仏像を彫る際に彫落される「神聖な共木」作成した守り木札を入れる、自分だけの御守りづくりを体験した。

「市内回遊で」滞在時間延長へ

 10月14・21・26―27日、11月2日で行われた特別拝観特別参拝のモニターツアーは、観光庁の「地域独自の観光資源を活用した地域の稼げる看板商品の創出事業」の支援を受け実施された。

 企画造成にあたり鎌倉市観光協会は、新型コロナウイルス感染症の流行・拡大によって落ち込んだ観光需要の回復とコロナ以前から課題となっていたオーバーツーリズム対策を両立させるため、鶴岡八幡宮や小町通りに集中する観光客の「市内回遊」を狙い、光明寺がある「材木座エリア」や建長寺がある「北鎌倉エリア」、覚園寺がある「二階堂エリア」といった各エリアを代表する寺院の協力のもと、プランを組み立てた。

 「鎌倉は日帰り観光地」として楽しまれており、「1人当たりの観光消費額が低い」ことも課題になっている。観光協会ではこの問題に対し、「宿泊需要」を延ばすことで観光客の平準化を目指しながら、滞在時間の延長をはかり消費を促す考えを示す。今回の事業では、「鎌倉市民限定」、「特別参拝体験」のプランに加え、「市内宿泊」も用意、参加者が終了後に回答するアンケートで「何が魅力で鎌倉に泊まったか」、「何が魅力であれば鎌倉に泊まるか」意見を募り、今後のプラン造成などに活用する。

 鎌倉市観光協会次長の出口律子氏は、今回実施した特別参拝プランはアンケートで得られた意見などをもとに磨き上げ商品化するとしたうえで、「成功事例をつくり、市内の他の寺院にも特別参拝のプランを広げていきたい」と今後の展開を語る。

 また鎌倉市民限定プランへの反応が高かったことに触れ「『これからもこういったプランを期待しています』といった声をいただくことができました。引き続き市民の皆様が自慢できる鎌倉をつくっていきたい」と力を込めた。

 一方、建長寺特別拝観付きの宿泊プランを販売したホテルメトロポリタン鎌倉の営業企画マネージャー渡邊智彦氏は「鎌倉の魅力を新たに発見してもらいたいという思いを込めている『心魅かれる新たな古都へ』というホテルのテーマにマッチした企画。宿泊されたお客様からも、『新しい発見ができた』などうれしいお声をいただきました」と企画を振り返った。

〈観光最前線〉 呼ばれるように 奈良へ

2022年11月23日(水)配信

 10月、2度目の奈良に。出掛けると決め、どこに行くかを考えていると、延期となっていた興福寺の五重塔の特別公開や、薬師寺の天武忌・万燈会、春日大社の摂社・若宮神社の造替、信貴山朝護孫子寺の毘沙門天王(奥秘仏)の御開帳と重なっていることが判明。昨年も、偶然丑歳御縁年にあたることに気が付いて出羽三山を旅先にしたことを思い出した。まるで、呼ばれているかのように。

 なかでも薬師寺の天武忌は、日中の十二神将練り供養から始まり夜の法要まで、寺内一帯が一日中厳かな空気に包まれるなかでの拝観ということもあり、いつも以上に強く心に残った。

 奈良は中心地から少し外れると人も少なく、多くの寺院で仏様を間近で拝観できる。だからなのか、京都より奈良が好きだ。

「ZOOM JAPON(ズーム・ジャポン)(11月号)」

2022年11月23日(水)配信

https://zoomjapon.info

特集&主な内容

 日本を代表する食材でありながらも、日本での消費量が減る一方、フランスを初めとする海外で身近になっている食材は多々あります。米や日本酒はその代表的な例です。日本でマスタードが普通のスーパーで売られているように、フランスのスーパーで醤油を見掛けるようになって久しいです。最近では、フランス料理やお菓子づくりでも、ワサビやユズは、「和風」の素材ではなく、新しい調味料として定着し始めています。本誌11月号では、今後さらにフランス人が関心を深めるであろう味噌と醤油を取り上げました。その起源から最新の輸出状況、最大手工場の紹介や老舗工場のリポート、醤油ソムリエのインタビューなど、日本の醤油と味噌の今を取り上げています。旅行ページでも、醤油とオリーブで知られる小豆島を取材しました。

