外税表示で収益アップへ、耐震補助は知事に要望を(全国旅館政治連盟)

佐藤信幸理事長

 全国旅館政治連盟(佐藤信幸理事長)は9月17日、東京都内で緊急支部長会議を開き、消費税外税表示や改正耐震改修促進法などの問題について旅館業界として認識を共有した。消費税外税表示では、総額表示を求める宿泊予約サイトなどに比べ、外税表示を行う自社ホームページの方が料金比較サイトでも優位に立つメリットなどを挙げ、徹底を求めた。固定資産評価の見直しでは、2014年度税制改正に向け、下限となる経過年数を現行の50年から36年へ、14年の短縮を求める要望内容を確認した。

資産価値の減額50⇒36年求める

 消費税の外税表示は、今年6月に消費税転嫁対策特別措置法が成立し、10月1日から2017年3月31日までの3年5カ月間、総額表示から外税表示が時限的措置として認められたことを受けて、旅政連の佐藤信幸理事長は「消費税の外税表示によって収益は5―6%上がり、利益率向上にも結び付く」と強調。今後、全国400カ所で勉強会を開き、業界全体で外税表示による価格転嫁の徹底を訴えた。

 外税表示は、本体価格のほかに税金などが別途請求されることを分かりやすく明示すれば「税込価格」を表示しなくてもよいとする特例で、宿泊料1万円の場合、【1万円(消費税、入湯税150円別)】や【1万円(諸税別)】という表示も可能になるが、行政から消費税の表示方法をフロントや客室などに明示するよう求められている。

 また、宿泊施設がお客に「消費税分はサービスさせて頂きます」「消費税分は次回使えるポイントに換算します」といった提示は価格転嫁阻害として、違反した場合、消費者庁から勧告・公表が行われる。一方、旅館事業者が仕入れ業者に対して「消費税分は込み込みでよろしく」という価格交渉は違反行為となり、公正取引委員会から勧告・公表が行われる。

 固定資産評価については、旅館業界の実態調査と有識者を交えた会議で、固定資産税の経年減点補正率(耐用年数)は、下限(20%)となる経過年数は36年と弾き出されている。一方、総務省からは48年という数字も出ており、10年以上の隔たりがある。今後、観光庁などと協調して3年に1度、固定資産評価の見直しが行われる2015年度に向け、旅館ホテルの資産評価額の減価ペースを現行の50年から36年へ短縮するよう要望していくことを確認した。

耐震改修の適合マークのイメージ

 耐震問題については、国が耐震対策緊急促進事業(3年間の時限補助金)として13年度予算に100億円を計上。耐震診断、耐震改修に国が3分の1の補助金を出し支援、地方公共団体と事業者が3分の1ずつ負担することが原則となっている。しかしながら、地域によって地方公共団体が負担する割合が上限の地域と、まったく補助金が出せない地域もあるのが現状。予算執行には知事の権限が強いことから、知事へ直接要望するよう求めている。佐藤理事長は「業界にとって耐震問題は死活問題であり、皆さんに行動してほしい」と訴えた。9月11日現在、知事へ直接面会した都道府県組合は15組合、担当課を通じて知事に要望したのは16組合、知事への面会予定有り(日程調整中)が7組合、未回答が9組合となっている。また、耐震基準に適合したマークのイメージもすでにできている。

No.351 旅館の労務管理(前編) - 社員の働き方を設計する

旅館の労務管理(前編)
社員の働き方を設計する

 本紙で「いい旅館にしよう!」プロジェクトの対談シリーズに登場する工学博士の内藤耕氏(サービス産業革新推進機構代表理事)に、旅館の労務管理についてインタビュー取材を行った。旅館のサービスは、料理をとっても手間がかかる部屋食から、効率化を目指してレストラン食、バイキング食へとセルフサービス化が進む。しかし、なかには人手を介した方がより効率的であり、サービスの品質も上がるケースも多々ある。「社員の働き方の設計」を考える――今回は前編だ。

【増田 剛】

人手を介した方が“効率的”、品質を上げる努力が経費削減へ

 たとえば小売業の歴史的な変遷を見ると、昔は「富山の薬売り」のように自宅まで届ける訪問販売をやっていました。これでは客が選べる商品数は限られ、それが次第に多くの商品をそろえる店舗というものができ、そこに客に来てもらって販売するようになったのです。最初は「こういうものがほしい」という客に対して、呉服屋さんのように倉庫から手で商品を取り出すという対面販売でした。次に、百貨店のように、お客が自由に商品を見られるように陳列販売という形態が現れました。この訪問販売や対面販売、陳列販売というのは「フルサービス」で、とても手がかかりますが、客は色々と専門的なアドバイスを受けられるメリットもあります。

