企業・団体のトップ集結、オール日本で国民運動を(観光立国推進協議会)

団体・企業のトップ85人が集結
団体・企業のトップ85人が集結

 日本観光振興協会(山口範雄会長)はこのほど、観光立国実現に向けて、観光産業や観光関係団体だけでなくオールジャパン体制での国民運動の展開を推進する「観光立国推進協議会」を立ち上げた。1月27日に東京プリンスホテル(港区)で第1回の会合を開き、観光に関連する幅広い分野の団体や企業のトップ85人がテーブルを囲んだ。

 山口会長は「観光は、地域の雇用造成や経済成長への寄与など、裾野が広く経済効果は計り知れない。まさに『観光立国は地域に始まり地域に終わる』と言える。国民一人ひとりの理解と実践がなければ観光立国は実現しないので、この協議会で国民運動を展開し、観光を盛り上げていきたい」と設立の趣旨を語った。

 同協議会は、観光関係団体や運輸、宿泊施設、旅行といった観光関連企業に加え、全国知事会や全国市長会、全国町村会などの自治体関連団体や、日本経済団体連合会、日本商工会議所など幅広い分野の団体や企業のトップが一堂に会し、観光立国実現に向けた方針の策定や政策提言などを行っていく。また、シンポジウムやタウンミーティングを開催し、観光立国推進の諸施策を観光関係者や国民に広く周知し、観光地域づくりも促進していく。

 2月7日には福島県のホテル福島グリーンパレスで、「観光立国タウンミーティングin福島」を開催。パネルディスカッションでは「ふくしま 食の魅力とおもてなし」をテーマに議論する。