〈フランスの様子〉フランスの設定温度は19度

「19度の仕事場でいかに暖をとるか」。11月7日付Le-Parisien紙のウェブサイトより

 9月に新年度が始まったころ、日本よりも冬の訪れが早いフランス、さらに今年はウクライナ情勢の影響などによる光熱費をはじめとする物価高の状況で、仏政府は、仕事場でもタートルネックやダウンジャケットを着ましょうとか、暖房の設定温度は19度にしましょう、などの広報キャンペーンをしていた。◆そして10月、異常なほどの暖かさだったこともあるが、それを差し引いても昨年よりも電気の使用量が少なかったという。◆ただし、これは政府の提言に国民が従ったというよりも、生活費全体の値上がりに対する一つの策として、国民が自発的に光熱費を節約しているが実情のようだ。◆そこで11月に入って売れているのが、セーターやマフラー、ダウンジャケットなど、光熱費をかけずに寒さを防ぐグッズだという。◆コロナ禍で売上が激減していた衣料品店舗は少し助かっているようで、メディアやSNS上でも電力を使わず暖まる創意工夫や電力消費を抑えるアイデアが溢れる。◆クリスマスのイルミネーションも、多くの都市部でかなりシンプルなものになるようで、質素な冬になりそうだ。

ズーム・ジャポン日本窓口 
樫尾 岳-氏

フランスの日本専門情報誌「ZOOM JAPON」への問い合わせ=電話:03(3834)2718〈旬刊旅行新聞 編集部〉

梵まる、千葉に一棟貸し宿 非日常空間で特別な日常を提供 「地域とニーズ応え共に成長」

2022年11月23日(水) 配信

BONーMAL ZENの外観

 梵まる(大串哲史社長、千葉県鴨川市)は2022年5月、鴨川市内に一棟貸しの宿泊施設「BON―MAL ZEN」と「BON―MAL TREE」オープンした。両施設のコンセプトは「非日常的な空間で特別な日常を提供する」。地域への貢献も目標に掲げるため、宿に必要なものはすべて地元企業を優先して取り入れた。用意できない場合は一流の品を備えたという。同市での経営は初となる大串社長は「宿泊客のあらゆるニーズに応えるため、地域の力も借りながら、共に成長したい」と語る。

【木下 裕斗】

大串哲史社長

 BON―MAL ZENは、別荘として利用されていた一軒家を宿泊施設に改修した。テーマは「原風景を見渡せる高台で」。高台に建ち、山や畑などからなる原風景に加え、海も眺めることができる。定員は5人。建物面積は75平方㍍。

 内装は土間ダイニングと和室、寝室、バスルームで構成する。土間ダイニングの冷蔵庫には、ビールを用意。依頼があれば唎酒師が選んだ地酒も提供する。大串社長は「お酒を楽しみながら、語らう大人の時間を楽しんでほしい」と語る。

 また、寝室にはベッドを2台設置した。和室では布団を3枚まで敷くことができる。

 風呂は縦と横それぞれ約2㍍のガラス窓で囲い、窓とカーテンを開ければ、半露天風呂として楽しめる。このことから、同社の並木優子執行役員は「鳥の声に耳を傾けながら、都会暮らしで疲れた五感を整えてほしい」とアピールする。

半露天風呂から原風景を望める

 客室内にはIHキッチンのほか、鍋やフライパンなどの調理道具、食器、冷凍冷蔵庫、ビールサーバー、薪ストーブなどを備えた。アメニティはボディソープやシャンプーなどに加え、歯ブラシセットや使い捨てスリッパ、ナイトガウンを用意。「品質は東京のシティホテルと同等」(並木執行役員)という。