 

※ 詳細は本紙1516号または9月27日以降日経テレコン21でお読みいただけます。

3つの“死活問題” ― 国の政策に翻弄される旅館業界

  旅館業界にとって目下、(1)改正耐震改修促進法(2)消費税外税表示(3)固定資産評価見直し――の3つの問題が“死活問題”として横たわる。

 このなかで、消費税の外税表示は、税金分やサービス料などの「込み込み」料金ではなく、しっかりと「外税表示」を行うことで、収益や利益の拡大が見込まれる案件だ。2017年3月末までの時限的な「特例措置」であっても法律で定められており、安売り競争ではない方向に導くためには、旅館業界の意識の徹底が求められる。

 全旅連の税制委員会は、宿泊料金1万円、エージェント手数料15%、消費税率8%で、消費税の価格転嫁による実質収入の違いについてシミュレーションを行った。これによると、外税表示の場合、旅館の実質収入は8500円、消費税を転嫁できなかった場合は7870円と、630円の差額が生じた。年間1億円で計算すると、630万円の利益の有無に関わる。今後10%、さらなる上乗せとなると「込み込み」料金ではとても持ちこたえられない。全旅連は約1万6千会員に外税表示の周知徹底へ、全国400カ所で勉強会を実施していく予定だ。

 外税表示のメリットとしては、「総額表示よりも安く自社のホームページに掲載できるため、料金比較サイトでも優位に立つことができる」と全旅連税制委員会は強調する。いずれにせよ、旅館は消費者に課せられる消費税を肩代わりする必要はない。3年5カ月という時限的な措置を恒久化するためにも、外税表示の徹底に旅館業界が一致団結することが不可欠だ。

 耐震診断、耐震改修費用については、地方公共団体の補助制度がまちまちであり、全国横一列の補助制度というのは難しい状況にある。どの自治体も財政難にあり、旅館の耐震診断・改修の補助金を出せる余裕のある地域は希少だ。しかしながら、和歌山県や奈良県、高知県、静岡県などは、県知事の理解もあり、3分の1の費用負担といった補助制度がすでに決まっている。和歌山県では、事業者負担部分に対する最優遇融資資金の創設など手厚い支援策を打ち出している。

 固定資産税の見直しも、旅館に重く圧し掛かる負担の軽減を求めるものだ。国が政策の柱として観光立国を目指す以上、観光事業者の負担を軽くすることは、とても重要な施策である。理解の深い観光庁の強い後押しもほしいところだ。

 商業施設や病院、旅館が耐震改修を実施した場合、2014年度から固定資産税を半減する方針を政府・与党が固めたと、日本経済新聞が9月14日の1面で報じた。11月25日に施行する改正耐震改修促進法では、耐震診断が2015年12月末まで義務化されたが、診断の結果が基準を満たしていなかった場合でも罰則規定や自治体から公表されるなどの措置はあるが、耐震工事が義務付けられているわけではない。政府は固定資産税の半減という「ニンジン」をぶら下げてでも、耐震改修工事を実施させ、地方の設備投資の活性化を目指しているようだ。

 旅館業界は固定資産税の負担減を数年来求めてきた。ミリ単位で前進する努力を重ねてきたが、別ルートで、それも耐震改修とセットという、予想もしなかった展開で大きく動き出す可能性が出てきた。複雑な気分だ。国は旅館業界をいいように利用しているような気がしてならない。

(編集長・増田 剛) 

成田―関西就航開始、1日2便で10月27日から(ピーチ・アビエーション)

乗務員に囲まれる井上慎一CEO

ピーチ・アビエーション(井上慎一CEO)は8月28日、東京都内の丸の内と表参道で、成田―関西線就航記念イベントとして、冷えたおしぼりを配布し、同社をPRした。ピーチは10月27日から同路線を就航開始。1日2往復の4便で、価格は3790円から。

同日の会見で井上CEOは、就航開始から1年半が経ち、総搭乗者数がまもなく300万人に達することを紹介。「電車のように気軽に飛行機に乗るということが、現実になってきた」と語った。2013年の現時点までの就航率は99・8%。12年は約99%で国内トップ。定時出発率が約86%であることを明かし、「ピーチはちゃんと飛ぶLCC」と強調した。