 観光立国推進協議会の委員96人は次の各氏(敬省略)。

 【委員長】山口範雄(日本観光振興協会会長)【副委員長】谷本正憲(石川県知事)▽柏原康夫(京都市観光協会会長)▽松山良一(日本政府観光局理事長)▽森民夫(全国市長会会長)▽二階俊博(全国旅行業協会会長)▽大塚陸毅(日本経済団体連合会副会長・観光委員長)▽茶村俊一(日本百貨店協会会長)▽石毛博行(日本貿易振興機構理事長)▽小林哲也(日本ホテル協会会長)▽近兼孝休(日本旅館協会会長)▽菊間潤吾(日本旅行業協会会長)【委員】佐藤茂雄(アジア太平洋観光交流センター会長)▽笠原幸一(オリエンタルランド営業本部副本部長)▽中島都志明(休暇村協会理事長)▽石原進(九州観光推進機構会長)▽古宮洋二(九州旅客鉄道総務部長)▽原祥隆(国際観光サービスセンター常務理事)▽中山庚一郎(国際観光施設協会会長)▽尾川欣司(国際観光日本レストラン協会会長)▽後藤常康(サービス・ツーリズム産業労働組合連合会会長)▽佐々木隆(JTB会長)▽川西孝雄(JCB社長)▽松田清宏(四国ツーリズム創造機構会長)▽泉雅文(四国旅客鉄道社長)▽前田新造(資生堂会長兼社長)▽福田金也(ジャパニーズ・イン・グループ会長)▽安藤圭一(新関西国際空港社長兼CEO)▽鈴木修(スズキ会長兼社長)▽細田安兵衛(全国観光土産品連盟会長)▽櫻井正志(全国空港ビル協会会長)▽石澤義文(全国商工会連合会会長)▽橋本光男(全国知事会事務総長)▽藤原忠彦(全国町村会会長)▽藤本隆明(全国農協観光協会代表理事専務)▽佐藤信幸(全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会会長)▽井山嗣夫(全国レンタカー協会会長)▽篠辺修(全日本空輸社長)▽藤野公孝(全日本シティホテル連盟会長)▽高橋達雄(地域活性化センター理事長)▽富取善彦(地域伝統芸能活用センター理事長)▽山下隆(中国地域観光推進協議会会長)▽三田敏雄(中部「東海・北陸・信州」広域観光推進協議会会長)▽川上博(中部国際空港社長)▽辻岡明(定期航空協会理事長)▽山田佳臣(東海旅客鉄道社長)▽隅修三(東京海上ホールディングス会長)▽上條清文(東京観光財団理事長)▽梅崎壽(東京地下鉄相談役)▽西田厚聰(東芝会長)▽高橋宏明(東北観光推進機構会長)▽日覺昭廣(東レ社長)▽金子剛一(中日本高速道路社長CEO)▽夏目誠(成田国際空港社長)▽石塚由成(西日本高速道路社長)▽佐々木隆之(西日本旅客鉄道会長)▽愛知和男(NPO法人日本エコツーリズム協会会長)▽吉田章(日本オートキャンプ協会会長)▽大山正雄(日本温泉協会会長)▽大畑貴彦(日本海外ツアーオペレーター協会会長)▽入谷泰生(日本外航客船協会会長)▽矢木野功次(日本観光通訳協会会長)▽鷹城勲(日本空港ビルデング社長)▽大西賢(日本航空会長)▽志賀典人(日本交通公社会長)▽滝久雄(日本交通文化協会理事長)▽松園俊志(日本国際観光学会会長)▽分部日出男(日本コンベンション事業協会会長)▽長澤惠一(日本サイクリング協会専務理事)▽久米正一(日本自動車連盟専務理事)▽河上一雄(日本修学旅行協会理事長)▽須田寛(日本商工会議所観光委員会共同議長)▽篠原一博(日本ショッピングセンター協会専務理事)▽井上淳(日本チェーンストア協会専務理事)▽山田隆英(日本添乗サービス協会会長)▽大塚陸毅(日本ナショナルトラスト会長)▽銭谷眞美(日本博物館協会会長)▽高橋幹(日本バス協会会長)▽馬場彰(日本ファッション協会理事長)▽森昭三(NPO法人日本ヘルスツーリズム振興機構理事長)▽石塚勉(日本ホテル教育センター理事長)▽渡邉一也(日本ホテルバーメンズ協会会長)▽坂井信也(日本民営鉄道協会会長)▽水野宰(日本ユースホステル協会理事長)▽山崎潤一(日本旅客船協会会長)▽小西亘(日本レクリエーション協会理事長)▽立谷光太郎(博報堂執行役員テーマビジネスユニット長)▽廣瀬博(東日本高速道路社長)▽清野智(東日本旅客鉄道会長)▽上田準二(ファミリーマート会長)▽北山憲武(北海道観光振興機構専務理事)▽野島誠(北海道旅客鉄道社長)▽島田秀男(三井住友カード社長)▽和田哲哉(三菱UFJニコス社長)▽樋口一成(ユーシーカード社長)▽舩山龍二(ロングステイ財団会長)

目指せ全国デビュー?

 石川県能登半島の付け根に位置する羽咋(はくい)市。その玄関口、JR羽咋駅に今年1月、UFOが出現した。地元、羽咋工業高校の学生たちが「UFOのまち・羽咋」をPRしようと、ホームの壁面2カ所に描いたものだ。同市にある宇宙科学博物館「コスモアイル羽咋」のキャラクターで、近年じわじわとローカル人気が高まる宇宙人サンダーくんも描かれている。

 来年春の北陸新幹線開業を目前に控え、沿線各地では、それぞれ地域色を出したPR展開に熱心だ。羽咋市界隈では、昨年春に能登有料道路が「のと里山海道」として無料化。隣接する富山県氷見市を走る能越道も、2014年度内に七尾市まで開通予定となっており、半島を横断する周遊ルートも可能となる。サンダーくんが全国区になる日は果たして。

【塩野 俊誉】

アジアで圧倒的地位を、14年はあるべき姿へ勝負の年(JTB・田川社長)

JTB・田川博己社長
JTB・田川博己社長

リスクともなう商品造成へ

 JTB(田川博己社長)は1月23日、東京・新宿の京王プラザホテルで2014年新春経営講演会を開き、田川社長は2014年を「あるべき姿に向けて勝負の年」と述べ、今後、グローバルレベルでの交流文化事業を強力に進め、アジアで圧倒的な地位を築いていく方針を語った。また、今年4月1日に設立する「JTB国内旅行企画」の代表取締役社長に就任予定の大谷恭久氏が新会社の方向性などを紹介した。