並木優子執行役員

 夕食はすべて地域の事業者が提供する金目鯛の塩焼きや、かずさ和牛の陶板焼き、お刺身盛り合わせなどのデリバリーセットをそろえる。

 利用者はさまざまだが、以前別荘を持っていたという人が毎月予約し、別荘の代わりに利用しているという。

 宿泊料は月~木曜日と日曜は7万7000円。金~土曜日と祝前日は8万8000円。いずれも税込。

 BON―MAL TREEは住宅を宿に改修。ドッグランを併設した。テーマは「緑の風の交わる場所で」。犬が歩きやすいよう、動物病院の看護師が監修し、滑りにくいペット専用フローリングを採用したほか、客室面積の半分以上を占める洋室と寝室は段差をなくした。ペット用の餌台、トイレのほか、除菌シートと消臭剤も置いている。

BON―MAL TREEの外観

 「夜は満天の星を楽しめる」(並木執行役員)ことから、望遠鏡も設置した。

段差をなくした洋室

 また、ウッドデッキには、グリルや屋外用のテーブルやイスなどのバーベキュー設備も備える。このため、食事はバーベキュー用に地元のジビエを含めたBBQセットを用意。イノシシの肉や地元の野菜が味わえる鍋のセットも提供する。

 建物の面積は約42平方㍍。定員は4人。料金は月~木と日曜日が6万6000円、金―土曜と祝前日は7万7000円。すべて税込となる。

 施設へのチェックインは、車で約15分の場所にある同社の飲食店 BON―MAL PUDDING内の宿泊者専用ルームで行う。利用客は地元の牛乳や卵で作られた保存料と防腐剤を使用しないプリンを食べながら、氏名や住所などを宿泊者名簿に記入後、宿泊場所を記した地図をもらい、自ら移動する。

チェックインを行う専用ルーム

 ZENの道中には鴨川の地形を生かした棚田を抜けていくことから、「美しい景色が見える」(並木執行役員)という。チェックアウトはPUDDINGへの電話で退室することを伝え、完了する。

提供されるプリン

極力NO言わない 宿泊前の期待超える

 施設の予約は直販のほかに、じゃらんやReluxなどのOTA(オンライン旅行会社)で受ける。一人ひとりのニーズに沿うサービスを提供しようと、事前にメールや電話などで滞在中に加え、宿泊前後に行いたいことを聞き、応えている。

 お客からのメールの内容から宿とのコミュニケーションを求めず、静かに過ごしたい希望にも配慮する。そのうえで、大串社長は「今は顧客のニーズを知りたいので、要望には極力NOと言わないようにしている」と話す。

 具体的にはチェックイン後にサーフィン体験を望んだお客に、チェックアウト日に初心者向け教室の予約を行った。さらに、「犬の写真を海で撮りたい声が多い」(並木執行役員)ことを受け、SNS映えする海岸や、近隣の観光地にある複数の駐車場から比較的空いている場所など、地域に住むスタッフだからこそ知っている情報を紹介することができる。

 これらは地域に住むスタッフの知人が経営する会社を紹介したり、地域の行事に参加したりして、梵まると地元企業の関係を構築してきたことを生かしている。

 大串社長は「自社でお客様の要望をすべて満たすサービスを用意するのは、時間も費用も掛かるが、一部を自社で提供しないことで、地元企業に送客でき、活性化に貢献することができる」と語る。

 このほかにも同社では食事や、客室内の備品、庭の手入れなどは地元を優先して、依頼している。地域で用意できない場合は、「一流のものを提供し、地域に理解してほしい」との考えから、ZENでは、九州を拠点にする職人が手作りした高級なテーブルを採用した。ベッドは宮大工が製作。さらに、理美容業界でも高級品というドライヤーを備えた。

九州の職人が手作りしたテーブル(手前)と和室(奥)

 2023年の夏にはBON―MAL HOLIDAYをオープンする予定だ。ZENとTREEが山や緑をコンセプトにしたため、今後は親子3世代の需要の取り込みを視野に、海へ歩いて行ける物件を新築し、最大収容人数を7人に設定する。