成田―関西の新規就航については「関西で起こした航空イノベーションを東京でも起こし、東京そして日本を元気にしていきたい」と意気込んだ。10月27日の初便の予約状況は7割ほどで、その他の便は数字の公表を控えたが「当初の予想を超える動き」と報告。また、成田から関西以外への就航については「今のところ何も考えていない」としたが、「常に柔軟であることがピーチのポリシーなので、状況次第」と含みを持たせた。

「ピンクリボンの日」初開催、愛知県湯谷温泉

10月1日、無料開放、湯めぐりや体験者相談会

 愛知県湯谷温泉で10月1日、「ピンクリボンの日」イベントが初めて開かれる。同温泉では9軒の旅館などが中心になり「ピンクリボン癒しの郷」プロジェクトを昨年にスタート。乳がん手術の傷跡を気にして温泉に行けないという女性のために、脱衣所や洗い場での目隠し、ライトダウンの工夫を行うなど、旅行が楽しめる環境づくりを進めている。

 昨年7月には、同温泉女将会が「ピンクリボンのお宿ネットワーク」にも加盟し、活動内容を全国に発信している。

 イベントは同温泉が人工乳房メーカーの池山メディカルジャパンの協力を得て開催するもので、乳がん経験者や家族、友人などを対象に、1日間湯谷温泉を無料開放する。人工乳房装着の入浴体験も行う。

 当日は午前11時から午後4時まで、無料参加の湯めぐりやパッド・下着相談会、人工乳房装着入浴体験、ウイッグ相談会、保険相談会、看護士によるアロマリンパドレナージ体験、美容師によるヘッドスパ、ハンドマッサージ、ネイル・メイクなどを行う。

 各旅館では特製のオリジナルランチも用意。地元農家の産直野菜販売も行う。乳房再建体験者を囲むお話し会も開催する。夜には「足湯」をピンクリボンライトアップ、宿泊者対象の「体験者を囲むお悩み相談会」なども開く。

 問い合わせ=電話:052(799)3715。

「意外と熱海」戦略開始、東京で温泉会議開く(熱海市)

開湯セレモニーを行う

 静岡県熱海市(齋藤栄市長)は8月26日、東京都墨田区押上エリアの銭湯「大黒湯」を会場に「ATAMI温泉会議」を開いた。同市は、今年度からJTB中部にプロモーション事業を委託し、「意外と熱海」をテーマに3年間の長期観光ブランド戦略を行う。今回はキックオフイベントで、浴衣をまとった齋藤市長自ら富士山の描かれた浴場内の特設ステージに登壇し、観光プレゼンテーションを行った。

 「良い意味で期待を裏切り、『思いもよらず良かった』という発見が顧客満足につながる」(JTB中部)ことを踏まえ、掲げられた3年間の統一テーマは「意外と熱海」。齋藤市長も「長期プロモーションを通し、熱海の本質的な魅力を伝えていきたい」と意気込む。

 当日は、秋のシーズンに向けた3つのキーワード、相模灘を望む絶景に建つMOA美術館をはじめとする「芸術」、伊豆山神社などの「恋愛」パワースポット、初島から望む「世界遺産」富士山を紹介し、意外な熱海の魅力をPR。今後もパンフレットの作成やメディアへの情報発信、SNSなどを活用し、四季折々の観光プロモーションを展開。効果を検証し、誘客促進へつなげていく。

トップツアー社長に坂巻伸昭氏

坂巻伸昭社長

 トップツアーの新社長に8月30日付で、東武鉄道取締役の坂巻伸昭氏が就任した。石川邦大前社長は取締役最高執行責任者として留任した。また、会長には東武鉄道社長の根津嘉澄氏が就任。坂巻社長と根津会長は東武トラベル代表取締役を兼任する。

 坂巻 伸昭氏(さかまき・のぶあき)1959年生まれ。1982年東武鉄道入社。2010年東武トラベル社長、12年東武鉄道取締役グループ事業部長など歴任。13年8月トップツアー社長就任。

 (8月30日)【代表取締役会長】根津嘉澄(東武鉄道代表取締役社長)【代表取締役社長】坂巻伸昭(東武鉄道取締役)【取締役最高執行責任者】石川邦大【取締役】旅行営業本部長 水村祐一▽経営管理本部長 長島岩夫▽福水正徳▽額賀政美▽竹内章夫(東武トラベル取締役)【監査役】松崎正昭▽中嶋直孝(東武鉄道監査役)▽吉田修平(東武トラベル監査役)