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 JTBの田川社長は昨年を振り返り、「2013年は国内旅行部門が順調に推移した。13年度のグループ中間決算では経常利益169億円を計上し、年間見込みも20億円上方修正し、将来に向けた継続的な投資をしながら150億円の利益を見込んでいる」と語った。14年度については「海外渡航自由化50周年、東海道新幹線開業50周年、スポーツイヤー(ソチ冬季五輪、ワールドカップブラジル大会)、訪日外国人客2千万人に向けた新たなスタートの年にも当たる」とし、「JTBグループにとっては中期経営計画2年目に当たる。15年にはJTBが分社化して10年の節目の年であり、イノベーションや、構造改革を継続的に行い、事業の新陳代謝をさらに進めていく」と述べた。そのうえで、(1)国内旅行部門の強化とDMC(ディスティネーション・マネジメント・カンパニー)の進化に取り組むことを強調した。

 国内旅行部門の強化では、「国内旅行における『旅行エージェントとしての存在価値への挑戦』を、不退転の覚悟で実施する」と述べ、14年4月1日に「JTB国内旅行企画」を設立することや、訪日インバウンド営業体制の一元化などを挙げ、「06年にJTBが分社化して以来、最大の改革。JTB国内旅行企画は3千億円の取扱額と社員約1千人の規模の会社となる」と紹介した。田川社長は「これまで我われが進めてきた地域の改革、店頭の改革は機が熟した。新しい会社では、付加価値のある商品を創造、提案していく」とした。

 さらに、「地域で素材を開発するDMCの流れと、もう一方で、JTB首都圏やJTB東海、JTB関西など店頭展開する会社で得られるマーケットインの発想とプロダクトアウト側の発想を合わせて、最も相応しい商品を作る会社にしていきたい」と語ったほか、「我われ自らが責任を持ってリスクをともなった商品造成の流れを、海外旅行だけではなく、国内旅行でも展開していきたい」と強調した。

 DMCの進化については、「これまで交流文化事業をJTBグループのなかで進めてきたが、DMCは新しい旅行会社や交流文化のかたちであり、ツーリズム産業のイノベーションだと思う。旅の力をフルに発揮して、地域のさまざまな課題を解決していくことがこれから我われツーリズム産業に求められる」と述べた。

 2020年ビジョンについて、田川社長は「アジア市場における圧倒的なナンバーワンポジションを確立する」とし、グローバル各事業の基本戦略として、(1)インハウス(2)インバウンド(3)アウトバウンド――3事業をあげた。海外企画商品「ルックJTB」に関しては、「現在の取扱人数約140万人を、14年には145万人、将来的には200万人を目指していきたい」と語った。また、「世界発、世界着のネットワークを構築する『グローバルDMCネットワーク』によって、世界レベルの交流文化事業を進めていきたい」と話した。最後に、「2020年に開催される東京オリンピックは追い風。いかに地方を盛り上げるか」を課題としてあげた。

「JTB国内旅行画」の方向性

JTB国内旅行企画社長就任予定の大谷恭久氏
JTB国内旅行企画社長
就任予定の大谷恭久氏

 4月1日付で同社代表取締役社長に就任予定の大谷恭久氏は「1971年にエースJTBが誕生。パッケージの利便性が高く評価され、国内旅行ブームの火付け役になった。しかし、バブル経済崩壊後は、国内旅行は成長路線から横ばい傾向となった。また、オンライントラベルエージェントの台頭によって販売額は伸び悩んでいたが、現在はJTBのウェブ販売強化や、シニア層の拡大、大型イベントなどによって回復基調にある」と報告した。

 新会社については、「北海道から沖縄まで全国の仕入部門、商品企画造成部門を1社化し、意思決定の迅速化をはかり、国内旅行の構造改革を加速していく」とした。大谷氏は「2015年度までをフェイズ1として構造改革を進め、18年度までをフェイズ2として、地域交流事業やインバウンド事業など成長分野の基盤を構築する。東京オリンピックが開催される2020年度には、東京のみならず全国規模で交流拡大の確立を目指していきたい」と語った。