 また、今後2~3年間は、お客のニーズを把握し、不要な提供サービスを削り、経費を下げることで、利益を増やしていく方針だ。

 大串社長は「(お客に)地域の魅力を紹介しながら、いつか梵まるに泊まってみたいと思われる宿に成長させたい」と語る。

NAAとナリコー、CO2吸収量杉の5倍の桐植樹 成木の販売収益で持続目指す

2022年11月22日(火) 配信

早生桐

 成田国際空港(NAA、田村明比古社長)と、空港の土木や建築などを担うナリコー(加瀨敏雄社長、千葉県成田市)はこのほど、同空港周辺に二酸化炭素の吸収量が一般的な杉に比べて約5倍となる早生桐を植える実証事業をスタートした。

 NAAが2050年度までの目標とするCO2排出量ゼロを実現する一環。さらに、成長した木を建築用などとして販売し、収益を得ることで、持続可能な施策にすることも目指す。国内空港では初の取り組みになるという。

 早生桐は、成長が早い樹木の一種。成木になるまでの期間は、一般的な桐が20~30年に対し、5~6年となる。1本当たりのCO2吸収量は年間42・5㌔㌘。同事業では、成田空港周辺の約1700平方㍍の傾斜地に80本程度植樹する。

ラビスタ東京ベイ 12月1日からクリスマスディナー付きの宿泊プランを展開

2022年11月22日(火)配信

クリスマスディナー

 共立メンテナンスは12月1(木)~25日(日)まで、ラビスタ東京ベイ(東京都・豊洲)でクリスマスディナー付きの宿泊プランを展開する。ディナーは食前酒から始まり、オードブルやパスタ、肉料理など7品で構成。

 またフロントフロアの運河側には赤色を基調とした装飾のクリスマスツリーを設置。11月18日には、地元の子供たちによる点灯式も行われた。

 山本忠義支配人は、4月のプレオープンから半年で、10万人以上の方にご宿泊いただいた。特に東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県のお客様は全体の約6割を占める。今後も当ホテルは、非日常を提供する近場のリゾートとして、また(四季折々の)イベントを通じた話題作りを行い、近郊の方に何度も利用していただける施設を目指す」と力を込めた。

「日本の食のルーツ・DNAは奈良にあり」 奈良新しい学び旅推進協議会「日本の食の聖地巡礼・Nara推進」プロジェクト活動開始

2022年11月22日(火)配信

プロジェクト発足メンバーが11月16日、奈良まほろば館(東京都港区)で会見

 奈良新しい学び旅推進協議会「日本の食の聖地巡礼・Nara推進」プロジェクトはこのほど、「日本の食のルーツ・DNAは奈良にあり」をコンセプトに、奈良の新しいブランドイメージの構築に向けた活動を開始した。

 12月13(火)~15日(木)に開かれる第7回UNWTOガストロノミーツーリズム世界フォーラムに連動して発足したプロジェクト。日本の食文化の起源の多くが今も息づく奈良県を“食の聖地”と位置付け、奈良のガストロノミーにおける新たなブランドイメージの構築と、持続可能な観光産業の活性化につながるコンテンツとファンづくりを目指す。

 初年度は「清酒発祥の地奈良」をメインテーマに掲げ、室町時代に奈良で生み出されたとされる伝統的な酒母(酛)造りの手法である菩提酛を紹介し、世界に誇る清酒のルーツを訪ねてもらえるような体験を企画。

 「日本清酒発祥の地・正暦寺でその起源に触れる~菩提酛清酒祭の特別体験」や「美食発祥の地で健やかに食す~日本酒と奈良の食のマリアージュとトークショーの特別体験」、「オリジナルスパイスカレー粉づくり~創業1184年の漢方薬局24代目店主と作るマイカレー粉の特別体験」を組み合わせた宿泊型高付加価値旅行商品の開発と実証を行う。