シニア旅行を考える、日本交通公社海旅動向シンポ

(左から)高橋寿夫氏、三浦展氏、黒須宏志氏

「おひとり様」消費が拡大

 日本交通公社が7月17日に東京都内で開いた第18回海外旅行動向シンポジウムの第2部で、団塊世代後のシニア旅行マーケティングを探り、シニア単身世帯による「おひとり様消費」の拡大などを紹介した。

 パネリストには、消費研究家の三浦展氏と三菱総合研究所事業予測情報センター主席研究員の高橋寿夫氏の2氏が登壇し、コーディネーターは、日本交通公社観光文化事業部主席研究員の黒須宏志氏が務めた。

 日本の人口減少・高齢化は進み、日本経済に与えるシニアの消費活動は大きな影響力を持つようになった。日本観光振興協会が実施した「国民の観光に関する動向調査」を見ると、2010年の国内宿泊観光旅行割合のトップは50―70代の53%。20代が13%、30代が18%、40代が16%と低調のなかシニア世代の好調は顕著で、市場全体を牽引していることが分かる。しかし、近年アクティブシニアをターゲットとした商品の売れ行きは当初の思惑通りとは言い難く、シニアの消費実態は掴みにくいと考えられていた。

 三菱総研が60代の男女に対して「今行っていること、今後やりたいこと」のアンケートを実施したところ、「今行っていること」は(1)温泉(2)パソコン(ゲーム以外)(3)観光・名所巡り(4)ウォーキング(5)読書――などがあげられ、「今後やりたいこと」も同じような回答が並んだ。シニアは、「既にやりたいことは実施しており、新しいことにまで手を伸ばさない」という実態が見てとれる結果となった。

 三浦氏は、アクティブシニアをミスリード(誤った解釈)していると指摘し、「これまで馬に触れたこともなかった人が、いきなり乗馬を始めたりしない」と話し、アクティブシニアに対するイメージを見直すように促した。

 総務省が11年度に実施した「家計調査」によると、1世帯あたりの所得は、高齢者(65歳以上)世帯が307・9万円、全世帯が549・6万円。貯蓄は、高齢者世帯が2257万円、全世帯が1664万円と、高齢者世帯には経済的なゆとりがあることが分かる。また、団塊世代の30%の人は貯蓄目的に旅行やレジャー・趣味をあげており、旅行への関心の高さも伺える。

 高橋氏は、「今のシニアは、モノを増やさない生活をしたいという考えなので、新たにモノを増やす(買う)ことではなく、旅行など体験することに価値を見出している」と話し、シニアの趣味や価値観にあわせた商品が必要と示唆した。

 東京在住の60代以上の単身者は10年に221万世帯となり、20年には245万世帯にまで拡大する見込み。三浦氏は、「一昔前までのシニア像は、夫婦2人で余生を過ごす姿が想定されていたが、今、夫婦で仲良く旅行している人は限られている。とくに女性は、夫よりも友達同士で旅行したいと思うだろう」と語り、業界がシニア向けに制作した「夫婦2人旅」のCMなどは、逆にネガティブキャンペーンになってしまったのではないかと自説を説いた。さらに、日本では未婚や離婚率が増加傾向ということもあり、今後「おひとり様」需要は活性化していくとの見解を示した。

 シニアのおひとり様消費の増加により、人とのつながりが希薄になったように感じるが、単身シニアは、2人以上世帯の人に比べ社交的スキルの高い人が多く、友人の数も多いことが特徴にあげられるなど、個人間のつながりは求めていることが分かる。また、60代単身世帯では男性に比べて女性のほうが趣味や教養のサークル、女子会などの参加率は高いという。

 将来的には、生涯未婚の女性有職者たちも増え、女性の単身シニアは自らが稼いだお金で、旅行やレジャーなどへの消費活動を行うと予測され、「女縁消費」はさらに加速していくと推測された。

60代以上が余暇の主役、余暇市場は64兆7272億円(レジャー白書2013)

 日本生産性本部がこのほどまとめた2013年の「レジャー白書」によると、60代以上が余暇の主役となっている現状が浮き彫りとなった。

 10年前の2002年に1人当たりの平均余暇活動参加種目数が最も多かったのは、男性の場合、10代の15・7種目、最も少なかったのは60代以上の10・2種目と、年代が上がるにつれて種目数が減少する右肩下がりの傾向だった。女性も10代が平均17・7種目で一番多く、60代以上は平均8・4種目と最少だった。しかし、12年は、とくに傾向が顕著に表れた男性は、60代以上が平均12・2種目でトップとなった。女性も60代以上が平均11・6種目と10代(13・7種目)、20代(12・1種目)に肉薄しており、過去10年で60代以上が余暇市場の主役へと移り変わっていることが分かった。