秋葉原で記念イベント、免税店シンボルマーク使用開始

秋葉原で記念イベント
秋葉原で記念イベント

 観光庁が創設した「免税店シンボルマーク」を活用した情報発信に取り組む輸出物品販売場等税務懇話会(阿部英行会長)は1月31日、同マークの使用開始に合わせ、外国人旅行者が多数訪れ同マークを掲示する秋葉原電気街で「免税店シンボルマーク使用開始記念イベント」を行った。

 阿部会長は「日本と海外では免税制度が異なる。海外では税込価格で購入し出国時に還付を受けるのが主流だが、日本では購入時に免税を受けられるので、持っているお金をすべて買い物に使える」と日本の免税制度の利点を強調。「この良い制度をもっと情報発信するため、免税店シンボルマークを全国の免税店に掲げ、分かりやすく発信していきたい」と語った。

 来賓の篠原康弘観光庁審議官は「2千万人の高みを目指すには、外国人旅行者に便利な環境を整えていくことが必要。日本でしたいことのトップにショッピングが挙がり、これまで免税の対象外だった化粧品や食料品なども含め、10月から対象品目が拡大されるので、免税店とシンボルマークを全国に広め、アピールしていきたい」と語った。

 同マークは外国人旅行者の消費税免税の対象品目が全品目に拡大されたことを受け、免税店のブランド化と認知度向上を目指し創設。4月には、観光庁が同マークを掲げる免税店リストを取りまとめ、日本政府観光局(JNTO)のホームページで国内外に発信する。

「旅館と酒蔵」座談会、にいがた地酒の宿で誘客へ(新潟県旅組青年部)

意見交換会のようす
意見交換会のようす

 新潟県旅館ホテル組合青年部(荻野光貴部長)は1月29日、新潟県・弥彦温泉の四季の宿みのやで、新年会を開き、昨年からスタートした「にいがた地酒の宿」プロジェクトでタッグを組む同県酒造組合青年部の新星会、にいがた美醸主宰の村山和恵さんと「旅館と酒蔵の取り組むべき課題」をテーマに意見交換を行った。

 村山さんは「新潟の酒はもたれないので、長く楽しい時間を過ごすことができる」と前置きしたあと、「お客が自由に楽しめる仕掛けが必要。女性客の立場では酒器が自分で選べたらうれしい」と語った。

 新星会のメンバーからは「にいがた地酒の宿の話を耳にしたとき、日本酒が観光誘客のツールになると認めてもらえ、うれしかった」「新潟の酒は淡麗で飲みやすい」「新潟の仕込み水は軟水なので飲み飽きすることなく女性受けする」などの意見が出た。

 旅館側からは「今後増加する外国人旅行客に日本酒は重要なアイテム」「宿泊客と接する仲居さんが日本酒について知らないことが多い。仲居さん向けの勉強会も必要」「提供する日本酒の瓶の容量をもう少し小さいものが作れないのか。さまざまな種類を味わってほしいが今の容量だと飲み比べが難しい」「旅館が新潟92の酒蔵を活かしきれていなかった」「工場長や杜氏さんも表に出てこだわりをお客に伝える工夫をしてほしい。例えばなぜこの瓶の色なのか、なぜこのラベルなのか。そうしたストーリーも関心を集める要素」などの発言があった。

 意見交換の最後に村山さんは、「提供する側が良いと思うこと、宿泊客が良いと思うこと。この差をなくすことが重要で、ソフト面が切り札。今一度自分たちがズレていないか、そして個々のニーズに対応できているか考えてほしい」と結んだ。

 「にいがた地酒の宿」プロジェクトは新潟の地酒を提供し、県内産の食材を使った地酒に合う献立、プランを旅館・酒蔵が一緒に開発していくもの。昨年3月にスタートしたが両者が一堂に会しての意見交換会は初めてで、荻野部長は「さまざまな意見を出し合えた。今後も継続していきたい」と話している。