 推進する「日本の食の聖地巡礼・Nara推進」プロジェクトは、奈良商工会議所や奈良県旅館・ホテル生活衛生同業組合、 奈良県ビジターズビューロー、奈良県らが連携する産・学・官・民の協働体「奈良新しい学び旅推進協議会」を中心に、 奈良県旅館・ホテル生活衛生同業組合・女将の会(あゆみ会)、 菩提酛による清酒製造研究会、海豪うるる氏(コミュニケーション&ブランディング ディレクター)らで構成する組織。 今後より多くの県内参画者を募りながら活動を進めていく。活動期間は大阪で万国博覧会が開催されることを踏まえ、22年から26年とする。

オリオンツアー、バス会社に安全協議会実施 法令以上の同社基準確認

2022年11月22日(火) 配信

61社70人が集まった
 HISグループの旅行会社オリオンツアー(浅見和晶社長、東京都中央区)は11月15日(火)、東京都内で契約バス事業者61社70人を集め、「オリオンツアーバス安全運行協議会」を開いた。コロナ禍で3年ぶりの開催となった。同社が法令以上に厳しく定めた「ツアーバス 安全&品質管理基準」を確認し、安全運行と法令遵守、サービス向上への認識を深めた。
 
 オリオンツアーは1976年に創業して以来、スキーバスを専門とした旅行サービスを提供してきた。また、ダイビングやゴルフなどのスポーツプランのほか、自然や文化、歴史などを巡るツアーも催行する。同協議会は2006年から、ツアーバス事業における安全運行のさらなる強化や、有事の際に迅速な対応ができる組織体制の構築を目的に実施している。
 
 当日は「ツアーバス 安全&品質管理基準」に明記した夜間での運行には、距離や時間などに関わらず運転手2人を乗務させることや、サービスエリアでの休憩時にタイヤなどの車両を点検すること、出発時の人数確認を2回実施することなどを確認した。到着が30分以上遅れる際は、オリオンツアーに理由と到着見込み時間を報告することも求めた。
 
 また、国土交通省関東運輸局からゲストに招き、2016年の軽井沢スキーバス事故で設けられた再発防止のための施策を再確認したほか、バス事業者向けの新たな法令についても説明を受けた。

四国ツーリズム創造機構 四国4県観光PR 大阪市で説明会開く

2022年11月22日(火)配信

四国4県の最新情報を紹介

 四国ツーリズム創造機構(代表理事=半井真司・四国旅客鉄道会長)は10月20日、大阪市内で関西圏の旅行会社や報道機関を招き、観光商談会を開いた。

 来年の観光トピックスについて、徳島と香川、愛媛、高知の4県の担当者がプレゼンテーションした。高知県の観光特使を務める同県出身のタレント・島崎和歌子さんも登壇し、四国をアピールした。

 徳島県は、「四国の右下」と称する県南部を紹介した。同エリアでは昨年12月、線路と道路の両方を走る乗り物「デュアル・モード・ビークル(DMV)」の世界初本格営業運行が始まった。県ではDMVの乗車に加え、マリンスポーツや自然体験などのアクティビティも楽しむ周遊観光をPR。

 香川県は来年6月15日の弘法大師空海御誕生1250年に合わせ、空海の生まれた地という総本山善通寺(善通寺市)で来年4月23日から6月15日まで、1250年記念「大法会」を行う。秘仏「瞬目大師御開帳」などを予定する。

 高松市の屋島には昨年8月、屋島山上交流拠点施設「やしまーる」がオープン。瀬戸内海を一望する施設で、源平合戦をテーマとした幅40㍍・高さ5㍍の巨大アートを展示している。

 愛媛県は道後温泉のアートイベント「オンセナート2022」やしまなみ海道でのサイクリングをアピールした。国のナショナルサイクルルートに指定されるしまなみ海道は、海峡を横断する70㌔のルートで、多島美の絶景が楽しめるとあり国内外から注目される。

 高知県は、県出身で日本植物学の父と呼ばれる牧野富太郎氏をモデルとしたNHK連続テレビ小説「らんまん」の来春放送開始に合わせた取り組みを紹介した。来年3月25日から2024年3月31日まで、県立牧野植物園や牧野氏のふるさとである佐川町、越知町を中心に県全域で博覧会「牧野博士の新休日」を開催する。