 12年の余暇市場規模は前年比0・3%減の64兆7272億円と、東日本大震災と原発事故の影響で、ほとんどの分野で売上を減らした11年と比べ、ほぼ横ばいで推移した。

 なかでも観光・行楽部門は同4・5%増の9兆6330億円と1991年以来の4%台の伸びとなり、好調さが際立った。さらに内訳を見ると、旅館は同1・8%減の1兆3990億円、ホテルは同3・2%増の9790億円、ペンション・民宿は同1・4%増の740億円、遊園地・レジャーランドは同12・0%増の6550億円、旅行業(手数料収入)は同8・7%増の6770億円、貸切バスが同5・2%増の4640億円と、軒並み堅調に推移するなか、旅館の落ち込みが目立つ。

 12年の余暇活動を具体的に見ると、「国内観光旅行(避暑、避寒、温泉など)」が前年から90万人増加して5670万人と2年連続の首位となった。2位は「ドライブ」(5200万人)、3位は「外食(日常的なものは除く)」(5170万人)。次いで(4)映画(5)音楽鑑賞(6)カラオケ(7)動物園、植物園、水族館、博物館(8)宝くじ(9)ビデオの鑑賞(10)園芸、庭いじり――の順となった。そのほか、「遊園地」が前年から110万人増え、2100万人となり19位にランクされた。

 また、最近5年間で余暇活動をやめた種目と、開始・再開した種目に着目すると、やめた種目では、スキーやボウリング、水泳、パチンコなどが多かった。

 一方、開始・再開した種目では、国内観光旅行や映画などの数値が高かった。

学生13人が参加、初の合同インターンシップ(JATA)

参加した13人の学生

 日本旅行業協会(JATA)は、8月19―29日に初の「合同インターンシップ」を実施した。観光庁主導のインターンシップ事業に協力したもので、JATA会員15社が留学生を含む学生13人を受け入れた。研修を終えた学生たちからは「自分に足りないことが分かった」などの声があり、有意義な経験だったことがうかがえた。

 合同インターンシップは初日、オリエンテーションとして、JATAの越智良典事務局長と日本旅行の矢嶋敏朗広報室長が観光産業、旅行産業について講演した。また、2日目は企業での実習を前にビジネスマナー研修を行った。

 現場体験は6日間の日程で、大手や中小など業態が異なる企業を1人2社ずつ体験。学生はカウンター業務から営業同行、旅行者の案内などを行い、旅行業のさまざまな実務を学んだ。

 8月29日の最終日はインターンシップの総括を実施。「若者を旅行に行かせるには?」を議題にしたグループ討論や旅行会社の若手社員が業界の魅力を語る講演などを行った。

若手社員・中村さんが学生にアドバイス

 そのなかで、2010年入社の近畿日本ツーリストグローバルビジネス支店の中村潤さんが「私が思う旅行業界について」と題し講演した。中村さんは自分の経験を踏まえながら、「学生のうちにやっておくべきこと」として(1)勉強(2)情報に触れる(3)色々な人と話す――をあげ、「旅行を売るというのは高い教養が必要」と強調した。また、「本音」としては「たくさん遊ぶ」「イベントの仕切りをやる(幹事)」「ノーと言わない人になる(選択肢をたくさん持つ)」などもあげ、さまざまな経験が社会に出てから役立つことをアドバイスした。

 すべてのプログラムを終えた学生は「旅行会社は均一なイメージがあったが、会社によってまったく違うと学んだ」と業界のイメージが変わったことや「知らないことが多いことを知った」「幅広い知識が必要だと実感した」など自分自身に対し、改めて気付いたことなどを感想として語った。なかには「この経験を生かし、ぜひ旅行業に進みたい」という力強い声もあがった。

 最後に、JATAの越智事務局長は「これまでの旅行会社に対するイメージと違う部分も同じ部分もあったと思うが、研修を1つのきっかけにしてほしい。さまざまな会社があるので、さらに業界の勉強をしてもらい、全員が旅行会社に入って仲間になってくれたらうれしい」とエールを送った。

 JATAは今回の研修を踏まえ、今後も合同インターンシップを実施していく意向だ。