カジノの学会設立、産業の正確な情報を啓発

ロケーション・エンタテインメント学会が設立
ロケーション・エンタテインメント学会が設立

 国内外の有識者が発起人メンバーとなり、カジノを核とする大型複合施設とIRに関する調査・研究を目的とした「ロケーション・エンタテインメント学会」が設立した。

 同学会事務局となる金沢工業大学は、2011年に米国、韓国のカジノ企業を交え、産学協同の協議会「ロケーション・エンタテインメント研究協議会」を設立。合法化を直前に控え、活動活性化のため「ロケーション・エンタテインメント学会」として発展させ、有識者による研究を進めていく。

 1月22日に金沢工業大学虎ノ門キャンパスで開かれた記者会見で、佐藤仁会長は「カジノ法案が通れば、法律、経営、観光資源としての統合マーケティングなどカジノ産業の学識を持った専門家が必要になる。これまでのノウハウが少しでも役に立つのであればと思い立ち上げた」と学会設立の意図を説明した。北谷賢司副会長は「近年増えている中華系の海外旅行客はカジノに対して関心が高い。東アジアからの観光客誘致拡大にはカジノなどの大きなアトラクションが足りない。観光立国に向けた競争力強化や経済成長の起爆剤として役立つ」とカジノ産業の利点を語った。今後は、3―4カ月ごとにシンポジウムやセミナーを開き、カジノやゲーミング産業の正しい情報の啓発活動、海外からの問い合わせ対応や情報交換などを行っていく。

 アジア人はゲーム好き
 税率と設置数が鍵

 その後、「激変するカジノ産業 アジアにおける成功例から考える、日本のカジノ創設と展望」と題した設立記念シンポジウムを行い、パネルディスカッションでは、それぞれの立場からカジノ産業について語られた。カンボジアでカジノを経営するGoodLuck9 Casino & Hotel Presidentのアン・ユンモ氏は、「以前はカジノがゲームをするためだけの場所だったが、現在は家族や会社の同僚、恋人などと一緒に楽しむ方向へ変化している」との見解を述べ、「総合エンタテインメントが含まれる複合リゾート」とした。

 Global Gaming for MGM Resorts Internationalの元社長でカジノ経営に詳しいロイド・ネイサン氏は、「アジアの人はゲーム嗜好が高いので、カジノ産業はしばらく成長を続けるだろう」と展望を語った。立法化を目前に、すでに外資が日本国内でオペレーションを始めており、日本のマーケットを利益性高い市場になると見ているとの分析を紹介。日本でのカジノの成否のカギに(1)税率(2)設置カ所数――の2点を挙げた。

 シンガポールでは2カ所に限定し、25億円の投資で豪華なカジノを設営。ネイサン氏は、「もし、1億円ずつの投資で25カ所に作っていたら、客の奪い合いで失敗していた。どのくらいの規模のものを何カ所造るかを決めるのが先決」と助言した。

 学会発起人メンバーは次の各氏。

 【会長】佐藤仁(東急レクリエーション社長)【副会長】北谷賢司(金沢工業大学コンテンツ&テクノロジー融合研究所所長、エイベックス・インターナショナル・ホールディングス社長)【理事】千代勝美(エフエム東京社長、金沢工業大学コンテンツ&テクノロジー融合研究所客員教授)▽北山孝雄(北山創造研究所代表、金沢工業大学コンテンツ&テクノロジー融合研究所客員教授)▽ロイド・ネイサン(英国/米国カリフォルニア州弁護士、Global Gaming for MGM Resorts International元社長)▽鎌田正彦(SBSホールディングス代表)▽秋山弘志(東京ドーム顧問、金沢工業大学コンテンツ&テクノロジー融合研究所客員教授)▽中村規脩(オークローンマーケティング相談役共同創始者)▽林和男(ぴあ特別顧問共同創始者)▽三枝利行(東急不動産常務)▽和田史久(GoodLuck9 Casino & Hotel会長)▽清水太郎(シミズオクト社長)▽多田宏行(前三井不動産S&E総合研究所所長、東京藝術大学講師)▽金山勉(立命館大学国際部副部長教授)▽村井好博(金沢工業大学理事、産学連携機構事務局長)【監事】大橋卓生(虎ノ門協同法律事務所弁護士、金沢工業大学虎ノ門大学院准教授)【事務局長】泉屋利吉(金沢工業大学虎ノ門大学院事務室長)

新社長に松田氏、生井社長は会長に(阪急交通社)

松田誠司氏
松田誠司氏

 阪急交通社は2月3日、4月1日付で取締役常務執行役員・西日本営業本部長の松田誠司氏が社長に就任すると発表した。生井一郎社長は会長に就任する。

 阪急阪神ホールディングス体制の中核会社として1年が経過し、旅行事業の目途が経ったことやブランド「トラピックス」が25周年を迎えたことなどから、さらなる成長に向けて経営管理体制の強化をはかる。

 松田 誠司氏(まつだ・せいじ)。1977年関西学院大学経済学部卒業。同年阪急交通社入社。2007年、執行役員・旅行事業本部九州営業本部長、09年取締役執行役員・九州営業本部長などを歴任。12年から現職。

クルーズせとうちセミナー、「寄港地連携で、過ごし方のバリエーション拡大を」

「クルーズせとうち」セミナーを開く

神戸、宇野、高松、広島、門司の5港

 瀬戸内海に面する神戸港、宇野港、高松港、広島港、門司港の5港は1月27日、東京都千代田区の都道府県会館で「クルーズせとうち」セミナーを開いた。今年3月に国立公園指定80周年を迎える瀬戸内海は、美しい海岸線や多島美など内外のクルーズ客船にとっても人気のエリア。それぞれの寄港地が連携して、過ごし方のバリエーションを広げる必要性などが語られた。

 セミナーでは、主催者を代表して山村昭神戸市みなと総局振興課長が「魅力あるクルーズを通じて、1人でも多くの人に瀬戸内海の素晴らしさを知ってほしい」とあいさつした。続いて、5港の担当者が(1)日本の伝統文化と体験(2)歴史と郷土料理を堪能(3)愛とロマンスの地を訪ねて――の3つのテーマで瀬戸内海の魅力を紹介した。

 伝統文化と体験では、神戸港は「灘の生一本」で知られ、「日本一の酒どころ」として酒蔵巡りや、六甲山からの1千万ドルの夜景、有馬温泉などを提案。宇野港は備前焼陶芸体験などを紹介した。高松港は日本一の産地として知られる香川の松盆栽や、直島女文楽、広島港は原爆ドーム・平和記念公園など、門司港は小倉織のふろしき体験などをPRした。

 グルメでは、神戸港は神戸に集まる世界の多国籍料理や、洋菓子、神戸ビーフなどを紹介。宇野港はばら寿司、ママカリ寿司、そして果物王国岡山のフルーツ、高松港は讃岐うどん、広島港は広島お好み焼き、門司港はいわしや鯖などをぬか味噌で炊いた「じんだ煮」などを薦めた。

 また、クルーズ商品を主に取り扱うマーキュリートラベル社長の東山真明氏は旅行会社の視点から、「大型クルーズ船客に比べ、小型クルーズ船客の方が、ショッピングよりも歴史や文化に対し強い関心を持ち、『クオリティーの高い上質な船旅』を求める傾向がある」と述べ、「寄港地の過ごし方にバリエーションが不可欠。上質な洋上ライフに加え、トータルで考えられた寄港地の楽しみ方が充実すれば最高の船旅となる。5つの寄港地の連携が必要」と強調した。

 日本クルーズ客船東京支店営業部長の岸本正則氏は世界にも誇れる多島美をはじめ、橋、朝焼け・夕焼け、夜景の美しさなどを映像を交えて紹介した。

OTOA九州支部が大分でワークショップ開催

 日本海外ツアーオペレーター協会(OTOA)九州支部は2月19日、大分県大分市・ホルトホール大分でワークショップ(商談会)を開く。これまで、九州・沖縄地区で12回同様のワークショップを開いてきたが、大分での開催は初。政府観光局や各企業がブースを出展し、現地の最新情報が収集できる。

 時間は午後1―4時30分。時間内の好きな時間に立ち寄れる。出展企業はOTOA九州支部会員が14社、政観含むその他企業は10社の予定。

参加希望者は以下のURLから申込書をダウンロードし、
申し込む。
URL=(http://www.otoa.com/topics_detail.php?serial=224)。

1.開催日時: 平成26年2月19日(水曜日)13:00~16:30(予定)

2.開催場所: ホルトホール大分
        住所:〒870-0839 大分市金池南一丁目5番1号
        TEL :(097)576-7555
        アクセスマップ:http://www.horutohall-oita.jp/access

宿や街のデザイン ― つくり過ぎず、どこか懐かしい

 オートバイにはさまざまな呼び名がある。オートバイと呼ぶ人もいれば、バイクと呼ぶ人もいる。でも、私が好きな呼び名は「単車」である。まったく個人的な印象だが、バイクという呼び方は、語感的にファッション性を含んだ少しお洒落な感じがする。オートバイはもう少し“野性的なイメージ”を連想させる。そして、「単車」はチャラチャラした装飾的なものを一切排除した、無骨に鈍く光る、黒い鉄の塊りが思い浮かぶ。

 私が生まれた街は、九州の小さな海辺の工業地帯。幼い私はセメント工場で働く母方の祖父の黒い単車に乗るのが好きだった。鉄パイプがむき出しになった埃舞う工場群や、工業用のダムに単車で連れて行ってもらった。父の単車にもよく乗せてもらい、海岸線を走った記憶がある。高校生になった私は父に黒い単車を買ってもらい、山の上の高校まで単車で通った。

 祖父や父はオートバイを「単車」と呼んだ。華美さの欠片もない北九州に生まれ育った男たちの「単車」という呼び方は、妙にしっくりくるのだ。このような経験があるからか、ときどき「単車」が無性に欲しくなるときがある。

 クルマやオートバイを選ぶ際、デザインは重要な要素である。そしてデザインを目にするとき、人は各々が経験してきた過去の記憶と無関係ではない。

 モーターショーに出展される「コンセプトカー」は、未来だけを見据え、実験的に機能やデザインが作られているので、どこか地に足が付いていない印象を受けるし、そのまま街を走ったら目立つだろうが、現実感がなく存在が浮いてしまう。

 過去を切り捨てた極端な未来的なデザインは、記憶の切断であり、目新しくはあるが、その代償として空虚さが生まれる。そして未来的なデザインは、基本的に流線形であり、フェイスの尖り具合など、どこか杓子定規的であり、多様性よりも、同質的な匂いが強いのである。私が思う優れたデザインは、曲線や直線の中に言葉では説明できない、少し感傷的な、懐古的な幸せな記憶が隠されている。ほどよいセンチメンタリズムの母体に包まれながら、近未来の“謎に満ちた”未知なる世界に突き進むスリル感に、少なくともオトコたちは、胸を躍らせ、のめり込んでいくのだ。

 都市もそうである。レトロ感にあふれるパリの街並みは、完成された華やかな芸術作品のように美しいが、しばらくそこにいると、私なぞは少し息苦しさを感じる。抑制美が効いたロンドンやニューヨークの方が落ち着く。懐古調と未来志向の調和によって心地よい気分になるのだ。

 一方、ガラス張りの高層ビルが歴史のない場所に忽然と現れた未来志向の街並みは、少し歩くと疲れて飽きてしまう。

 旅館も、さまざまなコンセプトを前面に出すのはいいのだが、「つくり過ぎる」と逆に落ち着かない。「もう少しデザインが抑制されていればいいのに」と思うことがある。有名建築家や、流行りの建築デザイナーが手掛けると、自己主張を垣間見せ、それが少し鼻に突く。宮大工のように、いい仕事をしながら、妙な個性を主張したりしない職人が作る世界の方が好きだ。新しいのにどこか懐かしい。そして、つくり過ぎず、抑制の効いた街並みや宿が、多くの人々を永続的に魅了するのだろう。

(編集長・増田 剛)